JP2012072003A - チタン錯体溶液、該溶液から得られる薄膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液相法において、従来よりも低い結晶化温度(加熱温度)によりアナターゼ結晶を有する酸化チタン薄膜を形成することができ、さらに電気伝導性が向上した酸化チタン薄膜を得ることが可能なチタン錯体溶液を提供する。
【解決手段】本発明に係るチタン錯体溶液は、チタンに配位する配位子の数が5以上であるチタン錯体を主成分とし、該配位子は、炭素数3以上の直鎖型のアルコキシル基、HO及び塩素原子をそれぞれ1以上含むことを特徴とする。当該溶液を基板上に塗工し、得られた塗工膜を乾燥し、次いで乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理することにより、アナターゼ結晶性を有する酸化チタン薄膜を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気或いは光学用途に用いられる、酸化チタンを主成分とする薄膜を基板上に形成するためのチタン錯体溶液、該溶液から得られる薄膜およびその製造方法に関するものである。
酸化チタンを主成分とする薄膜は光触媒活性や高光透過性、電気伝導性を発現するために科学技術上非常に有用である。また、従来から使用されている酸化インジウムを主成分とする薄膜の代替技術としてその重要性は急激に高まっている。薄膜に高い電気伝導性を発現させるためには、酸化チタンを主成分とする薄膜を、結晶性が高いアナターゼ型の結晶状態にすることが必要である。
このような酸化チタン薄膜を形成させるために、従来から気相法が用いられてきた。この方法では、成膜中及び/又は成膜後に500℃以上の高温に加熱することが不可欠であり、耐熱性が低い材料を基板に採用することができないという問題点が存在する。さらに、気相法は、成膜速度が非常に遅く、大型化に不向きである欠点を有している。
一方、チタン錯体溶液を基板に塗工し、その塗工膜を乾燥し、次いで結晶化処理を行う液相法が知られている。液相法を適用することにより、成膜速度を著しく向上させることができ、大型化にも対応することができる。液相法では、アナターゼ型の結晶性の薄膜を得るために、500℃以上の高温に加熱する結晶化処理を行うことが不可欠であり、耐熱性が低い材料を基板材料として採用することができないという問題点が存在する。また、酸化チタン薄膜の電気伝導性を高めるために副成分(ドーパント)を加えることが行われているが、ドーパントの添加により酸化チタンの結晶性が発現しなくなるという問題点が存在する。
また、薄膜の結晶化温度を低下させるための方策の一つとして、予め結晶性を有する粒子を溶液中に混在させておく手法が知られている。しかしながら、本発明者の検討によれば、この手法には、電気伝導性を発現させる目的でドーパントを加える場合に、結晶性を有する粒子の影響により、結晶構造中におけるドーパントの分布が不均一になり、酸化チタン薄膜の電気伝導性が発現しにくく、発現しても安定しないという新たな、欠点があることがわかった。
すなわち、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、液相法において、従来よりも低い結晶化温度(加熱温度)によりアナターゼ結晶を有する酸化チタン薄膜を形成することができ、さらに電気伝導性が向上した酸化チタン薄膜を得ることができるチタン錯体溶液を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は、液相法を用いて、400℃以下の熱処理によりアナターゼ結晶性を有する酸化チタン薄膜を形成することが可能なチタン錯体溶液を提供することを目的とし、さらにはその結晶構造の中にドーパントを含んだアナターゼ結晶性の酸化チタン薄膜を形成することが可能なチタン錯体溶液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、配位子の数を5以上とし、炭素数3以上の直鎖型のアルコキシル基、HO及び塩素原子を配位子とするチタン錯体を含むチタン錯体溶液を用いて液相法で薄膜を形成した場合、400℃以下の熱処理によりアナターゼ結晶性を有する酸化チタン薄膜を形成することができ、そして、チタン錯体溶液中にドーパント材料を添加して低温度で酸化チタン薄膜を形成させることができるので、ガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある)が低い有機高分子成形体を基板として用いることが可能となり、さらに、形成された薄膜中にドーパントが均一に分布して薄膜の電気伝導性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1) 少なくともチタン、炭素原子を含むチタン錯体を主成分とするチタン錯体溶液であり、
