JP2002216663A - 電子銃構体及び陰極線管 - Google Patents

電子銃構体及び陰極線管

Info

Publication number
JP2002216663A
JP2002216663A JP2001010320A JP2001010320A JP2002216663A JP 2002216663 A JP2002216663 A JP 2002216663A JP 2001010320 A JP2001010320 A JP 2001010320A JP 2001010320 A JP2001010320 A JP 2001010320A JP 2002216663 A JP2002216663 A JP 2002216663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
grid electrode
grid
electrode
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001010320A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadao Matsumoto
貞雄 松本
Kiyomi Koyama
生代美 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2001010320A priority Critical patent/JP2002216663A/ja
Publication of JP2002216663A publication Critical patent/JP2002216663A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カソード電極から蒸発するBaやBaOが、
第1グリッド電極もしくは第1グリッド電極と第2グリ
ッド電極の表面上及び電子通過孔内に付着し、この付着
したBaやBaOと第1グリッド電極あるいは第1及び
第2グリッド電極を構成する板状電極部材に含まれてい
る微量の還元性不純物によって還元されて過剰なBaを
形成し、この過剰なBaによって電子通過孔の周縁エッ
ジ部から不用電子放射を起し、画質を劣化させていた
が、このような不要電子放射を抑制して、高画質が得ら
れる電子銃構体、及びこの電子銃構体を内蔵した陰極線
管を提供する。 【解決手段】 少なくとも電子通過孔24が穿設されて
いる第1グリッド電極G1を構成する板状電極部25の
電子通過孔24内壁部分、及びこの電子通過孔24の周
辺部分で、第2グリッド電極G2側の表面に絶縁被膜3
6を夫々連通するように形成し、この絶縁被膜36によ
って、第1グリッド電極G1に付着するBaやBaOと
板状電極部25の還元性不純物との結合を阻止して、不
要電子放射を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1グリッド電極
からの不要な電子放射を低減した電子銃構体及びこの電
子銃構体を備えた陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、一般的にカラーテレビジョン受像
機やカラー端末ディスプレイ等に使用されているカラー
陰極線管は、図5に示すように、画面が略矩形状を呈す
るフェースパネル51と、このフェースパネル51に一
体的に接合されたファンネル52を有する外囲器を備え
ており、このフェースパネル51の内面には、青、緑、
赤に発光する3色蛍光体層を有するブラックマトリクス
形、またはブラックストライプ形の蛍光体スクリーン5
3が形成されている。
【0003】また、外囲器内には、この蛍光体スクリー
ン53に対向して、センタービーム54G及び一対のサ
イドビーム54R,54Bからなる電子ビーム54が通
過し色選別を行うためのシャドウマスク55が配置さ
れ、このシャドウマスク55は、マスクフレーム56に
固定されると共に、このマスクフレーム56は、フェー
スパネル51の内側面にスタッドピン(図示せず)を介
して取着され、このマスクフレーム56には、ファンネ
ル52内を蛍光体スクリーン53とは反対方向に延在す
る磁気シールド板57が固定されている。
【0004】更に、ファンネル52のネック58内に
は、電子ビーム54を放出する一列に水平方向に配列さ
れたインライン型の電子銃59が配設されており、この
電子銃59から放出された電子ビーム54を、ファンネ
