JP2004190976A - 熱輸送装置及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】高い熱輸送能力及び熱輸送効率をもち、小型化や薄型化に適した熱輸送装置を提供する。
【解決手段】熱輸送装置1において、蒸発部(3A、3B)と凝縮部(4A、4B)とを繋ぐ流路として気相路(5A、5B)複数の液相路(6A、7A)を有し、蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有する。これにより、液相路への気相混入に起因する性能低下や機能不全を防止する。また、液相路に関しては、その断面積が凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくされており、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐ。これによりドライアウト後でも、ウィック部やその近傍の液相路部が、液相の作動流体で満たされるので、安定した動作を実現できる。
【選択図】 図2
【解決手段】熱輸送装置1において、蒸発部(3A、3B)と凝縮部(4A、4B)とを繋ぐ流路として気相路(5A、5B)複数の液相路(6A、7A)を有し、蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有する。これにより、液相路への気相混入に起因する性能低下や機能不全を防止する。また、液相路に関しては、その断面積が凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくされており、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐ。これによりドライアウト後でも、ウィック部やその近傍の液相路部が、液相の作動流体で満たされるので、安定した動作を実現できる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発部と凝縮部を備えた熱輸送装置及び電子デバイスに関するものである。詳しくは、流体MEMS(Micro‐Electro‐Mechanical Systems)分野でのキャピラリポンプループ(CPL:Capillary pumped loops)、ループヒートパイプ等を用いて小型化や薄型化に適した熱輸送を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
放熱や冷却用として、各種のデバイス(ヒートパイプやヒートシンク、放熱フィン等)が広く使用されているが、近時における電子デバイス技術及びマイクロマシン技術の発達により、コンパクトなデバイスを作成することが可能となり、半導体製造プロセス等を利用した、所謂MEMS技術が着目されている。そして、このMEMS技術を熱輸送装置に用いる研究が行われている。この背景には、小型化で高性能な電子機器に適した熱源の冷却システムが求められていること及び処理速度等の性能向上が著しいCPU(中央処理装置)等のデバイスで発生する熱を効率良く放熱する必要性等が挙げられる。
【0003】
キャピラリポンプループを用いた構成では、例えば、蒸発部において冷媒を気化させることにより対象物の熱を奪うとともに、気化した冷媒を凝縮部で液体に戻すといったサイクルが繰り返される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
蒸発部や凝縮部を備えたシステム構成において、基本的には、下記に示す方式で熱輸送が行われる。
【0005】
(1)凝縮部から輸送された液体の作動流体が、液相路を通って蒸発部に到達し、蒸発部で外部からの熱を受けて気化する
(2)気化した作動流体は、気相路を通り凝縮部に向けて高速で移動し、凝縮部で熱を外部に放出し、再び液体に戻る
(3)(1)及び(2)の一連の熱輸送が、閉じられた配管内で繰り返し行われる。
【0006】
【非特許文献1】
Jeffrey Kirshberg,Dorian Liepmann,Kirk L.Yerkes,「Micro-Cooler for Chip-Level Temperature Control」,Aerospace Power Systems Conference Proceedings,(米国),Society of Automotive Engineers,Inc.,1999年4月,P-341,p.233-238
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、熱輸送効率や熱輸送能力に関して下記に示すような問題がある。
【0008】
蒸発部と凝縮部を有する熱輸送システムにおいて、気相路内の気体が凝縮部へと到達する前に、外部に熱を放出し凝縮して液体に戻ってしまうと、その液体によって気体の移動が阻害されるため、熱輸送効率が低下する虞がある。
【0009】
また、液相路の液体が蒸発部に到達する前に外部からの熱を受けて気化すると、その気体によって液体の移動が阻害されるため、熱輸送効率が低下する虞がある。
【0010】
さらに、運転開始時の初期状態では、液相路及びウィック部(作動液の保持や還流の役目をもつ)が、液相の作動流体で満たされる必要がある。そのため、安定した熱輸送を行うには、運転開始時にウィック部及び液相路が液相の作動流体で満たされる必要があり、液相路の断面積を小さくして、その毛細管力により液体の保持力を高める必要がある。
【0011】
この場合に、液相路での流体抵抗が大きくなると、熱輸送できる距離が短くなり、熱量が小さくなってしまう虞がある。即ち、限られたウィック部の毛細管力で作動流体を還流させる熱輸送装置では、その熱輸送能力(熱輸送距離や熱輸送量)が小さくなってしまうという問題がある。特に、熱的に過大な入力によってドライアウト(蒸発部が乾いてしまう現象)が生じた後の再起動時には、ウィック部に作動流体が供給されない結果、熱輸送装置として機能しなくなってしまうという事態も起こり得る。
【0012】
尚、気相路や液相路において外部との熱の授受により、作動流体が相変化を起こすことに起因する問題(作動流体の流れが阻害され、熱輸送効率が低下する。)の解決策として、大型の装置システムでは、気相路及び液相路の周囲を断熱材で被覆し、外部との熱の授受を抑制するという方法が知られている。しかし、この方法では、熱輸送装置の構造が複雑化してしまうことが問題であり、基板内に作動流体の流路を形成する小型の熱輸送装置にそのまま適用する訳にはいかない。よって、小型で薄型の構造を重視する装置においては、外部との熱の授受を抑制するための有効な手段が殆ど講じられておらず、熱輸送効率の低下を招く原因となっている。
【0013】
そこで、本発明は、高い熱輸送能力及び熱輸送効率をもち、小型化や薄型化に適した熱輸送装置の提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第一の熱輸送装置や電子デバイスは、蒸発部と凝縮部とを繋ぐ流路として複数の液相路を有するとともに、蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有するものである。
【0015】
従って、この発明によれば、複数の液相路を形成することにより、液相路への気相混入に起因する装置の性能低下や機能不全を防止することができる。例えば、仮に1本の液相路に気相が混入して液相の作動流体の還流が阻害される状況が生じたとしても、残りの健全な液相路を通して液相の作動流体がウィック部に供給されることにより、ドライアウト等を防ぐことが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る第二の熱輸送装置や電子デバイスは、液相路に関して、その形成方向に直交する面での断面積が、凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくされた構成を有するものである。
【0017】
従って、この発明によれば、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐことができる。これにより、たとえ過大な入力によるドライアウト後でも、ウィック部やその近傍の液相路部が、液相の作動流体で満たされるので、安定した動作を実現できる。
【0018】
尚、上記第一及び第二の発明を兼ね備えた構成、即ち、液相路を複数形成し、かつ凝縮部から蒸発部に向かって徐々に断面積を小さくしていく形態では、液相路部分における液相の作動流体の流れに伴う圧力損失を小さくすることが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱輸送装置は、キャピラリポンプループ、ループヒートパイプ等を用いた装置に好適とされ、各種電子機器の放熱や冷却システムに適用することが可能である。例えば、コンピュータ等の情報処理装置や携帯型機器等への適用においては、熱源となる様々なデバイス(例えば、CPUや撮像素子、発光素子、小型ハードディスクドライブや光学式メディアのドライブ等に使用される駆動モータ、あるいは熱的に厳しい条件が課せられるアクチュエータ等)の放熱構造や冷却構造に関して、装置サイズの小型化や薄型化の要請に反することなく、効率化を実現したい場合に有効である。
【0020】
尚、ここで「熱輸送装置」について、狭義には発熱体から出る熱を作動流体等で伝熱するための装置を意味するが、広義には、発熱体や冷却手段あるいは放熱手段、温度制御装置等を含めた装置システム全体を意味するものとする。
【0021】
図1は、本発明に係る熱輸送装置の基本構成を示す概念図である。
【0022】
