JP2001189146A - 高圧放電ランプ、ランプユニットおよび高圧放電ランプの製造方法、ならびに電球 - Google Patents

高圧放電ランプ、ランプユニットおよび高圧放電ランプの製造方法、ならびに電球

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JP2001189146A JP2000201407A JP2000201407A JP2001189146A JP 2001189146 A JP2001189146 A JP 2001189146A JP 2000201407 A JP2000201407 A JP 2000201407A JP 2000201407 A JP2000201407 A JP 2000201407A JP 2001189146 A JP2001189146 A JP 2001189146A
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関  智行
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長寿命の高圧放電ランプを提供すること。 【解決手段】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが
封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管10と、
発光管10内に配置され、実質的にタングステンからな
る電極12とを備えた高圧放電ランプ100であって、
ハロゲンのモル数は、ハロゲンと結合する性質を有する
金属元素であって発光管内10に存在する金属元素(た
だし、タングステン元素および水銀元素を除く)の合計
モル数と、ランプ動作中において電極12から蒸発して
発光管内に存在するタングステンのモル数との和よりも
多い、高圧放電ランプ100である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧放電ランプ、
ランプユニットおよび高圧放電ランプの製造方法、なら
びに電球に関する。特に、一般照明、および反射鏡と組
み合わせて液晶プロジェクターや投射型液晶テレビに使
用される高圧放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高圧放電ランプの具体的な例とし
ては、特開平2-18561号公報、特許298088
2号公報に開示されている高圧水銀蒸気放電ランプがあ
る。これらの公報に開示された高圧放電ランプの構成を
模式的に図13に示す。以下、図13を参照しながら、
従来の高圧放電ランプ1000の説明をする。
【0003】ランプ1000は、石英ガラスから構成さ
れた発光管(バルブ)110と、発光管110の両端に
連結された一対の封止部(シール部)120とを有して
いる。発光管110の内部(放電空間)には、タングス
テンを材料とする一対のタングステン電極(W電極)1
12が一定の間隔をおいて互いに対向して配置されてお
り、W電極112の一端は、封止部120内のモリブデ
ン箔(Mo箔)124と溶接されており、W電極112
とMo箔124とは電気的に接続されている。Mo箔1
24の一端には、モリブデンから構成された外部リード
(Mo棒)130が電気的に接続されている。
【0004】上記特開平2-18561号公報には、図
13に示した構成と同様な構成において、希ガスと、2
00mg/cc以上の水銀118と、10-3〜10-1μ
mol/ccの範囲のハロゲンとを発光管110内に封
入して、100W/cm2以上の管壁負荷で動作させる
高圧放電ランプが開示されている。
【0005】特開平2-18561号公報によると、1
00W/cm2以上に管壁負荷を高めると、最冷点温度
を高くすることができるため、200mg/cc以上の
水銀を封入した場合、発光管110内の圧力が高くな
り、特に赤色領域の連続スペクトルが増加し、演色性が
改善されるということが記載されている。また、ハロゲ
ンの封入は発光管110の黒化を防止するためとの理由
は記載されているが、10 -3〜10-1μmol/ccの
範囲のハロゲン封入を規定する明確な理由は特に記載さ
れていない。
【0006】一方、特許2980882号公報には、図
13に示した構成と同様な構成において、希ガスと、1
60mg/cc以上の水銀118と、2×10-1〜7μ
mol/ccの範囲のハロゲンとを発光管110内に封
入して、80W/cm2以上の管壁負荷で動作させる高
圧放電ランプが開示されている。
【0007】特許2980882号公報によると、80
W/cm2以上の管壁負荷で動作させた場合、発光管1
10の温度が高くなることによって石英ガラスの吸収波
長帯域が長波長側にずれるために、波長185nmの水
銀−希ガスエキシマ光(160mg/cc以上の水銀1
18を封入した場合に高圧な水銀蒸気と希ガスとの混合
ガス中の放電において放射される光)が吸収されやすい
状態となり、その結果、石英ガラスの白濁失透が急激に
成長するとの推測が記載されている。さらに、短波長紫
外線を吸収した石英ガラスからSiまたはSiOが放出
され、それらが電極112先端に付着してタングステン
の融点を下げて、それによって電極112の変形やタン
グステンの管壁黒化を生じさせるとの記載もある。
【0008】特許2980882号公報では、この課題
に対して、2×10-1μmol/cc以上の範囲のハロ
ゲンを封入してエキシマ光をハロゲンで吸収することに
よって、石英ガラスの白濁失透を防止することが記載さ
れている。そして、ハロゲンの封入量を7μmol/c
c以下にする理由は、電極112の変形を防止するため
ということが記載されている。さらに、白濁失透の成長
を抑制するために、石英ガラスの内表面(深さ0.2m
mの範囲)の平均OH基濃度を20ppm以下に規定す
ることが開示されている。
【0009】また、当該公報において、炭素は点灯中に
発光管110内面に付着して紫外線を吸収し、結果とし
て石英ガラスの白濁失透を促進するので、ハロゲンを発
光管110内に封入する形態としては、炭素を含む化合
物(CH2Br2など)ではない例えば臭化水素(HB
r)などの形態で行うとの記載がある。さらに、石英ガ
ラス中のアルミニウムとアルカリ金属(ナトリウム、カ
リウム、リチウム)との比が高くなるほど、ガラスの粘
度が高くなるため、白濁失透(SiO2の結晶成長)の
速度が低くなることが紹介されている。そして、このよ
うな仕様により、液晶プロジェクタとして必要とされる
2000時間程度の寿命を有する高圧放電ランプが実現
できるということが説明されている。
【0010】従来の高圧放電ランプ1000では、上記
公報で示されたように、発光管110の黒化または白濁
失透をハロゲンによって防止している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者は、上記公
報に開示された技術および仕様に基づいて、種々、多数
のハロゲンを含んだ高圧放電ランプを試作し、試作した
ランプを反射鏡に組み込んで寿命試験を行い、液晶プロ
ジェクタなどのスクリーン照度の変化を調べたところ、
数十時間から数百時間程度の点灯時間で、スクリーンの
照度が著しく減少するという課題があることを見出し
た。特に、特開平2-18561号公報で実施の形態に
開示されていない50W以上の高出力なランプについ
て、照度低下が激しくなるという結果を得た。また、こ
れらの従来のランプは、点灯時間が長くなるにつれて、
放電開始時電圧が高くなり、点灯しにくくなるという課
題を有していることもわかった。
【0012】本願発明者は、これらのランプを詳細に観
察した結果、次のような知見を得た。すなわち、まず初
めに点灯直後からの早い時間において発光管110の内
面に電極112のタングステンが付着して発光管110
が黒くなり(黒化)、次に、その黒化が急速に進行し、
その黒化が原因となって、発光管110の透過率が著し
く低下して、発光管110内から出る光量が低下するこ
とがわかった。この観察結果は、上記公報に開示された
技術および仕様だけでは、発光管110にハロゲンを封
入しても、発光管110の黒化や白濁失透を完全に防止
しきれないことを意味している。従って、上記公報に開
示された従来のランプ1000では、ランプを点灯した
後、早い時間に光出力が低下してしまうという結果をも
たらす。
【0013】パソコンの画面などを拡大投射する液晶プ
ロジェクタ(いわゆる、データプロジェクタ)におい
て、この種の従来のランプ1000を使用する場合、ラ
ンプの短寿命はそれ程大きな問題とはならなかったと考
えられる。その理由を述べると、このような用途では、
会社や学校などの会議の場において不特定多数の人々に
比較的短時間使用されることがほとんどであり、そのた
め、ランプを交換する作業が頻繁に行われることは実質
的になく、使用者に負担がかからなかったからである。
【0014】しかしながら、従来のランプ1000を一
般家庭用のテレビ(プロジェクションテレビ)に使用す
る場合には、従来のランプ1000の短寿命は大きな問
題となる。すなわち、デジタル放送に代表されるよう
に、一般家庭に数十チャンネルのテレビ番組が放送され
るようになった現在、家庭でも大画面のテレビでそれら
の放送をマルチ画面で楽しんだり、さらには画像ととも
に多くの文字情報などを表示したいという要望が増えて
きている。この要望に対して、大画面映像を簡単に得ら
れるデータプロジェクタを一般家庭用のテレビ(プロジ
ェクションテレビ)に応用するための開発が本格的に開
始されているが、このような用途の場合、テレビは一日
に何時間も使用されるため、データプロジェクタにて使
用される場合よりもランプの点灯時間は必然的に長くな
る。さらに、ランプの交換は不要か、あるいは可能な限
り少ないことが要望される。この要望に応えるために
は、少なくとも5000時間から10000時間以上の
ランプの寿命が必要となる。しかし、従来のランプ10
00を用いては、投写型液晶テレビなどに必要と考えら
れる5000時間から10000時間以上のランプ寿命
を達成することはできない。
【0015】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、長寿命の高圧放電ランプを提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の高圧
放電ランプは、管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが
封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、前記
発光管内に配置され、実質的にタングステンからなる電
極とを備えた高圧放電ランプであって、前記ハロゲンの
モル数は、前記ハロゲンと結合する性質を有する金属元
素であって前記発光管内に存在する金属元素(ただし、
タングステン元素および水銀元素を除く)の合計モル数
と、ランプ動作中において前記電極から蒸発して前記発
光管内に存在する前記タングステンのモル数との和より
も多い。
【0017】前記金属元素(ただし、タングステン元素
