JP2003062596A - 水処理薬剤及び方法 - Google Patents

水処理薬剤及び方法

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JP2003062596A
JP2003062596A JP2001254373A JP2001254373A JP2003062596A JP 2003062596 A JP2003062596 A JP 2003062596A JP 2001254373 A JP2001254373 A JP 2001254373A JP 2001254373 A JP2001254373 A JP 2001254373A JP 2003062596 A JP2003062596 A JP 2003062596A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高硬度水を用いる水系においても、金属、非
金属部材に対する硬度系スケールの付着を防止すること
ができる水処理薬剤及び方法を提供する。 【解決手段】 この水処理薬剤は、(メタ)アクリル酸
系単量体単位とマレイン酸系単量体単位とからなる二元
共重合体の高分子電解質ポリマーを包含する。更に(メ
タ)アクリル酸系ホモポリマー及び/又はマレイン酸系
ホモポリマー、アゾール系化合物、菌類抑制剤を上記水
処理薬剤に配合するのも好ましい。本発明は、高濃縮運
転の冷却水系に有利に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水処理薬剤及び方
法に関し、特に冷却水等として高硬度水(全硬度でCa
COとして500mg/リットル以上の水)を用いる
水系において、金属、非金属部材に対する硬度系スケー
ルの付着を防止するための水処理薬剤及び水処理方法に
関する。本発明の水処理薬剤及び方法を利用できる水系
は、冷却水処理系が主であるが、本発明は、排水処理
系、工業用水処理系、純水処理系等の各種水処理系全般
に適用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】ビル空調、鉄鋼産業や各種化学プラント
や石油化学コンビナート等の各種工場などでは機器の冷
却に広範囲で冷却水が利用されている。こうした冷却水
系では、配管を軟鋼で形成し、熱交換器は銅や銅合金等
の銅系金属で形成する場合が多い。このような冷却水系
の障害防止としては、金属製配管や熱交換器の腐食防止
やスケール防止がある。一般に、冷却水系で使用される
冷却水の中にはカルシウムなどの硬度成分が存在するの
が通常で、冷却のために水の一部が蒸発するため、強制
的に冷却水の一部を入れ替えない限り硬度成分が濃縮さ
れる。硬度成分が多量に含まれる水は一般に金属を腐食
させ難いため、冷却水を2〜6倍程度に濃縮し、硬度成
分の濃度を高めることで防食を図ることができる。この
場合、硬度成分は200〜500mg/リットル(Ca
COとして)程度である。このような系では、配管の
閉塞や熱交換器の伝熱に支障を来すスケールの防止のた
めに水溶性ポリマー系分散剤のみを添加する水処理方法
で冷却水系の障害を防ぐことも可能である。
【0003】しかしながら、近年は、省資源や省エネル
ギーの立場から、今まで以上に冷却水の系外への廃棄
(ブロー)を少なくして6〜12倍程度の高濃縮運転を
行う場合が増加している。この場合、硬度成分は500
〜1000mg/リットル(CaCOとして)程度で
ある。高濃縮運転を行う場合、溶解する塩類が高濃度で
濃縮されるため、難溶性の塩となったスケールが加速度
的に生成する。生成したスケールは、熱効率の低下や配
管の閉塞など、ボイラーや熱交換器の運転に重大な障害
を引き起こす。高濃縮運転において生成するスケール種
としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カ
ルシウム、燐酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグ
ネシウム、水酸化マグネシウムなどの硬度系のスケール
種がとりわけ問題となる。このようなカルシウム系やマ
グネシウム系スケールに対しては、マレイン酸、アクリ
ル酸、イタコン酸などを重合したカルボキシル基を有す
る単量体のホモポリマーがスケール防止剤として有効で
あり、更に上記の様なカルボキシル基を有する単量体
と、ビニールスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスル
ホン酸基を有する単量体を組み合わせて共重合したもの
が一般的に使用されている。また、アルキレン基やカル
ボニル基を介してポリオキシアルキレン基が結合したビ
ニールモノマーを用いたスケール防止用コポリマーも知
られている(特公昭59−16519号公報、特開昭5
7−94398号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来のスケール防止剤や方法では、近年の高濃縮運転
[硬度成分で500〜1000mg/リットル(CaC
として)程度の水を用いた運転]においては、水溶
性電解質ポリマーでスケール成分を不溶化させないでイ
オン保持でき得る性能(ポリマーのキレート力によるス
ケール抑制能)に限界があり、その限界を超えてイオン
が加速度的に不溶化するケースが多く、局所的に多量の
スケールを生じる可能性がある。また、或る程度大きく
なったスケール結晶粒子を分散し得る性能があるといわ
れるポリマーを用いても、高濃縮運転を行う場合、ポリ
マーによるスケール分散性能が水から生成するスケール
化に追いつかなくなり、結果的にスケール障害が発生す
る。本発明は、従来技術の上述の様な欠点を解消せんと
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の様
な従来技術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
冷却水などの中で、カルシウムやマグネシウム等の硬度
成分濃度の高い水[硬度成分で500〜1000mg/
リットル(CaCOとして)程度の水]で生成する各
種スケール成分のうち、とりわけ硬度成分に対して、カ
ルボキシル基を有する2種の特定の単量体の共重合によ
るコポリマーが、微小な硬度系の不溶解物を意図的に生
成させ、それ以上肥大化させないで水中に分散させ続け
る効果を有することを見出し、その結果、スケールを配
管などに付着させることなく、循環水中に浮遊させ、ス
ケール付着を実質的完全に防止する効果を有することを
見出し、冷却水系等の用水系や排水系の高硬度水におけ
るスケール防止のための水処理薬剤及び方法に関する本
発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、式(1)の単量体単位
【化3】 (ただし、Rは水素原子又はメチル基を表し、X
水素原子、1価又は2価の金属原子、アンモニウム基又
は有機アンモニウム基を表す)と式(2)の単量体単位
【化4】 (ただし、RとRはそれぞれ独立に水素原子又はメ
チル基を表し、XとX はそれぞれ独立に水素原子、
1価又は2価の金属原子、アンモニウム基又は有機アン
モニウム基を表す)とからなる二元共重合体である高分
子電解質ポリマーを包含することを特徴とする水処理薬
剤を提供するものである。
【0007】式(1)と式(2)中のR、R及びR
は、水素原子であるのが好ましい。式(1)と式
(2)中のX、X及びXは、それぞれ独立に水素
原子又はナトリウム等の1価の金属原子であるのが好ま
しい。また、式(1)と式(2)中のX、X及びX
が有機アンモニウム基である場合は、該有機アンモニ
ウム基は炭素原子数が1〜4のアルキル又はヒドロキシ
アルキル基を有する(ヒドロキシ)アルキルアンモニウ
ム基であるのが好ましい。
【0008】上記二元共重合体における式(1)の単量
体単位/式(2)の単量体単位の重量比は、スケール防
止効果の観点から、1:9〜9:1であるのが好まし
く、2:8〜8:2であるのが更に好ましい。また、上
記二元共重合体の分子量は、スケール防止効果の観点か
ら、1000〜10000であるのが好ましく、200
0〜8000であるのが更に好ましい。
【0009】本発明の水処理薬剤は一般に水性配合品と
して提供され、その場合のその配合組成は、防食性やス
ケール防止性等の観点から、水処理薬剤組成物の総重量
に対して、上記二元共重合体の含有量が好ましくは1〜
50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。上
記二元共重合体の含有量が1重量%未満の場合には時に
充分な防食効果を期待できないこともあり、50重量%
を超える場合には時に薬剤の安定性が損なわれることも
あると共にコスト高にもなり、あまり好ましくない。ま
た、本発明の水処理薬剤は、後に詳述する(メタ)アク
リル酸系ホモポリマー及び/又はマレイン酸系ホモポリ
マー、銅防食剤であるアゾール系化合物、菌類抑制剤な
どの他の成分を含んでもよい。なお、配合品の水含有量
