以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1を用いて、実施形態に係る携帯電話機10を備える通信システム1について説明する。図1は、その通信システム1の全体構成を示す図である。この通信システム1は、携帯電話機(移動通信端末)10、通信制御装置(通信装置)20、移動体通信網群30及びネットワーク40を備えている。
携帯電話機10は、複数の通信方式を用いてデータ通信を行なうことが可能な移動通信端末である。例えば携帯電話機10は、自機にインストールされているアプリケーションプログラムにより生成されたデータを分割し、分割されたデータ(以下「被分割データ」という)を一つ以上の移動体通信網のそれぞれに送信できる。なお、図1では、説明の簡単のため、携帯電話機10を一つのみ示したが、携帯電話機10が複数存在してもよい。
通信制御装置20は、移動体通信網群30及びネットワーク40と接続している通信装置であり、これらの通信網を介してデータ通信を行うことが可能である。特に、この通信制御装置20は、複数の移動体通信網(例えば、移動体通信網31及び32)から被分割データを複数受信し、これら被分割データから元のデータを復元するように再構成することができる。
移動体通信網群30は、複数種類の移動体通信網を含んでいる。例えば、移動体通信網群30は、図1に示すように、移動体通信網31及び32を含む。移動体通信網群30に含まれる各移動体通信網は、互いに異なる通信方式を用いている。通信方式としては、例えばFDMA(Frequency Division Multiple Access:周波数分割多重接続)、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)、CDMA(Code DivisionMultiple Access:符号分割多重接続)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access:高速ダウンリンクパケット接続)、WLAN(Wireless LAN:無線LAN)が挙げられる。もっとも、移動体通信網が用いる通信方式はこれらに限定されない。また、移動体通信網群30に含まれる移動体通信網の数も限定されない。
本実施形態では、移動体通信網31は、サービングGPRSサポートノード(SGSN:Serving GPRS Support Node)31aと無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)31bとを備えている。一方、移動体通信網32は、パケットデータゲートウェイ(PDG:Packet Data Gateway)32aとIPルータ網32bとを備えている。なお、図1では、簡単のため、移動体通信網の構成要素を一つずつのみ示したが、これらの構成要素は複数でもよい。また、移動体通信網群30に含まれる各移動体通信網の構成はこれに限定されるものではない。
ネットワーク40は、例えばインターネット、構内通信網(LAN)、移動体通信網などで構成されている。具体的な構成は限定されない。
次に、図2〜5を用いて、実施形態に係る携帯電話機10を説明する。図2は、図1に示す携帯電話機10の機能構成を示す図である。図3は、その携帯電話機10のハードウェア構成図である。図4は、記憶部13に記憶される通信状況情報の例を示す表である。図5は、無線通信方式毎の通信速度の例を示す表である。
携帯電話機10は、機能的構成要素として、アンテナ部11、検知部(検知手段)12、記憶部(記憶手段)13、データ生成部14、割当部(割当手段)15及び送信部(送信手段)16を備えている。割当部15は、通信状況判定部151及びデータ割当部152を備えている。
この携帯電話機10は、図3に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU101、ROM及びRAMで構成される主記憶部102、メモリなどで構成される補助記憶部103、移動体通信網群30を介してデータ通信を行う通信制御部104、液晶モニタなどで構成される表示部105並びに文字・数字入力及び実行指示を行うキーで構成される操作部106で構成される。図2に示して説明した各機能は、図3に示すCPU101及び主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104を動作させるとともに、主記憶部102や補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
