JP2007187477A - 蛍光検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛍光検出装置に関し、フィルタを用いて分光するなどの手段を採らなくて済むように、また、バックグランド蛍光などが蛍光検出感度限界に影響することがないようにする。
【解決手段】被測定物24の近傍に配置されて励起光の照射で被測定物24から発生する蛍光を伝播させる第1の受光ファイバ25と、蛍光の波長に近接した波長をもつ光を伝播させる第2の受光ファイバ27と、蛍光と光とが同時に入射されて蛍光と光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器29とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、励起光によって蛍光を発生する被測定物、例えば蛍光剤で標識された微小試料、DNA、マイクロアレイチップ、プロティンチップなどからの微弱蛍光を検出する場合に用いて好適であって、医学、生物学、更には医療診断などに応用可能な蛍光検出装置に関する。
一般に、蛍光標識された微小試料からの蛍光検出では、励起光を試料に照射し、発生する蛍光強度を検出しているが、
(1) 励起光と蛍光の僅かな波長の違いを利用して、蛍光のみを光学フィルタで分離検 出する方法、
(2) 励起光を遮断しても蛍光がしばらく発生(遅延蛍光)しているような蛍光剤を利 用して、励起光を遮断してから蛍光を検出する時間分解蛍光検出法、
などが知られている。
図9は近年多くの研究がなされている時間分解蛍光検出法を説明する為の蛍光検出装置を表す要部説明図であり、図に於いて、例えばパルスYAGレーザからなるパルス励起光源1から励起光パルスをバンドパスフィルタ2、ダイクロイックミラー3、対物レンズ4を介して蛍光標識した微小試料である被測定物5に照射し、被測定物5からの蛍光を対物レンズ4、ダイクロイックミラー3、バンドパスフィルタ6を介して光検出器7に導き、その強度を検出するようにしている。また、光源1からのトリガー信号を光検出器7に入力して計測開始時間、計測時間範囲を制御している。更に、この測定を行うには、単一励起光パルスのみならず、必要あれば、何回も一定時間間隔で励起光パルスを被測定物5に照射し、その都度、得られる蛍光を積算して計測することも行われている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
前記測定を行う場合、励起光パルスは所定の波長のものとしなければならず、また、所定波長の蛍光を検出しなければならないことから、励起光と蛍光の光路には、ダイクロイックミラー3に加えてフィルタ2及び6を介挿することが必須になっている。従って、これらのミラーやフィルタでの光の反射、減衰によって検出感度が劣化する問題が起こることは云うまでもない。
前記従来の技術に対し、ダイクロイックミラーを必要としない構成の蛍光検出装置も提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4を参照。)。
図10はダイクロイックミラーを用いない従来の蛍光検出装置を例示する要部説明図であり、図9に於いて用いた記号と同じ記号で指示した部分は同一或いは同効の部分を表している。
図10に見られる蛍光検出装置に於いて、励起光源11として、レーザ或いは発光ダイオードが用いられ、それらの光をビーム集光レンズ12を介して被測定物5に斜めから照射する点で図9に見られる光検出装置と異なっている。
前記したところから明らかなように、従来の蛍光検出装置では、被測定物から発生する蛍光の強度(光電力)、或いは、蛍光標識剤からの蛍光の強度を検出するようにしているので、その蛍光と励起光とが混在する場合、フィルタを用いて目的とする光を分光する必要がある。また、基板などの部材から発生するバックグランド蛍光も蛍光検出装置の検出感度限界を制限する大きな要因になっている。
特開2002−181708号公報 特開2002−286639号公報 特開平6−148076号公報 特開平7−174701号公報 特開平7−120327号公報
本発明では、蛍光検出装置に於いて、フィルタを用いて分光するなどの手段を採らなくて済むように、また、バンドグランド蛍光などが蛍光検出感度限界に影響することがないようにする。
現在、蛍光検出装置に極めて有用な蛍光剤が開発されている。即ち、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)など希土類元素が配合され、光吸収スペクトルの極大値が波長450nm以下、蛍光スペクトルの極大値が波長450nm以上であり、励起光パルス照射後、0〜4ミリ秒程度の間、蛍光を発生し続けられるものが開発され、その特性から標識剤としての応用が期待されている。
