JP2008241686A - 標的検出装置及び標的検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を短時間で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法の提供。
【解決手段】本発明の標的検出装置は、金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容される第1の容器と、前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容される第2の容器と、前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与手段と、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射手段と、前記蛍光粒子が前記光照射手段からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出手段と、を少なくとも有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を検出することにより、前記標的を短時間で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法に関する。
従来、蛍光標識された微粒子試料からの蛍光検出では、励起光を該微粒子試料に照射し、発生する蛍光強度を検出することが行われており、蛍光顕微鏡、DNAマイクロアレイ用蛍光画像検出スキャナー等の、バイオ関連計測に必要な装置の提供が実現されている。また、タンパク質の検出では、予め抗原又は抗体を蛍光標識剤で修飾し、抗原抗体反応により生成された抗原と抗体との複合体から生じる蛍光のみを検出することにより、どのような抗原又は抗体であるかを判断する手法が確立されている。
その一例として、例えば、ELISA法では、抗原又は抗体の一方を容器の底面乃至側面に固定し、他方(前記一方が抗原の場合には抗体、前記一方が抗体の場合には抗原)を、固定した抗原(又は抗体)に結合させる。この場合、結合する相手は、溶液中を拡散して前記容器の底面乃至側面に到達するが、該拡散時間としては、例えば、1.5mm程度移動するのに数時間程度を要し、測定結果を得るためには、1日以上所要することがあるという問題があった。また、ELISA法による実際の測定では、測定対象となるサンプルが大量に必要となるが、該サンプルは、生体から採取した血液や体液中に含まれる微量物質であるため、その使用量の低減を図るのが好ましい。例えば、ELISA法を用いたタンパク質センシングシステムの検出技術の検討が行われているが(非特許文献1参照)、より簡便かつ短時間で、しかも少ないサンプル量で測定結果を得ることができる検出技術の更なる開発が望まれている。
曹勝鎮、外5名、「タンパク質センシングシステムの検出技術検討」、シャープ技報、2006年8月、第94号
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を検出することにより、前記標的を短時間で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に列挙した通りである。即ち、
本発明の標的検出装置は、金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容される第1の容器と、前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容される第2の容器と、前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与手段と、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射手段と、前記蛍光粒子が前記光照射手段からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出手段と、を少なくとも有することを特徴とする。
該標的検出装置においては、前記遠心力付与手段が、前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより、これらの容器中の金属と前記蛍光粒子とを接触させる。前記光照射手段が、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された蛍光粒子それぞれに対して光を照射する。前記蛍光検出手段が、前記蛍光粒子が前記光を受けて生じる蛍光の強度を検出する。ここで、前記遠心力付与手段により前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力が付与されると、前記蛍光粒子が、前記容器中の前記金属と短時間で効率的に接触される。このとき、前記金属との接触前に前記光照射手段から照射された光を受けて蛍光を生じていた蛍光粒子のうち、前記金属と接触した蛍光粒子が消光するため、前記蛍光検出手段が検出する蛍光強度が減少する。例えば、前記第1の容器中の蛍光粒子として、蛍光標識剤を標識した抗体を用い、前記第2の容器中の蛍光粒子として、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的が前記蛍光標識剤を標識した抗体と結合されてなる微小粒子を用い、これらの蛍光粒子の質量差に起因する蛍光の強度変化(蛍光強度の減少度合い)を比較すると、前記タンパク質等の標的の検出、識別などを効率的に行うことができる。このため、本発明の前記標的検出装置は、医学、生物等の幅広い分野で使用することができ、更には医療診断などに応用することができる。
本発明の標的検出方法は、金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容された第1の容器、及び、前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容された第2の容器、に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与工程と、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射工程と、前記蛍光粒子が前記光照射工程からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
該標的検出方法では、前記遠心力付与工程において、前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力が付与されることにより、これらの容器中の金属と前記蛍光粒子とが接触される。前記光照射工程において、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された蛍光粒子それぞれに対して光が照射される。前記蛍光検出工程において、前記蛍光粒子が前記励起光を受けて生じる蛍光の強度が検出される。ここで、前記遠心力付与工程において遠心力が付与されると、前記蛍光粒子が、前記容器中の前記金属と効率的に接触される。このとき、前記金属との接触前に前記光照射工程において照射された光を受けて蛍光を生じていた蛍光粒子のうち、前記金属と接触した蛍光粒子が消光するため、前記蛍光検出工程において検出される蛍光強度が減少する。例えば、前記第1の容器中の蛍光粒子として、例えば、抗体等が蛍光標識されてなる微小粒子を用い、前記第2の容器中の蛍光粒子として、例えば、前記蛍光標識された抗体等と、これと結合可能な抗原等との複合体からなる微小粒子を用い、これらの蛍光粒子の質量差に起因する蛍光の強度変化(蛍光強度の減少度合い)を比較すると、前記標的の検出、識別、標的と標的捕捉体との複合体(抗原抗体反応により生成される複合体)の生成の有無の判別などを短時間で効率的に行うことができる。このため、本発明の前記標的検出方法は、医学、生物等の幅広い分野で使用することができ、更には医療診断などに応用することができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を検出することにより、前記標的を短時間で効率的に検出可能な標的検出装置及び標的検出方法を提供することができる。
(標的検出装置及び標的検出方法)
本発明の標的検出装置は、第1の容器と、第2の容器と、遠心力付与手段と、光照射手段と、蛍光検出手段とを少なくとも有してなり、好ましくは検出制御手段、蛍光強度評価手段を有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の手段を有してなる。
本発明の標的検出方法は、遠心力付与工程と、光照射工程と、蛍光検出工程とを少なくとも含み、好ましくは検出制御工程、蛍光強度評価工程を含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
本発明の前記標的検出方法は、本発明の前記標的検出装置を使用して好適に実施することができ、本発明の前記標的検出装置を実施すると、本発明の前記標的検出方法を実施したこととなる。
以下、本発明の標的検出装置の説明を通じて、本発明の標的検出方法の詳細も明らかにする。
<第1の容器及び第2の容器>
前記第1の容器は、内部に金属を有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容される。
前記第2の容器は、内部に金属を有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容される。
−金属−
前記金属の配設態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1の容器及び前記第2の容器の内部における底面又は底面及び側面に配設されるのが好ましい。
前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金が好適に挙げられ、その純度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、99.9%以上であるのが好ましい。