アンテナ部11は、移動体通信網群30との間で信号を送受信する部分であり、複数のアンテナ11a,11bで構成されている。各アンテナ11a,11bは、互いに異なる無線通信方式に対応している。例えば、アンテナ11aはCDMAに、アンテナ11bはWLANに、それぞれ対応している。なお、アンテナ部11を構成するアンテナの本数は限定されず、例えば三種類の無線通信方式に対応するために3本のアンテナによりアンテナ部11が構成されてもよい。アンテナ部11が送受信する信号には、音声データやパケットデータなどのデータ信号と、各移動体通信網との間の無線通信を制御するための制御信号とがある。アンテナ部11を構成する各アンテナは、受信した制御信号を検知部12に出力する一方で、送信部16から入力されたデータを各移動体通信網へ送信する。
検知部12は、アンテナ部11(アンテナ11a,11b)から入力された制御信号に基づいて、制御信号の送信元である移動体通信網の通信状況を検知する手段である。検知部12は、通信状況(例えば、通信の可否や通信エリアなど)を導出するための情報を含む制御信号を解析することで、その制御信号の送信元である移動体通信網の通信状況を検知する。ここで、通信状況とは、携帯電話機10と移動体通信網群30との間の通信状況、あるいは移動体通信網群30内の通信状況であり、接続及び通信の可否や通信品質などで表される。
例えば、検知部12は、位置情報を示す制御信号から、携帯電話機10が所定の移動体通信網の通信エリアに在圏していることを検知したり、報知情報を示す制御信号から移動体通信網での輻輳の有無を検知したりできる。また、検知部12は、携帯電話機10から送信された、所定の移動体通信網への接続要求に対する応答(ACK)を示す制御信号に基づいて、該移動体通信網に接続可能であることを検知することも可能である。この他にも検知部12は、電波強度、通信品質などの通信状況に関する情報を制御信号に基づいて検知できる。
検知部12は、検知した通信状況を通信状況情報として記憶部13に出力する。その後、検知部12は、通信状況情報の出力に応じて記憶部13から出力された更新応答を受け付ける。続いて検知部12は、通信状況が更新されたことを示す更新通知を割当部15に出力する。
記憶部13は、検知部12から入力された通信状況情報を記憶する手段である。記憶部13に記憶される通信状況情報の例を図4に示す。図4の例では、移動体通信網群30を構成する複数の移動体通信網(無線通信方式)のそれぞれについて、契約状況、電波状況及び輻輳状況という三種類の通信状況が記憶されている。この例は、携帯電話機10が、CDMA、HSDPA及びWLANの移動体通信網に契約しているが、PDC(Personal Digital Cellular)の移動体通信網には契約していないことを示している。また、この例は、携帯電話機10が、電波状況が良好であり輻輳も発生していないCDMA及びHSDPAを利用可能であるが、何らかの原因(例えば電波状況の不良やアクセスポイントの不存在など)でWLANを利用できないことも示している。
図4のように通信状況を記憶する場合、記憶部13は、入力された通信状況情報(在圏情報(位置情報)、電波強度、通信品質、輻輳情報など)に基づいて電波状況及び輻輳状況を二値化し、二値化した値を記憶する。この際、記憶部13は、予め記憶されている閾値を利用してもよい。例えば、記憶部13は、電波強度が閾値a以上の場合に電波状況が良好であり、その閾値a未満の場合に電波状況が不良であると判定し、その判定結果に基づいて電波状況を記憶してもよい。
なお、記憶部13による通信状況情報の記憶手法は、図4に示すものに限定されない。例えば、記憶部13がハンドオーバの発生の有無を記憶してもよいし、入力された通信状況情報をそのまま記憶してもよい。また、記憶部13は、電波状況を図4のような二値で記憶するのではなく、例えば強、中、弱の三段階で記憶してもよいし、より多段階のレベルで記憶してもよい。
記憶部13は、通信状況情報を更新(記憶)した後に、更新を完了したことを示す更新応答を生成して検知部12に出力する。
