JP2003509012A - 細胞培養物中でのサイトカインの産生を増強するための方法 - Google Patents

細胞培養物中でのサイトカインの産生を増強するための方法

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JP2003509012A
JP2003509012A JP2001503677A JP2001503677A JP2003509012A JP 2003509012 A JP2003509012 A JP 2003509012A JP 2001503677 A JP2001503677 A JP 2001503677A JP 2001503677 A JP2001503677 A JP 2001503677A JP 2003509012 A JP2003509012 A JP 2003509012A
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cells
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pkr
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アラン エス. ロー,
ローラ ブラウニング,
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ジーントロール バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド
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    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
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    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione

Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞中のサイトカイン調節因子のレベルを改変することによって、哺乳動物の細胞培養物中でのサイトカインの産生を増強するための方法に関し、それによって増強されたレベルのサイトカインの産生を生じる。本発明はさらに、増強されたサイトカイン調節因子の発現および増強されたサイトカインの発現を示す細胞株に関する。より詳細には、上記方法は、培養された哺乳動物細胞株中のサイトカイン調節因子の過剰発現を生じるために有効な様式で、この細胞株を改変する工程が包含され、上記サイトカイン調節因子は、PKRであり得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、PKRの過剰発現による、細胞培養物中のサイトカインの産生を増
強するための方法に関する。
【0002】 (参考文献)
【0003】
【表1】 (発明の背景) ds−RNA活性化タンパク質キナーゼ(PKR)は、P1/eIF2キナー
ゼ、DAI,またはdsRNA活性化インヒビターについてのdsIと呼ばれ、
そしてp68(ヒト)およびp65(マウス)キナーゼは、セリン/スレオニン
キナーゼであり、これらの酵素活性は、dsRNAまたは内部dsRNA構造お
よび結果として自己リン酸化を示す一本鎖RNAに結合することを必要とする。
(GalabruおよびHovanessian、1987;Meursら、1
990)。ウサギの網状赤血球、種々のマウスの組織、およびヒトの末梢血単核
細胞中の類似の酵素が、記載されている(Farrelら、1997;Levi
nら、1978;Hovanessian、1988;Krustら、1982
;Buffet−Janvresseら、1986)。
【0004】 PKRは、翻訳、転写、およびシグナル伝達経路の調節において、他の物質に
加えて、タンパク質合成開始因子eIF2、およびI−κB(NF−κBのイン
ヒビター;Kumar Aら、1994)をリン酸化するその能力を通じて、種
々の重要な役割を果たすことが示されている。
【0005】 最も特徴付けられているPKRのインビボでの基質は、真核生物の開始因子−
2(eIF−2α)のαサブユニットである。これは、一旦リン酸化されると、
最終的には細胞性およびウイルス性のタンパク質合成の阻害を導く(Hersh
ey、1991)。PKRは、二本鎖のRNAによって活性化された場合、イン
ビトロで開始因子eIF−2αをリン酸化することが実証されている(Chon
gら、1992)。
【0006】 PKRに寄与する活性として、以下における役割が挙げられる:(1)IFN
−αおよびIFN−βの抗ウイルスおよび抗増殖活性を媒介すること、(2)生
理学的なストレスに対する感染していない細胞の応答、ならびに(3)細胞増殖
の調節(Clemens MJおよびElia A、1997;Zamania
n−Daryoush Mら、1999)。
【0007】 PKRが腫瘍サプレッサーおよびアポトーシスのインデューサーとして機能し
得ることもまた、示唆されている(例えば、Clemens MJおよびBom
mer UA、1999;Yeung,Lauら、1996;Koromila
sら、1992)。最近の結果は、PKRの活性な形態の発現が、おそらくFa
sレセプターの上方制御を通じてアポトーシスを誘発することを示している(D
onze O,ら、1999)。
【0008】 さらに、インターフェロンを産生し得る細胞株が、PKRをコードする発現ベ
クターでトランスフェクトされた場合には、PKRの過剰発現がインターフェロ
ンの増大した産生を誘導することが示されている(WO97/08324)。タ
ンパク質のインターフェロンファミリーは、サイトカインの原型であり、そして
病原体および癌組織に対する免疫防御において重要な役割を果たすことが示され
ている。
【0009】 サイトカインは、生物学的活性の範囲を示し、そして広範囲の標的細胞に対し
て作用する調節分子である(例えば、Balkwill FRおよびBurke
F、1989;Wong GおよびClark S、1988;ならびにCl
ark SおよびKamen R、1987を参照のこと)。
【0010】 一般的には、サイトカインは、昆虫、細菌、および哺乳動物宿主細胞中での組
換えタンパク質の発現によって、現在産生される。
【0011】 サイトカインは、哺乳動物細胞株から天然のサイトカインを精製するか、また
は昆虫、微生物、もしくは哺乳動物細胞中でのサイトカインの組換えによる産生
のいずれかによって、種々の治療適用のために産生される。天然のサイトカイン
は、それらが所定のサイトカインのネイティブな形態の全レパートリーを含み、
そして適切な構造を有する点で好ましいが、これらは、産生するためには高価で
ありそして時間がかかることが公知である。
【0012】 組換えによって産生されたサイトカインは、作成することはあまり高価ではな
いが、供給源に依存して外来の抗原を含み得、それによってそれらが投与される
被験体により免疫応答を生じ得るか、または天然の形態からの構造のバリエーシ
ョン(例えば、グリコシル化パターン)に起因して活性が低くなり得る。
【0013】 従って、産生することがあまり高価ではない、天然のサイトカインの産生を増
強するための方法が有利である。
【0014】 本方法は、サイトカインタンパク質のグリコシル化およびネイティブな折り畳
みを可能にしない微生物システム、または一般的には、非常に低レベルで組換え
タンパク質を産生するヒトの細胞におけるサイトカインの発現を利用する。
【0015】 本発明は、特定の遺伝子の発現を操作することによって、サイトカインの産生
が培養された哺乳動物細胞中で増強されるという驚くべき発見に関する。
【0016】 (発明の要旨) 本発明は、サイトカイン調節タンパク質の発現が正常なレベルを上回るように
増大され、それによってサイトカインの産生の増大を生じる細胞株を提供するこ
とによって、哺乳動物細胞培養物中でのサイトカインの増強された産生のための
方法を提供する。
【0017】 1つの局面においては、本発明は、サイトカイン調節因子の過剰発現を生じる
様式で改変されており、そしてサイトカインの産生をもたらすように処理されて
いる、哺乳動物細胞株を培養すること、それに引き続き培養されて処理された細
胞株によって産生されるサイトカインの回収により、サイトカインを産生するた
めの方法を提供する。
【0018】 1つの好ましい実施態様においては、サイトカイン調節因子はPKRである。
【0019】 1つのアプローチにおいては、哺乳動物細胞株が、サイトカイン調節因子をコ
ードするDNAセグメントに対して作動可能に連結された、宿主細胞中で機能す