前記金属が金である場合、その形状としては、膜状であるのが好ましい。該膜状の金(金膜)の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着、メッキなどにより行うことができる。
前記第1の容器及び前記第2の容器は、後述する遠心力付与手段に設けられているのが好ましく、該第2の容器の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数であるのが好ましい。この場合、複数の第2の容器に入れた前記標的試料に対して同時に測定することができ、測定効率の向上を図ることができる。また、前記第2の容器が複数である場合、これらの容器は、遠心の回転円に沿って配置されているのが好ましい。
前記第1の容器及び前記第2の容器の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、円形、角型などが挙げられ、その底面は平らであるのが好ましい。
前記第1の容器及び前記第2の容器の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、底面の形状が円形である場合、該底面の径が、3〜10mm程度であるのが好ましい。これらの容器に収容される、例えば、抗体、抗原と抗体との複合体などは、熱運動しながら、前記金膜と衝突したり離れたりしているが、このような熱運動により前記金膜と衝突を繰り返す領域は、前記金膜の極近傍だけであるため、前記底面の大きさを、前記数値範囲とすると、前記金膜と相互作用する領域を拡げることができる。
この場合、これらの容器に収容するサンプルの量としては、例えば、深さ0.5mm程度であるのが好ましい。また、このようにサンプル量が僅かである場合、蒸発などによる液量変化を抑制するため、これらの容器を、透明なガラス板等で密封するのが好ましい。
−蛍光粒子−
前記蛍光粒子は、光を受けて蛍光を生じかつ金属と接触することにより消光するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、蛍光標識剤そのもののほか、前記蛍光標識剤により標識された標的、前記蛍光標識剤により標識され、かつ前記標的を捕捉可能な標的捕捉体、前記標的と前記標的捕捉体との複合体であって前記蛍光標識剤により標識された粒子、などが好適に挙げられる。
前記標的及び前記標的捕捉体のいずれかを蛍光標識する場合、これらのうち、粒子径及び質量の少なくともいずれかが小さい粒子(例えば、抗原又は抗体の場合には抗体)に前記蛍光標識剤を修飾するのが好ましい。
前記修飾の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記蛍光標識剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、蛍光ピーク波長(最大励起波長)が、500〜900nmであるのが好ましい。この場合、前記金属が金であると、該金と接触した前記蛍光標識剤からエネルギーが前記金に移動し、該蛍光標識剤からの蛍光が消光する現象が顕著に生じる。このような蛍光標識剤としては、例えば、蛍光色素、希土類蛍光錯体などが好適に挙げられる。
前記蛍光色素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Cy3(励起波長=515nm、蛍光ピーク波長=565nm)等の有機化合物色素が好適に挙げられる。
前記希土類蛍光錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(「特集 希土類錯体」、月刊マテリアルインテグレーション、株式会社ティー・アイ・シィー、2004年、第17巻、第3号)に記載されているものが挙げられるが、具体的には、DTBTA−Eu3+(2,2’,2’’,2’’’−{4’−[(4,6−dichloro−1,3,5−triazin−2−yl)amino−biphenyl−4’’’−yl]−2,2’:6’2’’’−terpydine−6,6’’diyl}bis(methyl−enenitrylo)tetraacetic acid;励起波長=325nm、蛍光ピーク波長=616nm)、BHHCT−Eu3+(励起波長=340nm、蛍光ピーク波長=615nm)、BPTA−Tb3+(励起波長=325nm、蛍光ピーク波長=543nm)、などが好適に挙げられる。
これらの蛍光標識剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記希土類蛍光錯体は、遅延蛍光色素と称され、該遅延蛍光色素で修飾された前記蛍光粒子は、光を受けて蛍光を生じ、該光の消失後も一定時間、蛍光を持続し、かつ前記金属と接触することにより消光する。このため、このような蛍光粒子を、遅延蛍光粒子と称する。
即ち、前記遅延蛍光色素とは、励起光を瞬時に遮断しても、蛍光が発生し続け、完全に消光するまでには、1ミリ秒間以上を所要するものを意味し、非常に長い蛍光寿命、大きいストークスシフト(最大発光波長と最大励起波長との波長差)、及びスペクトル線幅の狭い蛍光を生じる、という特徴を有する。例えば、サマリュウム(Sm3+)、ユウロピウム(Eu3+)、テルビウム(Tb3+)及びジスプロシウム(Dy3+)などの三価の希土類イオンは、錯体を生成すると、強い蛍光を発生し、励起光を瞬時に遮断しても、1ミリ秒間以上、蛍光を持続し、前記遅延蛍光色素に該当する。
これに対し、前記有機化合物色素(Cy3(励起波長=515nm、蛍光ピーク波長=565nm)等)、タンパク質、核酸等の生体物質などでは、励起光遮断後、数十マイクロ秒間以下で蛍光が消失してしまい、前記遅延蛍光色素に比して、蛍光寿命が非常に短い。
前記標的としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機分子などが好適に挙げられる。
前記有機分子としては、例えば、タンパク質、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸、薬物などが挙げられる。これらの中でも、タンパク質、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、HLA抗原、核酸などが好ましく、タンパク質がより好ましい。
前記タンパク質としては、例えば、アビジン等の酵素などが挙げられる。
前記標的捕捉体としては、前記標的を捕捉可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記捕捉可能とは、前記標的捕捉体が前記標的に対して相互作用可能であることを意味し、該相互作用の態様としては、特に制限はなく、例えば、吸着、化学結合(共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、分子間力等)などが挙げられる。
前記標的捕捉体の具体例としては、前記標的に対する抗体、抗原、酵素、補酵素などが好適に挙げられる。例えば、前記標的が抗原である場合には、前記標的捕捉体としては、該抗原に対する抗体を選択することができ、前記標的が抗体である場合には、前記標的捕捉体としては、該抗体に対する抗原を選択することができる。また、前記標的が酵素(例えばアビジン)である場合には、前記標的捕捉体としては、該酵素の補酵素(例えばビオチン)を選択することができ、前記標的が補酵素(例えばビオチン)である場合には、前記標的捕捉体としては、該補酵素の酵素(例えばアビジン)を選択することができる。
前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料は、金属を内部に有してなる前記第2の容器中に収容される。前述の通り、前記蛍光粒子が前記金属と接触することにより、前記蛍光粒子が生じる蛍光が消光するので、後述する蛍光検出手段により、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された蛍光粒子が生じる蛍光の強度を検出することにより、タンパク質等の各種標的などの検出を行うことができる。
前記標的試料としては、検出対象である前記標的を含む試料であれば特に制限はなく、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、あるいは糞尿等の排泄物が挙げられる。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施されていてもよい。
<遠心力付与手段及び遠心力付与工程>
前記遠心力付与手段は、前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる機能を有する。
前記遠心力付与工程は、前記第1の容器及び前記第2の容器に、遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる工程である。
前記遠心力付与工程は、前記遠心力付与手段により好適に行うことができる。
−遠心力−
前記遠心力を付与可能な遠心力付与手段としては、遠心加速度を前記第1の容器及び前記第2の容器中における蛍光粒子に付加することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の遠心分離装置が好適に挙げられる。遠心分離の技術は既に確立され、血液等の混濁した溶液から細胞等を分離するのに利用されており、遠心分離装置を用いることにより、タンパク質の分離などを行うことができる。
〔遠心分離の原理〕
図1に示すように、溶液の中にある質量mの粒子が、回転半径r、回転角速度ωで回転を受けると、下記式(1)のような遠心力を受ける。その結果、前記粒子は溶液を入れている容器(遠心チューブ)の底のほうに移動し、前記溶液と前記粒子とが分離される。
前記遠心分離では、粒子の直径(d:cm)、粒子の密度(σ:cm−3)、粒子の移動速度(v:cm/sec)、溶液の密度(ρ:g・cm−3)、溶液の粘度(η:poise;g・cm−1・s−1)などが関係し、粒子の移動速度vは、沈降速度と称され、下記式(2)で表される。
