WO2023013051A1

WO2023013051A1 - 浮上装置、情報管理装置、及び分離移動体

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Publication number: WO2023013051A1
Application number: PCT/JP2021/029381
Authority: WO
Inventors: 清貴宮川; 大悟草野
Original assignee: 株式会社アミューザジャパン; 株式会社パテントインベストメント
Priority date: 2021-08-06
Filing date: 2021-08-06
Publication date: 2023-02-09
Also published as: JPWO2023013051A1

Abstract

本発明は、浮上装置が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることを課題とする。　浮上装置１００は、水中ＵＷに潜水した潜水体２００から放たれて水上ＯＷに浮上するとともに外部通信機３００との間で通信を行う。浮上装置１００は、潜水体２００から放たれた当該浮上装置１００を水中ＵＷから水上ＯＷに浮上させる浮上部と、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、外部通信機３００に対象情報を送信可能な通信部と、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、当該浮上装置１００の少なくとも一部である対象部位を移動させる移動部と、を備える。

Description

浮上装置、情報管理装置、及び分離移動体

　本開示は、浮上装置、情報管理装置、及び分離移動体に関する。

　水中に潜水した潜水体において事故又は遭難等のトラブルが発生した場合に外部との間で通信可能とするための技術が知られている。例えば、特許文献１には、水底で移動不能となった母船から浮上装置を放出し、当該浮上装置が浮力により水面まで浮上するとともに浮上した位置から救難信号を発信する技術が開示されている。

特開２００２－３１４４３９号公報

　上述した技術では、浮上装置は浮上した位置から救難信号を発信する。しかし、浮上装置が浮上した位置が、必ずしも救難信号を発信するのに適した位置であるとは限らない。すなわち、浮上装置が浮上した位置から救難信号が発信されるよりも、当該位置とは異なる位置から救難信号が発信された方が、例えば外部通信機により当該救難信号を受信されやすい場合がある。

　そこで、本開示に係る浮上装置、情報管理装置、及び分離移動体は、浮上装置が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることを目的とする。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、水中（ＵＷ）に潜水した潜水体（２００）から放たれて水上（ＯＷ）に浮上するとともに外部通信機（３００）との間で通信を行う浮上装置（１００）であって、潜水体（２００）から放たれた当該浮上装置（１００）を水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上させる浮上部（２０）と、当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、外部通信機（３００）に対象情報を送信可能な通信部（１０）と、当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、当該浮上装置（１００）の少なくとも一部である対象部位を移動させる移動部（１３）と、を備える。

　この浮上装置（１００）によれば、当該浮上装置（１００）が潜水体（２００）から放たれて水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、浮上した位置から対象部位を移動させることができる。したがって、浮上装置（１００）は、移動した対象部位を利用することにより、当該浮上装置（１００）が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、対象部位を飛行させることにより移動させ、通信部（１０）は、移動部（１３）により対象部位が飛行することを開始した後に、外部通信機（３００）に対象情報を送信してもよい。これによれば、対象部位が水面（ＷＳ）よりも高い位置を飛行することにより、対象部位からの見通し距離を長くすることができる。したがって、外部通信機（３００）との間で通信を行いやすくすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、通信部（１０）は、移動部（１３）により対象部位が高度１５ｍ以上の高さを飛行している状態において、外部通信機（３００）に対象情報を送信してもよい。これによれば、上述した浮上装置（１００）により奏される作用及び効果がより具体的に実現される。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、対象部位を上向きに推進させる上向推進力を発生させることにより、対象部位を飛行させてもよい。つまり、対象部位は、上向推進力により上向きに推進される一方で、横向きには位置を制御されなくてもよい。これによれば、移動部（１３）は、対象部位を移動させるために利用可能なエネルギーのうち、より多くのエネルギーを上向きの推進に利用することができる。したがって、対象部位をより高い高度まで上昇させることができるため、対象部位からの見通し距離をより長くすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、飛行している対象部位を真下に向かうように降下させてもよい。これによれば、対象部位が飛行していた位置座標と、対象部位が降下した位置座標とを略一致させることができる。したがって、対象部位が降下した位置座標を検出することにより、対象部位が飛行していた位置座標を推定しやすくなる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、飛行している対象部位を真下とは異なる位置に向かうように降下させてもよい。これによれば、対象部位が降下しながら位置座標を変えることができるため、より広範な領域への降下が可能になる。また、これは、例えば移動部（１３）が横向きの制御を抑制することによって実現されてもよく、この場合には移動部（１３）によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、通信部（１０）により外部通信機（３００）に対象情報が送信された後に、飛行している対象部位を同じ位置に留まらせてもよい。これによれば、外部通信機（３００）に対象情報をより確実に送信可能な位置に、対象部位を留まらせることができる。このため、仮に外部通信機（３００）に対象情報を再度送信する必要が生じた場合にも速やかに送信することができる。また、対象部位が同じ位置に留まっているため、浮上装置（１００）が他者から発見されやすい。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、通信部（１０）により外部通信機（３００）に対象情報が送信された後に、動作を停止してもよい。これによれば、移動部（１３）によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、当該浮上装置（１００）の一部である分離移動体（１）を具備し、分離移動体（１）は、通信部（１０）と、移動部（１３）と、を備え、当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、当該浮上装置（１００）の残部と分離して移動部（１３）により移動してもよい。これによれば、浮上装置（１００）の全部ではなく分離移動体（１）を移動させるため、移動部（１３）によるエネルギーの消費を抑制することができる。また、分離移動体（１）には通信部（１０）が設けられているため、移動した分離移動体（１）から外部と通信可能とすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、分離移動体（１）を飛行させることにより移動させてもよい。これによれば、分離移動体（１）が水面（ＷＳ）よりも高い位置を飛行することにより、分離移動体（１）からの見通し距離を長くすることができる。したがって、外部通信機（３００）との間で通信を行いやすくすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、開閉部（２２）を備え、開閉部（２２）を閉状態とすることにより分離移動体（１）を内部に密閉状態で収容可能、且つ、開閉部（２２）を開状態とすることにより密閉状態を解除するとともに分離移動体（１）を内部から外部に移動可能とする収容体（２）を具備し、分離移動体（１）は、開閉部（２２）が閉状態とされた収容体（２）の内部に収容された状態において当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上し、開閉部（２２）が開状態とされた後に、収容体（２）と分離して移動部（１３）により移動してもよい。これによれば、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上するまでの間は分離移動体（１）を収容体（２）の内部に密閉状態で収容することで分離移動体（１）が水に接することを抑制することができる。また、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後には、収容体（２）から分離移動体（１）を分離して分離移動体（１）を移動させることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上したことを検知する検知部（２１）を備え、収容体（２）は、検知部（２１）により当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上したことが検知された場合に、開閉部（２２）を開状態としてもよい。これによれば、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上するまでの間は分離移動体（１）を収容体（２）の内部に密閉状態で収容することで分離移動体（１）が水に接することを抑制するという浮上装置（１００）による作用及び効果を好適に奏することができる。また、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後には、収容体（２）から分離移動体（１）を分離して分離移動体（１）を移動させるという浮上装置（１００）の作用及び効果を好適に奏することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、収容体（２）は、開閉部（２２）が閉状態とされた状態において油（Ｆ）が充填されていてもよい。これによれば、油（Ｆ）をいわゆる均圧油として機能させることにより、分離移動体（１）等の収容体（２）内部の機器に加わる水圧を抑制することができる。また、油（Ｆ）により、浮上装置（１００）に水がかかった場合に当該水から浮上装置（１００）の内部の機器を保護することが可能となる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、収容体（２）は、平均密度が２．０ｇ／ｃｍ^３以下となるように構成されていてもよい。これによれば、収容体（２）の重量を低減することができるため、収容体（２）の重量が浮上装置（１００）の浮上の妨げとなることを抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、収容体（２）の内部に分離移動体（１）が収容された状態において分離移動体（１）と収容体（２）とを互いに固定可能な固定部を備え、分離移動体（１）は、開閉部（２２）が閉状態とされた収容体（２）の内部に収容された状態において当該浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上し、開閉部（２２）が開状態とされ、且つ、固定部による収容体（２）との固定が解除された後に、収容体（２）と分離して移動部（１３）により移動してもよい。これによれば、分離移動体（１）が収容体（２）から分離するよりも前に、例えば海流又は波等の影響により分離移動体（１）が収容体（２）内部で傾斜又は転倒等することを抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、収容体（２）は、外面が曲面により構成された曲面部（Ｃ）と、外面が平面により構成された非曲面部（Ｐ）と、を備えてもよい。これによれば、曲面部（Ｃ）においては収容体（２）の耐圧性を向上させやすく、また、非曲面部（Ｐ）においては開閉部（２２）の開閉機構を形成しやすい。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、分離移動体（１）は、水に浮いてもよい。これによれば、分離移動体（１）が水面（ＷＳ）に降下した場合に水没することを抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、潜水体（２００）は、乗員が搭乗可能な搭乗用潜水体であってもよい。これによれば、上述した浮上装置（１００）により奏される作用及び効果がより具体的に実現される。特に、浮上装置（１００）が、乗員の救助を要請するための救難信号を発信するために利用され得る。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、対象部位を特定の方向に移動させてもよい。これによれば、対象情報を受信されやすい位置に向かう方向に対象部位を移動させることで、外部通信機（３００）との間でより通信を行いやすくすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、通信部（１０）により外部通信機（３００）に送信された対象情報を外部通信機（３００）が受信したか否かを判定する判定部（１１）を備え、移動部（１３）は、判定部（１１）により対象情報を外部通信機（３００）が受信したと判定された場合には、対象部位を移動させなくてもよい。これによれば、対象情報を外部通信機（３００）が受信した場合には分離移動体（１）を移動させないため、移動部（１３）によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、対象情報は、潜水体（２００）及び当該浮上装置（１００）の少なくともいずれかの位置を示す位置情報を含んでもよい。これによれば、潜水体（２００）の現在位置に関する情報を外部通信機（３００）に送信することができる。特に、潜水体（２００）の救難信号を対象情報として発信する場合には、より迅速に救助が実行されやすくなる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、対象情報は、潜水体（２００）の状況を示すステータス情報を含んでもよい。これによれば、潜水体（２００）の現在の状況に関する情報を外部通信機（３００）に送信することができる。また、外部通信機（３００）を介して潜水体（２００）の現在の状況に関する情報を救助隊等が取得する場合には、潜水体（２００）の現在の状況に関する情報を把握させることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、対象情報は、１Ｂ以上５０Ｂ以下のデータ量を有していてもよい。これによれば、対象情報のデータ量を低減することができるため、対象情報をより遠くまで送信することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、通信部（１０）は、１０００ＭＨｚ以下の周波数の電波により外部通信機（３００）との間で通信を行ってもよい。これによれば、通信に用いられる電波の波長を長波長化することができるため、対象情報をより遠くまで送信することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）は、対象部位が移動すべき距離、高度、及び時間のうち少なくともいずれかを示す移動パラメータを設定する移動パラメータ設定部（１２）を備え、移動部（１３）は、移動パラメータ設定部（１２）により設定された移動パラメータに応じて、対象部位を移動させてもよい。これによれば、対象情報を受信されやすい位置に対象部位を移動させることで、外部通信機（３００）との間でより通信を行いやすくすることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、当該浮上装置（１００）が利用可能なエネルギーのうち、対象部位を移動させるために当該移動部（１３）が利用可能なエネルギーが尽きるまで、対象部位を移動させ、通信部（１０）は、当該浮上装置（１００）が利用可能なエネルギーのうち、外部通信機（３００）に対象情報を送信するために当該通信部（１０）が利用可能なエネルギーが尽きるまで、外部通信機（３００）に対象情報を送信してもよい。これによれば、移動部（１３）及び通信部（１０）が多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機（３００）との通信が成功しやすくなる。また、移動部（１３）及び通信部（１０）が多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機（３００）と通信することができるデータ量を増大させることができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、移動部（１３）は、当該移動部（１３）の動作確認のために対象部位をテスト移動させるテスト移動モードを選択可能であってもよい。これによれば、移動部（１３）が適切に動作するか否かを予め確認することができる。