るプロモーターフラグメントを有する発現ベクターでトランスフェクトされる。
その結果、サイトカイン調節因子は、細胞株中で過剰発現される。
【0020】 細胞株は、サイトカインの産生をもたらすために感作することおよび誘導する
ことによって(例えば、ホルボールエステル(例えば、酢酸ミリスチン酸ホルボ
ール(PMA))で感作することによって、およびポリr(I):ポリr(C)
のようなdsRNAで誘導することによって)処理され得る。感作は、周知の現
象であり、これにより、サイトカインまたは他の化合物での細胞の予備処理は、
同じサイトカインおよび/またはさらなるサイトカインの増強された産生、それ
に続く刺激を生じる。
【0021】 その発現が本発明の方法を使用して増大させられ得る例示的なサイトカインと
して、以下が挙げられるが、これらに限定されない:インターロイキン(IL−
1α、IL−1β、IL−1ra、IL−2、およびIL−4〜8)、腫瘍壊死
因子αおよびβ(TNF−β)、コロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子、
G−CSF;顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、GM−CSF;および
IL−3)、血管形成因子(線維芽細胞増殖因子、FGF;血管内皮増殖因子、
VEGF;および血小板由来増殖因子1および2(PDGF−1および−2)、
ならびに抗血管形成因子(アンギオスタチンおよびエンドスタチン)。
【0022】 サイトカインは、誘導性のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモー
ターもしくはテトラサイクリン(TRE)プロモーター)、または構成性のプロ
モーター(例えば、CMVプロモーター)の制御下で発現され得る。
【0023】 本発明はさらに、サイトカイン調節因子(例えば、PKR)の正常を上回る発
現、およびサイトカイン(例えば、インターロイキン6(IL−6)、インター
ロイキン8(IL−8)、または腫瘍壊死因子β(TNF−β))の正常を上回
る発現によって特徴付けられる、細胞株組成物を提供する。
【0024】 本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、以下の詳細な説明が、添付の図
面および実施例と組合せて読まれる場合に、より完全に明らかとなる。
【0025】 (発明の詳細な説明) (1.定義) 用語「ベクター」は、新規の核酸を融合(assimilate)し得、そし
て適切な宿主中でそれらの新規の配列を増殖し得るヌクレオチドをいう。ベクタ
ーとして、組換えプラスミドおよびウイルスが挙げられるが、これらに限定され
ない。本発明のベクター(例えば、プラスミドまたは組換えウイルス)は、キャ
リア(例えば、タンパク質に対して複合体化されたプラスミド、脂質に基づく核
酸導入システムと複合体化されたプラスミド、または他の非ウイルスキャリアシ
ステム)であり得る。
【0026】 発現ベクターは、さらなるエレメントを含み得る。例えば、発現ベクターは、
2つの複製システムを有し得、従って、2つの生物体(例えば、発現のための哺
乳動物細胞または昆虫細胞、ならびにクローニングおよび増幅のための原核生物
宿主)中で維持されることを可能にする。
【0027】 発現およびクローニングベクターの両方が、1つ以上の選択された宿主細胞中
でベクターが複製することを可能にする核酸配列を含む。このような配列は、種
々の細菌、酵母、およびウイルスについて周知である。さらに、組込み発現ベク
ターについては、発現ベクターは、宿主細胞のゲノムに対して相同である少なく
とも1つの配列を含み、そして好ましくは、発現構築物に隣接している2つの相
同な配列を含む。組込みベクターは、ベクター中への封入のための適切な相同配
列を選択することによって、宿主細胞中の特異的な遺伝子座に対して指向され得
る。組込みベクターの構築は、当該分野で周知である。
【0028】 発現およびクローニングベクターは、代表的には、選択マーカー遺伝子を含む
。選択マーカー遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリ
ン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはテトラサイクリン)に対する耐性
を付与するか、(b)栄養要求性の欠損を相補するか、または(c)複合培地か
ら入手できない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする(例えば、B
acilliについてはD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)。
【0029】 ベクター中では、核酸コード配列は、別の核酸配列と機能的な関係にそれを配
置することによって、「作動可能に連結」されなければならない。例えば、プレ
配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレ
タンパク質として発現される場合には、ポリペプチドのDNAに対して作動可能
に連結される;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を
与える場合には、コード配列に対して作動可能に連結される;あるいは、リボソ
ーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置される場合には、コード配列
に対して作動可能に連結される。一般的には、「作動可能に連結された」DNA
配列は、連続的であり、そして分泌リーダーの場合においては、連続的でありそ
してリーディング相内である。しかし、エンハンサーは、連続である必要はない
。連結は、便利な制限部位での連結によって達成される。このような部位が存在
しない場合は、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣
例に従って使用される。
【0030】 用語「制御配列」は、特定の宿主生物体中の作動可能に連結されたコード配列
の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適切な制御配列として、例えば、
プロモーター、必要に応じて、オペレーター配列およびリボソーム結合部位が挙
げられる。真核生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエ
ンハンサーを利用することが公知である。
【0031】 プロモーター配列は、構成性のプロモーターまたは誘導性のプロモーターのい
ずれかをコードする。プロモーターは、天然に存在しているプロモーターまたは
ハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。ハイブリッドプロモーターは
、1つ以上のプロモーターのエレメントの組合せであり、これは一般的には当該
分野で公知であり、そして本発明の実施において有用である。
【0032】 本明細書中で使用される場合は、用語「サイトカイン調節因子の発現」は、サ
イトカイン調節因子遺伝子の転写および翻訳をいう。この産物は、前駆体RNA
、mRNA、ポリペプチド、翻訳後プロセシングされたポリペプチド、およびそ
れらの誘導体(マウスまたはサルの酵素ような他のヒト以外の種に由来するサイ
トカイン調節因子を含む)である。本明細書中で使用される場合は、用語「PK
Rの発現」は、PKR遺伝子の転写および翻訳をいう。その産物として、前駆体
RNA、mRNA、ポリペプチド、翻訳後プロセシングされたポリペプチド、お
よびそれらの誘導体(マウスまたはサルの酵素ような他のヒト以外の種に由来す
るPKRを含む)。
【0033】 本明細書中で使用される場合は、用語「PKRの生物学的活性」および「生物
学的に活性なPKR」は、PKR、またはPKRの任意のフラグメント、誘導体
、もしくはアナログに関連する任意の生体活性(例えば、酵素活性、特に、自己
リン酸化活性、真核生物の翻訳開始因子2(eIF−2)のリン酸化活性、もし
くはキナーゼ活性を含む)をいい、それによってサイトカインのようなタンパク
質の増強された転写を生じる。続いて、所定のサイトカイン調節因子の生物学的
活性が、当業者によって、代表的にその因子に帰される任意の生物学的活性をい
う。
【0034】 本明細書中で使用される場合は、用語「正常なレベルのPKR活性」および「
正常なレベルのPKRの発現」によって示される、用語「サイトカイン調節因子
の活性の正常なレベル」、「サイトカイン調節因子の発現の正常なレベル」は、
サイトカイン調節因子のレベル(例えば、特定の型(例えば、特定の細胞株)の
刺激されていないかまたは感染されていない細胞中に存在するとして決定される
