WO2024024355A1 - コモンモードコイル、インバータ装置及び電動圧縮機 - Google Patents

コモンモードコイル、インバータ装置及び電動圧縮機 Download PDF

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浩 吉田
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Abstract

【課題】 モータ及びハウジングから流出するコモンモード電流によるノイズを、支障無く、且つ、効果的に低減するとともに、複数の巻線間の巻線のばらつきを抑え、巻線間の十分な絶縁を確保できるコモンモードコイル、及びこれを備えたインバータ装置及び電動圧縮機を提供する。 【解決手段】 コモンモードコイル66は、磁性体660と、磁性体660に装着可能であり、少なくとも一部に巻線保持部663を有するケース材661と、それぞれ印加電圧の異なる複数巻線662および/または多相交流の電流が流れる複数の巻線662と、を備え、巻線保持部663の少なくとも一部において、複数の巻線662が並列に隣り合うように巻回され、巻線保持部663は、絶縁部材で構成され、隣り合う巻線662同士の間に介在する仕切り手段665を有している。

Description

コモンモードコイル、インバータ装置及び電動圧縮機
 本発明は、本発明は、コモンモードコイル、インバータ装置及び電動圧縮機に関するものである。
 ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両の車室内を空調するための車両用空気調和装置では、エンジン駆動の圧縮機に代わってモータを備えた電動圧縮機が使用される。その場合、電動圧縮機には例えばDC300V程の高電圧電源と、DC12V程の低電圧電源が供給される。そして、高電圧電源から電源が供給される高電圧回路と、低電圧電源から電源が供給される低電圧回路を備えたインバータ装置が、電動圧縮機のハウジングに構成されたインバータ収容部に収容される。
 図14を用いて係る従来の電動圧縮機100の電気回路を説明する。電動圧縮機100はハウジング2内に図示しない圧縮機構と、当該圧縮機構を駆動するモータ8が収容される。ハウジング2のインバータ収容部6にはモータ8を運転するためのインバータ回路34、このインバータ回路34を制御する制御回路36、高電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)37、低電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)38、及び、スイッチング電源装置39等を備えたインバータ装置103が収納される。
 尚、車両には電動圧縮機100のモータ8や、図示しない走行用のモータに給電して駆動するための例えばDC300V程の高電圧バッテリから成る高電圧電源(HV電源)41と、DC12V程のバッテリから成る低電圧電源(LV電源)42が搭載されている。
また、ハウジング2は車体(グランド)に導通されている。
 インバータ装置103のインバータ回路34は、三相ブリッジ接続されたIGBT等から成る図示しない6個のスイッチング素子から構成されており、各スイッチング素子は制御回路36が有するゲートドライバが生成するゲート駆動信号により制御される。また、各スイッチング素子はハウジング2と熱交換関係に配置され、スイッチング素子が発生する熱はハウジング2に放出され、スイッチング素子は冷却される構成とされている。即ち、ハウジング2の一部が各スイッチング素子の冷却部材(ヒートシンク)とされている。
 制御回路36はマイクロコントローラ(CPU)から構成されており、インバータ回路34の各スイッチング素子をゲートドライバによりスイッチングしてPWM変調を行うことで、高電圧電源41の直流電圧を所定周波数の交流電圧とし、モータ8に供給する。
 高電圧回路フィルタ37は高電圧電源入力部とインバータ回路34の間に接続されており、コモンモードコイル43、Yコンデンサ44、46、平滑コンデンサ47から構成される。この高電圧回路フィルタ37は、インバータ回路34のスイッチングにより発生する電磁ノイズを低減させる作用を奏する。低電圧回路フィルタ38は、Xコンデンサ48、コモンモードコイル49、Yコンデンサ51、52、平滑コンデンサ53から構成される。低電圧回路フィルタ38は、低電圧電源42とスイッチング電源装置39の間に接続され、スイッチング電源装置39でのスイッチングにより発生する電磁ノイズを低減させる作用を奏する。
 スイッチング電源装置39は、低電圧電源42(DC12V)をスイッチングして所定の直流電圧(HV15V、HV5V)を生成し、制御回路36に給電するためのDC-DCコンバータである。尚、HV15Vはインバータ回路34のゲート駆動信号を生成するゲートドライバ(制御回路36が有する)に供給される電圧であり、HV5Vは制御回路36の電源となる電圧である。
 スイッチング電源装置39は、一次巻線56と、この一次巻線56とは絶縁された二次巻線57から成るスイッチングトランス60と、一次巻線56に接続されたスイッチング素子58を有している。そして、スイッチングトランス60の巻き数比に応じて、DC15V(HV15V)とDC5V(HV5V)が出力されるようにスイッチング素子58がスイッチング制御される。
 スイッチング電源装置39は低電圧電源42をスイッチングして制御回路36に電源を供給すると共に、スイッチングトランス60により、一次巻線56が位置する低電圧電源42側の低電圧回路101と、二次巻線57が位置する高電圧電源41側の高電圧回路102とを絶縁する。そして、このように絶縁されたインバータ装置103の高電圧回路102と低電圧回路101が、インバータ収容部6内に近接して収容されることになる。
 ここで、図14に示す様にモータ8とハウジング間には浮遊容量61が存在するため、電圧振動によりコモンモード電流が流出する(図14中に黒太矢印で示す)。特に、電動圧縮機100では、モータ8とハウジング2間の浮遊容量61を介して流出するコモンモード電流によるノイズ(コモンモードノイズ)が支配的となる。尚、インバータ回路34とハウジング2間にも浮遊容量62が存在している。
 一方、従来より商用交流を電源とするエアコンや給湯器等の民生用機器においては、インバータ回路の出力部にコモンモードコイルやフェライトコアを挿入することにより、モータとハウジング間の浮遊容量を介して流出する経路のインピーダンスを高めてノイズの低減を図っていた(例えば、特許文献1参照)。
 そこで、電動圧縮機においても三相のコモンモードコイルを挿入することが考えられる。図15は、従来の三相分割巻きのコモンモードコイル104の構造を示す概略図であり、図16は図14に示す電動圧縮機のインバータ回路34の出力部に図15に示す分割巻きのコモンモードコイル104を挿入した場合の電気回路のブロック図である。
 図15を参照して、コモンモードコイル104は、コア106と、U相巻線(コイル)104Uと、V相巻線(コイル)104Vと、W相巻線(コイル)104Wを有し、黒太矢印で示すような向きの磁束を生じさせるコイルである。ここで分割巻きとは、U相巻線104U、V相巻線104V、W相巻線104Wが、コア106に対して各相毎に個別に(独立して)巻回された巻線構造をいう。
 このようなコモンモードコイル104を、図16に示すように、高電圧回路102にあるインバータ回路34の出力部(インバータ回路34とモータ8の間)に挿入し、コモンモードコイル104のU相巻線(コイル)104U、V相巻線(コイル)104V、W相巻線(コイル)を、それぞれ、インバータ回路34の出力のU相、V相、W相に接続する。これにより、民生用機器と同様に高電圧回路102のノイズ低減を図ることができる。
特許第3466118号公報
 しかしながら、電動車両に搭載される電動圧縮機100のインバータ装置103では、小型軽量化(振動対策も含む)が必須事項であり、上述した民生用機器のようにインバータ回路34の出力部にコモンモードコイル104を入れる、或いは、フェライトコアを付ける等といった対策を施し難い実情がある。
 それに加えて、高電圧回路102に三相のコモンモードコイル104を挿入したことにより、コモンモードコイル104のリーケージインダクタンスに起因する新たな問題も生じる。具体的に、U相巻線104Uと、V相巻線104Vと、W相巻線104Wを一つのコア106に巻回する三相のコモンモードコイル104は一般的に、各相毎に個別に巻回する分割巻き(集中巻きともいう)が採用される(図15)。そして各相の巻線(コイル)同士の間を離間させることで各相間の絶縁を確保している。このため、各相が疎結合となり、リーケージインダクタンスが大きくなり、このリーケージインダクタンスにより新たな共振が発生する問題があった。