ここで、前記式(3)で表されるSは、前記粒子の沈降のし易さを示す尺度(沈降係数)であり、単純なタンパク質では3〜12程度である。
また、前記溶液を入れた前記容器(遠心チューブ)内で、前記粒子が、回転半径Rminの最小回転半径からRmaxの最大回転半径(前記容器の底面に前記粒子が接触された状態)まで移動する沈降時間T(sec)は下記式(4)で表される。
T={ln(Rmax)−ln(Rmin)}×1013/(Sω)・・・(4)
ここで、図2に、Rmin=10cm、Rmax=10.1cm、及び回転数N=80,000rpmとした場合に、Sを0〜15まで変化させたときの沈降時間を分単位で示す。
また、図3に、S=12、Rmin=10cm、及びRmax=10.1cmとした場合の沈降時間Tと回転数Nとの関係を示す。
S=3〜12は、単純なタンパク質の場合であるが、更に複雑なものではSは大きくなり、図2より、沈降時間Tがより短くなることが判り、また、図3より、回転数Nでは、より少ない回転数で分離できるようになることが判る。このような遠心分離装置は、前記容器(遠心チューブ)内の被測定溶液量、回転数などを幅広く容易に設定可能であるので、広く使用されている。
ここで、濃度1×10−8Mで0.3μLの蛍光標識剤溶液を、金膜上に滴下し、滴下直後と、数分後に前記蛍光標識剤溶液が乾燥して前記蛍光標識剤が前記金膜上に接触して蛍光が消光するまでの経過とを表す写真を、図4A〜図4Cに示す。なお、これらの写真は、光として、レーザー光を、前記蛍光標識剤スポットの左上から斜め方向に光ファイバによって照射し、ICCDカメラを用いて測定した画像である。前記蛍光標識剤の滴下直後を示す図4Aでは、該蛍光標識剤が蛍光を発しているのに対し、図4Bでは、その蛍光強度が低下し、滴下約2分後を示す図4Cでは、蛍光が消失しているのが判る。
これに対し、前記金膜の代わりに合成石英基板を用い、該合成石英基板に対して前記蛍光標識剤溶液を滴下した場合、消光することなく、滴下から数分以上経過しても、蛍光が安定的に観測される。
なお、前記金膜上での前記蛍光標識剤の消光現象は、蛍光色素の退色によって生じるものではないことを既に確認している。
また、前記蛍光粒子を含む試料(溶液)が乾燥していない状態でも、前記蛍光標識剤のみを入れた溶液、及び前記蛍光標識剤により蛍光標識された標的(ストレプトアビジン(SA))溶液が、前記金膜と接触すると消光し、前記金膜から離れると蛍光を発することを確認している。そこで、この現象を利用して、前記容器内に前記金膜を形成し、前記試料(溶液)中の蛍光粒子(蛍光標識されたタンパク質等)を、該容器内に収容した場合、該蛍光粒子が前記金膜と接触すると蛍光強度が減少するので、該蛍光強度の減少と前記蛍光粒子の沈降時間、遠心装置の回転数、遠心力などとの関係から、微粒子(抗原抗体反応により生成される複合体等)を検出することができる。なお、実用化されている遠心分離装置では、粒子の分離・精製に使われるが、ここでは、前記蛍光粒子が、底面に形成された前記金膜に衝突する頻度を向上させるのに用いられる。つまり、前記粒子を遠心によって分離する状態にまでする必要はない。
一例として、予め前記蛍光標識剤を付加した標識抗体(前記標的捕捉体)を含む溶液Aと、該標識抗体及び抗原(前記標的)を含む溶液Bとを、等量ずつ分注し、それぞれ2つの前記容器(遠心チューブ)に収容して、前記遠心力付与手段により遠心力を与える。このとき、前記遠心チューブが所定の位置に回転してきたとき、該遠心チューブ内の前記蛍光標識剤を、前記光照射手段により光を照射して励起させ、前記蛍光標識剤から生じる蛍光を、前記蛍光検出手段により検出する。このとき、一回転毎に蛍光パルスが検出されるが、蛍光標識された粒子が沈降するに従って、前記遠心チューブ内の金膜に接触する割合が高くなり、蛍光強度が減少する。この蛍光の強度変化を前記蛍光検出手段により検出する。前記溶液Bでは、抗原抗体反応による複合体が生成されている場合、沈降時間(前記金膜との衝突頻度)は、前記溶液Aとは異なってくる(前記溶液Aよりも沈降時間(前記金膜との衝突頻度が増加)が短い)。この違いにより、前記抗原抗体反応による複合体の生成の有無を判別することができる。
<光照射手段及び光照射工程>
前記光照射手段は、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する機能を有する。
前記光照射工程は、前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する工程である。
前記光照射工程は、前記光照射手段により好適に行うことができる。
前記光照射手段としては、光を照射することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該光としては、前記蛍光粒子を励起させることができる励起光であるのが好ましく、前記光照射手段としては、例えば、LED、ランプ、半導体レーザーなどが好適に挙げられる。これらの中でも、単色性及び照射効率に優れる点で、半導体レーザーが好ましい。
前記光照射手段が照射する光の波長としては、前記蛍光粒子(前記蛍光標識剤)が吸収可能であり、かつ吸収後に蛍光が発生する波長であれば特に制限はなく、前記蛍光粒子の励起波長との関係において適宜選択することができる。
前記光照射手段から照射される光は、前記蛍光標識剤が前記有機化合物色素等である場合には、連続光であるのが好ましく、前記蛍光標識剤が前記遅延蛍光色素である場合には、一定の時間間隔で照射される不連続光であるのが好ましい。前記遅延蛍光色素に不連続光を照射する場合、光の照射終了から一定時間経過後、次の光の照射開始時までに、前記遅延蛍光色素からの蛍光を検出することにより、前記標的試料内に存在する夾雑物(光の照射を止めると直ぐに蛍光が消失するもの)からの蛍光を検出することなく、前記遅延蛍光色素からの蛍光のみを検出することができ、ノイズが少なく高感度に蛍光強度を検出することができる。
前記光が不連続光である場合の時間間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機化合物色素の蛍光寿命より長く、前記遅延蛍光色素の蛍光寿命より短いのが好ましく、例えば、0.5〜1ミリ秒間が好ましい。
前記時間間隔の調整方法としては、特に制限はなく、例えば、パルス光を用いて所定の照射間隔に調整してもよいし、連続光を用いる一方、前記遠心力付与手段における回転数を変化させることにより、前記第1の容器及び前記第2の容器に照射される光の時間間隔を調整してもよい。後者の場合、装置の簡便化及び小型化を図ることができる点で、有利である。
<蛍光検出手段及び蛍光検出工程>
前記蛍光検出手段は、前記蛍光粒子が前記光照射手段からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する機能を有する。
前記蛍光検出工程は、前記蛍光粒子が前記光照射工程からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する工程である。
前記蛍光検出工程は、前記蛍光検出手段により好適に行うことができる。
前記蛍光検出手段としては、前記光照射手段からの光を受けて前記蛍光粒子が発する蛍光を検出することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、応答速度の速い光検出器が好ましく、光電子倍増管、アバランシェホトダイオード(APD)、CCDカメラなどが好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、前記第1の容器(又は第2の容器、以下、単に「容器」と称することがある。)の内直径を0.3cmとしたときに得られる蛍光パルスの時間幅と前記遠心力付与手段の回転数との関係を、図5に示す。蛍光パルスの時間幅は、おおよそ数マイクロ秒〜数十マイクロ秒となることが判る。この程度の蛍光パルス幅であれば、前記光電子倍増管、前記APDにより、充分に蛍光を検出することができる。また、蛍光パルス幅は、前記回転数だけでなく、前記容器の直径を変化させることにより適宜変化させることができる。なお、図5では、前記蛍光粒子を含む試料の溶液量を減少させるため、前記容器の内直径を0.3cm、収容する溶液の深さを0.1cmとした。
前記蛍光の強度の検出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記遠心力付与手段(遠心分離装置)による遠心力の付与(遠心分離)に際し、前記遠心分離装置の回転数を一定にした状態で、蛍光強度と前記蛍光粒子の沈降時間との関係を検出する方法、(2)前記回転数が最大に到達するまでの時間を一定にした状態で、蛍光強度と前記回転数との関係を検出する方法、などが好適に挙げられる。
前記(1)に記載の遠心力付与手段の回転数が一定の場合において、前記蛍光粒子の蛍光強度(蛍光パルス強度)と沈降時間との関係の一例を、図6に模式的に示す。
また、前記(2)に記載の回転数が最大に到達するまでの時間が一定の場合において、前記蛍光強度(蛍光パルス強度)と前記回転数との関係の一例を、図7に模式的に示す。
図6及び図7では、前記第1の容器(第1の遠心チューブ)及び前記第2の容器(第2の遠心チューブ)をセットし、抗体に前記蛍光標識剤を修飾した蛍光粒子(標識抗体)を含む溶液Aを収容した第1の遠心チューブと、前記標識抗体と抗原とにより複合体が生成され得る溶液(標的試料)Bを収容した第2の遠心チューブとを比較し、該標識抗体の沈降時間又は回転数の違いにより、抗原抗体反応による複合体の生成の有無を判別している。即ち、前記複合体を生成する場合、第1の遠心チューブ内の前記標識抗体に比して、第2の遠心チューブ内の前記複合体の質量が大きいので、前記複合体の方が前記遠心力の影響を受け易く(前記金属と接触し易く)、蛍光パルス強度の減少度合いが大きくなる。一方、前記第2の遠心チューブ内の前記標識抗体と前記抗原とが結合して複合体を生成しない場合、図6及び図7中、溶液Bは、前記標識抗体のみを含む溶液Aの結果と殆ど同じである。
<検出制御手段及び検出制御工程>