、PKR活性または発現)をいう。このような「正常な」サイトカイン調節因子
の活性または発現が、サイトカイン調節因子の活性または発現の範囲として報告
され、これは一般的には、サイトカイン調節因子をコードするベクターでトラン
スフェクトされていない、刺激されていない(誘導されていないかまたは感作さ
れていない)そして感染されていない所定の細胞型について観察され、そして培
養条件にいくらか依存して変化し得ることが明らかである。
【0035】 例えば、U937細胞株は、正常な範囲のPKR活性を有し得る。これは、U
937、T98G、またはNamalwa細胞株についてのPKR活性の正常な
範囲とは異なるPKR活性の正常な範囲を有し得る。所定のサイトカイン調節因
子(例えば、PKR)の過剰発現は、PKRをコードするベクターでトランスフ
ェクトされていない、刺激されていない(誘導されていないか前処理されていな
いか、または感作されていない)そして感染されていない、所定の型の細胞につ
いて一般的に観察されるPKRの発現の正常な範囲を上回る発現レベルを意味す
ることになる。
【0036】 同様に、本明細書中で使用される場合は、用語「正常なレベルのサイトカイン
活性」および「正常なレベルのサイトカインの発現」は、正常に産生するかまた
は所定のサイトカインを産生し得るかのいずれかであるトランスフェクトされて
いない細胞株のような、所定のサイトカイン調節因子(例えば、PKR)を過剰
発現しない特定の型の細胞中に存在するとして決定される、サイトカインの活性
または発現のレベルをいう。このような「正常な」サイトカインの活性または発
現は、サイトカイン調節因子を過剰発現せず、そして培養条件にいくらか依存し
て変化し得る所定の型の細胞について一般的に観察されるサイトカインの活性ま
たは発現の範囲として報告されることが理解される。
【0037】 例えば、PKRを過剰発現しない所定の細胞株は、PKRでのトランスフェク
ションおよびその過剰発現後の同じ細胞株についてのサイトカイン活性の範囲と
は異なる、サイトカイン活性の正常な範囲を有し得る。
【0038】 (II.発明の方法) 本発明は、哺乳動物細胞培養物中でのサイトカインの産生のレベルが、インビ
ボでサイトカインの発現を通常は調節する特定のタンパク質の発現または活性の
制御によって増大させられ得るという発見に基づく。
【0039】 これらの因子として、サイトカイン特異的調節因子(例えば、インターフェロ
ン調節因子(IRF−1、IRF−3、およびIRF−7)、サイトカインレセ
プター、核因子κB(NF−κB)、活性化因子タンパク質−1(AP−1)、
核因子IL−b(NF−IL−6)、プロテインキナーゼC、p38 MAPK
、STAT/Jakキナーゼシステム因子)、そして特にPKRが挙げられる。
【0040】 これらの調節因子の任意のものの発現または活性を増強することによって、1
つ以上のサイトカインをコードする遺伝子の正常な発現レベルよりも高いレベル
を生じる。このように増強されたサイトカインの発現は、サイトカインのより十
分でありそしてコストの低い産生を生じる。
【0041】 PKRは、サイトカインの発現を調節し得るタンパク質の例として本明細書中
で使用される。しかし、他のサイトカイン調節因子(例えば、PMA、プロテイ
ンキナーゼC(PKC)インデューサー、インターフェロン−γ、インターフェ
ロン−α、インターフェロン−β、TNF−α、GM−CSF、EGF、および
PDGF)がPKRの代わりに使用され得ることが理解される。
【0042】 哺乳動物細胞中のサイトカイン調節因子(例えば、PKR)の発現/活性を増
大させることによって、サイトカインの産生が増大させられ得る。従って、哺乳
動物細胞培養物(これは、より高い構成的なレベルのサイトカイン調節因子を発
現するか、またはここでサイトカイン調節因子の発現がより高いレベルに誘導さ
れ得る)が、サイトカインの産生のために有用である。
【0043】 この方法は、サイトカインの発現を調節し得るタンパク質(サイトカイン調節
因子)(例えば、PKRを含むがこれに限定されない)を過剰発現する細胞の、
サイトカインの供給源としての(代表的には微生物ではないインデューサーが使
用されることを除いて、サイトカイン調節因子を過剰発現するために特定の方法
は必要とされない)使用をあてにする。しかし、いくつかの場合においては、ウ
イルスの誘導が(例えば、酪酸ナトリウム処理とともに)使用される。
【0044】 特に、この方法は、以下の工程を包含する:(a)サイトカイン調節因子を過
剰発現するために十分な条件下で、サイトカイン調節因子またはそのアナログも
しくはホモログを過剰発現し得る哺乳動物細胞を培養する工程、および(b)適
切である場合には、サイトカイン遺伝子の発現を誘導するために細胞培養物を処
理する工程。
【0045】 所定のサイトカインを産生するために使用される細胞は、サイトカイン調節因
子(例えば、任意の哺乳動物供給源に由来するPKR、例えば、ウサギの赤血球
、種々のマウス組織、またはヒトの末梢血単核細胞中に通常見出されるPKR)
を過剰発現し得る。好ましくは、マウスのp65キナーゼ(Feng,G.S.
ら、1992)、そして最も好ましくは、ヒトp68キナーゼ(Meurs,E
.ら、1990;GenBank登録番号第NM 002759)が、対応する
マウスまたはヒトの細胞培養物中でそれぞれ過剰発現される。
【0046】 いくつか場合においては、過剰発現されるサイトカイン調節因子は、天然のサ
イトカイン調節因子のアナログ(例えば、天然のものではないプロテインキナー
ゼのようなPKRアナログ(これは、サイトカインの転写のdsRNA活性化を
媒介し得る(通常は、天然のPKRタンパク質をコードする遺伝子の改変によっ
て得られる))である。
【0047】 サイトカイン調節因子を過剰発現し得る哺乳動物細胞は、当該分野で周知であ
る任意の多数の方法によって得ることができるか、または商業的な供給源から入
手することができる。
【0048】 サイトカイン調節因子を過剰発現する細胞を得るための例示的な方法として、
サイトカイン調節因子をより高いレベルで発現する細胞についての選択、プロモ
ーターの制御下でサイトカイン調節因子をコードする発現ベクターでのトランス
フェクション、および正常なレベルを上回るサイトカイン調節因子の発現の増大
を生じる他の方法が挙げられる。
【0049】 さらなるアプローチとして、PKRを阻害する因子であるp58(これは通常
は、PKR活性を阻害する)の不活化またはそのレベルの低下が挙げられる。p
58の変異、改変、または遺伝子標的化除去によって、増強されたPKR活性を
生じる(Barber,G.N.ら、1994)。
【0050】 別の例として、PKRの発現を増強し得る、PKRの天然の、合成の、または
組換えの活性化因子(例えば、PKR活性化因子タンパク質PACT(Pate
l,R.C.およびSen,G.C.,1998))が挙げられる。
【0051】 本発明は、ヒトの細胞の形質転換に適切なベクター(例えば、哺乳動物細胞株
中のタンパク質の発現に有効な調節エレメントに対して作動可能に連結されたサ
イトカインの発現を調節するために有効なタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドを含有している、組換え発現ベクター)を提供する。好ましいコード配列と
して、p68(ヒト)キナーゼまたはp65(マウス)キナーゼのコード配列が
挙げられる。関連する局面においては、本発明は、このベクターを含有している
哺乳動物宿主細胞を包含する。
【0052】 1つの好ましいアプローチにおいては、ベクターは、イントロンおよび制御エ
レメント(例えば、適切な宿主、および/またはコード配列が異種遺伝子である
ベクターもしくは宿主の環境において、コード配列の発現に有効である、プロモ
ーターおよびターミネーターエレメントまたは5’および/もしくは3’非翻訳
領域)のような非コード配列と組合せて、融合タンパク質またはシグナルペプチ
ドのコード配列のようなさらなるコード配列とともにサイトカインの発現を調節
するために有効なタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド配列を含む。「異
種DNA」および「異種遺伝子」は、それらが存在する細胞またはゲノムの一部
に対して内因性ではないヌクレオチドを意味する。一般的には、このようなヌク
レオチドは、細胞に対して、トランスフェクション、相同組換え、マイクロイン
ジェクション、エレクトロポレーションなどによって付加されている。発現ベク
ターはまた、翻訳の開始のためのリボソーム結合部位、および転写のターミネー
ターを含む。ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列を含み得る。さ