 民生品であるエアコン等であれば、この直列共振が出現したとしても伝導ノイズの限度値は商用電源端子(100V等)における規制しかないため、コモンモードコイル104を挿入することによる改善(高電圧回路102のノイズ低減)はメリットがある。しかしながら、高電圧電源(高電圧回路102)と低電圧電源(低電圧回路101)が混在し、各々に限度値が定められ、且つそれらがカップリングしてしまう小型の機器(例えば電動圧縮機など)においては、上記のリーケージインダクタンスにより、低電圧側にまで電磁ノイズが悪化してしまうという課題があった。これにより、図16に中白抜き矢印や破線矢印で示すように電磁ノイズが低電圧回路101に大幅に流出することになる。つまり、高電圧回路102のノイズの低減としては大きな改善効果が得られる一方で、低電圧回路101のノイズが大幅に悪化する問題があった。
 また、巻線方式には様々なものがあり、例えばコモンモードコイル104において異なる相の巻線を並列に巻回する方法(並列巻き)も検討されるが、この場合隣接するU相巻線104U、V相巻線104V、W相巻線104W間の絶縁性能が十分に確保できない問題がある。
 特に、電動圧縮機などのような動力を必要とするインバータ装置などにおいては、コモンモードコイル104の巻線としてマグネットワイヤ(エナメル線)を用いる場合が多い。この場合、絶縁性皮膜におけるピンホールの発生を皆無にすることは困難であり、これらを近接(密着)して配置した場合の巻線間の絶縁については信頼性を担保できない。
 また巻線として三層絶縁線を用いれば、巻線間の絶縁性は確保できる。しかしながら高価であることと、線径のラインナップが少なく、電動圧縮機などのような動力を必要とするインバータ装置用としては線径が不十分で使用が困難である。
 加えて、巻線の巻き数(ターン数)が多くなると、巻線状態のばらつき(隣り合う線同士の隙間のばらつきや重なり方のばらつきなど)も生じやすくなる。コモンモードコイル104は発熱するため、効率的に放熱することが望まれる。しかしながら、巻線状態がばらつくことでコモンモードコイル104としての表面形状にばらつきが生じると、例えば冷却部材(ヒートシンク)に当接させるなどしても、効率的に放熱が行えない問題もある。
 本発明は、斯かる実情に鑑み、モータ及びハウジングから流出するコモンモード電流によるノイズを、支障無く、且つ、効果的に低減するとともに、複数の巻線間の巻線のばらつきを抑え、巻線間の十分な絶縁を確保できるコモンモードコイル、及びこれを備えたインバータ装置及び電動圧縮機を提供するものである。
 本発明は、磁性体(コア材)と、前記磁性体に装着可能であり、少なくとも一部に巻線保持部を有するケース材と、それぞれ印加電圧の異なる巻線および/または多相交流の電流が流れる複数の巻線と、を備え、前記巻線保持部の少なくとも一部において、前記複数の巻線が並列に隣り合うように巻回されるコモンモードコイルであって、前記巻線保持部は、絶縁部材で構成され、隣り合う巻線同士の間に介在する仕切り手段を有する、ことを特徴とするコモンモードコイルに係るものである。
 また、本発明は、上記のコモンモードコイルと、スイッチング素子より構成された三相のインバータ回路と、を備え、前記インバータ回路によりモータを駆動する、ことを特徴とするインバータ装置に係るものである。
 また、本発明は、上記のインバータ装置と、前記モータが収容されるハウジングと、前記ハウジングに構成された収容部と、を備え、前記インバータ装置が前記収容部に収容される、ことを特徴とする電動圧縮機に係るものである。
 本発明によれば、モータ及びハウジングから流出するコモンモード電流によるノイズを、支障無く、且つ、効果的に低減するとともに、複数の巻線間の巻線のばらつきを抑え、巻線間の十分な絶縁を確保できるコモンモードコイル、及びこれを備えたインバータ装置及び電動圧縮機を提供できる、という優れた効果を奏し得る。
本実施形態に係る電動圧縮機の概略断面図である。 本発明を適用した一実施例の電動圧縮機の電気回路のブロック図である。 本実施形態のコモンモードコイルの構造を説明する概念図である。 コモンモードコイルのインピーダンス及びリーケージインダクタンスの周波数特性を説明する図である。 本実施形態のコモンモードコイルの絶縁構造を説明する図であり(A)磁性体の斜視図、(B)コモンモードコイルの平面図、(C)巻線保持部の平面図である。 本実施形態のコモンモードコイルを説明する図であり(A)側面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)巻線保持部の平面図である。 本実施形態のコモンモードコイルを説明する図であり、(A)第1パーツの平面図、(B)第2パーツの平面図、(C)第1パーツと第2パーツを組み合わせた状態の平面図である。 本実施形態のコモンモードコイルの絶縁構造を説明する図であり(A)平面図、(B)巻線保持部の平面図、(C)側面図、(D)断面図である。 (A)~(D)本実施形態のコモンモードコイルを説明する断面図である。 他の実施形態のコモンモードコイルの構造を説明する図であり、(A)概念図、(B)平面概要図である。 他の実施形態の電動圧縮機の電気回路のブロック図である。 他の実施形態のコモンモードコイルの構造を説明する図であり、(A)概念図、(B)平面概要図である。 他の実施形態のコモンモードコイルの構造を説明する概念図である。 従来の電動圧縮機の電気回路のブロック図である。 従来のコモンモードコイルの構造を説明する概念図である。 従来の電動圧縮機に分割型のコモンモードコイルを適用した場合の電気回路のブロック図である。
 以下、本発明の実施の形態について図1~図13を参照して説明する。図1~図13は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一構成を表わす。また、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、各図において一部の構成について形状や寸法を適宜誇張して表現する。
 先ず、図1を参照しながら本実施形態の電動圧縮機1の一例について説明する。本実施形態の電動圧縮機1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載される車両用空気調和装置の冷媒回路の一部を構成するものである。
 <電動圧縮機の構成>
 図1において、電動圧縮機1の金属性であり筒状のハウジング2内は、当該ハウジング2の軸方向に交差する隔壁3により圧縮機構収容部4とインバータ収容部6とに区画されており、圧縮機構収容部4内に例えばスクロール型の圧縮機構7と、この圧縮機構7を駆動するモータ8が収容されている。
 この場合、実施例のモータ8はハウジング2に固定されたステータ9と、このステータ9の内側で回転するロータ11から成るIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。
 隔壁3の圧縮機構収容部4側の中心部には軸受部12が形成されており、ロータ11の駆動軸13の一端はこの軸受部12に支持され、駆動軸13の他端は圧縮機構7に連結されている。ハウジング2の圧縮機構収容部4に対応する位置の隔壁3近傍には吸入口14が形成されており、モータ8のロータ11(駆動軸13)が回転して圧縮機構7が駆動されると、この吸入口14からハウジング2の圧縮機構収容部4内に作動流体である低温の冷媒が流入し、圧縮機構7に吸引されて圧縮される。
 そして、この圧縮機構7で圧縮され、高温・高圧となった冷媒は、図示しない吐出口よりハウジング2外の前記冷媒回路に吐出される構成とされている。また、吸入口14から流入した低温の冷媒は、隔壁3近傍を通ってモータ8の周囲を通過し、圧縮機構7に吸引されることから、隔壁3も冷却されることになる。
 そして、この隔壁3で圧縮機構収容部4と区画されたインバータ収容部6内には、モータ8を駆動制御するインバータ装置16が収容される。このように本実施形態の電動圧縮機1は、所謂インバータ一体型電動圧縮機である。この場合、インバータ装置16は、隔壁3を貫通する密封端子やリード線を介してモータ8に給電する構成となっている。
 <インバータ装置の構造>
 本実施形態のインバータ装置16は、一例として、基板17と、この基板17の一面側に配線された複数(例えば6個)のスイッチング素子18と、基板17の他面側に配線された制御回路36と、図示しないHV(高電圧電源)コネクタ、LV(低電圧電源)コネクタ等から構成されている。各スイッチング素子18は、例えば、MOS(metal oxide semiconductor)構造をゲート部に組み込んだ絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等から構成されている。
 この場合、各スイッチング素子18が後述する三相のインバータ回路34を構成するものであり、各スイッチング素子18の端子部22は、基板17に接続されている。そして、このように組み立てられたインバータ装置16は、各スイッチング素子18の一面側が隔壁3側に対向した状態でインバータ収容部6内に収容されて隔壁3に取り付けられ、蓋部材23にて塞がれる。この場合、基板17は例えば、ボス部24を介して隔壁3に固定される。