および水銀元素を除く)の各種類をMiとしたときの前
記金属元素Miのモル数をmiとし、前記金属元素Mi
の化学量論係数をniとした場合において、前記金属元
素Miの前記モル数miに前記化学量論係数niを乗じ
た数を前記金属元素Miの各種類について足し合わした
合計数(Σ(mi×ni))と、前記タングステンの前
記モル数との和よりも、前記ハロゲンの前記モル数が多
いことが好ましい。
【0018】本発明による第2の高圧放電ランプは、管
内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、実質的
に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に配置さ
れ、実質的にタングステンからなる電極とを備えた高圧
放電ランプであって、前記発光管内に封入されたハロゲ
ンをXとしたときの前記ハロゲンXのモル数をNとし、
前記ハロゲンXと結合する性質を有する金属元素であっ
て前記発光管内に存在する金属元素の各種類をMiとし
たとき、前記金属元素Miのモル数をmiとし、前記金
属元素Miの化学量論係数をniとし、そして、タング
ステンをWとした場合において、次式(I)の化学反応
における平衡定数をKiとし(Mi+niX → Mi
ni 式(I))、次式(II)の化学反応における平
衡定数をKwとしたときに(W+X → WX 式(I
I))、平衡定数Kw以上の平衡定数Kiを有する金属
元素Miのモル数の合計と、ランプ動作中において前記
電極から蒸発して前記発光管内に存在する前記タングス
テンWのモル数との和よりも、前記発光管内に封入され
たハロゲンXのモル数Nの方が多いことを特徴とする。
【0019】前記平衡定数Kw以上の前記平衡定数Ki
を有する前記金属元素Miのモル数miに前記化学量論
係数niを乗じた数を前記金属元素Miの各種類につい
て足し合わせた合計数(Σ(mi×ni))と、前記タ
ングステンの前記モル数との和よりも、前記ハロゲンX
の前記モル数Nが多いことが好ましい。
【0020】ある実施形態において、前記金属元素は、
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(L
i)、カルシウム(Ca)、セシウム(Cs)、ルビジ
ウム(Rb)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、およびニ
ッケル(Ni)からなる群から選択された少なくとも1
種である。
【0021】前記発光管内に含まれている水素(H)の
含有量が0.15体積%以下であることが好ましい。
【0022】前記発光管の外面における引っ張り応力が
100psi以下であり、前記発光管の内面における圧
縮応力が100psi以下であることが好ましい。
【0023】本発明による第3の高圧放電ランプは、管
内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、実質的
に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に配置さ
れ、実質的にタングステンからなる電極とを備えた高圧
放電ランプであって、前記発光管内に封入されるハロゲ
ンのモル数は、前記発光管内に存在するナトリウム(N
a)、カリウム(K)、およびリチウム(Li)の合計
モル数と、ランプ動作中において前記電極から蒸発して
前記発光管内に存在する前記タングステンのモル数との
和よりも多いことを特徴とする。
【0024】前記ハロゲンのモル数は、前記発光管内に
存在するナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウ
ム(Li)、セシウム(Cs)、およびルビジウム(R
b)の合計モル数と、前記タングステンのモル数との和
よりも多いことが好ましい。
【0025】本発明による第4の高圧放電ランプは、管
内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、実質的
に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に配置さ
れ、実質的にタングステンからなる電極とを備えた高圧
放電ランプであって、前記発光管内に封入されるハロゲ
ンのモル数は、前記発光管内に存在する金属元素であっ
て1価のハロゲン化物を生成する金属元素の合計モル数
と、ランプ動作中において前記電極から蒸発して前記発
光管内に存在する前記タングステンのモル数との和より
も多いことを特徴とする。
【0026】本発明による第5の高圧放電ランプは、管
内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、実質的
に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に配置さ
れ、実質的にタングステンからなる電極とを備えた高圧
放電ランプであって、前記電極に含まれるナトリウム
(Na)、カリウム(K)、およびリチウム(Li)の
含有量がそれぞれ1ppm以下であることを特徴とす
る。
【0027】前記発光管における前記石英ガラスに含ま
れるナトリウム(Na)、カリウム(K)、およびリチ
ウム(Li)の含有量がそれぞれ1ppm以下であるこ
とが好ましい。
【0028】前記発光管内に封入されるハロゲンのモル
数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)、およびリチウム(Li)の合計モル数よりも
多いことが好ましい。
【0029】前記発光管内に封入されるハロゲンのモル
数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)、およびリチウム(Li)の前記合計モル数の
5倍以上であることが好ましい。
【0030】前記電極に含まれるクロム(Cr)、鉄
(Fe)、およびニッケル(Ni)の含有量が3ppm
以下であることが好ましい。
【0031】前記発光管内に封入されるハロゲンのモル
数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、鉄(F
e)、およびニッケル(Ni)の合計モル数よりも多い
ことが好ましい。
【0032】前記発光管内に封入されるハロゲンのモル
数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、鉄(F
e)、およびニッケル(Ni)の前記合計モル数の5倍
以上であることが好ましい。
【0033】本発明による第6の高圧放電ランプは、管
内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、実質的
に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に配置さ
れ、実質的にタングステンからなる電極とを備えた高圧
放電ランプであって、前記発光管における前記石英ガラ
スに含まれるナトリウム(Na)、カリウム(K)、お
よびリチウム(Li)の含有量がそれぞれ1ppm以下
であることを特徴とする。
【0034】前記発光管内に含まれている水素(H)の
含有量が0.15体積%以下であることが好ましい。
【0035】前記発光管の外面における引っ張り応力が
100psi以下であり、前記発光管の内面における圧
縮応力が100psi以下であることが好ましい。
【0036】前記発光管における前記石英ガラスに含ま
れるOH基の含有量が5ppm以下であることが好まし
い。
【0037】前記発光管における前記石英ガラスに含ま
れるアルミニウム(Al)の含有量が10ppm以下で
あることが好ましい。
【0038】前記発光管内に封入されるハロゲンの量
は、100μmol/cm3以下であることが好まし
い。
【0039】ある実施形態では、前記発光管内に封入さ
れるハロゲンは、臭素(Br)またはヨウ素(I)の少
なくとも1つである。
【0040】前記発光管の管壁負荷が80W/cm2
上であることが好ましい。
【0041】ある実施形態では、前記発光管内にさらに
水銀(Hg)が封入されている。
【0042】前記発光管内に封入される前記水銀(H
g)の量は、150mg/cm3から300mg/cm3
であり、ランプ動作中における水銀蒸気圧は、15MP
aから30MPaであることが好ましい。
【0043】本発明によるランプユニットは、上記放電
ランプと、前記放電ランプから発する光を反射する反射
鏡とを備えている。
【0044】本発明による高圧放電ランプの製造方法
は、管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが封入され、
実質的に石英ガラスからなる発光管と、前記発光管内に
配置され、実質的にタングステンからなる電極とを備え
た高圧放電ランプの製造方法であって、高圧放電ランプ
の形状を完成させてランプ形状完成体を得た後、前記ラ
ンプ形状完成体の残留歪みを除去する工程を包含する。
【0045】ある実施形態において、前記残留歪みを除
去する工程は、前記ランプ形状完成体を1000℃から
1100℃の高温条件下で1時間以上保持する工程を包
含する。
【0046】前記高温条件下で保持する工程は100時
間以上行われることが好ましい。
【0047】本発明による電球は、管内に少なくとも希
ガスとハロゲンとが封入されたバルブと、前記バルブ内
に配置された一対の内部導入線間を連結し、実質的にタ
ングステンからなるフィラメントとを備えた電球であっ
て、前記ハロゲンのモル数は、前記ハロゲンと結合する
性質を有する金属元素であって前記発光管内に存在する
金属元素(ただし、タングステン元素を除く)の合計モ
ル数と、ランプ動作中において前記フィラメントから蒸
発して前記発光管内に存在する前記タングステンのモル
数との和よりも多い。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を
説明する。
【0049】まず、本発明の実施形態を説明する前に、
高圧放電ランプの発光管において黒化が生じるメカニズ
ムについて説明する。ハロゲンを封入した高圧放電ラン
プにおいて黒化が生じるメカニズムについては、これま
で必ずしも明らかではなかったのが現状であるが、本願
発明者は、種々の実験を行った上に、化学平衡論に基づ
く解析を進めた結果、次のようなメカニズムで黒化が進
行していることを推論した。
【0050】図14は、ランプ点灯時の発光管を模式的
に拡大して示している。図14(a)に示すように、ラ
ンプ動作時には、融点に近い高温状態となっている電極
112のほぼ先端部(当該先端部には数千度以上の高温
アークが接している)からタングステン(W)が蒸発し
ている。蒸発したタングステンは、図中の矢印で示すよ
うに高温の放電アーク周辺を通って、通常、数百℃から
千数百℃の温度状態となっている発光管110の内壁に
向かって移動する。この移動中において、蒸発したタン
グステン(W)がハロゲン(X)と結合してハロゲン化
タングステン(WX)となれば、点灯中数百℃以上とな
っている高温の発光管110内面にハロゲン化タングス
テンが付着することはない。その理由は、点灯中の温度