該チタン錯体は、チタンに配位する配位子の数が5以上であり、
該配位子は、炭素数3以上の直鎖型のアルコキシル基、HO(nは1以上の整数を示す。)及び塩素原子をそれぞれ1以上含むことを特徴とするチタン錯体溶液。
(2) 前記チタン錯体は下記化学式(1)で表されることを特徴とする(1)に記載のチタン錯体溶液。
Figure 2012072003
(3) ドーパント材料を含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載のチタン錯体溶液。
(4) (1)乃至(3)の何れか一項に記載のチタン錯体溶液を基板上に塗工し、得られた塗工膜を乾燥し、次いで乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理することにより得られることを特徴とするアナターゼ結晶性の酸化チタンを主成分とする薄膜。
(5) 前記基板が有機高分子成形体であることを特徴とする(4)に記載の薄膜。
(6) 結晶構造中にドーパント元素を含むことを特徴とする、(4)又は(5)に記載の薄膜。
(7) (1)乃至(3)の何れか一項に記載のチタン錯体溶液を基板上に塗工し、得られた塗工膜を乾燥する工程と、乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理する工程と、を含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
(8) 前記基板が有機高分子成形体であることを特徴とする(7)に記載の薄膜の製造方法。
本発明によって、Tgが410℃以下の基板上に高い結晶性を有するアナターゼ結晶性の酸化チタン薄膜を形成することが可能となった。本発明により、液相法により、結晶構造内にドーパントを含有する酸化チタンの薄膜を形成することが可能となった。本発明における薄膜は、チタン錯体溶液に適切なドーパント材料を加えることにより、その構造の中にドーパントを含んだアナターゼ結晶性の薄膜となる。このことによりドーパントに応じた電子準位を有するバンド構造を有する薄膜を実現することができる。
本発明のチタン錯体溶液を用いた薄膜の形成においては、加熱温度が400℃以下なので、基板として有機高分子成形体を用いることが可能である。本願発明は更に、大面積の基板上に酸化チタンの薄膜を高速に形成することが出来る。
このように、本発明のチタン錯体溶液によれば、液相法において、低い結晶化温度(加熱温度)によりアナターゼ結晶を有する酸化チタン薄膜を形成することができ、さらにアナターゼ結晶中にドーパント元素を含有させることができ電気伝導性が向上した酸化チタン薄膜を得ることができる。さらに、本発明の薄膜の製造方法は、工業的生産に好適に用いることができる。
化学式(1)で示したチタン錯体の35Cl-NMRスペクトルを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体の49Ti-NMRスペクトルを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体の17O-NMRスペクトルを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体の13C-NMRスペクトルを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体の1H-NMRスペクトルを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体を主成分とした溶液から得たチタニア薄膜のXRDチャートを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体を主成分とした溶液をポリイミド基板上に形成して得たチタニア薄膜のXRDチャートを示す。ポリイミド基板に由来する強度を除いたチタニア薄膜のみの強度である。 化学式(1)で示したチタン錯体を主成分とし、ニオブを含有する溶液から得たチタニアを主成分とする薄膜のXRDチャートを示す。 化学式(1)で示したチタン錯体を主成分とし、バナジウムを含有する溶液から得たチタニアを主成分とする薄膜のXRDチャートを示す。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
まず、本発明のチタン錯体溶液に主成分として含まれるチタン錯体について説明する。
[チタン錯体]
本発明のチタン錯体溶液は、チタン、炭素、酸素、水素を主な成分とするチタン錯体を主成分として含む。このチタン錯体は、チタンに配位する配位子の数が5以上であり、具体的には5あるいは6である。その配位子として、塩素原子、HO(nは1以上の整数を示す。)及び炭素数が3以上の直鎖型の複数のアルコキシル基を各々1以上含む。本発明において主成分であるとは、溶液中において、全ての金属錯体の中で本発明におけるチタン錯体のモル分率が最も大きいことを意味する。
