WO2024142980A1 - 唇用液状化粧料 - Google Patents

唇用液状化粧料

Info

Publication number
WO2024142980A1
WO2024142980A1 PCT/JP2023/044906 JP2023044906W WO2024142980A1 WO 2024142980 A1 WO2024142980 A1 WO 2024142980A1 JP 2023044906 W JP2023044906 W JP 2023044906W WO 2024142980 A1 WO2024142980 A1 WO 2024142980A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
cosmetic
coloring material
dimer
acid ester
wax
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/044906
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
希子 冨田
瑞希 山本
Original Assignee
株式会社 資生堂
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社 資生堂 filed Critical 株式会社 資生堂
Publication of WO2024142980A1 publication Critical patent/WO2024142980A1/ja

Links

Abstract

本発明は、耐移り性(二次付着レス効果)を更に向上させた唇用液状化粧料を提供することを課題とする。本発明は、(A)(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体、及び(a2)ダイマー酸エステルから選択される少なくとも1種;(B)25℃で(A)と混合したときに分離する不揮発性炭化水素油;(C)デキストリン脂肪酸エステル及びワックスから選択されるゲル化剤;及び(D)色材を含有することを特徴とする唇用液状化粧料に関する。(D)色材は、アミノ酸または金属石鹸で表面処理した色材とするのが好ましい。