図11及び図12は励起光照射後に蛍光が持続する蛍光標識剤の特性を説明する為の線図であり、図11は波長(nm)と光強度(任意単位)との関係を、図12は時間(ミリ秒)と光強度(任意単位)との関係をそれぞれ示している。
図11及び図12はDTBTA−Eu3+と呼ばれる蛍光標識剤に関するデータであり、この場合、濃度が1.52×10-6モル/リットルで、図中、λex.maxは励起光波長を、また、λem.maxは蛍光強度最大波長をそれぞれ示し、そして、実線は通常の蛍光モードの特性線を、破線は時間分解蛍光モードの特性線をそれぞれ表している。
このような蛍光標識剤を用いた場合、励起光照射後、蛍光検出装置のゲートを開いて蛍光標識剤からの残光(遅延蛍光)のみを容易に検出できるので、基板などからのバックグランド蛍光を検出する可能性は極めて小さくなり、蛍光検出装置を大幅に高感度化することが可能となる。
また、前記蛍光標識剤の蛍光スペクトルは一般にシャープであり、特定の波長域で強い蛍光を発生する。このスペクトルの中心波長は蛍光標識剤に依って決定され、蛍光標識された対象物からの影響は受けない。更に、励起光と蛍光の波長は大きく離れている(ストークスシフトが大きい)。
図11から明らかなように、前記蛍光標識剤では300nm付近に極大吸収スペクトルが存在し、これに依って600nm付近にシャープな蛍光スペクトルが観測される。
この尖鋭な蛍光スペクトルを第1の蛍光とし、この蛍光の波長に近い波長の光(光ヘテロダイン検波に於ける局部発振光に相当)とを光検出器に入射し、これ等の光のビート信号、即ち、蛍光と光との差周波数を検出することで、物理的に光学フィルタを用いることなく、光検出器から得られるビート周波数の光をバンドパスフィルタで取り出すことができる。このようなビート信号は、検出後、簡単に増幅することが可能であるから、蛍光検出装置の高感度化に寄与することができ、また、時間分解蛍光検出法も実施できる構成を提供することも可能となる。
若し、蛍光の波長に近い波長の光を発生するべき局部発振用レーザがない場合であっても、蛍光標識剤を施した被測定物を移動させ、適当な時点で蛍光を受光することで2つの信号を実現し、それ等信号からドップラー効果を利用して光のビート信号を得ることもできる。これ等については、本発明に於ける実施の形態に関する説明を見ることで更に明らかとなる。
尚、本発明に於いて必要である光のビート信号を検出する回路の構成は既に公知であり(例えば、特許文献5を参照。)、また、光ヘテロダイン検出や光の波長域に於けるドップラー効果も既知である。
前記したところから、本発明に依る蛍光検知装置に於いては、被測定物の近傍に配置されて励起光の照射で被測定物から発生する蛍光を伝播させる第1の受光ファイバと、該蛍光の波長に近接した波長をもつ光を伝播させる第2の受光ファイバと、該蛍光と該光とが同時に入射されて該蛍光と該光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器とを備えてなることが基本になっている。
前記手段を採ることに依り、フィルタを用いて分光するなどの手段を採る必要はなくなり、そして、バックグランド蛍光などが蛍光検出感度限界に影響することは皆無になり、蛍光検出感度は向上する。
本発明を実施する蛍光検出装置を構成する場合に問題となるのは、
(1)蛍光標識された被測定物からの蛍光を如何に光検出器に導くかの手段。
(2)蛍光に波長が近く、光ビート信号(差周波数)の周波数を容易に増幅できる帯域である50Hz〜1GHzの周波数にできるヘテロダイン検出に於けるローカル光に相当する光を発生させる手段。
(3)DNAチップやプロテインチップなど基板にスポット状に存在する被測定物の位置分解能が十分に得られる手段。
(4)時間分解蛍光検出と光ヘテロダイン検出を組み込んだコンパクトな構成を実現する手段。
であると考えられる。
前記(1)への対処
被測定物の所定の面積から発生した蛍光を効率よく光検出器に導く手段として、図1に見られるように光ファイバを用い、そして、光ファイバの先端を図2に見られるようにレンズ加工する、微小集光機構を付加する、などの手段を講じ、これらを極力、被測定物に接近させる。
図1は本発明に依る実施の形態を説明する為の蛍光検出装置を表す要部説明図であり、図に於いて、21は励起光用レーザ、22は励起光用光ファイバ、23は被測定物搭載基板、24は被測定物、25は被測定物からの蛍光を受光し且つ伝播する第1の受光ファイバ、26は局部発振用レーザ、27は局部発振用レーザからの光を受光し且つ伝播する第2の受光ファイバ、28は蛍光及び光を合波する合波器、29は光検出器、30は負荷抵抗、31は増幅器、32はフィルタをそれぞれ示している。