熱輸送装置1は、液相の作動流体が蒸発する蒸発部「E」(エバポレータ)と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部「C」(コンデンサ)を備えている。尚、図には説明の便宜上、蒸発部Eと凝縮部Cをそれぞれ1つずつ示しているが、本発明の適用において、両者の数が1対1に限定される訳ではないので、ある凝縮部に対して複数の蒸発部を設けたり、ある蒸発部に対して複数の凝縮部を設けるといった、各種形態で実施できることは勿論である。
【0023】
また、熱輸送装置1は蒸発部Eと凝縮部Cとを繋ぐ流路として、液相の作動流体が流れる液相路「lq」及び気相の作動流体が流れる気相路「vp」を備えている。
【0024】
図示のように、熱輸送装置1は複数の液相路lq、lq、…を有する構成とされ、液相の作動流体はこれらを通って凝縮部Cから蒸発部Eへと移動する。尚、気相路vpの本数については、その如何を問わないので、1本でも複数本でも良く、気相の作動流体は単数又は複数の気相路を通って蒸発部Eから凝縮部Cへと移動する。
【0025】
蒸発部Eは、作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造(所謂ウィック)を有しており、例えば、グルーブ、メッシュ、複数のワイヤー、焼結金属等が用いられる(後述する構成形態では、基板に凹凸の溝を形成したウィック部を有している。)。
【0026】
例えば、図1に点線で示すように、電子デバイスの発熱部(電子部品や発熱体等)を蒸発部Eに対して熱的に接続し、放熱又は冷却手段を凝縮部Cに対して熱的に接続することにより、液体の作動流体が、液相路lqを通って蒸発器Eに到達し、ここで発熱部からの熱を受けて気化する。そして、気相の作動流体が、気相路vpを通って凝縮部Cに移動して、ここで熱を放出して液体に戻るというサイクルが形成されることになる。
【0027】
このような構成において、蒸発部Eのウィック部及び該ウィック部近傍の液相路の部分に気相の流体が混入した状態で加熱された場合には、気化が増長されて気相部分が成長する事になり、液相路の一部を気相が塞ぐ形となる。よって、液相の作動流体がウィック部に供給されず、予定通りに熱輸送が行われなくなってしまうといった不都合が問題となる。
【0028】
単純な解決方法として、液相路lqを凝縮部Cから蒸発部Eまで一律に細くしてしまうことが考えられるが、この方法では、確かに気相の混入に対しては効果が高まるが、液相の作動流体をウィック部の毛細管力によって還流させる熱輸送装置においては、発生する毛細管力をそれほど大きくはできないため、熱輸送距離を短くするか、最大熱輸送能力を小さくすることを余儀なくされてしまう等の問題が残る。
【0029】
そこで、本発明に係る実施形態では、高い熱輸送能力を持った熱輸送装置の提供を目的として、下記に示す事項を採用する。
【0030】
・ウィック部近傍の液相路を細くして、安定な動作を実現すること。つまり、液相路の形成方向に直交する面における断面積に関して、凝縮部側の断面積を蒸発部側の断面積よりも相対的に大きくすること。
【0031】
・液相路に関しては、流路の形成方向に直交する面における断面積を、凝縮部から蒸発部に近づくにつれて徐々に小さくすること(この点については、後で詳述する。)
・複数の液相路を設けること。
【0032】
つまり、ウィック部近傍の液相路を部分的に細くすると、液相路における液体の作動流体による圧力損失が増大するので、該圧力損失を小さくするためには、複数の液相路を設け、かつ凝縮部から蒸発部に向かって液相路の断面積を徐々に小さくしていくことが好ましい。また、液相路を複数本にすることは、ある液相路に気相の作動流体が充満して液相の流れが阻害された場合に、他の液相路を通して液相の作動流体がウィック部に供給されるので、ドライアウト防止や信頼性向上の観点からも好ましい。
【0033】
本発明では、図1に示すように、液相路lq及び気相路vpに沿って、各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部I、I、…が設けられているので、気相路及び液相路を含む流路と、外部との熱の授受を抑制することができる。つまり、気相路及び液相路を流れる作動流体について、それぞれの流路において相変化を生じることがないので、作動流体を安定して流路に流すことができ、高い熱輸送効率を得ることができる。尚、後述するように、断熱部Iは、例えば、空洞部(キャビティ)として形成され、その場合に空洞部を密閉する形態と開放したままとする形態が挙げられる。また、図1には、液相路と気相路の間やそれらの外側に断熱部を設けているが、これに限らず、例えば、気相路及び液相路とそれぞれの断熱部とを2重管構造にし、その内管を気相路及び液相路として用い、内管と外管との間を、例えば、減圧状態にしたり、あるいは熱伝導率の小さい気体を充填することで断熱部を構成する等、各種形態での実施が可能である。
【0034】
図2乃至図9は、本発明に係る実施形態について、熱輸送装置の構成例を示したものであり、該装置は水平状態に配置されて使用される。
【0035】
図2は分解斜視図を示しており、熱輸送装置1は、3つの基板2A、2B、2Cを用いて構成されている。即ち、第1基板2A、第2基板2B、第3基板2Cからなる3層構造を有しており、第2基板2Bが中間層を構成し、基板2A、2Cが基板2Bを両側から挟み込むようにして固定される。尚、本発明の適用においては3層構造に限らず、2層構造でも構わないが、例えば、第2基板2Bの厚みが小さい場合には、その補強のために該基板を別の基板(2A、2C)で両側から挟み込んだ構造が好ましい。
【0036】
図3は熱輸送装置1を組み立てた状態を示す斜視図であり、図4は第1基板2Aに構成された流路パターンを示した平面図と、第1基板2AのA−A線での断面図と、第1基板2AのB−B線での断面図を併せて示している。そして、図5は図3に示した熱輸送装置1に係るV−V線での断面図を示し、図6は、図3に示した熱輸送装置1に係るVI−VI線での断面図を示す。
【0037】
図7は第1基板2Aを示す斜視図、図8は第2基板2Bを示す斜視図、図9は第3基板2Cを示す斜視図である。
【0038】
先ず、第1基板2Aについて、図2乃至図7を参照しながら説明する。尚、本例に示す熱輸送装置1では、2本の液相路と1本の気相路を備えており、図2には第1基板2Aにおいて太線の矢印を付して作動流体の流れの向きを示している。
【0039】
図4や図7に示すように、第1基板2Aの一方の面(内面)には、蒸発部3を構成する溝(凹部)3Aと、凝縮部4を構成する溝(凹部)4Aが形成されている。
【0040】
蒸発部3と凝縮部4とを繋ぐ気相路5を構成する溝5Aについては、図示のように直線路として形成されており、また、蒸発部3と凝縮部4とを繋ぐ2本の液相路6、7は、気相路5を通って延びる中心軸に関して対称的な配置をもって形成される。つまり、液相路6を構成する溝6A及び液相路7を構成する溝7Aは、その中央に位置する気相路5の溝5Aとともにフォーク状の形状をなしており、各溝は凝縮部4の溝4Aの端部からそれぞれ熱輸送装置1の外周縁寄りの部分を通って蒸発部3の溝3Aの端部に接続されるように形成されている。例えば、図4に示すように、溝6Aは、凝縮部4の溝4Aの左上端部から連続されて曲路を描いた後、蒸発部3の溝3Aに近づくにつれて徐々に溝幅が狭まっていき、溝3Aの近傍に位置する最小幅の直線部分8Aへと繋がっている。他方、溝7Aは、凝縮部4の溝4Aの左下端部から連続されて曲路を描いた後、蒸発部3の溝3Aに近づくにつれて徐々に溝幅が狭まっていき、溝3Aの近傍に位置する最小幅の直線部分9Aへと繋がっている。このように、溝6A、7Aは、蒸発部3に近づくにつれて徐々に溝幅が狭くされた流路10A、11Aをそれぞれ有している。
【0041】
尚、気相路5及び蒸発部3、凝縮部4のそれぞれの中心部を通る軸に関して2つの液相路6、7が対称的な配置とされているので、各液相路に関する作動流体の流れが均等化され、また、抵抗や流量等の差が殆どなくなる。
【0042】
また、本例では、気相路5の溝5Aが直線状に形成され、その断面積が一定とされているが、これに限らず、気相路5の断面積を徐々に変化させた構成も可能である。
【0043】
溝12A、13Aは、作動流体を供給する供給路12、13をそれぞれ構成するものである。例えば、図4に示すように、凝縮部4の溝4Aの右側に溝12Aが形成されている。また、蒸発部3の溝3Aの左側及び上記直線部分8A、9Aの脇には、略コ字状をした溝13Aが形成されている。
【0044】
図2や図3に示すように、第1基板2Aの他方の面(外面)には供給路12A、13Aにそれぞれ連通する、作動流体の供給孔14A、15Aが基板2Aを貫通して形成されている。つまり、作動流体は、供給孔14Aから供給路12を通って凝縮部4に送れられ、また、供給孔15Aから供給路13を通って蒸発部3に送られる。尚、作動流体の供給孔14A、15Aは、作動流体を供給するとき以外は蓋等で閉じられている。
【0045】
第1基板2Aに使用する材料については、その熱伝導率があまりに高いと、基板での熱拡散によって、熱輸送装置1の熱輸送効率に悪影響を及ぼし得るので、例えば、ガラスや、ポリイミド、ポリ四ふっ化エチレン、PDMS(polydimethylsiloxane)等の合成樹脂が用いられる。また、第1基板2Aに設けられる気相路や液相路、蒸発部、凝縮部、供給路の溝は、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチング又はマイクロモールディング等で形成される。
【0046】
次に、第2基板2Bについて、図2、図3、図5、図6、図8を参照しながら説明する。
【0047】
図2や図8に示すように、第2基板2Bは、作動流体を気化させる蒸発器ウィック3B、作動流体を凝縮させる凝縮器ウィック4B、液相路シール部6B、7B、気相路の溝5B、断熱部16、16、…により構成されている。
【0048】
蒸発器ウィック3Bは上記した溝3Aとともに蒸発部3を構成しており、所定方向に沿った微細な溝が形成されることで、凹凸形状を有する。
【0049】
