WO2022264316A1

WO2022264316A1 - 情報処理プログラム、情報処理方法および情報処理装置

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Publication number: WO2022264316A1
Application number: PCT/JP2021/022881
Authority: WO
Inventors: 雅樹西垣
Original assignee: 富士通株式会社
Priority date: 2021-06-16
Filing date: 2021-06-16
Publication date: 2022-12-22
Also published as: JPWO2022264316A1; US20240086189A1; EP4357911A1

Abstract

非互換情報データベースの利用を促進する。　記憶部（１１）は、第１のソフトウェアに依存するソースコードを第２のソフトウェアに適合させる書換方法を示す非互換情報（１３）と非互換情報（１３）の登録者を示す登録者情報（１４）とを記憶する。処理部（１２）は、非互換情報（１３）の利用者と非互換情報（１３）の利用結果とを示す利用情報（１６）を取得する。処理部（１２）は、利用情報（１６）が示す利用結果の種別を特定する。処理部（１２）は、複数の利用結果の種別と複数の評価値との間の対応関係を示す評価基準情報（１５）に基づいて、特定した種別に応じて、利用情報（１６）が示す利用者および登録者情報（１４）が示す登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する。

Description

情報処理プログラム、情報処理方法および情報処理装置

　本発明は情報処理プログラム、情報処理方法および情報処理装置に関する。

　情報処理システムは、ソフトウェアベンダから提供されるソフトウェアを使用することがある。ソフトウェアの例として、ＤＢＭＳ（Database Management System）などのミドルウェアが挙げられる。情報処理システムで実行されるプログラムのソースコードは、提供されるソフトウェアの仕様に依存して作成されることがある。例えば、プログラムは、ＤＢＭＳにＳＱＬ文を送信してデータベース操作機能を呼び出すなど、提供されるソフトウェアに対して要求を送信してソフトウェアの機能を呼び出すことがある。

　情報処理システムは、使用するソフトウェアを変更することがある。例えば、ソフトウェアベンダがバージョンアップを行った場合、情報処理システムが、使用するソフトウェアを新バージョンに更新することがある。また、例えば、情報処理システムが、他のソフトウェアベンダから提供される同種のソフトウェアに切り替えることがある。

　ただし、ソフトウェアを変更することで、ソフトウェア間の非互換性に基づく不具合が既存プログラムに発生することがある。例えば、サポートするＳＱＬ文の言語仕様など、要求を記述するための言語仕様が異なるために、既存プログラムから新ソフトウェアへの要求の送信にエラーが発生することがある。また、例えば、現ソフトウェアと新ソフトウェアとの間で、同一の要求に対する機能または性能が異なることがある。よって、ソフトウェアの変更は、ソースコードの修正を伴う可能性がある。

　なお、ソフトウェア部品の利用実績に基づいて、ソフトウェア部品の再利用の重要性を評価する重要性評価システムが提案されている。また、課題に対する解決案を複数のユーザから受け付け、解決案に対する報酬としてユーザにポイントを付与する情報処理装置が提案されている。また、ユーザから画像または動画のコンテンツの投稿を受け付け、投稿されたコンテンツに広告を関連付け、コンテンツの閲覧回数に応じてユーザに報酬を付与するコンテンツ共有システムが提案されている。

国際公開第２００３／０６９４６６号特開２００６－９９４１８号公報国際公開第２０１５／１００４９６号

　ソースコードの修正を支援する１つの方法として、コンピュータが、ソフトウェア変更時のソースコードの書換方法を規定した非互換情報を保存しておき、保存された非互換情報が示す書換方法を提示または実行する方法が考えられる。

　非互換情報を保存するデータベースが複数のユーザによって共有されることで、非互換性の知識が共有され、ソースコードの修正作業が効率化される可能性がある。しかし、単に共有データベースを整備しただけでは、複数のユーザから共有データベースが活発に利用されるとは限らない。そのため、有用な非互換情報の蓄積や非互換情報の実践的利用が十分に促進されないおそれがある。そこで、１つの側面では、本発明は、非互換情報データベースの利用を促進することを目的とする。

　１つの態様では、以下の処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラムが提供される。第１のソフトウェアに依存するソースコードを第２のソフトウェアに適合させる書換方法を示す非互換情報と非互換情報の登録者を示す登録者情報とを含むデータベースに対する利用情報であって、非互換情報の利用者と非互換情報の利用結果とを示す利用情報を取得する。利用情報が示す利用結果の種別を特定する。複数の利用結果の種別と複数の評価値との間の対応関係を示す評価基準情報に基づいて、特定した種別に応じて、利用情報が示す利用者および登録者情報が示す登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する。また、１つの態様では、コンピュータが実行する情報処理方法が提供される。また、１つの態様では、記憶部と処理部とを有する情報処理装置が提供される。

　１つの側面では、非互換情報データベースの利用を促進できる。
　本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。

第１の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。第２の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。データベース製品の非互換吸収の流れの例を示す図である。情報処理装置の機能例を示すブロック図である。エッジテーブルと構文非互換マスタテーブルの例を示す図である。変換前のソースコードと構文ツリーの例を示す図である。属性情報の例を示す図である。構文テーブルの例を示す図である。命令テーブルの例を示す図である。構文非互換情報の例を示す図である。変換後のソースコードと構文ツリーの例を示す図である。変換前のソースコードと構文ツリーの他の例を示す図である。構文非互換情報の他の例を示す図である。構文非互換情報の他の例を示す図（続き）である。性能非互換情報の例を示す図である。ＳＱＬ構文情報の例を示す図である。価値マスタテーブルの例を示す図である。非互換情報管理に用いられるテーブルの例を示す図である。ポイント集計テーブルの例を示す図である。非互換情報管理の手順例を示すフローチャートである。非互換情報管理の手順例を示すフローチャート（続き）である。

　以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
　［第１の実施の形態］
　第１の実施の形態を説明する。

　図１は、第１の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。
　第１の実施の形態の情報処理装置１０は、あるソフトウェアに依存するソースコードを別のソフトウェアに適合するように書き換えるという非互換吸収を支援する。情報処理装置１０は、非互換吸収の方法を示す非互換情報を管理する。情報処理装置１０は、クライアント装置でもよいしサーバ装置でもよい。情報処理装置１０が、コンピュータ、非互換情報管理装置またはソフトウェア開発支援装置と呼ばれてもよい。

　情報処理装置１０は、記憶部１１および処理部１２を有する。記憶部１１は、ＲＡＭ（Random Access Memory）などの揮発性半導体メモリでもよいし、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）やフラッシュメモリなどの不揮発性ストレージでもよい。処理部１２は、例えば、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）、ＤＳＰ（Digital Signal Processor）などのプロセッサである。ただし、処理部１２が、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）やＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）などの特定用途の電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、ＲＡＭなどのメモリ（記憶部１１でもよい）に記憶されたプログラムを実行する。プロセッサの集合が、マルチプロセッサまたは単に「プロセッサ」と呼ばれてもよい。

　記憶部１１は、非互換情報１３および登録者情報１４を含むデータベースを記憶する。また、記憶部１１は、価値マスタテーブル１５を記憶する。
　非互換情報１３は、第１のソフトウェアに依存するプログラムのソースコードを、第２のソフトウェアに適合するように書き換える書換方法を示す。非互換情報１３は、非互換吸収の知識を一定の形式で表現した知識情報である。第１のソフトウェアは変更前のソフトウェアに相当し、第２のソフトウェアは変更後のソフトウェアに相当する。変更前後のソフトウェアは、ソフトウェアベンダから提供されるソフトウェア製品であってもよく、ＤＢＭＳやＷｅｂサーバなどのミドルウェアであってもよい。また、変更前後のソフトウェアは、異なるソフトウェアベンダから提供される同種のソフトウェアでもよいし、同一のソフトウェアベンダから提供される異なるバージョンのソフトウェアでもよい。

　ソースコードは、ソフトウェアへの要求を示す要求メッセージを規定してもよい。要求メッセージはＳＱＬ文でもよく、ソースコードはＳＱＬまたはＳＱＬプロシジャ言語で記述されてもよい。変更前後のソフトウェアへの要求を記述するための言語は、類似しているものの同一でないことがある。例えば、変更前後のソフトウェアは、共にＳＱＬなどの汎用的なクエリ言語をサポートする一方、クエリ言語を独自に拡張していることがある。

　非互換情報１３は、不具合の原因となる構文上の特徴と書換後の構文とを示すものであってもよい。非互換情報１３は、ソースコードの中から非互換箇所を検出する手順を示す特定命令と、非互換箇所を書き換える手順を示す書換命令とを含んでもよい。非互換情報１３は、例えば、構文非互換性、機能非互換性または性能非互換性を解消する。

　構文非互換性は、変更前のソフトウェアでは許容されていた構文が、変更後のソフトウェアでは許容されないという非互換性である。構文非互換性をもつプログラムが変更後のソフトウェアに要求メッセージを送信すると、送信エラーが発生して変更後のソフトウェアの実行が失敗することがある。機能非互換性は、変更後のソフトウェアの実行結果が変更前のソフトウェアの実行結果と一致しないという非互換性である。機能非互換性をもつプログラムが変更後のソフトウェアに要求メッセージを送信すると、期待した実行結果が得られないことがある。性能非互換性は、変更後のソフトウェアの実行性能が変更前のソフトウェアよりも低いという非互換性である。性能非互換性をもつプログラムが変更後のソフトウェアに要求メッセージを送信すると、待ち時間が著しく長くなることがある。

　登録者情報１４は、非互換情報１３をデータベースに登録した登録者を示す。登録者は、通常、非互換情報１３を作成した作成者である。登録者情報１４は、例えば、登録者の名前または登録者を識別するユーザＩＤである。登録者情報１４は、非互換情報１３を登録する際に非互換情報１３の有効性を検証した承認者を更に示していてもよい。

　価値マスタテーブル１５は、非互換情報１３の利用結果の種別と評価値との間の対応関係を示す。価値マスタテーブル１５が、評価基準情報と呼ばれてもよい。評価値は、非互換情報１３の価値向上に役割を果たした関係者に付与されるポイントである。評価値が付与される役割は利用結果の種別に応じて異なってもよく、付与される評価値は利用結果の種別に応じて異なってもよい。また、１回の利用結果から複数の役割に評価値が付与されてもよく、それら複数の役割の間で評価値が異なってもよい。