本発明のチタン錯体は、アナターゼ型の結晶性を有する酸化チタン薄膜を低エネルギーで形成するためのものである。アナターゼ型の結晶性を有する酸化チタンでは、チタンが6配位状態にある。チタン錯体を原料とする場合にその配位状態が6に近いほど結晶構造を形成するのに必要なエネルギーが低く好適である。
さらにゾルゲル縮合反応の速度が遅いほど、緻密な薄膜を形成し易く、さらに安定な結晶構造に近い状態の薄膜を形成し易いため、目的とするアナターゼ型の結晶性に構造変化させるに必要なエネルギーが低く好適である。本発明においては、主たるチタンへの配位子は、アルコキシル基であり、該配位子が脱離し、別のチタン錯体との間にTi-O-Ti結合を形成することにより、酸化チタン組成に変化する。チタン錯体に配位しているアルコキシル基は、複数のチタン錯体間のチタン間距離を制御するため、一定の長さ以上にすることにより、ゾルゲル縮合反応の速度を抑制することができる。本発明において好適なアルコキシル基は-O-nBuである。より炭素数が少ないアルコキシル基はゾルゲル縮合反応の速度を抑制する効果が少なくなる。
ゾルゲル縮合反応の開始点としてのTi-OHnにおいてnは1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは2あるいは3である。n=2以上の場合はTi-OHnの反応性が低いため、該官能基を開始点としたゾルゲル縮合反応の速度が十分に遅いため、安定な結晶構造に近い状態の薄膜を形成することが容易になる。n=2のものは取り扱いが容易なpHの元で作製することが可能であるため、特に好適である。n=1の場合は、該官能基を開始点としたゾルゲル縮合反応の速度が非常に速く、安定な結晶構造に近い状態の薄膜を形成することが、n=2以上の場合に比較すると難しい。
またTi-Clを1つ有する錯体はその安定性及び極性が高く、前述の条件を満たす5配位以上のチタン錯体を安定して存在させ、さらに薄膜作製の際に密に集結するために重要な役割を果たすため好ましい。かつTi-Clの結合の強さが適度なために、一定の安定性を発現させる一方で比較的容易に切断するために、アナターゼ結晶性の緻密な薄膜形成の妨げにならない。それに比較して、Ti-Clを2つ以上含む錯体は、非常に不安定であり、かつその形成がTi-Clを1つ含む場合に比較すると難しい。
すなわち本発明におけるチタン錯体は、1つのTi-Cl、1つのTi-OHn、1以上のTi-O-nBuを有することが好ましい。このチタン錯体は安定に存在し、かつ緻密なアナターゼ結晶性膜の形成をすることができる。
本発明において、Ti-Clは、塩素イオンをチタンアルコキサイド溶液に混合することにより形成する。Ti-OH2である場合、酸性条件の下でH2Oを溶液に混合することにより形成する。本発明における溶液の具体的準備の一例として、チタン-nブトキサイド溶液、濃塩酸、水を前述の条件を満たす組成になるように留意して、配合する。
本発明において、チタン錯体の特に好適な構造は、化学式(1)で示した錯体である。このような構造が溶液中に安定して生成することは量子化学的な計算手法を用いて確認することができる。
Figure 2012072003
本発明においては、チタン錯体中におけるCl元素とTi元素のモル比(Cl/Ti)の制御が重要である。大きすぎると過剰なClが、成膜段階における緻密な薄膜の形成の妨げになる。また少なすぎると5配位体の生成が少なく低エネルギーで結晶化しない。
但し、Cl/Tiの制御に当たっては、塩素を添加するための溶液に含まれる別成分による影響もあるので考慮する必要がある。例えば濃塩酸を適用する場合は、Cl/Tiを減らすためには添加量を減らす必要があり、溶液が濃いために薄い膜を作成することが困難であり、また液の安定性が低くなるために連続膜の作成が困難になる。Cl/Tiを増やすためには、濃塩酸量を増やすことになるが、溶液が薄いために厚い膜を作成することが困難になる。
本発明における好適なCl/Tiの範囲は、0.2以上、0.7以下である。より好ましくは0.3以上、0.6以下である。この範囲であれば本発明における好適な膜厚の薄膜を安定的に作成可能なチタン錯体溶液を作製することができる。
ところで、化学式(1)の錯体の塩素を別のハロゲン(F,Br,I)で置き換えた5配位体を形成することが論理的には可能であるが、塩素原子に比較して電気陰性度が低いために導かれる錯体の極性が低い。さらには原料となる化合物の取り扱いが難しく、また作成条件、成膜条件の制御が困難であるため適用することが好ましくない。例えば、Ti-Fを形成するためには、HF水溶液を混合することが考えられるが、非常に毒性が高くその取り扱いが困難である。またHBr水溶液、HI水溶液も腐食性を有する毒物である。
