WO2013175672A1

WO2013175672A1 - モジュール型コンピュータ・システム開発を行うためのアーキテクチャ

Info

Publication number: WO2013175672A1
Application number: PCT/JP2012/084267
Authority: WO
Inventors: 圭隆坂本; 健人吉田; 裕介大久保
Original assignee: Sakamoto Yoshitaka
Priority date: 2012-05-22
Filing date: 2012-12-25
Publication date: 2013-11-28

Abstract

　モジュール型コンピュータ・システム開発を行うためのアーキテクチャを提供する。　ユーザーの利用するブラウザ等のクライアント・コンピュータとユーザーからのリクエストを処理するサーバー・コンピュータの双方で解釈できる言語を利用して作成したモジュールを組み合わせで迅速にコンピュータ・システムの構築を進めることが出来るアーキテクチャを用意する。

Description

モジュール型コンピュータ・システム開発を行うためのアーキテクチャ

　本技術は、ネットワークに接続された１以上のサーバー・コンピュータと、前記サーバー・コンピュータとデータの授受が可能なプログラム言語処理手段を有するソフトウェアを備えたことを特徴とする１以上のクライアント・コンピュータとで構成されることを特徴とするコンピュータ・システムの開発に関する。

　Ｗｅｂブラウザが解析できる言語はＨＴＭＬ、ＣＳＳおよびＪａｖａＳｃｒｉｐｔがある。これはＷｏｒｌｄ　Ｗｉｄｅ　Ｗｅｂ　Ｃｏｎｓｏｒｔｉｕｍ（以下「Ｗ３Ｃ」と呼ぶ）がＷｅｂブラウザの仕様を勧告し、Ｗｅｂブラウザ開発を行う各社は前記仕様書に従ってＷｅｂブラウザの開発を行っている。この勧告は”ＨＴＭＬ　ｘ”（ｘは小数を含む数字）という名前を冠しているが、内容はＨＴＭＬに関してだけでなく、ＣＳＳおよびＪａｖａＳｃｒｉｐｔに関する仕様を含む。
　Ｗｅｂブラウザの共通仕様はインターネットの発展に合わせて少しずつバージョンアップを繰り返してきたが、１９９９年にＨＴＭＬ４．０というバージョンになった後は、しばらく動きがなかった。しかし、Ｗｅｂブラウザは開発の継続により進歩を続け、周辺機能が発展を続けるという状態が続いた。その中、２００８年にドラフトが公開され、Ｗｅｂブラウザ開発を行う各社がＷ３Ｃの勧告に従いＷｅｂブラウザの開発を進めていく指針となっているのが、ＨＴＭＬ５．０（以下「ＨＴＭＬ５」という）である。
　ＨＴＭＬ４．０以前、バージョンの互換性を保つのはサーバー側の役目であった。特にオープンソースのインタプリタ系言語であるＰＨＰやコンパイル系言語ながら開発者が多く、フレームワークが整備されたＪａｖａのＳｅｒｖｌｅｔ機能を用いた動的ページ生成がこの役割のために広まった。しかし、ＨＴＭＬ５が主要なブラウザに採用されて行く中、ＨＴＭＬ４．０との互換性を保つためにＪａｖａＳｃｒｉｐｔが用いられはじめた。これはクライアント・コンピュータの性能が十分に向上し、インタープリタ言語であるＪａｖａＳｃｒｉｐｔの実行に耐えうる環境が整ったことが一般的に認知されたためである。
　これに伴って爆発的に認知されたのが２００６年８月に１．０版をリリースしていたＪａｖａＳｃｒｉｐｔライブラリであるｊＱｕｅｒｙである。ｊＱｕｅｒｙはＷ３Ｃが定義したＪａｖａＳｃｒｉｐｔを、分かり易い形にライブラリ化、データだけでなくＷｅｂブラウザ上のユーザー・インターフェースを司るＤＯＭツリーのハンドリングをも直感的に行える関数群を提供した。現在では世界の４割近いサイトがｊＱｕｅｒｙを採用しているとの統計がある。
　このＪａｖａＳｃｒｉｐｔの関数実行速度に拘ったブラウザが、２００８年１２月にＧｏｏｇｌｅ社が１．０版をリリースしたＧｏｏｇｌｅ　Ｃｈｒｏｍｅである。Ｇｏｏｇｌｅ　Ｃｈｒｏｍｅに搭載されたＪａｖａＳｃｒｉｐｔ実行のためのエンジンであるＶ８エンジンはその関数実行速度において、抜きんでていた。このＶ８エンジンの性能に注目したのがＪｏｙｅｎｔ社のＲｙａｎ　Ｄａｈｌ氏である。Ｒｙａｎ　Ｄａｈｌ氏はＶ８エンジンを利用してサーバー側でＪａｖａＳｃｒｉｐｔを利用出来る仕組みを発明し、Ｎｏｄｅと名付けて公開した。サーバーサイドでＪａｖａＳｃｒｉｐｔを扱えるＮｏｄｅは多数の開発者に支持され、２０１２年５月２１日現在、１０，０００を越えるライブラリがリポジトリに登録されている。