前記検出制御手段は、前記光照射手段からの光の照射終了時から所定時間経過後に、前記遅延蛍光粒子が発する蛍光の強度を検出するように、前記蛍光検出手段を制御する機能を有する。
前記検出制御工程は、前記光照射工程からの光の照射終了時から所定時間経過後に、前記遅延蛍光粒子が発する蛍光の強度を検出するように、前記蛍光検出工程を制御する工程である。
前記検出制御工程は、前記検出制御手段により好適に行うことができる。
前記蛍光標識剤としての前記蛍光色素が修飾された粒子を少なくとも含む標的試料に対して、前記光照射手段からの光を照射すると、前記蛍光色素以外の物質から、前記蛍光色素からの蛍光波長に近いバックグランド蛍光が発生することがあり、この場合、検出感度が劣化するという問題がある。
特に、タンパク質の検出では、夾雑物からの発光の可能性が高く、これを解決するためには、一度励起されると数ミリ秒間にわたって蛍光を発生する前記遅延蛍光色素により被測定物を標識し、前記光照射手段からの光をパルス光として、該パルス光が消失してから、前記蛍光検出手段により遅延蛍光のみを測定するのが好ましい。
この場合、前記夾雑物からの蛍光は、前記パルス光が消失すると、数マイクロ秒間以下の遅延時間で消失してしまうものが殆どであるので、原理的に、前記遅延蛍光色素からの蛍光のみを検出することができる。このような蛍光検出法は、時間分解蛍光検出法として知られている。
〔時間分解蛍光検出法〕
図22に示すように、前記時間分解蛍光検出法では、極めて狭いパルス光を前記遅延蛍光色素に照射し、前記パルス光が照射されていない時間のところで蛍光を検出する。即ち、蛍光の検出は、バックグランド蛍光が消失した時間(Td)が経過してから、次にパルス光が照射されるまでの間に行う。
このように、時間分解蛍光検出法によれば、夾雑物からの蛍光(バックグランド蛍光)の影響を排除して、前記蛍光標識剤としての遅延蛍光色素からの蛍光のみを検出することができるので、ノイズを少なく、高感度に蛍光を検出することができる点で、有利である。
前記検出制御手段による前記検出制御の方法としては、以下の態様が挙げられる。例えば、従来の方法では、励起レーザー光を光チョッパで切り、光パルスを作ると共に、光チョッパに付属したLEDなどの光源の光を、所定の遅延時間が得られるように、同一光チョッパで切り同期信号を作りだし、この同期信号で光検出器を所定の時間ONにして、遅延蛍光のみを検出できるようにしている。これに対し、本発明では、後述する図23A〜24Bに示すように、時間分解蛍光検出をより簡便に実現している。即ち、2本の光ファイバを並置して、一方から励起光を放射し、他方で蛍光を検出する。なお、この方法では、被測定物を所定の速度で移動する必要があり、前述した光チョッパを使う従来の方法では、被測定物を静置し、移動させる必要がない。
具体的には、高速回転する光チョッパで、CWレーザー光を光パルス幅数十ナノ秒間、周期1ミリ秒間の光に加工して励起光とする。同時に、光チョッパに取付けたLED及びホトダイオードで、トリガ電気パルスを発生させ、光検出器としてのイメージインテンシファイヤー(II)付CCDカメラに入力し、このトリガ電気パルスを基準として、カメラ内部の機能により、遅延時間Tdだけ遅らせて、カメラの光ゲートを所定の時間だけ開くことにより、前記遅延蛍光色素の蛍光のみを検出することができる。
また、パルス発生器により電気パルス信号を発生させ、この信号でレーザー光をON/OFFすると同時に、所定の遅延時間Tdだけ遅れたところでトリガ信号を発生させ、このトリガ信号で光検出器をON/OFFすることにより、前記遅延蛍光色素の蛍光のみを検出することができる。前記パルス発生器としては、浜松ホトニクス製のDG535などを使用することができる。
<蛍光強度評価手段及び蛍光強度評価工程>
前記蛍光強度評価手段は、前記第1の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化と、前記第2の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化との差を評価する機能を有する。
前記蛍光強度評価工程は、前記第1の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化と、前記第2の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化との差を評価する工程である。
前記蛍光強度評価工程は、前記蛍光強度評価手段により好適に行うことができる。
前記蛍光強度評価手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の容器における蛍光の強度変化のデータと、前記第2の容器における蛍光の強度変化のデータとを、コンピュータ、人力等によりグラフ化して同時に重ねて表示させるものが好ましく、これらのグラフが一致しているかどうかを一見して判るようにしてもよいし、一見して判らないが、「標的の検出有」のように、結果のみを表示するようにしてもよい。
前記蛍光強度評価工程においては、前記第1の容器に、前記蛍光標識剤のみを収容し、前記第2の容器に、前記標的からなる蛍光粒子(前記蛍光標識剤により標識されたタンパク質等の標的)を収容し、これらの容器における該蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化の差を評価することにより、前記標的の検出を行うことができる。
また、前記第1の容器に、前記標的捕捉体からなる蛍光粒子(前記蛍光標識剤により標識された標的捕捉体、例えば標識抗体)を収容し、前記第2の容器に、前記標的捕捉体からなる蛍光粒子(標識抗体)と標的(例えば抗原)とを含む標的試料を収容し、これらの容器における該蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化の差を評価することにより、前記標的捕捉体(抗体)と前記標的(抗原)との複合体の生成の有無を判別することができる。更に、前記標的捕捉体に前記標的が捕捉されている場合と捕捉されていない場合とにおける、前記蛍光粒子の沈降時間又は前記回転数を予め測定しておき、検量線を作成しておくと、該標的の存在の検出、診断等乃至定量を行うことができる。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、例えば、反射ミラー、ダイクロイックミラー、バンドパスフィルタなどが挙げられる。これらは、前記光照射手段からの光を前記蛍光粒子に照射する場合、前記蛍光粒子が発する蛍光を前記蛍光検出手段に入射させる場合などに、前記標的検出装置における各種手段乃至部材の配置態様に応じて、適宜配設するのが好ましい。
以下に、本発明の前記標的検出装置の一例を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図8は、本発明の前記標的検出装置の実施の形態1(基本構成)を示す概略説明図である。この標的検出装置は、前記遠心力付与手段としての遠心分離装置10と、前記光照射手段としての励起光源20と、前記蛍光検出手段としての光検出器30とを少なくとも備えてなる。
遠心分離装置10は、前記第1の容器及び複数の前記第2の容器としての遠心チューブ12を有しており、該遠心チューブ12は、後述する実施の形態4と同様、遠心分離装置10の回転円に沿って配設されており、励起光源20及び光検出器30が固定されている一方、遠心分離装置10により遠心チューブ12のみが回転するようになっている。また、遠心チューブ12の内部の底面及び側面には、金膜14が形成されている。そして、遠心チューブ12は、遠心分離装置10が回転していないときには、水平面に対して垂直に位置し、回転に伴って水平面に対して平行となるように移動し、該遠心チューブ12内の試料に対して励起光源20からの光が入射するようになっている。また、前記容器(遠心チューブ12)に入れる溶液量は、一般に極めて少ないので、溶液の表面張力を考えると、最初から水平に前記容器を保持してもよい。
なお、遠心チューブ12内に収容する試料としては、前記蛍光粒子としての前記標識抗体のみ、前記標識抗体及び抗原等、複数種挙げられ、多くの蛍光パルスが発生する。このため、どの遠心チューブからの蛍光パルスかを識別するのに、後述する実施の形態4と同様、遠心分離装置10の回転に同期した電気信号を発生させ、どの遠心チューブにおける蛍光粒子が励起されているのか、蛍光パルスと遠心チューブとの対応関係が取れるようにするのが好ましい。
また、前記試料中に夾雑物が混入している場合には、該夾雑物が前記蛍光粒子よりも早く前記金膜に接触しないように、フィルタを設け、前記蛍光粒子よりも粒子径が大きい夾雑物を、前記フィルタにより除去するのが好ましい。
励起光源20は、連続光かつレーザー光である励起光21が、遠心チューブ12に進行するように配置されるのが好ましく、図8では、励起光源20からの励起光21が、ダイクロイックミラー22にて完全反射され、更に反射ミラー24にて反射されて遠心チューブ12内に入射するようになっている。
光検出器30は、前記蛍光粒子が発する蛍光Fを受光するように配置されるのが好ましく、図8では、蛍光Fが反射ミラー24にて反射されて光検出器30に入射されるようになっている。
なお、反射ミラー24は、凹面ミラーであってもよく、ダイクロイックミラー22の部分は、面積がレーザー光のビーム径程度の小さなミラーであってもよい。ただし、この場合、励起光21が、光検出器30に入射する可能性があるため、光検出器30の直前には、蛍光Fのみを透過可能なバンドパスフィルタを配設することが必要である。
(実施の形態2)
また、蛍光Fは、レーザー光のようなコヒーレントな光ではないため、遠心チューブ12から遠い位置で検出しようとすると、光が極端に減衰する。この場合、図9A及び図9Bに示すように、光ファイバを用い、可能な限り遠心チューブ12の入口付近で蛍光Fを光ファイバ内に入射させるのが好ましい。図9Aは、本発明の前記標的検出装置の実施の形態2を示す側面図であり、図9Bは、その上面図を表す。本構成では、複合光ファイバ40を、その先端を可能な限り遠心チューブ12の入口付近に近接配置し、励起光21の照射には、コア径100μmの光ファイバを用い、蛍光Fの検出には、コア径400〜800μmの光ファイバを複数本束ねて用いている。なお、光検出器30の直前にはフィルタ31が配置されている。