 このようにインバータ装置16が隔壁3に取り付けられた状態で、各スイッチング素子18は隔壁3に直接若しくは所定の絶縁熱伝導材を介して密着し、ハウジング2の隔壁3と熱交換関係となる。そして、前述した如く隔壁3は圧縮機構収容部4内に吸入される冷媒によって冷やされているので、各スイッチング素子18は隔壁3を介して吸入冷媒と熱交換関係となる。つまり各スイッチング素子18は隔壁3の厚みを介して圧縮機構収容部4内に吸入された冷媒によって冷却されるとともに、各スイッチング素子18からは隔壁3を介して冷媒に対して放熱される。即ち、ハウジング2の一部(隔壁3)は各スイッチング素子18の冷却部材(ヒートシンク)として機能する。
 <インバータ装置の回路構成>
 図2は、インバータ装置16の回路構成の一例を示す回路ブロック図である。インバータ装置16は、モータ8を運転するためのインバータ回路34と、このインバータ回路34を制御する制御回路36と、高電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)37と、低電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)38と、スイッチング電源装置39等から構成され、これらが前述した基板17上に配線され、前述した如くインバータ収容部6内に収納される。
 尚、車両には電動圧縮機1のモータ8や、図示しない走行用のモータに給電して駆動するための例えばDC300V程の高電圧バッテリから成る高電圧電源(HV電源)41と、DC12V程のバッテリから成る低電圧電源(LV電源)42が搭載されており、インバータ装置16は前述した図示しないHVコネクタにより高電圧電源41に接続され、LVコネクタにより低電圧電源42に接続される。また、ハウジング2は車体(グランド)に導通されている。
 インバータ回路34は、三相ブリッジ接続の前述した6個のスイッチング素子18から構成されており、各スイッチング素子18は制御回路36が有するゲートドライバが生成するゲート駆動信号により制御される。制御回路36はマイクロコントローラ(CPU)から構成されており、インバータ回路34の各スイッチング素子18をゲートドライバによりスイッチングしてPWM変調を行うことで、高電圧電源41の直流電圧を所定周波数の交流電圧とし、モータ8に供給する。
 高電圧回路フィルタ37は高電圧電源入力部とインバータ回路34の間に接続されており、コモンモードコイル43、Yコンデンサ44、46、平滑コンデンサ47から構成される。この高電圧回路フィルタ37は、インバータ回路34の主にスイッチングにより発生する電磁ノイズを低減させる作用を奏する。低電圧回路フィルタ38は、Xコンデンサ48、コモンモードコイル49、Yコンデンサ51、52、平滑コンデンサ53から構成される。低電圧回路フィルタ38は、低電圧電源42とスイッチング電源装置39の間に接続され、主にスイッチング電源装置39でのスイッチングにより発生する電磁ノイズを低減させる作用を奏する。
 スイッチング電源装置39は、低電圧電源42(DC12V)をスイッチングして所定の直流電圧(HV15V、HV5V)を生成し、制御回路36に給電するためのDC-DCコンバータである。尚、HV15Vはインバータ回路34のゲート駆動信号を生成するゲートドライバ(制御回路36が有する)に供給される電圧であり、HV5Vは制御回路36の電源となる電圧である。
 スイッチング電源装置39は、一次巻線56と、この一次巻線56とは絶縁された二次巻線57から成るスイッチングトランス60と、一次巻線56に接続されたスイッチング素子58を有している。そして、スイッチングトランス60の巻き数比に応じて、DC15V(HV15V)とDC5V(HV5V)が出力されるようにスイッチング素子58がスイッチング制御される。
 スイッチング電源装置39は低電圧電源42をスイッチングして制御回路36に電源を供給すると共に、スイッチングトランス60により、一次巻線56が位置する低電圧電源42側の低電圧回路63と、二次巻線57が位置する高電圧電源41側の高電圧回路64とを絶縁する。そして、インバータ装置16は上記のように絶縁された高電圧回路64と低電圧回路63が基板17上で近接した状態で構成され、インバータ収容部6内に収容されている。
 ここで、前述した如くインバータ回路34を構成するスイッチング素子18のスイッチングに伴うサージ電圧(振動電圧)はモータ8側に伝達するため、電圧変動によりモータ8とハウジング2間の浮遊容量61を介してコモンモード電流が流出する(図1中に黒太矢印で示す)。特に、本実施形態のような電動圧縮機1では、モータ8とハウジング2間の浮遊容量61を介して流出するコモンモード電流によるノイズ(コモンモードノイズ)が支配的となる。また、インバータ回路34のスイッチング素子18とハウジング2の間にも浮遊容量62が存在している。
 本実施形態では、インバータ回路34の三相出力部(インバータ回路34とモータ8の間の三線)に、各相の巻線が並列に隣り合うように巻回された(並列巻きの)コモンモードコイル66を挿入する。
 <コモンモードコイルの構造>
 図3を参照して、本実施形態のコモンモードコイル66について説明する。同図は、本実施形態のコモンモードコイル66の構造を説明する図であり、コモンモードコイル66の一部を抜き出し、簡略化して示す概念図である。
 コモンモードコイル66は、磁性体660と、複数の巻線662と、ここでは図示を省略するケース材を有する。磁性体660は既知の構成であり、一例としてトロイダルコアである。
 図3に示すように、巻線662は、ここでは多相(三相)交流の電流が流れる複数の巻線、具体的には、U相巻線(コイル)66Uと、V相巻線(コイル)66Vと、W相巻線(コイル)66Wの総称である。そして、U相コイル66Uと、V相コイル66Vと、W相コイル66Wは、それぞれが螺旋状(3重螺旋状)に、互いに重なることなく巻回されてコイルを構成している。
 つまり、U相コイル66Uを構成するU相線、V相コイル66Vを構成するV相線、およびW相コイル66Wを構成するW相線が並列状態で巻回(トリファイラ巻き)されているものである。
 U相コイル66U、V相コイル66VおよびW相コイル66Wの各相線を磁性体660に対してトリファイラ巻きとすることで、従来の(図15に示す)分割巻きのコモンモードコイル104と比較して、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wの巻線間結合が密となり、リーケージインダクタンスが大幅に減少する。
 図4は、従来の分割巻きのコモンモードコイル104と、本実施形態のトリファイラ巻きのコモンモードコイル66の特性を比較したグラフであって、両者のインピーダンスとリーケージインダクタンスを比較して示すグラフである。グラフは縦軸がインピーダンス[Ω]またはリーケージインダクタンス[μH]であり、横軸が周波数[MHz]である。
 図4中、特性L1(一点鎖線)が本実施形態のトリファイラ巻きのコモンモードコイル66のインピーダンスの周波数特性であり、特性L2(実線)がコモンモードコイル66のリーケージインダクタンスの周波数特性である。
 また、特性L100(小破線)が従来の分割巻きのコモンモードコイル104のインピーダンスの周波数特性であり、特性L101(大破線)がコモンモードコイル104のリーケージインダクタンスの周波数特性である。
 特性L2および特性L101から明らかなように、本実施形態のコモンモードコイル66のリーケージインダクタンスは、全体として、従来のコモンモードコイル104よりも小さくなる。
 また、特性L1と特性L100から明らかなように、高周波側において、本実施形態のコモンモードコイル66のインピーダンス特性は、従来のコモンモードコイル104のインピーダンス特性よりも高くなる。
 従来の分割巻きのコモンモードコイル104は、各相(コイル)のそれぞれにおいて巻回される巻線同士が近接するため、端子間容量(巻線の巻き初めと巻き終わり間の寄生容量)が大きくなる。つまり高周波帯域においてコンデンサ成分が支配的となり、インピーダンスの減少が早くなる(特性L100)。
 これに対し、トリファイラ巻きのコモンモードコイル66では、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wの各相線が並列状態となっているため、例えば、U相コイル66Uだけをみると相線の螺旋ピッチが広がり、端子間容量が小さくなる。これにより、高周波帯域においてもインピーダンスの減少が抑制される(特性L1)。
 また、分割巻きのコモンモードコイル104では、U相巻線104U、V相巻線104V、W相巻線104Wの巻線同士の間隔が大きいため、巻線間容量(異なる相間の容量)としては小さく(疎結合であり)、トリファイラ巻きのコモンモードコイル66の巻線間容量は大きくなる(密結合である)。巻線間容量が大きい方が、リーケージインダクタンスは小さくなる(特性L2)。
 比較のため、分割巻きのコモンモードコイル104とトリファイラ巻きのコモンモードコイル66において或る相の巻線(例えばU相巻線104U,66U)について、リーケージインダクタンス、10MHzにおける端子間容量、および10MHzにおける巻線間容量をそれぞれ測定した。