ル52の外側に装着された偏向ヨーク60の発生するピ
ンクッション型の水平偏向磁界、及びバレル型の垂直偏
向磁界からなる非斉一磁界によって偏向することで、蛍
光体スクリーン53を水平、垂直方向に走査することに
よって、3電子ビーム54を自己集中するセルフコンバ
ーゼンス方式にて蛍光体スクリーン53上にカラー画像
を再生表示している。
【0005】このインライン型の電子銃59としては、
各種の方式のものが採用されているが、その一つに図6
に示すように、BPF(Bi−Potential F
ocus)型ダイナミックフォーカス方式で、且つ拡張
電界型主レンズ方式を採用した電子銃59がある。
【0006】この電子銃59は、一列配置の互いに独立
して同一平面上に水平配置された3個のカソード電極K
と、この3個のカソード電極Kから所定間隔離れて同軸
上に配置され、3個のカソード電極Kに共通する電子ビ
ーム54を制御するための、カソード電極Kに対応する
電子通過孔61が穿設された板状の電極部62からなる
第1グリッド電極G1、及びこの第1グリッド電極G1
による電界の変化を遮蔽するための電子通過孔63が穿
設された板状の電極部64からなる第2グリッド電極G
2が設けられる。
【0007】更に電子ビーム54を加速する複数に分割
され電子通過孔65を有するカップ状の第1の第3−1
グリッド電極G3−1、及び第2の第3−2グリッド電
極G3−2との組合せから構成される第3グリッド電極
G3、そして電子ビーム54を集束する電子通過孔66
を有する第4グリッド電極G4を備えており、夫々第1
グリッド電極G1乃至第4グリッド電極G4は、ガラス
材からなる絶縁支持体(図示せず)によって保持され、
一体構造化されている。
【0008】この電子銃59では、例えばカソード電極
Kに約150Vの電圧が印加され、第1グリッド電極G
1は接地されており、また第2グリッド電極G2には約
600Vの電圧が印加されると共に、第3−1グリッド
電極G3−1には、約6KVの電圧が印加される。そし
て第3−2グリッド電極G3−2にも、約6KVのパラ
ボラ状電圧が印加されている。
【0009】このパラボラ電圧は、偏向ヨーク60によ
って蛍光体スクリーン53の周辺に電子ビーム54が偏
向される場合に、その偏向距離に応じて電子ビーム54
が蛍光体スクリーン53中心に位置する場合に最も低く
なるように、また蛍光体スクリーン53のコーナーに電
子ビーム54を偏向する場合には、最も高くなるように
偏向動作に追従して変化するものであり、更に第4グリ
ッド電極G4には、約26KVの高電圧が印加される。
【0010】この結果、カソード電極K、第1グリッド
電極G1及び第2グリッド電極G2によって電子ビーム
54を発生し、主レンズに対する物点を形成する三極部
が構成される。また、第2グリッド電極G2と第3−1グ
リッド電極G3−1間には、プリフォーカスレンズが形
成され、このプリフォーカスレンズは、上記三極部から
放出される電子ビーム54を予備集束させる働きを行
い、第3−2グリッド電極G3−2と第4グリッド電極G
4によって、この予備集束された電子ビーム54を最終
的に蛍光体スクリーン53上に集束させる拡張電界型の
主レンズが形成されている。
【0011】また、第3−2グリッド電極G3−2と第4
グリッド電極G4間の電位差は、電子ビーム54が蛍光
体スクリーン53のコーナー部分に偏向された場合が最
も小さくなり、このため主レンズ強度が最も弱くなる反
面、第3−1グリッド電極G3−1と第3−2グリッド電
極G3−2とで4極子レンズが形成され、この4極子レ
ンズは最も強くなる。
【0012】この4極子レンズは、水平方向が集束、垂
直方向が発散を形成するように設定されており、これに
よって、電子銃59と蛍光体スクリーン53の距離が離
れて像点が遠くなることに対応して、主レンズ強度を弱
くすることで焦点位置を補償し、また偏向ヨーク60の
ピンクッション型水平偏向磁界とバレル型垂直偏向磁界
により発生する偏向収差を、4極子レンズで補償するこ
とができる。
【0013】このようなカソード電極K、第1グリッド
電極G1及び第2グリッド電極G2からなる三極部分
は、図7に示すように構成されている。
【0014】即ち、カソード電極Kは、円筒状に形成さ
れた陰極スリーブ67の一端に、カップ68を介して陰
極基体69を嵌合固定している。この陰極基体69は、
エミッタ(電子放射物質)を高温の水素雰囲気中、また
は真空中で溶融含浸させて形成されており、その表面
は、Ir,Os−Ru等の金属膜(図示せず)によって