　本開示の一態様に係る浮上装置（１００）では、通信部（１０）は、当該通信部（１０）の動作確認のために外部通信機（３００）にテスト情報を送信するテスト通信モードを選択可能であってもよい。これによれば、これによれば、通信部（１０）が適切に動作するか否かを予め確認することができる。

　本開示の一態様に係る情報管理装置（４００）は、上述したいずれかの浮上装置（１００）に関する識別情報を取得する識別情報取得部（３０）と、浮上装置（１００）に備えられた通信部（１０）により外部通信機（３００）に送信された対象情報を取得する対象情報取得部（３１）と、識別情報取得部（３０）により取得された識別情報、及び、対象情報取得部（３１）により取得された対象情報を互いに紐づけて管理する情報管理部（３３）と、を備える。

　この情報管理装置（４００）によれば、浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能な浮上装置（１００）について、外部通信機（３００）に送信した対象情報を浮上装置（１００）ごとに管理することが可能となる。

　本開示の一態様に係る情報管理装置（４００）では、対象情報は、潜水体（２００）の状況を示すステータス情報を含んでもよい。これによれば、潜水体（２００）の状況に関する情報を管理することができる。

　本開示の一態様に係る情報管理装置（４００）は、対象情報取得部（３１）により対象情報が取得された後に、潜水体（２００）への対応に関する対応情報を生成する対応情報生成部（３５）を備えてもよい。これによれば、救難信号等の対象情報を受信した後の救助対応の情報を管理することができるため、例えば管理者等が潜水体（２００）への対応の状況を把握することが可能となる。

　本開示の一態様に係る情報管理装置（４００）は、潜水体（２００）に関する連絡先の連絡先情報を取得する連絡先情報取得部（３２）を備え、情報管理部（３３）は、連絡先情報取得部（３２）により取得された連絡先情報を識別情報と紐づけて管理し、対象情報取得部（３１）により新たな対象情報が取得された場合に、当該対象情報と紐づけられる識別情報と紐づけられた連絡先情報に基づいて連絡先に連絡を行う情報連絡部（３４）を更に備えてもよい。これによれば、浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能な浮上装置（１００）について、潜水体（２００）に関する連絡先の連絡先情報を浮上装置（１００）ごとに管理することが可能となる。そして、新たな対象情報が取得された場合に、その対象情報を送信した浮上装置（１００）に係る潜水体（２００）の連絡先に連絡を行うことができる。したがって、例えば、いずれかの潜水体（２００）の浮上装置（１００）から救難信号が発信されたことを契機として、当該潜水体（２００）の関係者に迅速に連絡を行うことが可能となる。

　本開示の一態様に係る分離移動体（１）は、水中（ＵＷ）に潜水した潜水体（２００）から放たれて浮上部（２０）により水上（ＯＷ）に浮上するとともに外部通信機（３００）との間で通信を行う浮上装置（１００）の一部である分離移動体（１）であって、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、外部通信機（３００）に対象情報を送信可能な通信部（１０）と、浮上装置（１００）が水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、浮上装置（１００）の残部と分離した当該分離移動体（１）を移動させる移動部（１３）と、を備える。

　この分離移動体（１）によれば、当該分離移動体（１）を具備する浮上装置（１００）が潜水体（２００）から放たれて水中（ＵＷ）から水上（ＯＷ）に浮上した後に、浮上した位置から分離移動体（１）を移動させることができる。したがって、分離移動体（１）は、浮上装置（１００）が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることができる。

　なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。

　このように、本開示に係る浮上装置、情報管理装置、及び分離移動体は、浮上装置が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることができる。

図１は、第１実施形態に係る浮上装置及び情報管理装置を示すブロック図である。図２は、浮上装置と外部通信機との間での通信を示す図である。図３は、水中に潜水した潜水体に搭載されている浮上装置を示す図である。図４は、潜水体から放たれて浮上している浮上装置を示す図である。図５は、水上に浮上した浮上装置を示す図である。図６は、収容体の開閉部が開状態とされた浮上装置を示す図である。図７は、開閉部が開状態とされた収容体、及び、当該収容体から飛行を開始した分離移動体を示す図である。図８は、収容体から上向きに推進される分離移動体を示す図である。図９は、飛行している状態から真下に向かうように下降する分離移動体を示す図である。図１０は、飛行している状態から真下とは異なる位置に向かうように下降する分離移動体を示す図である。図１１は、第２実施形態に係る浮上装置を示す図である。

　以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

［第１実施形態］
［全体構成］
　図１は、第１実施形態に係る浮上装置１００及び情報管理装置４００を示すブロック図である。図２は、浮上装置１００と外部通信機３００との間での通信を示す図である。図３は、水中ＵＷに潜水した潜水体２００に搭載されている浮上装置１００を示す図である。図４は、潜水体２００から放たれて浮上している浮上装置１００を示す図である。図５は、水上ＯＷに浮上した浮上装置１００を示す図である。図１～図５に示されるように、浮上装置１００は、水中ＵＷに潜水した潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上するとともに外部通信機３００との間で通信を行う装置である。つまり、浮上装置１００は、初期状態においては潜水体２００に搭載又は保持されている。情報管理装置４００は、浮上装置１００に関する各種の情報を例えば外部通信機３００等から取得し、当該情報を管理する装置である。

　ここでは、浮上装置１００は、潜水体２００が外部通信機３００に救難信号を発信する際に用いられる。例えば、浮上装置１００は、水中ＵＷで事故又は遭難等のトラブルが発生した潜水体２００が乗員の救助を要請するための救難信号を、外部通信機３００に発信する。浮上装置１００は、外部通信機３００により救難信号を受信されやすい位置に移動して（浮上装置１００の少なくとも一部を移動させて）当該救難信号を送信可能に構成されている。水中ＵＷで潜水体２００に発生し得るトラブルとしては、例えば、岩によるスタック、エンジントラブル、乗員の急な体調不良、燃料切れ、火災、又は酸素不足等が想定される。

　なお、浮上装置１００の用途は救難信号の発信（救助要請）に限定されず、また、浮上装置１００により外部通信機３００に送信される信号は救難信号に限定されない。例えば、浮上装置１００の用途は、乗員の身が安全であることの通知であってもよく、潜水体２００の周囲の状況の通知であってもよく、潜水体２００等が水中ＵＷで実行した各種調査の結果の報告であってもよい。

　「水中」とは、少なくとも水面ＷＳよりも下側の水に潜った位置を意味している。より詳細には、水中ＵＷとは、水面ＷＳよりも所定程度（例えば、５０ｃｍ又は１ｍ等）以上深く水に潜った位置を意味していてもよい。実際の浮上装置１００の使用態様の例としては、水深１００ｍ程度まで水中ＵＷに潜水した潜水体２００から浮上装置１００が放たれてもよく、水深５００ｍ程度まで水中ＵＷに潜水した潜水体２００から浮上装置１００が放たれてもよい。

　「水上」とは、水面ＷＳ付近を意味している。つまり、水上ＯＷとは、水面ＷＳと同等の高さの位置、水面ＷＳよりも上側の位置、及び水面ＷＳよりも下側であり水面ＷＳからの深さ（水深）が所定程度（例えば、５０ｃｍ等）以下の位置であってもよい。ここで、水面ＷＳからの深さは、浮上装置１００の最上部で計測されてもよく、中心部で計測されてもよく、重心部で計測されてもよい。水中ＵＷと水上ＯＷとは境界面において互いに接していてもよく、あるいは、水中ＵＷと水上ＯＷとは別途の層を挟んで垂直方向に分離していてもよい。

　「水中から水上に浮上する」とは、水中ＵＷから水上ＯＷまで上方又は斜め上方に向かって浮上することを意味している。「浮上」とは、例えば浮力による上方又は斜め上方への移動であってもよく、スクリュー又はスラスタ等の機械的な推進力による上方又は斜め上方への移動であってもよく、その他の手段による上方又は斜め上方への移動であってもよい。なお、「水上に浮上している」とは、水上ＯＷに向かって浮上している最中であり、且つ、その位置から更に浮上を継続し得る状態を意味している。一方、「水上に浮上した」とは、水上ＯＷへの浮上を完了した状態を意味しており、換言すると、それ以上浮上しない位置又は当該位置に近い位置まで浮上した状態を意味している。なお、「水上に浮上した」とは、浮上装置１００の少なくとも一部が水面ＷＳよりも上側に出るまで浮上した状態を意味していてもよい。なお、ここでは「水」とは海、湖、川等の水であってもよく、その他の水であってもよい。

　「潜水体」とは、水中ＵＷに潜水可能な主体である。具体的には、潜水体２００とは、潜水艇、潜水艦、水中ＵＷに設置された建造物若しくは装置、又は、水中ＵＷに潜水したユーザ（ダイバー）等であってもよい。潜水体２００が潜水艇又は潜水艦等である場合には、潜水体２００は、乗員が搭乗可能な搭乗用潜水体であってもよく、乗員が搭乗不能な非搭乗用潜水体であってもよい。ここでは、潜水体２００として、搭乗用潜水体として構成された潜水艇が例示されている。

　「放たれる」とは、浮上装置１００が潜水体２００に搭載又は保持されている状態が解除されて、浮上装置１００が潜水体２００から離れることを意味している。このとき、浮上装置１００と潜水体２００とは完全に分離してもよく、ワイヤー等による連結を維持したまま浮上装置１００の本体部分が潜水体２００から分離してもよい。