 その結果、分割巻きのリーケージインダクタンスは3.7μH、端子間容量は10pF、巻線間容量は6.8pFであった。一方、トリファイラ巻きのリーケージインダクタンスは0.29μH、端子間容量は7.8pF、巻線間容量は22pFであった。
 このように、コモンモードコイル66では従来のコモンモードコイル104と比較して、リーケージインダクタンスが大幅に減少するため、モータ8の巻線間容量との共振周波数が高周波側に遷移し、モータ8の元々のインピーダンスの方が支配的となる。結果、コモンモードコイル66の挿入に伴うノイズ特性の悪化が防止され、低電圧回路63におけるノイズも効果的に抑制することができるようになる。また、上述の様にリーケージインダクタンスを大幅に減少させることによりモータ8へ印加されるサージ電圧も抑制することが可能となることから、モータ8の絶縁耐圧を抑えた設計も可能となる。これより、モータ8の小型化ならびに軽量化が可能となり、移動体搭載機器には好適である。
 ところで、U相コイル66U、V相コイル66VおよびW相コイル66W(UVW相のコイル66U、66V、66W)をトリファイラ巻きとする場合、近接して並列される異なる相間の絶縁対策が必要となる。
 電動圧縮機1などのような動力を必要とするインバータ装置16では、巻線662として、例えば、マグネットワイヤ(エナメル線)を用いる場合が多い。マグネットワイヤの場合、絶縁性皮膜においてピンホールの発生を皆無にすることは困難であり、特に、UVW相のコイル66U、66V、66Wをトリファイラ巻きにする場合には、各相の巻線662が近接(密着)するため、信頼性が担保できない。
 また巻線662として三層絶縁線を用いる方法もあるが、三層絶縁線は高価であり、また線径のラインナップが少なく、(電動圧縮機1などの)インバータ装置16の場合、巻線662の線径としてはφ2mm程度が必要となる場合もあり、三層絶縁線では線径が不十分となる可能性がある。
 そこで本実施形態では、上述のコモンモードコイル66において、巻線間の十分な絶縁を確保できる対策を施した。
 <コモンモードコイルの絶縁構造>
 図5から図9を参照して、本実施形態のコモンモードコイル66の絶縁構造(以下「絶縁構造IS」という。)について説明する。ここでは、磁性体660がトロイダルコアである場合を例示する。図5(A)は、磁性体660の斜視図である。同図(B)、同図(C)はコモンモードコイル66の絶縁構造ISを説明する平面図である。また図6(A)は、図5(C)のV矢視図であり、図6(B)は図5(C)のX-X線断面図であり、図6(C)は、図5(B)のX´-X´線断面図であり、図5(D)は巻線662の巻回の手順を示す平面図である。
 まず、図5(A)を参照して、コモンモードコイル66における方向の定義について説明する。本実施形態では説明の便宜上、磁性体660を円環とした場合の中心軸C0の延在方向をC方向、円環の径方向をR方向、磁路の長さ方向(磁束の形成される方向)をL方向とする。また、コモンモードコイル66(磁性体660)においてC方向に直交する円環状の二つの面をそれぞれ底面66Bといい、底面66Bに挟まれるL方向の外周面を外周側面66SOといい、L方向の内周面を内周側面66SIという。
 図5(A)、同図(B)を参照して、コモンモードコイル66は、磁性体660と、複数の巻線662と、ケース材661を備える。
 複数の巻線662は、それぞれ印加電圧が異なる巻線662、および/または多相交流の電流が流れる巻線662である。ここでは一例として、複数の巻線662は、多相交流の電流が流れる巻線662であり、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wである。
 ケース材661は、例えば絶縁部材(例えば樹脂材)により構成され、磁性体660を全体的に覆う。ケース材661は磁性体660に例えば着脱自在に装着可能であり、例えばボビン(円形,または多角形の筒状体であり筒の軸方向両端に鍔部を有する巻線の保持部材)などであってもよい。
 図5(B),同図(C)に示すように、ケース材661は、少なくとも一部に巻線保持部663を有する。巻線保持部663は、ケース材661において複数の巻線662(U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66W)が実質的に巻回される部位である。ここでは一例として、巻線保持部663は、図5(C)に示すように、ケース材661の全体に一体的に設けられている。つまりこの例では巻線保持部663とケース材661は同一物(同一構造)である。しかしこれに限らず、巻線保持部663は、ケース材661の一部のみに設けられる構成であってもよい。
 また、巻線保持部663は、ケース材661の全体/一部のいずれに設けられるかに依らず、ケース材661とは別体で、ケース材661(の表面)に装着することでこれと一体的になる構成であってもよい。
 この例では、ケース材661(巻線保持部663)は、磁性体660の中心軸C0に直交する断面線で分割可能な半割り構造となっており、半割り構造のケース材661を開放して内部に磁性体660を収容し、ケース材661を閉止する。これにより磁性体660にケース材661が装着できる。
 図5(B),同図(C)、図6(A)に示すように、巻線保持部663は複数(この例では3本)の溝部664を有する。溝部664は、巻線保持部663の一部を陥没させた部位であり、底部664Bと側壁664Sを有する。複数の溝部664は巻線保持部663の表面に、L方向を螺旋の軸方向としてその周りに螺旋状に設けられる。また複数の螺旋状の溝部664は、互いに交差しない(独立した)スパイラル状(多重螺旋状)に設けられる。
 トリファイラ巻きされることにより隣り合うU相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wの各相線は、それぞれが独立して溝部664内に収容される。そして溝部664の側壁664Sによって、隣り合う巻線同士(U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66W)の各相線が分離され、互いの接触が回避される。このように、本実施形態の巻線保持部663は、溝部664の側壁664Sが仕切り手段665として機能し、隣り合う巻線662同士の接触を防ぎ、互いの絶縁を確保できる。つまり仕切り手段665によって各巻線662の通路(巻線通路)が区画されるといえ、この例では巻線通路は溝部664である。
 図6(A)~同図(C)を参照して、仕切り手段665は、ケース材661の表面からR方向およびC方向に突出(立設)するように設けられる。仕切り手段665の仕切り高さHおよび溝部664の底部664Bの幅WBは保持される巻線662(U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66W)の径より大きくする。この場合の仕切り高さHは溝部664の底部664BからR方向およびC方向に突出した側壁664Sの高さであり、底部664Bの幅WBはL方向の長さである。
 このようにして仕切り手段665(3重螺旋状の溝部664)によって、それぞれの巻線662(U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66W)の位置(すなわち巻回の経路)が、所定の位置に維持される。つまり巻回されたそれぞれの巻線662は、仕切り手段665によって特にL方向への位置ずれが規制される。結果、トリファイラ巻きであっても各相の巻線662は所定の沿面距離を確保できるとともに、沿面距離がばらつくことも回避できる。これによりコモンモードコイル66として十分な絶縁性能(絶縁耐圧)を確保できる。このように本実施形態の絶縁構造ISは、絶縁が必要な複数の巻線をそれぞれ分離して保持する仕切り手段665とこれを有する巻線保持部663(ケース材661)により構成される。
 本実施形態の絶縁構造ISは、隣り合う巻線662を保持する仕切り手段665間の距離(側壁664S間のL方向における距離)、および仕切り手段665の仕切り高さH、底部664Bの幅WBを適宜選択することで、所定の絶縁性能(絶縁耐圧)に応じた沿面距離を確保できる。
 なお、この例では溝部664内に1本の巻線662が保持される場合を例示しているが、同相の巻線662は同じ溝部664内に重ねて(巻線662がC(上下)方向に重なるように)配置可能である。その場合は、仕切り高さHは重ねられる巻線662の線径の合計以上とする。また、溝部664の幅WBを拡げ、例えば同相の巻線が横並び(図6(A)に破線丸印で示す巻線662が左右方向に並ぶように)してもよい。しかしながら幅WBを拡げすぎる(横並びの本数が多すぎる)巻線662の位置を位規制しにくくなる(ずれやすくなる)ため、幅WBはあまり大きくしないほうが好ましい。
 図6(D)は、ある相の巻線662(例えば、W相コイル66W)を溝部664に収容しつつ、巻線保持部663に巻回する手順を示す平面図である。太実線は図示の平面視において視認可能となっている一方の底面66B側(便宜上、第1底面66BU側とする(図6(A)参照))に配置される巻線662を示すものであり、太破線は視認不可の他方の底面66B側(便宜上、第2底面66BD側とする(図6(A)参照))と内周側面66SIおよび外周側面66SOに配置される巻線662を示すものである。