被覆されている。
【0015】この陰極スリーブ67は、円筒状のリフレ
クタ70に嵌着され、更にこのリフレクタ70は、陰極
ホルダ71に同軸的に嵌合固定されている。そしてこの
陰極ホルダ71と陰極スリーブ67とは、短冊状のトス
ラップ72によって連結されている。このように構成さ
れたカソード電極Kの陰極スリーブ67内部には、陰極
加熱用のヒータHが挿入配置されている。上記陰極基体
69の軸線上には、夫々第1グリッド電極G1及び第2
グリッド電極G2の電子通過孔61,63が配置されて
いる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された三極部を有する電子銃構体は、陰極線管
の製造工程中や実稼動中に、陰極基体69のエミッタか
ら蒸発したBaやBaOが第1グリッド電極G1の電子
通過孔61の周辺に付着し、この付着したBaやBaO
によって不要な電子放射を引起している。
【0017】即ち、陰極基体69から蒸発したBaやB
aOは、第1グリッド電極G1が第2グリッド電極G2
に近接して配置されているために、この第2グリッド電
極G2に引張られるようにして、第1グリッド電極G1
の板状電極部62の表面、並びに電子通過孔61内周面
上に付着し、特に第1グリッド電極G1の電子通過孔6
1の第2グリッド電極G2と対向する孔周縁部分のエッ
ジ部に付着したBaやBaOは、第1グリッド電極G1
の板状電極部62材に含まれる微量の還元性不純物で還
元されて、過剰Baを形成してしまうために仕事関数を
低下させる原因となり、この尖鋭なエッジ部から不要な
電子放射を起こすものである。
【0018】この現象は、陰極線管の製造工程中でも発
生するが、陰極線管を稼動させているライフ期間中での
進行が特に顕著であって、所定の累積動作時間を経過し
た時点で最大となるが、その後も時間と共に微増を続け
減少することがない。
【0019】この不要な電子放射は、カットオフするこ
とができないために、この不要電子放射によって画面の
コントラストの低下や、カットオフ電圧の調整時等に残
像が発生する等の陰極線管の画像にとって致命的な問題
を発生させていた。
【0020】特に近年は、陰極線管の長寿命化や高解像
度化の要求に伴って含浸型のカソード電極Kが多用され
ているが、含浸型のカソード電極Kは、動作温度が高い
ためにBaやBaOの蒸発が特に多くなり、このため第
1グリッド電極G1からの不要な電子放射が顕著とな
る。
【0021】更にまた、最近の陰極線管は、フォーカス
特性の性能向上の観点から第1グリッド電極G1と第2
グリッド電極G2間の距離を接近させる傾向にあり、ま
た第2グリッド電極G2電圧の高圧化が進んでいる。ま
た省電力化の面から細ネック型の電子銃が採用されてい
るので、第1グリッド電極G1の温度も上昇傾向にあ
る。これらの要因が重なり合って、不要な電子放射現象
を促進させる原因となっているが、有効な解決策が採ら
れていないのが現状である。
【0022】この解決策の一案として、例えば特開平1
0−312758号公報に記載されているように、第1
及び第2グリッド電極のグリッド孔の周辺表面部分に、
BaやBaOを含むアルカリ土類金属酸化物からなる皮
膜を形成し、この皮膜の厚さを2nm以上とした電子銃
が示されている。この皮膜によって、グリッド電極中の
SiやMg等の還元性不純物が最表面に到達することを
阻止して、活性化されるのを少なくして仕事関数の低下
を防止し、よってグリッド電極から発生する不要電子放
出を抑制できるとするものである。
【0023】しかしながら、このような方法によるもの
は、陰極の初期のBaやBaOの蒸発量は、陰極表面の
清浄度合いや空孔率によって大きく変化するために、皮
膜の膜厚を規定値内に制御することは、相当な困難を伴
うものであって、簡単には達成することが難しく、また
予め形成した皮膜面とグリッド材料表面で生成された遊
離Baは、後で生成した蒸発膜の層内を拡散移動するた
めに、不要電子の放射を確実に抑制することも難しいと
いう問題点を有している。
【0024】その他にも、特開昭64−43952号公
報や特開平4−141934号公報にも同様なグリッド
エミッション対策案が開示されているが、形成された金
属皮膜の活性度が低下し易く十分に機能させることがで
きなかったり、酸化膜の不連続性を保つことが難しく、
グリッドエミッションを防止することが困難である等の
不具合点を有するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともカ
ソード電極並びに第1及び第2グリッド電極からなる三
極部を備えた陰極線管用の電子銃構体において、第1グ
リッド電極は、板状の電極部及びこの板状電極部に穿設
された電子通過孔を有しており、この電子通過孔内部及
び第2グリッド電極と対向する表面側の電子通過孔周辺
部分に連接した絶縁被膜を形成したものである。
【0026】また、略矩形状のフェースパネルと、この
フェースパネルに連接するファンネルと、このファンネ
ルのネック内に配置される少なくともカソード電極並び
に第1及び第2グリッド電極を備えた電子銃と、この電
子銃と対向するフェースパネル内面に形成された蛍光体
スクリーンとを有する陰極線管において、第1グリッド
電極は、電子通過孔を穿設した板状の電極部から構成さ
れ、少なくともこの板状電極部の第2グリッド電極と対
向する電子通過孔周辺及びこの電子通過孔内壁に連通す
る絶縁被膜によって被覆したものである。
【0027】このように構成された電子銃構体及び陰極
線管は、陰極線管の製造工程中や実際の陰極線管の稼動
中にカソード電極から蒸発したBaやBaOが第1グリ
ッド電極や第2グリッド電極の電子通過孔の周辺に付着
したとしても、板状電極部に形成した絶縁被膜によっ
て、板状電極部材中に微量含まれている還元材との反応
を阻止することができ、このため過剰Baの生成を抑制
して第1グリッド電極や第2グリッド電極からの不要な
電子放射を確実、有効に防止することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】図1は、本発明に係る電子銃構体及びこの
電子銃構体を備えたカラー陰極線管の一部切欠斜視図で
あって、画面が略矩形状を呈するフェースパネル11
と、このフェースパネル11に一体的に接合されたファ
ンネル12を有する外囲器を備えており、このフェース
パネル11の内面には、青、緑、赤に発光する3色蛍光
体層を有する蛍光体スクリーン13が形成されている。
この蛍光体スクリーン13は、写真印刷法を用いてマト
リクス状またはストライプ状の光吸収層14の間隙部に
3色蛍光体層15が埋め込まれたブラックマトリクス
形、またはブラックストライプ形の蛍光体スクリーン1
3として構成している。
【0030】また、外囲器内には、この蛍光体スクリー
ン13に対向して、センタービーム16G及び一対のサ
イドビーム16B,16Rからなる電子ビーム16が通
過する電子ビーム通過孔17が穿設された色選別を行う
ためのシャドウマスク18が配置され、このシャドウマ
スク18は、マスクフレーム19に固定されると共に、
このマスクフレーム19は、フェースパネル11の内側
面に取着されている。
【0031】更に、ファンネル12のネック20内に
は、電子ビーム15を放出する一列に水平方向に配列さ
れたインライン型のBPF型ダイナミックフォーカス方
式で拡張電界型主レンズ方式を採用した電子銃21が配
設されており、この電子銃21から放出された電子ビー
ム16を、ファンネル12の外側に装着された偏向ヨー
ク22の発生する磁界によって偏向し、電子ビーム16
にて蛍光体スクリーン13を水平、垂直方向に走査する
ことにより、蛍光体スクリーン13上にカラー画像を再
生表示している。
【0032】この偏向ヨーク22は、水平偏向磁界をピ
ンクッション型に、垂直偏向磁界をバレル型とする非斉
一磁界を発生するように構成され、3電子ビーム16
B,16G,16Rを自己集中するセルフコンバーゼン
ス方式として構成されており、必要に応じて、更にネッ
ク20外周の偏向ヨーク22の後段に、ピュリティやス
タティックコンバーゼンス調整用の磁気補正装置23が
配置されている。
【0033】このインライン型の電子銃21として、B
PF型ダイナミックフォーカス方式で、且つ拡張電界型
主レンズ方式を採用した電子銃21に適用した場合の例
について、図2を参照して説明をする。
【0034】即ち、この電子銃21は、一列配置の互い
に独立して同一平面上に水平配置された3個のカソード
電極Kと、この3個のカソード電極Kから所定間隔離れ
て同軸上に配置され、3個のカソード電極Kに共通する
電子ビーム16を制御するための、カソード電極Kに対
応する電子通過孔24が穿設された板状の電極部25か
らなる第1グリッド電極G1、及びこの第1グリッド電
極G1による電界の変化を遮蔽するための電子通過孔2
6が穿設された板状の電極部27からなる第2グリッド
電極G2が設けられている。
【0035】更に電子ビーム16を加速する複数に分割