　一般的にコンピュータ・システムを構築するうえで必要とされることが、ユーザー・インタフェース部分を実現する「プレゼンテーション層」、データの加工処理を実行する「ファンクション層」及びデータベースにアクセスする「データ層」の３層を区別して設計を行うことである。そのため、開発者はデータＩ／Ｏを伴うシステムを開発する際、この３層それぞれの知識を知っている必要があり、なおかつ、あるコンピュータ・システムでフレームワークの採用を決めると、そのコンピュータ・システムはフレームワークに完全に縛られてしまい、よりよい技術が登場したとしても、同一システム内での試用や移行は大変手間の掛かる工程になる。そのため現在のＩＴ界では旧システムから新システムに対する移行リスク、コストは高く、企業内外におけるシステム更改の障害となっている。

　本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、請求項１に記載の発明は、システム構築を行うためのシステム・アーキテクチャであって、サーバー・コンピュータにおいて、クライアント・コンピュータとのデータ授受を行うためのプロセスを立ち上げる時に必要な設定を記載した、関数が記述可能なことを特徴とする起動ファイルを読み込み、実行する機能と、サーバー・コンピュータのクライアント・コンピュータからのリクエストに対する処理を決定する、関数が記述可能なことを特徴とする設定ファイルを読み込み、実行する機能と、サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で解釈可能な言語を用いて、ユーザー・インタフェース部分を実現する「プレゼンテーション層」、データの加工処理を実行する「ファンクション層」及びデータベースにアクセスする「データ層」のうち１以上の機能を有する「モジュール」を単位とした１以上の前記モジュールを単純なモジュール名の指定によって読み込み、実行する機能を備えたことを特徴とするコンピュータ・システムを生成することを特徴とするシステム・アーキテクチャである。
　請求項２に記載の発明は、請求項１に記載したシステム・アーキテクチャにおいて、前記サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で解釈可能な言語がＪａｖａＳｃｒｉｐｔであることを特徴とするシステム・アーキテクチャである。
請求項３に記載の発明は、請求項２に記載したシステム・アーキテクチャにおいて、サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で全く同じ関数によるＤＯＭツリーハンドリングを行えることを特徴とするシステム・アーキテクチャである。
　以下、図面を参照し、この発明の本発明の一実施の形態（以下「本実施形態」と呼ぶ）について説明する。

　本発明に係るアーキテクチャを利用すれば、コンピュータ・システムの構築に際してある特定のフレームワークやライブラリに縛られることなく、直感的にコンピュータ・システムの構築・改善を進めていくことが可能となる。また、開発者が意識する単位がモジュールで区切られて小さくなるため、設計工数の削減、バグの削減、テスト工数の削減、維持・引き継ぎ工数の削減に繋がる。
　本アーキテクチャは離散的な環境、集中型の環境双方に利用することが可能である。従ってクラウド・コンピューティング環境のみならず企業内に於いてもよりよい技術、機能を限定的に適用したい場合に、フレームワークや言語、データベースといったその適用と試用に対する壁を排除することが可能となり、エンドユーザーに対して新しいコンピュータ・システムの機能を迅速に提供することが可能となる。