 溝部664は螺旋状であり、第2底面66BD、内周側面66SIおよび外周側面66SOにも太破線で示すように形成されている。巻線662は例えば、図示の矢印a~eのように溝部664に収容されつつ螺旋の1ピッチ分が巻回され、以降同様に繰り返される。U相コイル66U,W相コイル66Wも同様に、互いに交差しない溝部664に収容されつつ巻回される。
 このように本実施形態のコモンモードコイル66は、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wが、仕切り手段665によって仕切られた状態で巻線保持部663においてトリファイラ巻きされ保持されている。
 図7は、巻線保持部663の他の形態を示す平面図である。巻線保持部663は独立した複数のパーツ(第1パーツ6631,第2パーツ6632)を組み合わせて構成されてもよい。
 図7(A)は、一例として、巻線保持部663の巻き始め部と中間部を構成する第1パーツ6631の平面図である。第1パーツ6631にはこの例では3本の溝部664が交差することなく螺旋の1ピッチ分設けられている。また図7(B)は巻線保持部663の巻き終わり部を構成する第2パーツ6632の平面図である。
 この場合、図7(C)に示すように、必要数Xの第1パーツ6631と、一つの第2パーツ6632を連続するように組み合わせることで、所望の位置に所望の巻き数の巻線保持部663を構成できる。
 巻線662の巻き数は、コモンモードコイル66の製品としての最終的なノイズ試験の結果に基づき調整することが多い。図5のように、予め溝部664の位置が決定している場合、ターン数の変更に伴い、都度、溝部664の数が異なる巻線保持部663を装着しなおしたり、成型し直したりする必要が生じる。
 これに対し、図7に示すように、巻線保持部663を複数のパーツにしておくことで、ターン数の変更に合わせて、中間部を含む第1パーツ6631の数の調整で必要な巻き数に合わせた溝部664の数を実現できる。この例では、第1パーツ6631が巻線保持部663の巻き始め部と中間部を構成するパーツとしたが、巻き始め部と中間部を更に別のパーツとしてもよい。
 この場合は、ケース材661と第1パーツ6631および第2パーツ6632は別体としてもよい。なお、図7(C)では、磁性体660の一部が露出した状態を示しているが、実際には、磁性体660は露出させず、全体がケース材661(巻線保持部663)で覆われる構成としてもよい。このとき、巻線662を巻回しない領域、すなわち巻線保持部663(第1パーツ6631,第2パーツ6632)を配置する必要がない領域は、図中破線で示すように巻線保持部663を有さないケース材661のみで覆われる。そしてケース材661の表面の所望の領域に、これとは別体の第1パーツ6631,第2パーツ6632を要求される絶縁性能に応じて適宜装着するとよい。
 図8は、巻線保持部663の更に他の形態を示す平面図である。図8(A)はコモンモードコイル66の平面図であり、図8(B)は巻線保持部663のみを示す平面図である。図8(C)は、図8(A)のV矢視図であり、巻線662を巻回した状態を説明するための概要図(実際とは異なる場合がある)。また図8(D)は、図8(B)のY-Y線断面図である。
 図8に示すように、仕切り手段665はリブ666であってもよい。リブ666は絶縁材料(例えば樹脂材)等により構成され、ケース材661の周囲にそれぞれに交差しない螺旋状に立設する。つまりリブ666は多重螺旋状(この場合は3重螺旋状)に設けられ、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wはそれぞれリブ666の間(図5の溝部664に対応)に収容、保持される。つまりこの場合、複数のリブ666により巻線保持部663が構成される(巻線保持部663はリブ666を含んで構成されるとも言える)。またリブ666(仕切り手段665)によって巻線662の通路(巻線通路)が区画されるといえ、この例では巻線通路は隣り合うリブ666の間の空間である。U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wの巻回方法は、図5(C)で説明した方法と同様である。
 図8(C)、同図(D)に示すように、リブ666は、ケース材661の表面からR方向およびC方向に突出(立設)するように設けられる。リブ666(仕切り手段665)の仕切り高さHおよび、およびL方向に隣り合う仕切り手段665の最小部分の距離(最小距離)WL(図6(B)参照)は、保持される巻線662(U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66W)の径より大きくする。隣り合う仕切り手段665の最小距離WLは、内周側面66SIに沿う距離であり(図8(B))、仕切り手段665(リブ666)の仕切り高さHは、巻線保持部663(ケース材661)表面からR方向およびC方向に突出した最大突出部までの長さである(図8(D))。
 L方向において隣り合う仕切り手段665(リブ666)間の最小距離WL、および仕切り手段665の仕切り高さHを適宜選択することで、所定の絶縁耐圧に対応した沿面距離を確保できる。
 図8の例では、リブ666は、ケース材661の全体(全周)に設けられこれにより巻線保持部663が構成される。この場合巻線保持部663とケース材661は同一物であり、またリブ666は例えばケース材661と一体的に成型される。しかしこれに限らず、リブ666はケース材661の一部にのみ設けられる構成であってもよい。
 また、リブ666は、ケース材661の全体/一部のいずれに設けられるかに依らず、ケース材661とは別体で、ケース材661(の表面)に装着することでこれと一体的になる構成であってもよい。
 この場合、リブ666はケース材661の所定位置に装着できるように、両者に係合部を設けるとよい。これにより、各相間の沿面距離がばらつくことなく、絶縁耐圧に応じた所定の沿面距離を確保できる。また、図示は省略するが、リブ666との係合部を有し、ケース材661とは別体の巻線保持ベース部を有してもよい。巻線保持ベース部は例えば、ケース材661と同形状(例えば円環中空形状)で内部にケース材661が収容可能であり、表面にリブ666との係合部を有する。ケース材661の表面に巻線保持ベース部を装着することより、巻線保持ベース部はケース材661と一体的になる。さらに、巻線保持ベース部とリブ666を係合させて巻線保持部663を構成する。巻線保持ベース部はケース材661の全体に設けられるものであってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。
 また、リブ666は連続させると多重螺旋状となる独立した複数のパーツから構成されてもよい。この場合も所望のリブ666のパーツを適宜ケース材661または巻線保持ベース部に装着可能とすることで、巻線662の(巻き数)の変更(調整)に容易に対応することができる。
 また磁性体660がトロイダルコアの場合、リブ666(および巻線保持ベース部)は、少なくとも磁性体660の中心軸C0に直交する断面線(底面66Bに平行な面)で分割可能な半割り構造となっている。
 図8(D)を参照して、C方向における仕切り手段665(リブ666)の仕切り高さHは、外周側面66SO側の高さH1より内周側面66SI側の高H2さを高くしてもよい。またR方向における仕切り手段665(リブ666)の仕切り高さHは、外周側面66SO側の高さH3より内周側面66SI側の高H4さを高くしてもよい。例えばトロイダルコアなどの場合、内周側面66SI側では、巻線662をトリファイラ巻きした場合に、L方向における沿面距離が確保しにくくなる場合がある。そのような場合に、内周側面66SI側では仕切り高さHを高くすることで沿面距離を確保可能となる。ここでは、リブ666を例示したが、溝部664の側壁664Sにおいても同様である。
 仕切り手段665の仕切り高さHやL方向において隣り合う仕切り手段665との距離(溝部664の幅WB,リブ666の最小距離WL)は、巻線662の線径(コモンモードコイル66に流れる電流)、絶縁耐圧(沿面距離)および巻線662のターン数(隣り合う仕切り手段665間に何重に巻回するか)を考慮して適宜選択される。また沿面距離は、要求に応じて必要な距離を確保する。例えば、電源電圧が高電圧化するほど、仕切り手段665の仕切り高さH、および/または隣り合う仕切り手段665の間隔を大きくして沿面距離を稼ぐ必要がある。
 図5~図8のいずれの場合も、仕切り手段665の仕切り高さHは収容される巻線662の径より大きく、巻線662は、隣り合う仕切り手段665の間に収容される。つまり、コモンモードコイル66は、(巻き始めと巻き終わりを除き)巻線保持部663の外表面から巻線662が外方に突出することなく、仕切り手段665の仕切り高さHの先端位置(最大高さ)によってコモンモードコイル66の外表面(外周側面66SOおよび底面66B)の形状が決定する。つまり巻線662のばらつきによるコモンモードコイル66の外表面(外周側面66SOおよび底面66B)の形状ばらつきが極めて少なく、他の部材と接触させた場合の密着性(面接触性)が良好となる。従って、コモンモードコイル66を他の部材に取り付ける際の安定性が向上する。また、接触させる他の部材が冷却部材である場合、コモンモードコイル66の放熱性を高めることができる。