図2に戻って、データ生成部14は、移動体通信網群30を介して他の通信装置(図示せず)に送信するデータを生成する手段である。このデータには、送信先を示す宛先情報(例えばIPアドレス、URL(Uniform Resource Locator)、メールアドレスなど)が含まれる。データの生成方法は限定されない。例えば、データ生成部14が、操作部106により受け付けられた入力に基づいてデータを生成してもよいし、主記憶部102や補助記憶部103に記憶されているデータやCPU101の演算結果などに基づいて送信用のデータを生成してもよい。データ生成部14は、生成したデータを割当部15に出力する。
割当部15は、データ生成部14から入力されたデータ(他の通信装置宛のデータ)の量と、記憶部13により記憶された各移動体通信網の通信状況とに基づいて、接続している移動体通信網のそれぞれに、入力されたデータを割り当てる手段である。言い換えれば、割当部15は、記憶部13に記憶されている通信状況情報に基づいてデータを分割する。このような処理は、割当部15を構成する通信状況判定部151及びデータ割当部152の協働により実行される。
通信状況判定部151は、検知部12から更新通知が入力されたことを契機に、携帯電話機10の通信状況を判定し、その判定結果に基づいて、データ生成部14から入力されたデータを分割するか否かを決定する手段である。更新通知が入力されると、通信状況判定部151は、通信状況情報を記憶部13から読み出し、その通信状況情報を用いて、携帯電話機10が通信可能な移動体通信網の個数が一つか複数かを判定する。そして通信状況判定部151は、携帯電話機10が一つの移動体通信網のみと通信可能であると判定した場合に、通信可能な移動体通信網を識別する情報を、データ生成部14から入力されたデータに付加し、そのデータを送信部16に出力する。一方、携帯電話機10が複数の移動体通信網と通信可能であると判定された場合、通信状況判定部151は、入力されたデータと読み出した通信状況情報とをデータ割当部152に出力する。
例えば、記憶部13に記憶されている通信状況情報が、図4に示すような契約状況、電波状況及び輻輳状況である場合、通信状況判定部151は、契約しており、電波状況が良好であり、且つ輻輳が発生していない移動体通信網(無線通信方式)と通信可能であると判定する。図4の例の場合、通信状況判定部151は、CDMAの移動体通信網及びHSDPAの移動体通信網、すなわち二つの移動体通信網と通信可能であると判定する。この場合、通信状況判定部151は、入力されたデータと図4に示す通信状況情報とをデータ割当部152に出力する。
データ割当部152は、通信状況判定部151から入力されたデータ及び通信状況情報に基づいて、各移動体通信網へのデータ割当てを行う手段である。データ割当部152は、まず、入力されたデータの量(データサイズ(単位は「バイト」))と、通信状況情報に含まれる通信方式の通信速度とを取得する。続いてデータ割当部152は、取得したデータサイズ及び通信速度に基づいて、各移動体通信網に割り当てるデータサイズを決定する。続いてデータ割当部152は、その決定に基づいてデータを分割し、被分割データのそれぞれに識別番号を付加する。続いてデータ割当部152は、識別番号が付加された被分割データを送信部16に出力する。
データ割当部152は、データ割当てを行うために、通信方式毎の通信速度(帯域)(単位は「bps」)を予め記憶している。図5は、記憶されている通信方式毎の通信速度の例を示した表である。データ割当部152は、入力された通信状況情報から通信可能な移動体通信網(無線通信方式)を取得し、取得した移動体通信網に対応する通信速度に基づいて下記の式(1)を計算する。
ここで、Nnは、通信方式nのデータ割当率、anは、通信方式nの通信速度である。
例えば、入力された通信状況情報が、通信速度14.4MbpsのHSDPAと通信速度11MbpsのWLANとによる通信が可能であることを示している場合、データ割当部152は上記式(1)を計算し、HSDPAの移動体通信網への割当率を14.4/(14.4+11)×100=56.7(%)、WLANの移動体通信網への割当率を11/(14.4+11)×100=43.3(%)と決定する。