　利用結果の種別は、当初想定された第１のソフトウェアから第２のソフトウェアへの非互換吸収が成功したことを含んでもよい。この利用結果からは、今回の利用者と非互換情報１３の登録者とに評価値が付与されてもよい。また、利用結果の種別は、当初想定された第１のソフトウェアから第２のソフトウェアへの非互換吸収とは異なるソフトウェア間の非互換吸収に非互換情報１３を応用することを含んでもよい。この利用結果からは、他のソフトウェアへの応用を発見した利用者に評価値が付与されてもよい。

　また、利用結果の種別は、非互換情報１３の中の一部情報の部分利用を含んでもよい。例えば、非互換情報１３は、ソースコードの中の不連続な複数の文字列を書き換える書換方法を示す複数の非互換サブ情報を含むことがある。その場合、ユーザは、複数の非互換サブ情報のうちの一部の非互換サブ情報を再利用できることがある。この利用結果からは、今回の利用者と非互換情報１３の登録者とに評価値が付与されてもよい。

　また、利用結果の種別は、非互換情報１３と他の非互換情報との抵触の検出を含んでもよい。例えば、データベースに登録された他の非互換情報が、第２のソフトウェアの不具合原因となる構文上の特徴を規定していることがある。他の非互換情報は、性能非互換情報であってもよい。この場合、非互換情報１３が示す書換方法に従って書き換えられたソースコードが、他の非互換情報が示す構文上の特徴に該当することがある。この利用結果からは、非互換情報１３の登録者と他の非互換情報の登録者とに評価値が付与されてもよい。また、利用結果の種別は、非互換情報１３の修正の提案を含んでもよい。この利用結果からは、非互換情報１３の修正を提案した利用者に評価値が付与されてもよい。

　処理部１２は、非互換情報１３を含むデータベースに対する利用情報を取得する。利用情報は、非互換情報１３の利用者と非互換情報１３の利用結果とを示す。利用情報は、利用者の名前または利用者を識別するユーザＩＤを含んでもよい。処理部１２は、利用者が操作する他の情報処理装置から利用情報を受信してもよい。

　処理部１２は、取得した利用情報が示す利用結果の種別を判定する。そして、処理部１２は、価値マスタテーブル１５に基づいて、特定した種別に応じて、取得した利用情報が示す利用者および登録者情報１４が示す登録者の一方または両方に付与する評価値を算出する。処理部１２は、算出された評価値を記憶部１１または他の記憶装置に保存してもよい。また、処理部１２は、算出された評価値を表示装置に表示してもよい。また、処理部１２は、算出された評価値を他の情報処理装置に送信してもよい。

　例えば、処理部１２は、利用情報１６，１７を取得する。利用情報１６は、ユーザＢが、第１のソフトウェアから第２のソフトウェアへの非互換吸収に非互換情報１３を利用したことを示す。利用情報１７は、ユーザＣが、第３のソフトウェアから第４のソフトウェアへの非互換吸収に非互換情報１３を応用できることを発見したことを示す。処理部１２は、利用情報１６から、利用者であるユーザＢに付与する評価値１８ａを算出し、登録者であるユーザＡに付与する評価値１８ｂを算出する。また、処理部１２は、利用情報１７から、利用者であるユーザＣに付与する評価値１９を算出する。

　以上説明したように、第１の実施の形態の情報処理装置１０は、非互換情報１３の利用者および利用結果を示す利用情報を取得し、価値マスタテーブル１５に基づいて、利用結果の種別に応じて利用者と登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する。これにより、共有データベースへの非互換情報１３の登録の価値や非互換情報１３の利用の価値が評価され、登録者や利用者にインセンティブが与えられる。よって、非互換情報を含む共有データベースの利用が促進される。その結果、複数のユーザの間で非互換吸収のための知識が共有され、非互換吸収の作業が効率化される。

　［第２の実施の形態］
　次に、第２の実施の形態を説明する。第２の実施の形態の情報処理システムは、データベース製品を使用するプログラムのソースコードを解析し、使用するデータベース製品を変更する際の修正作業を支援する。データベース製品の変更は、異なるソフトウェアベンダから提供されるデータベース製品の間の変更と、同一のソフトウェアベンダから提供される異なるバージョンの間の変更とを含む。データベース製品の間には非互換性が存在することがある。非互換性による不具合を解消するようにソースコードを修正することは、非互換吸収と呼ばれることがある。

　図２は、第２の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。
　第２の実施の形態の情報処理システムは、ネットワーク３０に接続された端末装置３１，３２，３３などの複数の端末装置と情報処理装置１００とを含む。ネットワーク３０は、ＬＡＮ（Local Area Network）を含んでもよく、インターネットを含んでもよい。端末装置３１，３２，３３は、ユーザが操作するクライアントコンピュータである。情報処理装置１００は、端末装置３１，３２，３３からアクセスされるサーバコンピュータである。情報処理装置１００は、第１の実施の形態の情報処理装置１０に対応する。

　端末装置３１，３２，３３を含む複数の端末装置はそれぞれ、非互換吸収に役割を果たすユーザによって使用される。ユーザは、エンジニア（技術者）と呼ばれてもよい。ただし、ユーザが、複数のエンジニアを含む組織であってもよい。情報処理装置１００は、非互換情報を蓄積するデータベースを管理し、データベースの利用状況を監視する。情報処理装置１００は、データベースの利用を促進するため、利用状況に応じて、関係するユーザに対してインセンティブとしてポイントを付与する。ポイントは、評価値と呼ばれてもよい。ユーザに付与されたポイントは、ユーザの人事評価に用いられてもよい。

　非互換情報は、複数のユーザによって共有される知識情報である。非互換情報のデータベースは、複数のユーザによって共有される共有データベースである。非互換情報は、変更前のデータベース製品と変更後のデータベース製品の組に対応付けられる。非互換情報は、ソースコードの中から非互換箇所を特定する特定方法と、特定された非互換箇所を非互換性が解消されるように書き換える書き換え方法とを示す。

　ユーザの中には、新規な非互換情報をデータベースに登録するユーザが含まれる。このユーザは登録者と呼ばれることがある。端末装置３１は、例えば、登録者によって使用されている。登録者の端末装置は、変更前後のデータベース製品の識別子を指定して、非互換情報を情報処理装置１００に送信する。

　また、ユーザの中には、新規な非互換情報を承認するユーザが含まれる。このユーザは承認者と呼ばれることがある。端末装置３２は、例えば、承認者によって使用されている。承認者は、非互換情報がデータベースに正式に登録される前に、非互換情報が正しく動作することを確認する。承認者の候補は、登録者の上司や経験豊富なエンジニアなど、予め決められていてもよい。承認者の端末装置は、非互換情報を承認する場合、承認メッセージを情報処理装置１００に送信する。情報処理装置１００は、承認者からの承認メッセージを待って、新規な非互換情報をデータベースに正式に登録する。

　また、ユーザの中には、既存の非互換情報が他のデータベース製品に適用可能であることを確認したユーザが含まれる。他のデータベース製品への適用は継承と呼ばれることがあり、このユーザは継承申請者と呼ばれることがある。継承は、変更前のデータベース製品と変更後のデータベース製品の少なくとも一方が異なることである。

　継承申請者の端末装置は、非互換情報の識別子と変更前後のデータベース製品の識別子を指定して、継承申請メッセージを情報処理装置１００に送信する。継承の場合も新規登録の場合と同様に、承認者による承認が行われる。情報処理装置１００は、承認者からの承認メッセージを待って、申請されたデータベース製品と非互換情報とを対応付ける。

　また、ユーザの中には、データベースに登録された非互換情報を、既知のデータベース製品にそのまま適用したユーザが含まれる。この利用形態は単純利用と呼ばれることがあり、このユーザは利用申請者と呼ばれることがある。端末装置３３は、例えば、利用申請者によって使用されている。利用申請者の端末装置は、非互換情報の識別子を指定して、利用実績メッセージを情報処理装置１００に送信する。

　また、ユーザの中には、既存の非互換情報を修正するユーザが含まれる。このユーザは修正者と呼ばれることがある。非互換情報を利用しようとした場合に、非互換情報にバグが含まれていると、非互換情報が正しく動作しないことがある。非互換情報のバグには、非互換情報に従って変換されたソースコードが変更後のデータベース製品で正しく実行されないことも含まれる。その場合、ユーザは非互換情報を修正することがある。

　修正者の端末装置は、非互換情報の識別子を指定して、修正された非互換情報を情報処理装置１００に送信する。修正の場合も新規登録の場合と同様に、承認者による承認が行われる。情報処理装置１００は、承認者からの承認メッセージを待って、修正された非互換情報をデータベースに正式に登録する。

　また、ユーザの中には、既存の非互換情報に含まれる一部情報を、非互換情報全体の用途とは異なる用途で利用したユーザが含まれる。後述するように、非互換情報の一部情報は、非互換サブ情報と呼ばれることがある。非互換サブ情報は、他の非互換情報の中に組み込まれることもある。この利用形態は部品利用と呼ばれることがあり、このユーザは部品利用申請者と呼ばれることがある。部品利用申請者の端末装置は、非互換サブ情報の識別子を指定して、利用実績メッセージを情報処理装置１００に送信する。

　ここで、情報処理装置１００は、利用可能な非互換情報の検索など、非互換情報の利用を支援するユーザインタフェースをユーザに提供してもよい。例えば、ユーザの端末装置は、変更前後のデータベース製品の識別子を指定して、変換前のソースコードを情報処理装置１００に送信する。情報処理装置１００は、ソースコードを解析し、指定されたデータベース製品に対応付けられた非互換情報と照合する。

　情報処理装置１００は、ソースコードの中の非互換箇所、マッチする非互換情報および非互換性解消のための書換方法を、ユーザの端末装置に通知する。情報処理装置１００は、ソースコードに対して非互換情報の書換方法を仮に実行して、変換後のソースコードのイメージをユーザの端末装置に送信してもよい。ソースコードを正式に変換する前の作業は、アセスメントと呼ばれることがある。

　アセスメントにおいてソースコードを仮変換した場合、情報処理装置１００は、変換後のソースコードが別の非互換箇所を含んでいるか判定してもよい。この判定には、他の非互換情報が利用される。変換後のソースコードが別の非互換箇所を含む場合、ある非互換情報が別の非互換性を発生させている可能性があり、２つの非互換情報が抵触している可能性がある。この場合、情報処理装置１００は、抵触した非互換情報もユーザに提示する。関連する他の非互換情報の提示は非互換情報のレコメンドと呼ばれることがあり、関連する２つの非互換情報の利用は非互換情報の結合と呼ばれることがある。