らに、発現ベクターは好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現
型形質を提供するための、1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。
【0053】 多数の適切なベクターおよびプロモーターが、当業者に公知であり、そして商
業的に入手可能である。ヒトの細胞での使用に適切なクローニングおよび発現ベ
クターがまた、Sambrookら(1989)Molecular Clon
ing:A Laboratory Manual(第2版)、Cold Sp
ring Harbor Press、Plainview,N.Y.およびA
usubel FMら(1989)Current Protocols in
Molecular Biology,John Wiley & Sons
,New York,N.Y.(本明細書中で参考として明らかに援用されてい
る)に記載されている。例示的なプロモーターとして、構成性のプロモーターお
よび誘導性のプロモーターが挙げられ、それらの例として、CMVプロモーター
、SV40初期プロモーター、RSVプロモーター、EF−1αプロモーター、
tet応答性エレメント(TRE)を含有しているプロモーター、およびメタロ
チオネイン(metallothienein)プロモーターが挙げられる。
【0054】 サイトカインの発現を調節するために有効なタンパク質のコード配列を含有し
ている異種核酸配列は、ポリペプチドの発現のための種々の発現ベクターの任意
の1つに含まれ得る。任意のベクターが、導入される哺乳動物細胞中でそれが複
製可能でありそして存続可能である限りは、使用され得る。適切なDNA配列が
、種々の手順によってベクター中に挿入され得る。一般的には、DNA配列が、
適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(単数または複数)中に標準的な手順によっ
て挿入される。このような手順および関連するサブクローニング手順は、当業者
の知見の範囲内であると考えられる。
【0055】 上記のような適切なDNA配列、ならびに適切なプロモーター、または制御配
列を含有しているベクターが、細胞がタンパク質を発現することを可能にするよ
うに、そしてそれによってサイトカインの産生を増強するために、哺乳動物細胞
株を形質転換するために使用され得る。
【0056】 ベクターの宿主細胞中への導入は、リン酸カルシウムでのトランスフェクショ
ン、DEAE−Dextranによって媒介されるトランスフェクション、リポ
フェクタミン、またはリポフェクションによって媒介されるトランスフェクショ
ン、またはエレクトロポレーションによって達成され得る(Davis.L.、
Dibner,M.およびBattey,I.Basic Methods i
n Molecular Biology,1986)。組換えサイトカインの
長期間の高収量での産生については、安定な発現が好ましい。続いて、安定な形
質転換体を作製するために有効な任意の方法が、本発明の実施において使用され
得る。
【0057】 本発明はまた、本発明の発現ベクターで形質導入されているか、形質転換され
ているか、またはトランスフェクトされている宿主細胞を提供する。培養条件(
例えば、温度、pHなど)は、発現のために選択される宿主について以前に使用
されたものであり、そして当業者に明らかである。
【0058】 サイトカイン調節因子の発現に適切なクローン細胞株の例として、Namal
wa、U937、Vero、MRC−5、WI−38細胞、Flow 1000
細胞、Flow 4000細胞、FS−4およびFS−7細胞、MG−63細胞
、CCRF−SB細胞、CCRF−CEM細胞、およびT98G細胞が挙げられ
るが、これらに限定されない。サイトカイン調節因子の発現のために適切な初代
細胞型の例として、単球/マクロファージ系統の細胞、リンパ球系統の細胞(T
細胞およびB細胞を含む)、肥満細胞、線維芽細胞、骨髄細胞、ケラチノサイト
、骨芽細胞に由来する細胞、メラニン細胞、内皮細胞、血小板、種々の他の免疫
系の細胞、肺の上皮細胞、膵臓の実質(parenchmal)細胞、グリア細
胞、およびこのような細胞型に由来する腫瘍細胞が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0059】 好ましくは、サイトカイン調節因子を過剰発現する細胞培養物は、サイトカイ
ンの誘導に利用可能な因子のレベルを調節するためのサイトカイン調節因子の過
剰発現が誘導可能である。
【0060】 サイトカイン調節因子の過剰発現によって、サイトカイン調節因子の活性の正
常なレベルよりも高いことが意味される。サイトカイン調節因子の「正常な」活
性または発現は、サイトカイン調節因子をコードするベクターでトランスフェク
トされていない、刺激されていない(誘導も感作もされていない)、そして感染
していない、所定の型の細胞について一般的に観察される、サイトカイン調節因
子のある範囲の活性または発現として報告されている。サイトカイン調節因子の
正常な活性の範囲が、特定の因子、細胞型に依存して変化し、そして所定の細胞
型については、培養条件に依存していくらか変化し得ることが、理解される。
【0061】 正常よりも高いレベルは、好ましくは、使用される特定の培養条件下で、所定
のサイトカイン調節因子についての正常なレベルの、少なくとも150%、より
好ましくは少なくとも200%または300%、最も好ましくは少なくとも50
0%を意味する。サイトカイン調節因子を過剰発現する細胞培養物は、サイトカ
イン調節因子の過剰発現について構成性であり得るか、またはサイトカイン調節
因子の過剰発現について誘導性であり得る。
【0062】 1つの好ましい実施態様においては、サイトカイン調節因子はPKRであり、
そしてPKRを過剰発現する細胞培養物は、サイトカインの誘導に利用可能なP
KRのレベルを調節するために、PKRの過剰発現について誘導性である。かな
り多数の公知の細胞型が、PKRを過剰発現する細胞株を作製するために、特に
上記に提供される特定の例を用いて、有用である。
【0063】 所定のサイトカイン調節因子の活性は、当該分野で公知の方法によって決定さ
れ得る。例示として、PKRの発現についてのアッセイとしては、自己リン酸化
アッセイ、eIF2αのリン酸化についてのアッセイ、タンパク質のレベルにつ
いてのウェスタンブロット分析、およびノーザンブロット分析、ならびにPKR
mRNAについての逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)が挙げ
られる。
【0064】 一般的には、さらなる工程が、哺乳動物細胞によるサイトカインの発現を増強
するために行われる。このような工程として、以下の工程の1つ以上が挙げられ
る:(1)サイトカイン調節因子の発現を増強するために有効な条件下でトラン
スフェクトされた細胞を培養する工程、(2)ポリペプチド、化学薬品、または
核酸を含むがこれらに限定されない試薬を用いて、サイトカイン調節因子を発現
する細胞を感作する工程、および(3)サイトカインの産生を誘導するために、
サイトカイン調節因子を発現する細胞を処理する工程(誘導)。
【0065】 感作は、感作剤(例えば、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)、および他
のホルボールエステル、カルシウムイオノフォア、インターフェロン−α、イン
ターフェロン−γ、インターフェロン−β、G−CSF、GM−CSF、PDG
F、TGF、EGF、酪酸ナトリウム、キナーゼ活性化因子、または転写活性化
因子)で処理することを含み得る。
【0066】 処理は、細胞培養物に対して微生物(すなわち、ウイルス)または微生物では
ないインデューサーを添加することを含み得る。一般的には、インデューサーは
、微生物ではないインデューサー(例えば、ポリ(I):ポリ(C)、またはポ
リr(I):ポリr(C))である。
【0067】 一般的には、U937細胞が、FGFおよびsTNF−Rの産生に好ましい;
Jurkat細胞が、IL−3およびTNF−βの産生に好ましい;線維芽細胞
が、FGFおよびアンギオスタチンの産生に好ましい;U937細胞が、IL−
6およびそのホモログの産生に好ましい;JurkatおよびHUTを含むCD
−4を発現する細胞が、TNF−βの産生に好ましい;そしてJarkatおよ
びNamalwaを含むT細胞およびB細胞が、IL−8およびそのホモログの
産生に好ましい。
【0068】 一旦、所定のサイトカインの上昇した発現が達成されると、それによって産生
されたサイトカインが、細胞培養物から精製される。このような精製に適切な例