され電子通過孔28を有するカップ状の第1の第3−1
グリッド電極G3−1、及び第2の第3−2グリッド電
極G3−2との組合せから構成される第3グリッド電極
G3、そして電子ビーム16を集束する電子通過孔29
を有する第4グリッド電極G4を備えており、夫々第1
グリッド電極G1乃至第4グリッド電極G4は、ガラス
材からなる絶縁支持体(図示せず)によって保持され、
一体構造化されている。
【0036】この電子銃16では、例えばカソード電極
Kに約150Vの電圧が印加され、第1グリッド電極G
1は接地されており、また第2グリッド電極G2には約
600Vの電圧が印加されると共に、第3−1グリッド
電極G3−1には、約6KVの電圧が印加される。そし
て第3−2グリッド電極G3−2にも、約6KVのパラ
ボラ状電圧が印加されている。
【0037】このパラボラ電圧は、偏向ヨーク22によ
って蛍光体スクリーン13の周辺に電子ビーム16が偏
向される場合に、その偏向距離に応じて電子ビーム16
が蛍光体スクリーン13中心に位置する場合に最も低く
なるように、また蛍光体スクリーン13のコーナーに電
子ビーム16を偏向する場合には、最も高くなるように
偏向動作に追従して変化するものであり、更に第4グリ
ッド電極G4には、約26KVの高電圧が印加される。
【0038】この結果、カソード電極K、第1グリッド
電極G1及び第2グリッド電極G2によって電子ビーム
16を発生し、主レンズに対する物点を形成する三極部
が構成される。また、第2グリッド電極G2と第3−1グ
リッド電極G3−1間には、プリフォーカスレンズが形
成され、このプリフォーカスレンズは、上記三極部から
放出される電子ビーム16を予備集束させる働きを行
い、第3−2グリッド電極G3−2と第4グリッド電極G
4によって、この予備集束された電子ビーム16を最終
的に蛍光体スクリーン13上に集束させる拡張電界型の
主レンズが形成されている。
【0039】また、第3−2グリッド電極G3−2と第4
グリッド電極G4間の電位差は、電子ビーム16が蛍光
体スクリーン13のコーナー部分に偏向された場合が最
も小さくなり、このため主レンズ強度が最も弱くなる反
面、第3−1グリッド電極G3−1と第3−2グリッド電
極G3−2とで4極子レンズが形成され、この4極子レ
ンズは最も強くなる。
【0040】この4極子レンズは、水平方向が集束、垂
直方向が発散を形成するように設定されており、これに
よって、電子銃21と蛍光体スクリーン13の距離が離
れて像点が遠くなることに対応して、主レンズ強度を弱
くすることで焦点位置を補償し、また偏向ヨーク22の
ピンクッション型水平偏向磁界とバレル型垂直偏向磁界
により発生する偏向収差を、4極子レンズで補償するこ
とができる。
【0041】このようなカソード電極K、第1グリッド
電極G1及び第2グリッド電極G2からなる三極部分
は、図3に示すように構成されている。
【0042】即ち、カソード電極Kは、外径1.3m
m、厚さ20μm、長さ5.0mmのタンタルで形成さ
れた円筒状の陰極スリーブ30を有し、この陰極スリー
ブ30の内周面には、アルミナと耐熱性金属粉末からな
る黒化層が被覆形成されている。この陰極スリーブ30
の一端第1グリッド電極G1側には、タンタルからなる
カップ31が嵌合固定されており、このカップ31に
は、円板形状を成す含浸型陰極基体32が嵌合固定され
ている。
【0043】この含浸型陰極基体32は、空孔率約20
%の多孔質タングステンからなるもので、モル比で4:
1:1のBaO,CaO,Alからなるエミッタ
(電子放射物質)を高温の水素雰囲気中、もしくは真空
中で溶融含浸し、更にその表面に0.2μmの厚さのI
r膜で被覆したものである。
【0044】この陰極スリーブ30の内部には、コイル
ドダブルヘリカルタイプで表面にアルミナからなる絶縁
層を設けたヒータHが挿入配置されている。更に陰極ス
リーブ30は、Ni−W合金から形成された円筒状のリ
フレクタ33に嵌着され、このリフレクタ33は、Fe
−Co−Ni合金から形成された筒状の陰極ホルダ34
の内部に同軸的に嵌合配置されると共に、この陰極ホル
ダ34と陰極スリーブ30とは、陰極スリーブ30の周
囲に配置した3本のタンタルから形成された短冊状のト
スラップ35によって、そのトスラップ35の一端を陰
極ホルダ34に、他端を陰極スリーブ30に夫々レーザ
溶接で固定することによって連結され、陰極スリーブ3
0が陰極ホルダ34に支持され、そしてリフレクタ33
は、陰極ホルダ34の上端部に固定されることになる。