　抵触する非互換情報が提示されたユーザは、元の非互換情報の利用を断念することもあるし、２つの非互換情報の書換方法を併用することもある。なお、第２の実施の形態では主に、元の非互換情報が構文非互換情報であり、抵触する非互換情報が性能非互換情報である場合が想定される。構文非互換情報は、変更後のデータベース製品がサポートしない構文を書き換える書換方法を示す。性能非互換情報は、変更後のデータベース製品の実行性能が著しく低下する構文を示し、性能低下を解消する書換方法を示すことがある。構文非互換情報によって、ソースコードが変更後のデータベースで動作しないという不具合は解消されるものの、実行性能が著しく低下するという別の不具合が生じることがある。

　図３は、情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。
　情報処理装置１００は、バスに接続されたＣＰＵ１０１、ＲＡＭ１０２、ＨＤＤ１０３、ＧＰＵ１０４、入力インタフェース１０５、媒体リーダ１０６および通信インタフェース１０７を有する。ＣＰＵ１０１は、第１の実施の形態の処理部１２に対応する。ＲＡＭ１０２またはＨＤＤ１０３は、第１の実施の形態の記憶部１１に対応する。端末装置３１，３２，３３が、情報処理装置１００と同様のハードウェアを有してもよい。

　ＣＰＵ１０１は、プログラムの命令を実行するプロセッサである。ＣＰＵ１０１は、ＨＤＤ１０３に記憶されたプログラムおよびデータの少なくとも一部をＲＡＭ１０２にロードし、プログラムを実行する。情報処理装置１００は、複数のプロセッサを有してもよい。プロセッサの集合が、マルチプロセッサまたは単に「プロセッサ」と呼ばれてもよい。

　ＲＡＭ１０２は、ＣＰＵ１０１で実行されるプログラムおよびＣＰＵ１０１で演算に使用されるデータを一時的に記憶する揮発性半導体メモリである。情報処理装置１００は、ＲＡＭ以外の種類の揮発性メモリを有してもよい。

　ＨＤＤ１０３は、ＯＳ（Operating System）、ミドルウェア、アプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性ストレージである。情報処理装置１００は、フラッシュメモリやＳＳＤ（Solid State Drive）などの他の種類の不揮発性ストレージを有してもよい。

　ＧＰＵ１０４は、ＣＰＵ１０１と連携して画像を生成し、情報処理装置１００に接続された表示装置１１１に画像を出力する。表示装置１１１は、例えば、ＣＲＴ（Cathode Ray Tube）ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ＥＬ（Electro Luminescence）ディスプレイまたはプロジェクタである。なお、情報処理装置１００に、プリンタなどの他の種類の出力デバイスが接続されてもよい。

　入力インタフェース１０５は、情報処理装置１００に接続された入力デバイス１１２から入力信号を受け付ける。入力デバイス１１２は、例えば、マウス、タッチパネルまたはキーボードである。情報処理装置１００に複数の入力デバイスが接続されてもよい。

　媒体リーダ１０６は、記録媒体１１３に記録されたプログラムおよびデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体１１３は、例えば、磁気ディスク、光ディスクまたは半導体メモリである。磁気ディスクには、フレキシブルディスク（ＦＤ：Flexible Disk）およびＨＤＤが含まれる。光ディスクには、ＣＤ（Compact Disc）およびＤＶＤ（Digital Versatile Disc）が含まれる。媒体リーダ１０６は、記録媒体１１３から読み取られたプログラムおよびデータを、ＲＡＭ１０２やＨＤＤ１０３などの他の記録媒体にコピーする。読み取られたプログラムは、ＣＰＵ１０１によって実行されることがある。

　記録媒体１１３は、可搬型記録媒体であってもよい。記録媒体１１３は、プログラムおよびデータの配布に用いられることがある。また、記録媒体１１３およびＨＤＤ１０３が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体と呼ばれてもよい。

　通信インタフェース１０７は、ネットワーク３０に接続され、ネットワーク３０を介して端末装置３１，３２，３３と通信する。通信インタフェース１０７は、スイッチやルータなどの有線通信装置に接続される有線通信インタフェースでもよいし、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に接続される無線通信インタフェースでもよい。

　次に、情報処理システムによる非互換吸収の流れを説明する。
　図４は、データベース製品の非互換吸収の流れの例を示す図である。
　情報処理システムは、変更前のデータベース製品に依存するソースコード１３１を取得する。ソースコード１３１は、ＳＱＬ文またはＳＱＬプロシジャコードを含む。ＳＱＬ文は、ＳＱＬを用いて記述されたデータベースクエリである。ＳＱＬの基本仕様は標準化されているものの、データベース製品によっては基本仕様を拡張した独自仕様をもつことがある。ＳＱＬプロシジャコードは、ＳＱＬと整合するように規定された手続き型言語のプログラムであり、ストアドプロシジャとして動作する。

　情報処理システムは、ソースコード１３１の構文解析を行い、構文ツリー１３２を生成する。構文ツリー１３２は、文、節、句、語などの言語要素の構造を示すツリー型データである。構文解析を通じて生成される構文ツリー１３２は、字句解析のみを行う場合と異なり、ソースコード１３１において各語が出現する文脈を表現できる。例えば、ＳＱＬ文やＳＱＬプロシジャコードでは、同じ変数であっても、変数が記述される位置によって変数の有効範囲が異なることがある。そのため、非互換吸収では構文ツリー１３２が有用である。ただし、情報処理システムはソースコード１３１の意味解析を行わなくてよく、構文ツリー１３２は言語要素の論理的意味を示す意味情報を含まなくてよい。

　情報処理システムは、変更前のデータベース製品と変更後のデータベース製品との組に対応付けられた非互換情報１３３を、知識情報として保持している。データベース製品は、製品名とバージョン番号の組で識別され得る。非互換情報１３３は、特定命令の列と書換命令の列とを含む。特定命令は、変更前のデータベース製品では正常に動作するものの変更後のデータベース製品では不具合が発生するおそれがある非互換箇所を、構文ツリー１３２の中から特定するための命令である。書換命令は、特定命令によって特定された非互換箇所について、変更後のデータベース製品において不具合が発生しないように構文ツリー１３２を書き換えるための命令である。

　情報処理システムは、構文ツリー１３２に対して、非互換情報１３３に含まれる特定命令を実行する。特定命令によって構文ツリー１３２の中から非互換箇所が検出された場合、情報処理システムは、構文ツリー１３２に対して、非互換情報１３３に含まれる書換命令を実行して非互換吸収を行う。これにより、非互換性が解消されるように構文ツリー１３２が書き換えられる。情報処理システムは、書き換えられた構文ツリー１３２からソースコード１３４を生成する。ソースコード１３４は、ソースコード１３１に対して非互換吸収を行った結果であり、変更後のデータベース製品用のソースコードである。

　図５は、情報処理装置の機能例を示すブロック図である。
　情報処理装置１００は、非互換情報記憶部１２１および評価情報記憶部１２２を有する。これらの記憶部は、例えば、ＲＡＭ１０２またはＨＤＤ１０３を用いて実装される。また、情報処理装置１００は、非互換情報登録部１２３、非互換検出部１２４、利用申請受信部１２５およびポイント管理部１２６を有する。これらの処理部は、例えば、ＣＰＵ１０１およびプログラムを用いて実装される。

　非互換情報記憶部１２１は、非互換情報を記憶する。また、非互換情報記憶部１２１は、変更前のデータベース製品と変更後のデータベース製品の組から、利用可能な非互換情報を検索するための管理情報を記憶する。非互換情報には、構文非互換情報と性能非互換情報とが含まれる。構文非互換性は、変更前のデータベース製品では許容されていたＳＱＬまたはＳＱＬプロシジャ言語の構文が、変更後のデータベース製品では許容されないという構文エラーである。構文非互換情報は、構文ツリーから非互換箇所を特定する手順を示す特定命令と、特定された非互換箇所を書き換える手順を示す書換命令とを含む。性能非互換性は、同一の機能について、変更後のデータベース製品の性能が変更前のデータベース製品と比べて著しく低いことである。

　評価情報記憶部１２２は、非互換情報に関与したユーザのポイントを算出するための評価情報を記憶する。評価情報には、ポイントの算出方法を示すマスタ情報が含まれる。ポイントの算出方法は、情報処理システムの管理者によって事前に決定される。

　非互換情報登録部１２３は、変更前後のデータベース製品の識別子と新規な非互換情報とを、登録者の端末装置から受信する。すると、非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信し、承認者の端末装置から承認メッセージを受信する。非互換情報登録部１２３は、指定された変更前後のデータベース製品と対応付けて、新規な非互換情報を非互換情報記憶部１２１に保存する。このとき、非互換情報登録部１２３は、新規登録をポイント管理部１２６に報告する。

　また、非互換情報登録部１２３は、非互換情報の識別子と変更前後のデータベース製品の識別子とを、継承申請者の端末装置から受信する。すると、非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信し、承認者の端末装置から承認メッセージを受信する。非互換情報登録部１２３は、非互換情報記憶部１２１の管理情報を更新して、指定された非互換情報を指定された変更前後のデータベース製品と対応付ける。このとき、非互換情報登録部１２３は、継承をポイント管理部１２６に報告する。

　ここで、既存の非互換情報の継承は、その非互換情報の登録者が行うことで効率化されることがある。また、既存の非互換情報の継承は、新規な非互換情報の作成と比べて作業負担が小さいため、その非互換情報の登録者が優先的に行うことでユーザ間の評価の公平性が図られる。そこで、非互換情報登録部１２３は、新しいデータベース製品が出現してから一定期間を、新しいデータベース製品に関して元の登録者が優先的に継承申請者になることができる優先期間に設定する。優先期間を経過しても元の登録者が継承を申請しない場合に、他のユーザが継承申請者になることができる。また、優先期間内では、新規登録時の承認者が優先的に継承の承認者になることができる。

　また、非互換情報登録部１２３は、非互換情報の識別子と修正された非互換情報とを、修正者の端末装置から受信する。すると、非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信し、承認者の端末装置から承認メッセージを受信する。非互換情報登録部１２３は、非互換情報記憶部１２１に記憶された非互換情報を更新する。このとき、非互換情報登録部１２３は、修正をポイント管理部１２６に報告する。