示的な手順として、以下が挙げられる:抗体−アフィニティーカラムクロマトグ
ラフィー、イオン交換クロマトグラフィー;エタノール沈殿;逆相HPLC;シ
リカまたは陽イオン交換樹脂(例えば、DEAE)でのクロマトグラフィー;ク
ロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;および例え
ば、Sephadex G−75を使用するゲル濾過。タンパク質精製の種々の
方法が使用され得、そしてこのような方法は当該分野で公知であり、そして例え
ば、Deutscher、METHODS IN ENZYMOLOGY、18
2、1990;Scopes、PROTEIN PURIFICATION:P
RINCIPLES AND PRACTICE、Springer−Verl
ag,New York、1982に記載されている。選択される精製工程(単
数または複数)は、例えば、使用される産生プロセスの性質、および産生される
特定のサイトカインの性質に依存する。
【0069】 本発明の1つの好ましい局面においては、培養条件、感作、および処理の組合
せによって、有意に増強されたサイトカインの産生(例えば、少なくとも2.5
倍の増大、そして好ましくは、10倍以上の増大)を生じる。いくつかの場合に
おいては、本発明の方法は、100から1000倍またはそれ以上である、サイ
トカインの産生における増大を生じる。
【0070】 細胞培養でのサイトカインの産生に代表的に付随する問題点(例えば、組換え
ではない哺乳動物系による低い収量、不適切なグリコシル化、または微生物系に
おいて産生されるタンパク質の誤った折り畳み)は、本発明の方法において排除
される。本発明の方法は、治療用のタンパク質の開発に有用であることが証明さ
れるはずである。
【0071】 (III.サイトカイン) サイトカインは、それらの同族レセプターに結合することによって、それらの
生物学的活性が引き出され、続いて、シグナル伝達によって種々の生化学的プロ
セスの刺激を導く。いくつかの場合においては、このようなレセプターの発現は
、特異的なシグナルによって調節される。例えば、サイトカインは、ポジティブ
なまたはネガティブなフィードバックループに関与し得、そしてそれによって同
じまたは異なるサイトカインのレセプターの発現を調節し得る。このようなレセ
プターは、サイトカインを産生する同じ型の細胞または異なる型の細胞であり得
る。
【0072】 サイトカインは、免疫応答および炎症性の応答を媒介しそして調節するように
作用する。一般的には、サイトカインの産生は一時的であり、そして産生は、短
い転写期間の間に行われ、そしてこれもまた短く存続しそして転写後の制御機構
に供される、mRNA転写物の産生を生じる。最近の研究は、一般的なシグナル
伝達経路である、「Jak/STAT」経路が、種々のサイトカインによって使
用されることを示した(Abbas,AKら、1997)。
【0073】 サイトカインの細胞性の供給源が、複数の多岐にわたる型の細胞による産生が
可能であるそれぞれの個々のサイトカインの特徴を区別することが理解される。
さらに、所定のサイトカインは、(1)1より多くの型の細胞に対して作用し得
、(2)同じ細胞に対して1より多くの影響を有し得、(3)別のサイトカイン
と共有される活性を有し得、そして(4)他のサイトカインの合成または効果に
、その効果を拮抗または相乗作用することによって影響を与え得る。
【0074】 組換えの可溶性の腫瘍壊死因子レセプター(sTNF−R)は、TNFを中和
し、そして抗炎症特性を有することが観察されている。
【0075】 sTNF−Rは現在、組換えタンパク質として産生されている。
【0076】 sTNF−Rの産生のための標的細胞として、単球/マクロファージ系統の細
胞が挙げられる。
【0077】 sTNF−Rの臨床的な有用性として、慢性関節リウマチおよび敗血症に対す
る適用、ならびに種々の研究用の適用が挙げられる。
【0078】 インターロイキン−2(IL−2)または「T細胞増殖因子」は、T細胞の増
殖および機能を促進することが公知である。Tヘルパーリンパ球が、特定の有子
分裂促進因子での刺激、または抗原提示細胞の表面上での抗原/MHC複合体と
T細胞レセプター複合体との相互作用によって活性化されている場合、IL−2
およびIL−2レセプターが誘導され、それによって抗原特異的T細胞のクロー
ン性拡大を生じる(例えば、Smith,KA、1988;Dinarello
、1994を参照のこと)。
【0079】 IL−2は、現在、種々の細胞型中の組換えIL−2タンパク質の発現によっ
て産生されている。
【0080】 IL−2の産生のための標的細胞として、T細胞が挙げられる。
【0081】 IL−2の臨床的な有用性として、抗ガン適用および抗HIV適用、ならびに
種々の研究的な使用が挙げられる。
【0082】 インターロイキン−3(IL−3)は、多数の型の造血細胞(顆粒球、マクロ
ファージ、好酸球、肥満細胞、巨核球、および赤血球を含む)の形成における刺
激因子と推定されている。
【0083】 IL−3は、骨髄(BM)幹細胞に対して多数の造血効果を有することが観察
されており、これは、G−CSFよりも多面発現性である。
【0084】 IL−3は現在、組換えDNA技術を使用して産生されている。
【0085】 IL−3の産生のための標的細胞として、T細胞および肥満細胞が挙げられる
【0086】 IL−3の臨床的な有用性として、以下に対する適用が挙げられる:(1)エ
キソビボでのT細胞および幹細胞の拡大、(2)インビボでのBM移植後、(3
)骨髄の不全(化学療法)、(4)血液の疾患、ならびに(5)汎血球減少症、
さらに種々の研究的な使用。
【0087】 インターロイキン−4(IL−4)もまた、B細胞刺激因子(すなわち、BS
F−1)として公知であり、これは、以下を含む多数の生物学的影響を有するこ
とが観察されている:(1)T細胞、肥満細胞、顆粒球、巨核球、および赤血球
の同時刺激、(2)休止B細胞上でのクラスII主要組織適合性複合体分子の発
現の誘導、(3)刺激されたB細胞によるIgEおよびIgG1アイソタイプの
増強された分泌、ならびに(4)抗炎症特性。
【0088】 IL−4は、2型のヘルパーT細胞(TH2)応答に対する影響および抗増殖
特性を有することが観察されている。
【0089】 IL−4は現在、組換えタンパク質としての発現によって産生されている。
【0090】 IL−4の産生のための標的細胞として、T細胞および肥満細胞が挙げられる
【0091】 IL−4の臨床的な有用性として、エキソビボでの幹細胞の拡大、抗ガンスト
ラテジー、および固形腫瘍の処置に対する適用、さらに種々の研究的な使用が挙
げられる。
【0092】 インターロイキン−5(IL−5)は、アレルギー性の応答の抑制および抗酸
球の抑制に対して影響を有することが提案されている。
【0093】 IL−5は現在、組換えタンパク質としての発現によって産生されている。
【0094】 IL−5の産生のための標的細胞として、T細胞および肥満細胞が挙げられる
【0095】 IL−5の臨床的な有用性として、喘息の処置における適用、さらに種々の研
究的な使用が挙げられる。
【0096】 インターロイキン−6(IL−6)は、種々の細胞型によって産生される多機
能性のサイトカインであり、そして免疫系の細胞、肝細胞、腎臓細胞、造血幹細
胞(hematopoietic staminal cell)、ケラチノサ
イト、およびニューロンを含む種々の細胞型に対して、分化因子および成長因子
として作用する。
【0097】 IL−6は、炎症において役割を果たすこと、および抗増殖特性を有すること
観察されている。
【0098】 IL−6は現在、組換えタンパク質としての発現によって産生されている。
【0099】 IL−6の産生のための標的細胞として、線維芽細胞、T細胞、および単球/
マクロファージ系統の細胞が挙げられる。
【0100】 IL−6の臨床的な有用性として、乳ガンおよび白血病の処置に対する適用が
挙げられ、そしてIL−6の抗炎症特性は、種々の感染性の疾患および血小板新
生の障害の処置、さらに種々の研究的な使用に有用であり得る。
【0101】 「リンホポエチン−1」として以前に公知のインターロイキン−7(IL−7
)は、長期間の骨髄培養物から誘導されるプレ−B細胞(B220+細胞)の増
殖を刺激するその能力によって最初に定義された(Whitlockら、198
4)。IL−7は、骨髄中でのB細胞およびT細胞の前駆体の増殖を刺激し、そ
して以下において役割を果たすことが観察されている:(1)皮膚でのサイトカ
インの合成、(2)増大した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性、および(
3)増大したナチュラルキラー(NK)細胞の活性。
【0102】 IL−7は、現在は、組換えタンパク質としての発現によって産生されている