尚、以下に説明する実施の形態では、測定対象となる蛍光標識された被測定物が被測定物搭載基板に載置され、励起光用光ファイバ、受光ファイバなどの光学系に対して移動する構成を主に説明しているが、これ等の間の移動は相対的であれば良いので、前記のように被測定物を光学系に対して移動する構成、光学系を被測定物に対して移動する構成の何れを選択するかは任意である。また、用いている各光ファイバは、ファイバ以外の光導波路に代替することができる。
図2は図1の蛍光検出装置に用いる光ファイバを説明する為の要部側面説明図であり、図に於いて、(A)は励起光用光ファイバ或いは第1の受光ファイバとして用いることができる光ファイバであって、先端が球面加工されたり、或いは、テーパ先球加工されたものを示し、(B)は同じく励起光用光ファイバ或いは第1の受光ファイバとして用いることができる光ファイバであって、先端にマイクロレンズ、非球面レンズ、ロッドレンズなどを装着したものを示し、(C)は同じく励起光用光ファイバ或いは第1の受光ファイバとして用いることができる光ファイバであって、ファイバ素線の表面に金属をコートし、その光ファイバ端が金属をコート膜外周から若干突出しているもの、或いは、逆に若干陥没しているもの、更に、光ファイバ端が凹面や凸面に加工されたものなどを用いることができる。
前記(2)への対処
第1の受光ファイバからの蛍光に波長が近いレーザ光源がある場合は、図1について説明したように、そのレーザ光源を局部発振用レーザとして使用すれば良いが、そのようなレーザ光源が無い場合には、図3或いは図4について説明する手段を採ると良い。
図3及び図4は蛍光検出装置に於ける励起光用光ファイバ及び蛍光受光ファイバの近傍を表す要部説明図であり、図に於いて、41は励起光用光ファイバ、42は第1の蛍光を受光する第1の受光ファイバ、43は第2の蛍光を受光する第2の受光ファイバ、44は被測定物搭載基板、45は被測定物、46は絞り込まれた励起光、47は拡散された励起光、Vは被測定物搭載基板の移動速度、θは被測定物搭載基板と第1の受光ファイバ42とがなす角度、Vd2は受光ファイバ42及び受光ファイバ43の入射端に対する速度をそれぞれ示している。尚、図3に示した蛍光検出装置では、励起光46が集光されているので時間分解蛍光検出法を実施することができる。これは、後に説明する図6及び図7の場合も同様である。
図3及び図4に見られる蛍光検出装置に於いては、被測定物45を一定の速度Vで移動させ、励起光を照射し蛍光を発生させる。また、被測定物45が近づく位置と遠ざかる位置にそれぞれ受光ファイバ42と43を配置し、被測定物45からの蛍光をそれぞれの受光ファイバ42と43に導き、それ等の出力である蛍光を光検出器に入射する。
この場合の具体的な数値は実施例に於いて開示するが、被測定物45からの蛍光は速度Vに起因するドップラー効果に依って僅かに周波数が変化する。即ち、被測定物45が近づく位置にある受光ファイバ42では、蛍光の波長が短くなって、周波数は高く検出される。これとは逆に、被測定物45が遠ざかる位置にある受光ファイバ43では、蛍光の波長が長くなって、周波数は低く検出される。
上記両方の光の偏波方向などを調整して光検出器に同時に入射させれば、それぞれの入射光の周波数差に基づく光のビート信号が得られ、そして、被測定物45の移動速度Vを適当な値に設定するとビート信号の周波数を50Hz〜1GHzにすることができ、増 幅器で容易に増幅することが可能となる。
ここで重要であるのは、ビート信号のスペクトル単色性ではなく、メガヘルツオーダの増幅器で高倍率に増幅可能なビート周波数が得られることであり、ビート周波数が幅広い波長変動幅を持っていることは問題ではなく、所定のバンド幅のビート信号をフィルタで切り出し、その信号強度と蛍光強度との対応が取れれば良い。
図3(図6及び図7の場合も同様)に見られる蛍光検出装置では、励起光46が集光されていて、集光位置から被測定物45がずれて、遅延蛍光だけが存在している時、受光ファイバ42及び43に遅延蛍光が入射されるようになっている。この場合には、時間分解蛍光検出法に依る効果が得られる。
前記(3)への対処
被測定物45の蛍光スポット面積、配列密度に対して十分な分解能を実現するには、受光ファイバ42及び43のコア径、受光ファイバ42及び43の先端間の距離、更には、2本の受光ファイバ42及び43の各先端にマイクロレンズなどの集光機構を付加する、などの処置に採ることに依って多数スポットからの蛍光を識別することができる。尚、特に断りがない限り、本発明では、端面がフラットな受光ファイバを主体にして説明を行っている。
前記(4)への対処
図3(図6及び図7の場合も同様)に見られる基本的構成をもつ蛍光検出装置では、時間分解とヘテロダイン検出の両方を実現することができる。