Description

唇用液状化粧料
 本発明は唇用液状化粧料に関する。より詳細には、使用性、化粧もち及び発色性が良好で、特に耐移り性(二次付着レス効果)が極めて優れる唇用液状化粧料に関する。
 口紅等のメーキャップ化粧料は、食器や衣類と接触した際に、接触物に色移り(二次付着)する場合がある。二次付着は、接触物に化粧の色が付いてしまうことにとどまらず、化粧崩れの原因にもなる。特に、口紅は、唇が食器に触れる機会が多いため二次付着しやすい。そこで、二次付着による色移りが抑制されたいわゆる二次付着レス効果を有する化粧料が開発されている。
 特許文献1には、(a)非揮発性炭化水素油、(b)メチルフェニルポリシロキサン、及び(c)デキストリン脂肪酸エステルを各々所定量配合し、(a)非揮発性炭化水素油分と(b)メチルフェニルポリシロキサンの配合比(質量比)を特定範囲内にした液状の油中油型化粧料が記載されている。
 (a)非揮発性炭化水素油と(b)メチルフェニルポリシロキサンとは互いに相溶しにくいので、両者を含む組成物は分離しやすいが、特許文献1の化粧料においては、(c)デキストリン脂肪酸エステルを更に配合することにより、安定な油中油型組成物となっている。一方、当該化粧料を唇に塗布したり、塗布した唇をこすり合わせると、メチルフェニルポリシロキサン(「しみ出し油分」または「コート油分」という)が表層にしみ出して分離し、それが非揮発性炭化水素油(「密着油分」という)を覆うため、耐移り性を有し、かつ良好なつやを与える。また、上記の(a)と(b)の両方に相溶するイソドデカンのような揮発性炭化水素を配合することで、塗布後の耐移り性、安定性を維持したまま、塗布時ののびを良くすることができる。
 しかし、コート油分としてのシリコーン油を多量に配合する必要があり、近年注目されているシリコーンフリー化粧料には合致しないものであった。
 特許文献2に記載された唇用化粧料は固形であるが、密着油分としてダイマー酸エステルを含む共重合体および/またはダイマー酸エステルを用い、コート油分として炭化水素油を用いることにより、二次付着レス効果に加えて、ツヤ感にも優れるとされている。しかし、このような密着油分及びコート油分を配合した液状の化粧料は得られていない。
 特許文献2の固形化粧料では、固形を維持するために配合されるワックス等に起因するべたつきや、ツヤ感の低下といった問題が生じる場合があった。また、密着油分とコート油分とが接触しているため、色材の一部が密着油分からコート油分に移行することは避けられない。従って、コート油分に移行した色材が接触物に移ること(二次付着)を完全に防止することは困難であった。
特許第4766720号公報 特開2022-115395号公報
 本発明は、上述した技術の現状に鑑みて、使用性、化粧持ち、及び発色性が良好で、なおかつ、耐移り性(二次付着レス効果)に優れた液状化粧料を提供することを課題とする。
 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特許文献2に記載されるような固形化粧料におけるワックスについて、別のゲル化剤への置換または配合量の調整を施して液状に調製することにより、使用性や発色性の問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 さらに、化粧料に配合する色材の表面処理を適宜選択することにより、色材が密着油分からコート油分に移行することを抑制し、耐移り性(二次付着レス効果)を更に高めることができる。
 すなわち本発明は、
(A)(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体、及び(a2)ダイマー酸エステルから選択される少なくとも1種;
(B)25℃で(A)と混合したときに分離する不揮発性炭化水素油;
(C)デキストリン脂肪酸エステル及びワックスから選択されるゲル化剤;及び、
(D)色材、を含有することを特徴とする、唇用液状化粧料を提供する。
 本発明の唇用液状化粧料は、密着油分としてダイマー酸エステルを含む共重合体および/またはダイマー酸エステルを配合することにより、密着性及びツヤ感に優れる。また、コート油分として炭化水素油を用いるので、シリコーン油の配合量を抑制できる。それに加えて、色材の表面処理を適宜選択することにより、色材のコート油分への移行が抑制され、化粧持ち及び二次付着レス効果(耐移り性)に極めて優れた化粧料となる。
 本発明の唇用液状化粧料(以下、単に「化粧料」ともいう)は、(A)(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体、及び(a2)ダイマー酸エステルから選択される少なくとも1種;(B)25℃で(A)と混合したときに分離する不揮発性炭化水素油;(C)デキストリン脂肪酸エステル及びワックスから選択されるゲル化剤;及び、(D)色材を必須成分として含有する。
 本発明の化粧料の「A成分」(「密着油分」ともいう)は、(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体、及び(a2)ダイマー酸エステルから選択される少なくとも1種である。
(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体
 「ダイマー酸エステルを含む共重合体」(以下、「a1成分」ともいう)は、高粘度非揮発性エステル油である。ダイマー酸エステルを含む共重合体(a1成分)としては、後述の(B)不揮発性炭化水素油と90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になったときに分離するものを選択するのが好ましい。
 ダイマー酸エステルを含む共重合体(a1成分)としては、例えば、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーが挙げられ、市販品として、ハイルーセントISDA(高級アルコール社製)等がある。
(a2)ダイマー酸エステル
 ダイマー酸エステル(以下、「a2成分」ともいう)は、植物系油脂を原料とするC18不飽和脂肪酸の二量化によって生成されたC36ジカルボン酸の二塩基酸を主成分とし、一塩基酸、三塩基酸を含有する液状脂肪酸のエステルである。
ダイマー酸エステル(a2成分)としては、例えば、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル等が挙げられる。市販品として、例えば、リソカスタDA-L(高級アルコール工業社製)、リソカスタDA-H(高級アルコール工業社製)等が挙げられる。
 本発明の化粧料における「A成分」(密着油分)は、(a1)または(a2)の何れか一方のみでもよく、(a1)及び(a2)の両方を含んでもよい。
 本発明では、(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体を含有し、当該(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体の配合量が、「A成分」(密着油分)全量の50質量%以上であるようにするのが好ましい。
 本発明の化粧料における「A成分」の配合量(a1成分とa2成分の合計配合量)は、化粧料全量に対して10~80質量%であり、発色性の観点から、好ましくは20~70質量%であり、さらに好ましくは25~60質量%である。
(B)不揮発性炭化水素油
 本発明の化粧料の「B成分」(「コート油分」ともいう)は、25℃で「A成分」と混合したときに分離する不揮発性炭化水素油(以下、単に「不揮発性炭化水素油」ともいう)は、化粧料に配合可能な常温で液状の不揮発性炭化水素油である。
 本発明の「B成分」は、(A)ダイマー酸エステルを含む共重合体及びダイマー酸エステルと、90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になったときに分離するものである。
 本明細書における「分離する」及び「相溶する」は、次のように定義される。
「分離する」:「A成分」と「B成分」を、(A):(B)=1:1(質量比)で90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になったときに、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、境界がなく透明な状態を「分離しない」とした。
「相溶する」:「A成分」と「B成分」を、(A):(B)=1:1(質量比)で、同様に攪拌混合し、25℃になった状態で、境界を目視で確認できず透明な状態、すなわち「分離していない状態」となる場合を「相溶する」とした。