　非互換検出部１２４は、変更前後のデータベース製品の識別子とソースコードとを、端末装置から受信する。すると、非互換検出部１２４は、指定された変更前後のデータベース製品に対応する非互換情報を、非互換情報記憶部１２１から検索する。また、非互換検出部１２４は、ソースコードの構文解析を行って構文ツリーを生成する。非互換検出部１２４は、構文非互換情報に含まれる特定命令を構文ツリーに対して実行して、非互換箇所を検出する。非互換検出部１２４は、検出された非互換箇所と構文非互換情報が示す書換方法とを含むアセスメント情報を、端末装置に返信する。

　このとき、非互換検出部１２４は、構文非互換情報に含まれる書換命令を構文ツリーに対して仮に実行し、変換後の構文ツリーにマッチする性能非互換情報を検索する。マッチする性能非互換情報が存在する場合、非互換検出部１２４は、アセスメント情報に性能非互換情報を更に含めて、性能非互換情報の利用をレコメンドする。その場合、非互換検出部１２４は、結合のレコメンドをポイント管理部１２６に報告する。

　利用申請受信部１２５は、非互換情報の識別子を、利用申請者の端末装置から受信する。すると、利用申請受信部１２５は、利用申請をポイント管理部１２６に報告する。また、利用申請受信部１２５は、非互換サブ情報の識別子を、利用申請者の端末装置から受信する。すると、利用申請受信部１２５は、部品利用をポイント管理部１２６に報告する。

　ポイント管理部１２６は、非互換情報登録部１２３、非互換検出部１２４および利用申請受信部１２５から報告を受け付ける。ポイント管理部１２６は、評価情報記憶部１２２に記憶されたマスタ情報に従って、報告毎に１以上のユーザに対して付与されるポイントを算出し、算出されたポイントを評価情報記憶部１２２に記録する。

　新規登録の場合、ポイント管理部１２６は、登録者と承認者にポイントを付与する。継承の場合、ポイント管理部１２６は、継承申請者と今回の承認者にポイントを付与する。利用申請の場合、ポイント管理部１２６は、利用申請者と、利用された非互換情報の登録者および承認者にポイントを付与する。修正の場合、ポイント管理部１２６は、修正者と今回の承認者にポイントを付与する。部品利用の場合、ポイント管理部１２６は、利用申請者と、利用された非互換サブ情報を含む非互換情報の登録者および承認者にポイントを付与する。結合のレコメンドの場合、ポイント管理部１２６は、構文非互換情報の登録者および承認者と、性能非互換情報の登録者および承認者とにポイントを付与する。

　次に、ソースコードおよび非互換情報のデータ構造について説明する。
　図６は、エッジテーブルと構文非互換マスタテーブルの例を示す図である。
　非互換情報記憶部１２１は、エッジテーブル１４１を記憶する。エッジテーブル１４１は、変更前のデータベース製品と変更後のデータベース製品の組を表すエッジを管理する。変更前のデータベース製品は非互換吸収元と呼ばれることがあり、変更後のデータベース製品は非互換吸収先と呼ばれることがある。データベース製品は、製品名とバージョン番号とによって識別される。エッジテーブル１４１の１つのレコードは、１つのエッジに対応する。各レコードは、エッジキー、吸収元製品および吸収先製品を含む。

　エッジキーは、エッジを識別するビット列である。異なるエッジには異なるエッジキーが割り当てられる。エッジキーに含まれる複数のビットのうち、何れか１つのビットの値が１であり、他のビットの値が０である。よって、値が１であるビットの位置によって、エッジが識別される。エッジキーがビットマップと呼ばれてもよい。吸収元製品は変更前のデータベース製品であり、吸収先製品は変更後のデータベース製品である。

　例えば、あるエッジキーは、製品１のバージョン１から製品１のバージョン２への非互換吸収を表す。また、あるエッジキーは、製品１のバージョン１から製品２のバージョン１への非互換吸収を表す。また、あるエッジキーは、製品１のバージョン２から製品２のバージョン２への非互換吸収を表す。また、あるエッジキーは、製品１のバージョン２から製品２のバージョン１への非互換吸収を表す。

　また、非互換情報記憶部１２１は、構文非互換マスタテーブル１４２を記憶する。構文非互換マスタテーブル１４２は、構文非互換情報を管理する。構文非互換マスタテーブル１４２の１つのレコードは、１つの構文非互換情報に対応する。各レコードは、非互換番号、構文非互換名および参照エッジキーを含む。

　非互換番号は、構文非互換情報を識別する識別番号である。構文非互換名は、構文非互換情報が検出および書換の対象とする非互換箇所の特徴を端的に表現した文字列である。構文非互換名は、構文非互換情報の登録者によって決定されてもよい。参照エッジキーは、構文非互換情報が有効なエッジを示すビット列である。参照エッジキーは、構文非互換情報が有効な１以上のエッジに割り当てられたエッジキーの論理和である。１つのエッジに対して有効な構文非互換情報は２以上存在することがあり、１つの構文非互換情報は２以上のエッジに対して有効であることがある。よって、エッジと構文非互換情報とは、参照エッジキーを介して多対多に対応付けられる。

　１つのエッジキーは値が１のビットを１つのみ含み、異なるエッジキーの間では値が１のビットの位置が異なる。よって、構文非互換情報がｎ個のエッジに関連する場合、参照エッジキーは値が１のビットをｎ個含む。あるデータベース製品の組、すなわち、あるエッジに対して有効な構文非互換情報を検索する場合、非互換検出部１２４は、そのエッジのエッジキーと各構文非互換情報の参照エッジキーとの論理積を算出する。論理積が０である構文非互換情報は、そのエッジに対して有効でない。一方、論理積が０でない構文非互換情報は、そのエッジに対して有効である。これにより、非互換検出部１２４は、関連する構文非互換情報を高速に検索することができる。

　図７は、変換前のソースコードと構文ツリーの例を示す図である。
　ここで、ＳＱＬ文の構文について説明する。文は末尾に終端記号を含む。文は終端記号の前に節を含むことがある。節は先頭に命令語を含み、命令語と終端記号の間に句、式または語を含む。句は先頭にオブジェクト種別、前置詞、副詞または括弧を含む。句は続いて句、式または語を含み、句、式または語が２回以上連続することがある。句は続いて節を含むことがある。式は関数名または語を含み、続いて演算子を含む。

　終端記号は、文の終端を表す。終端記号は、セミコロン（「；」）であることがある。語は、文の中で意味をもつ最小の言語単位である。語には、識別子、予約語、関数名および演算子が含まれる。予約語には、命令語、オブジェクト種別およびその他の予約語が含まれる。命令語は、CREATEやUPDATEなどの命令を示す。オブジェクト種別は、TABLEなどのオブジェクトの種類を示す。その他の予約語は、BEGINなど、命令語およびオブジェクト種別以外の予約語である。式には、演算子によって結合された語と語の組や、演算子によって結合された語と式の組が含まれる。また、式には、関数名と引数の組が含まれる。引数は、開括弧（「（」）と閉括弧（「）」）に挟まれる。

　句には、一般句、述語句、接尾句、定義句および未分類句が含まれる。一般句は、修飾語と目的語の組である。例えば、TABLE T1のように、オブジェクト種別と識別子の組は一般句である。述語句には、FROM T1やAS T2のように、前置詞と目的語の組が含まれる。また、述語句には、WHERE C1のように、副詞と目的語の組が含まれる。接尾句は、開括弧と閉括弧とで挟まれており、データ型の指定やキーカラムの指定に使用され得る。定義句は、変数の型を指定する言語要素であり、予約語以外の語とデータ型を示す予約語とを含む。未分類句は、一般句、述語句、接尾句および定義句の何れにも該当しない句である。

　構文ツリー１５２は、ソースコード１５１の構文を示す。ソースコード１５１は、SELECT * FROM S1.T1 WHERE C1='1';というＳＱＬ文を含む。構文ツリー１５２は、ツリー構造の無向グラフである。構文ツリー１５２は、それぞれ言語要素を示す複数のノードと、それら複数のノードをツリー構造に結合する複数のエッジとを含む。上位ノードと下位ノードとの間のエッジは、下位ノードに対応する言語要素が、上位ノードに対応する言語要素に包含されることを表す。同一レベル内では、複数の言語要素の出現順序が保持される。左ノードに対応する言語要素は、右ノードに対応する言語要素よりも先に出現する。

　構文ツリー１５２は、SELECT，*，FROM，S1.T1，WHERE，C1，=，'1'というキーワードに対応する８個の語ノードを含む。また、構文ツリー１５２は、１個の文ノード、１個の節ノード、２個の述語句ノード、１個の式ノードおよび１個の終端記号ノードを含む。なお、各ノードは言語要素の種別や値などの属性をもつ。図示する構文ツリーの例では、一部の属性のみが表示されている。また、終端記号が「終」、一般句が「句」、述語句が「述」、接尾句が「接」、定義句が「定」、未分類句が「未」と記載されることがある。

　図８は、属性情報の例を示す図である。
　属性情報１５３は、構文ツリーの１つのノードに対応付けられる。属性情報１５３は、位置情報、分類、分類属性、種別、値、値属性および行番号を含む。ただし、ノードの種別によって、一部の項目の項目値が定義されないことがある。

　位置情報は、構文ツリー内でのノードの位置を示す。後述するように、ノードの位置は、縦位置と横位置を含む二次元座標で表現される。分類は、文、節、句、式、語などの最上位の分類を示す。分類属性は、一般ノードと補完ノードの区別を示す。一般ノードは、ソースコードの記述から直接的に抽出された言語要素を示す。補完ノードは、ソースコードに明示的に記述されていないものの解釈上補完された言語要素を示す。種別は、一般句や命令語など、分類を更に細分化したグループである。値は、語の文字列である。値属性は、値の種別である。値属性には、一般文字列と補完文字列が含まれる。行番号は、ノードに対応する言語要素がソースコードの中で出現する行の番号である。

　構文ツリーは、二次元表形式の構文テーブルとして表現され得る。これにより、ノードの位置の特定が容易となり、ノードの識別やノード探索の手順の記述が容易となる。構文ツリーに含まれるノードは、以下のような規則で構文テーブルに配置される。

　図９は、構文テーブルの例を示す図である。
　構文テーブル１５４は、図７の構文ツリー１５２と同等の構文テーブルである。構文テーブル１５４の左上のセルの位置座標が（１，１）である。下に進むほど縦位置を示す行番号が大きくなり、右に進むほど横位置を示す列番号が大きくなる。各セルの位置は、（行番号，列番号）という二次元座標によって指定される。

