JP2008208266A - インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、および平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開始剤と重合性モノマーと重合性基を有するフッ素基含有ポリマーとを含有するインク組成物、被記録媒体上に、前記インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、を含むインクジェット記録方法、および前記インク組成物を支持体上に吐出する工程と、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させることにより、前記インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記支持体上に形成する工程と、を含む平版印刷版の製造方法。
【選択図】なし
Description
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の被記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化および高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、印刷物の生産性や印字画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インクの高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不充分硬化に基づく低分子物質の揮発発生の防止など、多くの利益が生じる。また、高感度化は、特にインクジェット記録用インクにより形成された画像の強度を向上させ、特に、平版印刷版の形成に応用した場合、画像部の硬化強度が高まることになり、高耐刷性が得られることになる。
また、本発明のさらなる目的は、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像部を有し、耐刷性に優れた平版印刷版、およびその製造方法を提供することにある。
<1> 開始剤と、重合性モノマーと、重合性基を有するフッ素基含有ポリマーと、を少なくとも含有するインク組成物である。
<2> 重合性単官能モノマーを、インク組成物の全固形分に対して50質量%以上含有する前記<1>に記載のインク組成物である。
<3> 着色剤を含有する前記<1>又は<2>に記載のインク組成物である。
<4> インクジェット記録用である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
<5> エンボス加工、真空成形、圧空成形および真空圧空成形から選択される少なくとも一種を施すインク印刷物に使用する前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物である。
<7> 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、かつ被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線である前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
本発明のインク組成物に含有される重合性基を有するフッ素基含有ポリマーは、表面エネルギーが低く、その重合性基を有するフッ素基含有ポリマーにより表面がコートされ、耐擦過性に優れた画像を形成することができるものと思われる。更に、重合性基を有するフッ素基含有ポリマーによって表面の重合性基の密度を高くすることができ、硬化後の表面粘弾性が向上されることにより、表面のべとつきを抑制した画像を形成することができるものと思われる。
また、本発明によれば、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像部を有し、耐刷性に優れた平版印刷版、およびその製造方法を提供することができる。
本発明のインク組成物は、開始剤と、重合性モノマーと、重合性基を有するフッ素基含有ポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とする。
本発明のインク組成物を用いることにより、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を形成することができる。
今日において、成形加工が施された加飾シート等の印刷物は、様々な用途で使用されている。例えば、電化製品等に使用されるメンブレンスイッチ表面シートは、薄プラスチックシート(膜圧約100μmのPET、ポリカーボネート、ポリスチレン等)にイメージ(画像)が形成された後、スイッチ部分(クリック部分)にクリック感を出す目的で、エンボス加工が施される。またその他、印刷物をマット調に仕上げたり、デザイン上立体感を出すため、画像を形成した後の印刷物にエンボス加工を施す例が多く見られる。
これらの加工が施される印刷物に用いられるインクの性能としては、得られた画像(印刷物)がひび割れや剥離等を起こしにくく、硬化膜の耐衝撃性、柔軟性、基材密着性に富むものが求められている。これに対し、本発明のインク組成物は、重合性基を有するフッ素基含有ポリマーを有していることから、表面を効率よく硬化することができるため衝撃に強く、更に、バルクを柔軟な膜(粘弾性が低い軟らかい膜)にしても表面の硬化性(粘弾性が高いべとつきが無い膜)を確保することができるため、画像形成後に上記加工が施される用途において、特に良好な効果を発揮することができる。
尚、本発明のインク組成物の用途としては、上記の中でも特に真空成型用が好ましい。
また、本発明のインク組成物は、前記放射線により硬化して画像を形成するため着色剤を含有することが好ましい。
本発明に係る重合性基を有するフッ素基含有ポリマー(本発明におけるフッ素系ポリマー)は下記(A)または(B)に記載の要件を満たすものであることが好ましい。
(B)下記(一般式I)で表される構成を有するポリマー
本発明におけるフッ素系ポリマーは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれる基を側鎖に有するポリマーであることが好ましい。上記フルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。
本発明においては、インク表面への偏在性の観点から、下記(一般式I)の構成を有する重合性基を有するフッ素基含有ポリマー(本発明におけるフッ素系ポリマー)が好ましい。
具体的な形態としてはアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、無水マレイン酸/α−オレフィン樹脂、α−ヘテロ置換メタクリル樹脂などを用いることができる。その中でも、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用であり、特にアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用である。
次に、前記(A)および(B)に記載の要件を満たすポリマーを含めた、本発明に係る重合性基を有するフッ素基含有ポリマー(本発明におけるフッ素系ポリマー)のより具体的な製造方法について述べる。本発明におけるフッ素系ポリマーは、適切な重合性モノマーを使用し、縮重合または付加重合、開環重合等の、当業者にとって公知の方法で容易に得ることができる。前記(A)の要件を満たすポリマーは、その際のフッ素含有モノマーの原料を適宜選択することにより製造できる。また、前記(B)の要件を満たすポリマーは、モノマーの製造時および重合時に原料を適宜選択し、更に必要に応じて混合するか重合後のポリマーを混合することにより製造できる。
カチオン型重合の重合性基としては環状エーテル重合であることが好ましい。また、ラジカル型重合の重合性基としてはラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基であることが好ましい。
以下に、カチオン型重合、およびラジカル型重合の重合性基について詳述する。
カチオン型重合の重合性基としては、エポキシ基、オキセタン基、オキソラン基などの環状エーテル基を有する置換基が挙げられる。
環状エーテル基として具体的には、カチオン重合性の観点から、下記に示す環状エーテル基であることが特に好ましい。
また、本発明におけるフッ素系ポリマーにおいて、分子内に存在する環状エーテルは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