　例えば潜水体２００が潜水艇、潜水艦、又は水中ＵＷに設置された建造物若しくは装置等である場合には、当該潜水体２００に対して固定機構により固定（搭載）された浮上装置１００が、固定機構の固定が解除されることによって当該潜水体２００から放たれてもよい。また、例えば潜水体２００が水中ＵＷに潜水したユーザ等である場合には、当該潜水体２００に保持された浮上装置１００が当該潜水体２００により放たれてもよい。

　上述したように、本実施形態においては、潜水体２００は、搭乗用潜水体として構成された潜水艇である。潜水体２００は、潜水及び航行等を行うために用いられる種々の装置を備えている（不図示）。また、潜水体２００は、船体部５０、台座部５１、バッテリ５２、ケーブル５３、及び第１固定機構５４を備えている。

　船体部５０は、潜水体２００の本体部としての船体部分である。船体部５０は、その内部に乗員の搭乗スペース等を有している。台座部５１は、船体部５０の上面に設けられ、浮上装置１００が固定される台座である。バッテリ５２は、第１固定機構５４に電力を供給するための蓄電池であり、ケーブル５３により第１固定機構５４と電気的に接続されている。

　第１固定機構５４は、浮上装置１００を潜水体２００の台座部５１上に固定するための機構である。第１固定機構５４は、ここでは電磁石として構成されており、バッテリ５２から電力が供給されることにより磁力を発生させる。後述するように浮上装置１００には磁性体からなる第２固定機構２４が設けられている。これにより、バッテリ５２から第１固定機構５４に電力が供給されると電磁石が磁力を発生させ、この磁力によって浮上装置１００の第２固定機構２４が潜水体２００側に引き付けられて浮上装置１００が台座部５１上に固定される。一方、バッテリ５２から第１固定機構５４への電力の供給が停止されると電磁石が磁力を発生させなくなり、浮上装置１００の第２固定機構２４が潜水体２００側に引き付けられなくなるため浮上装置１００が台座部５１から放たれることとなる。

　浮上装置１００は、潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上するとともに、当該浮上装置１００の対象部位を移動させて外部通信機３００との間で通信を行う装置である。「対象部位」とは、浮上装置１００の少なくとも一部の部位であり、後述する移動部１３によって移動される部分である。なお、「少なくとも一部の部位」とは、浮上装置１００の全部の部位（浮上装置１００全体）であってもよく、浮上装置１００の一部のみの部位であってもよいことを意味している。

　また、「対象部位の移動」とは、水面ＷＳ上の移動であってもよく、空中の移動（飛行）であってもよく、地上の地面ＧＳ上の移動であってもよい。対象部位は、水中ＵＷ、水上ＯＷ、及び空中を移動可能な水空両用ドローンとして構成されていてもよく、水中ＵＷ、水上ＯＷ、及び地上の地面ＧＳ上を移動可能な水陸両用ドローンとして構成されていてもよい。

　浮上装置１００の体積は、潜水体２００への搭載（又は保持）の便宜上、１００００ｃｍ^３以下が好ましく、５０００ｃｍ^３以下がより好ましく、３０００ｃｍ^３以下がより一層好ましい。また、浮上装置１００の重量は、潜水体２００への搭載（又は保持）の便宜上、及び、浮上のしやすさの観点から、５ｋｇ以下が好ましく、３ｋｇ以下がより好ましく、１ｋｇ以下がより一層好ましい。

　浮上装置１００は、分離移動体１及び収容体２を備えている。分離移動体１は、浮上装置１００において収容体２から分離して移動可能な装置である。本実施形態においては、分離移動体１が対象部位に相当する。つまり、本実施形態においては、対象部位は浮上装置１００の一部の部位であって全部の部位ではない。「分離する」とは、分離移動体１が収容体２から一切の接続がない状態で完全に分かれることを意味してもよく、あるいは、分離移動体１が収容体２との間でワイヤー等による連結を維持したまま部分的に分かれることを意味してもよい。分離移動体１は、いわゆるドローン（無人航空機）であり、具体的には、複数の鉛直軸線回りにそれぞれ回転する複数基のプロペラが設けられたマルチコプター（回転翼機）である。より具体的には、分離移動体１は、４基のプロペラが設けられたクアッドコプターである。

　収容体２は、開閉可能な一対の半球状容器としての外観を呈し、分離移動体１を内部に密閉状態で収容する筐体である。「密閉状態」とは、水中ＵＷにおいて収容体２の内部に水が浸入しないように外殻が閉じていることを意味している。収容体２は、例えば浮上装置１００が水中ＵＷに位置しているような場合に、分離移動体１を周囲の水から遮断した状態で収容可能である。具体的には、収容体２は、潜水体２００に固定されている浮上装置１００が潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上するまで、分離移動体１が周囲の水から遮断された状態を維持する。また、収容体２は、浮上装置１００が潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後には、密閉状態を解除して分離移動体１を内部から外部に移動（離脱）可能とする。収容体２は、例えばカーボン、ガラス、アクリル、ゴム、プラスチック、又はポリエチレン等であってもよい。収容体２は、形状が定まった固形であってもよく、形状の定まらない袋状のものであってもよい。

　収容体２は、曲面部Ｃ及び非曲面部Ｐを備えている。「曲面部」とは、外面が曲面により構成された部分である。「非曲面部」とは、外面が平面により構成された部分である。非曲面部Ｐは、外面が平面の組合せによる凹凸面により構成されていてもよい。ここでは、非曲面部Ｐは、後述する開閉部２２のヒンジが設けられた部分である。また、曲面部Ｃは、非曲面部Ｐ以外の部分であり、球体の一部をなすように構成されている。

　収容体２の最大長は、好ましくは３０ｃｍ以下であり、より好ましくは２５ｃｍ以下であり、より一層好ましくは２０ｃｍ以下である。このように収容体２がコンパクトに構成されることにより持ち運びや搭載等の利便性が向上する。また、収容体２は、平均密度が２．０ｇ／ｃｍ^３以下となるように構成されている。「収容体の平均密度」とは、収容体２の内部の空間を収容体２の体積に含まずに計算された平均密度である。このように収容体２の密度が小さく構成されることにより、重量が低減される。これによっても、収容体２の持ち運び等の利便性が向上する。

　収容体２の機能的な構成について説明する。収容体２は、浮上部２０、検知部２１、開閉部２２、及び第２固定部２３を有している。

　浮上部２０は、潜水体２００から放たれた浮上装置１００を水中ＵＷから水上ＯＷに浮上させる。浮上部２０が浮上装置１００を浮上させる手段（すなわち、浮上部２０の具体的な態様）は特に限定されない。例えば、浮上部２０は、浮上装置１００を浮上させるための推進器（スラスタ又はスクリュー等）であってもよい。あるいは、浮上部２０は、浮上装置１００が水に浮くように、浮上装置１００の密度（平均密度）を水の密度よりも小さくさせるための構造部分であってもよい。具体的には、浮上部２０は、浮上装置１００の重量を軽量化するための構造部分であってもよく、浮上装置１００に密封される空気量（つまり、浮上装置１００の容積）を増大させるための構造部分であってもよい。浮上部２０は、密閉状態とされた収容体２の内部に空気を導入する空気導入機構であってもよい。浮上部２０は、浮上装置１００のうち特定の部位を意味していなくてもよく、例えば密度が水の密度よりも小さく構成された浮上装置１００そのものを意味していてもよい。「水の密度」とは、真水の密度であってもよく、塩水である海水の密度であってもよい。

　検知部２１は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上したことを検知する。より詳細には、検知部２１は、浮上装置１００が浮上部２０により水中ＵＷから浮上して水上ＯＷに到達したことを検知する。浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上したことを検知部２１が検知する手段（すなわち、検知部２１の具体的な態様）は特に限定されない。例えば、検知部２１は、カメラであってもよく、水圧センサであってもよい。

　図６は、収容体２の開閉部２２が開状態とされた浮上装置１００を示す図である。図７は、開閉部２２が開状態とされた収容体２、及び、当該収容体２から飛行を開始した分離移動体１を示す図である。図１～図７に示されるように、開閉部２２は、閉状態とされることにより収容体２の内部を密閉状態とし、開状態とされることにより収容体２の内部の密閉状態を解除して分離移動体１を収容体２の内部から外部に移動可能とする。換言すると、収容体２は、開閉部２２を閉状態とすることにより分離移動体１を内部に密閉状態で収容可能、且つ、開閉部２２を開状態とすることにより密閉状態を解除するとともに分離移動体１を内部から外部に移動可能とする。「閉状態」とは、収容体２の内部を密閉状態として周囲の水から遮断された状態を意味する。収容体２は、閉状態において分離移動体１を収容可能な容積を有している。一方、「開状態」とは、収容体２の内部の密閉状態を解除して収容体２の内部の空間が外部に開放された状態を意味する。収容体２は、開状態においては、内部に収容されていた分離移動体１が外部に出ることが可能となるように、一対の半球状容器が互いに開いてもよい。開閉部２２は、電動式の機構により自動で開閉するようにしてもよい。

　開閉部２２により収容体２が開閉する機構（閉機構）は、ここでは一対の半球状容器が互いにヒンジで接続されることにより実現されている。なお、開閉機構は、蓋部がスライドすることにより収容体２を開閉するものであってもよい。また、開閉部２２により収容体２が閉状態から開状態とされる機構（開放機構）は、火薬で収容体２の少なくとも一部を爆破することにより収容体２を閉状態から開状態としてもよく、炎の熱で収容体２の少なくとも一部を溶解させることにより収容体２を閉状態から開状態としてもよい。また、バネによる弾性力等の力を加えることにより収容体２を閉状態から開状態としてもよい。

　開閉部２２は、例えば、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上したことを検知部２１により検知された場合に、閉状態から開状態にされてもよい。換言すると、収容体２は、検知部２１により浮上装置１００が水上ＯＷから水上ＯＷに浮上したことが検知された場合に、開閉部２２を閉状態から開状態とする。なお、開閉部２２は、特定のタイミングから予め設定された時間が経過したときに、閉状態から開状態とされてもよい。