　文を示すノードは、構文テーブル１５４の左上のセルに配置される。あるノードの直下にある子ノードのうち最も左側の子ノードは、当該ノードに対応するセルの１つ下のセルに配置される。１つ下のセルは、行番号が１つ大きく列番号が同じセルである。あるノードと同じ親ノードをもつ他のノードであって当該ノードより右側にあるものは、当該ノードに対応するセルの右側のセルに配置される。右側のセルは、行番号が同じであり列番号が大きいセルである。各ノードが配置されるセルは、深さ優先順に決定される。

　１つの列には、構文ツリーに含まれる１つの語ノードが配置される。よって、親子関係にある２つのノードの行番号は連続する一方、同一の親ノードをもつ２つのノードの列番号は不連続であることがある。これにより、ソースコード１５１に含まれる９個の語に対応する語ノードが、構文テーブル１５４の第１列から第９列に順序を保持して配置される。構文テーブル１５４と構文ツリー１５２とは、相互に変換可能である。構文非互換情報は、構文ツリーの上で条件を満たすノードを探索する１以上の特定命令と、構文ツリーに含まれる一部のノードを書き換える１以上の書換命令とを含む。

　図１０は、命令テーブルの例を示す図である。
　命令テーブル１５５は、構文非互換情報で使用され得る命令の定義を示す。命令テーブル１５５の１つのレコードが１つの命令を示す。命令テーブル１５５の１つのレコードは、命令、縦位置、横位置、探索属性およびキーワードを含む。

　縦位置、横位置、探索属性およびキーワードは、命令の引数である。縦位置は、着目する現ノードと対象ノードとの間の上下方向の位置関係に対する条件である。＋は上方向を示し、－は下方向を示し、ｎは現ノードからの距離を示し、＊は距離制限なしを示す。横位置は、着目する現ノードと対象ノードとの間の左右方向の位置関係に対する条件である。＝は現ノードと同じ横位置を示し、＋は右方向を示し、－は左方向を示し、ｎは現ノードからの距離を示し、＊は距離制限なしを示す。

　横位置は［命令番号］というフォーマットで指定されることがある。これは、その命令番号をもつ命令で選択されたノードの横位置を始点として探索を行うことを示す。また、横位置は［命令番号１：命令番号２］というフォーマットで指定されることがある。これは、命令番号１をもつ命令で選択されたノードの横位置と、命令番号２をもつ命令で選択されたノードの横位置との間を探索することを示す。探索属性は、対象ノードがもつ分類、分類属性、種別および値属性に対する条件である。

　キーワードは、ノードを特定するための探索属性以外の情報である。キーワードは、語の値としての識別子であることがある。また、キーワードとして、実行済みの命令の命令番号が指定されることがある。これは、その命令によって特定されたノードを再選択することを示す。また、命令の結果が真である場合、すなわち、条件を満たすノードが存在する場合に実行されるアクションが、命令に付随して規定され得る。

　アクションなしは、次の命令に進むことを示す。RETは、次の命令を実行し、次の命令の結果が偽である場合に当該命令に戻ることを示す。次の命令において条件を満たすノードが検出されなかった場合、次の命令の結果が偽と判定される。また、着目する現ノードの属性情報を利用した他の命令そのものが、アクションとして規定されることがある。

　命令には、FETCH，SEARCH，POP，GET PRM，SET PRM，！，DELETE，CREATE，MODIFYが含まれる。FETCH，SEARCH，POP，GET PRM，SET PRM，！は、特定命令として使用され得る。DELETE，CREATE，MODIFYは、書換命令として使用され得る。

　FETCHは、条件を満たすノードを探索し、着目する現ノード（カレントノード）を、検出されたノードに変更する命令である。SEARCHは、条件を満たすノードを探索するものの、現ノードを変更しない命令である。POPは、現ノードを、実行済みのFETCHによって選択されたノードに戻す命令である。GET PRMは、条件を満たすノードの属性情報をスタックに保存する命令である。SET PRMは、スタックに保存された属性情報を出力する命令である。SET PRMは、FETCHまたはSEARCHのキーワードの中で使用されることがある。！は、真偽を反転する否定命令である。SEARCHの前に！を付加することで、条件を満たすノードが検出されない場合に命令の結果が真と判定される。

　DELETEは、現ノードを基準にして指定範囲のノードを構文ツリーから削除する命令である。CREATEは、現ノードの前または後に部分ツリーを挿入する命令である。挿入される部分ツリーは、命令列とは別にCREATE情報として保存されている。CREATEは、CREATE情報を識別するCREATE情報番号を引数としてもつ。MODIFYは、現ノードの属性情報を書き換える命令である。アクションでは正規表現プログラムが指定され得る。

　通常、構文非互換情報は、非互換箇所に関する最も特徴的なキーワードを最初に検索する。最初のキーワードはアンカーと呼ばれることがあり、構文ツリーからのアンカーの検索はアンカーサーチと呼ばれることがある。構文非互換情報は、構文ツリー内のアンカーの周辺から、条件を満たす属性をもつ周辺ノードを検索する。これにより、非互換箇所を形成するノード集合が特定される。非互換箇所の特徴は一意条件と呼ばれることがある。非互換箇所が検出されると、構文非互換情報は、検出済みの何れかのノードを基点として書き換えるノードを探索する。基点はアンカーであることがある。

　図１１は、構文非互換情報の例を示す図である。
　構文非互換情報１５６は、非互換情報記憶部１２１に記憶される。構文非互換情報１５６は、図７に示した構文ツリー１５２に適用される構文非互換情報の例である。ここでは、ソースコード１５１に含まれるC1='1'という構文が変更後のデータベース製品でサポートされておらず、C1='1'::NUMERICに書き換えることで構文非互換性が解消されるものとする。構文非互換情報１５６の１つのレコードは、１つの特定命令または１つの書換命令に対応する。構文非互換情報１５６の各レコードは、命令番号、命令属性、命令、縦位置、横位置、探索属性、キーワードおよびアクションを含む。

　命令番号は、命令の実行順序を示す昇順の自然数である。命令属性は、特定命令と書換命令の区別を示す。縦位置、横位置、探索属性およびキーワードは、命令の引数である。アクションは、命令の結果が真である場合に実行される処理を示す。構文非互換情報１５６は、第１命令から第８命令までの８個の命令を含む。第１命令から第７命令までは特定命令であり、第８命令は書換命令である。

　第１命令は、種別が命令語であり値がSELECTであるノードを検索し、現ノードとして選択する。第２命令は、縦位置が現ノードの１つ上であり、分類が節であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第３命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、種別が述語句であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第３命令に該当するノードが複数ある場合、１つのノードが選択されて以下の第４命令が実行される。第４命令の結果が偽である場合、第３命令に戻って他のノードが選択される。第４命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、分類が語であり値がWHEREであるノードを検索する。

　第５命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、種別が式であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第６命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、分類が語であり値が等号であるノードを検索する。第７命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第６命令で検出されたノードより右であり、種別が引用識別子であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第８命令は、現ノードの右に、アクション欄のCREATE情報番号で指定された::NUMERICを追加する。

　なお、後述するように、構文非互換情報は２以上の非互換サブ情報を含むことがある。そのため、同一の非互換サブ情報に属する命令の範囲に対して、非互換サブ情報を識別する非互換サブ番号が付与される。構文非互換情報が２以上の非互換サブ情報に分割されない場合、構文非互換情報の全体が１つの非互換サブ情報と解釈される。例えば、構文非互換情報１５６に含まれる第１命令から第８命令は同一の非互換サブ情報に属しており、第１命令から第８命令の範囲に対して１つの非互換サブ番号が付与される。

　図１２は、変換後のソースコードと構文ツリーの例を示す図である。
　非互換検出部１２４は、構文ツリー１５２に対して構文非互換情報１５６を実行することで、構文ツリー１５８を生成する。構文ツリー１５８は、SELECT，*，FROM，S1.T1，WHERE，C1，=，'1'，::，NUMERICというキーワードに対応する１０個の語ノードを含む。また、構文ツリー１５８は、１個の文ノード、１個の節ノード、２個の述語句ノード、２個の式ノードおよび１個の終端記号ノードを含む。構文ツリー１５８は、ソースコード１５７に相当する。ソースコード１５７は、SELECT * FROM S1.T1 WHERE C1='1'::NUMERIC;というＳＱＬ文を含む。よって、ソースコード１５１がソースコード１５７に変換される。

　図１３は、変換前のソースコードと構文ツリーの他の例を示す図である。
　構文ツリー１６２は、ソースコード１６１の構文を示す。ソースコード１６１は、SELECT CAST(C1 AS NUMBER) FROM T1 AS TBL1 WHERE EXISTS(SELECT 1 FROM T2 AS TBL2 WHERE TBL1.C2=CAST(TBL2.C2 AS NUMBER));というＳＱＬ文を含む。このＳＱＬ文は、WHERE EXISTS以下に副問い合わせを含んでおり、複雑な構文をもつ。

　構文ツリー１６２は、SELECT，CAST，(，C1，AS，NUMBER，)，FROM，T1，AS，TBL1，WHERE，EXISTS，(，SELECT，1，FROM，T2，AS，TBL2，WHERE，TBL1.C2，=，CAST，(，TBL2.C2，AS，NUMBER，)，)というキーワードに対応する３０個の語ノードを含む。また、構文ツリー１６２は、１個の文ノード、２個の節ノード、６個の述語句ノード、１個の接尾句ノード、１個の未分類句ノード、４個の式ノードおよび１個の終端記号ノードを含む。

　図１４は、構文非互換情報の他の例を示す図である。
　構文非互換情報１６３は、非互換情報記憶部１２１に記憶される。構文非互換情報１６３は、図１３の構文ツリー１６２に適用される構文非互換情報の例である。ここでは、データ型NUMBERが変更後のデータベース製品によってサポートされておらず、データ型をNUMBERからNUMERICに変換することで構文非互換性が解消されるものとする。

　構文非互換情報１６３は、第１命令から第１９命令までの１９個の命令を含む。第１命令から第４命令までは、１つ目のデータ型を探索する特定命令であり、第５命令から第６命令までは、１つ目のデータ型を書き換える書換命令である。第７命令から第１７命令までは、２つ目のデータ型を探索する特定命令であり、第１８命令から第１９命令までは、２つ目のデータ型を書き換える書換命令である。第１命令から第６命令までが１つ目の非互換サブ情報に属し、第７命令から第１９命令までが２つ目の非互換サブ情報に属する。