また、凝縮器ウィック4Bは上記した溝4Aとともに凝縮部4を構成しており所定の深さをもった凹部として形成された矩形状の範囲内に、凹凸部が形成されている。つまり、本例では、多数の凸条17、17、…が形成されることで、隣接する凸条の間に溝がそれぞれ形成された構成を有する。
【0050】
溝5Bは上記した溝5Aに対応した位置に形成されており、溝5Aとともに気相路5を構成する。蒸発部3から凝縮部4への気相流体の流速が大きいことを考慮し、流路の断面積を大きくするため、気相路5については、基板2Aと2Bの両方に溝を形成している。また、溝5Bは、凝縮器ウィック4Bにおいて、凹凸が形成されていない直線路18に繋がっており、これにより凝縮部4への気相路が確保される(つまり、この直線路18が気相路として使用され、気相の作動流体が流入を妨げられずに、凝縮部4内に入ってここで熱を放散して凝縮する。)。
【0051】
液相路シール部6B、7Bは、第1基板2Aに形成された溝6A、7Aをそれぞれに塞ぐことで、作動流体の流路を形成するとともに、作動流体が流路から外部に流出するのを防いでいる。即ち、シール部6Bは、溝6Aに対応した平坦面として形成され、基板2Aと2Bとを結合した状態で液相路6を構成する。同様に、シール部7Bは、溝7Aに対応した平坦面として形成され、基板2Aと2Bとを結合した状態で液相路7を構成する。尚、液相路6、7については、第1基板2Aにだけ溝6A、7Aが形成され、第2基板2Bには溝が形成されていないが、これは気相の作動流体を液相路に入り込み難くすることを考慮したものである。
【0052】
溝12Bは供給路12を構成するものであり、第1基板2Aの溝12Aに対応した位置に形成されている。つまり、この溝12Bは、凝縮器ウィック4Bの脇に形成されており、両者の境界部分には、上記した凸条17よりも形成ピッチの狭い凹凸部分19が形成されている。尚、第2基板2Bにおいて、溝13Aに対応する場所は平坦面とされ、溝は形成されていない。つまり、供給路12についてのみ第2基板2Bには溝12Bが形成されているが、これは、非圧縮性気体が溜まり易いことを配慮したものであり、また、凹凸部分19については気体の戻り防止等を考慮している。
【0053】
図2及び図8に示すように、各断熱部16は、第2基板2Bの貫通孔16Bと、該貫通孔の開口を覆う第1基板2A及び第3基板2Cの部分によって構成される空洞部として形成されている。即ち、各空洞部は、第2基板2Bの中央部及び周辺部における貫通孔16Bの形成部分を、第1基板2A及び第3基板2Cで挟み込むことで形成されている。尚、本例では、図示のように、第2基板2Bの中央部に形成される2つの空洞部が、気相路5と液相路6、7との間にそれぞれ形成され、第2基板2Bの周辺部に形成される空洞部については、蒸発部3及び液相路6、7の両脇と、凝縮部4の両脇にそれぞれ形成されている。
【0054】
各断熱部16の内部は、減圧状態であることが好ましいが、熱伝導率の小さい気体、例えば、空気、窒素、アルゴン等が充填された状態でもよい。この断熱部16は熱伝導を抑制すること、特に第3基板2C側と、気相路5及び液相路6、7の側との間の熱移動を抑制する上で効果が大きい。
【0055】
第2基板2Bには、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、シリコン(Si)等が使用されるが、これに限るものではなく、例えば、Cu、Al、Ni、Au,Ag、Pt等の金属、あるいは、導電性ポリマや、セラミックスであって、かつ金属と同等の熱伝導率を有する材料等を用いることができる。
【0056】
また、蒸発器ウィック3Bや凝縮器ウィック4Bの凹凸形状の溝、断熱部16の貫通孔16B、液相路シール部6B、7B、気相路の溝5Bについては、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチング又はマイクロモールディング等で形成される。
【0057】
次に、第3基板2Cについて、図2、図3、図5、図6、図9を参照しながら説明する。
【0058】
第3基板2Cには、第2基板2Bのうち、蒸発器ウィック3Bや凝縮器ウィック4Bが設けられた側とは反対側の面に対する第1連通孔20及び第2連通孔21が形成されている。
【0059】
第1連通孔20は蒸発器ウィック3Bの裏面側に対応する位置、また第2連通孔21は凝縮器ウィック4Bの裏面側に対応する位置にそれぞれ開けられている。第1連通孔20を介して蒸発器ウィック3Bの裏面に、例えば、熱源となるデバイス(CPU、グラフィックチップ、ドライバIC等の発熱体)が接続され、その熱が蒸発部3に伝達されて冷却が行われる。一方、第2連通孔21を介して凝縮器ウィック4Bの裏面に、放熱手段(例えば、外部に熱を放出するための放熱フィン等)あるいは冷却手段が取り付けられる。
【0060】
第3基板2Cについては、第1基板2Aと同様に、熱伝導率があまり高いと、基板での熱拡散によって、熱輸送装置1の熱輸送効率に悪影響を及ぼす虞があるので、例えば、ガラスや、ポリイミド、ポリ四ふっ化エチレン、PDMS(polydimethylsiloxane)等の合成樹脂が用いられる。また、第3基板2Cに設けられる第1連通孔20及び第2連通孔21は、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチングまたはマイクロモールディング等で形成される。
【0061】
作動流体としては、例えば、水、エタノール、メタノール、プロパノール(異性体を含む。)、エチルエーテル、エチレングリコール、フロリナート、アンモニア等が使用される。これらの冷媒の中から、熱輸送装置1の設計を満足する沸点、抗菌性等の特性を有するものが用いられる。また、作動流体は、第1基板2Aに設けられた供給孔14A、15Aから熱輸送装置1内に減圧の雰囲気中で供給される。
【0062】
上記のように、本形態では、第1乃至第3基板からなる3層構造を有しており、液相路6、7及び気相路5が、中間層を構成する第2基板2Bと該基板に隣接して接合される第1基板2Aとの間に形成されていて、コンパクト化に好適である。さらに、断熱部16、16、…を基板に一体化して形成することができるので、熱輸送装置1の小型化及び薄型化に適している。特に、限られたスペースに複数の液相路及び気相路を設ける必要がある場合には、液相路と気相路の距離が近くなってしまうため、両者の間に断熱部を設けることが非常に有効である。
【0063】
次に、熱輸送装置1の動作について説明する。
【0064】
液相路6、7を通って蒸発部3に向かって流れる液相の作動流体は、液相路の直線部分8A、9Aの各々から蒸発器ウィック3Bの微細な溝による毛細管力で浸透し、この毛細管力で蒸発器ウィック3B全体に広がっていく。この液相の作動流体は、蒸発器ウィック3Bが設けられている他方の面に取り付けられた図示しない熱源からの熱によって気化される。つまり、電子デバイス等の発熱部からの熱は第3基板2Cの第1連通孔20を介して熱伝導により蒸発器ウィック3B側に向けて移動し、熱伝達によって蒸発器ウィック3Bの表面から作動流体に伝えられる。
【0065】
気化した作動流体は、気相路5を通って凝縮器4に流入する。凝縮器ウィック4Bでは、気相の作動流体が潜熱を放出し、作動流体が相変化し再び液相に戻る。作動流体から奪われた熱は、第3基板2Cの第2連通孔21を介して放熱フィン等の放熱手段に熱伝達されて、外部に放出される。液化した作動流体は、蒸発器ウィック3Bの毛細管力によって、凝縮器ウィック4Bの微細な溝を流れ、さらに、凝縮部4から液相路6、7をそれぞれ通って蒸発部3の蒸発器ウィック3Bに向かって流れる。これらの一連の熱輸送が、熱輸送装置1内で繰り返し行われる。
【0066】
この一連の熱輸送過程において、図5に示すように、気相路5及び液相路6、7を構成する第2基板2Bの部分には、断熱部16、16、…が形成されていて、各断熱部は、第2基板2Bの貫通孔16Bと第1及び第3基板とで形成される空洞部として構成されている。これにより、熱源や放熱手段等が取り付けられている第3基板2Cからの熱的な影響を、気相路や液相路が受け難いという利点が得られる。また、第1基板2Aが熱伝達率の小さい材料で構成されていること、そして、第1基板2Aが第3基板2Cに比べて熱的な影響を周囲から受け難いことから、第1基板2A側の部分と作動流体との間の熱伝達の度合いは小さい。そのため、気相路5及び液相路6、7と熱輸送装置1の外部との間での、熱の授受が抑制され、気相路5及び液相路6、7を流れる作動流体がそれぞれの流路において相変化を生じないので、作動流体を安定して流すことができ、高い熱輸送効率を得ることができる。また、空洞部内を減圧状態にすることで、空洞部を介しての熱の授受をさらに抑制することができ、さらには、空洞部内に基板材料よりも熱伝導率の小さな気体を充填することによってその効果を高めることが可能である。
【0067】
上記した熱輸送装置1の製造方法について、図2、図3、図7乃至図9を参照して説明する。
【0068】
図7に示すように、第1基板2Aの片面に、気相路5の溝5A、気相路5と連通する蒸発部3の溝3A、凝縮部4の溝4A、作動流体の供給路12、13の各溝12A、13Aを、例えば、サンドブラストによって形成する。また、第1基板2Aの外面には、供給路12、13にそれぞれ連通する供給孔14A、15Aを開ける。
【0069】
続いて、図8に示すように、第2基板2Bにおいて、蒸発器ウィック3B、凝縮器ウィック4B、気相路の溝5B、断熱部16、16、…の貫通孔16B、16B、…を、例えば、サンドブラストによって形成する。尚、蒸発器ウィック3B及び凝縮器ウィック4Bには、凹凸形状の溝を形成する。
【0070】
次に、図9に示すように、例えば、サンドブラストによって、第3基板2Cに、第1連通孔20及び第2連通孔21を形成する。尚、第1連通孔20は第2基板2Bの蒸発器ウィック3Bの裏面に対応した位置に開け、また、第2連通孔21は第2基板2Bの凝縮器ウィック4Bの裏面に対応する位置に開ける。