(実施の形態3)
一方、遠心チューブ12の内径が細く、内側面が励起光21に対して透過性の材料で形成されている場合には、図10A及び図10Bに示すように、遠心チューブ12の側面から励起光21を導入するのが好ましい。図10Aは、本発明の前記標的検出装置の実施の形態3を示す側面図であり、図10Bは、光ファイバを利用した図10Aと同じ構成の装置の上面図を表す。本構成では、励起光源20からの励起光21を、光ファイバ42により、遠心チューブ12の側面から入射し、励起光21により励起された前記蛍光粒子が発する蛍光Fを、バンドパスフィルタを通過させた後、光ファイバ41により直接、光検出器30で検出するようになっている。この場合、蛍光の光検出器30への入射効率を大きくすることができる点で有利である。
ここで、前記実施の形態1から3の標的検出装置の作用を説明する。まず、遠心分離装置10における遠心チューブ12に前記蛍光粒子を含む試料を収容し、遠心チューブ12を回転させることにより、前記蛍光粒子に遠心力を付与する。回転に伴い、遠心チューブ12が、水平面に対して平行となるように位置し、励起光源20からの励起光21が、遠心チューブ12内に入射し、前記蛍光粒子が励起光21を受けて励起されて蛍光を生じる。このとき、前記蛍光粒子は、前記遠心力が付与され、遠心チューブ12の内部の底面及び側面に設けられた金膜14と接触される。すると、前記蛍光粒子のエネルギーが金膜に移動し、蛍光粒子の蛍光が消光する。この蛍光の強度変化を光検出器30が検出する。なお、蛍光の強度変化は、上述した方法(図6及び図7参照)により検出することができる。
(実施の形態4)
図11は、本発明の前記標的検出装置の実施の形態4を示す概略説明図である。この標的検出装置においては、遠心分離装置10が、5本の遠心チューブ12A〜12Eを有しており、これらの遠心チューブは、回転円に沿って配設されている。なお、実際には、回転の安定性を考慮して、遠心チューブは配置される。これら5本の遠心チューブのうち、遠心チューブ12Aは、内部に金膜が形成されていない一方、他の4本の遠心チューブ12B〜12Eは、その内部の底面及び側面に金膜14が形成されている。そして、遠心チューブ12B〜12Eには、被測定サンプル(前記蛍光粒子を含む試料)を収容する一方、遠心チューブ12Aには、前記被測定サンプルに比して濃い前記蛍光標識剤を収容する。この場合、遠心チューブ12A内の蛍光標識剤は、遠心力が付与されて遠心チューブ12Aの底面に接触しても、金膜と接触することがなく、蛍光を発生し続けるため、この蛍光を信号の基準として他の蛍光の位置との関係を明確にすることができる点で有利である。
なお、識別用の同期信号光は、遠心チューブ12Aを用いて常に強い蛍光が発生するようにしているが、遠心分離装置10が常に一定の回転位置にきたときに電気信号を発生させて、どの遠心チューブからの蛍光であるかを識別することができるようにしてもよい。また、このような高速のデータ記録には、遠心分離装置10の回転周期よりも充分速いサンプリング速度を有するデータロガーなどを使用することができる。
実施の形態4の標的検出装置における光検出器30による蛍光強度の検出結果の一例を図12に示す。図12は、4種類のサンプルについて同時に測定した蛍光強度の時間変化を表し、最初の蛍光パルス強度から所定の蛍光パルス強度に減衰していくときの前記蛍光粒子の沈降時間をサンプル毎に計算し、記録したものである。図12により、それぞれのサンプルの蛍光パルス強度のピーク値から、その蛍光粒子の状況を判断することができる。例えば、抗原抗体反応では、抗体が容器の壁に固定されているような場合には、抗原が拡散で移動して反応するので、抗原抗体反応に要する時間が長くなるが、本実施の形態によれば、反応が短時間で起こり、蛍光の消光時間も前記遠心力付与手段により、短時間で完了する。
なお、前記蛍光粒子の粒子径が非常に小さく、この回転数の範囲で、前記金膜に前記蛍光粒子が充分に接触しない場合には、回転数に関係なく蛍光パルスが発生し続ける。一方、前記蛍光粒子の粒子径が大きくなると、僅かな回転数でも、前記遠心チューブの底面への粒子の衝突頻度が大きくなり、消光の程度が大きくなる。このため、前記回転数、前記蛍光粒子を含む試料(サンプル)の量は、実際の測定に際して、設定するのが好ましい。
(実施の形態5)
前記実施の形態1〜4の標的検出装置においては、回転円に沿って配置された複数の遠心チューブの数に相当するデータを同時に計測することができるが、1個のサンプルについて簡便に計測する場合や、前記蛍光粒子の沈降時間又は前記遠心分離装置の回転数に対して、連続的に蛍光の強度変化を測定する場合には、図13に示す構成を有する標的検出装置を用いるのが好ましい。
図13は、本発明の前記標的検出装置の実施の形態5を示す概略説明図である。この標的検出装置においては、遠心分離装置10の回転軸中心に、ダイクロイックミラー22が配置されており、その上方に励起光源20を配置して励起光21を照射することにより、遠心分離装置10が回転しても、常に1つの遠心チューブ12内に励起光21が照射されるようになっている。光検出器30は、遠心分離装置10の回転軸に取り付けられており、遠心チューブ12と共に回転する。前記蛍光粒子が励起光21を受けて発する蛍光は、ダイクロイックミラー22を透過し、その背面に配設された光検出器30にて検出されるようになっている。ここで、光検出器30は、遠心分離装置10の回転軸上で高速で回転するため、蛍光強度信号は、蛍光強度信号送信機52により、電波、赤外線等の無線伝送で送信され、標的検出装置の近傍に配置された蛍光強度信号受信機54にて検出されるようになっている。
(実施の形態6)
図14は、本発明の前記標的検出装置の実施の形態6を示す概略説明図である。この標的検出装置は、遠心チューブ12の側面から励起光21を導入する以外は、前記実施の形態5と略同様の構成である。
図14に示すように、遠心分離装置10の回転軸中心には回転反射ミラー36Aが配設されており、遠心力が付与されて遠心チューブ12が水平面に対して平行に位置したとき、該遠心チューブ12の側面上方に位置するように、回転反射ミラー36Bが配設されている。また、前記蛍光粒子からの蛍光は、バンドパスフィルタ34を介して直接光検出器30で検出されるようになっている。
前記実施の形態5〜6の標的検出装置における光検出器30による蛍光強度の検出結果の一例を図15に示す。図15は、標識抗体のみを含む溶液Aと、抗原抗体反応により標識抗体と抗原との複合体が生成された溶液Bとについて、同一条件にて2回測定したときの標識抗体の沈降時間又は遠心分離装置の回転数に対する蛍光強度を示す。なお、横軸が回転数の場合には、最大回転数に達するまでの時間が一定であり、横軸が沈降時間の場合には、回転数が一定である。このように、前記実施の形態5〜6の標的検出装置によれば、1つの遠心チューブからの連続的な蛍光強度の変化を高感度に検出することができる。
(実施の形態7)
図23Aは、時間分解蛍光検出法による蛍光検出を実施可能な本発明の前記標的検出装置の実施の形態7を示す上面概略図であり、図23Bは、その側面概略図である。この標的検出装置は、前記遠心力付与手段としての遠心分離装置10と、前記光照射手段としての励起光源20と、前記蛍光検出手段としての光検出器30と、検出制御手段60とを少なくとも備えている。
遠心分離装置10は、前記第1の容器及び前記第2の容器としての遠心チューブ12を有しており、遠心チューブ12は、遠心分離装置10の回転円に沿って配設されている。遠心チューブ12の内面には、金膜14が形成されている。また、遠心チューブ12は、機密封じ用ガラス13により密閉されている。
また、励起光源20からの光照射用の光ファイバ72、及び光検出器30による蛍光検出用の光ファイバ74を備えており、光ファイバ72と光ファイバ74とは、遠心分離装置10の回転円の円周方向に沿って、間隔dの距離で配置されている。この距離dと、遠心チューブ12の回転速度vとは、適宜設定することができ、これらの設定条件に基づいて、光ファイバ72から遅延蛍光粒子に照射される光の照射間隔が決定される。また、図24A及び図24Bに示すように、遅延時間(バックグランド蛍光が消失した時間;図22参照)Tdは、下記式(4)により決定される。
Td=v/d・・・式(4)
図24A及び図24Bに示すように、光ファイバ72及び74と、遠心チューブ12とは、可能な限り接近させるのが好ましい。なお、光ファイバ72からの光が、蛍光検出用の光ファイバ74に入らないように、光ファイバ72と光ファイバ74とは、並行に配設しなくてもよい。
図24Aに示すように、光ファイバ72及び74として、コア径100〜1,000μmの光ファイバ(材質は、石英、プラスチック等適宜選択することができる。)の先端を、フラット研磨したものを使用してもよいし、図24Bに示すように、遠心チューブ12内に均一に励起光を照射し、遠心チューブ12内からの蛍光を集光することができるように、ファイバーコリメータ76を導入してもよい。
また、励起光の照射、蛍光の集光に適したレンズ光学系(例えば、円筒状のセルフォックレンズ、非球面レンズなどを適宜使用することができる。)を、光ファイバ72及び74の先端に装着してもよい。
図23Aに示すように、遠心分離装置10を高速回転させると、遠心チューブ12内の遅延蛍光粒子に、光照射用の光ファイバ72からの励起光が照射される。遅延蛍光粒子が励起されてからTd後に、蛍光検出用の光ファイバ74の直下に遠心チューブ12が移動し、蛍光が検出されるようになる。また、遠心分離装置10からの制御信号によって、検出制御手段60を制御し、光検出器30に対して制御信号が送信され、光検出器30により蛍光が検出されるようにすることもできる。ここで、図23Aには図示していないが、図23Bに示すように、サンプルを入れた遠心チューブ12の一回転毎に、鋭い電気パルスを発生させ、これをトリガ信号としてオシロスコープ82の同期信号入力端子に入れ、光検出器30から得られる蛍光パルスを一度、増幅器84に入れて増幅し、オシロスコープ82の信号入力端子に入れてもよい。オシロスコープ82の横軸は時間軸であるので、トリガ信号から一定時間ずれたところでオシロスコープ画面上に蛍光パルスを観測することができ、遠心分離装置10の回転数を増加していくと、それにともなって蛍光パルス強度が小さくなるように変化していく。オシロスコープ画面上には、常にサンプルを入れた2つの遠心チューブ12からの2つの蛍光パルスが見えるように時間軸(X軸)を調整するのが好ましい。