【0045】この陰極基体32の軸線上に、低熱膨張材
からなる第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G
2の電子通過孔24,26が位置するように組立てられ
る。この第1グリッド電極G1には、電子通過孔24の
側壁、及び第2グリッド電極G2と対向する表面に、Z
nOからなる絶縁被膜36が設けられる。この絶縁被膜
36は、プレス成形した第1グリッド電極G1の表面側
からスパッタ法や真空蒸着法等を用いて、厚さ1μmの
膜厚となるように形成されている。
【0046】このように構成された電子銃構体は、陰極
線管のネック20内部に装着し、その後に所要の排気工
程、及びエージング工程を経て陰極線管が形成される。
【0047】このように構成された電子銃構体における
第1グリッド電極G1からの不要電子放射の不良発生率
とライフ時間の関係とを、陰極基体32からBaやBa
Oが蒸発し易くするために、通常のヒータ定格電圧より
も高い110%の電圧を供給して蒸発を加速した強制条
件下で、ライフステップ毎に不要電子放射を測定した結
果を、図4に示す。
【0048】この測定は、カソード電圧をカットオフし
た際に、画面上にスポットが発生しているか否かを観測
し、測定対象陰極線管全数に対するスポットの発生が確
認された陰極線管数を不良率として表わしたもので、例
えばライフ時間1,000時間相当毎にカソード電圧を
カットオフにして、残像を目視等によって測定したもの
である。
【0049】この測定によって、従来の電子銃構体を使
用した陰極線管では、図中実線aで示すように、ライフ
時間の経過と共に不良発生率が増大していく。これに対
して本発明の電子銃構体を使用した陰極線管では、図中
破線bで示すように、ライフ初期には不要電子発生の不
良率は殆どなく、ライフ時間が経過していっても、この
状態を保ち続けるように不要電子放射による不良の発生
の増加を観測することがない。このために不要電子放射
を基因とする陰極線管の画像劣化を防止することができ
る。
【0050】なお、以上の説明では、第1グリッド電極
G1にだけ絶縁被膜36を形成した場合についてのみ説
明しているが、図2及び図3に示すように、第2グリッ
ド電極G2の電子通過孔26の内面、及び第3グリッド
電極G3と対向する表面にも、同様に絶縁被膜37を形
成することによって、板状の電極部25,27を採用し
ている第1及び第2グリッド電極G1,G2からの不要
電子放射を殆ど防止することができ、三極部での不要電
子放射をなくすことが可能となる。
【0051】また、第1グリッド電極G1には、第2グ
リッド電極G2側に対向する表面の全体にZnOの絶縁
被膜36を設けたが、不要電子放射は第1グリッド電極
G1の電子通過孔24のエッジ部分及び電子通過孔24
側壁からの発生が殆どであるために、これらの部分だけ
に形成しても差支えなく、第2グリッド電極G2の電子
通過孔26の変形の範囲も考慮して、この電子通過孔2
6直径の凡そ2倍の大きさに相当する範囲の電子通過孔
24周辺、及び電子通過孔24内壁部分に互いに連通し
た絶縁被膜36を設ければ、少ない絶縁被膜36で構成
することが可能となるばかりでなく、最小限の絶縁被膜
36でありながら、有効確実に不要電子放射の防止効果
が得られることが判明した。このことは、第2グリッド
電極G2に絶縁被膜37を形成する場合にも適用するこ
とができ、また各板状電極部25,27の両面に形成す
ることも可能である。
【0052】また、絶縁被膜36,37としてZnOを
用いたが、これに限定されるものではなく、常温から4
00℃程度の陰極線管の動作中の温度(一般には250
〜300℃程度)範囲における電気抵抗率が、10Ω
・m以上で且つ1010Ω・m以下の値を有する、例え
ばTiOやBeOあるいはCaO等の単体酸化物また
は複合酸化物で形成しても同様の効果が得られる。これ
は絶縁被膜36,37の常温〜400℃における電気抵
抗率が、10Ω・m以下では第1グリッド電極G1材
に微量含まれる還元材との反応を阻止する働きが不充分
で、過剰Baの生成を完全に抑制することができないた
めであり、また1013Ω・m以上となると、この絶縁
被膜36,37に帯電現象が発生してしまうので、10
Ω・m以上で1010Ω・m以下の範囲での電気抵抗
率を有する物質を使用することによって、不要電子放射
が抑制できることが判明したことによる。
【0053】更に、絶縁被膜の厚さを1μmに形成した