【0071】
それから、図2、図3に示すように、第1基板2Aのうち、流路(気相路及び液相路)が形成されている溝側の面と、第2基板2Bにおいて蒸発部や凝縮部の各ウィックが形成されている方の面とを向かい合わせ、蒸発部3の溝3Aと蒸発器ウィック3B、及び凝縮部4の溝4Aと凝縮器ウィック4Bとを互いに位置合わせしてから、第1基板2Aと第2基板2Bとを接合する。
【0072】
第3基板2Cについては、第2基板2Bのうち上記の各ウィックが形成されている側と反対の面において、第1連通孔20を蒸発器ウィック3Bの裏面側に位置合わせし、第2連通孔21を凝縮器ウィック4Bの裏面側に位置合わせした状態で、第2基板2Bに接合する(図2、図3参照。)。そして、第1連通孔20を通して第2基板2Bには、発熱するデバイス等からの熱が伝達されるとともに、第2連通孔21を通して第2基板2Bの凝縮部4の熱が放熱手段等に伝達されて放散されるように配置及び設定を行えば良い。
【0073】
尚、第1基板2A、第2基板2B、第3基板2Cの接合にあたって、例えば、第2基板2Bにガラス基板を用いる場合は、該基板の両接合面に水素化アモルファスシリコン(a‐Si:H)膜を成膜し、陽極接合を用いることで、第1基板2A及び第3基板2Cとの接合を行う。また、接合方法については、陽極接合に限られないので、例えば、接着剤として樹脂を用いた接着接合や、熱圧着等の圧着接合又はレーザ溶接等の溶接接合といった各種形態の採用が可能である。
【0074】
また、3基板2A、2B、2Cの接合は、減圧の雰囲気中で行い、これらの接合によって形成される断熱部16の内部が減圧状態になる。尚、3基板の接合については減圧の雰囲気中に限らず、例えば、空気、窒素、アルゴン等の熱伝導率の小さい気体の雰囲気中で行っても良い。
【0075】
第1基板2Aに設けられた作動流体の供給孔14A、15Aから熱輸送装置1内に作動流体が減圧の雰囲気中で供給され、これらの供給孔を閉じて熱輸送装置1の製作が完了する。
【0076】
上記した熱輸送装置1の製造方法について、その工程を箇条書きにしてまとめると、下記のようになる。
【0077】
(1)基板に、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路、液相の作動流体を還流させるために毛細管力を発生するウィック部を形成する流路形成工程
(2)基板に、液相路及び気相路に沿って断熱部を形成する断熱部形成工程
(3)断熱部を減圧の雰囲気中において密閉する密閉工程。
【0078】
尚、(1)と(2)の工程については、1つの工程として行っても良い。また、(3)の断熱部の密閉工程は、基板の形成材料よりも熱伝導率の小さな気体の雰囲気中で行っても良い。
【0079】
この製造方法によれば、基板の気相路及び液相路に沿って断熱部が形成されることで、気相路及び液相路と熱輸送装置の外部との間で熱の授受が抑制され、作動流体を安定して流すことができる。
【0080】
そして、熱輸送装置1によれば、例えば、下記に示す利点が得られる。
【0081】
・気相路5及び液相路6、7の第2基板2B側の部分には、断熱部16が形成されているので、熱源に近い第3基板2Cからの熱的影響を受け難いこと。
【0082】
・第1基板2Aが熱伝達率の小さい材料で構成されており、しかも第1基板2Aが第3基板2Cに比べて熱的な影響を周囲から受けにくい状態にあることから、第1基板2A側部分と作動流体との間の熱伝達を小さくすることができ、その結果、気相路5内で作動流体が液化したり、液相路6、7内で作動流体が気化するといった相変化が生じないこと。
【0083】
・断熱部16を基板に一体化して形成することができるので、熱輸送装置1の小型化及び薄型化に適していること。
【0084】
尚、上記した構成では、基板2A、2B、2Cを接合させた3層構造を有し、液相路及び気相路が、中間層をなす第2基板2Bと第1基板2Aとの間に形成されているが、このような実施形態のみには限らない。例えば、2枚の基板を接合したものと蒸発部及び凝縮部を備えた構造でも良い。一例としては、基部を構成する第1基板と第2基板において、互いの接合面に、気相路や液相路、断熱部の溝を形成する。そして、一方の基板には、気相路や液相路のそれぞれと連通する蒸発部、凝縮部のための孔を形成し、これらの孔から、蒸発器ウィックや凝縮器ウィックの凹凸形状の溝を各別に挿入して基板と接合する。蒸発器ウィックにおいて、凹凸形状の溝が形成されていない方の面に、発熱するデバイス等が接続され、また、凝縮器ウィックのうち凹凸形状の溝が形成されていない方の面に、放熱フィン等を設ければ良い。
【0085】
要は、基板に形成された気相路や液相路の周囲に、減圧状態又は熱伝導率の小さい気体が充填された状態の断熱部を有する構成ならば如何なる構成でも良く、また、上記した構成、材料等については必要に応じて変更することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項20に係る発明によれば、複数の液相路を形成することにより、液相路への気相混入に起因する装置の性能低下や機能不全を防止することができるので、熱輸送能力及び熱輸送効率に優れた熱輸送装置を実現できる。
【0087】
請求項2、5、6、12、15、16に係る発明によれば、熱輸送装置の小型化や薄型化に好適である。
【0088】
請求項3、4、13、14に係る発明によれば、液相路及び気相路内での作動流体の相変化を防止することができる。
【0089】
請求項7、8、17、18に係る発明によれば、断熱部を空洞部として形成し、また、これを減圧状態とすることにより、構成の複雑化やコスト上昇を伴わずに、液相路、気相路への熱的影響を低減することができる。
【0090】
請求項9、19に係る発明によれば、熱伝導率の小さな気体を用いることで充分な断熱効果を得ることができる。
【0091】
請求項10に係る発明によれば、液相路の断面積を一律に小さくするのではなく、凝縮部側断面積と蒸発部側断面積との相対的な大小関係において、凝縮部側断面積をより大きくすることによって、熱輸送距離及び最大熱輸送能力を充分に得ることができる。
【0092】
請求項11、21に係る発明によれば、液相路の断面積を、凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくすることにより、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐことで安定した動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る実施形態に示す熱輸送装置の分解斜視図である。
【図3】図2の熱輸送装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図4】第1基板に構成された流路や蒸発部、凝縮部等について説明するための図であり、上段に平面図を示し、中段にA−A線における断面図、下段にB−B線における断面図を示す。
【図5】図3のV−V線に沿う拡大断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う拡大断面図である。
【図7】図8及び図9とともに、各基板に係る形成工程について説明するための図であり、本図は、第1基板上の流路等を示す斜視図である。
【図8】第2基板上のウィックや断熱部等を示す斜視図である。
【図9】第3基板上の連通孔を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…熱輸送装置、2A、2B、2C…基板、2A…第一の基板、2B…第二の基板、2C…第三の基板、3…蒸発部、4…凝縮部、5…気相路、6、7…液相路、16…断熱部、16B…貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発部と凝縮部を備えた熱輸送装置及び電子デバイスに関するものである。詳しくは、流体MEMS(Micro‐Electro‐Mechanical Systems)分野でのキャピラリポンプループ(CPL:Capillary pumped loops)、ループヒートパイプ等を用いて小型化や薄型化に適した熱輸送を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
放熱や冷却用として、各種のデバイス(ヒートパイプやヒートシンク、放熱フィン等)が広く使用されているが、近時における電子デバイス技術及びマイクロマシン技術の発達により、コンパクトなデバイスを作成することが可能となり、半導体製造プロセス等を利用した、所謂MEMS技術が着目されている。そして、このMEMS技術を熱輸送装置に用いる研究が行われている。この背景には、小型化で高性能な電子機器に適した熱源の冷却システムが求められていること及び処理速度等の性能向上が著しいCPU(中央処理装置)等のデバイスで発生する熱を効率良く放熱する必要性等が挙げられる。
【0003】
キャピラリポンプループを用いた構成では、例えば、蒸発部において冷媒を気化させることにより対象物の熱を奪うとともに、気化した冷媒を凝縮部で液体に戻すといったサイクルが繰り返される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
蒸発部や凝縮部を備えたシステム構成において、基本的には、下記に示す方式で熱輸送が行われる。
【0005】
(1)凝縮部から輸送された液体の作動流体が、液相路を通って蒸発部に到達し、蒸発部で外部からの熱を受けて気化する
(2)気化した作動流体は、気相路を通り凝縮部に向けて高速で移動し、凝縮部で熱を外部に放出し、再び液体に戻る
(3)(1)及び(2)の一連の熱輸送が、閉じられた配管内で繰り返し行われる。
【0006】
【非特許文献1】