図5には図3に見られる基本構成を含む蛍光検出装置を具体化して示した要部説明図であり、図1及び図3に於いて用いた記号と同じ記号で指示した部分は同一或いは同効の部分を表すものとする。即ち、図5に於いては、励起光ファイバ41、第1の受光ファイバ42、第2の受光ファイバ43が図3で説明した部分及び記号と同じであり、その他は全て図1で説明した部分及び記号と同じである。
図5から明らかなように、蛍光検出装置は光ファイバを基本にして構成してあるので、将来、光検出系の小型化を期待できる。唯、光ファイバによる励起・検出系と被測定物搭載基板23とは相対的に速度Vをもって移動させなければならないが、光ファイバからなる励起・検出系に於いては、これらを振動させる手段を採り、そして、被測定物搭載基板に於いては、被測定物をリニアステージで移動させる、円板上で回転移動させる、円筒形ドラム上で回転させるなどの手段を採るなどすれば、その移動速度或いは回転速度からすれば、装置が大型化することはない。
図1乃至図5、例えば図3に見られるように、相対的に蛍光スポットを担持する被測定物45が速度Vで移動しているものとし、被測定物45が搭載されている基板44に対して受光ファイバが角度θだけ傾いている場合、受光ファイバ42及び43の入射端に対する速度は、おおよそ、Vd2=V・cos(θ)で受光ファイバ42に近づき、且つ、受光ファイバ43から遠ざかる。ここで、蛍光の周波数をfs、光の速度をCoとすると、受光ファイバ42で検出される光の周波数f1はドップラー効果に依り
f1=fs・Co/(Co−V・cos(θ))
受光ファイバ43で検出される光の周波数f2は同じくドップラー効果に依り
f2=fs・Co/(Co+V・cos(θ))
となる。
従って、これらの光を図5に見られるように合波器28に導き、光検出器29で検出すると、光電流は|f1−f2|の差周波数で変動する高周波電流となる。
ここで、θ=30度、蛍光波長=615nmとし、被測定物搭載基板を回転円板とし、その回転円板の中心から半径10cmの位置に被測定物に於ける蛍光スポットを位置させるものとし、回転円板の回転数を50(rpm)とすると、
V=0.52m/sec、Vd2=0.45m/sec
ビート周波数=約1.48MHz となる。
受光ファイバ42及び43の先端間距離を1mmとすると、蛍光が受光ファイバ42及び43に入射している時間は2msec程度となって蛍光標識剤の遅延蛍光時間と略一致させることができる。即ち、遅延蛍光が2msec以上である蛍光標識剤は存在しているから、上記のような数値条件で、図5に見られる蛍光検出装置は容易に実現可能である。
前記の1.48MHzビート信号は、オシロスコープを用いれば、前記2msecの時間のあいだ検出することは容易である。蛍光検出の為の受光ファイバに於けるコア径を125μmφ、先端間距離125μm、θ=30度、蛍光波長=615nmとして、回転円板の中心より10cmに蛍光スポットが在るようにし、回転数30(rpm)とするとV=0.3m/sec、Vd2=0.27m/secとなり、ビート周波数は約0.9MHzとなる。
図6に見られる蛍光検出装置では、蛍光標識剤の励起にHe−Cdレーザ(発振波長:325nm)を使用し、図示されているように、蛍光標識剤50を用いてスポット標識した合成石英からなる基板44の裏面から集光された励起光46を照射している。
この装置では、照射位置を微細に調整できるので、照射中に発生するバックグランド蛍光を時間分解で取り除き、標識剤50だけからの蛍光を検出する調整を容易に行うことができる。
図7に見られる蛍光検出装置では、蛍光標識剤50を励起光側と同じ側の基板面に位置させ、その蛍光を検出するのは基板の反対面側で行うようにしている。この構成にした場合、基板44は、He−Cdレーザの光を遮断し、蛍光標識剤50からの615nmの蛍光のみを透過することができ、325nmの紫外線は遮断することができるので実体顕微鏡で主要部分を観察しつつ作業することが可能である。また、基板44の材料としては、励起波長である325nmの光を透過する必要はなく、615nmの蛍光に対して充分な透過率をもてば良いから、基板44からのバックグランド蛍光の低減に有効である。
図8は蛍光スポットをもつ被測定物の移動速度V及びビート信号周波数の関係を表す線図であり、このデータを得た条件は、θ=30度、蛍光波長=615nmである。
図示された周波数応答は、通常の受光素子で充分に応答できる範囲の周波数であり、そして、必要あれば、特定周波数の選別をバンドパスフィルタによって実施可能であり、その信号はローノイズの小型高利得増幅器で容易に増幅できる。
ところで、図5について説明した構成の蛍光検出装置に於いて、多数の被測定蛍光スポットからのビート信号を測定するには、蛍光スポットの位置と検出信号とを対応付けられるように移動速度Vの制御が必要となる。