　第２固定部２３は、収容体２の内部に分離移動体１が収容された状態において分離移動体１と収容体２とを互いに固定可能とする機構である。第２固定部２３は、分離移動体１の後述する第１固定部１４と協働して、分離移動体１と収容体２とを互いに固定してもよい。第２固定部２３は、ここでは電磁石として構成されており、電力が供給されることにより磁力を発生させる。第２固定部２３は、バッテリ５２から電力を供給されてもよく、別のバッテリから電力を供給されてもよい。後述するように分離移動体１には磁性体からなる第１固定部１４が設けられている。これにより、第２固定部２３に電力が供給されると電磁石が磁力を発生させ、この磁力によって分離移動体１の第１固定部１４が収容体２の第２固定部２３側に引き付けられて分離移動体１が収容体２に固定される。一方、第２固定部２３への電力の供給が停止されると電磁石が磁力を発生させなくなり、分離移動体１の第１固定部１４が収容体２の第２固定部２３側に引き付けられなくなるため分離移動体１が収容体２から移動可能となる。第２固定部２３は、分離移動体１が載置される台の上部に配置されていてもよい。

　また、収容体２は、第２固定機構２４を有している。第２固定機構２４は、第１固定機構５４と協働して、浮上装置１００を潜水体２００の台座部５１上に固定するための機構である。第２固定機構２４は、磁性体により構成されている。このため、上述したとおり、電磁石として構成された第１固定機構５４にバッテリ５２から電力が供給されることにより磁力が発生して浮上装置１００が台座部５１に固定され、一方、第１固定機構５４へのバッテリ５２からの電力の供給が停止されると磁力が消失して浮上装置１００が台座部５１から解放され浮上可能となる。

　収容体２は、図示しない制御装置を更に有していてもよい。この制御装置は、浮上部２０、検知部２１、開閉部２２、及び第２固定部２３等の制御を行ってもよい。この場合、制御装置は、浮上部２０、検知部２１、開閉部２２、及び第２固定部２３等のそれぞれを構成する各種機器と有線又は無線により電気的に接続されて信号の授受を行ってもよい。あるいは、収容体２は、分離移動体１の後述する制御部１５と電気的に接続されており、制御部１５が上述した制御装置と同様の機能を果たしてもよい。

　続いて、分離移動体１について説明する。分離移動体１は、浮上装置１００の一部であり、通信部１０、判定部１１、移動パラメータ設定部１２、移動部１３、第１固定部１４、制御部１５、及びエネルギー貯留部１６を有している。また、分離移動体１は、ドローンとしての各種構成を備えている。例えば、分離移動体１は、プロペラ、フライトコントローラ、バッテリ、基盤、通信モジュール、記憶部、カメラ、ＧＮＳＳ（Global Navigation Satellite System）受信機、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、赤外線センサ等を備えていてもよい。なお、ＧＮＳＳ受信機は、例えばＧＰＳ（Global Positioning System）受信機であってもよい。分離移動体１は、後述するように、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、浮上装置１００の残部である収容体２と分離して移動部１３により移動する。

　通信部１０は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、外部通信機３００との間で通信を行う。より詳細には、通信部１０は、後述する移動部１３により分離移動体１が飛行することを開始した後に、外部通信機３００との間で通信を行う。例えば、通信部１０は、移動部１３により分離移動体１が高度１５ｍ以上の高さを飛行している状態において、外部通信機３００との間で通信を行ってもよい。このように水面ＷＳよりも高い位置において通信を行うことで、水面ＷＳの高さにおいて通信を行う場合と比較して見通し距離（通信可能距離）が長くなり得る。なお、通信部１０は、少なくとも移動部１３により分離移動体１が飛行することを開始した後に、外部通信機３００との間で通信を行うこととすればよく、移動部１３により分離移動体１が飛行することを開始する前から外部通信機３００との間で通信を行ってもよい。

　ここで、分離移動体１が飛行している高度は、分離移動体１の真下が水面ＷＳの場合には水面ＷＳからの高さ（垂直距離）で定義されてもよい。この場合、水面ＷＳの垂直方向の位置が波により変動するときには、分離移動体１が飛行している高度は、変動する水面ＷＳのいずれの位置からの高さによって定義されてもよい。また、分離移動体１が飛行している高度は、分離移動体１の真下が地面ＧＳの場合には地面ＧＳからの高さ（垂直距離）で定義されてもよい。また、分離移動体１が飛行している高度は、気圧センサによってよって測定した気圧に基づいて取得されてもよい。分離移動体１が到達すべき目標高度は予め設定されていてもよく（例えば、１５ｍ、１００ｍ等）、無制限に高度を上げるように設定されていてもよい。なお、分離移動体１は、好ましくは１５ｍ以上を到達すべき目標高度に設定していてもよく、より好ましくは５０ｍ以上を到達すべき目標高度に設定していてもよく、より一層好ましくは１００ｍ以上を到達すべき目標高度に設定していてもよい。

　「通信を行う」とは、情報を送信することを意味してもよく、情報を送信及び受信することを意味してもよい。換言すると、通信部１０は、外部通信機３００等に情報を送信のみ可能であってもよく、外部通信機３００等から情報を送信及び受信可能であってもよい。通信部１０により外部通信機３００との間で通信が行われる情報は対象情報と称されてもよい。例えば、通信部１０は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、外部通信機３００に対象情報を送信可能であってもよい。なお、「外部通信機との間で通信を行う」とは、通信部１０が情報を送信したときに、結果として外部通信機３００が情報の受信をできない（情報の受信に失敗する）場合も含まれてもよい。

　「対象情報」とは、浮上装置１００から外部通信機３００に送信される種々の情報である。具体的には、対象情報は、位置情報を含んでいてもよい。「位置情報」とは、潜水体２００及び浮上装置１００の少なくともいずれかの位置を示す情報であり、例えば緯度、経度、水深、及び高度の少なくともいずれかを含んでいてもよい。

　対象情報が位置情報を含む場合、浮上装置１００（例えば、分離移動体１）の位置情報は、浮上装置１００（例えば分離移動体１）に搭載されたＧＮＳＳ受信機の測位データに基づいて取得されてもよい。一方、潜水体２００の位置情報は、潜水開始地点を基準として、加速度センサ等のデータを用いて潜水体２００が進行した方向及び距離を算出することにより推定されてもよく、圧力センサ等のデータを用いて水深について推定されてもよい。潜水体２００の位置情報は、浮上装置１００が潜水体２００から放たれる前に潜水体２００から浮上装置１００に送信されてもよい。

　また、対象情報は、ステータス情報を含んでいてもよい。「ステータス情報」とは、潜水体２００の状況を示す情報であり、例えば「遭難中である」、「緊急事態が発生している」、「乗員が命の危機に晒されている」、「乗員が怪我をしている」等の状況を示す情報を含んでいてもよい。あるいは、ステータス情報は、状態の逼迫度等に応じた数値、番号、記号、又はアイコン等により表現されてもよい。潜水体２００のステータス情報は、浮上装置１００が潜水体２００から放たれる前に潜水体２００から浮上装置１００に送信されてもよい。

　また、対象情報は、上述した情報以外の情報を含んでいてもよい。例えば、対象情報は、救助要請に関する情報、気象情報、潜水体２００の周囲の動画若しくは静止画、浮上装置１００の周囲の動画若しくは静止画、音声、メッセージ文、気温、又は水温の情報等を含んでいてもよい。

　対象情報は、任意のデータ量を有していてよいが、好ましくは１Ｂ以上５０Ｂ以下のデータ量を有していてもよく、より好ましくは１Ｂ以上３０Ｂ以下のデータ量を有していてもよく、より一層好ましくは１Ｂ以上１２Ｂ以下のデータ量を有していてもよい。このように対象情報のデータ量を低減させることにより対象情報を送信可能な距離を長くすることが可能となる。また、対象情報のデータ量が３０Ｂ又は５０Ｂ程度あれば、位置情報、ステータス情報、メッセージ文等の情報を含ませることが可能となる。一方で、対象情報のデータ量が１Ｂ以上１２Ｂ以下であれば、各通信方式の規格に準拠させやすくなる。

　通信部１０は、任意の通信方式を用いて外部通信機３００との間で通信を行ってもよい。例えば、浮上装置１００により用いられる通信方式としては、ＬＴＥ、５Ｇ、Ｗｉ－Ｆｉ、ＬＰＷＡ（例えば、ＬｏＲａ、Ｓｉｇｆｏｘ、ＥＬＴＲＥＳ等）、又は衛星通信等が例示される。通信部１０は、アンテナ及び当該アンテナを用いて外部と通信する通信制御部を含んでいてもよい。

　通信部１０は、１０００ＭＨｚ以下の周波数の電波により外部通信機３００との間で通信を行ってもよい。このように通信に用いられる電波の波長を長波長化することにより対象情報を送信可能な距離を長くすることが可能となる。

　通信部１０は、外部通信機３００に情報を送信する場合には、複数回繰り返して情報を送信してもよい。特に、通信部１０は、情報を送信する回数を予め設定してもよく、また、後述する判定部１１により送信された情報が外部通信機３００により受信されたと判定されるまで繰り返し情報を送信してもよい。通信部１０は、所定の時間間隔で外部通信機３００に情報を送信してもよく、例えば３０秒又は１分に１回の時間間隔で外部通信機３００に情報を送信してもよい。

　通信部１０は、浮上装置１００が利用可能なエネルギーのうち、外部通信機３００に対象情報を送信するために通信部１０が利用可能なエネルギーが尽きるまで、外部通信機３００に対象情報を送信してもよい。例えば、浮上装置１００が利用可能なエネルギーとは、分離移動体１の後述するエネルギー貯留部１６に貯留されていて分離移動体１が利用可能なエネルギーであってもよい。外部通信機３００に対象情報を送信するために通信部１０が利用可能なエネルギーとは、エネルギー貯留部１６に貯留されているエネルギーがゼロになるまでの全てのエネルギーであってもよく、エネルギー貯留部１６に貯留されているエネルギーが予め用途別に配分された所定量のエネルギーであってもよい。

　通信部１０は、外部通信機３００との間で通信を行う際に、少なくとも通常通信モードとテスト通信モードとの２種類のモードを選択可能であってもよい。つまり、通信部１０は、テスト通信モードを選択可能であってもよい。「通常通信モード」とは、実際に浮上装置１００が運用される際に選択されるモードである。「テスト通信モード」とは、通信部１０の動作確認のために外部通信機３００にテスト情報を送信するモードである。通信部１０は、テスト通信モードを選択した場合には、例えばテスト情報を外部通信機３００に送信してもよい。「テスト情報」とは、テスト通信モードが選択されていることを示す情報であり、具体的には所定のテキスト又は番号であってもよい。

　判定部１１は、通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を外部通信機３００が受信したか否かを判定する。例えば、判定部１１は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に受信確認情報を受信した場合に、通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を外部通信機３００が受信したと判定してもよい。また、判定部１１は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に受信確認情報を受信しない場合に、通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を外部通信機３００が受信していないと判定してもよい。「受信確認情報」とは、例えば、外部通信機３００が、通信部１０から対象情報を受信したことを契機として浮上装置１００（通信部１０）に送信する情報である。