　第１命令は、構文ツリー１６２の中から、種別が命令語であり値がSELECTであるノードを検索し、現ノードとして選択する。第２命令は、縦位置が現ノードより上であり、分類が節であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第３命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第１命令のSELECTより右であり、分類が式であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第４命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が現ノードより右であり、種別がデータ型であり値がNUMBERであるノードを検索し、現ノードとして選択する。第４命令の結果が偽である場合は第３命令に戻る。

　第５命令は、現ノードを削除する。第６命令は、種別がデータ型であり値がNUMERICである新たなノードを生成し、削除されたノードの位置に挿入する。
　図１５は、構文非互換情報の他の例を示す図（続き）である。

　第７命令は、第１命令で選択されたSELECTのノードに現ノードを戻す。第８命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、種別が述語句であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第９命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が現ノードより右であり、分類が式であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第９命令の結果が偽である場合は第８命令に戻る。第１０命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が現ノードより右であり、種別が接続句であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１０命令の結果が偽である場合は第９命令に戻る。

　第１１命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が現ノードより右であり、分類が節であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１１命令の結果が偽である場合は第１０命令に戻る。第１２命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、種別が命令語であり値がSELECTであるノードを検索する。第１２命令の結果が偽である場合は第１１命令に戻る。第１３命令は、第１２命令のSELECTの上にあり、分類が節であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１３命令の結果が偽である場合は第１２命令に戻る。

　第１４命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第１１命令の節より右であり、種別が述語句であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１５命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第１２命令のSELECTより右であり、分類が式であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１５命令の結果が偽である場合は第１４命令に戻る。第１６命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第１３命令の節より右であり、分類が式であるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１６命令の結果が偽である場合は第１５命令に戻る。

　第１７命令は、縦位置が現ノードの１つ下であり、横位置が第１４命令の述語句より右であり、種別がデータ型であり値がNUMBERであるノードを検索し、現ノードとして選択する。第１７命令の結果が偽である場合は第１６命令に戻る。第１８命令は、現ノードを削除する。第１９命令は、種別がデータ型であり値がNUMERICである新たなノードを生成し、削除されたノードの位置に挿入する。

　このように、複雑な構文非互換情報は２以上の非互換サブ情報に分割されることがある。再利用性が高い非互換サブ情報は、元の構文非互換情報とは異なる用途に流用されることがあり、他の構文非互換情報に流用されることもある。

　図１６は、性能非互換情報の例を示す図である。
　性能非互換情報１６４は、非互換情報記憶部１２１に記憶される。ここでは、あるＳＱＬ文を実行するための負荷が、変更前のデータベース製品では低いのに対し、変更後のデータベース製品では高い場合を考える。この性能非互換性は、SELECT * FROM S.T WHERE C='値'::NUMERIC;という構文をもつＳＱＬ文で発生する。そして、::NUMERICを::NUMBERに変更にすることで、この性能非互換性を解消することが可能であるものとする。

　性能非互換情報１６４は、性能非互換名、性能非互換番号、エッジキー、ＳＱＬ構文、総レコード数、処理レコード数、現象インデックス、変更前レスポンス、変更後レスポンス、変更前スループットおよび変更後スループットを含む。また、性能非互換情報１６４は、変更前ＣＰＵ使用率、変更後ＣＰＵ使用率、変更前ＣＰＵ待ち割合、変更後ＣＰＵ待ち割合、変更前Ｉ／Ｏ量、変更後Ｉ／Ｏ量、ハードウェアおよび解消方法を含む。

　性能非互換名は、性能非互換性の発生原因を端的に表す名称である。性能非互換番号は、性能非互換情報１６４を識別する識別番号である。エッジキーは、性能非互換情報１６４が適用される吸収元製品と吸収先製品の組を識別する。ＳＱＬ構文は、性能非互換性が発生するＳＱＬ文の構文である。総レコード数は、性能非互換性が発見されたときにデータベース製品に記憶されていたレコードの数である。処理レコード数は、性能非互換性が発見されたときにＳＱＬ文の処理対象となったレコードの数である。

　現象インデックスは、データベース製品において発生した性能低下の種類を示すフラグの集合である。例えば、最下位ビットはＣＰＵ使用率の増加を表し、下から２番目のビットはＣＰＵ待ち時間の増加を表し、下から３番目のビットはＩ／Ｏ量の増加を表す。１つの性能非互換性が、２種類以上の性能低下の現象を引き起こすことがある。

　変更前レスポンスは、変更前のデータベース製品で測定されたＳＱＬ文に対する応答時間である。変更後レスポンスは、変更後のデータベース製品で測定されたＳＱＬ文に対する応答時間である。変更前スループットは、変更前のデータベース製品で測定された単位時間当たりの処理レコード数である。変更後スループットは、変更後のデータベース製品で測定された単位時間当たりの処理レコード数である。変更前ＣＰＵ使用率は、変更前のデータベース製品で測定されたＣＰＵ使用率である。変更後ＣＰＵ使用率は、変更後のデータベース製品で測定されたＣＰＵ使用率である。

　変更前ＣＰＵ待ち割合は、変更前のデータベース製品で測定されたＣＰＵ待ち時間の割合である。ＣＰＵ待ち時間の割合は、ＳＱＬ文の処理に要した時間のうち、ＣＰＵが記憶装置からの応答を待っている待ち時間の割合である。変更後ＣＰＵ待ち割合は、変更後のデータベース製品で測定されたＣＰＵ待ち時間の割合である。変更前Ｉ／Ｏ量は、変更前のデータベース製品で測定された記憶装置との間のデータ送信量である。変更後Ｉ／Ｏ量は、変更後のデータベース製品で測定された記憶装置との間のデータ送信量である。

　ハードウェアは、性能非互換性が発見されたときに使用されたハードウェアの仕様である。ハードウェアの仕様には、例えば、ＣＰＵのコア数やクロック周波数、レコードを記憶する記憶装置の種類などが含まれる。解消方法は、性能非互換性を解消する対応策の説明である。解消方法は、ＳＱＬ文の書換方法であることがある。

　図１７は、ＳＱＬ構文情報の例を示す図である。
　ＳＱＬ構文情報１６５は、非互換情報記憶部１２１に記憶される。ＳＱＬ構文情報１６５は、性能非互換性が発生するＳＱＬ文の特徴を表す。ＳＱＬ構文情報１６５は、性能非互換情報１６４と関連付けられる。ＳＱＬ構文情報１６５は、ＳＱＬ構文番号、性能非互換番号、ＢＯＷ（Bag of Words）ベクトルおよびキーワードリストを含む。

　ＳＱＬ構文番号は、ＳＱＬ構文情報１６５を識別する識別番号である。性能非互換番号は、ＳＱＬ構文情報１６５が示すＳＱＬ構文に起因して発生する性能非互換性を示す性能非互換情報の識別番号である。ＢＯＷベクトルは、性能非互換性が発生するＳＱＬ文に含まれるキーワードとその出現個数を列挙したベクトルである。キーワードリストは、性能非互換性が発生するＳＱＬ文に含まれるキーワードを、ＳＱＬ文での出現順序の通りに並べたリストである。なお、性能非互換性の発生に影響しないキーワードは、ＢＯＷベクトルおよびキーワードリストから除外されている。

　例えば、WHERE … '…'::NUMERICというＳＱＬ構文が、性能非互換性の発生原因となっているものとする。この場合、WHEREが１つ、引用識別子が１つ、::が１つ、NUMERICが１つであることを示すＢＯＷベクトルが生成される。また、WHERE、引用識別子、::、NUMERICという出現順序を示すキーワードリストが生成される。

　非互換検出部１２４は、ソースコード１５１が非互換吸収の対象であるとき、ソースコード１５１の構文解析を行って構文ツリー１５２を生成する。非互換検出部１２４は、構文ツリー１５２に対して構文非互換情報１５６の特定命令および書換命令を仮に実行して、構文ツリー１５２を構文ツリー１５８に変換する。更に、非互換検出部１２４は、構文ツリー１５８とＳＱＬ構文情報１６５のキーワードリストとを照合して、構文ツリー１５８がＳＱＬ構文情報１６５のＳＱＬ構文を含むか判定する。

　例えば、非互換検出部１２４は、構文ツリー１５８の葉ノードである語ノードを、左から右に向かって走査する。非互換検出部１２４は、構文ツリー１５８の語ノードを走査する間に、キーワードリストに含まれるキーワードがその順序で出現したか判定する。キーワードリストに含まれる全てのキーワードがその順序で出現した場合、非互換検出部１２４は、構文ツリー１５８がＳＱＬ構文情報１６５のＳＱＬ構文を含むと判定する。その場合、非互換検出部１２４は、構文非互換情報１５６に従ってソースコード１５１を書き換えると、性能非互換情報１６４が示す性能非互換性のリスクがあると判定する。

　一方、キーワードリストに含まれる全てのキーワードがその順序で出現しているわけではない場合、非互換検出部１２４は、構文ツリー１５８がＳＱＬ構文情報１６５のＳＱＬ構文を含まないと判定する。その場合、非互換検出部１２４は、構文非互換情報１５６に従ってソースコード１５１を書き換えても、性能非互換情報１６４が示す性能非互換性は発生しないと判定する。ここでは、構文ツリー１５８に含まれるWHERE，'1'，::，NUMERICというキーワードをもつ語ノードが、ＳＱＬ構文情報１６５のキーワードリストに該当する。よって、非互換検出部１２４は、性能非互換性のリスクがあると判定する。

　この場合、非互換検出部１２４は、ソースコード１５１に含まれる非互換箇所および構文非互換情報１５６の書換方法と併せて、性能非互換情報１６４をユーザに提示する。これは、構文非互換情報１５６と性能非互換情報１６４の結合のレコメンドに相当する。

　次に、評価情報のデータ構造について説明する。
　図１８は、価値マスタテーブルの例を示す図である。
　評価情報記憶部１２２は、価値マスタテーブル１４３を記憶する。価値マスタテーブル１４３は、第１の実施の形態の価値マスタテーブル１５に対応する。価値マスタテーブル１４３は、ユーザに付与されるポイントの算出方法を規定する。価値マスタテーブル１４３は、基準ポイントを含む。例えば、基準ポイントは、１００ポイントである。