　図１は本実施形態を示す概略図である。
　図２は本実施形態のコンピュータ・システムの構成を示すブロック図である。
　図３は本実施形態においてクライアント・コンピュータからのはじめてのリクエストに関する処理フロー図である。
　図４は本実施形態においてクライアント・コンピュータからのはじめてのリクエストで生成されたパスに対するオブジェクトの状態を示すブロック図である。
　図５は本実施形態においてクライアント・コンピュータからの２回目以降のリクエストに関する処理のフロー図である。

　３層アーキテクチャを備えたモジュールの組み合わせによりコンピュータ・システムを構築するという目的を、単純なモジュール名の指定で行える仕組みを実現した。

　図１は本実施形態にかかるアーキテクチャで作成されたコンピュータ・システムの概略図である。コンピュータ・システムは、１以上のサーバー・コンピュータ２０と、１以上のクライアント・コンピュータ１０とからなり、クライアント・コンピュータ１０はインターネット網やイントラネット網などのネットワークＮを介してサーバー・コンピュータ２０に接続されており、リクエスト・レスポンス通信方式もしくは、ソケット通信方式をして、サーバー・コンピュータ２０とファイル、データなど情報の授受を行うことができる。
　図２は本実施形態のコンピュータ・システムの構成を示すブロック図である。図２に基づき、本実施形態においての必要条件を述べる。
クライアント・コンピュータ１０はＪａｖａＳｃｒｉｐｔを解釈・実行する機能を有するＷｅｂブラウザ１１を備える。また、サーバー・コンピュータ２０はＪａｖａＳｃｒｉｐｔを解釈・実行する機能を有するＪａｖａＳｃｒｉｐｔエンジン２２を有することを特徴とするソフトウェア２１を備え、且つ、サーバー・コンピュータが、クライアント・コンピュータとのデータ授受を行うためのプロセスを立ち上げる時に必要な設定を記載した、関数が記述可能なことを特徴とする起動ファイル２３を備え、且つ、直接ないしはネットワーク経由でアクセス可能なドキュメント型データベース３０と接続されており、データベース３０はサーバー・コンピュータ２０にサーバー・コンピュータ２０のクライアント・コンピュータからのリクエストに対する処理を決定する設定ファイル３１およびコンピュータ・システム構築に必要なモジュール３２を供給する機能を有する。
　サーバー・コンピュータ２０上で起動ファイル２３を実行すると、起動ファイル２３に基づく機能がサーバー・コンピュータ上で実行される。起動ファイル２３にはサーバー・コンピュータがクライアント・コンピュータとデータを授受するためのモジュール名、モジュールへのパス、プロセスのポート番号、クライアント・コンピュータのリクエストに対して参照するファイルシステムの位置、リダイレクト、リクエストのエイリアス、接続するデータベース３０のＩＰとポートが含まれる。
　クライアント・コンピュータ１０がサーバー・コンピュータ２０にリクエストを送信すると、サーバー・コンピュータ２０は起動ファイル２３に記述された設定を受け、リクエストに対してマッピングされた設定ファイル３１をデータベース３０から取得する。
サーバー・コンピュータ２０は設定ファイル３１を読み込み、実行して当該リクエストに対しての処理内容を取得する。
　前記リクエストに対しての処理内容にモジュールのアドオンが含まれていた場合、サーバ・コンピュータ２０はデータベース３０から指定されたモジュール３２を取得する。モジュール３２にはクライアント・コンピュータで処理する内容あるいはサーバー・コンピュータで処理する内容が記載されており、サーバー・コンピュータ３０はクライアント・コンピュータに前記クライアント・コンピュータで処理する内容を送信するとともに、前記サーバー・コンピュータで処理する内容を実行する。
　前記ファイル３１およびモジュール３２は必ずしもデータベース３０から取得する必要は無く、サーバー・コンピュータ２０がアクセス可能であれば、サーバー・コンピュータ２０のファイルシステムに直接保存されていても良い。
　図３は本実施形態において、サーバー・コンピュータ２０がはじめて受けたクライアント・コンピュータ１０からのリクエストに対して行う処理のフロー図である。