ラジカル型重合の重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられ、ポリマー中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、およびスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
好ましい分子量は、5,000〜60,000であり、更に好ましくは5,000〜30,000、特に好ましくは5,000〜20,000である。
本発明におけるフッ素系ポリマーの含有量は、本発明のインク組成物中における全固形分に対し0.2〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.2〜1.5質量%が特に好ましい。
本発明におけるフッ素系ポリマーの効果が最もよく発揮されるのは、インク中の単官能モノマー量が多い態様であり、好ましい単官能モノマー含有量は50質量%〜85質量%である。
本発明のインク組成物は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物等の、重合性モノマー(重合性化合物)を含有することを必須とする。
本発明に用いうるカチオン重合性化合物としては、後述する、放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物が好ましく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジまたはトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
Ra2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していてもよく、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
Ra5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、または、C(CH3)2を表す。
Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、または、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、または、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基であり、mは0〜100の整数である。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に併用することができる。当該化合物は、同公報の段落番号[0022]乃至[0058]に詳細に記載されている。
本発明に併用される他のオキセタン化合物のなかでも、組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
また更に、カチオン重合性化合物の中でもカチオン重合性単官能モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましい。カチオン重合性単官能モノマーを上記範囲含有することにより、硬化膜の柔軟性が向上する効果が得られる。
また、本発明のインク組成物に用いうるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物は開始剤を含有することを必須とし、該開始剤としては放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することが好ましい。本発明においては、放射線の照射により発生した酸により、前記した重合性化合物の重合反応が生起し、硬化する。
本発明のインク組成物に用いることのできる開始剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(400nm〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線またはイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
X-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオ
ン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R6cおよびR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。
RxおよびRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、またはビニル基を表す。
R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、およびRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
RxおよびRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
R206、R207およびR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表す。
本発明に用いることのできる開始剤の好ましい化合物例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
インク組成物中の開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、更に好ましくは1質量%〜7質量%である。
本発明においては、着色剤を含有してもよい。
本発明に用いることのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料および油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物またはインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しないことが好ましい。これは、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないためである。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
本発明に用いることのできる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基、長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基およびこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vs SCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
以下に、必要に応じて本発明に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%であることが好ましい。
本発明には、開始剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、開始剤に対し、電子移動機構またはエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。添加量は目的に応じて適宜選択されるが、開始剤に対し0.01モル%〜1モル%で用いることが好ましく、0.1モル%〜0.5モル%がより好ましい。
組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
本発明には、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
本発明には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
本発明には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、または「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物をインクジェット記録用インクとして使用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物が好適に適用されるインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、上記した本発明のインク組成物を、被記録媒体(支持体、記録材料等)上にインクジェット記録装置により吐出する工程、および、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。硬化したインク組成物は、被記録媒体上に画像を形成する。