においてハロゲン化タングステンは非常に蒸発しやすい
ため、たとえハロゲン化タングステンが発光管110内
面に付着しても、発光管110内面から容易に離れるこ
とができるからである。
【0051】しかしながら、図14(b)に示すよう
に、発光管110内に蒸発したタングステン(W)以外
に金属元素(M)が存在すると、ハロゲン(X)は、タ
ングステン(W)と結合する前にその金属元素(M)と
結合して、そのハロゲン化合物(MX)を形成してしま
う。その理由は、水銀を除くほとんど全ての金属元素と
ハロゲンとの化学反応の平衡定数は、発光管110内の
温度領域(特に、アーク周辺部の二千〜三千℃から、発
光管110内面付近の数百℃までの温度領域)におい
て、タングステンとハロゲンとの化学反応の平衡定数よ
りも大きいからである。このことは、タングステン
(W)と金属元素(M)とハロゲン(X)とが混在して
いる場合、まず、金属元素(M)とハロゲン(X)とが
反応してしまうことを意味している。従って、発光管1
10に封入されたハロゲンのうち、金属元素とハロゲン
との反応に必要でない残りのハロゲンだけが、タングス
テンと反応することになる。それゆえ、発光管110内
に存在する金属元素の数がハロゲンの数よりも多い場
合、蒸発したタングステンと結合する遊離ハロゲンが存
在しない状態となるため、タングステンは、そのままの
形態で発光管110内壁に到達して付着し、その結果、
その箇所が黒くなる。
【0052】以上のことから、何らかの原因で金属元素
(M)が発光管110内に混在している場合、上記公報
に記載された量のハロゲンを単に封入しても、発光管1
10の黒化を完全に防止することはできない。そこで、
このような問題を解決するために、本発明では、金属元
素(M)の合計モル数と、ランプ動作中に蒸発するタン
グステン(W)のモル数との和よりも、発光管内に封入
するハロゲン(X)のモル数を多くしている。このよう
にすることによって、電極から蒸発したタングステン
(W)は、完全にハロゲン(X)と結合して、ハロゲン
化タングステン(WX)となるため、結果として、発光
管内面にタングステン(W)が付着することを防止する
ことができる。従って、本発明によると、高圧放電ラン
プの発光管の黒化を防止することができるため、従来技
術よりも寿命を長くした高圧放電ランプを提供すること
が可能となる。
【0053】以下、図面を参照しながら、本発明の実施
形態を具体的に説明する。なお、以下の実施形態は例示
であって、限定的に解釈されない。 (実施形態1)図1から図7を参照しながら、本発明に
よる実施形態1を説明する。
【0054】まず、図1は、本実施形態にかかる高圧放
電ランプ100の構成を模式的に示している。放電ラン
プ100は、実質的に石英ガラスからなる発光管10
と、発光管10内に配置され、実質的にタングステンか
らなる電極12とを有している。発光管10内には、少
なくとも希ガスとハロゲンとが封入されており、発光管
10内に封入されるハロゲンのモル数は、ハロゲンと結
合する性質を有する金属元素(ただし、タングステン元
素および水銀元素を除く)であって発光管10内に存在
する金属元素の合計モル数と、ランプ動作中において電
極12から蒸発して発光管10内に存在するタングステ
ンのモル数との和よりも多いようにされている。
【0055】本実施形態では、ランプ100の発光管1
0の両端に一対の封止部(シール部)20が連結されて
おり、封止部20によって発光管10の内部(放電空
間)の気密が保持されている。発光管10内の一対の電
極(W電極)12は、一定の間隔をおいて互いに対向し
て配置されており、例えば、発光管12の先端間距離
(電極間距離)が約1.5mmになるように配置されて
いる。なお、ランプ動作時における電極先端温度を低下
させることを目的として、電極12の先端にコイルを巻
くように構成することも可能である。
【0056】発光管10の内容積(放電空間の容量)
は、約0.2cc(約0.2cm3)であり、発光管1
0の内部には、約30mgの水銀18(単位発光管内容
積当たりの水銀量:約150mg/cc)と、室温にお
いて約20KPaのアルゴンガス(不図示)および約6
0PaのCH2Br2(不図示)とが封入されている。な
お、発光管10の外径は約13mmであり、発光管10
のガラス厚は約3mmである。
【0057】発光管10内に配置された電極12の一端
は、封止部20内の金属箔(例えば、モリブデン箔)2
4と溶接されており、電極12と金属箔24とは互いに
電気的に接続されている。金属箔24の一端には、モリ
ブデンから構成された外部リード(Mo棒)30が電気
的に接続されている。
【0058】本実施形態の高圧放電ランプ100では、
タングステン元素および水銀元素を除く金属元素の合計
モル数と、ランプ動作中において電極12から蒸発する
タングステンのモル数との和よりも、ハロゲンのモル数
が多くなるように構成している。この構成によって、従
来技術よりも、発光管10の黒化を防止することができ
る理由を以下に説明する。
【0059】水銀元素(Hg)を除くほとんどすべての
金属元素とハロゲンとの化学反応の平衡定数は、タング
ステンとハロゲンとの化学反応の平衡定数よりも大きい
ため、タングステンとハロゲンとの化学反応よりも、金
属元素(Hgを除く)とハロゲンとの化学反応の方が進
行しやすい。図2は、各種の金属元素とハロゲンとの化
学反応の平衡定数Kを温度の関数で示したグラフであ
る。図2では、タングステン(W)、リチウム(L
i)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロム
(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、および水銀
(Hg)が、ハロゲンである臭素(Br)と反応する化
学反応の平衡定数Kと温度との関係を示している。 な
お、図2においては平衡定数Kを感覚的に理解しやすい
ように、平衡定数Kとは対数の関係にあるギブスの自由
エネルギー変化(ΔG=−RTln(K))を縦軸にと
し、温度T(ケルビン)を横軸として、平衡定数Kをプ
ロットしている。ここで、ΔG=−RTln(K)の式
中のRは、気体定数を表している。なお、温度Tの範囲
は、発光管10内の温度領域に対応させている。図2に
示した平衡定数は、米国のNational Technical Informa
tion Serviceから出版されている「Thermodynamic Prop
erties of Elements and Oxides」および「Thermodynam
ic Properties of Halides」に記載されている熱力学デ
ータを基にして算出した。
【0060】図2から理解できるように、水銀(Hg)
を除いて、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カ
リウム(K)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、およびニ
ッケル(Ni)のそれぞれと、臭素(Br)とが反応す
る化学反応の自由エネルギー変化(ΔG)は、発光管1
0内のアーク周辺部の2千〜3千℃から発光管内面付近
の数百℃の範囲において、タングステンと臭素とが反応
する化学反応の自由エネルギー変化(ΔG)よりも小さ
い。自由エネルギー変化(ΔG)が値が小さいほど(負
の値が大きいほど。すなわち、縦軸の下にいくほど)、
その反応の方が容易に起こることを意味しているため、
タングステンと臭素との反応よりも、水銀を除く金属元
素と臭素との反応の方が起こりやすいことがわかる。一
方、水銀と臭素との反応については、自由エネルギー変
化(ΔG)が値が大きいため、反応が起こりにくいこと
がわかる。また、このことは、自由エネルギー変化(Δ
G=−RTln(K))から平衡定数を求めた場合に、
水銀を除く金属元素(例えば、リチウム)と臭素との化
学反応の平衡定数が、タングステンと臭素との化学反応
の平衡定数よりも大きくなることからも理解できる。
【0061】以上のことから、ランプ動作時において融
点に近い高温状態にある電極のほぼ先端部(その部分に
は、数千度以上の高温アークが接している)から蒸発し
たタングステン以外に金属元素(ただし、水銀を除く)
が存在すると、2000℃〜3000℃の放電アークの
周辺を通って発光管内面(この部分は、通常、数百℃か
ら千数百℃の温度状態にある)に向かって移動する際、
ハロゲンは、タングステンと結合する前にその金属元素
と結合してしまうことになる。
【0062】しかしながら、水銀を除く発光管内に存在
する金属元素の量(勿論、発光管10内に配置された固
体状の電極であるタングステンは含まれない)を、封入
されているハロゲンの量よりも少なくすることによっ
て、電極12から蒸発したタングステンと反応するハロ
ゲンを絶えず確保することが可能となる。
【0063】化学平衡論的に一般化して言い換えると、
発光管10内に封入されたハロゲンをXとしたときのハ
ロゲンXのモル数をNとし、ハロゲンXと結合する性質
を有する発光管内に存在する金属元素の各種類をMi
(例えば、Li、Na、Kなど)としたとき、金属元素
Miのモル数をmiとし、金属元素Miの化学量論係数
をni(Li、Na、Kの場合は「1」となる。)と
し、そして、タングステンをWとした場合において、下
式(I)の化学反応における平衡定数をKiとし、 Mi+niX → MiXni 式(I) 下式(II)の化学反応における平衡定数をKwとしたと
きに、 W+X → WX 式(II) 平衡定数Kw以上の平衡定数Kiを有する金属元素Mi
(ここで、平衡定数Kw=平衡定数Kiとなるタングス
テン元素は除く。)のモル数の合計と、ランプ動作中に
おいて電極12から蒸発して発光管10内に存在するタ
ングステンWのモル数との和が、発光管10内に封入さ
れたハロゲンXのモル数Nよりも少ないと、電極12か
ら蒸発したタングステンWと反応するハロゲンXを絶え
ず確保することができる。なお、上式(I)および(I
I)における平衡定数Kw未満の平衡定数Kiを有する
金属元素Mi(例えば、水銀)が発光管10内に存在し
たとしても、実質的にタングステンとハロゲンとの化学
反応を阻害しないことは明らかであるので(図2参
照)、それゆえ、平衡定数Kw未満の平衡定数Kiを有
する金属元素Miの存在は実質的に無視することができ
る。
【0064】なお、ハロゲンと金属元素とが結合して金
属ハロゲン化物を生成する際、例えば、下式(III)に
示すFeとBrとが結合するときのように、1つのFe
が2つのBrと結合して、2価のハロゲン化物を生成す
る場合がある(上式(I)の化学量論係数niが2のと
きに相当する)。
【0065】 Fe+2Br → FeBr2 (「2」は化学量論係数) 式(III) このような場合には、例えば1モルのFeが発光管内に
存在するときには、電極から蒸発したタングステンとハ
ロゲンとがより確実に結合することを保証するために、
Feのモル数に、Feについてのハロゲン化物の価数
(化学量論係数)を乗じた2モル以上のハロゲンを封入
することが好ましい。化学平衡論的に一般化して言い換
えると、平衡定数Kw以上の平衡定数Kiを有する金属