は、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは50
〜90重量%、更に好ましくは60〜80重量%であ
る。
【0010】本発明の水処理薬剤は、従来の防食剤の主
成分である環境に有害な燐化合物や亜鉛化合物は含まな
くてもよく、本発明の方法は、上記二元共重合体により
高硬度水中に微小な不溶解物を意図的に生成させ、その
微小懸濁物質を分散保持したままスケールの肥大化を防
止し、配管などに付着させることなく、循環水中に浮遊
させ、スケール付着を実質的完全に防止する方法であ
る。本発明の水処理薬剤及び方法は、特に冷却水系で用
いて好適である。
【0011】燐化合物は環境負荷が高いので、本発明の
水処理薬剤では、燐化合物の含有量が実質的にゼロであ
るのが好ましい。燐化合物とは、具体的にはオルト燐酸
塩、ポリ燐酸塩、ホスホン酸塩、燐含有ポリマー等の従
来の防食剤に用いられるものを言い、従来はこのような
燐化合物はカルシウム硬度成分含有量20〜200mg
/リットル程度の低・中濃縮冷却水による腐食を防止す
る上で、特に有効な成分と考えられてきた。「燐化合物
の含有量が実質的にゼロ」とは、燐化合物を全く含まな
い場合や、例えば、冷却装置などの高温部にスケールを
起こすことが実質的になく、海や河川や湖沼などに放流
しても事実上富栄養化を招かないと評価できる程度に燐
化合物を殆ど含まない場合を言う。
【0012】亜鉛化合物は有害なので、本発明の水処理
薬剤は、亜鉛化合物の含有量も実質的にゼロであるのが
好ましい。亜鉛化合物とは、具体的には硫酸亜鉛、塩化
亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、亜鉛酸カリウム等
の従来の防食剤に用いられるものを言う。「亜鉛化合物
の含有量が実質的にゼロ」とは、亜鉛化合物を全く含ま
ない場合や、放流しても事実上環境汚染を招かないと評
価できる程度に亜鉛化合物を殆ど含まない場合を言う。
【0013】本発明の水処理薬剤(配合品)は、後述の
様に、菌類抑制剤を含有してもよい。菌類抑制剤を含有
するか否かによって、効果などの観点から、本発明の水
処理薬剤(配合品)の使用濃度は異なってくるのが通常
である。従って、本発明は、本発明の水処理薬剤が菌類
抑制剤を含有していない場合は、該水処理薬剤を50〜
500mg/リットルの濃度範囲内に希釈・保持して使
用することを特徴とする水処理方法、並びに、本発明の
水処理薬剤が菌類抑制剤を含有している場合は、該水処
理薬剤を100〜2000mg/リットルの濃度範囲内
に希釈・保持して使用することを特徴とする水処理方法
をも提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】コスト低減及び防食性能やスケール抑制率
の向上などの為に、式(1)の単量体単位と式(2)の
単量体単位からなる水溶性の上記二元共重合体に水溶性
の(メタ)アクリル酸系ホモポリマー及び/又はマレイ
ン酸系ホモポリマーを配合し、本発明の水処理薬剤に含
有させるようにしてもよい。その配合含有量は、本発明
の水処理薬剤の総重量に対して1〜50重量%であるの
が好ましく、1〜30重量%であるのがより好ましい。
該配合含有量が50重量%を超えると時にゲル化が生じ
て防食効果が損なわれることもあり、あまり好ましくな
い。
【0016】上記二元共重合体を合成する方法は、(メ
タ)アクリル酸の共重合体の一般的な合成方法でよく、
例えば、特開昭62−129136号公報に開示されて
いるのと同様の方法を用いることができる。より具体的
には、例えば、少なくとも式(1)及び式(2)に相当
する単量体を水やイソプロパノール等の溶媒中で、過酸
化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化
ベンゾイル等の重合開始剤を用いて、所定の温度で、所
定の単量体濃度で重合させればよい。この際、必要に応
じて、分子量調節のために、塩化第1銅、塩化第2銅、
硫酸第2銅、硫酸第1鉄、重亜硫酸ナトリウム等の金属
塩類を用いてもよい。
【0017】水溶性の高分子電解質である上記二元共重
合体に加えて、冷却水系等の処理水系によっては、更に
銅や銅合金等の銅系金属用の防食剤であるアゾール系化
合物を本発明の水処理薬剤に配合するのが好ましい。そ
のようなアゾール系化合物としては、例えば、ベンゾト
リアゾール、トリルトリアゾール、アミノトリアゾール
などを挙げることができ、これらは単独でも混合しても
用いることができる。ベンゾトリアゾールとトリルトリ