本発明においては、ゾルゲル縮合反応により酸化チタン組成を形成することを目的としており、チタン錯体はゾルゲル縮合反応の開始点としてTi-OHを有することが好ましい。該結合は、強酸+H2Oで形成される。前述したとおり、本発明においては、強酸のカウンターアニオン種類もその構造制御にあたり重要でありHClが最も好適である。その結果、-O-nBu、-Clに加えて、該Ti-OH基が配位することにより、配位する官能基の数が5以上の状態で安定構造を形成する。そしてTi-OHが基点となり、ゆっくりとした縮合反応が進行する。中性或いはアルカリ性の条件では、Ti-OHが形成し、縮合反応の進行が非常に早いため、安定な溶液の形成及び緻密なアナターゼ結晶性薄膜の形成をすることが、酸性の場合に比較して難しい。
溶液を酸性にするためにHClO水溶液などの過酸、HNO水溶液、HSO水溶液などのハロゲン化水素以外の酸を適用することも考えられる。この場合は化学式(1)で示した錯体のTi-Clの替わりに、酸のカウンターアニオンが配位した結合が生成することが考えられるが、それらがClに比較して嵩が大きいために、化学式(1)で示した錯体に類似した5配位体構造が安定的に生成されない。HSOに至っては1つのカウンターアニオンが2つのTiに配位する可能性があるために特にその生成が困難である。またHClO水溶液に至っては、ClOの塩が非常に強力な酸化剤であるために溶液のコーティングから乾燥の過程で爆発のリスクを伴うため、その取り扱いが非常に困難である。
本発明において、Ti-H2Oを形成するためのH2Oは添加する酸水溶液の成分、及びそれとは別に添加することにより供給される。作製するチタン錯体の当量〜溶液内に存在する全Tiの当量、がH2Oの添加量の目安となる。必要以上のH2Oが存在すると薄膜形成過程においてチタン錯体の緻密な配列を妨げるため、低エネルギーでのアナターゼ結晶性薄膜の形成に障害を及ぼす。
[チタン錯体溶液]
本発明のチタン錯体溶液は、チタン錯体同士衝突の頻度を減らしその安定性を保ったり、コーティング作業のために必要不可欠な一定レベルの流動性を確保するために溶媒を含むことができる。溶媒は原料の配位子が脱離して生成すること、或いは積極的に溶媒を添加することにより確保される。
溶媒量は必要最低限の量にとどめることが好ましい。溶媒量が多すぎると薄膜形成過程において、溶媒を揮発させ、除去する過程において、チタン錯体を緻密に配置させるための難易度が高くなるため、最終的に低エネルギーでアナターゼ結晶性を有する薄膜を得るための障害となる。溶媒分子のTiに対するモル比が0.1以上、3以下の範囲に入る量が好適な溶媒量である。
積極的に溶媒となる成分を添加する場合に加えるべき成分は、原料のチタンアルコキサイドから脱離して生成する成分と同じものを適用するのが一般的である。しかしながら、溶媒の揮発温度や、表面張力を調整するために異なる成分を添加しても構わない。
(ドーパント材料)
本発明のチタン錯体溶液は、ドーパント材料を含有することができる。このようなチタン錯体溶液により、ドーパント元素をその構造内に含むアナターゼ結晶性を有する薄膜を形成することができる。具体的には、チタン錯体とドーパント材料との間のゾルゲル縮合反応により、アナターゼ結晶性を有する薄膜にドーパント元素をその構造内に含有させることができる。ドーパント材料とは具体的には、所望のドーパント元素のアルコキサイド及びアルコキサイド誘導体である。ドーパント材料を用いることにより、所望の元素割合でチタン錯体溶液に含有させる。
適用するドーパント元素は、アナターゼ型の酸化チタン結晶のTiの配位数およびTi-O距離に近い配位数及び酸素との結合距離を有し、その結晶構造の中に取り込まれることが可能であるものが好適である。その最外殻の電子配置がTiに近いものが好適であり、具体的にはスカンジウム、バナジウム、クロム、マンガンなどの周期律表においてチタンと同周期である第4周期の遷移元素、或いはイットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブテン、テクネチウムなどの第5周期の遷移元素が好適である。中でも、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、ニオブは価電子の数がチタンと類似しているため最も好適である。
バナジウム、ニオブなどのチタンよりも価電子が1つ多い元素を含有させることによりn型の半導体性の発現を期待することができる。該元素を含有させるためには、OV(OC2H5)3 (Vanadium(V) oxytriethoxide)、OV(OC3H7)3(Vanadium(V) oxytripropoxide)、Nb(OCH2CH3)5 (Niobium(V) ethoxide)、 Nb(OCH2CH2CH2CH3)5 (Niobium(V) n-buthoxide)などのドーパント錯体(ドーパント材料)をチタン錯体溶液の構成要素として加える。