Jeffrey Kirshberg,Dorian Liepmann,Kirk L.Yerkes,「Micro-Cooler for Chip-Level Temperature Control」,Aerospace Power Systems Conference Proceedings,(米国),Society of Automotive Engineers,Inc.,1999年4月,P-341,p.233-238
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、熱輸送効率や熱輸送能力に関して下記に示すような問題がある。
【0008】
蒸発部と凝縮部を有する熱輸送システムにおいて、気相路内の気体が凝縮部へと到達する前に、外部に熱を放出し凝縮して液体に戻ってしまうと、その液体によって気体の移動が阻害されるため、熱輸送効率が低下する虞がある。
【0009】
また、液相路の液体が蒸発部に到達する前に外部からの熱を受けて気化すると、その気体によって液体の移動が阻害されるため、熱輸送効率が低下する虞がある。
【0010】
さらに、運転開始時の初期状態では、液相路及びウィック部(作動液の保持や還流の役目をもつ)が、液相の作動流体で満たされる必要がある。そのため、安定した熱輸送を行うには、運転開始時にウィック部及び液相路が液相の作動流体で満たされる必要があり、液相路の断面積を小さくして、その毛細管力により液体の保持力を高める必要がある。
【0011】
この場合に、液相路での流体抵抗が大きくなると、熱輸送できる距離が短くなり、熱量が小さくなってしまう虞がある。即ち、限られたウィック部の毛細管力で作動流体を還流させる熱輸送装置では、その熱輸送能力(熱輸送距離や熱輸送量)が小さくなってしまうという問題がある。特に、熱的に過大な入力によってドライアウト(蒸発部が乾いてしまう現象)が生じた後の再起動時には、ウィック部に作動流体が供給されない結果、熱輸送装置として機能しなくなってしまうという事態も起こり得る。
【0012】
尚、気相路や液相路において外部との熱の授受により、作動流体が相変化を起こすことに起因する問題(作動流体の流れが阻害され、熱輸送効率が低下する。)の解決策として、大型の装置システムでは、気相路及び液相路の周囲を断熱材で被覆し、外部との熱の授受を抑制するという方法が知られている。しかし、この方法では、熱輸送装置の構造が複雑化してしまうことが問題であり、基板内に作動流体の流路を形成する小型の熱輸送装置にそのまま適用する訳にはいかない。よって、小型で薄型の構造を重視する装置においては、外部との熱の授受を抑制するための有効な手段が殆ど講じられておらず、熱輸送効率の低下を招く原因となっている。
【0013】
そこで、本発明は、高い熱輸送能力及び熱輸送効率をもち、小型化や薄型化に適した熱輸送装置の提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第一の熱輸送装置や電子デバイスは、蒸発部と凝縮部とを繋ぐ流路として複数の液相路を有するとともに、蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有するものである。
【0015】
従って、この発明によれば、複数の液相路を形成することにより、液相路への気相混入に起因する装置の性能低下や機能不全を防止することができる。例えば、仮に1本の液相路に気相が混入して液相の作動流体の還流が阻害される状況が生じたとしても、残りの健全な液相路を通して液相の作動流体がウィック部に供給されることにより、ドライアウト等を防ぐことが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る第二の熱輸送装置や電子デバイスは、液相路に関して、その形成方向に直交する面での断面積が、凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくされた構成を有するものである。
【0017】
従って、この発明によれば、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐことができる。これにより、たとえ過大な入力によるドライアウト後でも、ウィック部やその近傍の液相路部が、液相の作動流体で満たされるので、安定した動作を実現できる。
【0018】
尚、上記第一及び第二の発明を兼ね備えた構成、即ち、液相路を複数形成し、かつ凝縮部から蒸発部に向かって徐々に断面積を小さくしていく形態では、液相路部分における液相の作動流体の流れに伴う圧力損失を小さくすることが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱輸送装置は、キャピラリポンプループ、ループヒートパイプ等を用いた装置に好適とされ、各種電子機器の放熱や冷却システムに適用することが可能である。例えば、コンピュータ等の情報処理装置や携帯型機器等への適用においては、熱源となる様々なデバイス(例えば、CPUや撮像素子、発光素子、小型ハードディスクドライブや光学式メディアのドライブ等に使用される駆動モータ、あるいは熱的に厳しい条件が課せられるアクチュエータ等)の放熱構造や冷却構造に関して、装置サイズの小型化や薄型化の要請に反することなく、効率化を実現したい場合に有効である。
【0020】
尚、ここで「熱輸送装置」について、狭義には発熱体から出る熱を作動流体等で伝熱するための装置を意味するが、広義には、発熱体や冷却手段あるいは放熱手段、温度制御装置等を含めた装置システム全体を意味するものとする。
【0021】
図1は、本発明に係る熱輸送装置の基本構成を示す概念図である。
【0022】
熱輸送装置1は、液相の作動流体が蒸発する蒸発部「E」(エバポレータ)と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部「C」(コンデンサ)を備えている。尚、図には説明の便宜上、蒸発部Eと凝縮部Cをそれぞれ1つずつ示しているが、本発明の適用において、両者の数が1対1に限定される訳ではないので、ある凝縮部に対して複数の蒸発部を設けたり、ある蒸発部に対して複数の凝縮部を設けるといった、各種形態で実施できることは勿論である。
【0023】
また、熱輸送装置1は蒸発部Eと凝縮部Cとを繋ぐ流路として、液相の作動流体が流れる液相路「lq」及び気相の作動流体が流れる気相路「vp」を備えている。
【0024】
図示のように、熱輸送装置1は複数の液相路lq、lq、…を有する構成とされ、液相の作動流体はこれらを通って凝縮部Cから蒸発部Eへと移動する。尚、気相路vpの本数については、その如何を問わないので、1本でも複数本でも良く、気相の作動流体は単数又は複数の気相路を通って蒸発部Eから凝縮部Cへと移動する。
【0025】
蒸発部Eは、作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造(所謂ウィック)を有しており、例えば、グルーブ、メッシュ、複数のワイヤー、焼結金属等が用いられる(後述する構成形態では、基板に凹凸の溝を形成したウィック部を有している。)。
【0026】
例えば、図1に点線で示すように、電子デバイスの発熱部(電子部品や発熱体等)を蒸発部Eに対して熱的に接続し、放熱又は冷却手段を凝縮部Cに対して熱的に接続することにより、液体の作動流体が、液相路lqを通って蒸発器Eに到達し、ここで発熱部からの熱を受けて気化する。そして、気相の作動流体が、気相路vpを通って凝縮部Cに移動して、ここで熱を放出して液体に戻るというサイクルが形成されることになる。
【0027】
このような構成において、蒸発部Eのウィック部及び該ウィック部近傍の液相路の部分に気相の流体が混入した状態で加熱された場合には、気化が増長されて気相部分が成長する事になり、液相路の一部を気相が塞ぐ形となる。よって、液相の作動流体がウィック部に供給されず、予定通りに熱輸送が行われなくなってしまうといった不都合が問題となる。
【0028】
単純な解決方法として、液相路lqを凝縮部Cから蒸発部Eまで一律に細くしてしまうことが考えられるが、この方法では、確かに気相の混入に対しては効果が高まるが、液相の作動流体をウィック部の毛細管力によって還流させる熱輸送装置においては、発生する毛細管力をそれほど大きくはできないため、熱輸送距離を短くするか、最大熱輸送能力を小さくすることを余儀なくされてしまう等の問題が残る。
【0029】
そこで、本発明に係る実施形態では、高い熱輸送能力を持った熱輸送装置の提供を目的として、下記に示す事項を採用する。
【0030】
・ウィック部近傍の液相路を細くして、安定な動作を実現すること。つまり、液相路の形成方向に直交する面における断面積に関して、凝縮部側の断面積を蒸発部側の断面積よりも相対的に大きくすること。
【0031】
・液相路に関しては、流路の形成方向に直交する面における断面積を、凝縮部から蒸発部に近づくにつれて徐々に小さくすること(この点については、後で詳述する。)
・複数の液相路を設けること。
【0032】
つまり、ウィック部近傍の液相路を部分的に細くすると、液相路における液体の作動流体による圧力損失が増大するので、該圧力損失を小さくするためには、複数の液相路を設け、かつ凝縮部から蒸発部に向かって液相路の断面積を徐々に小さくしていくことが好ましい。また、液相路を複数本にすることは、ある液相路に気相の作動流体が充満して液相の流れが阻害された場合に、他の液相路を通して液相の作動流体がウィック部に供給されるので、ドライアウト防止や信頼性向上の観点からも好ましい。
【0033】