被測定物を回転ドラムにセットした場合、ドラムの回転数、ドラムの回転軸方向への押し出し量を制御し、押し出し量を小さくすることに依り、同一被測定物からのビート信号を複数回検出できるから、これらを画像処理技術によって積算すれば、測定方法に依る高感度化が実現できる。
本発明に於いては、前記説明した実施の形態を含め、多くの形態で実施することができるので、以下、それを付記として例示する。
(付記1) 被測定物の近傍に配置されて励起光の照射で被測定物から発生する蛍光を伝播させる第1の受光ファイバと、
該蛍光の波長に近接した波長をもつ光を伝播させる第2の受光ファイバと、
該蛍光と該光とが同時に入射されて該蛍光と該光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
(付記2)
蛍光を発生しつつ一定の速度で移動する被測定物と、
該移動する被測定物が近づく位置に配置されて第1の蛍光を受光する第1の受光ファイバ及び該移動する被測定物が遠ざかる位置に配置されて第2の蛍光を受光する第2の受光ファイバと、
第1の受光ファイバからの第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
(付記3)
励起光の照射で蛍光を発生する被測定物に対して一定速度で近づきつつ第1の蛍光を受光する為に配置した第1の受光ファイバ及び該一定速度で遠ざかりつつ第2の蛍光を受光する為に配置した第2の受光ファイバと、
該第1の受光ファイバ及び第2の受光ファイバと共に移動しつつ励起光を被測定物に対して照射する励起光源と、
第1の受光ファイバからの第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
(付記4)
第1の受光ファイバに第1の蛍光が入射されるよりも時間的に早い位置で被測定物に励起光を照射する励起光源と、
被測定物に施された蛍光標識剤が励起された後の残光である遅延蛍光のみからなる第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの光或いは第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と光或いは第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
を備えることを特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記5)
受光ファイバに被測定物からの蛍光を導入することが可能な範囲の全面を励起光で照射すると同時に被測定物からの第1の蛍光及び第2の蛍光或いは局部発振用レーザからの光に依るビート信号を検出すること
を特徴とする(付記2)或いは(付記3)記載の蛍光検出装置。
(付記6)
受光ファイバが端面に球面レンズ、マイクロレンズ、ロッドレンズ、プリズムから選択された微小光学構造をもつものであること
を特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記7)
励起光源の励起光出射端が光ファイバ或いは他の光導波路の何れかであること
を特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記8)
励起光源の励起光出射端が平坦、凸レンズ状、励起光の出射角を調整できる微小光学構造の何れかに加工されてなること
を特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記9)
蛍光標識された被測定物を搭載する移動体が、一軸方向に高速で移動できるリニアステージであるか、回転する円板であるか、回転する円筒体であるかの何れかであること
を特徴とする(付記2)記載の蛍光検出装置。
(付記10)
励起光が被測定物を搭載した基板の裏面側から基板を透過して照射されるか、或いは、被測定物を搭載した基板の表面側から照射されるかの何れかであること
を特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記11)
被測定物から発生する蛍光を被測定物を搭載した基板の裏面側から基板を透過して検出するか、或いは、被測定物を搭載した基板の表面側から検出するかの何れかであること
を特徴とする(付記1)乃至(付記3)の何れか1記載の蛍光検出装置。
(付記12)
励起光源の励起光出射端が光ファイバ或いは光導波路の何れかであること
を特徴とする(付記1)乃至(付記12)の何れか1記載の蛍光検出装置。