なお、既存の時間分解蛍光検出法では、前記光照射手段からの光として、レーザーパルス光を用いて、図22に示すような蛍光強度の計測を行っているが、本実施の形態では、連続光を用いる一方、サンプルを入れた遠心チューブ12を高速で移動させることにより、時間分解を実現しているため、装置の簡便化、小型化の点で、有利である。
図25に、遅延蛍光粒子の合成石英基板上及び金膜上での蛍光強度の変化を示す。即ち、遅延蛍光色素を修飾したストレプトアビジンを含む水溶液を0.5μL分注し、これを合成石英基板上と、合成石英基板上に形成した金膜上とに滴下し、遅延時間Td(図22参照)を0.2ミリ秒間に設定して、溶液が乾燥していく約2〜3分間の蛍光強度を測定した。
図25より、前記合成石英基板上では水溶液が蒸発し乾燥していくことの影響はなく、殆ど一定の蛍光強度となっている。これに対して、前記金膜上では水溶液の蒸発による体積減少の結果、前記金膜と前記遅延蛍光粒子との衝突頻度が増加し、蛍光強度が、60秒間ぐらいまで直線的に減少していることが判る。また、蛍光が金膜上では反射するので、合成石英基板の場合に比べて、その強度が強くなっていることが判る。
この実験では、蛍光を高感度CCDカメラで検出しているが、使用した光学系は、実施の形態7と全く同じであるため、金膜上の蛍光が減少していくのは、僅かな体積減少にともなう衝突頻度の増加が原因となっていることが判る。このことは、実施の形態7の装置構成において、前記衝突頻度を増加すれば、蛍光が減少するため、標的の検出を実現可能な装置であることを実証している。
本発明の前記標的検出装置によると、光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を短時間で効率的に検出することができる。本発明の前記標的検出装置は、医学、生物等の幅広い分野で好適に使用することができ、更には医療診断、例えば、糖尿病、高血圧症、高脂血症、その他の多因子性疾患全般などの診断に応用することができる。
本発明の標的検出方法によると、タンパク質等が蛍光標識されてなる前記蛍光粒子を短時間で効率的に検出することができ、該標的検出方法は、医学、生物等の幅広い分野で好適に適用可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−蛍光の消光現象の確認実験−
まず、前記蛍光標識剤としての希土類蛍光色素(DTBTA−Eu3+)を、前記標的としてのストレプトアビジン(S.A.)に導入して合成した蛍光粒子を含む水溶液(濃度:1×10−8M)を調製した。
次いで、得られた蛍光粒子水溶液を、厚み1μmの金膜上、及び厚み1mmの合成石英基板上にそれぞれ、滴下量0.5μLとして滴下した。この蛍光粒子水溶液に対して、レーザー光(波長325nm)を照射し、蛍光粒子が生じる蛍光を約2分間にわたって動画計測した。金膜上での蛍光変化については、図16A〜図16Eに、合成石英基板上での蛍光変化については、図17A〜図17Eに、それぞれ示した。ここで、図16A〜図16Eに比して図17A〜図17Eではスポットが大きいのは、表面張力に起因している。
図16A〜図16Eに示すように、金膜上の蛍光粒子は、初め強い蛍光を発しているが(図16A参照)、時間の経過と共に徐々に蛍光が消光し(図16B〜図16D参照)、約2分間経過すると、水溶液が完全に蒸発して乾燥し、蛍光粒子が金膜に完全に接触して、蛍光が消失した(図16E参照)。なお、蛍光の消光現象は、蛍光色素の劣化によるものではない。
一方、図17A〜図17Eに示すように、合成石英基板上の蛍光粒子は、時間が経過しても蛍光が消光しなかった。なお、約2分経過後には、水溶液が完全に蒸発して乾燥していた。
以上、蛍光画像で示したが、経過時間(沈降時間又は遠心装置回転数に相当)と蛍光強度との関係を図18に示した。図18より、金膜上では約2分間後に蛍光強度はバックグランドレベル近くにまで消光されるが、合成石英基板上では蛍光強度はほぼ一定であることが判った。
遠心分離の原理に基づいて、前記蛍光粒子を前記容器(遠心チューブ)の底面に沈降させるためには、遠心チューブの内径=3mm、被測定溶液(前記蛍光粒子を含む試料)の充填深さ=2mm、回転半径=5cm、蛍光パルス幅=数十μsec〜数百μsecの条件では、図19に示すように、回転数を大きくすることが必要である。沈降係数Sは、タンパク質の種類による沈降のし易さを示す単位であり、単純なタンパク質では3〜12程度(例えば、アルブミンでは4.5)であり、Sが小さいものほど高速回転が要求される。
一方、金膜上での前記蛍光粒子の消光現象は、前記蛍光粒子を前記金膜上に押し付け固定するのではなく、該金膜に接触するだけで直ぐに消光するので、前記蛍光粒子の前記金膜への接触頻度が大きくなれば、全体としての蛍光強度は減少する。
前記金膜近傍に存在する前記蛍光粒子は、熱運動によって常に前記金膜と接触したり離れたりすることを繰返しており、遠心チューブの入口付近で観測される蛍光強度は、このような蛍光粒子からの蛍光(OP1)と、前記金膜から遠く離れた位置に存在する蛍光粒子からの蛍光(OP2)との総和で表される。前記被測定溶液が多い場合には、OP2からの光が主に検出され、遠心分離の原理に従った装置設計が必要となる。一方、遠心チューブ内に収容する前記被測定溶液の量を少なくすると共に、該被測定溶液の蒸発を防止するために、遠心チューブを密封し、前記被測定溶液を前記金膜の近傍にのみ存在するようにすると、検出される蛍光は、主にOP1の成分となる。該OP1の光は、前記蛍光粒子の熱運動によって消光及び発光が平衡状態となった光である。そこで、図20に示す標的検出装置を用いると、蛍光粒子が発するOP1を主とする蛍光の強度変化を検出することができる。
−蛍光粒子の検出−
図20に示す標的検出装置は、前記遠心力付与手段としての遠心装置110と、前記光照射手段としてのCW励起光源120と、前記蛍光検出手段としての光検出器130とを少なくとも備えてなる。
遠心装置110は、前記第1の容器としての遠心チューブ112A及び前記第2の容器としての遠心チューブ112Bが水平面に対して平行となるように埋め込み可能な、ドーナツ型の金属円板111を備えており、該金属円板111は、遠心装置110の回転軸に対して回転可能であり、その回転半径は5cmである。また、金属円板111には、側面に孔111A及び111Bが設けられており、これらの孔内には、それぞれ遠心チューブ112A及び112Bが、該遠心チューブ112A及び112Bの開口部が、互いに対向するように配設されている。遠心チューブ112A及び112Bは、内径が3mm、深さが5mmであり、内部の底面及び側面には、厚み1μmの金膜114が形成されている。
また、複合光ファイバ140を、その先端を可能な限り遠心チューブ12の入口付近に近接配置し、CW励起光源120からの励起光121の照射には、コア径100μmの光ファイバを用い、光検出器130による蛍光Fの検出には、コア径400〜800μmの光ファイバを複数本束ねて用いている。なお、光検出器130の直前にはフィルタ131が配置されている。
なお、熱運動する前記蛍光粒子の速度はランダムであり、該蛍光粒子の質量、温度等の影響を受けるため、標的検出装置は、公知の温度安定化手段、公知の冷却手段等のその他の手段を適宜備えていてもよい。
遠心チューブ112Aに、前記蛍光標識剤としての希土類蛍光色素(DTBTA−Eu3+)である蛍光粒子Aのみを含む蛍光粒子水溶液Aを収容し、遠心チューブ112Bに、調製した蛍光粒子水溶液B(前記蛍光標識剤としての希土類蛍光色素(DTBTA−Eu3+)を、前記標的としてのストレプトアビジン(S.A.)に導入して合成した蛍光粒子Bを含む水溶液)を収容した。ここで、蛍光粒子水溶液A及びBは、溶液深さ0.7mmとなるように充填した(収容量=5μL)。該蛍光粒子水溶液A及びBは、5μLと極めて少量であるので、表面張力により遠心チューブ112A又は112Bの底部に固定され、遠心チューブ112A及び112Bが水平にセットされていても、流れ出さない。
そして、遠心装置110により遠心チューブ112A及び112Bを回転させることにより、蛍光粒子A及びBそれぞれに、金膜方向への僅かな遠心力を付与した。また、CW励起光源120からの励起光121を、蛍光粒子A及びBそれぞれに照射して、蛍光粒子A及びBを励起させ、蛍光粒子A及びBが生じる蛍光を、光検出器130により検出した。遠心力の付与により、OP1成分の光を発する蛍光粒子と金膜との接触頻度が大きくなり、全体としての蛍光強度が減少した。この蛍光強度の減少量は、蛍光粒子の質量に依存し、質量が大きい蛍光粒子Bを含む蛍光粒子水溶液Bと、質量が小さい蛍光粒子Aを含む蛍光粒子水溶液Aとを比較すると、図21に示す結果が観測された。図21は、縦軸に蛍光パルス強度を取り、横軸に遠心装置110の回転数を取り、該回転数をステップ可変させたイメージ図である。
このように、質量の異なる蛍光粒子の蛍光強度の変化の差を評価することにより、タンパク質等の各種標的の検出などの定性分析を行うことができる。また、常に蛍光粒子水溶液A及びBをセットにし、同一条件で比較することができるので、測定精度、分解能(どの程度の質量差まで検出することができるかを表す程度)などを向上させることができる。更に、遠心装置110の回転数も、遠心分離の原理により予測されるような高速回転が不要であり、毎分10,000回転以下の回転数で足りる。更に、実施例1の標的検出装置では、表面張力を利用して遠心チューブ内に試料溶液を収容しておくことができるので、分析に必要な血液等の各種試料(サンプル)が少量で足りる点で有利である。