場合について説明したが、絶縁被膜36,37の厚さが
0.5乃至2μmの範囲で形成すれば、同様の効果が得
られることが判明した。即ち、絶縁被膜36,37の厚
さを、0.5μm以下に設定した場合は、第1及び第2
グリッド電極G1、G2材に微量含まれる還元材との反
応を阻害する働きが不充分で、過剰Baの生成を完全に
抑制することができず、また2μm以上と厚く形成して
も、それ以上の効果を上げることができないだけではな
く、2μm以上になると絶縁被膜36,37が板状電極
部25,27から剥離し易くなってしまうためであり、
更に2μm以上の厚さの絶縁被膜36,37を形成する
ためには、成膜の作業時間が長くなって不経済となる面
も無視できない。
【0054】なお、本発明は、これら実施の形態に限定
されることなく、例えばBPF型やインライン型以外の
電子銃、あるいは白黒用の電子銃にも適用することも可
能であり、その他にも種々の応用や変形が可能なことは
いうまでもない。
【0055】
【発明の効果】本発明は、陰極線管の製造工程中や実稼
動中に陰極基体から蒸発したBaやBaOが、第1グリ
ッド電極もしくは第1及び第2グリッド電極に付着して
も、電子通過孔内壁及びその周辺に付着するBaやBa
Oは、絶縁被膜上に付着することになるので、この付着
したBaやBaOと微量の還元材を内蔵する板状電極部
との間に絶縁被膜が介在されているので、この絶縁被膜
が付着したBaやBaOと還元材との反応を阻止する障
壁の役目を司り、その結果、過剰Baの生成を確実にし
かも効率良く長期間に亘って抑制し、不要な電子放射を
防止することができるので、陰極線管の画質の劣化を防
止した電子銃構体及び陰極線管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子銃構体及びカラー陰極線管を
示す一部切欠斜視図。
【図2】本発明に係るインライン型電子銃構体の構成を
示す断面図。
【図3】同じく電子銃構体を構成するカソード電極、第
1及び第2グリッド電極からなる三極部を示す断面図。
【図4】従来及び本発明に係る陰極線管のライフ時間に
対する不良発生率を示す特性図。
【図5】従来のカラー陰極線管を示す断面図。
【図6】従来の電子銃構体を示す断面図。
【図7】同じく電子銃構体を構成するカソード電極、第
1及び第2グリッド電極からなる三極部を示す断面図。
【符号の説明】
11:フェースパネル 12:ファンネル 13:蛍光体スクリーン 16B,16G,16R:電子ビーム 20:ネック 21:電子銃 24:電子通過孔 25:板状電極部 26:電子通過孔 27:板状電極部 36:絶縁被膜 37:絶縁被膜 K:カソード電極 G1:第1グリッド電極 G2:第2グリッド電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともカソード電極並びに第1及び
    第2グリッド電極からなる三極部を備えた陰極線管用の
    電子銃構体において、 第1グリッド電極は、板状の電極部及びこの板状電極部
    に穿設された電子通過孔を有しており、この電子通過孔
    内部及び前記第2グリッド電極と対向する表面側の電子
    通過孔周辺部分に連接した絶縁被膜を形成したことを特
    徴とする電子銃構体。
  2. 【請求項2】 前記絶縁被膜は、陰極線管の使用温度範
    囲内で、電気抵抗率が10Ω・m〜1010Ω・mの
    範囲の値を有する絶縁物から構成されていることを特徴
    とする請求項1記載の電子銃構体。
  3. 【請求項3】 前記絶縁被膜は、0.5〜2.0μmの
    厚さを有していることを特徴とする請求項1または2記
    載の電子銃構体。
  4. 【請求項4】 前記絶縁被膜は、前記板状電極部の電子
    通過孔周辺に第2グリッド電極に形成された電子通過孔
    の孔径の略2倍の範囲を覆うように被覆されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電
    子銃構体。
  5. 【請求項5】 略矩形状のフェースパネルと、 このフェースパネルに連接するファンネルと、 このファンネルのネック内に配置される少なくともカソ
    ード電極並びに第1及び第2グリッド電極を備えた電子
    銃と、 この電子銃と対向する前記フェースパネル内面に形成さ
    れた蛍光体スクリーンとを有する陰極線管において、 前記第1グリッド電極は、電子通過孔を穿設した板状の
    電極部から構成され、少なくともこの板状電極部の第2