クライアント・コンピュータ１０がサーバー・コンピュータ２０にＵＲＬ（以下「アドレス」と記す）を指定してリクエストを送信する（Ｓ１０１）。サーバー・コンピュータ２０は起動ファイル２３に基づき、アドレスのホスト名以降のパスネーム（以下「アドレスパス」と記す）に対する設定ファイルのファイルパスを取得する（Ｓ２０１）。アドレスパスに対する設定ファイルの取得処理を行い、取得したファイルを読み込み、実行する（Ｓ２０２）。このとき、サーバー・コンピュータ２０のメモリ空間Ｍに対してアドレスと設定ファイルのマップを作成するとともに、アドレスパスと設定ファイル３１の実行によって生成されたアドレスパスに対するオブジェクトＰＯを登録する（Ｓ２０３）。
　次に設定ファイル３１に記載されているアドイン対象のモジュール名からモジュール３２を取得し、サーバー・コンピュータ２０のメモリ空間に登録されたアドレスパスに対するオブジェクトＰＯと関連づけ、展開する。モジュール３２内にサーバー側の処理が記載されている場合はその処理を実行する。また、設定ファイル３１に記載されているモジュール化されていないプログラムの実行処理も行う（Ｓ２０４）。実行処理結果をクライアント・コンピュータ１０に送信する（Ｓ２０５）。
　クライアント・コンピュータ１０は実行処理結果を受け（Ｓ１０５）、処理結果にＪａｖａＳｃｒｉｐｔの実行処理が記載されている場合、処理を行う（Ｓ１０６）。
　図４は本実施形態においてクライアント・コンピュータからのはじめてのリクエストで生成されたパスに対するオブジェクトの状態を示すブロック図である。サーバー・コンピュータ２０で処理されるモジュールおよびモジュール化されていないプログラムは、アドレスパスに対するオブジェクトＰＯを通してデータベース３０へのアクセスや他のモジュールないしはモジュール化されていないプログラムとのデータ授受が行える。
　データベースＩ／Ｆ（ＰＯ０１）にはデータベース３０への問い合わせ（クエリ）関数が実装されている。ファイルＩ／Ｏ（ＰＯ０２）には単純なファイル登録・取得インターフェース、一度メモリ上に載せると実体ファイルを変更しても処理は変更されない関数読み込み型インターフェース、一度メモリ上に載せても実体ファイルが変更されれば次の実行時には処理が変更される関数読み込み型インターフェースが実装されている。配置モジュール一覧（ＰＯ０３）を参照すると、オブジェクトＰＯに関連づけられているモジュールの提供している関数を参照することが出来る。ネットワークＩ／Ｏ（ＰＯ０４）ではＤＯＭを文字列化してクライアント・コンピュータに送信する関数、エラー時に途中で処理を中断してエラーデータをクライアント・コンピュータ１０に送信する関数、処理の種別によって別のＵＲＬへリダイレクトする関数等が実装されている。その他、オブジェクトＰＯにはＤＯＭを扱うに優れているライブラリ（ｊＱｕｅｒｙ）が利用可能である。開発者はクライアント・コンピュータにＪａｖａＳｃｒｉｐｔによってＨＴＭＬの構造体を記述すると同じ感覚でサーバー・サイドでＨＴＭＬの構造体を記述することが出来る。
　モジュール３２およびモジュール化されていないプログラム３３はサーバー・コンピュータ上での実行プログラム、クライアント・コンピュータ上での実行プログラムおよびサービス提供に必要な画像等データで自由に構成することが出来る。オブジェクトＰＯとのデータの授受はＪａｖａＳｃｒｉｐｔでの記述が必要であるものの、以降の処理はプログラム言語の制約を受けない。従って、既存システムのモジュールも容易に本実施形態上で利用可能なモジュールとして容易に書き換えが可能である。
　図５は本実施形態においてクライアント・コンピュータ１０からの２回目以降のリクエストに関する処理のフロー図である。２回目以降は１回目に登録した情報を利用して高速に処理を実施する。
　クライアント・コンピュータ１０が同じアドレスをサーバー・コンピュータ２０にリクエストした場合（Ｓ１０４）、サーバー・コンピュータ２０はサーバー・コンピュータ２０上のメモリ空間Ｍにマッピングされた設定ファイルを参照する（Ｓ２０６）。更にＭに登録されたアドレスパスからアドレスパスに対するオブジェクトＰＯを取得し、参照した設定ファイルに従ってモジュール及びモジュール化されていないプログラムの処理を実行する（Ｓ２０７）。実行処理結果をクライアント・コンピュータ１０に送信する（Ｓ２０８）。
　クライアント・コンピュータ１０は実行処理結果を受け（Ｓ１０５）、処理結果にＪａｖａＳｃｒｉｐｔの実行処理が記載されている場合、処理を行う（Ｓ１０６）。
　以上が本実施形態における、詳細な動作の記述である。