【0103】 IL−7の産生のための標的細胞として、骨髄細胞およびケラチノサイトが挙
げられる。
【0104】 IL−7の臨床的な有用性として、黒色腫の処置に対する適用、さらに種々の
研究用途に対する適用が挙げられる。
【0105】 インターロイキン−8(IL−8)は、化学走化性のサイトカインであり、ヒ
トの好中球の脱顆粒化を生じ得、そしてケラチノサイト、上皮細胞、滑膜細胞(
synoviocyte)、肝細胞、単球、および好中球によって産生される。
IL−8の生物学的な影響は、7回膜貫通ドメイン、Gタンパク質共役型レセプ
ターを通じて媒介されるとして記載されている。
【0106】 IL−8は、CXCケモカインファミリーのメンバーであり、そして化学走化
特性および血管形成特性を有することが観察されている。
【0107】 IL−8は、現在は、組換えタンパク質としての発現によって産生されている
【0108】 IL−8の産生のための標的細胞として、線維芽細胞、T細胞、および単球/
マクロファージ系統の細胞が挙げられる。
【0109】 臨床研究は完了していないが、IL−8の推定される有用性として、細菌およ
びウイルスの感染の処置のための適用、ガン治療における適用、および血管の増
殖を促進することにおける適用、さらに種々の研究用途に対する適用が挙げられ
る。
【0110】 腫瘍壊死因子α(TNF−α)および腫瘍壊死因子β(TNF−β;リンホト
キシン)は、それぞれ主にマクロファージおよびリンパ球によって産生される。
TNF−αは、多数の生物学的機能(移植された腫瘍の出血性の壊死、細胞傷害
性を含む)、内毒素のショックおよび炎症、免疫調節、増殖、および抗ウイルス
応答における重要な役割を有する。TNF−αおよびTNF−βは、生物学的活
性の同様のスペクトルを共有する。TNF−βは、新生物細胞株に対して抗細胞
性の活性を示すが、初代細胞培養物および正常な細胞株に対しては示さない。こ
のことは、それが強力な抗腫瘍活性を有することを示唆している。TNF−βも
また、リンパ系の器官の発達において重要な役割を果たす。TNF−αおよびT
NF−βは、それらの同様の活性と矛盾しない同じ細胞表面レセプターに結合す
る。
【0111】 TNF−αおよびTNF−βの臨床的な有用性として、抗ガン適用、特に、他
の化学療法薬または遺伝子治療と組合せた適用が、挙げられる。比較的低用量の
TNFが投与され得るような組合せ治療が、重要であり得る(1999年11月
2日に発行された米国特許第5,976,800号)。この薬剤は、黒色腫、骨
肉種、乳ガン、およびリンパ腫を含む、散在性の腫瘍を有する患者の処置に有用
であり得る。
【0112】 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は、好中球前駆体の増殖および分化を
刺激し、そして顆粒球の維持および酸化的バースト(oxidative bu
rst)において役割を果たすことが、観察されている。
【0113】 G−CSFは、現在は、細菌および哺乳動物宿主細胞中での組換えタンパク質
としての発現によって産生されている。
【0114】 G−CSFの産生のための標的細胞として、線維芽細胞、内皮細胞、および単
球/マクロファージ系統の細胞が挙げられる。
【0115】 G−CSFの臨床的な有用性として、化学療法後の汎血球減少症の処置、骨髄
移植後の処置に対する適用、および種々の研究用途に対する適用が挙げられる。
【0116】 顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、それらの始原
細胞からの顆粒球およびマクロファージのコロニーの産生を刺激し、そして多能
性の始原細胞の増殖および分化を促進することが観察されている。さらに、GM
−CSFは、顆粒球およびマクロファージの機能においてエフェクターの役割を
果たすようである。
【0117】 GM−CSFは、現在は、細菌および哺乳動物宿主細胞中での組換えタンパク
質の発現によって産生されている。
【0118】 GM−CSFの産生のための標的細胞として、線維芽細胞、内皮細胞、および
T細胞が挙げられる。
【0119】 GM−CSFの臨床的な有用性として、化学療法後の汎血球減少症の処置、骨
髄移植後の処置に対する広範な適用、および種々の研究用途に対する適用が挙げ
られる。
【0120】 線維芽細胞増殖因子(FGF)(酸性の形態および塩基性の形態の両方)は、
血管形成および内皮細胞の増殖において役割を果たすことが観察されている。培
養物中で組換えFGF−5を用いる研究は、それが培養された運動ニューロンの
生存性を促進し得ることを示し、このことは、FGF−5が運動ニューロンの神
経栄養性因子であることを示している。
【0121】 FGFは、組換えタンパク質としての発現によって現在は産生されている。
【0122】 FGFの産生のための標的細胞として、血小板、内皮細胞、およびマクロファ
ージ系統の細胞が挙げられる。
【0123】 FGFの有用性として、虚血性心臓疾患、うっ血性心不全、および炎症応答を
含む種々の状態の処置に対する適用、ならびに種々の研究用途に対する適用が挙
げられる。
【0124】 血管内皮増殖因子(VEGF)は、多数の生理学的影響(血管形成、窒素酸化
物によって媒介される血管拡張、増大した血管の浸透性、ならびに増大した内皮
細胞の増殖および運動性を含む)を有する血管形成性の増殖因子である。VEG
Fの発現は、虚血によって有意にアップレギュレートされることが観察されてい
る。
【0125】 VEGFは、現在は、微生物および哺乳動物宿主細胞中で組換えタンパク質の
発現によって産生されている。
【0126】 VEGFの産生のための標的細胞として、種々の免疫細胞が挙げられる。
【0127】 VEGFの有用性として、うっ血性の心不全の処置に対する適用、さらに種々
の研究用途に対する適用が挙げられる。
【0128】 血小板由来増殖因子(PDGF−1およびPDGF−2)は、増殖因子として
作用し、そして血管形成において役割を果たすことが観察されている。精製され
たヒトの血小板由来増殖因子(PDGF)は、間葉由来の培養された平滑筋細胞
、線維芽細胞、およびグリア細胞についてのマイトジェンであり、そして単球お
よび好中球の化学接着因子として作用することが示されている。
【0129】 インビボでは、PDGFは、血小板のα顆粒中および内皮細胞中に見出され、
そして創傷治癒特性を有することが示されている。
【0130】 PDGF−1およびPDGF−2は、現在は、組換えタンパク質としての発現
によって産生されている。
【0131】 PDGF−1およびPDGF−2の産生のための標的細胞として、血小板、内
皮細胞、および単球/マクロファージ系統の細胞が挙げられる。
【0132】 PDGF−1およびPDGF−2の有用性として、虚血性心疾患の処置に対す
る適用、および種々の研究用途に対する適用が挙げられる。
【0133】 アンギオスタチンおよびアンドスタチンは、内皮細胞の増殖の阻害において役
割を果たすことが観察されている。アンギオスタチンおよびエンドスタチンは、
腫瘍を保有している動物中の血管形成のインヒビターとして作用することが観察
されている(Lannutti BJら、1997;O’Reilly MSら
、1997)。
【0134】 アンギオスタチンおよびエンドスタチンの産生のための標的細胞として、種々
の免疫系の細胞が挙げられる。
【0135】 アンギオスタチンおよびエンドスタチンの有用性として、ガンの処置における
適用、および種々の研究用途における適用が挙げられる。
【0136】 (さらなるサイトカイン) その発現が本発明の方法を使用して増大され得る他の例示的なサイトカインと
して、上記のサイトカインのさらなるファミリーのメンバー(例えば、IL−6
ファミリーのメンバーであるオンコスタチンM;IL−11、白血病阻害因子(
LIF);毛様体好中球因子およびカルジオトロピン(cardiotroph
in))が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、上記のサイトカイン
についての同族のレセプター(例えば、TNF可溶性レセプター(sTNF−R
)、Fas可溶性レセプター(sFas)、およびIL−6ファミリーレセプタ
ー、可溶性の糖タンパク質130(gp130))の発現が、増大させられ得る
。その発現が本発明の方法を使用して増大させられ得るさらなる例示的なサイト
カインとして、その遺伝子がPKRによって活性化される転写因子によって調節
されるサイトカイン(NF−κB、IRF−1、3、および7、ならびにSta
tファミリーのメンバーを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】 (IV.PKR) 1つの例示的なアプローチにおいては、PKRは、サイトカインの産生を増強