 不揮発性炭化水素油(B成分)は、粘度が100mPa・s以下、好ましくは50mPa・sのものを用いる。粘度が100mPa・sを超えると、二次付着レス効果が得られにくい場合がある。なお、本発明における粘度は、25℃において、ローター名称M1、30rpmにてB型粘度計TVB-10M(東機産業株式会社製)で測定した値とする。
 不揮発性炭化水素油(B成分)の好ましい具体例としては、スクワラン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、及び重質流動パラフィン等が挙げられる。市販品としては、例えば、ノムコートHP30(日清オイリオ社製)、スクワラン(クラレ社製)等が挙げられる。
 本発明の化粧料における「B成分」(コート油分)の配合量は、化粧料全量に対して10~80質量%であり、好ましくは20~70質量%、さらに好ましくは35~65質量%である。「B成分」の配合量が10質量%未満では、塗布時に分離しにくくなり、二次付着レス効果が得られにくい。配合量が80質量%を超えると、二次付着レス効果は得られるが、十分な発色が得られにくい。
(C)ゲル化剤
 本発明の化粧料に配合されるゲル化剤(「C成分」ともいう)は、デキストリン脂肪酸エステル及びワックスから選択される少なくとも1種である。
 デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと高級脂肪酸のエステルで、高級脂肪酸が炭素数C12~C22の脂肪酸から選択されるものである。高級脂肪酸として、炭素数C12~C22の脂肪酸を含んでいれば、炭素数C6~C10の脂肪酸を一部に含んでいてもよい。かかるデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えばパルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンが挙げられ、市販品としては、商品名レオパール(Rheopearl)KL、レオパールKL2、レオパールTT、レオパールTT2、レオパールMKL2等(いずれも千葉製粉社製)などを用いることができる。
 本発明の(C)ゲル化剤として用いるワックスは、通常化粧料に配合されるものであれば特に限定されない。中でも、ヒマワリワックス(ヒマワリ種子ロウ)、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、及びシュガーワックス(トリ酢酸テトラステアリン酸スクロース等)が好ましく用いられる。
 本発明の化粧料におけるゲル化剤(C成分)の配合量は、化粧料が液状となる量であればよい。本発明における「液状」とは、化粧料が常温(25℃)において流動性を有する状態(液状からペースト状)であることを意味する。例えば、粘度が100~400,000mPa・sの範囲にあることを「液状」と定義してもよい。
 例えば、(C)ゲル化剤としてデキストリン脂肪酸エステルを用いる場合、その配合量は、0.1~10質量%であり、好ましくは0.5~8質量%であり、より好ましくは1~5質量%である。ワックスを用いる場合、その配合量は、0.1~6質量%、好ましくは0.5~5質量%である。ゲル化剤が少なすぎると安定性が悪くなり、多すぎると、べたついた使用性になる。
(D)色材
 本発明における色材(「D成分」ともいう)は、粉末状の色材であれば特に限定されない。例えば、無機白色顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛)、無機赤色顔料(酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄)、無機褐色顔料(γ-酸化鉄)、無機黄色顔料(黄酸化鉄、黄土)、無機黒色顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン)、無機紫色顔料(マンゴバイオレット、コバルトバイオレット)、無機緑色顔料(酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト)、無機青色顔料(群青、紺青)、パール顔料(酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔)、金属粉末顔料(アルミニウムパウダー、カッパーパウダー)、有機顔料(赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色40号、青色404号)、ジルコニウム、バリウム、アルミニウムのレーキ顔料(赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色20号、緑色3号、青色1号)、天然色素(クロロフィル、カルチノイド(β-カロチン)、カルサミン、コチニール、カルコン、クルクミン、ベタニン、フラボノール、フラボン、アントシアニジン、アントラキノン、ナフトキノン)、機能性顔料(窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、鉄含有合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体(ハイブリッドファインパウダー))等が挙げられる。
 本発明の化粧料に配合される色材(D成分)は、アミノ酸または金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材を含むのが好ましい。アミノ酸または金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材を配合することにより、色材の密着油分からコート油分への移行が抑制され、二次付着レス効果が更に向上する。
 アミノ酸を含む処理剤は、少なくとも1種のアミノ酸またはその誘導体を含む表面処理剤である。
 「アミノ酸」は、特に限定されないが、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、プロリン、及びサルコシンから選択するのが好ましく、中でもグルタミン酸が特に好ましい。
 「アミノ酸の誘導体」は、好ましくは、N-アシルアミノ酸又はその塩である。「N-アシルアミノ酸又はその塩」とは、アミノ酸のアミノ基にアシル基、好ましくは、炭素数12~20の飽和脂肪酸が縮合した化合物又はその塩である。「アシル基」としては、ステアロイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ココイル基等を挙げることができる。「塩」は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などから選択できるが、ナトリウム塩が好ましい。N-アシルアミノ酸塩の具体例として、N-ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、パルミトイルサルコシンナトリウム、パルミトイルグルタミン酸マグネシウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
 アミノ酸を含む処理剤は、「アミノ酸またはその誘導体」に加えて、他の処理剤を少なくとも1種含むものであってもよい。「他の処理剤」としては、「金属水酸化物」、「脂質」及び「エステル」から選択するのが好ましい。「金属水酸化物」としては、水酸化アルミニウム等が例示される。「脂質」としては、「パルミチン酸」等の高級脂肪酸が例示される。「エステル」としては、炭素数8~12の一価又は二価の脂肪酸と炭素数12~20の飽和脂肪族アルコールとのエステルが例示される。前記脂肪酸及び脂肪族アルコールのアルキル鎖は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。「エステル」として、特に、セバシン酸イソステアリルが好ましく用いられる。
 「アミノ酸を含む処理剤」として、例えば、N-ステアロイルグルタミン酸2ナトリウムと水酸化アルミニウムとを含む表面処理剤、N-ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム、セバシン酸イソステアリル、及び水酸化アルミニウムを含む表面処理剤、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウムとリシンとを含む表面処理剤、パルミトイルプロリン、パルミトイルサルコシンナトリウム、パルミトイルグルタミン酸マグネシウム,及びパルミチン酸を含む表面処理剤等が挙げられる。本発明では、N-ステアロイルグルタミン酸2ナトリウムまたはN-ラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含む処理剤で表面処理された色材を用いるのが特に好ましい。