元素Miのモル数miに化学量論係数niを乗じた数を
金属元素Miの各種類について足し合わせた合計数(こ
の合計数を「Σ(mi×ni)」として表す。)と、タ
ングステンのモル数との和よりも、ハロゲンXのモル数
Nが多くなるように、ハロゲンを封入することが好まし
い。すなわち、N>(Σ(mi×ni)+蒸発タングス
テンのモル数)の関係を満たすように、ハロゲンを封入
することが好ましい。
【0066】ただし、1価のハロゲン化物を生成するア
ルカリ金属(Li、Na、Kなど)と比較して、2価や
3価のハロゲン化物を生成する金属元素(Feなど)
は、実際には多数のハロゲンと同時に結合する必要があ
るため、たとえそれらのハロゲン化物を生成する化学反
応の平衡定数Kiが、タングステンとハロゲンとの化学
反応の平衡定数Kwよりも大きくても、2価や3価のハ
ロゲン化物を生成する反応は、1価のハロゲン化物を生
成する反応と比べて起こりにくいことが実験的に確認さ
れている。したがって、単に、各種の金属元素の合計モ
ル数(Σ(mi))と蒸発タングステンのモル数)との
和を超えるモル数のハロゲンを封入するようにしてもよ
い。
【0067】また、1価のハロゲン化物を生成する金属
元素(例えば、Li、Na、Kなどのアルカリ金属)
は、ハロゲンと反応する場合、たった1個のハロゲンと
反応して1価の安定なハロゲン化物を形成する。このた
め、1価のハロゲン化物を生成する金属元素は、他の金
属元素と比較して非常にハロゲンと結合しやすく、蒸発
したタングステンとハロゲンとの反応を最も阻害しすい
金属である。したがって、1価のハロゲン化物を生成す
る金属元素の合計モル数と蒸発タングステンのモル数と
の和よりも多くのモル数のハロゲンを発光管10に封止
する構成にすれば、実質的には、ランプ動作中に電極1
2から蒸発したタングステンとハロゲンとを確実に結合
させることができるため、発光管10内壁にタングステ
ンが付着することを防止することができる。
【0068】具体的には、発光管10内に存在するナト
リウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、
セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)などのアルカリ
金属、より好ましくは、これらのアルカリ金属に加え
て、インジウム(In)、タリウム(Tl)、ガリウム
(Ga)、銀(Ag)などの一価のハロゲン化物を生成
する金属元素の合計モル数と、蒸発タングステンのモル
数との和よりも多くのモル数のハロゲンを発光管10に
封止する構成にすればよい。
【0069】なお、動作中のタングステン電極の最高温
度(先端部)は、通常、約3000℃〜約3400℃で
あり、この温度に対するタングステンの飽和蒸気圧は、
おおよそ10-3Pa〜1Pa程度であるため、電極12
から蒸発して発光管10内に漂うタングステンの予想モ
ル数は、極めて微量であると推定される。したがって、
ハロゲンや金属元素の量に対して、蒸発して発光管10
内に存在しているタングステンの量(蒸発タングステン
のモル数)は、無視できる場合が多いと考えられる。
【0070】再び図1を参照する。本実施形態の放電ラ
ンプ100では、発光管10内に封入されるハロゲンの
モル数が、発光管10内に存在する金属元素(ただし、
タングステン元素および水銀元素を除く)の合計モル数
と、蒸発タングステンのモル数との和よりも多くなるよ
うに構成するために、発光管10内に存在する金属元素
を極力少なくしている。具体的には、従来の高圧放電ラ
ンプ1000の構成と比較して、本実施形態の放電ラン
プ100では、発光管10を構成する石英ガラスに含ま
れる不純物、および電極12に含まれる不純物とを極め
て少なくしている。
【0071】下記表1に、本実施形態の高圧放電ランプ
100の石英ガラスに含まれる不純物量(ppm)と、
従来の高圧放電ランプ1000の石英ガラスに含まれる
不純物量(ppm)との比較を示す。下記表2は、両者
のタングステン電極に含まれる不純物量(ppm)の比
較を示している。なお、表中の不純物量(ppm)は、
重量百万分率(重量ppm)を示している。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】 上記表1および表2から、石英ガラスおよびタングステ
ン電極の両者とも、従来の高圧放電ランプ1000より
も本実施形態の高圧放電ランプ100の方が不純物量が
少ないことがわかる。さらに、下記表3〜表6におい
て、本実施形態の高圧放電ランプ100および従来の高
圧放電ランプ1000における石英ガラスとタングステ
ン電極とのそれぞれに含まれる不純物量(ppm)を示
すための別の金属含有量(含有率)分析結果を示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】 上記表3〜表6からもわかるように、石英ガラスおよび
タングステン電極の両者とも、従来の高圧放電ランプ1
000よりも本実施形態の高圧放電ランプ100の方が
不純物量を少なくするように構成されている。
【0078】発光管内の不純物(例えばアルカリ金属)
の量を出来るだけ低下させた本実施形態のランプ100
では、定格電力150W(管壁負荷約85W/cm2
相当する)という高い電力で点灯したにもかかわらず、
驚くべきことに、5000時間から8000時間という
極めて長い間において管壁黒化が生じない。ランプ10
0の石英ガラスおよびタングステン電極に含まれる不純
物の量を従来のランプ1000のレベルにした場合に
は、定格電力150Wの条件で点灯すると、たった1時
間点灯しただけでも、管壁黒化が生じる。本実施形態の
ランプ100は、極めて長い間において管壁黒化が生じ
ないために、おおよそ8000時間を超えても、実質上
何ら変化を示さずに、そして従来技術では到底達成する
ことができなかった非常に長い寿命を有する。
【0079】本実施形態のランプ100では、従来のラ
ンプ1000よりも不純物の量が少ない石英ガラスおよ
びタングステン電極から構成されており、それによっ
て、発光管10内に封入される臭素(Br)のモル数
が、発光管10内に存在する不純物(例えば、アルカリ
金属)の合計モル数と、電極12から蒸発したタングス
テンのモル数との和よりも多くなるようにされている。
その結果、電極12から蒸発したタングステンを再び電
極12に戻すハロゲン輸送サイクルを担っている臭素B
rが、ランプ動作中において石英ガラスやタングステン
電極から放出される不純物と結合する機会が少なくなる
ため、管壁黒化が長時間生じない。
【0080】一方、従来のランプ1000では、発光管
内においてタングステン以外にも臭素Brと結合してし
まう金属元素が過剰にあるので、この金属元素によって
タングステンと臭素Brとが結合する機会が奪われしま
う。したがって、蒸発したタングステン全てがハロゲン
輸送サイクルによって電極に戻されないため、管壁に付
着するタングステンが生じてしまう。その結果、比較的
短時間で管壁黒化が生じることになる。
【0081】臭素(ハロゲン)と結合してしまう不純物
としては、特に、ナトリウム(Na)、カリウム
(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、クロ
ム(Cr)、鉄(Fe)、およびニッケル(Ni)が疑
われる。その理由は、黒化を生じるランプ(従来のラン
プ1000)から、ナトリウム(Na)、カリウム
(K)、およびリチウム(Li)の相対的に強い発光が
しばしば観察されるからであり(後述の図4参照)、そ
して、黒くなった発光管の付着物として、カルシウム
(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、またはニッケ
ル(Ni)が検出されるからである。図3(a)から
(c)に本実施形態のランプ100の発光スペクトル
(放射強度)を示し、図4(a)から(c)に従来のラ
ンプ1000の発光スペクトル(放射強度)を示す。図
3および図4から、ランプ100では、ナトリウム(N
a)、リチウム(Li)、カリウム(K)の発光は実質
的に観察されないのに対し、従来のランプ1000で
は、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム
(K)の相対的に強い発光が観察されることがわかる。
【0082】したがって、本実施形態のランプ100
は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム
(Li)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄
(Fe)、およびニッケル(Ni)の量が、所定レベル
以下の石英ガラスとタングステン電極から構成されてい
ると言い換えることも可能である。
【0083】具体的には、発光管10(および封止部2
0)を構成する石英ガラス中のナトリウム(Na)、カ
リウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(C
a)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、およびニッケル
(Ni)の合計量は、例えば、従来のランプ1000の
石英ガラスに含まれる不純物レベル以下(表1および表
5参照)であること、つまり約2ppm以下である。さ
らに具体的に述べると、石英ガラス中のクロム(C
a)、鉄(Fe)、およびニッケル(Ni)の含有量
(含有率)は典型的に低レベルであるので、本実施形態
のランプ100は、発光管10を構成する石英ガラス中
のナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(L
i)、カルシウム(Ca)の合計量が約2ppm以下と
なるように構成されていればよい。
【0084】また、タングステンからなる電極12に含
まれるナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム
(Li)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄
(Fe)、およびニッケル(Ni)の合計量は、例え
ば、従来のランプ1000のタングステンのレベル以下
(表2および表6参照)であること、つまり約15pp
m以下である。
【0085】なお、本実施形態のランプ100において
は、発光管10(および封止部20)を構成する石英ガ
ラス中のナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウ
ム(Li)の合計量は約2ppm(この値は、従来のラ
ンプ1000の石英ガラス中の(Na)、カリウム
(K)、リチウム(Li)の合計量に相当)以下である
ことが好ましく、約1ppm以下であることがさらに好
ましい。その理由は、ナトリウム(Na)、カリウム
(K)、リチウム(Li)は可視波長域に発光スペクト
ルを有するので(図4参照)、これらの不純物(アルカ
リ金属)は、ハロゲンと結合してタングステンのハロゲ
ン輸送サイクルを不完全にするだけでなく、ランプの光
色に悪い影響を与えるからである。