　移動パラメータ設定部１２は、分離移動体１の移動に関する移動パラメータを設定する。「移動パラメータ」とは、分離移動体１が移動すべき距離、高度、及び時間のうち少なくともいずれかを示すパラメータである。また、移動パラメータは、距離、高度、及び時間以外のパラメータを含んでいてもよく、例えば、移動パラメータは、分離移動体１が移動すべき方向、移動経路、又は移動速度等を含んでいてもよい。

　分離移動体１が移動すべき距離は、例えば１００ｍ、５００ｍ、又は３ｋｍ等のように規定されてもよい。この場合、距離とは、１次元における距離（つまり、直線距離）であってもよく、２次元における距離（つまり、緯度及び経度に関して分離移動体１の移動経路に沿って積算される水平距離）であってもよく、３次元における距離（つまり、緯度、経度、及び高度に関して分離移動体１の移動経路に沿って積算される空間距離）であってもよい。

　分離移動体１が移動すべき高度は、例えば１５ｍ、５０ｍ、又は１００ｍ等のように規定されてもよい。分離移動体１は、移動パラメータにより所定の高度が指定されている場合において、当該所定の高度に到達したときには、例えばホバリングを行うことによって高度の変化を抑制し、当該所定の高度に留まってもよい。あるいは、分離移動体１は、移動パラメータにおいて所定の高度が指定されている場合において、当該所定の高度に到達したときには、後述する移動部１３の動作を停止して下方に落下してもよく、移動部１３の動作を制御して徐々に下降し、水面ＷＳに着水（又は、地面ＧＳに着陸）してもよい。

　分離移動体１が移動すべき時間は、例えば３分、１０分、又は３０分等のように規定されてもよい。分離移動体１は、移動パラメータにおいて所定の時間が指定されている場合において、当該所定の時間が経過したときには、例えばホバリングを行うことによって移動を抑制し、当該位置に留まってもよい。あるいは、分離移動体１は、移動パラメータにおいて所定の時間が指定されている場合において、当該所定の時間が経過したときには、後述する移動部１３の動作を停止して下方に落下してもよく、移動部１３の動作を制御して徐々に下降し、水面ＷＳに着水（又は、地面ＧＳに着陸）してもよい。

　移動パラメータ設定部１２は、予め決められた移動パラメータを設定してもよい。また、移動パラメータ設定部１２は、ユーザにより指定された移動パラメータを設定してもよい。例えば、移動パラメータ設定部１２は、ユーザにより操作される端末から入力される情報に基づいて、移動パラメータを設定してもよい。あるいは、移動パラメータ設定部１２は、ユーザにより潜水体２００を介して入力される情報に基づいて、移動パラメータを設定してもよい。

　移動パラメータ設定部１２は、後述するように移動部１３により通常移動モードが選択されているかテスト移動モードが選択されているかに応じて、移動パラメータを設定してもよい。この場合、テスト移動モードにおいては、通常移動モードと比較して、分離移動体１が移動すべき距離が短くてもよく、分離移動体１が移動すべき高度が低くてもよく、分離移動体１が移動すべき時間が短くてもよい。

　移動部１３は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、浮上装置１００の少なくとも一部である対象部位を移動させる。ここでは、対象部位は分離移動体１であることから、移動部１３は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、分離移動体１を移動させると換言され得る。つまり、ここでは分離移動体１を対象部位と読み替えることができる。具体的には、移動部１３は、分離移動体１を飛行させることにより移動させる。

　移動部１３は、移動パラメータ設定部１２により設定された移動パラメータに応じて、分離移動体１を移動させる。移動部１３は、分離移動体１を移動させる際に、少なくとも通常移動モードとテスト移動モードとの２種類のモードを選択可能であってもよい。つまり、移動部１３は、テスト移動モードを選択可能である。「通常移動モード」とは、実際に浮上装置１００が運用される際に選択されるモードである。「テスト移動モード」とは、移動部１３の動作確認のために分離移動体１をテスト移動させるモードである。例えば、テスト移動モードにおいては、通常移動モードと比較して、距離、高度、及び時間の設定値が小さくてもよい。移動部１３は、移動パラメータ設定部１２により設定された移動パラメータに基づいて、通常移動モード又はテスト移動モードを選択してもよい。

　なお、移動部１３によりテスト移動モードが選択される際に、同時に、通信部１０によりテスト通信モードが選択されてもよい。換言すると、テスト移動モードとテスト通信モードとは、両方同時に設定されてもよい。

　図８は、収容体２から上向きに推進される分離移動体１を示す図である。図１～図８に示されるように、移動部１３は、移動パラメータに応じて、分離移動体１を多様に移動させることができる。例えば、移動部１３は、分離移動体１を上向きに推進させる上向推進力を発生させることにより、分離移動体１を飛行させてもよい。この場合、分離移動体１を鉛直上向きに向かって移動させる一方で、分離移動体１を横向き（水平方向）に推進させる横向推進力を発生させずに風等の影響を受けて水平方向に流されることを許容してもよい。これによれば、横向推進力のためのエネルギーが節約される。また、移動部１３は、上向推進力に加えて横向推進力も発生させてもよい。

　移動部１３は、分離移動体１を特定の方向に移動させてもよい。「特定の方向」とは、特定の方角の方向を意味していてもよく、特定の緯度及び経度に向かう方向を意味していてもよく、特定の住所に向かう方向を意味していてもよく、予め記憶している外部通信機３００（基地局）の位置に向かう方向を意味していてもよく、あるいは鉛直上向きに向かう方向を意味していてもよい。

　図９は、飛行している状態から真下に向かうように下降する分離移動体１を示す図である。図９に示されるように、移動部１３は、飛行している分離移動体１を真下に向かうように降下させてもよい。「真下」とは、厳密に分離移動体１の真下でなくてもよく、例えば分離移動体１の厳密な真下を中心とした所定範囲内（例えば、半径１ｍ、半径５ｍ、又は半径１０ｍの範囲内）を真下とみなしてもよい。移動部１３は、分離移動体１が飛行している状態において通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、分離移動体１を真下に向かうように降下させてもよい。

　図１０は、飛行している状態から真下とは異なる位置に向かうように下降する分離移動体１を示す図である。図１０に示されるように、移動部１３は、飛行している分離移動体１を真下とは異なる位置に向かうように降下させてもよい。「真下とは異なる位置」とは、例えば分離移動体１の厳密な真下を中心とした所定範囲外（例えば、半径１ｍ、半径５ｍ、又は半径１０ｍの範囲外）の位置であってもよい。「真下とは異なる位置に向かうように」とは、予め設定された位置に向かうことを意味してもよく、積極的に真下に向かうことを意図しない結果として真下とは異なる位置に向かうことを意味してもよい。移動部１３は、分離移動体１が飛行している状態において通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、分離移動体１を真下とは異なる位置に向かうように降下させてもよい。

　図１～図８に戻り、移動部１３は、判定部１１により対象情報を外部通信機３００が受信したと判定された場合には（すなわち、通信に成功した場合には）、分離移動体１を移動させなくてもよい。より詳細には、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後であって分離移動体１が収容体２から分離して移動する前に、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された場合において、判定部１１により当該対象情報を外部通信機３００が受信したと判定されたときには、移動部１３は分離移動体１を移動させなくてもよい。あるいは、移動部１３は、所定の回数（例えば、２０回又は５０回等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には分離移動体１を移動させなくてもよく、所定の時間（例えば、５分間又は１０分間等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には分離移動体１を移動させなくてもよい。

　移動部１３は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、飛行している分離移動体１を同じ位置に留まらせてもよい。「同じ位置に留まる」とは、例えばホバリングを行うことによって高度の変化、並びに、緯度及び経度の変化を抑制することを意味してもよい。また、移動部１３は、判定部１１により対象情報を外部通信機３００が受信したと判定された場合に（すなわち、通信に成功した場合に）、飛行している分離移動体１を同じ位置に留まらせてもよい。あるいは、移動部１３は、所定の回数（例えば、２０回又は５０回等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には飛行している分離移動体１を同じ位置に留まらせてもよく、所定の時間（例えば、５分間又は１０分間等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には飛行している分離移動体１を同じ位置に留まらせてもよい。

　移動部１３は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、動作を停止してもよい。「動作を停止する」とは、例えばプロペラ等の動力を停止することを意味してもよく、この場合、飛行している分離移動体１は落下してもよい。また、移動部１３は、判定部１１により対象情報を外部通信機３００が受信したと判定された場合に（すなわち、通信に成功した場合に）、動作を停止してもよい。あるいは、移動部１３は、所定の回数（例えば、２０回又は５０回等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には動作を停止してもよく、所定の時間（例えば、５分間又は１０分間等）にわたり対象情報を外部通信機３００に送信した場合には動作を停止してもよい。

　移動部１３は、浮上装置１００が利用可能なエネルギーのうち、分離移動体１を移動させるために移動部１３が利用可能なエネルギーが尽きるまで、分離移動体１を移動させてもよい。例えば、浮上装置１００が利用可能なエネルギーとは、後述するエネルギー貯留部１６に貯留されていて分離移動体１が利用可能なエネルギーであってもよい。分離移動体１を移動させるために移動部１３が利用可能なエネルギーとは、エネルギー貯留部１６に貯留されているエネルギーがゼロになるまでの全てのエネルギーであってもよく、エネルギー貯留部１６に貯留されているエネルギーが予め用途別に配分された所定量のエネルギーであってもよい。

　第１固定部１４は、収容体２の内部に分離移動体１が収容された状態において分離移動体１と収容体２とを互いに固定可能とする機構である。第１固定部１４は、収容体２の第２固定部２３と協働して、分離移動体１と収容体２とを互いに固定してもよい。第１固定部１４は磁性体により構成されている。このため、上述したとおり、電磁石として構成された第２固定部２３に電力が供給されることにより磁力が発生して分離移動体１が収容体２に固定され、一方、第２固定部２３への電力の供給が停止されると磁力が消失して分離移動体１が収容体２から解放され移動可能となる。

　制御部１５は、通信部１０、判定部１１、移動パラメータ設定部１２、移動部１３、第１固定部１４、及び後述するエネルギー貯留部１６等の制御を行う。この場合、制御部１５は、通信部１０、判定部１１、移動パラメータ設定部１２、移動部１３、第１固定部１４、及びエネルギー貯留部１６等のそれぞれを構成する各種機器と有線又は無線により電気的に接続されて信号の授受を行ってもよい。

　エネルギー貯留部１６は、浮上装置１００の各種機器を動作させるためのエネルギーを貯留し、必要に応じて当該機器にエネルギーを供給する。エネルギー貯留部１６は、分離移動体１が収容体２に固定されている場合には、分離移動体１の各種機器及び収容体２の各種機器のそれぞれにエネルギーを供給可能であってもよい。また、エネルギー貯留部１６は、分離移動体１が収容体２から解放された場合には、分離移動体１の各種機器のそれぞれにエネルギーを供給可能であってもよい。ここでは、エネルギー貯留部１６は、電力を貯留（蓄電）するバッテリである。