　価値マスタテーブル１４３は、新規登録ポイントおよび新規承認ポイントを含む。新規承認ポイントは、非互換情報の新規登録の際に登録者に付与される。新規承認ポイントは、登録される非互換情報の承認者に付与される。新規登録ポイントおよび新規承認ポイントは、基準ポイントに対する割合として規定される。例えば、新規登録ポイントは基準ポイントの１００％、新規承認ポイントは基準ポイントの９０％である。

　また、価値マスタテーブル１４３は、継承申請ポイントおよび継承承認ポイントを含む。継承申請ポイントは、既存の非互換情報の継承時に継承申請者に付与される。継承承認ポイントは、非互換情報の継承の承認者に付与される。継承申請ポイントおよび継承承認ポイントは、基準ポイントに対する割合として規定される。例えば、継承申請ポイントは基準ポイントの２％、継承承認ポイントは基準ポイントの１％である。

　また、価値マスタテーブル１４３は、利用申請ポイント、利用時登録者ポイントおよび利用時承認者ポイントを含む。利用申請ポイントは、非互換情報の単純利用または部品利用の際に利用申請者に付与される。利用時登録者ポイントは、利用された非互換情報の登録者に付与される。利用時承認者ポイントは、利用された非互換情報の承認者に付与される。利用申請ポイント、利用時登録者ポイントおよび利用時承認者ポイントは、基準ポイントに対する割合として規定される。例えば、利用申請ポイントは基準ポイントの１０％、利用時登録者ポイントおよび利用時承認者ポイントは基準ポイントの１％である。

　ただし、利用申請ポイントには、後述する利用側係数が乗算される。利用時登録者ポイントおよび利用時承認者ポイントには、後述する作成側係数が乗算される。利用側係数および作成側係数は、非互換情報の累積利用回数に依存して変化する。利用側係数は、累積利用回数が多いほど小さい。よって、利用実績の少ない非互換情報の方が利用申請ポイントが大きくなる。作成側係数は、累積利用回数が多いほど大きい。よって、利用実績の多い非互換情報の方が利用時登録者ポイントおよび利用時承認者ポイントが大きくなる。このように、非互換情報の利用時のポイントは、利用側と作成側とで非対称になる。

　また、価値マスタテーブル１４３は、修正ポイントおよび修正承認ポイントを含む。修正ポイントは、非互換情報の修正の際に修正者に付与される。修正承認ポイントは、修正された非互換情報の承認者に付与される。修正ポイントおよび修正承認ポイントは、基準ポイントに対する割合として規定される。例えば、修正ポイントは基準ポイントの１００％、修正承認ポイントは基準ポイントの９０％である。

　また、価値マスタテーブル１４３は、結合時登録者ポイントおよび結合時承認者ポイントを含む。結合時登録者ポイントは、２つの非互換情報の結合のレコメンドが行われた際に、各非互換情報の登録者に付与される。結合時承認者ポイントは、各非互換情報の承認者に付与される。非互換情報の利用申請を待たずに結合のレコメンドに対してポイントが付与されるのは、潜在的な非互換性を早期に発見して不具合を未然に防止し、非互換吸収の手戻りを抑制するという好ましい効果が発揮されているためである。結合時登録者ポイントおよび結合時承認ポイントは、基準ポイントに対する割合として規定される。例えば、結合時登録者ポイントおよび結合時承認ポイントは、基準ポイントの１％である。

　ただし、結合時登録者ポイントおよび結合時承認者ポイントには、後述する作成側係数が乗算される。作成側係数は、レコメンド回数が多いほど大きい。よって、結合実績の多い非互換情報の方が結合時登録者ポイントおよび結合時承認者ポイントが大きくなる。

　また、価値マスタテーブル１４３は、基本係数、利用側調整係数および作成側調整係数を含む。基本係数は、利用側係数および作成側係数の初期値である。利用側調整係数は、利用回数１回当たりの利用側係数の減少量である。作成側調整係数は、利用回数１回当たりの作成側係数の増加量である。例えば、基本係数が１、利用側調整係数が０．００１／回、作成側調整係数が０．００１／回である。

　利用側係数は、基本係数－（累積利用回数－１）×利用側調整係数と算出される。よって、初回利用時の利用側係数は基本係数と一致し、累積利用回数の増加に伴って利用側係数が減少する。ただし、利用側係数の下限は０である。作成側調整係数は、基本係数＋（累積利用回数－１）×作成側調整係数と算出される。よって、初回利用時の作成側係数は基本係数と一致し、累積利用回数の増加に伴って作成側係数が増加する。ただし、作成側係数の上限が設定されてもよい。

　図１９は、非互換情報管理に用いられるテーブルの例を示す図である。
　評価情報記憶部１２２は、登録利用状況テーブル１４４を記憶する。登録利用状況テーブル１４４の１つのレコードは、１つの非互換サブ情報または１つの性能非互換情報に対応する。登録利用状況テーブル１４４の各レコードは、番号、利用回数、初期登録者、初期承認者、保守権利者および保守承認権利者を含む。

　番号は、非互換サブ情報を識別する非互換サブ番号、または、性能非互換情報を識別する性能非互換番号である。利用回数は、その情報の累積利用回数である。構文非互換情報の単純利用は、構文非互換情報に含まれる全ての非互換サブ情報の利用を意味する。初期登録者は、その情報を非互換情報記憶部１２１に登録した登録者のユーザ名である。初期承認者は、登録時にその情報を承認した承認者のユーザ名である。

　保守権利者は、登録者としての地位を受け継いだユーザのユーザ名である。初期登録者が非互換吸収の業務から離れた場合、初期登録者と保守権利者とが一致しない。その場合、初期登録者に代わって保守権利者が、優先的に継承申請者となる権利を有する。保守承認権利者は、承認者としての地位を受け継いだユーザのユーザ名である。初期承認者が非互換吸収の業務から離れた場合、初期承認者と保守承認権利者とが一致しない。その場合、初期承認者に代わって保守承認権利者が、優先的に継承の承認者となる権利を有する。

　また、評価情報記憶部１２２は、結合状況テーブル１４５を記憶する。結合状況テーブル１４５の１つのレコードは、構文非互換情報と性能非互換情報の組に対応する。結合状況テーブル１４５の各レコードは、構文非互換番号、性能非互換番号およびレコメンド回数を含む。構文非互換番号は、結合された構文非互換情報を識別する。性能非互換番号は、結合された性能非互換情報を識別する。レコメンド回数は、累積の結合回数である。

　また、評価情報記憶部１２２は、利用申請テーブル１４６を記憶する。利用申請テーブル１４６の１つのレコードは、１つの非互換吸収プロジェクトにおける１つの非互換サブ情報または性能非互換情報の利用に対応する。利用申請テーブル１４６の各レコードは、ユーザ名、申請ＩＤ、番号および個数を含む。

　ユーザ名は、単純利用における利用申請者または部品利用における部品利用申請者の名前である。申請ＩＤは、単純利用または部品利用が行われた非互換吸収プロジェクトを識別する識別子である。番号は、利用された非互換サブ情報を識別する非互換サブ番号または利用された性能非互換情報を識別する性能非互換番号である。なお、構文非互換情報の単純利用は、構文非互換情報に含まれる全ての非互換サブ情報の利用を意味する。個数は、非互換吸収プロジェクトにおいて検出された非互換箇所の数である。

　図２０は、ポイント集計テーブルの例を示す図である。
　評価情報記憶部１２２は、ポイント集計テーブル１４７を記憶する。ポイント管理部１２６は、ポイント集計テーブル１４７を表示装置１１１に表示してもよいし、他の情報処理装置に送信してもよい。ポイント集計テーブル１４７の１つのレコードは、１人のユーザに対応する。ポイント集計テーブル１４７の各レコードは、ユーザ名およびポイントを含む。ユーザ名は、ユーザの名前である。ただし、ユーザの名前以外のユーザＩＤが用いられてもよい。ポイントは、ユーザに付与された合計のポイントである。

　次に、情報処理装置１００の処理手順について説明する。
　図２１は、非互換情報管理の手順例を示すフローチャートである。
　（Ｓ１０）情報処理装置１００は、端末装置からメッセージを受信する。

　（Ｓ１１）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第１種別であるか、すなわち、非互換情報の新規登録であるか判断する。非互換情報の新規登録である場合、ステップＳ１２に処理が進む。それ以外の場合、ステップＳ１５に処理が進む。

　（Ｓ１２）非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信する。非互換情報登録部１２３は、承認者から承認メッセージを受信する。
　（Ｓ１３）非互換情報登録部１２３は、新規の非互換情報を非互換情報記憶部１２１に保存する。非互換情報が構文非互換情報である場合、非互換情報登録部１２３は、構文非互換マスタテーブル１４２にレコードを追加する。また、非互換情報登録部１２３は、登録利用状況テーブル１４４に登録者および承認者を記録する。

　（Ｓ１４）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、登録者に付与するポイントおよび承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、登録者に１００ポイントを付与し、承認者に９０ポイントを付与する。そして、非互換情報管理が終了する。

　（Ｓ１５）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第２種別であるか、すなわち、既存の非互換情報の継承申請であるか判断する。継承申請である場合、ステップＳ１６に処理が進む。それ以外の場合、ステップＳ１９に処理が進む。

　（Ｓ１６）非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信する。承認者の候補は、登録利用状況テーブル１４４の初期承認者または保守承認権利者が優先される。非互換情報登録部１２３は、承認者から承認メッセージを受信する。

　（Ｓ１７）非互換情報登録部１２３は、構文非互換マスタテーブル１４２に含まれる参照エッジキーを更新して、構文非互換情報を新たなエッジに対応付ける。
　（Ｓ１８）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、継承申請者に付与するポイントおよび今回の承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、継承申請者に２ポイントを付与し、承認者に１ポイントを付与する。そして、非互換情報管理が終了する。

　（Ｓ１９）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第３種別であるか、すなわち、非互換情報の利用申請であるか判断する。利用申請である場合、ステップＳ２０に処理が進む。それ以外の場合、ステップＳ２３に処理が進む。

　（Ｓ２０）ポイント管理部１２６は、利用申請を利用申請テーブル１４６に記録し、利用された非互換情報の累積利用回数を、利用申請に含まれる個数だけ増やす。
　（Ｓ２１）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、累積利用回数に依存する利用側係数と作成側係数とを算出する。累積利用回数が多いほど、利用側係数が小さく算出され、作成側係数が大きく算出される。