スカンジウム、イットリウムなどのチタンよりも価電子が1つ少ない元素を含有させることによりp型の半導体性の発現を期待することができる。
Sc(OCH(CH3)2)3 スカンジウム(III)イソプロポキサイド、Y(OCH(CH3)2)3 イットリウム(III)イソプロポキサイドなどのドーパント錯体(ドーパント材料)をチタン錯体溶液に構成要素として加える。
これら錯体は、本発明におけるチタンを主成分とする錯体溶液中において、M-OH2 及び M-Cl基を有する錯体として安定化することができる。薄膜形成から結晶化の過程において、チタンからなる錯体と縮合することにより、酸化チタン薄膜のアナターゼ結晶構造の中にドーパント元素が組み込まれた状態を実現することができる。
本発明におけるドーパント元素の割合は、チタンに対する重量割合が0.5%以上、20%以下である。ドーパント元素により半導体性を発現させるに好適な割合が異なるので、ドーパント元素に応じて適切な割合を選択する。例えば、バナジウム、ニオブの場合は、チタンに対する重量割合が、2%以上、10%以下が好適である。
チタン錯体溶液に適切なドーパント材料を加えることにより、本発明における薄膜はその構造の中にドーパントを含んだアナターゼ結晶性の薄膜となる。これによりドーパント元素に応じた電子準位を有するバンド構造を有する薄膜を実現することができ、薄膜の電気伝導性が向上する。
[評価]
本発明におけるチタン錯体を主成分とする溶液の組成、チタン錯体及びドーパント錯体の構造の評価方法を示す。
チタン錯体及びドーパント錯体の構造に関する情報は、核磁気共鳴(NMR)法により取得することができる。量子化学計算で化学シフト量を導出し、測定結果を照合することにより構造を決定することができる。
溶液の組成に関する情報は、一般的に用いられている蛍光X線(XRF)法、イオンクロマトグラフ(IC)法、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法により取得することができる。XRF法で溶液中の組成比を取得する場合は、一定厚の膜を作製して測定を行うことにより元素毎の検量線を作成し、目的の溶液の分析を実施する。
[薄膜の製造方法]
本発明のアナターゼ結晶性の酸化チタンを主成分とする薄膜は、前述のチタン錯体溶液を基板上に塗工し、塗工膜を乾燥する工程(工程a)と、乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱し、結晶化処理する工程(工程b)と、を含む。
本発明の製造方法によれば、液相法において、前述のチタン錯体溶液からなる塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理することができるので、大面積の基板上に酸化チタンの薄膜を高速に形成することができる。
(工程a)
基板としては、工程(b)における加熱温度において、溶融することなく、その形態を維持することができるものを用いることができる。本発明におけるその形態を維持している状態とは、工程(b)における加熱温度付近における線膨張係数が100ppm/K以下であることを意味する。結晶性を有する薄膜の形成にあたっては、基板の線膨張係数はより小さい方が、加熱処理段階において基板の伸縮に由来した薄膜の構造変化が生じにくいため、好適である。本発明においては、線膨張係数が50ppm/K以下の基板を用いることが好ましく、20ppm/K以下の基板を用いることがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)を有する基板は、Tgより高い温度で加熱された場合には、Tgより低い温度で加熱された場合と比較して線膨張係数が極端に大きくなり、その弾性が小さくなり、その形態を維持しにくくなる。そのため、工程(b)における加熱温度より低いTgを有する基板を用いることが好ましい。
Tgが400℃以上、410℃以下の有機高分子成形体を基板として適用する場合は、工程(b)において400℃の加熱が可能である。ガラス転移温度が350℃以上、410℃以下であれば、後述する結晶化処理過程において、該範囲の温度の大気圧の空気にさらすことにより、簡易に結晶化を行うことができる。ガラス転移温度が100℃以上、350℃以下であれば、より低い到達温度のもとで結晶化を進行させるための手法を選択する必要がある。本発明において利用する有機高分子成形体の主な組成は、ポリイミド(PI)、ポリアリレート(PER)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)などである。特にガラス転移温度が350℃以上のポリイミドは、前述した理由により本発明における基板として好適である。
本発明におけるチタン錯体溶液の濡れ性が十分でない場合は、一般的な手法により基板表面の濡れ性を向上させた後に塗工を実施すればよい。例えば、気相法や液相法により下地層を形成したり、プラズマ処理などにより表面を改質することが挙げられる。