 金属石鹸を含む処理剤は、少なくとも1種の金属石鹸を含む表面処理剤である。
 「金属石鹸」は、飽和もしくは不飽和高級脂肪酸の金属(但し、アルカリ金属以外)の塩である。特に限定されるものではないが、金属石鹸を構成する高級脂肪酸としては、炭素数8~24、特に12~18の飽和及び/または不飽和高級脂肪酸、例えば、ステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。金属石鹸を構成する金属としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、又は亜鉛等の塩が好ましい。
 本発明における色材(D成分)の表面処理剤として好ましく用いられる金属石鹸の具体例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、及びミリスチン酸アルミニウム等が挙げられる。
 金属石鹸による表面処理は、予め生成した金属石鹸で表面処理する方法によって実施することができる。例えば、金属石鹸をイソパラフィン、イソプロピルアルコールなどの揮発性溶媒に溶解し、基材粉末(色材)と混合した後、揮発性溶媒を揮散させることによって表面処理することができる。また単に基材粉末(色材)と金属石鹸とを混合するだけでも表面処理することが可能である。あるいは、金属石鹸を構成する高級脂肪酸(例えば、ステアリン酸)と、金属(例えば、アルミニウム)の水酸化物とで複合処理する方法で表面処理してもよい。表面処理方法としては、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等を用いることができ、特に限定されない。
 本発明の化粧料の色材(D成分)は、アミノ酸を含む処理剤で表面処理された色材の1種または2種以上からなるものであってもよく、金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材の1種または2種以上からなるものでもよい。あるいは、アミノ酸を含む処理剤で表面処理された色材と金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材を組み合わせて配合してもよい。また、色材(D成分)は、アミノ酸及び/又は金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材に加えて、アミノ酸または金属石鹸を含まない処理剤で表面処理された色材及び未処理の色材を更に含んでいてもよい。
 本発明の化粧料における色材(D成分)の配合量は、化粧料全量に対して0.1~15質量%とするのが好ましく、より好ましくは1~12質量%、さらに好ましくは4~10質量%である。なお、アミノ酸または金属石鹸を含む処理剤で表面処理された色材が、化粧料に配合された色材(D成分)の全量に対して50質量%(質量比)以上を占めるのが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
 本発明の唇用液状化粧料には、上記のA~D成分に加えて、液状化粧料に通常用いられる他の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。他の任意成分としては、限定されないが、油剤(A~C成分以外)、粉末(D成分以外)、高分子化合物、保湿剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、美容成分等が挙げられる。
 粉末(D成分以外)として、無水ケイ酸(シリカ)が例示できる。
 無水ケイ酸としては、平均一次粒子径が1~50nmの超微粒子無水ケイ酸が好ましい。市販品として、例えば、アエロジル200、300、R972、R974、及びRY200等(日本アエロジル社製)が挙げられる。本発明に用いる無水ケイ酸は、親水性のものでもシリル化などの疎水化処理したものでもよい。
 無水ケイ酸を配合する場合の好ましい配合量は、10質量%以下、好ましくは8質量%以下であり、例えば、0.1~5質量とすることができる。
 上記以外の粉末には、球状粉末及び板状粉末等が含まれる。
 球状粉末としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリスチレン、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリエチレン、スチレンとアクリル酸の共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、ポリ四フッ化エチレン、シリコーン樹脂等の球状樹脂粉末が挙げられる。
 板状粉末としては、例えば、マイカ、合成マイカ、タルク、セリサイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体、N-アシルリジン等の有機粉体、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン等の複合粉体等が挙げられる。
 本発明の化粧料における粉体(D成分以外)の配合量は、化粧料全量に対して30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは20質量%以下である。
 本発明の化粧料は、油性化粧料に汎用されている方法を用いて製造される。例えば、各配合成分を、必要に応じて加熱し、攪拌混合し、容器に充填して徐冷することにより製造できる。
 本発明の化粧料は、密着油分としてダイマー酸エステル類を用い、コート油分として不揮発性炭化水素油を用いた油中油型乳化液状化粧料である。
 本発明の化粧料は、メーキャップ化粧料、特に、極めて優れた耐移り性(二次付着レス効果)を持つ唇用液状化粧料として提供するのに適している。具体的には、液状の口紅、リップグロス、下地用リップベース、口紅オーバーコート、リップクリーム等の形態で提供するのが好ましい。
 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特記しない限り質量%を示す。
 下記の表1及び表2に掲げた処方で、唇用液状化粧料を常法に従って調製した。表1及び表2の各例の化粧料の特性を、以下の方法で測定、評価した。
<試験方法及び評価基準>
 10名の専門パネルによる実使用試験を行った。評価項目は、二次付着レス効果、経時でのべたつきのなさ、仕上がりの持続性、発色、及び塗布後のツヤ/うるおい感であり、それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
経時でのべたつきのなさ、及び仕上がりの持続性の評価は、塗布時または塗布直後の評価と、塗布後数時間経過したときにおける評価とを比較した結果である。
 化粧料の塗布方法は、本発明の化粧料を唇に塗布した後、唇の上下をこすり合わせ5秒ほど圧力を加える方法にて行った。耐移り性の評価はカップへの移りのなさを評価し、その他の項目は、専門パネルによる目視により判定した。
(スコア)
 5点:非常に優れている。
 4点:優れている。
 3点:普通。
 2点:劣る。
 1点:非常に劣る。
(評価基準)
 A:評価値(平均値)4.0以上
 B:評価値(平均値)3.0以上4.0点未満
 C:評価値(平均値)2.0以上3.0点未満
 D:評価値(平均値)2.0点未満
 表1及び表2に示した実験結果から、本発明の油中油型乳化液状化粧料は、評価した全ての項目で十分に優れていることが確認された。密着油分(A成分)とコート油分(B成分)との配合量比を、1:8~8:1という広い範囲で変化させても同等の優れた効果が得られた。
 一方、アミノ酸処理した色材を用いた例は、二次付着レス効果、発色を含む全ての項目で優れていたが、金属石鹸処理した色材では、二次付着レス効果が若干低下した。シリコーン処理した色材を用いると、二次付着レス効果、化粧もち(持続効果)、及び発色が若干低下した。従って、本発明の化粧料において、アミノ酸処理色材または金属石鹸処理色材を選択することにより、発色に特に優れた化粧料とすることができ、中でも、アミノ酸処理色材を選択すれば、優れた二次付着レス効果と発色とを両立させた化粧料とすることができる。
 なお、データは示さないが、実施例10におけるスクワランの一部をワックスに置換し、ワックスの配合量を、化粧料の25℃における粘度が400,000mPa・sを超える量にすると、べたついた使用感が生じ、発色やツヤ、うるおい感が劣るものとなった。