また、同様にして、遠心チューブ112Aに、前記蛍光標識剤としての蛍光色素(Cy3)である蛍光粒子Aのみを含む蛍光粒子水溶液Aを収容し、遠心チューブ112Bに、調製した蛍光粒子水溶液B(前記蛍光標識剤としての蛍光色素(Cy3)を、前記標的としてのストレプトアビジン(S.A.)に導入して合成した蛍光粒子Bを含む水溶液)を収容した。ここで、蛍光粒子水溶液A及びBは、溶液深さ0.7mmとなるように充填した(収容量=5μL)。そして、遠心装置110により遠心チューブ112A及び112Bを回転させることにより、蛍光粒子A及びBそれぞれに、金膜方向への僅かな遠心力を付与した。また、CW励起光源120からの励起光121を、蛍光粒子A及びBそれぞれに照射して、蛍光粒子A及びBを励起させ、蛍光粒子A及びBが生じる蛍光を、光検出器130により検出した。その結果、OP1成分の光を発する蛍光粒子と金膜との接触頻度が大きくなり、全体としての蛍光強度が減少し、質量が大きい蛍光粒子Bを含む蛍光粒子水溶液Bと、質量が小さい蛍光粒子Aを含む蛍光粒子水溶液Aとを比較すると、図21に示す結果が観測された。
(実施例2)
−蛍光色素及び遅延蛍光色素の蛍光強度変化の比較実験−
まず、前記遅延蛍光色素としてのDTBA−Eu3+、BPTA−Tb3+、前記蛍光色素としてのCy3を用意した。次いで、合成石英基板上、及び合成石英基板に形成した金膜上に、それぞれ濃度約1×10−8M、スポット量0.3μLを滴下し乾燥させ、励起光を周期的に照射すると同時に、励起光照射後一定時間(遅延時間Td)経過後、光検出器で蛍光強度を検出した。
ここで、前記遅延蛍光色素としてのDTBTA−Eu3+及びBPTA−Tb3+に対しては、波長325nm、Cy3に対しては、波長515nmのレーザー光源で励起した。これらの蛍光強度変化を、図26に示す。図26において、点線で示した結果は総て、合成石英基板上に色素を滴下したものであり、実線で示した結果は、合成石英基板に形成された金膜上に色素を滴下した結果である。励起光は、図26における横軸0.08ミリ秒間程度まで照射され、それ以降は完全に消失している。
二つの遅延蛍光色素では、レーザー光が完全に消失した時間帯でも強い蛍光が発生している。また金膜上では、合成石英基板上のものよりも蛍光強度が、一桁ほど小さい値になっている。Cy3では、レーザー光が照射されている時間は蛍光が発生しているが、レーザー光が消失すると直ぐに蛍光も消失する。しかし、合成石英基板上のものと、金膜上のものとでは、蛍光強度は1桁以上異なり、やはり金膜上で消光することが判る。
遅延時間0.08ミリ秒間まででは、遅延蛍光色素からの蛍光とバックグランド蛍光とが共存したところである。従って、Cy3では、バックグランド蛍光が出易い試料を標識している場合、バックグランドをシグナル蛍光から切り離すのが困難であることが判る。
−遅延蛍光粒子の検出−
図24A及び図24Bに示す前記実施の形態7の標的検出装置を用いて遅延蛍光粒子の検出を行った。光ファイバ72及び光ファイバ74の間隔dを1cmとし、遅延時間Td(図22参照)を0.2ミリ秒間とすると、遠心分離装置10の回転速度は、50m/secとなる。更に、遠心分離装置10の中心から、各遠心チューブ12までの距離(回転半径)を10cmとすると、回転数は、毎分3,000回転程度となった。
なお、前記蛍光粒子の質量にも関係するが、前記金膜との衝突頻度を大きくさせるためには、回転数は可能な限り大きな範囲、実際には、数万回程度まで変化させることができるようにするのが好ましい。また、この場合、所望の回転数に応じた光ファイバの間隔dを変化させることができる保持具又は間隔dに応じた数種類の保持具を作製しておくのが好ましい。具体的には、光ファイバの間隔dは、5〜20mmに設定するのが好ましく、回転数は、毎分500〜20,000回転程度で変化させるのが好ましい。
本実施例では、遅延時間Tdの経過後に、遅延蛍光色素からの蛍光を検出したので、夾雑物からの蛍光(バックグランド蛍光)の影響を排除することができ、ノイズを少なく、より高感度に蛍光を検出することができた。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容される第1の容器と、
前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容される第2の容器と、
前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与手段と、
前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射手段と、
前記蛍光粒子が前記光照射手段からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出手段と、
を少なくとも有することを特徴とする標的検出装置。
(付記2) 第1の容器及び第2の容器における金属が、該容器の内部における底面及び側面の少なくともいずれかに形成された金膜である付記1に記載の標的検出装置。
(付記3) 蛍光粒子が、蛍光標識剤、前記蛍光標識剤により標識された標的、前記蛍光標識剤により標識され、かつ前記標的を捕捉可能な標的捕捉体、及び、前記標的と前記標的捕捉体との複合体であって前記蛍光標識剤により標識された粒子から選択される少なくとも1種である付記1から2のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記4) 標的が抗原であり、標的捕捉体が抗体である付記3に記載の標的検出装置。
(付記5) 蛍光標識剤の蛍光ピーク波長が、500〜900nmである付記3から4のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記6) 蛍光標識剤が、Cy3及び希土類蛍光錯体から選択される少なくとも1種である付記5に記載の標的検出装置。
(付記7) 蛍光粒子が、標的及び標的捕捉体のいずれかのうち、粒子径及び質量の少なくともいずれかが小さい粒子に蛍光標識剤が修飾されてなる付記3から6のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記8) 蛍光検出手段が、遠心力付与手段による遠心力を受けた蛍光粒子の沈降時間及び前記遠心力付与手段の回転数のいずれかに対する蛍光の強度を検出する付記1から7のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記9) 蛍光標識剤が、希土類蛍光錯体から選択される少なくとも1種であり、
蛍光粒子が、光を受けて蛍光を生じ、該光の消失後も一定時間、蛍光を持続する遅延蛍光粒子であり、
前記光照射手段からの光が、前記遅延蛍光粒子に対して、一定の時間間隔で照射され、
前記光の照射終了時から所定時間経過後に、前記遅延蛍光粒子が発する蛍光の強度を検出するように、蛍光検出手段を制御する検出制御手段を有する付記6から8のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記10) 検出制御手段が、光照射手段からの光の照射終了時から0.1ミリ秒間以上経過後に、蛍光検出手段に蛍光の強度を検出させる付記9に記載の標的検出装置。
(付記11) 光照射手段及び蛍光検出手段が固定されてなり、遠心力付与手段が、第1の容器及び第2の容器のみを回転させる付記1から10のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記12) 遠心力付与手段が、複数の第2の容器を有してなり、該第2の容器が、遠心の回転円に沿って配置された付記1から11のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記13) 光照射手段による光が、特定の第2の容器に照射され、蛍光検出手段が、該第2の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度を連続的に検出する付記1から12のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記14) 蛍光検出手段が、第1の容器及び第2の容器のいずれかと共に回転し、かつ蛍光強度信号を無線により蛍光強度受信機に対して送信する付記13に記載の標的検出装置。
(付記15) 蛍光検出手段が、光電子倍増管、アバランシェホトダイオード、及びCCDカメラの少なくともいずれかである付記1から14のいずれかに記載の標的検出装置。
(付記16) 金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容された第1の容器、及び、前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容された第2の容器、に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与工程と、
前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射工程と、
前記蛍光粒子が前記光照射工程からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする標的検出方法。
(付記17) 第1の容器及び第2の容器における金属が、該容器の内部における底面及び側面の少なくともいずれかに形成された金膜である付記16に記載の標的検出方法。
(付記18) 蛍光粒子が、蛍光標識剤、前記蛍光標識剤により標識された標的、前記蛍光標識剤により標識され、かつ前記標的を捕捉可能な標的捕捉体、及び、前記標的と前記標的捕捉体との複合体であって前記蛍光標識剤により標識された粒子から選択される少なくとも1種である付記16から17のいずれかに記載の標的検出方法。
(付記19) 第1の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化と、第2の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化との差を評価する蛍光強度評価工程を含む付記16から18のいずれかに記載の標的検出方法。