【0086】さらに詳しく述べると、例えば、ナトリウ
ム(Na)は、波長589nm付近に発光を有するため
に、光色を黄ばんだものとしてしまう。さらに、不運な
ことに、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウ
ム(Li)は、図4(a)〜(c)にも示したように、
ほんの数ppm程度の量だけ石英ガラス中に含まれてい
ても、励起エネルギーレベルが2〜3eVと低いため
に、比較的強く発光してしまう。ナトリウム(Na)、
カリウム(K)、リチウム(Li)を約1ppm以下の
レベルにまで少なくすると、比較的発光も弱くすること
ができ、光色にほとんど影響を及ぼさないようにするこ
とができる(図3参照)。
【0087】石英ガラスについての説明と同様の理由に
よって、本実施形態のランプ100においては、電極1
2を構成するタングステンに含まれるナトリウム(N
a)、カリウム(K)、リチウム(Li)の合計は約5
ppm以下であることが好ましく、約1ppm以下であ
ることがより好ましい。
【0088】また、本実施形態のランプ100において
は、電極12を構成するタングステンに含まれるクロム
(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)の合計量は
約10ppm以下であることが好ましく、約3ppm以
下であることがより好ましい。その理由は、クロム(C
r)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のハロゲン化
物は非常に蒸発しにくいので、仮にそれらがランプの動
作中に発光管10内に染み出てきて臭素(ハロゲン)と
結合すると、直ちに管壁に付着した状態となり、なおか
つ2度と蒸発しないからである。すなわち、クロム(C
r)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)の染み出し
は、直ちに管壁黒化を生じ、極めて短い時間でランプを
寿命に至らしめるからである。この観点から、クロム
(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)の許容さ
れるべき上限値は、可能な限り小さい方が好ましい。た
だし、実用的観点の範囲においては、おおよそ3ppm
程度が上限値として十分であることを本願発明者は実験
的に確認している。
【0089】実用的な観点から3ppm程度の上限値で
十分である理由は、次のようである。数百ワットまでの
高圧放電ランプの電極12の重量は、おおよそ数十ミリ
グラムから百数十ミリグラムのオーダーであるから、ク
ロム(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)の合
計量が約3ppmの場合、その総モル数は、おおよそ1
-4から10-3μmolのオーダーとなる。この値は、
封入しているハロゲン臭素(Br)の総モル数(約3×
10-2μmol)よりも一桁以上も十分に少ない量であ
るため、実用的な観点から3ppm程度の上限値で十分
といえることになる。
【0090】このことに関連して、本実施形態のランプ
100においては、発光管10内に封入される臭素(B
r)の量は、電極12に含まれるナトリウム(Na)、
カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(C
a)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(N
i)の総モル数の10倍以上であることが好ましい。当
該総モル数の10倍以上の量の臭素が封入されている
と、それらの不純物が電極12から染み出して臭素(B
r)と結合しても、タングステンを電極12に戻すのに
充分な量の臭素(Br)が発光管10内に絶えず存在し
ていることになるからである。
【0091】ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リ
チウム(Li)、カルシウム(Ca)などの不純物は石
英ガラス中にも含まれているが、ランプ動作中の温度
は、石英ガラスよりもタングステン電極12の方がずっ
と高いので、石英ガラスおよびタングステン電極12の
それぞれからの不純物の放出は、タングステン電極12
からの方が支配的となる。このため、発光管10内に封
入される臭素(Br)の量は、電極12に含まれるナト
リウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、
カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およ
びニッケル(Ni)の総モル数を上述したように考慮し
て封入すれば十分である。
【0092】さらに、本実施形態のランプ100におい
ては、発光管10内に封入される臭素(Br)の量は、
電極12と石英ガラスに含まれるナトリウム(Na)、
カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(C
a)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(N
i)の合計モル数だけではなく、ナトリウム(Na)、
カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(C
a)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびニッケル(N
i)に代表される金属元素(すなわち、臭素と結合可能
で、タングステンと臭素の結合をじゃまする金属元素)
であって、発光管10内の存在する水銀以外の金属元素
の合計モル数よりも多いことが好ましい。
【0093】さらに、その合計モル数と、動作中にタン
グステン電極12から蒸発して発光管1内に漂うタング
ステンのモル数(ランプ動作中の電極12の最高温度は
典型的に約3000℃から約3400℃であり、この温
度に対するタングステンの飽和蒸気圧は、おおよそ10
-3Pa〜10-1Paである。したがって、発光管10内
に存在するタングステンのモル数は10-9マイクロモル
〜10-6マイクロモルであって、典型的には、電極12
や石英ガラスに含まれる不純物よりも非常に少ない量で
ある。)との総和よりも、臭素(Br)のモル数が多い
ことがより好ましく、10倍ないし100倍以上多いこ
とがさらに好ましい。
【0094】このような量の臭素を発光管10内に封入
することによって、電極12から蒸発したタングステン
と結合可能な臭素を絶えず確保することが可能となり、
それゆえ、電極12から蒸発したタングステンは、いつ
でも容易に臭素と結合することができる。10倍ないし
100倍以上の臭素量を封入した場合、ランプ動作中に
いくらかの割合で起こる電極やガラスの吸着によって臭
素量が減少したとしても、その減少量は、実質的にタン
グステンと結合可能な臭素量に対して無視することがで
きる。このことは、完全なハロゲン輸送サイクルが保証
され、非常に長い時間のあいだ実質的に発光管10の黒
化を予防できることを意味している。
【0095】ただし、臭素(Br)が逆にあまりに多量
に存在する場合、ランプの放電開始電圧が上昇しランプ
の点灯が困難になる。その理由を次に述べる。臭素など
のハロゲン元素は、電気陰性度が大きいために電気を捕
獲しやすく、そのため、Brが多量に存在すると、電極
の間隙(間隙の気体)を絶縁破壊させて放電を起こす。
それゆえ、ランプを点灯させる際に電極間での「電子な
だれ」が起きにくくなり、ランプが点灯しにくくなる。
本実施形態では、臭素封入量は約100μmol/cc
以下にしている。なお、これを超えるBr量ではランプ
を点灯させるためには、20kV以上の高圧パルスをラ
ンプに印加させればよい。20kVを超える電圧をTV
などの民間用電子機器などで使用する場合には、安全
上、絶縁距離を長くしたり、さらに、その高電圧発生部
に特殊な絶縁カバーやシートを貼るなどの処理をとるこ
とが好ましい。
【0096】また、本実施形態のランプ100の構成に
おいて、石英ガラスに含まれるアルミニウム(Al)量
を例えば約10ppm以下、好ましくは約5ppm以下
とすると、発光管10の失透が抑制されるという別の効
果が得られる。この範囲のアルミニウム(Al)の量に
すると、ランプ動作中の高い温度によって起こる酸化ア
ルミニウム(Al23)の生成を非常に少なくすること
ができ、その結果、透明な発光管10を保持することが
できる。酸化アルミニウムの生成は、ガラス強度を低下
させるので、石英ガラスに含まれるアルミニウム(A
l)量を例えば約10ppm以下、好ましくは約5pp
m以下にすることによって、寿命中のランプの破裂確率
を大幅に低減させることができるという別の効果も得ら
れる。同様の理由によって、石英ガラスに含まれるOH
基(水酸基)の量は約5ppm以下にすることが好まし
い。
【0097】また、本願発明者は、高圧放電ランプの発
光管10内に含まれている水素(H)の含有量(含有
率)が少ないほど、発光管10の黒化が起こりにくいこ
とを実験的に見出した。発光管内の水素含有量(体積
%)と黒化と関係を下記表7に示す。黒化の判定は、ラ
ンプを1時間点灯した後、ランプを目視観察して行っ
た。表中「○」は黒化なしを表し、「×」は黒化したこ
とを表している。
【0098】
【表7】 表7から、発光管内の水素含有量(体積%)がある値以
上になると、黒化がおこることが理解できる。したがっ
て、黒化防止の観点から、発光管内に含まれている水素
の含有量が0.15体積%以下であることが黒化防止の
観点から好ましい。表7は、石英ガラスおよびタングス
テン電極12の両者とも不純物が少ないものから構成し
たランプ100の場合の結果を示しているが、従来の不
純物レベルの石英ガラスおよびタングステン電極12か
ら構成したランプの場合でも、同様の傾向を示す結果と
なった。このように水素含有量が少ないランプが黒化を
起こさない正確な理由は不明であるが、HBr(臭化水
素)に代表されるように、HとBrとの安定な化合物が
存在することから推測すると、NaやLiなどの金属元
素と同様にH2(気体元素)もBrと結合しやすい性質
があり、WとBrとの反応を阻害する物質であると考え
られる。
【0099】さらに、本願発明者は、高圧放電ランプの
発光管10における残留歪みを所定の値以下にすれば、
ランプ寿命を延ばすことができることも見出した。図5
は、ランプ100の発光管10周囲を拡大した構成を示
している。なお、図5では、電極12の先端部分にコイ
ル14が巻かれた構成を示している。
【0100】図5に示した残留歪みが少ない発光管10
においては、発光管10の外面10aにおける引っ張り
応力が約100psi以下しかなく、発光管10の内面
10bにおける圧縮応力が約100psi以下しかな
い。一方、残留歪みの多い従来のランプ1000におい
ては、発光管10の外面10aにおける引っ張り応力
は、700〜2300psiであり(2300psi=
156.5atm)、発光管10の内面10bにおける
圧縮応力は、700〜2300psiである。なお、外
面10aにおいて引っ張り応力が加わり、内面10bに