Claims (11)

  1. (A)(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体、及び(a2)ダイマー酸エステルから選択される少なくとも1種;
    (B)25℃で(A)と混合したときに分離する不揮発性炭化水素油;
    (C)デキストリン脂肪酸エステル及びワックスから選択されるゲル化剤;及び、
    (D)色材、を含有することを特徴とする、唇用液状化粧料。
  2. 前記(D)色材が、アミノ酸または金属石鹸を含む処理剤で表面処理した色材である、請求項1に記載の化粧料。
  3. 前記(D)色材が、N-アシルアミノ酸又はその塩を含む処理剤で表面処理した色材である、請求項2に記載の化粧料。
  4. N-アシルアミノ酸が、N-ステアロイルグルタミン酸である、請求項3に記載の化粧料。
  5. 前記(D)色材が、金属石鹸を含む処理剤で表面処理した色材である、請求項2に記載の化粧料。
  6. 金属石鹸が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、及びミリスチン酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の化粧料。
  7. 前記(a1)ダイマー酸エステルを含む共重合体が、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーである、請求項1に記載の化粧料。
  8. 前記(a2)ダイマー酸エステルが、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油及びダイマージリノール酸ダイマージリノレイルから選択される、請求項1に記載の化粧料。
  9. 前記(B)不揮発性炭化水素油が、スクワラン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、及び重質流動パラフィンから選択される、請求項1に記載の化粧料。
  10. 前記(C)ゲル化剤が、デキストリン脂肪酸エステル、ヒマワリワックス、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、及びシュガーワックスから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の化粧料。
  11. 粘度が100~400,000mPa・sの範囲である、請求項1に記載の化粧料。
PCT/JP2023/044906 2022-12-28 2023-12-14 唇用液状化粧料 WO2024142980A1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022-212072 2022-12-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024142980A1 true WO2024142980A1 (ja) 2024-07-04