アゾールが好ましい。アゾール系化合物の配合量は、水
処理薬剤(配合品)の総重量に対して、0.01〜10
重量%であるのが効果とコストの点から好ましい。
【0018】更に、スライムや微生物腐食の発生を防ぐ
ため、菌類抑制剤を本発明の水処理薬剤に配合するのが
好ましい場合もある。そのような菌類抑制剤としては、
例えば、有機硫黄窒素化合物類などが挙げられ、その具
体例としては、2−メチル−3−イソチアゾロン、5−
クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、4,5−ジ
クロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロンなどを
挙げることができ、これらは単独でも混合しても用いる
ことができる。菌類抑制剤の配合量は、水処理薬剤(配
合品)の総重量に対して、1〜30重量%であるのが効
果とコストの点から好ましい。
【0019】前述した様に、本発明の水処理薬剤は、水
が含まれる配合品として提供されるのが通常であり、水
処理薬剤組成物の総重量に対して、水含有量は、好まし
くは30〜95重量%、より好ましくは50〜90重量
%、更に好ましくは60〜80重量%である。なお、本
発明の水処理薬剤が上記二元共重合体の他に水溶性の
(メタ)アクリル酸系ホモポリマー及び/又はマレイン
酸系ホモポリマー、アゾール系化合物や菌類抑制剤等の
成分を併用する場合は、その各成分を別々に被処理水系
に添加しても同様の効果を得ることができるのは勿論の
ことであり、被処理水系に各成分を添加した段階でかか
る併用系の薬剤の範囲に含まれることになり、その場合
に各成分割合が上記の各成分含有量を比率に換算したも
のに相当するのが好ましいのも言うまでもない。
【0020】本発明の水処理薬剤の使用法としては、上
記の様な菌類抑制剤を含有していない場合は水系におい
て通常50〜500mg/リットルの濃度範囲内に希釈
・保持して使用すると良く、上記の様な菌類抑制剤を含
有している場合は通常100〜2000mg/リットル
の濃度範囲内に希釈・保持して使用すると良い。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、実施例は本発明を限定するものではない。なお、
以下、実施例としているものは、本発明の水処理薬剤を
用いた場合であり、必ずしも本発明を適用するに好適な
条件で水処理を行ったケースだけを実施例としている訳
ではなく、また、本発明の目的であるスケール防止以外
の試験を行ったものも実施例としている。
【0022】図1は、実施例及び比較例で用いたスケー
ル評価試験装置を示す概略説明図である。60℃の恒温
槽1に1リットルのビーカー2を設置し、試験水を入
れ、図示の様に、ビーカー2内に試験片3を吊るし、水
処理薬剤を添加し、マグネチックスターラーの攪拌子4
により攪拌し、7日後の試験片の重量の増量を測定す
る。この試験では、試験片の腐食減量は実質的に無視で
き、重量の増加分が試験片へのスケール付着量と等しい
と考えることができる。即ち、本試験においては、試験
片の重量が増加しない方が結果良好であると言える。ス
ケール付着量の単位としては、「mg/cm・mon
th」を用い、表中ではこれを「MCM」と表す。
【0023】実施例1〜2及び比較例1〜14 スケール評価試験を次の様に行った。表1に示される水
質の戸田市水の5倍濃縮水及び10倍濃縮水を試験水と
して調製し、ビーカー2に入れ、試験片3(SUS−3
04、10×30×50mm、#400)を吊るし、水
処理薬剤を添加し、マグネチックスターラーの攪拌子4
により攪拌し、7日後の試験片の重量の増量を測定し
た。なお、表1中の各項目の単位は、電気伝導率が「μ
S/cm」、酸消費量(pH=4.8)と全硬度とカル
シウム硬度が「mgCaCO/リットル」、シリカが
「mgSiO/リットル」、塩化物イオンが「mgC
l/リットル」である。
【0024】
【表1】
【0025】水処理薬剤として、表2に示すポリマーを
用いた。表2〜4中の各ポリマー種の特徴を説明する。
「AMA」が本発明の水処理薬剤に用いられるもので、
アクリル酸単量体単位:マレイン酸単量体単位=6:4
(重量比)で重量平均分子量が約6000の二元共重合
体(ビポリマー)である。「PAA」は重量平均分子量
が約4500のアクリル酸単独重合体(ポリアクリル
酸)、「PMAA」は重量平均分子量が約1000のマ
レイン酸単独重合体(ポリマレイン酸)である。「AA