　なお、エネルギー貯留部１６は、バッテリに限定されず、ガソリン等の燃料を貯留する燃料タンクであってもよい。また、分離移動体１は、浮上装置１００の各種機器にエネルギーを供給する際に、エネルギー貯留部１６に貯留されたエネルギーを当該機器に供給するのではなく、エネルギーを生成するとともに生成したエネルギーを直接的に当該機器に供給してもよい。例えば、分離移動体１は、エネルギー貯留部１６に代えて太陽光パネルを有し、当該太陽光パネルにより発電された電力を浮上装置１００の各種機器に直接的に供給してもよい。

　このように構成された分離移動体１は、開閉部２２が閉状態とされた収容体２の内部に収容された状態において浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上し、開閉部２２が開状態とされた後に、収容体２と分離して移動部１３により飛行（移動）する。より詳細には、分離移動体１は、開閉部２２が閉状態とされた収容体２の内部に収容された状態において浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上し、開閉部２２が開状態とされ、且つ、第１固定部１４及び第２固定部２３による収容体２との固定が解除された後に、収容体２と分離して移動部１３により飛行（移動）する。

　続いて、外部通信機３００について説明する。外部通信機３００は、浮上装置１００及び情報管理装置４００と有線又は無線通信可能な通信基地局である。外部通信機３００は、浮上装置１００及び情報管理装置４００のそれぞれとネットワークを介して通信可能に構成されていてもよい。外部通信機３００は、地上の地面ＧＳの上に設けられている。なお、外部通信機３００は、通信基地局に限定されず、例えば端末に設けられた受信機等であってもよく、人工衛星であってもよい。

　外部通信機３００は、浮上装置１００から対象情報を受信すると、当該対象情報を受信したことを示す受信確認情報を生成し、生成した受信確認情報を浮上装置１００に送信してもよい。また、外部通信機３００は、浮上装置１００から対象情報を受信すると、当該対象情報を情報管理装置４００に送信してもよい。この場合、外部通信機３００は、対象情報を受信した場合に速やかに当該対象情報を情報管理装置４００に送信してもよく、対象情報を受信した後における所定のタイミングまでの対象情報をまとめて情報管理装置４００に送信してもよい。

　続いて、情報管理装置４００について説明する。情報管理装置４００は、潜水体２００及び浮上装置１００ごとに情報を管理する装置である。情報管理装置４００は、外部通信機３００及びユーザ端末と有線又は無線通信可能なコンピュータ（サーバ）として構成されている。情報管理装置４００は、物理的な構成として、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えている。制御演算装置は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）等のコントローラ３により構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばＲＡＭ（Random Access Memory）により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばＲＯＭ（Read Only Memory）により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置、及び、例えば制御演算部により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置を有している。

　情報管理装置４００は、例えば、ＲＯＭに記憶されているプログラムをＲＡＭに読み込み、ＲＡＭに読み込まれたプログラムをＣＰＵにより実行することにより、所定の処理を実行する。なお、情報管理装置４００を構成するコンピュータは、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。

　次に、情報管理装置４００の機能について説明する。情報管理装置４００のコントローラ３は、機能的には、識別情報取得部３０、対象情報取得部３１、連絡先情報取得部３２、情報管理部３３、情報連絡部３４、及び対応情報生成部３５を備えている。

　識別情報取得部３０は、浮上装置１００に関する識別情報を取得する。「識別情報」とは、浮上装置１００、若しくは、浮上装置１００に係る潜水体２００又は分離移動体１の個体を識別するためのＩＤであってもよい。また、識別情報は、分離移動体１に含まれる種々の装置又はモジュールのＩＤであってもよい。識別情報取得部３０は、ユーザにより操作される端末から入力される情報に基づいて、識別情報を取得してもよい。あるいは、識別情報取得部３０は、ユーザにより潜水体２００を介して入力される情報に基づいて、識別情報を取得してもよい。

　対象情報取得部３１は、浮上装置１００に備えられた通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を取得する。より詳細には、対象情報取得部３１は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信されると、当該対象情報を外部通信機３００から受信することにより取得する。

　連絡先情報取得部３２は、潜水体２００に関する連絡先情報を取得する。「連絡先情報」とは、潜水体２００に関する連絡先の情報であり、例えば潜水体２００の乗員若しくは所有者等、又は、それらの関係者の連絡先の情報であってもよい。連絡先情報は、例えば電話番号、メールアドレス、住所等であってもよい。「関係者」とは、家族、救助隊、安全管理会社、公的機関等であってもよい。連絡先情報取得部３２は、ユーザにより操作される端末から入力される情報に基づいて、連絡先情報を取得してもよい。あるいは、連絡先情報取得部３２は、ユーザにより潜水体２００を介して入力される情報に基づいて、連絡先情報を取得してもよい。

　情報管理部３３は、識別情報取得部３０により取得された識別情報、及び、対象情報取得部３１により取得された対象情報を互いに紐づけて管理する。また、情報管理部３３は、連絡先情報取得部３２により取得された連絡先情報を識別情報と紐づけて管理してもよい。「情報を管理する」とは、当該情報を記憶装置又は記憶媒体に記憶させたり、記憶させた情報を更新したり、記憶させた情報を端末画面に表示させたりすることを含んでもよい。情報管理部３３は、識別情報、対象情報、及び連絡先情報の他に、救助要請のあった場所の位置情報（例えば、緯度、経度、及び水深、住所、並びに地図上の目印等）、情報が送信された時刻、救助の状況（例えば、救助要請あり、救助待ち、又は救助中等）等の情報を管理してもよい。

　情報連絡部３４は、対象情報取得部３１により新たな対象情報が取得された場合に、当該対象情報と紐づけられる識別情報と紐づけられた連絡先情報に基づいて、当該連絡先情報に係る連絡先に連絡を行う。このとき、情報連絡部３４は、例えば情報管理装置４００の入出力装置を介して当該連絡先に電話、メール、ウェブサイト又はアプリ上での通知等を行ってもよい。情報連絡部３４は、特に、対象情報取得部３１により新たに取得された対象情報が潜水体２００に遭難等による危険が迫っていることを示す情報（危機情報）である場合に、連絡先に連絡を行ってもよい。

　対応情報生成部３５は、対象情報取得部３１により対象情報が取得された後に、潜水体２００への対応に関する対応情報を生成する。「対応情報」とは、「救助要請未完了」、「救助要請中」、「救助要請完了」、「救助活動中」、「潜水艇発見」、「救助完了」、又は「潜水艇引上げ完了」等の情報であってもよい。対応情報生成部３５は、救助隊への連絡等に基づいて対応情報を自動で生成してもよく、管理者により入力される情報(テキストにより入力される情報、プルダウンにより入力される情報等)に基づいて対応情報を生成してもよい。

［作用及び効果］
　以上説明したように、浮上装置１００は、水中ＵＷに潜水した潜水体２００から放たれて水上ＯＷに浮上するとともに外部通信機３００との間で通信を行う浮上装置１００であって、潜水体２００から放たれた当該浮上装置１００を水中ＵＷから水上ＯＷに浮上させる浮上部２０と、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、外部通信機３００に対象情報を送信可能な通信部１０と、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、当該浮上装置１００の少なくとも一部である対象部位を移動させる移動部１３と、を備える。

　この浮上装置１００によれば、当該浮上装置１００が潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、浮上した位置から対象部位を移動させることができる。したがって、浮上装置１００は、移動した対象部位を利用することにより、当該浮上装置１００が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、対象部位を飛行させることにより移動させ、通信部１０は、移動部１３により対象部位が飛行することを開始した後に、外部通信機３００に対象情報を送信する。これによれば、対象部位が水面ＷＳよりも高い位置を飛行することにより、対象部位からの見通し距離を長くすることができる。したがって、外部通信機３００との間で通信を行いやすくすることができる。

　浮上装置１００では、通信部１０は、移動部１３により対象部位が高度１５ｍ以上の高さを飛行している状態において、外部通信機３００に対象情報を送信する。これによれば、上述した浮上装置１００により奏される作用及び効果がより具体的に実現される。

　浮上装置１００では、移動部１３は、対象部位を上向きに推進させる上向推進力を発生させることにより、対象部位を飛行させる。つまり、対象部位は、上向推進力により上向きに推進される一方で、横向きには位置を制御されなくてもよい。これによれば、移動部１３は、対象部位を移動させるために利用可能なエネルギーのうち、より多くのエネルギーを上向きの推進に利用することができる。したがって、対象部位をより高い高度まで上昇させることができるため、対象部位からの見通し距離をより長くすることができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、飛行している対象部位を真下に向かうように降下させる。これによれば、対象部位が飛行していた位置座標と、対象部位が降下した位置座標とを略一致させることができる。したがって、対象部位が降下した位置座標を検出することにより、対象部位が飛行していた位置座標を推定しやすくなる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、飛行している対象部位を真下とは異なる位置に向かうように降下させる。これによれば、対象部位が降下しながら位置座標を変えることができるため、より広範な領域への降下が可能になる。また、これは、例えば移動部１３が横向きの制御を抑制することによって実現されてもよく、この場合には移動部１３によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、飛行している対象部位を同じ位置に留まらせる。これによれば、外部通信機３００に対象情報をより確実に送信可能な位置に、対象部位を留まらせることができる。このため、仮に外部通信機３００に対象情報を再度送信する必要が生じた場合にも速やかに送信することができる。また、対象部位が同じ位置に留まっているため、浮上装置１００が他者から発見されやすい。

　浮上装置１００では、移動部１３は、通信部１０により外部通信機３００に対象情報が送信された後に、動作を停止する。これによれば、移動部１３によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　浮上装置１００は、当該浮上装置１００の一部である分離移動体１を具備し、分離移動体１は、通信部１０と、移動部１３と、を備え、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、当該浮上装置１００の残部と分離して移動部１３により移動する。これによれば、浮上装置１００の全部ではなく分離移動体１を移動させるため、移動部１３によるエネルギーの消費を抑制することができる。また、分離移動体１には通信部１０が設けられているため、移動した分離移動体１から外部と通信可能とすることができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、分離移動体１を飛行させることにより移動させる。これによれば、分離移動体１が水面ＷＳよりも高い位置を飛行することにより、分離移動体１からの見通し距離を長くすることができる。したがって、外部通信機３００との間で通信を行いやすくすることができる。