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060062752A1 (en) Oil-based cosmetic preparation
US20070104677A1 (en) Preparation in the form of an emulsion
US20060051307A1 (en) Oil-based cosmetic preparation
JP2002145738A (ja) 非揮発性シリコーン化合物、非揮発性炭化水素系油及び不活性な粒子相を含有する耐移り性化粧品組成物
JP2007238578A (ja) 口唇化粧料
JP6184719B2 (ja) 油性固形化粧料
CN114929186B (zh) 嘴唇用固体化妆品
JP2013209296A (ja) 油性固形化粧料
JP3677723B2 (ja) 油性固型化粧料
JP5214863B2 (ja) アイメイクアップ化粧料
US7713536B2 (en) Preparation, in particular cosmetic preparation, and the production and use thereof
JP2002128629A (ja) 油性化粧料
JP2011506296A (ja) ポリアミド樹脂、グルセリルエステルおよび無極性ワックスを含む化粧料組成物
WO2007038993A1 (en) Preparation, in particular cosmetic preparation, production and use thereof
JP2006241003A (ja) 油性固形化粧料
JP5933941B2 (ja) アイライナー化粧料
WO2024142980A1 (ja) 唇用液状化粧料
JP6465701B2 (ja) 油性固形化粧料
WO2021167039A1 (ja) 油中油型乳化化粧料
JP2003335633A (ja) 睫毛用化粧料
US20070009450A1 (en) Preparation, in particular cosmetic preparation, process for the...
WO2024142982A1 (ja) 唇用固形化粧料
JP2024095067A (ja) 油中油型化粧料
WO2024142983A1 (ja) 唇用固形化粧料
JP2001279040A (ja) 油性透明組成物及びこれを含有する化粧料