(付記20) 第1の容器における蛍光粒子が、蛍光標識剤により標識された標的捕捉体であり、かつ第2の容器における標的試料が、標的と蛍光標識剤により標識された標的捕捉体からなる蛍光粒子とを含み、
蛍光強度評価工程が、前記第1の容器中の蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化と、前記第2の容器中の蛍光粒子が生じる蛍光の強度変化との差を評価することにより、前記標的と前記標的捕捉体との複合体の生成の有無を判別する付記19に記載の標的検出方法。
本発明の標的検出装置は、光によって蛍光を生じる蛍光粒子、例えば、タンパク質、抗原等の各種標的、該標的を捕捉可能な抗体等の標的捕捉体などが蛍光標識されてなる微小粒子を検出することにより、前記標的を短時間で効率的に検出可能であり、医学、生物等の幅広い分野で好適に使用することができ、更には医療診断などに応用することができる。
本発明の標的検出方法は、タンパク質等が蛍光標識されてなる前記蛍光粒子を検出することにより、前記標的を短時間で効率的に検出可能であり、医学、生物等の幅広い分野で好適に適用可能である。
図1は、遠心分離の原理を説明するための概略図である。 図2は、粒子の沈降係数(S)と沈降時間Tとの関係を示すグラフである。 図3は、粒子の沈降時間Tと遠心分離装置の回転数Nとの関係を示すグラフである。 図4Aは、蛍光標識剤の金膜との接触による消光現象を表す写真(その1)である。 図4Bは、蛍光標識剤の金膜との接触による消光現象を表す写真(その2)である。 図4Cは、蛍光標識剤の金膜との接触による消光現象を表す写真(その3)である。 図5は、蛍光パルスの時間幅と遠心力付与手段の回転数との関係を示すグラフである。 図6は、遠心力付与手段の回転数が一定の場合における、蛍光粒子の蛍光パルス強度と沈降時間との関係の一例を模式的に示すグラフである。 図7は、遠心力付与手段の回転数が最大に達するまでの時間が一定の場合における、蛍光粒子の蛍光パルス強度と回転数との関係の一例を模式的に示すグラフである。 図8は、本発明の標的検出装置の実施の形態1を示す概略説明図である。 図9Aは、本発明の標的検出装置の実施の形態2を示す側面図である。 図9Bは、本発明の標的検出装置の実施の形態2を示す上面図である。 図10Aは、本発明の標的検出装置の実施の形態3を示す側面図である。 図10Bは、本発明の標的検出装置の実施の形態3を示す上面図である。 図11は、本発明の標的検出装置の実施の形態4を示す概略説明図である。 図12は、実施の形態4の標的検出装置を用いて4種類のサンプルについて同時に測定した蛍光粒子の蛍光強度の時間変化の一例を示すグラフである。 図13は、本発明の標的検出装置の実施の形態5を示す概略説明図である。 図14は、本発明の標的検出装置の実施の形態6を示す概略説明図である。 図15は、実施の形態5〜6の標的検出装置を用いて測定した蛍光粒子の蛍光強度の検出結果の一例を示すグラフである。 図16Aは、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜との接触による消光現象を表す写真(その1)である。 図16Bは、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜との接触による消光現象を表す写真(その2)である。 図16Cは、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜との接触による消光現象を表す写真(その3)である。 図16Dは、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜との接触による消光現象を表す写真(その4)である。 図16Eは、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜との接触による消光現象を表す写真(その5)である。 図17Aは、実施例1で用いた蛍光粒子の合成石英基板上での蛍光変化を表す写真(その1)である。 図17Bは、実施例1で用いた蛍光粒子の合成石英基板上での蛍光変化を表す写真(その2)である。 図17Cは、実施例1で用いた蛍光粒子の合成石英基板上での蛍光変化を表す写真(その3)である。 図17Dは、実施例1で用いた蛍光粒子の合成石英基板上での蛍光変化を表す写真(その4)である。 図17Eは、実施例1で用いた蛍光粒子の合成石英基板上での蛍光変化を表す写真(その5)である。 図18は、実施例1で用いた蛍光粒子の金膜及び合成石英基板上での時間経過(沈降時間又は遠心装置回転数に相当)と蛍光強度との関係を示すグラフである。 図19は、タンパク質の沈降係数(S)と沈降時間Tとの関係を示すグラフである。 図20は、実施例1で用いた標的検出装置を示す概略説明図である。 図21は、実施例1における蛍光粒子の検出結果を示すグラフである。 図22は、時間分解蛍光検出法による蛍光の検出結果の一例を示すグラフである。 図23Aは、本発明の標的検出装置の実施の形態7を示す上面図である。 図23Bは、本発明の標的検出装置の実施の形態7を示す側面図である。 図24Aは、本発明の標的検出装置の実施の形態7における、光ファイバ間隔d、回転速度v及び遅延時間Tdの関係を説明するための概略図(その1)である。 図24Bは、本発明の標的検出装置の実施の形態7における、光ファイバ間隔d、回転速度v及び遅延時間Tdの関係を説明するための概略図(その2)である。 図25は、遅延蛍光粒子の合成基板上及び金膜上での蛍光強度の変化の一例を示すグラフである。 図26は、蛍光色素及び遅延蛍光色素の蛍光強度変化の比較実験の結果を示すグラフである。
符号の説明
10・・・遠心分離装置
12・・・遠心チューブ
14・・・金膜
20・・・励起光源
21・・・励起光
22・・・ダイクロイックミラー
24・・・反射ミラー
30・・・光検出器
31・・・フィルタ
34・・・バンドパスフィルタ
40・・・複合光ファイバ
52・・・蛍光強度信号送信機
54・・・蛍光強度信号受信機
60・・・検出制御手段
72・・・光照射用の光ファイバ
74・・・蛍光検出用の光ファイバ
76・・・ファイバーコリメータ
82・・・オシロスコープ
84・・・増幅器
110・・遠心装置
120・・CW励起光源
130・・光検出器
140・・複合光ファイバ
F・・・・蛍光

Claims (10)

  1. 金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容される第1の容器と、
    前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容される第2の容器と、
    前記第1の容器及び前記第2の容器に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与手段と、
    前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射手段と、
    前記蛍光粒子が前記光照射手段からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出手段と、
    を少なくとも有することを特徴とする標的検出装置。
  2. 第1の容器及び第2の容器における金属が、該容器の内部における底面及び側面の少なくともいずれかに形成された金膜である請求項1に記載の標的検出装置。
  3. 蛍光粒子が、蛍光標識剤、前記蛍光標識剤により標識された標的、前記蛍光標識剤により標識され、かつ前記標的を捕捉可能な標的捕捉体、及び、前記標的と前記標的捕捉体との複合体であって前記蛍光標識剤により標識された粒子から選択される少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の標的検出装置。
  4. 標的が抗原であり、標的捕捉体が抗体である請求項3に記載の標的検出装置。
  5. 蛍光標識剤の蛍光ピーク波長が、500nm〜900nmである請求項3から4のいずれかに記載の標的検出装置。
  6. 蛍光標識剤が、Cy3及び希土類蛍光錯体から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の標的検出装置。
  7. 蛍光検出手段が、遠心力付与手段による遠心力を受けた蛍光粒子の沈降時間及び前記遠心力付与手段の回転数のいずれかに対する蛍光の強度を検出する請求項1から6のいずれかに記載の標的検出装置。
  8. 蛍光標識剤が、希土類蛍光錯体から選択される少なくとも1種であり、
    蛍光粒子が、光を受けて蛍光を生じ、該光の消失後も一定時間、蛍光を持続する遅延蛍光粒子であり、
    前記光照射手段からの光が、前記遅延蛍光粒子に対して、一定の時間間隔で照射され、
    前記光の照射終了時から所定時間経過後に、前記遅延蛍光粒子が発する蛍光の強度を検出するように、蛍光検出手段を制御する検出制御手段を有する請求項6から7のいずれかに記載の標的検出装置。
  9. 光照射手段による光が、特定の第2の容器に照射され、蛍光検出手段が、該第2の容器における蛍光粒子が生じる蛍光の強度を連続的に検出する請求項1から8のいずれかに記載の標的検出装置。
  10. 金属を内部に有してなり、光を受けて蛍光を生じかつ前記金属と接触することにより消光する蛍光粒子が収容された第1の容器、及び、前記金属を内部に有してなり、前記蛍光粒子を少なくとも含む標的試料が収容された第2の容器、に遠心力を付与することにより前記金属と前記蛍光粒子とを接触させる遠心力付与工程と、
    前記第1の容器及び前記第2の容器に収容された前記蛍光粒子それぞれに対して光を照射する光照射工程と、
    前記蛍光粒子が前記光照射工程からの光を受けて生じる蛍光の強度を検出する蛍光検出工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とする標的検出方法。
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