本発明では、図1に示すように、液相路lq及び気相路vpに沿って、各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部I、I、…が設けられているので、気相路及び液相路を含む流路と、外部との熱の授受を抑制することができる。つまり、気相路及び液相路を流れる作動流体について、それぞれの流路において相変化を生じることがないので、作動流体を安定して流路に流すことができ、高い熱輸送効率を得ることができる。尚、後述するように、断熱部Iは、例えば、空洞部(キャビティ)として形成され、その場合に空洞部を密閉する形態と開放したままとする形態が挙げられる。また、図1には、液相路と気相路の間やそれらの外側に断熱部を設けているが、これに限らず、例えば、気相路及び液相路とそれぞれの断熱部とを2重管構造にし、その内管を気相路及び液相路として用い、内管と外管との間を、例えば、減圧状態にしたり、あるいは熱伝導率の小さい気体を充填することで断熱部を構成する等、各種形態での実施が可能である。
【0034】
図2乃至図9は、本発明に係る実施形態について、熱輸送装置の構成例を示したものであり、該装置は水平状態に配置されて使用される。
【0035】
図2は分解斜視図を示しており、熱輸送装置1は、3つの基板2A、2B、2Cを用いて構成されている。即ち、第1基板2A、第2基板2B、第3基板2Cからなる3層構造を有しており、第2基板2Bが中間層を構成し、基板2A、2Cが基板2Bを両側から挟み込むようにして固定される。尚、本発明の適用においては3層構造に限らず、2層構造でも構わないが、例えば、第2基板2Bの厚みが小さい場合には、その補強のために該基板を別の基板(2A、2C)で両側から挟み込んだ構造が好ましい。
【0036】
図3は熱輸送装置1を組み立てた状態を示す斜視図であり、図4は第1基板2Aに構成された流路パターンを示した平面図と、第1基板2AのA−A線での断面図と、第1基板2AのB−B線での断面図を併せて示している。そして、図5は図3に示した熱輸送装置1に係るV−V線での断面図を示し、図6は、図3に示した熱輸送装置1に係るVI−VI線での断面図を示す。
【0037】
図7は第1基板2Aを示す斜視図、図8は第2基板2Bを示す斜視図、図9は第3基板2Cを示す斜視図である。
【0038】
先ず、第1基板2Aについて、図2乃至図7を参照しながら説明する。尚、本例に示す熱輸送装置1では、2本の液相路と1本の気相路を備えており、図2には第1基板2Aにおいて太線の矢印を付して作動流体の流れの向きを示している。
【0039】
図4や図7に示すように、第1基板2Aの一方の面(内面)には、蒸発部3を構成する溝(凹部)3Aと、凝縮部4を構成する溝(凹部)4Aが形成されている。
【0040】
蒸発部3と凝縮部4とを繋ぐ気相路5を構成する溝5Aについては、図示のように直線路として形成されており、また、蒸発部3と凝縮部4とを繋ぐ2本の液相路6、7は、気相路5を通って延びる中心軸に関して対称的な配置をもって形成される。つまり、液相路6を構成する溝6A及び液相路7を構成する溝7Aは、その中央に位置する気相路5の溝5Aとともにフォーク状の形状をなしており、各溝は凝縮部4の溝4Aの端部からそれぞれ熱輸送装置1の外周縁寄りの部分を通って蒸発部3の溝3Aの端部に接続されるように形成されている。例えば、図4に示すように、溝6Aは、凝縮部4の溝4Aの左上端部から連続されて曲路を描いた後、蒸発部3の溝3Aに近づくにつれて徐々に溝幅が狭まっていき、溝3Aの近傍に位置する最小幅の直線部分8Aへと繋がっている。他方、溝7Aは、凝縮部4の溝4Aの左下端部から連続されて曲路を描いた後、蒸発部3の溝3Aに近づくにつれて徐々に溝幅が狭まっていき、溝3Aの近傍に位置する最小幅の直線部分9Aへと繋がっている。このように、溝6A、7Aは、蒸発部3に近づくにつれて徐々に溝幅が狭くされた流路10A、11Aをそれぞれ有している。
【0041】
尚、気相路5及び蒸発部3、凝縮部4のそれぞれの中心部を通る軸に関して2つの液相路6、7が対称的な配置とされているので、各液相路に関する作動流体の流れが均等化され、また、抵抗や流量等の差が殆どなくなる。
【0042】
また、本例では、気相路5の溝5Aが直線状に形成され、その断面積が一定とされているが、これに限らず、気相路5の断面積を徐々に変化させた構成も可能である。
【0043】
溝12A、13Aは、作動流体を供給する供給路12、13をそれぞれ構成するものである。例えば、図4に示すように、凝縮部4の溝4Aの右側に溝12Aが形成されている。また、蒸発部3の溝3Aの左側及び上記直線部分8A、9Aの脇には、略コ字状をした溝13Aが形成されている。
【0044】
図2や図3に示すように、第1基板2Aの他方の面(外面)には供給路12A、13Aにそれぞれ連通する、作動流体の供給孔14A、15Aが基板2Aを貫通して形成されている。つまり、作動流体は、供給孔14Aから供給路12を通って凝縮部4に送れられ、また、供給孔15Aから供給路13を通って蒸発部3に送られる。尚、作動流体の供給孔14A、15Aは、作動流体を供給するとき以外は蓋等で閉じられている。
【0045】
第1基板2Aに使用する材料については、その熱伝導率があまりに高いと、基板での熱拡散によって、熱輸送装置1の熱輸送効率に悪影響を及ぼし得るので、例えば、ガラスや、ポリイミド、ポリ四ふっ化エチレン、PDMS(polydimethylsiloxane)等の合成樹脂が用いられる。また、第1基板2Aに設けられる気相路や液相路、蒸発部、凝縮部、供給路の溝は、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチング又はマイクロモールディング等で形成される。
【0046】
次に、第2基板2Bについて、図2、図3、図5、図6、図8を参照しながら説明する。
【0047】
図2や図8に示すように、第2基板2Bは、作動流体を気化させる蒸発器ウィック3B、作動流体を凝縮させる凝縮器ウィック4B、液相路シール部6B、7B、気相路の溝5B、断熱部16、16、…により構成されている。
【0048】
蒸発器ウィック3Bは上記した溝3Aとともに蒸発部3を構成しており、所定方向に沿った微細な溝が形成されることで、凹凸形状を有する。
【0049】
また、凝縮器ウィック4Bは上記した溝4Aとともに凝縮部4を構成しており所定の深さをもった凹部として形成された矩形状の範囲内に、凹凸部が形成されている。つまり、本例では、多数の凸条17、17、…が形成されることで、隣接する凸条の間に溝がそれぞれ形成された構成を有する。
【0050】
溝5Bは上記した溝5Aに対応した位置に形成されており、溝5Aとともに気相路5を構成する。蒸発部3から凝縮部4への気相流体の流速が大きいことを考慮し、流路の断面積を大きくするため、気相路5については、基板2Aと2Bの両方に溝を形成している。また、溝5Bは、凝縮器ウィック4Bにおいて、凹凸が形成されていない直線路18に繋がっており、これにより凝縮部4への気相路が確保される(つまり、この直線路18が気相路として使用され、気相の作動流体が流入を妨げられずに、凝縮部4内に入ってここで熱を放散して凝縮する。)。
【0051】
液相路シール部6B、7Bは、第1基板2Aに形成された溝6A、7Aをそれぞれに塞ぐことで、作動流体の流路を形成するとともに、作動流体が流路から外部に流出するのを防いでいる。即ち、シール部6Bは、溝6Aに対応した平坦面として形成され、基板2Aと2Bとを結合した状態で液相路6を構成する。同様に、シール部7Bは、溝7Aに対応した平坦面として形成され、基板2Aと2Bとを結合した状態で液相路7を構成する。尚、液相路6、7については、第1基板2Aにだけ溝6A、7Aが形成され、第2基板2Bには溝が形成されていないが、これは気相の作動流体を液相路に入り込み難くすることを考慮したものである。
【0052】
溝12Bは供給路12を構成するものであり、第1基板2Aの溝12Aに対応した位置に形成されている。つまり、この溝12Bは、凝縮器ウィック4Bの脇に形成されており、両者の境界部分には、上記した凸条17よりも形成ピッチの狭い凹凸部分19が形成されている。尚、第2基板2Bにおいて、溝13Aに対応する場所は平坦面とされ、溝は形成されていない。つまり、供給路12についてのみ第2基板2Bには溝12Bが形成されているが、これは、非圧縮性気体が溜まり易いことを配慮したものであり、また、凹凸部分19については気体の戻り防止等を考慮している。
【0053】
図2及び図8に示すように、各断熱部16は、第2基板2Bの貫通孔16Bと、該貫通孔の開口を覆う第1基板2A及び第3基板2Cの部分によって構成される空洞部として形成されている。即ち、各空洞部は、第2基板2Bの中央部及び周辺部における貫通孔16Bの形成部分を、第1基板2A及び第3基板2Cで挟み込むことで形成されている。尚、本例では、図示のように、第2基板2Bの中央部に形成される2つの空洞部が、気相路5と液相路6、7との間にそれぞれ形成され、第2基板2Bの周辺部に形成される空洞部については、蒸発部3及び液相路6、7の両脇と、凝縮部4の両脇にそれぞれ形成されている。
【0054】
各断熱部16の内部は、減圧状態であることが好ましいが、熱伝導率の小さい気体、例えば、空気、窒素、アルゴン等が充填された状態でもよい。この断熱部16は熱伝導を抑制すること、特に第3基板2C側と、気相路5及び液相路6、7の側との間の熱移動を抑制する上で効果が大きい。
【0055】
第2基板2Bには、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、シリコン(Si)等が使用されるが、これに限るものではなく、例えば、Cu、Al、Ni、Au,Ag、Pt等の金属、あるいは、導電性ポリマや、セラミックスであって、かつ金属と同等の熱伝導率を有する材料等を用いることができる。
【0056】
また、蒸発器ウィック3Bや凝縮器ウィック4Bの凹凸形状の溝、断熱部16の貫通孔16B、液相路シール部6B、7B、気相路の溝5Bについては、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチング又はマイクロモールディング等で形成される。
【0057】
次に、第3基板2Cについて、図2、図3、図5、図6、図9を参照しながら説明する。