させるために使用される因子であり、そして本発明の方法を実施することにおい
て使用される細胞は、PKRを産生し得、そして改変が存在していないPKRの
ベースラインレベルを生じる。
【0138】 いくつかの例においては、PKR活性は、PKR自己リン酸化活性、あるいは
基質をリン酸化することにおけるキナーゼの活性、好ましくは、真核生物の開始
因子−2α(eIF−2α)、または別の因子(例えば、核因子−κB(NF−
κB)を測定することによって(Linkら、267 J.Biol.Chem
.239、1992)、あるいはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはPKR
特異的抗体でのウェスタンブロッティングのような生化学的な試験によって、直
接評価され得る。
【0139】 多数のアプローチが、PKRの発現を増強するために行われ得る。本発明の1
つの実施形態においては、PKRの発現は、所定のサイトカインを産生し得る哺
乳動物宿主細胞を、プロモーターに作動可能に連結されたPKRをコードする配
列を含有しており、かつ哺乳動物宿主細胞によるPKRの発現に必須の制御配列
を含有している発現ベクターでトランスフェクトすることによって、増強される
【0140】 PKRをコードするヌクレオチド配列でトランスフェクトされた宿主細胞は、
細胞中でのコードされるPKRの発現に適切な条件下で培養され得る。当業者に
よって理解されているように、PKRをコードするポリヌクレオチドを含有して
いる発現ベクターは、組換え細胞によって産生されるPKRが、使用される配列
および/もしくはベクターに依存して、分泌され得るか、膜に結合し得るか、ま
たは細胞内に含まれ得るように設計され得る。
【0141】 いくつかの場合においては、さらなる工程が、トランスフェクトされた宿主細
胞によるPKRの発現を増強するために行われ得る。このような工程は、以下の
工程の1つ以上を包含する:(1)PRKの発現を増強するために有効な条件下
でトランスフェクトされた細胞を培養する工程、(2)PKRでトランスフェク
トされた細胞を感作する工程、および(3)さらに以下に記載されるように、サ
イトカインの産生を誘導するために、PKRでトランスフェクトされた細胞を処
理する工程。
【0142】 好ましい実施形態においては、培養条件、感作、および処理の組合せは、有意
に増強されたサイトカインの産生(例えば、少なくとも2.5倍の増大、そして
好ましくは、10倍以上の増大)を生じる。いくつかの場合においては、本発明
の方法は、100倍から1000倍またはそれ以上であるサイトカインの産生に
おける増大を生じる。
【0143】 (V.サイトカインの発現の評価) サイトカイン調節因子を過剰発現する細胞株によって目的のサイトカインの発
現を評価するために、アッセイは、タンパク質レベル、RNAレベルで行われ得
るか、または発現される個々のサイトカインに対する特定の機能的なバイオアッ
セイの使用によって行われ得る。
【0144】 特定のサイトカインタンパク質についてのイムノアッセイは、当業者によって
慣用的に使用される手順を使用して行われ得る。このようなイムノアッセイは、
目的のサイトカインの発現を定性的にかつ定量的に分析するために使用され得る
【0145】 精製された形態の目的のサイトカインは、天然の供給源から得られ得るか、ま
たはトランスフェクトされた細胞中での組換えによる産生によって得ることがで
き、そしてタンパク質精製のための標準的な技術を使用して精製され得る。精製
されたタンパク質は、次いで、発現されたタンパク質について特異的なモノクロ
ーナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかを産生するために使用され得る
。これは、種々のイムノアッセイにおいて使用され得る(例えば、Harlow
およびLane、Antibodies:A Labopratory Man
ual,Cold Spring Harbor Pubs.,N.Y.,19
88を参照のこと)。例示的なアッセイとして、ELISA,競合イムノアッセ
イ、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット、間接的な免疫蛍光アッセイな
どが挙げられる。
【0146】 一般的には、このような抗体は、商業的に入手可能である。サイトカイン分析
キット(これもまた、商業的に入手可能である)は、代表的には、既知のサイト
カインの発現レベルの定量的なイムノアッセイのために使用される。
【0147】 上記の工程の特定の例が、以下の実施例に示される。しかし、多くの改変が可
能であり、そして実施例が、例示の目的のみのために提供され、そして特に記載
されない限りは、本発明を限定しないことが、当業者に明らかである。
【0148】 (実施例1) (PKRを過剰発現するNamalwa細胞株の調製) 全長のヒトのPKR分子をコードするcDNA(551アミノ酸;Meurs
,E.ら、1990;GenBank登録番号第NM 002759号)を、真
核生物の発現ベクター中に挿入し、その結果、PKRコード配列を、CMVプロ
モーターの制御下で発現させた。このベクターは、以下を含む、PKRの転写に
適切な種々の特徴を含む:i)高レベルのmRNAの発現のためのヒトCMV(
サイトメガロウイルス)の最初期遺伝子に由来するプロモーター配列;ii)R
NAの安定性を増強させるための、β−グロビン遺伝子に由来するポリアデニル
化シグナルおよび転写終結配列;iii)アンピシリン耐性遺伝子;ならびにi
v)E.coli中での選択および維持のためのColE1複製起点。第2のベ
クターは、E.coli中での選択および維持のためのアンピシリン耐性遺伝子
およびColE1起点、ならびに真核生物細胞への同時トランスフェクション後
のプラスミドの選択および同定を可能にするG418耐性マーカー(Neo)を
含んだ。
【0149】 安定なトランスフェクタントを、800μF、300Vの設定でGene P
ulser装置(BioRad)を使用して、DMEM/F12(+10%のF
BS)中で、15μgのPKR発現プラスミドおよび15μgのNeoを含有し
ているベクターでの、4×106個の対数増殖しているNamalwa細胞のエ
レクトロポレーションによって得た。安定なトランスフェクタントのバルクの集
団を、3〜4週間の2mg/mlのゲネチシン(Gibco−BRL)での選択
によって得た。クローン株を続いて、限界稀釈クローニングによって得た。親細
胞およびPKRでトランスフェクトしたNamalwa細胞中のPKRのレベル
を分析し、そして親のNamalwa細胞と比較して、PKRトランスフェクタ
ントにおいては約16倍の増大を有することを見出した。
【0150】 1つの代表的なPKRを過剰発現する、そしてクローンのNamalwa細胞
株を選択し、そして2A1.D1.G7と命名した。
【0151】 2A1.D1.G7および親のNamalwa細胞を、2.5×105個の細
胞/mlで、10%のFBSを補充したDMEM/F12培地中で培養した。こ
の細胞を、20nMのPMAで20時間処理(感作)し、続いて、200μg/
mlのポリr(I):r(C)で3日間処理(誘導)した。1つのセットの細胞
を、未処理のまま放置した(誘導していないコントロール)。処理後、培養上清
を回収し、そしてインターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(
IL−8)、およびTNF−βのレベルについて、ELISAキット(R&D
Systems)の供給者によって提供される手順に従ってELISAによって
分析した。
【0152】 IL−6の種々の条件下での産生を、図1に示す。親のNamalwa細胞株
および2A1.D1.G7細胞株のいずれもが、感作剤(PMA)および誘導剤
[ポリr(I):r(C)]の非存在化ではIL−6を産生しなかった。PMA
およびポリr(I):r(C)で処理した親のNamalwa細胞もまた、検出
可能なIL−6を産生しなかった(3pg/mlの最少検出可能レベルを有する
アッセイにおいて)。対照的に、PMAおよびポリr(I):r(C)で処理し
た2A1.D1.G7は、300pg/mlより多くのIL−6を産生した。こ
のことは、未処理の2A1.D1.G7細胞、ならびにPMAおよびポリr(I
):r(C)で処理した親のNamalwa細胞を上回る、IL−6の産生にお
ける少なくとも100倍の増大を示す。さらに、いくつかの他のPKRを過剰発
現するクローン細胞株が、PMAおよびポリr(I):r(C)処理後に300
pg/mlより多くのIL−6を産生した(データは示さない)。これらの結果
は、Namalwa細胞中でのPKR遺伝子をの過剰発現、続く感作、および活