　浮上装置１００は、開閉部２２を備え、開閉部２２を閉状態とすることにより分離移動体１を内部に密閉状態で収容可能、且つ、開閉部２２を開状態とすることにより密閉状態を解除するとともに分離移動体１を内部から外部に移動可能とする収容体２を具備し、分離移動体１は、開閉部２２が閉状態とされた収容体２の内部に収容された状態において当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上し、開閉部２２が開状態とされた後に、収容体２と分離して移動部１３により移動する。これによれば、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上するまでの間は分離移動体１を収容体２の内部に密閉状態で収容することで分離移動体１が水に接することを抑制することができる。また、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後には、収容体２から分離移動体１を分離して分離移動体１を移動させることができる。

　浮上装置１００は、当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上したことを検知する検知部２１を備え、収容体２は、検知部２１により当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上したことが検知された場合に、開閉部２２を開状態とする。これによれば、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上するまでの間は分離移動体１を収容体２の内部に密閉状態で収容することで分離移動体１が水に接することを抑制するという浮上装置１００による作用及び効果を好適に奏することができる。また、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後には、収容体２から分離移動体１を分離して分離移動体１を移動させるという浮上装置１００の作用及び効果を好適に奏することができる。

　浮上装置１００では、収容体２は、平均密度が２．０ｇ／ｃｍ^３以下となるように構成されている。これによれば、収容体２の重量を低減することができるため、収容体２の重量が浮上装置１００の浮上の妨げとなることを抑制することができる。

　浮上装置１００は、収容体２の内部に分離移動体１が収容された状態において分離移動体１と収容体２とを互いに固定可能な第１固定部１４及び第２固定部２３を備え、分離移動体１は、開閉部２２が閉状態とされた収容体２の内部に収容された状態において当該浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上し、開閉部２２が開状態とされ、且つ、第１固定部１４及び第２固定部２３による収容体２との固定が解除された後に、収容体２と分離して移動部１３により移動する。これによれば、分離移動体１が収容体２から分離するよりも前に、例えば海流又は波等の影響により分離移動体１が収容体２内部で傾斜又は転倒等することを抑制することができる。

　浮上装置１００では、収容体２は、外面が曲面により構成された曲面部Ｃと、外面が平面により構成された非曲面部Ｐと、を備えている。これによれば、曲面部Ｃにおいては収容体２の耐圧性を向上させやすく、また、非曲面部Ｐにおいては開閉部２２の開閉機構を形成しやすい。

　浮上装置１００では、分離移動体１は、水に浮く。これによれば、分離移動体１が水面ＷＳに降下した場合に水没することを抑制することができる。

　浮上装置１００では、潜水体２００は、乗員が搭乗可能な搭乗用潜水体である。これによれば、上述した浮上装置１００により奏される作用及び効果がより具体的に実現される。特に、浮上装置１００が、乗員の救助を要請するための救難信号を発信するために利用され得る。

　浮上装置１００では、移動部１３は、対象部位を特定の方向に移動させる。これによれば、対象情報を受信されやすい位置に向かう方向に対象部位を移動させることで、外部通信機３００との間でより通信を行いやすくすることができる。

　浮上装置１００は、通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を外部通信機３００が受信したか否かを判定する判定部１１を備え、移動部１３は、判定部１１により対象情報を外部通信機３００が受信したと判定された場合には、対象部位を移動させない。これによれば、対象情報を外部通信機３００が受信した場合には分離移動体１を移動させないため、移動部１３によるエネルギーの消費を抑制することができる。

　浮上装置１００では、対象情報は、潜水体２００及び当該浮上装置１００の少なくともいずれかの位置を示す位置情報を含んでいる。これによれば、潜水体２００の現在位置に関する情報を外部通信機３００に送信することができる。特に、潜水体２００の救難信号を対象情報として発信する場合には、より迅速に救助が実行されやすくなる。

　浮上装置１００では、対象情報は、潜水体２００の状況を示すステータス情報を含んでいる。これによれば、潜水体２００の現在の状況に関する情報を外部通信機３００に送信することができる。また、外部通信機３００を介して潜水体２００の現在の状況に関する情報を救助隊等が取得する場合には、潜水体２００の現在の状況に関する情報を把握させることができる。

　浮上装置１００では、対象情報は、１Ｂ以上５０Ｂ以下のデータ量を有している。これによれば、対象情報のデータ量を低減することができるため、対象情報をより遠くまで送信することができる。

　浮上装置１００では、通信部１０は、１０００ＭＨｚ以下の周波数の電波により外部通信機３００との間で通信を行う。これによれば、通信に用いられる電波の波長を長波長化することができるため、対象情報をより遠くまで送信することができる。

　浮上装置１００は、対象部位が移動すべき距離、高度、及び時間のうち少なくともいずれかを示す移動パラメータを設定する移動パラメータ設定部１２を備え、移動部１３は、移動パラメータ設定部１２により設定された移動パラメータに応じて、対象部位を移動させる。これによれば、対象情報を受信されやすい位置に対象部位を移動させることで、外部通信機３００との間でより通信を行いやすくすることができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、当該浮上装置１００が利用可能なエネルギーのうち、対象部位を移動させるために当該移動部１３が利用可能なエネルギーが尽きるまで、対象部位を移動させ、通信部１０は、当該浮上装置１００が利用可能なエネルギーのうち、外部通信機３００に対象情報を送信するために当該通信部１０が利用可能なエネルギーが尽きるまで、外部通信機３００に対象情報を送信する。これによれば、移動部１３及び通信部１０が多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機３００との通信が成功しやすくなる。また、移動部１３及び通信部１０が多くのエネルギーを利用可能となるため、外部通信機３００と通信することができるデータ量を増大させることができる。

　浮上装置１００では、移動部１３は、当該移動部１３の動作確認のために対象部位をテスト移動させるテスト移動モードを選択可能である。これによれば、移動部１３が適切に動作するか否かを予め確認することができる。

　浮上装置１００では、通信部１０は、当該通信部１０の動作確認のために外部通信機３００にテスト情報を送信するテスト通信モードを選択可能である。これによれば、これによれば、通信部１０が適切に動作するか否かを予め確認することができる。

　情報管理装置４００は、上述したいずれかの浮上装置１００に関する識別情報を取得する識別情報取得部３０と、浮上装置１００に備えられた通信部１０により外部通信機３００に送信された対象情報を取得する対象情報取得部３１と、識別情報取得部３０により取得された識別情報、及び、対象情報取得部３１により取得された対象情報を互いに紐づけて管理する情報管理部３３と、を備える。

　この情報管理装置４００によれば、浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能な浮上装置１００について、外部通信機３００に送信した対象情報を浮上装置１００ごとに管理することが可能となる。

　情報管理装置４００では、対象情報は、潜水体２００の状況を示すステータス情報を含んでいる。これによれば、潜水体２００の状況に関する情報を管理することができる。

　情報管理装置４００は、対象情報取得部３１により対象情報が取得された後に、潜水体２００への対応に関する対応情報を生成する対応情報生成部を備えている。これによれば、救難信号等の対象情報を受信した後の救助対応の情報を管理することができるため、例えば管理者等が潜水体２００への対応の状況を把握することが可能となる。

　情報管理装置４００は、潜水体２００に関する連絡先の連絡先情報を取得する連絡先情報取得部３２を備え、情報管理部３３は、連絡先情報取得部３２により取得された連絡先情報を識別情報と紐づけて管理し、対象情報取得部３１により新たな対象情報が取得された場合に、当該対象情報と紐づけられる識別情報と紐づけられた連絡先情報に基づいて連絡先に連絡を行う情報連絡部３４を更に備えている。これによれば、浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能な浮上装置１００について、潜水体２００に関する連絡先の連絡先情報を浮上装置１００ごとに管理することが可能となる。そして、新たな対象情報が取得された場合に、その対象情報を送信した浮上装置１００に係る潜水体２００の連絡先に連絡を行うことができる。したがって、例えば、いずれかの潜水体２００の浮上装置１００から救難信号が発信されたことを契機として、当該潜水体２００の関係者に迅速に連絡を行うことが可能となる。

　分離移動体１は、水中ＵＷに潜水した潜水体２００から放たれて浮上部２０により水上ＯＷに浮上するとともに外部通信機３００との間で通信を行う浮上装置１００の一部である分離移動体１であって、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、外部通信機３００に対象情報を送信可能な通信部１０と、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、浮上装置１００の残部と分離した当該分離移動体１を移動させる移動部１３と、を備える。

　この分離移動体１によれば、当該分離移動体１を具備する浮上装置１００が潜水体２００から放たれて水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に、浮上した位置から分離移動体１を移動させることができる。したがって、分離移動体１は、浮上装置１００が浮上した位置とは異なる位置において外部と通信可能とすることができる。

［第２実施形態］
　第２実施形態に係る浮上装置１００Ａについて説明する。図１１は、第２実施形態に係る浮上装置１００Ａを示す図である。図１１に示されるように、第２実施形態に係る浮上装置１００Ａは第１実施形態に係る浮上装置１００と比較して、収容体２Ａの内部に油Ｆが充填されており、且つ、収容体２Ａの上端部に注油口Ｌが形成されている点において主に相違しており、その他の点において同様である。以下、第２実施形態に係る浮上装置１００Ａの構造について、第１実施形態に係る浮上装置１００の構造と相違する点を説明する。

　浮上装置１００Ａの収容体２Ａの上端部には、開閉可能な注油口Ｌが形成されている。注油口Ｌは、例えばキャップ等により封止及び開放可能とされている。収容体２Ａは、開閉部２２が閉状態とされた状態において油Ｆが充填されている。より詳細には、収容体２Ａは、開閉部２２が閉状態とされた状態において注油口Ｌが開放され、当該注油口Ｌから油Ｆが内部に注入される。そして、収容体２Ａの内部に油Ｆが充填（充満）された後に注油口Ｌが封止される。油Ｆは、いわゆる均圧油として機能する。収容体２Ａは、油Ｆを均圧油として好適に機能させるための圧力調整機構を更に備えていてもよい。油Ｆとしては、工業用の絶縁油が好適に用いられ得る。

　以上説明したように、浮上装置１００では、収容体２は、開閉部２２が閉状態とされた状態において油Ｆが充填されている。これによれば、油Ｆをいわゆる均圧油として機能させることにより、分離移動体１等の収容体２内部の機器に加わる水圧を抑制することができる。また、油Ｆにより、浮上装置１００に水がかかった場合に当該水から浮上装置１００の内部の機器を保護することが可能となる。