【0058】
第3基板2Cには、第2基板2Bのうち、蒸発器ウィック3Bや凝縮器ウィック4Bが設けられた側とは反対側の面に対する第1連通孔20及び第2連通孔21が形成されている。
【0059】
第1連通孔20は蒸発器ウィック3Bの裏面側に対応する位置、また第2連通孔21は凝縮器ウィック4Bの裏面側に対応する位置にそれぞれ開けられている。第1連通孔20を介して蒸発器ウィック3Bの裏面に、例えば、熱源となるデバイス(CPU、グラフィックチップ、ドライバIC等の発熱体)が接続され、その熱が蒸発部3に伝達されて冷却が行われる。一方、第2連通孔21を介して凝縮器ウィック4Bの裏面に、放熱手段(例えば、外部に熱を放出するための放熱フィン等)あるいは冷却手段が取り付けられる。
【0060】
第3基板2Cについては、第1基板2Aと同様に、熱伝導率があまり高いと、基板での熱拡散によって、熱輸送装置1の熱輸送効率に悪影響を及ぼす虞があるので、例えば、ガラスや、ポリイミド、ポリ四ふっ化エチレン、PDMS(polydimethylsiloxane)等の合成樹脂が用いられる。また、第3基板2Cに設けられる第1連通孔20及び第2連通孔21は、例えば、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウェットエッチング、UV(紫外)光エッチング、レーザエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチングまたはマイクロモールディング等で形成される。
【0061】
作動流体としては、例えば、水、エタノール、メタノール、プロパノール(異性体を含む。)、エチルエーテル、エチレングリコール、フロリナート、アンモニア等が使用される。これらの冷媒の中から、熱輸送装置1の設計を満足する沸点、抗菌性等の特性を有するものが用いられる。また、作動流体は、第1基板2Aに設けられた供給孔14A、15Aから熱輸送装置1内に減圧の雰囲気中で供給される。
【0062】
上記のように、本形態では、第1乃至第3基板からなる3層構造を有しており、液相路6、7及び気相路5が、中間層を構成する第2基板2Bと該基板に隣接して接合される第1基板2Aとの間に形成されていて、コンパクト化に好適である。さらに、断熱部16、16、…を基板に一体化して形成することができるので、熱輸送装置1の小型化及び薄型化に適している。特に、限られたスペースに複数の液相路及び気相路を設ける必要がある場合には、液相路と気相路の距離が近くなってしまうため、両者の間に断熱部を設けることが非常に有効である。
【0063】
次に、熱輸送装置1の動作について説明する。
【0064】
液相路6、7を通って蒸発部3に向かって流れる液相の作動流体は、液相路の直線部分8A、9Aの各々から蒸発器ウィック3Bの微細な溝による毛細管力で浸透し、この毛細管力で蒸発器ウィック3B全体に広がっていく。この液相の作動流体は、蒸発器ウィック3Bが設けられている他方の面に取り付けられた図示しない熱源からの熱によって気化される。つまり、電子デバイス等の発熱部からの熱は第3基板2Cの第1連通孔20を介して熱伝導により蒸発器ウィック3B側に向けて移動し、熱伝達によって蒸発器ウィック3Bの表面から作動流体に伝えられる。
【0065】
気化した作動流体は、気相路5を通って凝縮器4に流入する。凝縮器ウィック4Bでは、気相の作動流体が潜熱を放出し、作動流体が相変化し再び液相に戻る。作動流体から奪われた熱は、第3基板2Cの第2連通孔21を介して放熱フィン等の放熱手段に熱伝達されて、外部に放出される。液化した作動流体は、蒸発器ウィック3Bの毛細管力によって、凝縮器ウィック4Bの微細な溝を流れ、さらに、凝縮部4から液相路6、7をそれぞれ通って蒸発部3の蒸発器ウィック3Bに向かって流れる。これらの一連の熱輸送が、熱輸送装置1内で繰り返し行われる。
【0066】
この一連の熱輸送過程において、図5に示すように、気相路5及び液相路6、7を構成する第2基板2Bの部分には、断熱部16、16、…が形成されていて、各断熱部は、第2基板2Bの貫通孔16Bと第1及び第3基板とで形成される空洞部として構成されている。これにより、熱源や放熱手段等が取り付けられている第3基板2Cからの熱的な影響を、気相路や液相路が受け難いという利点が得られる。また、第1基板2Aが熱伝達率の小さい材料で構成されていること、そして、第1基板2Aが第3基板2Cに比べて熱的な影響を周囲から受け難いことから、第1基板2A側の部分と作動流体との間の熱伝達の度合いは小さい。そのため、気相路5及び液相路6、7と熱輸送装置1の外部との間での、熱の授受が抑制され、気相路5及び液相路6、7を流れる作動流体がそれぞれの流路において相変化を生じないので、作動流体を安定して流すことができ、高い熱輸送効率を得ることができる。また、空洞部内を減圧状態にすることで、空洞部を介しての熱の授受をさらに抑制することができ、さらには、空洞部内に基板材料よりも熱伝導率の小さな気体を充填することによってその効果を高めることが可能である。
【0067】
上記した熱輸送装置1の製造方法について、図2、図3、図7乃至図9を参照して説明する。
【0068】
図7に示すように、第1基板2Aの片面に、気相路5の溝5A、気相路5と連通する蒸発部3の溝3A、凝縮部4の溝4A、作動流体の供給路12、13の各溝12A、13Aを、例えば、サンドブラストによって形成する。また、第1基板2Aの外面には、供給路12、13にそれぞれ連通する供給孔14A、15Aを開ける。
【0069】
続いて、図8に示すように、第2基板2Bにおいて、蒸発器ウィック3B、凝縮器ウィック4B、気相路の溝5B、断熱部16、16、…の貫通孔16B、16B、…を、例えば、サンドブラストによって形成する。尚、蒸発器ウィック3B及び凝縮器ウィック4Bには、凹凸形状の溝を形成する。
【0070】
次に、図9に示すように、例えば、サンドブラストによって、第3基板2Cに、第1連通孔20及び第2連通孔21を形成する。尚、第1連通孔20は第2基板2Bの蒸発器ウィック3Bの裏面に対応した位置に開け、また、第2連通孔21は第2基板2Bの凝縮器ウィック4Bの裏面に対応する位置に開ける。
【0071】
それから、図2、図3に示すように、第1基板2Aのうち、流路(気相路及び液相路)が形成されている溝側の面と、第2基板2Bにおいて蒸発部や凝縮部の各ウィックが形成されている方の面とを向かい合わせ、蒸発部3の溝3Aと蒸発器ウィック3B、及び凝縮部4の溝4Aと凝縮器ウィック4Bとを互いに位置合わせしてから、第1基板2Aと第2基板2Bとを接合する。
【0072】
第3基板2Cについては、第2基板2Bのうち上記の各ウィックが形成されている側と反対の面において、第1連通孔20を蒸発器ウィック3Bの裏面側に位置合わせし、第2連通孔21を凝縮器ウィック4Bの裏面側に位置合わせした状態で、第2基板2Bに接合する(図2、図3参照。)。そして、第1連通孔20を通して第2基板2Bには、発熱するデバイス等からの熱が伝達されるとともに、第2連通孔21を通して第2基板2Bの凝縮部4の熱が放熱手段等に伝達されて放散されるように配置及び設定を行えば良い。
【0073】
尚、第1基板2A、第2基板2B、第3基板2Cの接合にあたって、例えば、第2基板2Bにガラス基板を用いる場合は、該基板の両接合面に水素化アモルファスシリコン(a‐Si:H)膜を成膜し、陽極接合を用いることで、第1基板2A及び第3基板2Cとの接合を行う。また、接合方法については、陽極接合に限られないので、例えば、接着剤として樹脂を用いた接着接合や、熱圧着等の圧着接合又はレーザ溶接等の溶接接合といった各種形態の採用が可能である。
【0074】
また、3基板2A、2B、2Cの接合は、減圧の雰囲気中で行い、これらの接合によって形成される断熱部16の内部が減圧状態になる。尚、3基板の接合については減圧の雰囲気中に限らず、例えば、空気、窒素、アルゴン等の熱伝導率の小さい気体の雰囲気中で行っても良い。
【0075】
第1基板2Aに設けられた作動流体の供給孔14A、15Aから熱輸送装置1内に作動流体が減圧の雰囲気中で供給され、これらの供給孔を閉じて熱輸送装置1の製作が完了する。
【0076】
上記した熱輸送装置1の製造方法について、その工程を箇条書きにしてまとめると、下記のようになる。
【0077】
(1)基板に、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路、液相の作動流体を還流させるために毛細管力を発生するウィック部を形成する流路形成工程
(2)基板に、液相路及び気相路に沿って断熱部を形成する断熱部形成工程
(3)断熱部を減圧の雰囲気中において密閉する密閉工程。
【0078】
尚、(1)と(2)の工程については、1つの工程として行っても良い。また、(3)の断熱部の密閉工程は、基板の形成材料よりも熱伝導率の小さな気体の雰囲気中で行っても良い。
【0079】
この製造方法によれば、基板の気相路及び液相路に沿って断熱部が形成されることで、気相路及び液相路と熱輸送装置の外部との間で熱の授受が抑制され、作動流体を安定して流すことができる。
【0080】
そして、熱輸送装置1によれば、例えば、下記に示す利点が得られる。
【0081】
・気相路5及び液相路6、7の第2基板2B側の部分には、断熱部16が形成されているので、熱源に近い第3基板2Cからの熱的影響を受け難いこと。
【0082】
・第1基板2Aが熱伝達率の小さい材料で構成されており、しかも第1基板2Aが第3基板2Cに比べて熱的な影響を周囲から受けにくい状態にあることから、第1基板2A側部分と作動流体との間の熱伝達を小さくすることができ、その結果、気相路5内で作動流体が液化したり、液相路6、7内で作動流体が気化するといった相変化が生じないこと。
【0083】
・断熱部16を基板に一体化して形成することができるので、熱輸送装置1の小型化及び薄型化に適していること。
【0084】