続いてデータ割当部152は、算出された割当率に従って、入力されたデータを通信可能な各移動体通信網に対して割り当てる。すなわち、データ割当部152は、割当率に従って被分割データを生成する。この際データ割当部152は、識別番号と、データ割当先の移動体通信網を識別する情報とを被分割データに含める。例えば、移動体通信網31,32の通信方式がそれぞれHSDPA、WLANである場合、データ割当部152は、10MB(メガバイト)のデータに対して、「識別番号1、移動体通信網31(HSDPA)」の情報を含む5.67MBの被分割データと、「識別番号2、移動体通信網32(WLAN)」の情報を含む4.33MBの被分割データを生成する。すなわち、データ割当部152は、各移動体通信網の通信速度に基づいてデータを割り当てる。
以上に加えて、データ割当部152は、入力された通信状況情報と算出した割当率とを対応付けて記憶する。そして、次にデータを送信する際に、データ割当部152は、入力された通信状況情報と、前回割当率を算出した際に記憶した通信状況情報とを比較する。そして、これらの通信状況情報が同じ場合、すなわち通信状況が変わっていない場合、データ割当部152は、格納されている割当率を用いてデータ割当てを行う。これにより、割当率算出処理を省略することができるので、データ割当部152に掛かる負荷が軽減される。
これに対し、通信状況判定部151から入力された通信状況情報と、割当率算出時に記憶した通信状況情報とが異なる場合、すなわち通信状況が変化した場合、データ割当部152は、入力された通信状況情報に基づいて割当率を再計算し、算出した割当率に基づいてデータを再割当てする。例えば、携帯電話機10が移動体通信網31(HSDPA)及び移動体通信網32(WLAN)との間で通信可能であることを示す通信状況情報が記憶されている場合に、移動体通信網31(HSDPA)とのみ通信可能であることを示す通信状況情報が入力された場合、データ割当部152は、割当率を「移動体通信網31(HSDPA)=56.7%、移動体通信網32(WLAN)=43.3%」から「移動体通信網31(HSDPA)=100%」に更新し、移動体通信網31にのみデータを割り当てる。
このように、データ割当部152は、通信状況の変更を反映した通信状況情報に基づいて、通信可能であると判定した移動体通信網に対してデータを割当て及び再割当てする。
送信部16は、割当部15から入力されたデータを各移動体通信網に送信する手段である。入力されるデータには、移動体通信網毎に割り当てられた被分割データが含まれる。送信部16は、各移動体通信網の通信プロトコルに従ってデータを送信することが可能である。送信部16は、入力されたデータに含まれている、移動体通信網を識別する情報に基づいて、指定された移動体通信網に対応するアンテナ(例えばアンテナ11a及び11b)にそのデータ(被分割データ)を出力する。これにより、データがアンテナ部11を介して移動体通信網群30に送信される。
次に、図6及び7を用いて、図1に示す通信制御装置20を説明する。図6は通信制御装置20の機能構成を示す図であり、図7はその通信制御装置20のハードウェア構成図である。
通信制御装置20は、機能的構成要素として、受信部(受信手段)21、再構成部(再構成手段)22及び出力部23を備えている。
この通信制御装置20は、図7に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU201、ROM及びRAMで構成される主記憶装置202、ハードディスクなどで構成される補助記憶装置203、ネットワークカードなどの通信制御装置204、キーボードなどの入力装置205、及びモニタなどの出力装置206で構成される。図6に示される各機能は、図7に示すCPU201や主記憶装置202の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU201の制御の下で通信制御装置204を動作させるとともに、主記憶装置202や補助記憶装置203におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
受信部21は、移動体通信網群30から送信されてきたデータを受信する手段である。特に、受信部21は、携帯電話機10により移動体通信網毎に割り当てられ送信されたデータ(被分割データ)を受信し、そのデータを再構成部22に出力する。