［変形形態］
　上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。

　例えば、上述した各実施形態に記載されている個々の構成の一部を適宜組み合わせて実施してもよい。

　また、上述した各実施形態において、潜水体２００は潜水艇である。しかし、潜水体２００は、潜水艇でなくてもよく、潜水艦、又は水中ＵＷに設置された建造物若しくは装置等であってもよい。さらに、潜水体２００は、水中ＵＷに潜水したユーザ等であってもよい。この場合には、当該潜水体２００の衣服（潜水服等）の固定具に固定（保持）された浮上装置１００が、固定具の固定が解除されることによって当該潜水体２００から放たれてもよい。あるいは、同様に潜水体２００が水中ＵＷに潜水したユーザ等である場合には、当該潜水体２００の手に把持（保持）された浮上装置１００が、手から離されることによって当該潜水体２００から放たれてもよい。

　また、上述した各実施形態において、分離移動体１は水に浮く。ここで、分離移動体１は、より確実に水に浮くようにするために、空気が充満された部材（例えば、プラスチック、ポリエステル等からなる部材）を更に有していてもよく、あるいは、水よりも密度の低い（単位体積当たりの重量が小さい）部材を更に有していてもよい。

　また、上述した各実施形態において、対象部位としての分離移動体１は、浮上装置１００の一部の部位である。しかし、対象部位は、浮上装置１００の全部の部位であってもよい。

　また、上述した各実施形態において、分離移動体１は、マルチコプター（回転翼機）であり、特にプロペラを４基備えたクアッドコプターである。しかし、分離移動体１は、クアッドコプター以外のマルチコプターであってもよく、また、マルチコプターでなくてもよい。例えば、分離移動体１は、固定翼機であってもよく、風船により飛行する飛行船（気球）型の移動体であってもよい。具体的には、分離移動体１は、ドローンでなくてもよく、例えば通信機器、バッテリ、ガス注入器、バルーン等から構成され、バルーンにガスを注入することにより自動的に飛行を行う装置であってもよい。

　また、上述した各実施形態において、浮上装置１００は１台の分離移動体１を備えている。しかし、浮上装置１００は、２台以上の分離移動体１を備えていてもよい。また、浮上装置１００は、水中ＵＷを潜航可能な分離移動体１と空中を飛行可能な分離移動体１とを備え、これら２種類の分離移動体１を連結した移動体（連結移動体）を備えていてもよい。この場合、連結移動体が水上ＯＷに移動した後に各分離移動体１に切り離されて、空中を飛行可能な分離移動体１が飛行を開始してもよい。

　また、上述した各実施形態において、通信部１０、判定部１１、移動パラメータ設定部１２、移動部１３、制御部１５、及びエネルギー貯留部１６のうちの少なくともいずれかは、分離移動体１のみならず収容体２にも設けられていてもよい。

　また、上述した各実施形態において、通信部１０は、通信制御を実行する本体部が収容体２に設けられており、電波を送受信するためのアンテナが分離移動体１に設けられていてもよい。

　また、上述した各実施形態において、制御部１５により分離移動体１の各機能が制御される。しかし、分離移動体１の各機能は、制御部１５により制御されずに実現されてもよい。例えば、浮上装置１００が起動されてから（例えば、電源が入れられてから）所定の時間（例えば、水上ＯＷまでの浮上に必要な時間）が経過したときに、分離移動体１が自動的に収容体２から分離して移動を開始するように構成されていてもよい。

　また、上述した各実施形態において、分離移動体１は、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷに浮上した後に移動を開始する。しかし、分離移動体１は、少なくとも浮上装置１００が浮上した後に移動を行っていればよく、浮上装置１００が水中ＵＷから水上ＯＷへの浮上を完了する前に既に移動を開始していてもよい。

　また、上述した各実施形態において、分離移動体１は、通信部１０により通信を開始した後で移動部１３により移動を開始する。しかし、分離移動体１は、移動部１３により移動を開始した後で通信部１０により通信を開始してもよく、通信部１０により通信を開始すると同時に移動部１３により移動を開始してもよい。

Claims

　水中に潜水した潜水体から放たれて水上に浮上するとともに外部通信機との間で通信を行う浮上装置であって、
　前記潜水体から放たれた当該浮上装置を前記水中から前記水上に浮上させる浮上部と、
　当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上した後に、前記外部通信機に対象情報を送信可能な通信部と、
　当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上した後に、当該浮上装置の少なくとも一部である対象部位を移動させる移動部と、を備える、浮上装置。
　前記移動部は、前記対象部位を飛行させることにより移動させ、
　前記通信部は、前記移動部により前記対象部位が飛行することを開始した後に、前記外部通信機に前記対象情報を送信する、請求項１に記載の浮上装置。
　前記通信部は、前記移動部により前記対象部位が高度１５ｍ以上の高さを飛行している状態において、前記外部通信機に前記対象情報を送信する、請求項２に記載の浮上装置。
　前記移動部は、前記対象部位を上向きに推進させる上向推進力を発生させることにより、前記対象部位を飛行させる、請求項２又は３に記載の浮上装置。
　前記移動部は、飛行している前記対象部位を真下に向かうように降下させる、請求項２～４のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、飛行している前記対象部位を真下とは異なる位置に向かうように降下させる、請求項２～４のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、前記通信部により前記外部通信機に前記対象情報が送信された後に、飛行している前記対象部位を同じ位置に留まらせる、請求項２～６のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、前記通信部により前記外部通信機に前記対象情報が送信された後に、動作を停止する、請求項２～６のいずれか一項に記載の浮上装置。
　当該浮上装置の一部である分離移動体を具備し、
　前記分離移動体は、
　　前記通信部と、
　　前記移動部と、を備え、
　　当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上した後に、当該浮上装置の残部と分離して前記移動部により移動する、請求項１～８のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、前記分離移動体を飛行させることにより移動させる、請求項９に記載の浮上装置。
　開閉部を備え、前記開閉部を閉状態とすることにより前記分離移動体を内部に密閉状態で収容可能、且つ、前記開閉部を開状態とすることにより前記密閉状態を解除するとともに前記分離移動体を前記内部から外部に移動可能とする収容体を具備し、
　前記分離移動体は、前記開閉部が前記閉状態とされた前記収容体の前記内部に収容された状態において当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上し、前記開閉部が前記開状態とされた後に、前記収容体と分離して前記移動部により移動する、請求項９又は１０に記載の浮上装置。
　当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上したことを検知する検知部を備え、
　前記収容体は、前記検知部により当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上したことが検知された場合に、前記開閉部を前記開状態とする、請求項１１に記載の浮上装置。
　前記収容体は、前記開閉部が前記閉状態とされた状態において油が充填されている、請求項１１又は１２に記載の浮上装置。
　前記収容体は、平均密度が２．０ｇ／ｃｍ^３以下となるように構成されている、請求項１１～１３のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記収容体の前記内部に前記分離移動体が収容された状態において前記分離移動体と前記収容体とを互いに固定可能な固定部を備え、
　前記分離移動体は、前記開閉部が前記閉状態とされた前記収容体の前記内部に収容された状態において当該浮上装置が前記水中から前記水上に浮上し、前記開閉部が前記開状態とされ、且つ、前記固定部による前記収容体との固定が解除された後に、前記収容体と分離して前記移動部により移動する、請求項１１～１４のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記収容体は、
　　外面が曲面により構成された曲面部と、
　　外面が平面により構成された非曲面部と、を備える、請求項１１～１５のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記分離移動体は、水に浮く、請求項９～１６のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記潜水体は、乗員が搭乗可能な搭乗用潜水体である、請求項１～１７のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、前記対象部位を特定の方向に移動させる、請求項１～１８のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記通信部により前記外部通信機に送信された前記対象情報を前記外部通信機が受信したか否かを判定する判定部を備え、
　前記移動部は、前記判定部により前記対象情報を前記外部通信機が受信したと判定された場合には、前記対象部位を移動させない、請求項１～１９のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記対象情報は、前記潜水体及び当該浮上装置の少なくともいずれかの位置を示す位置情報を含む、請求項１～２０のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記対象情報は、前記潜水体の状況を示すステータス情報を含む、請求項１～２１のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記対象情報は、１Ｂ以上５０Ｂ以下のデータ量を有している、請求項１～２２のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記通信部は、１０００ＭＨｚ以下の周波数の電波により前記外部通信機との間で通信を行う、請求項１～２３のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記対象部位が移動すべき距離、高度、及び時間のうち少なくともいずれかを示す移動パラメータを設定する移動パラメータ設定部を備え、
　前記移動部は、前記移動パラメータ設定部により設定された前記移動パラメータに応じて、前記対象部位を移動させる、請求項１～２４のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、当該浮上装置が利用可能なエネルギーのうち、前記対象部位を移動させるために当該移動部が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記対象部位を移動させ、
　前記通信部は、当該浮上装置が利用可能なエネルギーのうち、前記外部通信機に前記対象情報を送信するために当該通信部が利用可能なエネルギーが尽きるまで、前記外部通信機に前記対象情報を送信する、請求項１～２４のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記移動部は、当該移動部の動作確認のために前記対象部位をテスト移動させるテスト移動モードを選択可能である、請求項１～２６のいずれか一項に記載の浮上装置。
　前記通信部は、当該通信部の動作確認のために前記外部通信機にテスト情報を送信するテスト通信モードを選択可能である、請求項１～２７のいずれか一項に記載の浮上装置。
　請求項１～２８のいずれか一項に記載の浮上装置に関する識別情報を取得する識別情報取得部と、
　前記浮上装置に備えられた前記通信部により前記外部通信機に送信された前記対象情報を取得する対象情報取得部と、
　前記識別情報取得部により取得された前記識別情報、及び、前記対象情報取得部により取得された前記対象情報を互いに紐づけて管理する情報管理部と、を備える、情報管理装置。
　前記対象情報は、前記潜水体の状況を示すステータス情報を含む、請求項２９に記載の情報管理装置。
　前記対象情報取得部により前記対象情報が取得された後に、前記潜水体への対応に関する対応情報を生成する対応情報生成部を備える、請求項２９又は３０に記載の情報管理装置。
　前記潜水体に関する連絡先の連絡先情報を取得する連絡先情報取得部を備え、
　前記情報管理部は、前記連絡先情報取得部により取得された前記連絡先情報を前記識別情報と紐づけて管理し、
　前記対象情報取得部により新たな前記対象情報が取得された場合に、当該対象情報と紐づけられる前記識別情報と紐づけられた前記連絡先情報に基づいて前記連絡先に連絡を行う情報連絡部を更に備える、請求項２９～３１のいずれか一項に記載の情報管理装置。
　水中に潜水した潜水体から放たれて浮上部により水上に浮上するとともに外部通信機との間で通信を行う浮上装置の一部である分離移動体であって、
　前記浮上装置が前記水中から前記水上に浮上した後に、前記外部通信機に対象情報を送信可能な通信部と、
　前記浮上装置が前記水中から前記水上に浮上した後に、前記浮上装置の残部と分離した当該分離移動体を移動させる移動部と、を備える、分離移動体。