　コンピュータ・システム構築において再利用性の高いソフトウェア開発の指針を容易に立てることができ、モックアップサイクルの高速化、設計、メンテナンス工数の削減を行いたい開発現場に適用できる。
　他の実施形態
　なお、上記実施形態はＪａｖａＳｃｒｉｐｔを用い、特定のプログラミング言語での処理を例示したが、その他のプログラミング言語においても同様の処理を実現することは可能であり、本発明は、他の実施態様も含むものである。また、本発明において、各手段などの要素は、コンピュータの演算制御部に限らず、ワイヤードロジック等に基づく電子回路で実現してもよい。また、各構成図、データの図、フローチャートの図などは例示に過ぎず、各要素の有無、その順序や具体的内容などは、本発明の範囲で適宜変更可能である。
また、本発明の実施形態に記述された効果は、本発明の実施形態から生じる好適な効果を述べたものであって、本発明による効果は、本発明の実施形態に記述されたものに限定されるものではない。

　１０　　　クライアント・コンピュータ
　１１　　　Ｗｅｂブラウザ
　２０　　　サーバー・コンピュータ
　２１　　　ソフトウェア
　２２　　　ＪａｖａＳｃｒｉｐｔエンジン
　２３　　　起動ファイル
　３０　　　データベース
　３１　　　設定ファイル
　３２　　　モジュール
　３３　　　モジュール化されていないプログラム
　Ｎ　　　　ネットワーク
　Ｍ　　　　サーバー・コンピュータのメモリ空間
　ＰＯ　　　パスに対するオブジェクト
　ＰＯ０１　データベースＩＦ
　ＰＯ０２　ファイルＩ／Ｏ
　ＰＯ０３　配置モジュール一覧
　ＰＯ０４　ネットワークＩ／Ｏ

Claims

　システム構築を行うためのシステム・アーキテクチャであって、サーバー・コンピュータにおいて、クライアント・コンピュータとのデータ授受を行うためのプロセスを立ち上げる時に必要な設定を記載した、関数が記述可能なことを特徴とする起動ファイルを読み込み、実行する機能と、サーバー・コンピュータのクライアント・コンピュータからのリクエストに対する処理を決定する、関数が記述可能なことを特徴とする設定ファイルを読み込み、実行する機能と、サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で解釈可能な言語を用いて、ユーザー・インタフェース部分を実現する「プレゼンテーション層」、データの加工処理を実行する「ファンクション層」及びデータベースにアクセスする「データ層」のうち１以上の機能を有する「モジュール」を単位とした１以上の前記モジュールを単純なモジュール名の指定によって読み込み、実行する機能を備えたことを特徴とするコンピュータ・システムを生成することを特徴とするシステム・アーキテクチャ。
　請求項１に記載したシステム・アーキテクチャにおいて、前記サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で解釈可能な言語がＪａｖａＳｃｒｉｐｔであることを特徴とするシステム・アーキテクチャ。
　請求項２に記載したシステム・アーキテクチャにおいて、サーバー・コンピュータとクライアント・コンピュータの双方で全く同じ関数によるＤＯＭツリーハンドリングを行えることを特徴とするシステム・アーキテクチャ。