再構成部22は、受信部21から入力された複数の被分割データを再構成することで元のデータ(携帯電話機10のデータ生成部14により生成されたデータ)を復元する手段である。そして、再構成部22は、再構成されたデータ(復元データ)を出力部23に出力する。なお、一部の移動体通信網で送信遅延が発生した場合、再構成部22は、すべての被分割データが入力されるのを待って再構成を実行してもよい。
出力部23は、再構成部22から入力された復元データを、ネットワーク40を介して他の通信装置(図示せず)に出力する手段である。なお、出力方法はこれに限定されず、例えば、出力部23は、通信制御装置20内の他の処理部(図示せず)に復元データを出力してもよい。
次に、図8〜9を用いて、図1に示す携帯電話機10及び通信制御装置20の処理を説明するとともに本実施形態に係るデータ送信方法及びデータ受信方法について説明する。図8は、携帯電話機10でのデータ生成から通信制御装置20でのデータ再構成までの処理を示すシーケンス図である。図9は、データ(被分割データ)送信中に移動体通信網群30の通信状況が変化した場合の処理を示すシーケンス図である。
最初に、図8を用いて、生成したデータを送信する処理を説明する。この場合、まずデータ生成部14が他の通信装置宛のデータを生成し(ステップS11)、割当部15に出力する(ステップS12)。続いて割当部15が、記憶部13から通信状況情報を読み出し(ステップS13、割当ステップ)、通信可能な移動体通信網の個数を判定する(ステップS14、割当ステップ)。ここで、通信可能な移動体通信網が一つのみの場合(ステップS14;YES)、割当部15は、データを分割することなく送信部16に出力する(ステップS15、割当ステップ)。そして、送信部16が通信可能な移動体通信網(図8では移動体通信網31)に送信し(送信ステップ)、移動体通信網31及び通信制御装置20がこのデータを中継する(ステップS16)。
これに対して、通信可能な移動体通信網が複数の場合(ステップS14;NO)、割当部15が通信状況情報に基づいてデータの割当率を取得する(ステップS17、割当ステップ)。具体的には、割当部15は、前回のデータ割当ての際に使用した通信状況情報と、上記ステップS13の処理で読み出された通信状況情報とを比較する。そして、これらの通信状況情報が同一であれば、割当部15は前回のデータ割当ての際に使用した割当率を読み出し、二つの通信状況情報が異なれば、割当部15は、上記ステップS13の処理で読み出された通信状況情報に基づいて割当率を計算する。
続いて割当部15は、取得した割当率に基づいてデータを分割する(ステップS18、割当ステップ)。このとき割当部15は、データサイズと、通信可能な各移動体通信網の通信速度とに基づいてデータを分割する。続いて割当部は、複数の被分割データを送信部16に出力する(ステップS19)。続いて送信部16が各被分割データを指定された移動体通信網(図8では移動体通信網31〜33のいずれか)に送信する(ステップS20、送信ステップ)。各移動体通信網31〜33は、被分割データを通信制御装置20に出力する(ステップS21)。
通信制御装置20では、受信部21が各移動体通信網31〜33から被分割データを受信する(受信ステップ)。続いて再構成部22が、複数の被分割データを再構成することでデータを復元する(ステップS22、再構成ステップ)。続いて出力部23が、復元されたデータを出力する(ステップS23)。
次に、図9を用いて、通信状況が変化した場合の処理を説明する。ここでは、送信部16が被分割データを移動体通信網31〜33に送信中であることを前提とする(ステップS31)。
移動体通信網群30の通信状況が変化すると、まず、検知部12がその通信状況を検知する(ステップS32、検知ステップ)。具体的には、検知部12は、各移動体通信網から送信されてくる制御信号を解析することで、通信の可否や通信品質などの通信状況を検知する。検知部12は、検知した通信状況を通信状況情報として記憶部13に出力する(ステップS33)
続いて記憶部13が、入力された通信状況情報を記憶することで通信状況情報を更新する(ステップS34、記憶ステップ)。このとき、記憶部13は、入力された通信状況情報を二値化などの手法を用いて加工したものを記憶してもよいし、入力された通信状況情報をそのまま記憶してもよい。記憶部13は、更新処理後に更新応答を検知部12に出力する(ステップS35)。続いて検知部12が更新通知を割当部15に出力する(ステップS36)。