 図9は、コモンモードコイル66の他の実施形態を示す図であり、図5(B)のZ-Z線断面に対応する断面概略図である(厳密に一致はしていない)。コモンモードコイル66は更に、巻線保持部663の一の面を覆うキャップ667を有すると好ましい。
 キャップ667は、コモンモードコイル66を他の部材500に取り付ける場合の取り付け面(他の部材500と対向する面、外周側面66SOまたは底面66B)を覆うものである。図9ではコモンモードコイル66の底面66Bが他の部材500との取り付け面となる場合を示している。
 図9(A)のキャップ667は円環状の取り付け面の全体を覆う円形状を有しているものである(キャップ667が円環状でもよい)。コモンモードコイル66とキャップ667、およびキャップ667と他の部材500はそれぞれ、絶縁性接着剤などにより固着される。上記のとおり仕切り手段665の仕切り高さHの先端位置によってコモンモードコイル66の外表面(外周側面66SOおよび底面66B)の形状が決定するが、キャップ667を設けることで、他の部材500との取り付け面となる外周側面66SOおよび底面66Bの平坦性が良好となる。つまりコモンモードコイル66を他の部材500と接触させた場合の密着性(面接触性)が良好となる。
 また、コモンモードコイル66は発熱するため、冷却部材(ヒートシンク)に取り付ける場合も多い。この場合、キャップ667は例えば、絶縁性が有り熱伝導性のよい樹脂材などにより構成する。これにより他の部材(冷却部材)500に取り付けた場合に放熱性を高めることができる。
 図9(B)のキャップ667は、同図(A)のキャップ667にコイル保持部668を設ける構成である。コイル保持部668は例えば、コモンモードコイル66の内周に挿通可能な筒状部668Aと、その先端に設けられる係合部668Bを有する。係合部668Bは、コモンモードコイル66の取り付け面(この例では底面66BD)とは逆の面(逆側の底面66BU)と係合可能に構成される。コモンモードコイル66とキャップ667、およびキャップ667と冷却部材500はそれぞれ、絶縁性接着剤などにより固着されるが、コイル保持部668を設けることによりキャップ667とコモンモードコイル66の離脱をより防止できる。
 また、図9(C)に示すように、キャップ667とコモンモードコイル66の間に絶縁性を有し熱伝導性の良好な樹脂材669を充填してもよい。樹脂材669は例えば放熱グリースや放熱シートであり、接着性を有していると望ましい。更に弾力性を有しているとより望ましい。樹脂材669は接着でなく、硬化によりコモンモードコイル66とキャップ667を一体化するものであってもよい。巻線保持部663から巻線662が突出することはないものの、仕切り手段665と巻線662の間に凹凸や隙間が生じている場合もある。樹脂材669を充填することでこの凹凸を吸収し、あるいは隙間を埋めるとともに、より放熱性を高めることができる。なお、キャップ667は例えば絶縁性接着剤などにより冷却部材500に固定される。
 さらに、図9(D)に示すように、絶縁性及び放熱性を有する樹脂材669をコモンモードコイル66と冷却部材500の間に直接的に充填してもよい。この場合樹脂材669として接着性を有するか硬化可能な材料を選択することで、コモンモードコイルと冷却部材500を直接的に固定(固着、一体化)することができる。またこの場合も巻線662側の隙間に樹脂材669が充填されるため、放熱性が向上する。また、コモンモードコイル66においても、樹脂材669と当接する部分は巻線662とケース材661(巻線保持部663)とが固定されるので、巻線662の位置ずれや巻線保持部663からの離脱を防止する効果も奏する。
 さらには、図示は省略するが、図9(C)のキャップ667に図9(B)に示すコイル保持部668を設けてもよい。また、キャップ667は接着剤によらず、ネジ等によって冷却部材500に固定するものであってもよい。
 電動圧縮機1では、ハウジング2の一部、すなわちインバータ収容部6の底部(隔壁3)が冷却部材500となるので、図9に示す方法でコモンモードコイル66を隔壁3に当接させることで、コモンモードコイル66の放熱性を高めることができる。
 発熱するコモンモードコイル66は、キュリー温度に達するとコイルとしての性能が保てなくなる。発熱を抑えるには、コモンモードコイル66のサイズを大きくし、また巻線662の線径をより太くすることが考えられる。しかしながら電動圧縮機1のインバータ装置に用いる場合には、小型化と低コスト化が望まれる。
 従来のコモンモードコイル104では例えば巻線を巻回した結果、例えば、R方向に複数重なることとなった場合、巻回状態のばらつきがそのままコモンモードコイル104の外形状(側面の形状または底面の形状)のばらつきとなる問題があった。コモンモードコイル104の外形状がばらつくと例えばこれを冷却部材に密着させようとしても、一部のみしか密着しないなど、放熱性が悪い問題がある。
 本実施形態では仕切り手段665によってコモンモードコイル66の外形状(外周側面66SOの形状、および底面66Bの形状)が既定される。コモンモードコイル66を冷却部材500に取り付ける際には、コモンモードコイル66の外周側面66SOまたは底面66Bが取り付け面となるが、その形状が安定することで取り付け性(密着性)が良好となる。また、取り付け面(特に底面66B)をキャップ667で覆う場合も、キャップ667とコモンモードコイル66の取り付け面との接触が安定する。この状態でキャップ667を冷却部材500に取り付けることで、両者の密着性を向上させ、コモンモードコイル66の放熱性を向上させることができる。
 さらに、コモンモードコイル66(またはこれを覆うキャップ667)を熱伝導性の良好な絶縁樹脂材(接着性を有する放熱シートや放熱グリースなど)を配置すれば両者を直接的に固定するとともに放熱性も良好となる。
 なお、コモンモードコイル66のいずれかの面が冷却部材500と接触すれば放熱は進行するため、例えば、コモンモードコイル66の外周側面66SOを冷却部材500に当接させてもよい。しかしながら放熱性を高めるには接触面積の大きい底面66Bを(キャップ667を介して)冷却部材500と当接させることが望ましい。
 以上、上記の実施形態では磁性体660の一例としてトロイダルコア(L方向に連続する円環状のコア)を例示したが、磁性体660の材料や形状はこれに限らない。例えば、L方向に連続しない円環状のコア(トロイダルコアでギャップを有するもの)であってもよい。
 磁性体660は例えば、図5(B)に対応する平面視において略矩形または略楕円(長円)形でありL方向に連続している(途切れていない、円環状ではない)コアであってもよい。その場合、ケース材661、巻線保持部663および仕切り手段665(いずれもケース材661と別体の場合、以下同様)は、例えば底面66Bに平行な面で分割可能な半割り構造で磁性体660に装着可能に構成される。また、円環状でないギャップを有するコアであってもよい。
 また、磁性体660は、E型コアや、R型コア、C型カットコア(C型の開放部分を突き合わせると略円形や略矩形になるコア)、その他のカットコア(端面同士を突き合わせて略円形や略矩形になるコア)であってもよい。この場合ケース材661、巻線保持部663および仕切り手段665は筒状であって、筒状内部にE型コアや、C型カットコアの一部が挿通されてこれらに装着される構成であってもよい。
 C型カットコア、その他カットコアのように複数を突き合わせて有る形状の磁性体660とする材料の場合、クランプなどによりカットコア同士を分離は可能な状態で固定してもよい。また、ケース材661や巻線保持部663を突き合わせ部分に装着することによりカットコア同士を分離は可能な状態で固定してもよい。またカットコア同士を接着剤などにより固定してもよい。
 また、磁性体660はシート状やテープ状のコア材を所定形状に積層し、或いは巻回して構成されたものであってもよい。
 また、磁性体660の材質は、電磁鋼板(ケイ素鋼板)、ダスト材(鉄ダスト、センダスト、パーマロイ)、フェライト材(ニッケル、マンガン)、箔材(アモルファス、ファインメット)など様々なものが適用可能である。
 これまで説明したように、本実施形態のコモンモードコイル66によれば、三相の巻線662(U相コイル66U,V相コイル66VおよびW相コイル66W)をトリファイラ巻きにすることで、各相の端子間容量も低減することが可能となる。このため、コモンモードコイル66の高周波帯域におけるインピーダンス低下が、従来の分割巻きのコモンモードコイル104に比して優位となる。