更に、本発明に適用しうる被記録材料としては、後述する平版印刷版の支持体が挙げられる。
特に、本発明のインクジェット記録方法では、放射線照射が、発光波長ピークが350〜420nmであり、かつ、前記被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。
そのため、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物となる。
本発明の平版印刷版の製造方法は、本発明のインク組成物を支持体上に吐出する工程、および吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させることにより、前記インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記支持体上に形成する工程、を含む平版印刷版の製造方法である。
また、本発明の平版印刷版は、上記本発明の平版印刷版の製造方法により製造された平版印刷版であり、支持体と、該支持体上に形成された疎水性画像とを有する。
(支持体)
本発明の平版印刷版における支持体(被記録媒体)としては、特に限定されず、寸度的に安定な板状の支持体であればよい。支持体としては、親水性の支持体であることが好ましい。支持体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1質量%〜80質量%溶液、液温5℃〜70℃、電流密度5A/dm2〜60A/dm2、電圧1V〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m2〜5.0g/m2であることが好ましく、1.5g/m2〜4.0g/m2であることがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られるので好ましい。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。以下にそれぞれ説明する。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられる。なかでも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液は、更に、リン酸塩化合物を含有することが好ましい。リン酸塩化合物を含有すると、陽極酸化皮膜の表面の親水性が向上するため、機上現像性および耐汚れ性を向上させることができるので好ましい。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。なかでも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
無機フッ素化合物とリン酸塩化合物の組み合わせは、特に限定されないが、水溶液が、無機フッ素化合物として、少なくともフッ化ジルコン酸ナトリウムを含有し、リン酸塩化合物として、少なくともリン酸二水素ナトリウムを含有することが好ましい。
水溶液中のリン酸塩化合物の濃度は、機上現像性および耐汚れ性の向上の点で、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、また、溶解性の点で、20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
水溶液の温度は、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
水溶液は、pH1以上であることが好ましく、pH2以上であることがより好ましく、また、pH11以下であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理の方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。これらは単独で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、浸漬法が好ましい。浸漬法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
水蒸気による封孔処理は、例えば、加圧または常圧の水蒸気を連続的にまたは非連続的に、陽極酸化皮膜に接触させる方法が挙げられる。
水蒸気の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、105℃以下であることが好ましい。
水蒸気の圧力は、(大気圧−50mmAq)から(大気圧+300mmAq)までの範囲(1.008×105〜1.043×105Pa)であることが好ましい。
また、水蒸気を接触させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
水蒸気による封孔処理は、例えば、陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を熱水に浸漬させる方法が挙げられる。
熱水は、無機塩(例えば、リン酸塩)または有機塩を含有していてもよい。
熱水の温度は、80℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましい。
熱水に浸漬させる時間は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、また、100秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウムなどの水溶液で浸漬処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが挙げられる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。この範囲であると、画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られるので好ましい。
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含むものが挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなるものが挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1pl〜100pl、好ましくは、8pl〜30plのマルチサイズドットを例えば、320dpi×320dpi〜4000dpi×4000dpi、好ましくは、400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、より好ましくは、720dpi×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
支持体の表面上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。このとき、インク組成物中に、開始剤とともに、増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、開始剤と接触することによって開始剤の分解を促進させ、より高感度な硬化反応を達成できる。
LEDの被記録媒体上での最高照度は10mW/cm2〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20mW/cm2〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50mW/cm2〜800mW/cm2である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法としては、特開昭60−132767号公報に開示される内容が適用できる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01秒〜0.5秒、好ましくは、0.01秒〜0.3秒、より好ましくは、0.01秒〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。
また、本発明の平版印刷版は、上記平版印刷版の製造方法により形成されていることから、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像部を有し、耐刷性にも優れる。
《インクの調製》
<イエローインク1>
・C.I.ピグメントイエロー13 3質量部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩
(UVI−6992、ダウケミカル社製) 0.8質量部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 8.1質量部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 15.1質量部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン
(OXT−221:東亞合成(株)製) 3.8質量部
モノマー:3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン
(OXT−211:東亞合成(株)製) 56.7質量部
・本発明におけるフッ素系ポリマー:例示化合物(1) 0.9質量部
・C.I.ピグメントレッド57:1 3質量部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩
(UVI−6992、ダウケミカル社製) 10.8質量部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 8.1質量部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 15.1質量部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン
(OXT−221:東亞合成(株)製) 3.8質量部
モノマー:3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン
(OXT−211:東亞合成(株)製) 56.7質量部
・本発明におけるフッ素系ポリマー:例示化合物(1) 0.9質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 3質量部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩
(UVI−6992、ダウケミカル社製) 10.8質量部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 8.1質量部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 15.1質量部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン
(OXT−221:東亞合成(株)製) 3.8質量部
モノマー:3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン
(OXT−211:東亞合成(株)製) 56.7質量部
・本発明におけるフッ素系ポリマー:例示化合物(1) 0.9質量部
・C.I.ピグメントブラック7 3質量部
・光カチオン重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩
(UVI−6992、ダウケミカル社製) 10.8質量部
・増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 8.1質量部
・重合性化合物
モノマー:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(セロキサイド2021A:ダイセルユーシービー社製) 15.1質量部
モノマー:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン
(OXT−221:東亞合成(株)製) 3.8質量部
モノマー:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
(OXT−101:東亞合成(株)製) 56.7質量部
・本発明におけるフッ素系ポリマー:例示化合物(1) 0.9質量部
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度100mW/cm2に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
<マゼンタインク2>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を、前記例示化合物(2)に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク2を調製した。
<マゼンタインク3>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を、前記例示化合物(12)に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク3を調製した。
<マゼンタインク4>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を、前記例示化合物(13)に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク4を調製した。
<マゼンタインク5>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、増感色素として用いた「9,10−ジブトキシアントラセン」8.1質量部を、「Darocur ITX(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)」8.1質量部に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク5を調製した。
<マゼンタインク6>
実施例1で調製したマゼンタインク1において用いた「C.I.ピグメントレッド57:1」3質量部を、下記に示す「油溶性染料M−1 酸化電位+1.37V」3質量部に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク6を調製した。
<マゼンタインク7>
実施例1で調製したマゼンタインク1において用いた「C.I.ピグメントレッド57:1」3質量部を、下記に示す「油溶性染料M−2 酸化電位+0.94V」3質量部に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク7を調製した。
<マゼンタインク8>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を添加しなかったこと以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク8を調製した。
<マゼンタインク9>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を、下記比較化合物(1)に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク9を調製した。
<マゼンタインク10>
実施例1で調製したマゼンタインク1において、前記例示化合物(1)を、下記比較化合物(2)に変更した以外は、前記マゼンタインク1と同様にして、マゼンタインク10を調製した。
以上のようにして調製した、実施例2〜7および比較例1〜3のマゼンタインク2〜10と、実施例1で調製したマゼンタインク1とを用いて、吐出するインクをマゼンタ1色のみに変更した以外は実施例1と同様の方法により、マゼンタ画像を作製した。
それぞれのインクを用いて、上記方法により形成したマゼンタ画像のうち、軟質塩化ビニルシートに形成した画像について、下記に記載の方法に準じて評価を行った。評価結果を表1に示す。
紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm2)を硬化感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
軟質塩化ビニルシートを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
実施例1で調製したマゼンタインク1を使用し、吐出するインクをマゼンタ1色のみに変更し、且つ用いたメタルハライドランプ(Integration Technology社製のVzero085)の代わりに、紫外発光ダイオード(UV−LED)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット画像記録を行った。
尚、上記UV−LEDとしては、日亜化学製のNCCU033を用いた。当該LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、500mAの電流を通電することにより、チップから100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体(以下、メディアとも言う)表面で0.3W/cm2のパワーが得られる。打滴後露光されるまでの時間、および露光時間はメディアの搬送速度およびヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、0.5秒後に露光される。