本発明の薄膜の形成に際しては、まずチタン錯体溶液を基板表面に塗工し、乾燥して前駆体薄膜を形成する。本発明における塗工方法、乾燥方法に特に指定はない。本発明において適用可能な塗工方法は、バーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などである。塗工する厚さは、乾燥、結晶化処理後に所望の厚さになるように設定する。乾燥方法は、比較的低い温度で乾燥処理した後に、溶媒の沸点以上の温度で処理する。
該チタン錯体溶液を塗工した前駆体薄膜が縮合、結晶化する過程において、ドーパント材料のアルコキサイド 及び アルコキサイド誘導体がチタンアルコキサイドと縮合し、結合を形成することにより、最終的にアナターゼ型の結晶構造中にドーパント元素が取り込まれた状態を実現することができる。
(工程b)
本発明における前駆体薄膜の結晶化処理は、前駆体薄膜における非晶質な原子配置にエネルギーを加えることにより、安定なアナターゼ型の結晶構造に転移させるためのものである。
結晶化処理の一般的な手法は、高温雰囲気にさらすことにより、外部から熱エネルギーを加えるアニーリング処理である。本発明における前駆体薄膜は、400℃以下の大気圧の空気に曝すことによりアナターゼ型の結晶構造に転移する。好適なアニーリング処理時間は、30分以上、3時間未満である。30分未満の場合は結晶構造への転移が完全には完了しない。一方で有機高分子成形体である基板が変型する余地を最小限に抑えることためにできるだけ短時間であることが好ましい。本発明においては1時間以下の処理時間でアナターゼ結晶構造へ転移させることができる。但し、本発明における目的を達するに障害がないレベルに有機高分子成形体基板の変型を抑えることができる範囲で、より長いアニーリング処理を施しても構わない。
一般に本発明における厚さの薄膜を形成することを目的として、前駆体薄膜をアナターゼ型の結晶性に転移させるには高いエネルギーが必要である。
本発明においては、チタン錯体の構造を工夫することにより従来に比較して大幅に低い温度でアナターゼ結晶性に転移する前駆体薄膜を形成することに成功した。さらにドーパント材料の混合において、チタン錯体溶液中のチタン錯体と、ドーパント錯体が縮合することにより、酸化チタン薄膜のアナターゼ結晶構造の中にドーパント元素が組み込まれた状態であり、ドーパント元素を含んだ結晶構造を形成し易い前駆体薄膜を形成することができるため、ドーパント元素をその構造中に含むアナターゼ結晶性の薄膜を実現することができ、従来に比較して大幅に低い温度でのアナターゼ結晶性の薄膜を実現することができる。
アニーリング処理過程の雰囲気は目的に応じて所望の条件を選択することができる。例えば、還元状態の薄膜を形成したい場合は、水素ガスや水素とその他のガスとの混合ガス、窒素ガス雰囲気を選択する。また真空状態でアニーリングすることによっても還元状態を作りだしてもよい。
[薄膜]
本発明の薄膜は、前述のように、チタン錯体溶液を前述した基板に塗工し、得られた塗工膜を乾燥し、次いで乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理することにより得られる。
本発明においては、低エネルギーで結晶化する前駆体薄膜を形成することが必要である。
本発明における薄膜の厚さは、10nm以上、300nm以下である。厚すぎると形成過程において亀裂が生じ易く、所望の薄膜を得ることが困難である。より好適な厚さは、10nm以上、200nm以下であり、亀裂が生じにくい。亀裂は薄膜の結晶性を損なう要因であるので、可能な限り発生させないことが好ましい。さらに該膜厚であればフレキシブル性のある基体に追従させて湾曲させることも可能になるため、その適用の範囲が大幅に拡大するため極めて有効である。
また、該膜厚は、薄膜の光透過性の観点からも好適である。膜厚が200nmより厚いと透過光が干渉し、透過率が低下したり、干渉縞が発生するなどが生じ、薄膜の光学特性の低下につながる。高い光学特性を発現することができれば、ディスプレイや光電変換部材用途など、幅広い用途に適用することが可能であるため、極めて有効である。
本発明においてチタン錯体溶液を基板上に塗工乾燥し、結晶化処理することにより得られる酸化チタンを主成分とする薄膜の組成はX線光電子分光法(XPS)で評価する。
また、結晶性はX線回折法(XRD)により評価する。XRD法による測定においては、一般的な集中法或いは平行ビーム法(薄膜法)を利用すればよい。
本発明において酸化チタンを主成分とするアナターゼ型の結晶性薄膜であるとは、XPS測定により得られる元素組成に関して、観測される全元素中で、TiとOを合わせた割合が70atm%以上で、O/Tiが1.8以上、3.3以下であり、さらに、XRD測定により得られる結晶構造情報に関して、酸化チタンのアナターゼ型結晶の(100)面に由来する2θ=24〜26°或いは(004)面に由来する2θ=37〜39°にピークが発現することである。