尚、上記した構成では、基板2A、2B、2Cを接合させた3層構造を有し、液相路及び気相路が、中間層をなす第2基板2Bと第1基板2Aとの間に形成されているが、このような実施形態のみには限らない。例えば、2枚の基板を接合したものと蒸発部及び凝縮部を備えた構造でも良い。一例としては、基部を構成する第1基板と第2基板において、互いの接合面に、気相路や液相路、断熱部の溝を形成する。そして、一方の基板には、気相路や液相路のそれぞれと連通する蒸発部、凝縮部のための孔を形成し、これらの孔から、蒸発器ウィックや凝縮器ウィックの凹凸形状の溝を各別に挿入して基板と接合する。蒸発器ウィックにおいて、凹凸形状の溝が形成されていない方の面に、発熱するデバイス等が接続され、また、凝縮器ウィックのうち凹凸形状の溝が形成されていない方の面に、放熱フィン等を設ければ良い。
【0085】
要は、基板に形成された気相路や液相路の周囲に、減圧状態又は熱伝導率の小さい気体が充填された状態の断熱部を有する構成ならば如何なる構成でも良く、また、上記した構成、材料等については必要に応じて変更することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項20に係る発明によれば、複数の液相路を形成することにより、液相路への気相混入に起因する装置の性能低下や機能不全を防止することができるので、熱輸送能力及び熱輸送効率に優れた熱輸送装置を実現できる。
【0087】
請求項2、5、6、12、15、16に係る発明によれば、熱輸送装置の小型化や薄型化に好適である。
【0088】
請求項3、4、13、14に係る発明によれば、液相路及び気相路内での作動流体の相変化を防止することができる。
【0089】
請求項7、8、17、18に係る発明によれば、断熱部を空洞部として形成し、また、これを減圧状態とすることにより、構成の複雑化やコスト上昇を伴わずに、液相路、気相路への熱的影響を低減することができる。
【0090】
請求項9、19に係る発明によれば、熱伝導率の小さな気体を用いることで充分な断熱効果を得ることができる。
【0091】
請求項10に係る発明によれば、液相路の断面積を一律に小さくするのではなく、凝縮部側断面積と蒸発部側断面積との相対的な大小関係において、凝縮部側断面積をより大きくすることによって、熱輸送距離及び最大熱輸送能力を充分に得ることができる。
【0092】
請求項11、21に係る発明によれば、液相路の断面積を、凝縮部から蒸発部に向かって徐々に小さくすることにより、液相路部分の毛細管力を大きくすることができ、当該部分への気相の混入を防ぐことで安定した動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る実施形態に示す熱輸送装置の分解斜視図である。
【図3】図2の熱輸送装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図4】第1基板に構成された流路や蒸発部、凝縮部等について説明するための図であり、上段に平面図を示し、中段にA−A線における断面図、下段にB−B線における断面図を示す。
【図5】図3のV−V線に沿う拡大断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う拡大断面図である。
【図7】図8及び図9とともに、各基板に係る形成工程について説明するための図であり、本図は、第1基板上の流路等を示す斜視図である。
【図8】第2基板上のウィックや断熱部等を示す斜視図である。
【図9】第3基板上の連通孔を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…熱輸送装置、2A、2B、2C…基板、2A…第一の基板、2B…第二の基板、2C…第三の基板、3…蒸発部、4…凝縮部、5…気相路、6、7…液相路、16…断熱部、16B…貫通孔
Claims (21)
- 液相の作動流体が蒸発する蒸発部と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部と、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路を備えた熱輸送装置において、
前記蒸発部と前記凝縮部とを繋ぐ流路として複数の液相路を有するとともに、前記蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有している
ことを特徴とする熱輸送装置。 - 前記複数の液相路と、一又は複数の気相路と、前記凝縮部及び蒸発部が、同一の基板を用いて形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の熱輸送装置。 - 前記液相路及び気相路に沿って、外部又は各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の熱輸送装置。 - 前記液相路及び気相路に沿って、外部又は各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部が設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の熱輸送装置。 - 前記基板が第一乃至第三の基板からなる3層構造を有しており、前記液相路及び前記気相路が、中間層を構成する第二の基板と該基板に隣接する第一の基板との間に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の熱輸送装置。 - 前記基板が第一乃至第三の基板からなる3層構造を有しており、前記液相路及び前記気相路が、中間層を構成する第二の基板と該基板に隣接する第一の基板との間に形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の熱輸送装置。 - 前記断熱部が、第二の基板に施された貫通孔と、該貫通孔の開口を覆う第一及び第三の基板により構成される空洞部として形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の熱輸送装置。 - 前記空洞部内が減圧状態とされている
ことを特徴とする請求項7記載の熱輸送装置。 - 前記空洞部内には、前記第一乃至第三の基板に用いる材料に比して熱伝導率の小さな気体が充填されている
ことを特徴とする請求項7記載の熱輸送装置。 - 前記液相路に関して、前記凝縮部側の断面積が前記蒸発部側の断面積よりも大きくされている
ことを特徴とする請求項1記載の熱輸送装置。 - 作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有し、液相の作動流体が蒸発する蒸発部と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部と、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路を備えた熱輸送装置において、
前記液相路に関して、流路の形成方向に直交する面における断面積が、前記凝縮部から前記蒸発部に向かって徐々に小さくされている
ことを特徴とする熱輸送装置。 - 前記液相路及び気相路と前記凝縮部及び蒸発部が、同一の基板を用いて形成されている
ことを特徴とする請求項11記載の熱輸送装置。 - 前記液相路及び気相路に沿って、外部又は各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部が設けられている
ことを特徴とする請求項11記載の熱輸送装置。 - 前記液相路及び気相路に沿って、外部又は各流路間での熱伝達を抑制するために断熱部が設けられている
ことを特徴とする請求項12記載の熱輸送装置。 - 前記基板が第一乃至第三の基板からなる3層構造を有しており、前記液相路及び前記気相路が、中間層を構成する第二の基板と該基板に隣接する第一の基板との間に形成されている
ことを特徴とする請求項12記載の熱輸送装置。 - 前記基板が第一乃至第三の基板からなる3層構造を有しており、前記液相路及び前記気相路が、中間層を構成する第二の基板と該基板に隣接する第一の基板との間に形成されている
ことを特徴とする請求項14記載の熱輸送装置。 - 前記断熱部が、前記第二の基板に施された貫通孔と、該貫通孔の開口を覆う第一及び第三の基板により構成される空洞部として形成されている
ことを特徴とする請求項16記載の熱輸送装置。 - 前記空洞部内が減圧状態とされている
ことを特徴とする請求項17記載の熱輸送装置。 - 前記空洞部内には、前記第一乃至第三の基板に用いる材料に比して熱伝導率の小さな気体が充填されている
ことを特徴とする請求項17記載の熱輸送装置。 - 発熱部が熱的に接続されて液相の作動流体が蒸発する蒸発部と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部と、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路を含む熱輸送機構を備えた電子デバイスにおいて、
前記蒸発部と前記凝縮部とを繋ぐ流路として複数の液相路を有するとともに、前記蒸発部が作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有している
ことを特徴とする電子デバイス。 - 作動流体を還流させるために毛細管力を発生する構造を有しかつ発熱部が熱的に接続されて液相の作動流体が蒸発する蒸発部と、気相の作動流体が凝縮する凝縮部と、液相の作動流体が流れる液相路及び気相の作動流体が流れる気相路を含む熱輸送機構を備えた電子デバイスにおいて、
前記液相路に関して、流路の形成方向に直交する面における断面積が、前記凝縮部から前記蒸発部に向かって徐々に小さくされている
ことを特徴とする電子デバイス。
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