メディアとの距離および搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cm2の間で調整することができる。
実施例8において、マゼンタインク1の代わりに、比較例1にて調製したマゼンタインク8を用いた以外は、実施例8と同様にしてインクジェット画像記録を行った。
それぞれ形成した画像について、前記に記載の方法に準じて、硬化感度、ブロッキング性、擦過性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
《インクジェット画像記録》
まず、実施例1に記載の4色のインクを調製した。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度2,100mW/cm2に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を6,000mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ コーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
また、被記録媒体として、下記エンボス加工テスト用にはHK31−WF(膜厚120μm、PET、東山フイルム社製)を用い、真空成形テスト用には、テフレックスFT−3(膜圧50μm、PET、帝人デュポン社製)を使用した。各サンプルともインク硬化膜の平均膜圧が12μmになるよう描画を行った。
(エンボス加工テスト)
25℃条件下、作成した印刷物を図1(A)に示すステンレス製凸金型と、図1(B)に示すステンレス製凹金型との間に挟み、プレス機MIZUHOA型ハンドパワー(松下電動工具社製)をもちいて、加重150kgを5秒間加え、エンボス加工を行った。画像のエンボスされた部分にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。ひび割れ、白抜けが生じていない場合を○、ひび割れ、白抜けが生じている場合を×で評価。
真空成形装置フォーミング300X(成光産業社製)を用い、支持体の温度が90℃になるようにヒーターの温度を設定し、真空テーブルの中心に図2に示す木製型を設置し真空成形を行った。成形された印刷物にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。ひび割れ、白抜けが生じていない場合を○、ひび割れ、白抜けが生じている場合を×で評価。結果を表3に示す。
《支持体の作製》
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供しアルミニウム支持体を作製した。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後には、ニップローラーで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気
量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流さ
せた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間が0.8msec、duty比1:1、台形の炬形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気
量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.12g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一および第二給電部長各3m、第一および第二給電部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
上記で作製したアルミニウム支持体上に、実施例1のインク組成物を用いて印字し、実施例1と同様にして画像を形成し、硬化させた。
これを平版印刷版として、以下の方法で、画像の評価、および耐刷性の評価を行った。
実施例1のインク組成物を用いて作製した平版印刷版を、ハイデルKOR−D機に掛け、インク〔枚葉用VALUES−G紅(大日本インク(株)製)〕と湿し水〔Ecolity2(富士写真フイルム(株)製)〕とを供給して印刷を行った。100枚印刷後の印刷物を目視で評価した。その結果、画像部の白ヌケ、および、非画像部の汚れのない良好な画像であることを確認した。
そのまま印刷を継続したところ、画像部の白ヌケ、および非画像部の汚れのない高画質の印刷物が10,000枚以上得られ、耐刷性も実用上問題のないレベルであることを確認した。
<マゼンタインク11>
・フェノキシエチルアクリレート 36質量部
・Actilane 421
(※:Akcros社製アクリレートモノマー) 16.0質量部
・n−ビニルカプロラクタム 18質量部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4質量部
・Cinquasia Mazenta RT−355D 3.6質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05質量部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製ビニルエーテル) 8.0質量部
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤分) 8.5質量部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0質量部
・Irgacure 184 4.0質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05質量部
・本発明におけるフッ素系ポリマー:例示化合物(10) 0.9質量部
<マゼンタインク12>
実施例11で調製したマゼンタインク11において、前記例示化合物(10)を添加しなかったこと以外は、前記マゼンタインク11と同様にして、マゼンタインク12を調製した。
以上のようにして調製した、実施例11および比較例5のマゼンタインク11〜12を用いて、吐出するインクをマゼンタ1色のみに変更した以外は実施例1と同様の方法により、マゼンタ画像を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表4に示す。
Claims (10)
- 開始剤と、重合性モノマーと、重合性基を有するフッ素基含有ポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とするインク組成物。
- 重合性単官能モノマーを、インク組成物の全固形分に対して50質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 着色剤を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- エンボス加工、真空成形、圧空成形および真空圧空成形から選択される少なくとも一種を施すインク印刷物に使用することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 被記録媒体上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、
吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記活性放射線が、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にあり、かつ被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードにより照射される紫外線であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項6または請求項7に記載のインクジェット記録方法によって記録されたことを特徴とする印刷物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物を支持体上に吐出する工程と、
吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させることにより、前記インク組成物が硬化してなる疎水性画像を前記支持体上に形成する工程と、
を含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法。 - 請求項9に記載の平版印刷版の製造方法によって製造されたことを特徴とする平版印刷版。
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