おいて圧縮応力が加わるのは、発光管10の成形方法に
よるものである。すなわち、発光管10の成形は、典型
的に、ガラス管を加熱軟化させた状態で管内を加圧にし
ながらガラス管を型に押し当て、そして膨らませること
によって行われるため、型に接触するガラス管の外側
(外面)の温度がまず低下することになり、その結果、
外面10aに引っ張り応力が加わり、内面10bに圧縮
応力が加わることなる。
【0101】本実施形態における残留歪みが少ない発光
管10のランプ特性(ランプ寿命)を下記表8に示し、
従来の残留歪みが多い発光管のランプ特性(ランプ寿
命)を下記表9に示す。このランプ特性の試験結果は、
15分間点灯と15分間消灯とを1サイクルとした点灯
消灯を繰り返し、何サイクルでランプが破裂などにより
点灯しなくなるかを調べた結果である。
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】 表8から、本実施形態の残留歪みが少ない発光管のラン
プでは、ランプNo.1〜No.10まで全て1500
サイクルまで正常に点灯し、このランプの特性が優れて
いることがわかる。一方、表9から、従来の残留歪みが
多い発光管のランプでは、多くのランプがわずか数サイ
クルで破裂し、多くても15サイクルでランプの破裂が
起こって、不点灯となっていることがわかる。すなわ
ち、1500サイクルまで正常に点灯するものは従来の
ランプでは一つもなく、本実施形態の残留歪みが少ない
発光管のランプが、従来のランプよりもランプ特性にお
いて極めて優れていることが理解できる。
【0104】図6は、本実施形態におけるランプの寿命
特性を示しており、図6中の線A〜Cは、本実施形態の
ランプを反射鏡に組み込んだ構成におけるスクリーンの
明るさの維持率(%)を示している。図6中の線Aは、
高純度石英ガラス(不純物が少ない石英ガラス)と高純
度タングステン電極(不純物が少ないタングステン電
極)とから構成したランプの場合を示しており、線B
は、従来の石英ガラス(不純物が従来レベルの石英ガラ
ス)と高純度タングステン電極(不純物が少ないタング
ステン電極)とから構成したランプの場合を示してお
り、そして、線Cは、高純度石英ガラス(不純物が少な
い石英ガラス)と従来のタングステン電極(不純物が従
来レベルのタングステン電極)とから構成したランプの
場合を示している。なお、線Dは、従来の石英ガラス
(不純物が従来レベルの石英ガラス)と従来のタングス
テン電極(不純物が従来レベルのタングステン電極)と
から構成したランプの場合を示す比較例である。線Aか
ら線Dの場合のいずれについても、発光管内の水素含有
量が少なく、発光管の残留歪みが少ないランプが使用さ
れている。
【0105】図6から、本実施形態のランプ(線Aから
線C)は、点灯時間が長くなっても、いずれも高い明る
さの維持率(%)を示し、本実施形態のランプの寿命特
性が優れていることがわかる。本実施形態のランプ(線
Aから線C)はいずれも、点灯時間が4000時間の時
点でも、80%以上の明るさの維持率を確保しており、
線Aについてのランプでは、5000時間の時点でも、
点灯開始時と同じ明るさの維持率を実質的に確保してい
る。一方、比較例のランプ(線D)では、点灯開始から
比較的早い時間に明るさの維持率が低下し、そして20
00時間の時点でほぼ50%程度の明るさの維持率にま
で低下している。比較例と比べると、本実施形態のラン
プ(線Aから線C)の寿命特性が非常に優れていること
がはっきりと理解できる。 (実施形態2)図7から図9を参照しながら、本発明に
よる実施形態2の説明をする。本実施形態では、従来技
術と比較して、発光管における残留歪みを低下させた高
圧放電ランプの製造方法を説明する。
【0106】本実施形態における高圧放電ランプの製造
方法は、高圧放電ランプの形状を完成させてランプ形状
完成体を得た後、ランプ形状完成体の残留歪みを除去す
る工程を包含している。残留歪みを除去する工程は、熱
処理工程(アニーリング)であり、既知のランプ製作工
程にしたがって得られたランプ形状完成体を得た後、こ
のランプ形状完成体に対して実行される。
【0107】従来における高圧放電ランプの製造方法で
は、ランプ製作工程によってランプ形状完成体を得た
後、このランプ形状完成体を高圧放電ランプとして提供
しているため、ランプ形状完成体に対しては特別な熱処
理は行われていない。その理由は、ランプ形状完成体に
対して更なる工程を追加すると、高圧放電ランプ製造の
スループットが低下するため、ランプの製造効率が低下
するからである。しかし、上述したように、残留歪みが
少ない発光管を有する高圧放電ランプのランプ特性(ラ
ンプ寿命)が優れていることを本願発明者が見出したこ
とより、この優れたランプ特性を有する高圧放電ランプ
を得るために、ランプ形状完成体に対してあえて熱処理
工程を追加して、高圧放電ランプを得る高圧放電ランプ
の製造方法を実現した。
【0108】図7を参照しながら、本実施形態における
高圧放電ランプの製造方法を例示する。図7は、本実施
形態の製造方法を説明するためのフローチャートであ
る。
【0109】まず、高圧放電ランプを製造するための石
英ガラス管を用意する(S100)。上記実施形態1で
説明した低不純物の発光管を有するランプ100を製造
する場合には、高純度の石英ガラスからなるガラス管を
用意する。
【0110】次に、公知のランプ製作工程を実行して、
ランプ形状完成体を得る(S200)。具体的には、図
8に示すようにすればよい。まず、図8(a)に示すよ
うに、発光管部10と側管部22とを有する放電ランプ
用ガラス管50内に、電極12と外部リード30とを有
する金属箔(Mo箔)24を挿入する(電極挿入工程S
210)。次に、図8(b)に示すように、ガラス管
(ガラスパイプ)50内を減圧状態(例えば、1気圧以
下)にした上で、バーナー54でガラス管50の側管部
22を加熱し軟化させることによって、側管部22と金
属箔24との両者を密着させ、それによって封止部20
を形成する(封止部形成工程S220)。その後、発光
管部10内に希ガスとハロゲンと水銀とを封入し、次い
で、電極挿入工程S210と封止部形成工程S220と
を他方の側管部22に対しても実行して、一対の封止部
20によって発光管10を密閉すると、図8(c)に示
すように、ランプ形状完成体90が得られる。
【0111】得られたランプ形状完成体90に対して、
残留歪み除去工程S300を施すと、残留歪みが除去さ
れた高圧放電ランプが得られる。残留歪み除去工程S3
00は、例えば、次のようにして実行される。
【0112】まず、ランプ製作工程S200で得られた
ランプ形状完成体90を、ガラスの軟化点温度(150
0℃〜1670℃程度)よりも低い温度の高温条件下、
好ましくは、温度1000℃〜1100℃程度の高温条
件下の炉に入れる。炉内は、例えば、不活性気体(A
r、N2)雰囲気、大気雰囲気、または真空雰囲気にさ
れている。この条件の下でランプ形状完成体90を例え
ば1時間以上(場合によっては、1時間以内でも可能)
保持し、その後、例えば一晩かけて室温までさげると、
ランプ形状完成体90全体の残留歪みが除去されて、ラ
ンプ寿命特性に優れた高圧放電ランプが得られる。
【0113】なお、1100℃よりも高い温度条件の場
合、より短い高温保持時間(例えば、除冷点にあたる温
度1215℃ではわずか15分)で残留歪みが解消され
る。ただし、1100℃よりも高い温度(場合によって
は1150℃よりも高い温度)では、発光管10の内部
は蒸発した水銀蒸気によって比較的高圧になっているの
で、熱処理中に炉内でランプが破裂したり、またはガラ
スの結晶化が進行して白く失透する可能性が高くなる。
また、1000℃未満の温度では歪みの解消に長い時間
を有することになる。
【0114】また、本願発明者は、残留歪み除去工程S
300において、ランプ形状完成体90を高温条件下で
保持する時間を100時間以上にすると、驚くべきこと
に、発光管10内に含まれる水素量を低減できることを
見出した。上述したように、発光管内の水素量を低減す
ると優れたランプ特性を有する高圧放電ランプを提供で
きる。しかし、水素(H)は、石英ガラス中や雰囲気な
どのあらゆるところに存在しているため、水素を効果的
に低減することは難しい。本願発明者は、ランプ形状完
成体90を高温条件下で保持する時間を100時間以上
(例えば、100時間から200時間程度)にすること
によって発光管10内の水素量を低減することを実現し
た。
【0115】図9に、残留歪み除去工程S300におけ
る熱処理時間(時間)と水素量(任意目盛り)との関係
を示す。水素量の測定誤差もあるために熱処理時間と水
素量との関係を明確に説明することは難しいが、本願発
明者の測定結果によれば、100時間以上(例えば、2
00時間)の処理時間において、水素が検出されなくな
ることが示された。図9に示した測定結果は、温度10
80℃で真空雰囲気中のデータであるが、大気中やAr
中でも同様な測定結果が得られた。 (実施形態3)上記実施形態1の高圧放電ランプ100
は、反射鏡と組み合わせランプユニットにすることがで
きる。図10は、上記実施形態1のランプ100を備え
たランプユニット500の断面を模式的に示している。
【0116】ランプユニット500は、略球形の発光部
10と一対の封止部20とを有する放電ランプ100
と、放電ランプ100から発せられた光を反射する反射
鏡60とを備えている。
【0117】反射鏡60は、例えば、平行光束、所定の
微小領域に収束する集光光束、または、所定の微小領域
から発散したのと同等の発散光束になるように放電ラン
プ100からの放射光を反射するように構成されてい
る。反射鏡60としては、例えば、放物面鏡や楕円面鏡
を用いることができる。
【0118】本実施形態では、ランプ100の一方の封
止部20に口金55が取り付けられており、封止部20
から延びた外部リードと口金とは電気的に接続されてい
る。口金55が取り付けられた側の封止部20と反射鏡
60とは、例えば無機系接着剤(例えばセメントなど)
で固着されて一体化されている。反射鏡60の前面開口
部側に位置する封止部20の外部リード30には、リー
ド線65が電気的に接続されており、リード線65は、
外部リード30から、反射鏡60のリード線用開口部6
2を通して反射鏡60の外にまで延ばされている。反射
鏡60の前面開口部には、例えば前面ガラスを取り付け
ることができる。
【0119】このようなランプユニットは、例えば、プ
ロジェクションテレビ用の光源、または、液晶プロジェ
クタやDMDを用いたプロジェクタ用の光源として使用
することができる。上記実施形態の高圧放電ランプおよ
びランプユニットは、これらの用途の他に、一般照明、
紫外線ステッパ用光源、または競技スタジアム用光源や
自動車のヘッドライト用光源などとしても使用すること
ができる。 (他の実施形態)上記実施形態では、150mg/cc
の水銀を封入した場合を例にして説明したが、この水銀
量に限定されず、この水銀量よりも多くても少なくても
よい。すなわち、上記実施形態では、水銀蒸気圧が20
MPa程度の場合(いわゆる超高圧水銀ランプの場合)
について説明したが、水銀蒸気圧が1MPa程度の高圧