本発明においてドーパントがその結晶構造内に取り込まれているとは、XPS測定により得られる元素組成に関して、ドーパントとチタンの組成比が所望の比率であり、さらにXRD測定により得られる結晶構造情報に関して、前述した酸化チタンのアナターゼ型結晶に由来するピークが発現することである。
以下、実施例において、本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(溶液作成)
チタン(IV)テトラブトキシド溶液と濃塩酸を氷温で混合し、6℃で24時間エージングし、溶液1を作成した。混合の重量比は、濃塩酸/チタン(IV)テトラブトキシド溶液を0.146とした。溶液1のCl/Tiは、混合した材料の量から約0.5であることが計算により求まる。また、同様にCl濃度は4.4重量パーセントである。
(量子化学計算)
溶液1の作製に適用した材料及び作製条件の元に生成する錯体の構造を、量子化学計算を適用して決定した。計算に適用したソフトはGaussian 03、手法は密度汎関数法、基底関数は6-31G(d)、交換相関汎関数はB3-LYP。最小エネルギー構造最適化計算を実施した。さらにGIAO法を適用してNMR化学シフトの計算を実施した。
(NMR測定)
溶液1のNMR測定を行った。1H, 13C, 35Cl, 49Ti, 17O核それぞれに関して測定を行った。1H核に関しては、測定装置は、日本電子社製 ECA500を使用した。測定モードはシングルパルスとした。13C核に関しては、測定装置は、日本電子社製 ECA500を使用した。測定モードはシングルパルスデカップリングとした。 35Cl核に関しては、測定装置は、日本電子社製 ECX400を使用した。測定モードはシングルパルスとした。 49Ti, 17O核に関しては、測定装置は、日本電子社製 ECA500を使用した。測定モードはシングルパルスとした。 測定温度はいずれも0〜10℃とした。測定時間は量子化学計算により導出した所望の化学シフトピークが確認できる時間を導出して設定した。
(薄膜作製)
溶液1をソーダガラスにバーコートし、110℃で10分間乾燥し、さらに大気雰囲気下で温度350〜500℃で1時間アニーリング処理した。
(XPS測定)
作製した薄膜の元素組成及び結合状態の解析をX線光電子分光法(XPS)で実施した。
測定装置は、SSI社製 SSX-100を使用した。X線源は単色化Al Kα、分析領域の設定値は1mmφとした。
(XRD測定)
作製した薄膜の結晶状態の形跡をX線回折法(XRD)で実施した。
測定装置は、理学社製RINT-1500を使用した。X線ターゲットはCu 50kV 200mA、手法は集中法とした。
結果、本実施例におけるチタン錯体溶液を構成する主たる錯体の構造は、化学式(1)に示したチタンの配位数が5である構造であることを、図1−1〜図1〜5に示したようにNMR測定及び量子化学計算を併用することにより確認した。なお、17O NMR測定によるTi-OHnに由来するピークに関しては、測定における感度が低いこと及び全O量に占める該Oの割合が少ないことに由来して、実験的に観測することは困難であるが、1H, 13C, 35Cl, 49Ti NMR測定の結果とDFT計算の結果とを総合するとTi-OH2の存在が確定できる。
該チタン錯体溶液を適用して酸化チタンの薄膜を作製することにより、表1に示したように二酸化チタンの組成を有し、図2に示したように温度400℃のアニーリング処理でアナターゼ結晶性を有する薄膜を得ることができた。
チタンに官能基が5配位した安定なチタン錯体を適用することで従来に比較して低いエネルギー付与でアナターゼ結晶膜の形成に成功したものである。
Figure 2012072003
[比較例1−1]
実施例1のチタン錯体溶液に変えて、他のチタン錯体溶液(配位子:イソプロポキシ基、アセチルアセトン(日本曹達株式会社製 NDH510C))を使用した場合、図2に示した通り、温度400℃のアニーリング処理でアナターゼ結晶性の薄膜を得ることができなかった。
[比較例1−2]
HClに変えて、酸としてHNO及びHSOを用い、H+/Tiを実施例1と同じにして溶液作成を行い、さらに薄膜の形成を行った。溶液が白濁し、無色透明の薄膜を形成することができなかった。原因は、酸のカウンターアニオンが塩素以外の場合は、安定なカウンターアニオンが配位した5配位体が生成し難く、溶液の作成段階で縮合反応したり、或いは前駆体薄膜形成段階においてアナターゼ結晶性を形成するのに不利な状態に配列するためと考えられた。
実施例1、比較例1−1、1−2により、Ti-Cl結合、-O-nBu基を有する安定な5配位のチタン錯体を主成分とするチタン錯体溶液は、極めて特異的に低エネルギーでアナターゼ結晶性薄膜を導くものであるといえる。