この後の処理(ステップS37〜S45)は、図8に示すステップS13〜S21の処理と同様である。ただし、ステップS44では、通信状況の変化により、移動体通信網31及び33のみにデータが送信されるようにデータの再割当てが行われている。
次に、図10〜13を用いて、割当部15によるデータの割当て(再割当てを含む)の例を示す。図10〜13は、割当部15によるデータ割当てのパターンを示した図である。
図10に示す例は、携帯電話機10が電源投入等により移動体通信網31に接続され、移動体通信網31内でその携帯電話機10のセル間移動が行われ、最後に携帯電話機10が電源切断等により移動体通信網31から切断された場合の動作を示す。
この場合、携帯電話機10が移動体通信網31に接続されるまでは、携帯電話機10の移動体通信網31に対する割当率は0(%)(もしくは割当率が未登録)である。その後、携帯電話機10が移動体通信網31に接続されると(ステップS51)、この接続を検知部12が検知し記憶部13がその接続を反映した通信状況情報を記憶する。そして、割当部15が、記憶された通信状況情報に基づいて、移動体通信網31の割当率を100(%)に更新(もしくは新規登録)する(ステップS52)。
その後、携帯電話機10が移動体通信網31内でセル間移動すると(ステップS53)、検知部12が制御信号を解析することでハンドオーバの発生を検知し(ステップS54)、この検知に基づいて記憶部13が通信状況情報を更新する。そして、割当部15が更新後の通信状況情報に基づいて割当率を再計算する(ステップS55)。そして、携帯電話機10が移動体通信網31から切断されると(ステップS56)、検知部12、記憶部13及び検知部12がステップS54及びS55と同様の処理を行い、割当率を更新する(ステップS57)。
なお、図10に示すハンドオーバ処理は移動体通信網31内で発生したものなので、移動体通信網毎すなわち通信方式毎に定められる割当率は変化しない。したがって、割当部15は、ある移動体通信網の中でのみハンドオーバが発生した場合には、データの再割当てをしないように構成されてもよい。これにより、データの再割当てにかかる負荷が軽減される。
図11に示す例は、携帯電話機10が移動体通信網31に接続後、更に移動体通信網32にも接続し、その後移動体通信網31、32の順に接続を切断する場合の動作を示す。図11におけるステップS61及びS62の処理は、図10におけるステップS51及びS52の処理とそれぞれ同じである。その後、携帯電話機10が更に移動体通信網32にも接続すると(ステップS63)、検知部12及び記憶部13によりその接続を反映した通信状況情報が記憶される。続いて割当部15が、その通信状況情報に基づいて移動体通信網31及び32の割当率を更新してデータの再割当てを行う(ステップS64)。
その後、携帯電話機10が移動体通信網31から切断されると(ステップS65)、ステップS64と同様の処理が行われ、移動体通信網32にのみデータが送信されるように割当率が更新される(ステップS66)。ステップS67及びS68の処理は、図10におけるステップS56及びS57の処理とそれぞれ同様である。
なお、図11では、移動体通信網31及び32への接続及びそれら移動体通信網からの接続のタイミングが通信網毎に異なっているが、携帯電話機10が複数の移動体通信網に同時(又はほぼ同時)に接続若しくはそれらから切断される場合もある。この場合、割当部15は、同時に発生した接続又は切断に対して、1回のデータ再割当て処理により割当率を決定する。例えば、図11においてステップS61及びS63の処理が同時に発生した場合、割当部15は、ステップS64の処理のみを行う。その結果、移動体通信網31の割当率は0(%)から56.7(%)に更新され、移動体通信網32の割当率は0(%)から43.3(%)に更新される。
図12に示す例は、携帯電話機10が移動体通信網31の地域から移動体通信網32の地域に移動する場合の動作を示す。ステップS71及びS72の処理は、図10におけるステップS51及びS52の処理とそれぞれ同じである。その後、携帯電話機10が移動体通信網31の地域から移動体通信網32の地域に移動すると(ステップS73)、検知部12がこの移動に伴い発生するハンドオーバを制御信号の解析により検知し(ステップS74)、この検知に基づいて記憶部13が通信状況情報を更新する。続いて、割当部15が更新された通信状況情報に基づいてデータを再割当てする(ステップS75)。