水銀ランプについても適応可能である。また、一対の電
極12間の間隔(アーク長)は、ショートアーク型であ
ってもよいし、それより長い間隔であってもよい。上記
実施形態の高圧放電ランプは、交流点灯型および直流点
灯型のいずれの点灯方式でも使用可能である。
【0120】また、水銀の代わりに、あるいは水銀とと
もに、金属ハロゲン化物を封入してもよい。すなわち、
上記実施形態では、発光物質として水銀を使用する水銀
ランプを高圧放電ランプの一例として説明したが、金属
ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプなどの高
圧放電ランプにも適用することができる。ただし、上記
実施形態の高圧放電ランプの構成では、水銀封入量は約
200mg/cc以下とすることが好ましい。その理由
は、これ以上の水銀封入量では、動作中の発光管10内
の圧力が高くなりすぎて、封止部20のモリブデン箔2
4の部分で気密が保持できなくなり、ランプが破損して
しまう確率が高くなるためである。なお、気密を保持す
ることが可能であれば、水銀封入量を約200mg/c
cよりも大きくしてもよい。水銀封入量が200mg/
ccを超える場合、発光管10内の気体の熱伝導性が高
くなる。そのため、放電プラズマの熱が電極12や発光
管10(石英ガラス)に伝わりやすくなり、より高温状
態となって、ガラスや電極からの不純物のしみ出しが激
しくなる。それゆえ、このような200mg/ccを超
える水銀を封入する場合、高純度の材料から構成した上
記実施形態のランプ100はより強い効果を発揮する。
【0121】また、上記実施形態では、管壁負荷が約8
0W/cm2の場合を例にして説明したが、管壁負荷は
これに限定されない。小さくても良いし、逆に、これよ
りも高い負荷であってもよい。より高い負荷の場合、よ
り高い温度状態で動作することから、ガラスや電極から
の不純物のしみ出しが激しくなるので、高純度の材料か
ら構成した上記実施形態のランプ100はより強い効果
を発揮する。ただし、上記実施形態の高圧放電ランプの
構成では、管壁負荷はおおよそ100W/cm 2以下と
することが好ましい。その理由は、これを超える負荷で
は、発光管10の温度が高くなりすぎて、熱による変形
や劣化という問題が生じるからである。この場合におい
て、発光管10を冷却する別の手段を付加して当該問題
を回避できるならば、管壁負荷を100W/cm2より
も大きくしてもよい。
【0122】さらに、上記実施形態では、定格電力15
0Wの場合を例にして説明したが、定格電力はこれに限
定されず、150W以上でもよいし、150W以下でも
よい。ただし、上記実施形態の高圧放電ランプの構成
は、50W以上の比較的大きな電力のランプに特に適し
ている。大きな電力のランプは、より高い温度状態で動
作することから、ガラスや電極からの不純物の染み出し
が激しいので、高純度の材料から構成した上記実施形態
のランプ100は、このような状態での動作においてよ
り強い効果を発揮するからである。
【0123】なお、上記実施形態の高圧放電ランプは、
ハロゲンとして臭素(Br)を封入したランプを例にし
て説明したが、ハロゲンは塩素(Cl)であってもよい
し、沃素(I)であってもよい。
【0124】また、上記実施形態では、発光管内に対向
に配置された一対の電極間で放電によって放射されるい
わゆる放電ランプを例にして説明したが、放電ランプだ
けでなく、図11および12に示すような電球にも適用
することが可能である。
【0125】図11は、上記実施形態の高圧放電ランプ
100の構成において、一対のタングステン電極12の
間がタングステンのコイル16で結ばれた電球200の
構成を模式的に示している。電球200は、一対の電極
12間がタングステンコイル15で結ばれていること、
および発光管(バルブ)10内に水銀が封入されていな
いことを除くと、上記実施形態1のランプ100の構成
と実質的に同じである。タングステンコイル16は、不
純物が少ない高純度タングステンからなり、好ましくは
石英ガラスも高純度石英ガラスからなる。このように構
成された電球200は、上記実施形態のランプ100と
同様に、非常に寿命の長い電球となる。勿論、発光管1
0の残留歪みを小さくすれば、ランプの破裂が少なくな
るため、より好ましい。
【0126】また、寿命の長い電球の別の例を図12に
示す。図12は、一般の家庭に使われる白熱電球によく
似た構成の電球(ランプ)300を模式的に示してい
る。電球300は、タングステンフィラメント16に上
述の高純度タングステンを使用し、バルブ10内に封入
されるガスとしてハロゲンとアルゴン(Ar)やキセノ
ン(Xe)を使用することを除くと、その他の構成は、
よく知られた白熱電球の構成と同様である。アンカ17
や内部導入線19a、封繊部導入線19bや外部導入線
19cを高純度のタングステンに置き換えた構成にして
も勿論構わない。
【0127】以上、本発明の好ましい例について説明し
たが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の
変形が可能である。
【0128】
【発明の効果】本発明によれば、ハロゲンのモル数が、
発光管内に存在する金属元素(ただし、タングステン元
素および水銀元素を除く)の合計モル数と、ランプ動作
中において電極から蒸発して発光管内に存在するタング
ステンのモル数との和よりも多いため、発光管の黒化を
防止することができ、その結果、長寿命の高圧放電ラン
プを提供することができる。発光管の管壁負荷が例えば
80W/cm2以上である場合でも、発光管の黒化を防
止することができるため、従来技術では早期にランプ寿
命がきてしまうような高出力条件で使用しても、長寿命
(例えば、5000時間から10000時間以上)の高
圧放電ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態にかかる高圧放電ランプ
100の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】各種の金属元素とハロゲンとの化学反応の自由
エネルギー変化(ΔG)と温度(K)との関係を示すグ
ラフである。
【図3】(a)から(c)は、ランプ100の発光スペ
クトル(放射強度)を示すグラフである。
【図4】(a)から(c)は、従来のランプ1000の
発光スペクトル(放射強度)を示すグラフである。
【図5】発光管10周囲を拡大した図である。
【図6】本発明による実施形態におけるランプの寿命特
性を示すグラフである。
【図7】本発明による実施形態の製造方法を説明するた
めのフローチャートである。
【図8】ランプ製作工程を説明するための工程断面図で
ある。
【図9】熱処理時間(時間)と水素量(任意目盛り)と
の関係を示すグラフである。
【図10】ランプユニット500の構成を模式的に示す
断面図である。
【図11】電球200の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【図12】電球300の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【図13】従来の高圧放電ランプ1000の構成を模式
的に示す断面図である。
【図14】(a)および(b)は、ランプ点灯時の発光
管を模式的に拡大して示す図である。
【符号の説明】
10 発光管 12 電極(W電極) 14 コイル 16 タングステンコイル 18 水銀(発光物質) 20 封止部 24 金属箔(Mo箔) 30 外部リード 50 放電ランプ用ガラス管 54 バーナー 55 口金 60 反射鏡 62 リード線用開口部 65 リード線 100 高圧放電ランプ 112 W電極 118 水銀(発光物質) 120 封止部 124 Mo箔 130 外部リード 200、300 電球 500 ランプユニット 1000 高圧放電ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01K 1/50 H01K 1/50 (72)発明者 竹田 守 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 一番ヶ瀬 剛 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 関 智行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 北原 良樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 森 俊雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 竹内 泰郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C012 FF01 FF06 5C015 JJ08 PP06 PP07 TT09 5C039 HH02 5C043 AA03 AA06 AA14 CC01 CC11 CD01 DD03 EA19

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが
    封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記ハロゲンのモル数は、前記ハロゲンと結合する性質
    を有する金属元素であって前記発光管内に存在する金属
    元素(ただし、タングステン元素および水銀元素を除
    く)の合計モル数と、ランプ動作中において前記電極か
    ら蒸発して前記発光管内に存在する前記タングステンの
    モル数との和よりも多い、高圧放電ランプ。
  2. 【請求項2】 前記金属元素(ただし、タングステン元
    素および水銀元素を除く)の各種類をMiとしたときの
    前記金属元素Miのモル数をmiとし、前記金属元素M
    iの化学量論係数をniとした場合において、前記金属
    元素Miの前記モル数miに前記化学量論係数niを乗
    じた数を前記金属元素Miの各種類について足し合わし
    た合計数(Σ(mi×ni))と、前記タングステンの
    前記モル数との和よりも、前記ハロゲンの前記モル数が
    多いことを特徴とする、請求項1に記載の高圧放電ラン
    プ。
  3. 【請求項3】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが
    封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記発光管内に封入されたハロゲンをXとしたときの前
    記ハロゲンXのモル数をNとし、前記ハロゲンXと結合
    する性質を有する金属元素であって前記発光管内に存在
    する金属元素の各種類をMiとしたとき、前記金属元素
    Miのモル数をmiとし、前記金属元素Miの化学量論
    係数をniとし、そして、タングステンをWとした場合
    において、下式(I)の化学反応における平衡定数をK
    iとし、 Mi+niX → MiXni 式(I) 下式(II)の化学反応における平衡定数をKwとしたと