    グリッド電極と対向する前記電子通過孔周辺及びこの電
    子通過孔内壁に連通する絶縁被膜によって被覆されてい
    ることを特徴とする陰極線管。
JP2001010320A 2001-01-18 2001-01-18 電子銃構体及び陰極線管 Pending JP2002216663A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001010320A JP2002216663A (ja) 2001-01-18 2001-01-18 電子銃構体及び陰極線管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001010320A JP2002216663A (ja) 2001-01-18 2001-01-18 電子銃構体及び陰極線管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002216663A true JP2002216663A (ja) 2002-08-02

Family

ID=18877658

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001010320A Pending JP2002216663A (ja) 2001-01-18 2001-01-18 電子銃構体及び陰極線管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002216663A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5077497A (en) Cathode ray tube
US6124667A (en) Electron gun for a cathode-ray tube for image display having an electrode with a reduced electron beam limiting hole and a cathode with an electron emissive layer mainly made of an oxide of an alkaline metal and containing an oxide of a rare earth metal
JP3189388B2 (ja) 陰極線管のカソード構体
US6583547B1 (en) Cathode ray tube with UPF type electron gun having particular electrode structure and spacing
US5952777A (en) Color cathode ray tube
JP3635153B2 (ja) 陰極線管用電子銃および陰極線管
JP2002216663A (ja) 電子銃構体及び陰極線管
JPH08203446A (ja) インライン型陰極線管
US6433469B1 (en) Cathode ray tube having an internal voltage-dividing resistor
US6495952B1 (en) Cathode ray tube having an internal voltage-dividing resistor
JP2001210254A (ja) 陰極線管
US7078851B2 (en) Cathode ray tube
JP3406617B2 (ja) 陰極線管電子銃用抵抗器
JP3015412B2 (ja) 陰極線管
JP2001110298A (ja) 酸化物陰極及びこれを用いた陰極線管
JPWO2004081962A1 (ja) 傍熱型陰極及びこれを備えた陰極線管
JPH11176315A (ja) 含浸型陰極構体及びこの陰極構体を用いた電子銃
KR100351080B1 (ko) 내장형 분압 저항기를 구비한 음극선관
KR100344517B1 (ko) Upf형 전자총을 갖는 음극선관
JP2002279893A (ja) 電子銃構体の製造方法並びに電子銃構体及び陰極線管
JPH1069861A (ja) 電子銃
JP2004516634A (ja) 部分的に伝導性の絶縁体を備えるフォーカスマスクを有するカラー陰極線管
JP2002093337A (ja) 陰極線管
JPH1116509A (ja) 陰極線管
JPH11213859A (ja) 陰極構体、電子銃構体および電子管