ハンドオーバ処理が行われている間、携帯電話機10は一時的に移動体通信網31及び32の両方と通信可能である。そのため、ハンドオーバ開始直後のデータ割当て処理(ステップS75)により、移動体通信網31及び32の双方にデータが割り当てられるように割当率が更新される。その後、携帯電話機10が移動体通信網31から移動体通信網32に完全に移動すると、この移動(ハンドオーバの終了)を検知部12が検知する(ステップS76)。そして、割当部15が、移動体通信網32にのみデータが送信されるように割当率を更新し、データの再割当てを行う(ステップS77)。
図13に示す例は、移動体通信網31及び32の両方に接続している携帯電話機10において、移動体通信網31内で携帯電話機10のセル間移動が行われた場合の動作を示す。携帯電話機10が移動体通信網31内でセル間移動を行うと(ステップS81)、検知部12が、制御信号を解析することで、このセル間移動に伴い発生するハンドオーバを検知する(ステップS82)。続いて、割当部15がデータを再割当てする(ステップS83)。この再割当てにより、移動体通信網31及び32の割当率がそれぞれ0(%)、100(%)に更新され、ハンドオーバにより通信不可能となった移動体通信網31以外の移動体通信網、すなわち移動体通信網32にのみデータが割り当てられる。その後、移動体通信網31内のハンドオーバが終了すると、検知部12がその変化を検知し(ステップS84)、割当部15が再度データを再割当てする(ステップS85)。このとき、割当部15は、移動体通信網31及び32の割当率をハンドオーバ発生前の値に更新する。
なお、図10〜13の例に限らず、携帯電話機10は、携帯電話機10の様々な通信状況に対してデータの割当てを行うことができる。例えば、携帯電話機10は、ある移動体通信網で輻輳が発生した場合や、ある移動体通信網の通信品質が低下又は向上した場合に、そのような通信状況の変化を検知し、検知した通信状況に基づいてデータの割当て(再割当て)を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、移動体通信網(例えば、移動体通信網31,32)から送信された制御信号に基づいて該移動体通信網の通信状況が検知され、通信状況情報として記憶される。続いて、他の通信装置宛のデータの量(データサイズ)と記憶された通信状況情報とに基づいて、そのデータが、接続している移動体通信網のそれぞれに割り当てられ、各移動体通信網に送信される。これにより、携帯電話機10の通信状況に応じてデータが各移動体通信網に割り当てられるので、データ送信時の通信環境に応じて、複数種類の移動体通信網を介してデータ送信をすることが可能になる。
このような手法を用いて、複数種類の移動体通信網を介してデータを送信することで、データの送信速度を全体として向上させることが可能になるとともに、送信中断を発生させることなく、より確実にデータを送信することができる。すなわち、本実施形態により、移動通信端末へのデータ送信を最適化することが可能になる。
また、本実施形態によれば、移動体通信網の通信状況が更新されると、最新の通信状況に基づいて動的にデータの再割当てが行われる。その結果、通信環境の変化に応じて、送信するデータを都度最適な形で割り当てることが可能になる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機10が接続している各移動体通信網の通信速度に基づいて、該各移動体通信網へのデータの割当てが行われる。移動体通信網の通信速度はデータの送信効率に影響を与えるものであるから、この通信速度を考慮してデータの割当てを行うことで、より効率的に他の通信装置にデータを送信することが可能になる。
また、本実施形態によれば、携帯電話機10により移動体通信網毎に割り当てられた被分割データが通信制御装置20により受信され、受信された各被分割データから割当て前のデータが再構成される。これにより、元の形に復元されたデータを利用することが可能になる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