    きに、 W+X → WX 式(II) 平衡定数Kw以上の平衡定数Kiを有する金属元素Mi
    のモル数の合計と、ランプ動作中において前記電極から
    蒸発して前記発光管内に存在する前記タングステンWの
    モル数との和よりも、前記発光管内に封入されたハロゲ
    ンXのモル数Nの方が多いことを特徴とする、高圧放電
    ランプ。
  4. 【請求項4】 前記平衡定数Kw以上の前記平衡定数K
    iを有する前記金属元素Miのモル数miに前記化学量
    論係数niを乗じた数を前記金属元素Miの各種類につ
    いて足し合わせた合計数(Σ(mi×ni))と、前記
    タングステンの前記モル数との和よりも、前記ハロゲン
    Xの前記モル数Nが多いことを特徴とする、請求項3に
    記載の高圧放電ランプ。
  5. 【請求項5】 前記金属元素は、ナトリウム(Na)、
    カリウム(K)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、
    鉄(Fe)、およびニッケル(Ni)からなる群から選
    択された少なくとも1種である、請求項1から4に記載
    の高圧放電ランプ。
  6. 【請求項6】 前記発光管内に含まれている水素(H)
    の含有量が0.15体積%以下であることを特徴とす
    る、請求項1から5の何れか一つに記載の高圧放電ラン
    プ。
  7. 【請求項7】 前記発光管の外面における引っ張り応力
    が100psi以下であり、前記発光管の内面における
    圧縮応力が100psi以下である、請求項1から6の
    何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  8. 【請求項8】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンとが
    封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記発光管内に封入されるハロゲンのモル数は、前記発
    光管内に存在するナトリウム(Na)、カリウム
    (K)、およびリチウム(Li)の合計モル数と、ラン
    プ動作中において前記電極から蒸発して前記発光管内に
    存在する前記タングステンのモル数との和よりも多いこ
    とを特徴とする、高圧放電ランプ。
  9. 【請求項9】 前記ハロゲンのモル数は、前記発光管内
    に存在するナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチ
    ウム(Li)、セシウム(Cs)、およびルビジウム
    (Rb)の合計モル数と、前記タングステンのモル数と
    の和よりも多いことを特徴とする、請求項8に記載の高
    圧放電ランプ。
  10. 【請求項10】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンと
    が封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記発光管内に封入されるハロゲンのモル数は、前記発
    光管内に存在する金属元素であって1価のハロゲン化物
    を生成する金属元素の合計モル数と、ランプ動作中にお
    いて前記電極から蒸発して前記発光管内に存在する前記
    タングステンのモル数との和よりも多いことを特徴とす
    る、高圧放電ランプ。
  11. 【請求項11】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンと
    が封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カリウム
    (K)、およびリチウム(Li)の含有量がそれぞれ1
    ppm以下であることを特徴とする、高圧放電ランプ。
  12. 【請求項12】 前記発光管における前記石英ガラスに
    含まれるナトリウム(Na)、カリウム(K)、および
    リチウム(Li)の含有量がそれぞれ1ppm以下であ
    ることを特徴とする、請求項11に記載の高圧放電ラン
    プ。
  13. 【請求項13】 前記発光管内に封入されるハロゲンの
    モル数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カ
    リウム(K)、およびリチウム(Li)の合計モル数よ
    りも多いことを特徴とする、請求項11または12に記
    載の高圧放電ランプ。
  14. 【請求項14】 前記発光管内に封入されるハロゲンの
    モル数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カ
    リウム(K)、およびリチウム(Li)の前記合計モル
    数の5倍以上であることを特徴とする、請求項13に記
    載の高圧放電ランプ。
  15. 【請求項15】 前記電極に含まれるクロム(Cr)、
    鉄(Fe)、およびニッケル(Ni)の含有量が3pp
    m以下であることを特徴とする請求項11から14の何
    れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  16. 【請求項16】 前記発光管内に封入されるハロゲンの
    モル数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カ
    リウム(K)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、鉄
    (Fe)、およびニッケル(Ni)の合計モル数よりも
    多いことを特徴とする、請求項15に記載の高圧放電ラ
    ンプ。
  17. 【請求項17】 前記発光管内に封入されるハロゲンの
    モル数は、前記電極に含まれるナトリウム(Na)、カ
    リウム(K)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、鉄
    (Fe)、およびニッケル(Ni)の前記合計モル数の
    5倍以上であることを特徴とする、請求項16に記載の
    高圧放電ランプ。
  18. 【請求項18】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンと
    が封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、 前記発光管内に配置され、実質的にタングステンからな
    る電極とを備えた高圧放電ランプであって、 前記発光管における前記石英ガラスに含まれるナトリウ
    ム(Na)、カリウム(K)、およびリチウム(Li)
    の含有量がそれぞれ1ppm以下であることを特徴とす
    る、高圧放電ランプ。
  19. 【請求項19】 前記発光管内に含まれている水素
    (H)の含有量が0.15体積%以下であることを特徴
    とする、請求項8から18の何れか一つに記載の高圧放
    電ランプ。
  20. 【請求項20】 前記発光管の外面における引っ張り応
    力が100psi以下であり、前記発光管の内面におけ
    る圧縮応力が100psi以下である、請求項8から1
    9の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  21. 【請求項21】 前記発光管における前記石英ガラスに
    含まれるOH基の含有量が5ppm以下であることを特
    徴とする、請求項1から20の何れか一つに記載の高圧
    放電ランプ。
  22. 【請求項22】 前記発光管における前記石英ガラスに
    含まれるアルミニウム(Al)の含有量が10ppm以
    下であることを特徴とする、請求項1から21の何れか
    一つに記載の高圧放電ランプ。
  23. 【請求項23】 前記発光管内に封入されるハロゲンの
    量は、100μmol/cm3以下であることを特徴と
    する、請求項1から22の何れか一つに記載の高圧放電
    ランプ。
  24. 【請求項24】 前記発光管内に封入されるハロゲン
    は、臭素(Br)またはヨウ素(I)の少なくとも1つ
    である、請求項1から23の何れか一つに記載の高圧放
    電ランプ。
  25. 【請求項25】 前記発光管の管壁負荷が80W/cm
    2以上であることを特徴とする、請求項1から24の何
    れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  26. 【請求項26】 前記発光管内にさらに水銀(Hg)が
    封入されたことを特徴とする、請求項1から25の何れ
    か一つに記載の高圧放電ランプ。
  27. 【請求項27】 前記発光管内に封入される前記水銀
    (Hg)の量は、150mg/cm3から300mg/
    cm3であり、ランプ動作中における水銀蒸気圧は、1
    5MPaから30MPaであることを特徴とする、請求
    項26に記載の高圧放電ランプ。
  28. 【請求項28】 請求項1から27の何れか一つに記載
    の放電ランプと、前記放電ランプから発する光を反射す
    る反射鏡とを備えたランプユニット。
  29. 【請求項29】 管内に少なくとも希ガスとハロゲンと
    が封入され、実質的に石英ガラスからなる発光管と、前
    記発光管内に配置され、実質的にタングステンからなる
    電極とを備えた高圧放電ランプの製造方法であって、高
    圧放電ランプの形状を完成させてランプ形状完成体を得
    た後、前記ランプ形状完成体の残留歪みを除去する工程
    を包含する、高圧放電ランプの製造方法。
  30. 【請求項30】 前記残留歪みを除去する工程は、前記
    ランプ形状完成体を1000℃から1100℃の高温条
    件下で1時間以上保持する工程を包含する、請求項29
    に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  31. 【請求項31】 前記高温条件下で保持する工程は10
    0時間以上行われる、請求項30に記載の高圧放電ラン
    プの製造方法。
  32. 【請求項32】 内部に少なくとも希ガスとハロゲンと
    が封入されたバルブと、 前記バルブ内に配置された一対の内部導入線間を連結
    し、実質的にタングステンからなるフィラメントと を備えた電球であって、 前記ハロゲンのモル数は、前記ハロゲンと結合する性質
    を有する前記バルブ内に存在する金属元素(ただし、タ
    ングステン元素を除く)の合計モル数と、ランプ動作中
    において前記フィラメントから蒸発して前記発光管内に
    存在する前記タングステンのモル数との和よりも多い、
    電球。
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