性化が、IL−6の過剰発現を生じることを示す。
【0153】 種々の条件下でのIL−8の産生を図2に示す。IL−6について得られた結
果と一致して、親のNamalwa細胞および2A1.D1.G7の両方ともが
、感作剤(PMA)および誘導剤[ポリr(I):r(C)]の非存在下ではI
L−8を産生しなかった。PMAおよびポリr(I):r(C)で処理した親の
Namalwa細胞もまた、検出可能なIL−8を産生しなかった(31pg/
mlの最少検出可能レベルを有するアッセイにおいて)。対照的に、PMAおよ
びポリr(I):r(C)で処理した2A1.D1.G7は、約300pg/m
lのIL−8を産生した。このことは、未処理の細胞、ならびにPMAおよびポ
リr(I):r(C)で処理した親のNamalwa細胞を上回る、少なくとも
10倍の増大を示す。さらに、いくつかの他のPKRを過剰発現するクローン細
胞株が、PMAおよびポリr(I):r(C)処理後に250〜470pg/m
lの間のIL−8を産生した(データは示さない)。
【0154】 種々の条件下でのTNF−βの産生を図3に示す。この場合においては、親の
Namalwa細胞および2A1.D1.G7の両方ともが、感作および誘導の
非存在下ではTNF−βを産生しなかった。しかし、感作および誘導の後、親の
Namalwa細胞株は、約800pg/mlのTNF−βを産生し、一方、2
A1.D1.G7細胞株は、2000pg/mlより多くを産生した。また、P
KRを過剰発現する細胞株は、PMAおよびポリr(I):r(C)での処理の
後に、親の細胞株よりも多いサイトカインを産生した(約2.5倍の増大)。さ
らに、いくつかの他のPKRを過剰発現するクローンの細胞株は、PMAおよび
ポリr(I):r(C)での処理の後に、2000pg/mlより多くのTNF
−βを産生した(データは示さない)。
【0155】 本明細書中に示す結果は、本発明が哺乳動物細胞培養物中でのサイトカインの
産生を増強するための効果的な方法を提供することを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、形質転換されていないNamalwaおよびPKRを過剰発現するN
amalwa細胞中でのインターロイキン6(IL−6)の産生を示す。2A1
.D1.G7および親のNamalwa細胞を、20nMのPMAを含有してい
るDMEM/F12培地中で20時間培養し、続いて200μg/mlのポリr
(I):r(C)で3日間処理した(+)かまたは処理しないまま放置した(−
)。培養上清を回収し、そして供給者によって提供された手順に従って、ELI
SA(R&D Systems)によってIL−6の産生について分析した。
【図2】 図2は、培養上清をELISAキット(R&D Systems)の供給者に
よって提供される手順に従ってELISAによってIL−8の産生について分析
したことをのぞいて、図1の説明に示される同じ手順の後、形質転換していない
Namalwa細胞およびPKRを過剰発現するNamalwa細胞中でのイン
ターロイキン−8(IL−8)の産生を示す。
【図3】 図3は、培養上清をELISAキット(R&D Systems)の供給者に
よって提供される手順に従ってELISAによってTNF−βの産生について分
析したことをのぞいて、図1の説明に示される同じ手順の後、形質転換していな
いNamalwa細胞およびPKRを過剰発現するNamalwa細胞中での腫
瘍壊死因子β(TNF−β)の産生を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 ブラウニング, ローラ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94513, ブレントウッド, アウトリッガー サ ークル 925 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 BA10 BA26 BA28 CA04 DA02 EA02 FA02 GA11 HA01 4B064 AG03 AG07 CA10 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90X AA99Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA29

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物細胞培養物中でサイトカインを産生するための方法
    であって、以下: (a)サイトカインを産生し得る哺乳動物細胞株を培養する工程; (b)該培養された哺乳動物細胞株中のサイトカイン調節因子の過剰発現を生
    じるために有効な様式で、該細胞株を改変する工程であって、ここでサイトカイ
    ンの発現を調節し得る因子の正常を上回るレベルが、該細胞株中で得られる、工
    程; (c)サイトカインの産生をもたらすために、該培養されて、サイトカイン調
    節因子を過剰発現する哺乳動物細胞株を処理する工程;および (d)該培養されて、処理された細胞株によって産生された該サイトカインを
    回収する工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記サイトカイン調節因子がPKRである、請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 前記改変する工程が、トランスフェクトされた細胞中でサイ
    トカイン調節因子の過剰発現を生じる条件下で、プロモーターに作動可能に連結
    された該サイトカイン調節因子をコードするDNAを含有している発現ベクター
    を用いて、前記培養された哺乳動物細胞株にトランスフェクトする工程を意味す
    る、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記処理工程が、感作工程を包含する、請求項1に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記処理工程が、誘導工程をさらに包含する、請求項4に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 前記感作工程が、ホルボールエステルでの処理によって達成
    される、請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記誘導工程が、ポリr(I):ポリr(C)での処理によ
    って達成される、請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記サイトカインが、インターロイキン6(IL−6)、イ
    ンターロイキン8(IL−8)、および腫瘍壊死因子β(TNF−β)からなる
    群より選択される、請求項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記プロモーターが誘導性のプロモーターである、請求項1
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記誘導性のプロモーターが、メタロチオネインプロモー
    ターまたはテトラサイクリン(TRE)プロモーターである、請求項9に記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 前記プロモーターがCMVプロモーターである、請求項8
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記サイトカインがインターロイキン6(IL−6)であ
    り、そして前記哺乳動物細胞株がNamalwaである、請求項8に記載の方法
  13. 【請求項13】 前記サイトカインがインターロイキン8(IL−8)であ
    り、そして前記哺乳動物細胞株がNamalwaである、請求項8に記載の方法
  14. 【請求項14】 前記サイトカインが腫瘍壊死因子β(TNF−β)であり
    、そして前記哺乳動物細胞株がNamalwaである、請求項8に記載の方法。
  15. 【請求項15】 PKRの正常を上回る発現およびインターロイキン6(I
    L−6)の正常を上回る発現を特徴とする、哺乳動物細胞株組成物。
  16. 【請求項16】 PKRの正常を上回る発現およびインターロイキン8(I
    L−8)の正常を上回る発現を特徴とする、哺乳動物細胞株組成物。
  17. 【請求項17】 PKRの正常を上回る発現および腫瘍壊死因子β(TNF
    −β)の正常を上回る発現を特徴とする、哺乳動物細胞株組成物。
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