また、実施形態では、各移動体通信網の通信速度に基づいて上記式(1)によりデータの割当率を算出し、その割当率に従ってデータが割り当てられたが、データ割当方法はこれに限定されない。例えば、データ割当部152が、割当対象の移動体通信網の組合せ毎に割当率を予め記憶しておき、その割当率に従ってデータを割り当ててもよい。例えば、割当対象の移動体通信網が「HSDPA、WLAN」であれば、「HSDPA=40%、WLAN=60%」、「CDMA、HSDPA、WLAN」であれば「CDMA=40%、HSDPA=20%、WLAN=40%」というように割当率が予め決められていてもよい。また、データ割当部152が、通信速度以外の各通信方式の仕様を考慮して、上記式(1)とは異なる式で割当率を算出してもよい。
また、上記実施形態では、割当部15が携帯電話機10の契約情報と通信状況とに基づいてデータ割当て(データ分割)の要否を判断したが、データ割当ての要否の判断方法はこれに限定されない。例えば、通信制御装置20に送信するデータの量(データサイズ)や、携帯電話機10が接続している複数の移動体通信網間の通信速度の差に基づいてデータ割当ての要否を判断してもよい。
例えば、データサイズが所定値以下(例えば10キロバイト等)である場合に、割当部15がデータ割当て不要と判断し、データ割当て(データ分割)を行うことなく他の通信装置宛のデータを送信部16に出力してもよい。これにより、データ割当処理の回数が減少するので、携帯電話機10にかかるデータ割当処理の負荷を抑制することができる。更に、通信制御装置20は、送信されてきたデータをそのまま利用できるので、通信制御装置20にかかる負荷も抑制できる。
また、複数の移動体通信網間の通信速度の差が非常に大きな場合には、データ分割することが却ってデータ送信の効率を低下させることがある。例えば、携帯電話機10がPDC方式(通信速度は9.6kbps)の移動体通信網と、HSDPA方式(通信速度は14.4Mbps)の移動体通信網とに接続されている場合、上記実施形態に基づけば、これらの割当率は、「HSDPA=99.93(%)、PDC=0.07(%)」となる。そのため、HSDPA方式の移動体通信網のみを使用する場合とほとんど変わらず、データの割当てを行う分却ってデータ送信が遅くなるおそれがある。そのため、複数の移動体通信網間の割当率の差が所定の閾値以上(例えば50%以上など)である場合や、複数の移動体通信網間の割当率のうち一の割当率が所定の閾値(例えば90%など)以上である場合には、割当部15がデータ割当て不要と判断してもよい。
また、割当部15が、記憶部13に記憶されている電波強度や受信レベルに応じて割当率を決定してもよい。例えば、記憶部13が電波強度を三段階のレベル(強、中、弱)で記憶している場合に、割当部15が、各レベル「強」、「中」、「弱」に対する割当率「100(%)」、「50(%)」、「0(%)」を記憶しておく。そして、割当部15が、読み出した通信状況情報に対応する割当率に基づいてデータを割り当ててもよい。
また、上記実施形態では、移動通信端末として携帯電話機10を用いたが、携帯型情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)などの他の種類の通信端末を用いてもよい。
また、上記実施形態では、携帯電話機10が使用する通信網がすべて無線通信網であったが、携帯電話機10が有線通信を使用してもよい。例えば、携帯電話機10を、インターネットに接続されているパーソナルコンピュータ(PC)に接続し、PCを介してデータ送信する場合にも本発明を適用できる。その結果、例えば携帯電話機10が無線通信と有線通信とを同時に利用する場合にも、データを分割して送信することが可能になる。
また、上記実施形態では、通信制御装置20がデータの再構成を行ったが、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの通信端末や他の中継装置などがデータの再構成を行ってもよい。
10…携帯電話機、11…アンテナ部、12…検知部(検知手段)、13…記憶部(記憶手段)、14…データ生成部、15…割当部(割当手段)、151…通信状況判定部、152…データ割当部、16…送信部(送信手段)、20…通信制御装置(通信装置)、21…受信部(受信手段)、22…再構成部(再構成手段)、23…出力部、30…移動体通信網群、31,32…移動体通信網