 また、コモンモードコイル66は、複数の仕切り手段665を有する(これを含む)巻線保持部663を有し、仕切り手段665間を巻線662の保持部(巻回の経路)とする。このため、巻線662の巻回のばらつきを少なくできる。従って、リーケージインダクタンスや端子間容量も厳密に設定可能となる。また、仕切り手段665によって隣り合う巻線662間同士を絶縁するとともに両者の沿面距離が確保できる。従って隣り合う巻線662間の距離を(沿面距離は確保した状態で)近づけることができ、コモンモードコイル66の小型化が実現する。
 また、コモンモードコイル66に巻線662を巻回した後、底面66B(または外周側面66SO)をキャップ667で覆うことにより、インバータ装置16の筐体2の一部(冷却部材500となる隔壁3)に直接、コモンモードコイル66を(接触)配置する事が可能となる。これにより、コモンモードコイル66の放熱性も向上するとともに、これを用いる装置(例えば、インバータ装置16ひいては電動圧縮機1)の小型化においても有利となる。
 さらに、仕切り手段665を有する巻線保持部663を分割可能な複数のパーツから構成することにより、製品のシリーズ展開等でインダクタンス調整(巻き数調整)が必要な場合であっても、コストや時間をかけずに対応することができる。
 以上、磁性体660にUVW相のコイル66U、66V、66Wをトリファイラ巻きするコモンモードコイル66を例示した。しかしこれに限らず、本実施形態の絶縁構造IS(仕切り手段665を有する巻線保持部663)は、絶縁が必要な複数の巻線662、例えば、印加電圧の異なる複数の巻線および/または多相交流の電流が流れる複数の巻線を磁性体660に並列巻きする場合などに適用できる。
 次に、本実施形態の絶縁構造IS(仕切り手段665付の巻線保持部663(ケース材661)を適用可能な他のコモンモードコイル114,69,69A,69Bについて説明する。巻線保持部663(ケース材661)、および仕切り手段665の構造について上記と同様な点については詳細な説明を省略し、以下の説明では、主に、巻線662が並列巻きされるコモンモードコイル114,69,69A,69Bの概念的な構造について説明する。以下の実施形態においていずれも、詳細な図示は省略しているが、磁性体113、68には上述のケース材661(巻線保持部663)と同様の構成の部材が装着されるものとする。また、電動圧縮機1およびインバータ装置16の構造は、図1に示すものと同様であるので説明は省略する。
 <コモンモードコイルの他の実施形態>
 <他の実施形態の例1>
 図10は、他の実施形態のコモンモードコイル114を示す図であり、同図(A)がコモンモードコイル114を概念的に示す平面図であり、同図(B)がコモンモードコイル114を簡略化して示す平面図である。
 例えば図14に示す従来のインバータ回路34の入出力にそれぞれコモンモードコイルを挿入することを考える。この場合のコモンモードコイル114は、図10(A)に示すように、インバータ回路34の直流入力側(単相入力側)の正極側と負極側の二つの巻線(正極巻線(コイル)111H、負極巻線(コイル)111Lとする)と、三相出力側のUVW相の巻線(U相巻線(コイル)112U、V相巻線(コイル)112V、W相巻線(コイル)112Wとする)をそれぞれ構成する五つの線を磁性体113に対して並列状にペンタファイラ巻きする。これにより入力側と出力側の巻線が磁気結合し、モータ8とハウジング2間の浮遊容量61に加え、インバータ回路34とハウジング2間の浮遊容量62を介して流出するコモンモード電流(コモンモードノイズ)の抑制を図ることが期待できる(図10(A)中黒太矢印は磁束の向きである)。
 このコモンモードコイル114においても上述の絶縁構造ISが採用できる。具体的に図10(B)に示すように、印加電圧の異なる正極コイル111H、負極コイル111Lおよび、三相交流の電流が流れるU相コイル112U、V相コイル112V、W相コイル112Wをペンタファイラ巻きする際、巻線保持部1143によってこれらを保持する。巻線保持部1143は仕切り手段1145を有している。仕切り手段1145は、例えば図5または図9に示した仕切り手段665と同様であるが、この場合多重螺旋の数が異なる。仕切り手段1145は、この例では、互いに交差することなく5重螺旋状に設けられた例えば、溝部の側壁である。この溝部に正極コイル111H、負極コイル111L、U相コイル112U、V相コイル112V、W相コイル112Wを構成する各線を収容することで、各線は仕切り手段665を介して並列に配置される。仕切り手段665により隣り合う巻線同士の接触を防ぎ、これらを所定の巻線通路(仕切り手段665間)に保持するとともに、これらの巻線662間の沿面距離を確保できる。結果、印加電圧の異なる二線および三相交流の電流が流れる三線が隣接した場合における必要な絶縁性能を担保できる。
 <他の実施形態の例2>
 図11は、別の実施例におけるインバータ装置16の電気回路の構成を示す回路ブロック図である。なお、図2に示す前述の回路構成と同一の構成については同一の符号で示し、その説明を省略する。
 既に述べたように、このような回路構成の場合、インバータ回路34を構成するスイッチング素子18のスイッチングに伴うサージ電圧(振動電圧)はモータ8側に伝達するため、電圧変動によりモータ8とハウジング2間の浮遊容量61を介してコモンモード電流が流出する。更に、ノイズ発生源であるインバータ回路34とハウジング2間の浮遊容量62を介して流出するコモンモード電流もある(何れも図11中に黒太矢印で示す)。
 特に、図1に示すような電動圧縮機1では、モータ8とハウジング2間の浮遊容量61とインバータ回路34とハウジング2間の浮遊容量62を介して流出するコモンモード電流によるノイズ(コモンモードノイズ)が支配的となる。
 そこで、本実施形態ではインバータ回路34の直流入力部(平滑コンデンサ47とインバータ回路34の間の二線)に入力側コモンモードコイル67を挿入すると共に、インバータ回路34の三相出力部(インバータ回路34とモータ8の間の三線)に出力側コモンモードコイル69を挿入している。
 図12は、コモンモードコイル69を示す図であり、同図(A)がコモンモードコイル69を概念的に示す平面図であり、同図(B)がコモンモードコイル69を簡略化して示す平面図である。図12(A)に示す如く入力側コモンモードコイル67と出力側コモンモードコイル66を、共通の一つの磁性体68に巻回して一体構造のコモンモードコイル69としている。これにより、入力側コモンモードコイル67と出力側コモンモードコイル66は磁気結合される。
 入力側コモンモードコイル67は図11に示す如く高電圧電源41の正極側に接続された正極コイル67Hと、負極側に接続された負極コイル67Lから成り、これら正極コイル67H、負極コイル67Lが例えば並列に、磁性体68に対してバイファイラ巻きされている。また、出力側コモンモードコイル66はインバータ回路34の出力のU相に接続されたU相コイル66Uと、V相に接続されたV相コイル66Vと、W相に接続されたW相コイル66Wから成り、これらU相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wが例えば並列に、磁性体68に対してトリファイラ巻きされている。尚、図12(A)中の矢印は磁束の向きを示す。
 このコモンモードコイル69においても上述の絶縁構造ISを応用できる。具体的に、図12(B)に示すようにこの例の巻線保持部693は、仕切り手段695を有する。仕切り手段695は例えば、互いに交差しない5本の螺旋状の溝部の側壁である。この溝部のそれぞれに正極コイル67Hおよび負極コイル67Lと、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wを収容する。この例では、正極コイル67Hおよび負極コイル67Lは図12(B)における左側に巻き始めがあり右側に巻き終わりがあるように示している。また、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wは、図12(B)における右側に巻き始めがあり左側に巻き終わりがあるように示している。この仕切り手段695によって隣り合う巻線同士が分離・絶縁される。
 このコモンモードコイル69は、図10に示すコモンモードコイル114の場合と比較して、入力側コモンモードコイル67と出力側コモンモードコイル66の間の寄生容量が低減される。
 <他の実施形態の例3>
 次に、図13は他の例のコモンモードコイル69Aの構造を示している。この例でも、図13に示す如く入力側コモンモードコイル67と出力側コモンモードコイル66は、共通の一つの磁性体68に巻回されて一体構造のコモンモードコイル69Aとされている。これにより、入力側コモンモードコイル67と出力側コモンモードコイル66は磁気結合される。
 この実施例の場合、入力側コモンモードコイル67は高電圧電源41の正極側に接続された正極コイル67Hと、負極側に接続された負極コイル67Lの二線が分割して磁性体68に巻回されている。尚、出力側コモンモードコイル66はU相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wが例えば並列に、磁性体68に対してトリファイラ巻きされている。尚、図13中の矢印は磁束の向きを示す。