BI」はアクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸のアクリル酸系二元共重合体であ
る。「AA TER」はアクリル酸と2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸とアルキルアクリル
アミドのアクリル酸系三元共重合体である。比較例5〜
7及び12〜14では2種のポリマーを併用した。スケ
ール評価試験の結果を表2に示す。なお、表2〜4にお
いて、Lはリットルを表す。
【0026】
【表2】
【0027】表2より、従来の通常濃縮運転の戸田市水
5倍濃縮水においては、ポリマー間で大きなスケール防
止性能の差はなく、ほぼ十分な効果(MCM:約1以
下)を示した(比較例1〜7、実施例1)。一方、高濃
縮運転の戸田市水10倍濃縮水においては、従来からよ
く使用されるポリマーでは十分な効果が得られなかった
(比較例8〜14)が、本発明で使用されるポリマーA
MAを用いた場合、とりわけ良好な結果を示した(実施
例2)。
【0028】実施例3〜4及び比較例15〜28 防食の評価試験を次の様に行った。実施例1で用いたと
同じ試験水と水処理薬剤としての同じポリマーを用い
て、工業用水腐食試験法(JIS−K0100)に従っ
た質量減法によって軟鋼の腐食速度を測定した。即ち、
各水処理薬剤を添加して得た試料水中に試験片を固定し
た円盤を投入し、一定速度で7日間攪拌した。7日後に
試験片を取り出し、除錆して重量を測定した。試験開始
前に測定した試験片重量と試験終了後に測定した試験片
重量との差から腐食速度を求めた。防食の評価試験の結
果を表3に示す。
【0029】[試験条件] 試験水:戸田市水の5倍濃縮水及び10倍濃縮水(水質
は表1と同等) 水温:35℃ 攪拌速度:150rpm 試験片:(軟鋼SS400、10×30×50mm、#
400) 試験期間:7日間
【0030】表3において、「MDD」は腐食速度の単
位であり、mg/dm・dayを表す。
【0031】
【表3】
【0032】表3より、戸田市水10倍濃縮水では、薬
剤を添加した全てのテスト(比較例22〜28、実施例
4)で、防食効果として適性値(MDDが10以下を適
性とする)が得られることが分った。しかしながら、戸
田市水5倍濃縮水では比較例15〜21で防食効果とし
て適性値が得られたのに対し、実施例3は防食効果とし
て適正値が得られなかった。これは、本発明による処理
方法に用いられるポリマーAMAはそれ自体の防食力は
それほど高くはないが、水中の硬度成分が濃縮される
と、硬度成分が防食に寄与する結果、或る一定の硬度
(CaCOとして約500)以上の範囲の水中では、
無薬品処理でも腐食速度が充分低くなり、実用上充分に
良好な防食効果が得られることによる。即ち、本発明に
よる処理方法でポリマーAMAのみを用いた場合、防食
に関しては、高硬度の水質領域のみで効果を有し、高硬
度に限定された処理方法であることが言える。しかし、
戸田市水5倍濃縮水程度の水でも、例えば、(メタ)ア
クリル酸系ホモポリマー及び/又はマレイン酸系ホモポ
リマーをポリマーAMAと併用すると、防食効果として
適性値が得られることが期待される。
【0033】実施例5及び比較例29〜32 スケールの析出抑制性能を次の試験方法で評価した。塩
化カルシウム試験液及び炭酸水素ナトリウム試験液を調
製し、カルシウムイオン濃度1100mgCaCO
リットル、炭酸水素イオン濃度1100mgCaCO
/リットルになる様に水中に添加して試験水を調製し、
表4に示される薬剤ポリマーを10mg/リットルにな
る様に添加し、pHを8.5になる様に調整し、70℃
で24時間静置後に、サンプル水を0.45μmのメン
ブランフィルターで濾過し、得られた濾液中のカルシウ
ムイオン濃度を滴定により定量した。また、得られた濃
度に対して次の計算式を用いることで、スケールの析出
抑制性能を表す「スケール抑制率(%)」を算出し、そ
の結果を表4に示す。 スケール抑制率(%)=[(サンプル水の濾液のカルシ
ウム濃度−ブランクのカルシウム濃度)÷(1100−
ブランクのカルシウム濃度)]×100
【0034】
【表4】
【0035】表4より、ポリマーAMAは従来から使用
されているポリマーと比較して特にスケール抑制性能に
優れているものとは言えない。即ち、実施例1〜2の結
果も考慮すると、高硬度水に対してスケール防止水処理
薬剤ポリマーに求められる性能は、単にスケール抑制性
能だけという訳ではないことが分かる。
【0036】
【発明の効果】本発明の水処理薬剤は、(メタ)アクリ
ル酸系単量体とマレイン酸系単量体を共重合させて得る