本発明に依る実施の形態を説明する為の蛍光検出装置を表す要部説明図である。 図1の蛍光検出装置に用いる光ファイバを説明する為の要部側面説明図である。 蛍光検出装置に於ける励起光ファイバ並びに蛍光受光ファイバの近傍を表す要部説明図である。 蛍光検出装置に於ける励起光ファイバ並びに蛍光受光ファイバの近傍を表す要部説明図である。 図3に見られる基本構成を含む蛍光検出装置を具体化して示した要部説明図である。 蛍光検出装置に於ける励起光ファイバ並びに蛍光受光ファイバの近傍を表す要部説明図である。 蛍光検出装置に於ける励起光ファイバ並びに蛍光受光ファイバの近傍を表す要部説明図である。 蛍光スポットをもつ被測定物の移動速度V及びビート信号周波数の関係を表す線図である。 時間分解蛍光検出法を説明する為の蛍光検出装置を表す要部説明図である。 従来のダイクロイックミラーを用いない蛍光検知装置を例示する要部説明図である。 励起光照射後に蛍光が持続する蛍光標識剤の特性を説明する為の線図である。 励起光照射後に蛍光が持続する蛍光標識剤の特性を説明する為の線図である。
符号の説明
21 励起光用レーザ
22 励起光用光ファイバ
23 被測定物搭載基板
24 被測定物
25 第1の受光ファイバ
26 局部発振用レーザ
27 第2の受光ファイバ
28 蛍光と光を合波する合波器
29 光検出器
30 負荷抵抗
31 増幅器
32 フィルタ

Claims (5)

  1. 被測定物の近傍に配置されて励起光の照射で被測定物から発生する蛍光を伝播させる第1の受光ファイバと、
    該蛍光の波長に近接した波長をもつ光を伝播させる第2の受光ファイバと、
    該蛍光と該光とが同時に入射されて該蛍光と該光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
    を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
  2. 蛍光を発生しつつ一定の速度で移動する被測定物と、
    該移動する被測定物が近づく位置に配置されて第1の蛍光を受光する第1の受光ファイバ及び該移動する被測定物が遠ざかる位置に配置されて第2の蛍光を受光する第2の受光ファイバと、
    第1の受光ファイバからの第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
    を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
  3. 励起光の照射で蛍光を発生する被測定物に対して一定速度で近づきつつ第1の蛍光を受光する為に配置した第1の受光ファイバ及び該一定速度で遠ざかりつつ第2の蛍光を受光する為に配置した第2の受光ファイバと、
    該第1の受光ファイバ及び第2の受光ファイバと共に移動しつつ励起光を被測定物に対して照射する励起光源と、
    第1の受光ファイバからの第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
    を備えてなることを特徴とする蛍光検出装置。
  4. 第1の受光ファイバに第1の蛍光が入射されるよりも時間的に早い位置で被測定物に励起光を照射する励起光源と、
    被測定物に施された蛍光標識剤が励起された後の残光である遅延蛍光のみからなる第1の蛍光及び第2の受光ファイバからの光或いは第2の蛍光が同時に入射されてドップラー効果で第1の蛍光と光或いは第2の蛍光との差周波数からなる光のビート信号を検出する光検出器と
    を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1記載の蛍光検出装置。
  5. 受光ファイバに被測定物からの蛍光を導入することが可能な範囲の全面を励起光で照射すると同時に被測定物からの第1の蛍光及び第2の蛍光或いは局部発振用レーザからの光に依るビート信号を検出すること
    を特徴とする請求項2或いは請求項3記載の蛍光検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013200125A (ja) * 2012-03-23 2013-10-03 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
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JP2016042101A (ja) * 2015-12-03 2016-03-31 オリンパス株式会社 光検出装置、顕微鏡および内視鏡
CN108469525A (zh) * 2018-06-30 2018-08-31 武汉生之源生物科技股份有限公司 一种荧光免疫分析装置及方法

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