 このコモンモードコイル69Aにおいても上述の絶縁構造ISが採用できる。具体的に、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wをトリファイラ巻きする際、巻線保持部663によってこれらを保持し、仕切り手段665(不図示)によって隣り合う巻線同士を分離する。巻線保持部663ではU相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wが仕切り手段665を介して並列に配置される。この場合、図7に示した第1パーツ6631と、第2パーツ6632によって、磁性体68の所望の領域に、U相コイル66U、V相コイル66V、W相コイル66Wの巻線保持部663を構成できる。仕切り手段665により隣り合う巻線同士の接触を防ぎ、これらを所定の巻線通路(仕切り手段665間)に保持するとともに、これらの巻線662間の沿面距離を確保できる。
結果、必要な絶縁性能を確保できる。
 なお、上述の実施形態にける各巻線662の巻き数は一例であり図示の例に限らない。
 以上のように、本実施形態の絶縁構造ISにより各巻線間の絶縁を確実に確保することができる。
 また、巻線状態のばらつきによるコモンモードコイルの外形状のばらつきを抑制できる。従って冷却部材500等に取り付け、接触させる場合の取り付け面の形状ばらつきを少なくできる。また、必要以上に巻線間の距離を大きく確保する必要がないため、コモンモードコイルの小型化が可能となる。
 なお、複数の巻線662はそれぞれの螺旋構造(コイル)の全体が上述の並列巻き(バイファイラ巻き、トリファイラ巻き、ペンタファイラ巻きなど)でなくてもよく、並列巻きと分割巻きが混在していてもよい。
 尚、上記の実施形態ではDC300V程の高電圧バッテリから成る高電圧電源41と、DC12V程のバッテリから成る低電圧電源42を設け、この低電圧電源42から高電圧回路64側の直流電圧(HV15V、HV5V)を生成する場合で説明したが、それに限らず、高電圧電源41から直接高電圧回路64側の直流電圧(HV15V、HV5V)を生成するようにしてもよい。
 上記の実施形態では、電動圧縮機1のモータを駆動するインバータ装置16を例に説明したが、それに限らず、モータを駆動する種々のインバータ装置に適用可能である。更に、実施例で示した具体的な構成や数値はそれに限られるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
 本発明は、電動圧縮機の分野に利用できる。
1  電動圧縮機
2  ハウジング
3  隔壁
4  圧縮機構収容部
6  インバータ収容部
7  圧縮機構
8  モータ
9  ステータ
11  ロータ
12  軸受部
13  駆動軸
14  吸入口
16  インバータ装置
17  基板
18  スイッチング素子
22  端子部
23  蓋部材
24  ボス部
34  インバータ回路
36  制御回路
36  ゲートドライバ(制御回路
37  高電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)
38  低電圧回路フィルタ(EMIフィルタ)
39  スイッチング電源装置
41  高電圧電源(HV電源)
42  低電圧電源(LV電源)
58  スイッチング素子
60  スイッチングトランス
61  浮遊容量
62  浮遊容量
63  低電圧回路
64  高電圧回路
66  コモンモードコイル
66B  底面
66SI  内周側面
66SO  外周側面
66U  U相巻線
66V  V相巻線
66W  W相巻線
67  入力側コモンモードコイル
67H  正極巻線
67L  負極巻線
68  磁性体
69,69A,69B  コモンモードコイル
100  電動圧縮機
101  低電圧回路
102  高電圧回路
103  インバータ装置
104  コモンモードコイル
104U  U相巻線(コイル)
104V  V相巻線(コイル)
104W  W相巻線(コイル)
106  コア
113  磁性体
114  コモンモードコイル
500  冷却部材
660  磁性体
661  ケース材
662  巻線
663  巻線保持部
664B  底部
664S  側壁
665  仕切り手段
666  リブ
667  キャップ
668  コイル保持部
668A  筒状部
668B  係合部
669  樹脂材
IS  絶縁構造

Claims (15)

  1.  磁性体と、
     前記磁性体に装着可能であり、少なくとも一部に巻線保持部を有するケース材と、
     それぞれ印加電圧の異なる複数の巻線および/または多相交流の電流が流れる複数の巻線と、を備え、
     前記巻線保持部の少なくとも一部において、前記複数の巻線が並列に隣り合うように巻回されるコモンモードコイルであって、
     前記巻線保持部は、絶縁部材で構成され、隣り合う巻線同士の間に介在する仕切り手段を有する、
    ことを特徴とするコモンモードコイル。
  2.  前記巻線保持部は前記複数の巻線の少なくとも一部が収容可能であり且つ、それぞれに交差しない螺旋状の複数の溝を有し、前記仕切り手段は該複数の溝の側壁部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードコイル。
  3.  前記仕切り手段は、前記巻線保持部においてそれぞれに交差せずに螺旋状に立設するリブである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードコイル。
  4.  前記巻線保持部は、独立した複数のパーツの組み合わせにより構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードコイル。
  5.  前記巻線保持部の一の面を覆うキャップを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードコイル。
  6.  前記仕切り手段の仕切り高さは前記磁性体の外周側より内周側の内側の方が高い、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコモンモードコイル。
  7.  請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコモンモードコイルと、
     スイッチング素子より構成された三相のインバータ回路と、を備え、
     前記インバータ回路によりモータを駆動する、
    ことを特徴とするインバータ装置。
  8.  前記コモンモードコイルは、前記インバータ回路の三相出力部に挿入されるものであり、UVW相の巻線は、前記仕切り手段によって仕切られた状態で前記巻線保持部においてトリファイラ巻きされている、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  9.  前記コモンモードコイルは、前記磁性体を共通として前記インバータ回路の直流入力部に挿入される入力側コモンモードコイル部と、前記インバータ回路の三相出力部に挿入される出力側コモンモードコイル部を含む、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  10.  前記入力側コモンモードコイル部の正極側と負極側の二つの巻線は、前記仕切り手段によって仕切られた状態で前記巻線保持部においてバイファイラ巻きされ、
     前記出力側コモンモードコイル部のUVW相の巻線は、前記仕切り手段によって仕切られた状態で前記巻線保持部においてトリファイラ巻きされる、
    ことを特徴とする請求項9に記載のインバータ装置。
  11.  前記入力側コモンモードコイル部の正極側と負極側の二線は分割巻きされ、
     前記出力側コモンモードコイル部のUVW相の三線は、前記仕切り手段によって仕切られた状態で前記巻線保持部においてトリファイラ巻きされる、
    ことを特徴とする請求項9に記載のインバータ装置。
  12.  高電圧電源から電源が供給される前記インバータ回路を含む高電圧回路と、低電圧電源から電源が供給される低電圧回路を備える、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  13.  車両に搭載される、
    ことを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  14.  請求項13に記載のインバータ装置と、
     前記モータが収容されるハウジングと、
     前記ハウジングに構成された収容部と、を備え、
     前記インバータ装置が前記収容部に収容される、
    ことを特徴とする電動圧縮機。
  15.  前記ハウジングの一部が冷却部材となるように構成され、前記コモンモードコイルの少なくとも一部が該冷却部材に当接している、
    ことを特徴とする請求項14に記載の電動圧縮機。
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