ことができる二元共重合体の高分子電解質であり、本発
明の水処理方法によれば、上記高分子電解質を用いるこ
とにより、微小な硬度系の不溶解物を意図的に生成さ
せ、それ以上肥大化させないで水中に分散させ続ける効
果を得ることで、高硬度水におけるスケール防止を行う
ことができる。その結果、従来に比べて冷却水の高濃縮
処理を可能にし、冷却水の節水に大きく貢献するものと
なる。また、燐化合物、亜鉛化合物を実質的に含有しな
い様にもできるため、その場合はそれらの系外排出によ
る環境汚染の心配がない。
【0037】本発明の水処理薬剤は、冷却水処理系、排
水処理系、工業用水処理系、純水処理系等の各種水処理
系全般に適用することができるが、高濃縮運転の冷却水
系で特に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例及び比較例で用いたスケール評
価試験装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 恒温槽 2 ビーカー 3 試験片 4 攪拌子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 532 C02F 1/50 532J 540 540B 5/00 620 5/00 620B 5/12 5/12 C08F 220/06 C08F 220/06 222/02 222/02 C08K 5/3472 C08K 5/3472 5/43 5/43 C08L 33/02 C08L 33/02 35/00 35/00 (72)発明者 高橋 洋 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BG01W BG01X BH00W BH00Y EU176 EV327 FD206 FD207 4J100 AK03P AK07P AK12P AK19Q AK20Q AK21Q CA04 FA03 FA04 JA15 JA18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)の単量体単位と式(2)の単量
    体単位とからなる二元共重合体である高分子電解質ポリ
    マーを包含することを特徴とする水処理薬剤。 【化1】 (ただし、Rは水素原子又はメチル基を表し、X
    水素原子、1価又は2価の金属原子、アンモニウム基又
    は有機アンモニウム基を表す) 【化2】 (ただし、RとRはそれぞれ独立に水素原子又はメ
    チル基を表し、XとX はそれぞれ独立に水素原子、
    1価又は2価の金属原子、アンモニウム基又は有機アン
    モニウム基を表す)。
  2. 【請求項2】 前記高分子電解質ポリマー含有量が、1
    〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の
    水処理薬剤。
  3. 【請求項3】 更に(メタ)アクリル酸系ホモポリマー
    及び/又はマレイン酸系ホモポリマーを配合し、その含
    有量が、1〜50重量%であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の水処理薬剤。
  4. 【請求項4】 更にアゾール系化合物を配合し、その含
    有量が0.01〜20重量%であることを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の水処理薬剤。
  5. 【請求項5】 前記アゾール系化合物が、ベンゾトリア
    ゾール又はトリルトリアゾールであることを特徴とする
    請求項4に記載の水処理薬剤。
  6. 【請求項6】 更に菌類抑制剤を配合し、その含有量が
    1〜30重量%であることを特徴とする請求項1から5
    のいずれかに記載の水処理薬剤。
  7. 【請求項7】 前記菌類抑制剤が、有機硫黄窒素化合物
    であることを特徴とする請求項6に記載の水処理薬剤。
  8. 【請求項8】 請求項1から5のいずれかに記載の水処
    理薬剤を50〜500mg/リットルの保持濃度で使用
    することを特徴とする水処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項6又は7に記載の水処理薬剤を1
    00〜2000mg/リットルの保持濃度で使用するこ
    とを特徴とする水処理方法。
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