　（Ｓ２２）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３とステップＳ２１の利用側係数とに基づいて、利用申請者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、利用申請者に０ポイント以上１０ポイント以下の変動ポイントを付与する。また、ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３とステップＳ２１の作成側係数とに基づいて、利用した非互換情報の登録者に付与するポイントと承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、登録者および承認者にそれぞれ１ポイント以上の変動ポイントを付与する。そして、非互換情報管理が終了する。

　図２２は、非互換情報管理の手順例を示すフローチャート（続き）である。
　（Ｓ２３）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第４種別であるか、すなわち、既存の非互換情報の修正であるか判断する。修正である場合、ステップＳ２４に処理が進む。それ以外の場合、ステップＳ２７に処理が進む。

　（Ｓ２４）非互換情報登録部１２３は、承認者の候補を選択して承認依頼メッセージを送信する。非互換情報登録部１２３は、承認者から承認メッセージを受信する。
　（Ｓ２５）非互換情報登録部１２３は、非互換情報記憶部１２１に記憶されている既存の非互換情報を更新する。

　（Ｓ２６）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、修正者に付与するポイントおよび今回の承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、修正者に１００ポイントを付与し、承認者に９０ポイントを付与する。そして、非互換情報管理が終了する。

　（Ｓ２７）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第５種別であるか、すなわち、非互換サブ情報の部品利用であるか判断する。部品利用である場合、ステップＳ２８に処理が進む。それ以外の場合、ステップＳ３１に処理が進む。

　（Ｓ２８）ポイント管理部１２６は、部品利用を利用申請テーブル１４６に記録し、利用された非互換サブ情報の累積利用回数を、利用申請に含まれる個数だけ増やす。
　（Ｓ２９）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、累積利用回数に依存する利用側係数と作成側係数とを算出する。累積利用回数が多いほど、利用側係数が小さく算出され、作成側係数が大きく算出される。

　（Ｓ３０）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３とステップＳ２９の利用側係数とに基づいて、部品利用申請者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、部品利用申請者に０ポイント以上１０ポイント以下の変動ポイントを付与する。また、ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３とステップＳ２９の作成側係数とに基づいて、利用した非互換サブ情報の登録者に付与するポイントと承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、登録者および承認者に１ポイント以上の変動ポイントを付与する。そして、非互換情報管理が終了する。

　（Ｓ３１）情報処理装置１００は、受信されたメッセージが第６種別である、すなわち、非互換吸収のアセスメントであると判断する。非互換検出部１２４は、端末装置から受信されたソースコードに対してアセスメントを実行し、アセスメント結果を端末装置に送信する。情報処理装置１００は、アセスメントの中で、異なる非互換情報の結合のレコメンドが行われたか判断する。結合のレコメンドが行われた場合、ステップＳ３２に処理が進む。それ以外の場合、非互換情報管理が終了する。

　（Ｓ３２）ポイント管理部１２６は、結合状況テーブル１４５において、結合された非互換情報の組に対応するレコメンド回数を１だけ増やす。
　（Ｓ３３）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３を参照して、ステップＳ３２のレコメンド回数に依存する作成側係数を算出する。レコメンド回数が多いほど、作成側係数が大きく算出される。

　（Ｓ３４）ポイント管理部１２６は、価値マスタテーブル１４３とステップＳ３３の作成側係数とに基づいて、結合された各非互換情報の登録者に付与するポイントと承認者に付与するポイントを算出し、ポイント集計テーブル１４７に記録する。例えば、ポイント管理部１２６は、登録者および承認者に１ポイント以上の変動ポイントを付与する。

　以上説明したように、第２の実施の形態の情報処理システムは、データベース製品の非互換吸収のノウハウを示す非互換情報を共有データベースに蓄積する。情報処理システムは、蓄積された非互換情報を利用して、ソースコードから非互換箇所を自動的に検出し、非互換性の解消方法をユーザに提示する。また、情報処理システムは、非互換性が解消されるようにソースコードを書き換える。よって、非互換吸収が効率化される。

　また、情報処理システムは、非互換情報の登録や利用を監視し、共有データベースの価値向上に寄与したユーザにインセンティブとしてポイントを付与する。これにより、非互換情報の登録や利用が推奨され、共有データベースの活発な利用が促進される。その結果、ユーザ間で非互換吸収の知識が共有され、非互換吸収が効率化される。

　また、情報処理システムは、非互換情報の新規登録時に、登録者および承認者にポイントを付与する。これにより、共有データベースに蓄積される非互換情報が増加し、登録される非互換情報の品質も向上する。また、情報処理システムは、既存の非互換情報の継承時に、継承申請者および承認者にポイントを付与する。これにより、同一の非互換情報を適用可能なデータベース製品が増加する。このとき、非互換情報の登録者および承認者が優先的に、その非互換情報の継承申請者および承認者になることができる。よって、継承の確認が効率化される共に、ユーザ間の公平性が向上する。

　また、情報処理システムは、非互換情報の利用時に、利用申請者と登録者と承認者にポイントを付与する。これにより、共有データベースに蓄積された非互換情報の利用が増加すると共に、非互換情報の登録および承認のインセンティブも与えられる。また、利用申請者は、利用実績が少ない非互換情報を利用したときほど大きいポイントを取得する。これにより、幅広い非互換情報の利用が増加する。一方、登録者および承認者は、登録された非互換情報の利用実績が多いほど大きいポイントを取得する。これにより、非互換情報の登録および承認へのインセンティブが強化され、非互換情報の品質が向上する。

　また、情報処理システムは、非互換情報の修正時に、修正者と承認者にポイントを付与する。これにより、非互換情報の中の誤りが放置されることが抑制され、共有データベースに蓄積された非互換情報の品質が向上する。また、情報処理システムは、非互換情報の一部分である非互換サブ情報の部品利用時に、利用申請者と登録者と承認者にポイントを付与する。これにより、非互換サブ情報の再利用が増加する。また、情報処理システムは、関連する構文非互換情報と性能非互換情報を組み合わせてユーザに提示したとき、各非互換情報の登録者と承認者にポイントを付与する。これにより、潜在的な非互換性が早期に発見されて不具合が未然に防止され、非互換吸収の手戻りが抑制される。

　上記については単に本発明の原理を示すものである。更に、多数の変形や変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応する全ての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。

　１０　情報処理装置
　１１　記憶部
　１２　処理部
　１３　非互換情報
　１４　登録者情報
　１５　価値マスタテーブル
　１６，１７　利用情報
　１８ａ，１８ｂ，１９　評価値

Claims

　第１のソフトウェアに依存するソースコードを第２のソフトウェアに適合させる書換方法を示す非互換情報と前記非互換情報の登録者を示す登録者情報とを含むデータベースに対する利用情報であって、前記非互換情報の利用者と前記非互換情報の利用結果とを示す利用情報を取得し、
　前記利用情報が示す前記利用結果の種別を特定し、
　複数の利用結果の種別と複数の評価値との間の対応関係を示す評価基準情報に基づいて、前記特定した種別に応じて、前記利用情報が示す前記利用者および前記登録者情報が示す前記登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する、
　処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
　前記評価値の算出は、前記特定した種別が、前記第１のソフトウェアと前記第２のソフトウェアの組に対する前記非互換情報の利用成功である場合、前記利用者に付与する第１の評価値と前記登録者に付与する第２の評価値とを算出する処理を含む、
　請求項１記載の情報処理プログラム。
　前記データベースは、前記非互換情報の累積利用回数を示す利用回数情報を含み、
　前記第１の評価値および前記第２の評価値は、前記利用回数情報に応じて算出される、
　請求項２記載の情報処理プログラム。
　前記第１の評価値は、前記累積利用回数が少ないほど大きく算出され、前記第２の評価値は、前記累積利用回数が多いほど大きく算出される、
　請求項３記載の情報処理プログラム。
　前記評価値の算出は、前記特定した種別が、前記第１のソフトウェアと前記第２のソフトウェアの組とは異なる他のソフトウェアの組への前記非互換情報の応用である場合、前記利用者に付与する第３の評価値を算出する処理を含む、
　請求項１記載の情報処理プログラム。
　前記非互換情報は、前記ソースコードの中の不連続な２以上の文字列を書き換える書換方法を示す２以上の非互換サブ情報を含み、
　前記評価値の算出は、前記特定した種別が、前記非互換情報に含まれる一部の非互換サブ情報の部分利用である場合、前記利用者に付与する第４の評価値と前記登録者に付与する第５の評価値とを算出する処理を含む、
　請求項１記載の情報処理プログラム。
　前記データベースは、前記第２のソフトウェアの不具合原因となる構文を示す他の非互換情報と前記他の非互換情報を登録した他の登録者を示す他の登録者情報とを含み、
　前記評価値の算出は、前記特定した種別が、前記非互換情報が示す前記書換方法と前記他の非互換情報が示す前記構文との抵触である場合、前記登録者に付与する第６の評価値と前記他の登録者に付与する第７の評価値とを算出する処理を含む、
　請求項１記載の情報処理プログラム。
　前記評価値の算出は、前記特定した種別が前記非互換情報の修正である場合、前記利用者に付与する第８の評価値を算出する処理を含む、
　請求項１記載の情報処理プログラム。
　第１のソフトウェアに依存するソースコードを第２のソフトウェアに適合させる書換方法を示す非互換情報と前記非互換情報の登録者を示す登録者情報とを含むデータベースに対する利用情報であって、前記非互換情報の利用者と前記非互換情報の利用結果とを示す利用情報を取得し、
　前記利用情報が示す前記利用結果の種別を特定し、
　複数の利用結果の種別と複数の評価値との間の対応関係を示す評価基準情報に基づいて、前記特定した種別に応じて、前記利用情報が示す前記利用者および前記登録者情報が示す前記登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する、
　処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
　第１のソフトウェアに依存するソースコードを第２のソフトウェアに適合させる書換方法を示す非互換情報と前記非互換情報の登録者を示す登録者情報とを記憶する記憶部と、
　前記非互換情報の利用者と前記非互換情報の利用結果とを示す利用情報を取得し、前記利用情報が示す前記利用結果の種別を特定し、複数の利用結果の種別と複数の評価値との間の対応関係を示す評価基準情報に基づいて、前記特定した種別に応じて、前記利用情報が示す前記利用者および前記登録者情報が示す前記登録者の少なくとも一方に付与する評価値を算出する処理部と、
　を有する情報処理装置。