[実施例2]
(溶液準備)
実施例1と同様に溶液を調製した。なお、基板として、ポリイミドフィルム(宇部興産社製 ユーピレックス 12.5umt)を使用した。
結果、図3に示した通り、温度400℃のアニーリングにより有機高分子体であるポリイミドフィルムを基板としたアナターゼ結晶性を有する酸化チタン薄膜を形成することができた。
チタン錯体溶液の検討により有機高分子体を基板とした結晶性を有する酸化チタン薄膜の形成に成功した。
[比較例2]
実施例2において、アニーリング温度を450℃とした以外は実施例2と同様に実施した。その結果、基板が変型し、アナターゼ結晶性を有する酸化チタン薄膜を形成することができなかった。
[実施例3−1]
(溶液準備)
実施例1の溶液作製過程において、ニオブエトキサイドをさらに混合させた。それ以外は実施例1と同様に実施した。ニオブエトキサイドの混合比は、Nb/Ti =0.1、0.05、0.025(モル比)とした。
(薄膜作製)
実施例1のアニーリング処理過程において、薄膜を大気雰囲気下で温度500℃で1時間アニーリング処理した以外は実施例1と同様に実施した。
[実施例3−2]
実施例3−1の溶液準備において、ニオブエトキサイドを混合しないものを準備した以外は、実施例3−1と同様に行った。
実施例3−1および実施例3−2の結果、表2及び図4に示した通り、ニオブをその組成の中に含み、ニオブエトキサイドを混合させていない場合と同等のアナターゼ結晶性を有する二酸化チタンを主成分とする薄膜を得ることができた。
Figure 2012072003
[実施例4−1]
(溶液準備)
実施例1の溶液作製過程において、バナジウムオキシトリプロポキサイドを混合させた。それ以外は実施例1と同様にして行った。バナジウムオキシトリプロポキサイドの混合比は、V/Ti=0.3、0.1、0.05とした。
(薄膜作製)
実施例1のアニーリング処理過程において、薄膜を大気雰囲気下、500℃で1時間アニーリング処理した以外は実施例1と同様にして行った。
[実施例4−2]
実施例4−1の溶液準備において、バナジウムオキシトリプロポキサイドを混合しないものを準備した以外は、実施例4−1と同様にして薄膜を製造した。
実施例4−1および実施例4−2の結果、表3及び図5に示したとおり、バナジウムをその組成の中に含み、バナジウムオキシトリプロポキサイドを混合させていない場合と同等のアナターゼ結晶性を有する二酸化チタンを主成分とする薄膜を得ることができた。
Figure 2012072003

Claims (8)

  1. 少なくともチタン、炭素原子を含むチタン錯体を主成分とするチタン錯体溶液であり、
    該チタン錯体は、チタンに配位する配位子の数が5以上であり、
    該配位子は、炭素数3以上の直鎖型のアルコキシル基、HO(nは1以上の整数を示す。)及び塩素原子をそれぞれ1以上含むことを特徴とするチタン錯体溶液。
  2. 前記チタン錯体は下記化学式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載のチタン錯体溶液。
    Figure 2012072003
  3. ドーパント材料を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のチタン錯体溶液。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のチタン錯体溶液を基板上に塗工し、得られた塗工膜を乾燥し、次いで乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理することにより得られることを特徴とするアナターゼ結晶性の酸化チタンを主成分とする薄膜。
  5. 前記基板が有機高分子成形体であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜。
  6. 結晶構造中にドーパント元素を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の薄膜。
  7. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のチタン錯体溶液を基板上に塗工し、得られた塗工膜を乾燥する工程と、乾燥された前記塗工膜を400℃以下の温度に加熱して結晶化処理する工程と、を含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
  8. 前記基板が有機高分子成形体であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜の製造方法。
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