WO2013008870A1 - 矯正用マイクロインプラント - Google Patents

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Abstract

 埋入させた後に脱落し難く、かつ、歯列を矯正した後、観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることが可能な矯正用マイクロインプラントであり、矯正具を固定するための固定部11を有し、歯列矯正後に口腔内から除去される頭部部材10と、頭部部材10が嵌合される嵌合穴20aが形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体20と、を備え、頭部部材10が、インプラント本体20の嵌合穴20aに分離可能に嵌合している矯正用マイクロインプラント100。

Description

矯正用マイクロインプラント
 本発明は、矯正用マイクロインプラントに関し、更に詳しくは、埋入させた後に脱落し難く、かつ、歯列を矯正した後、観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることが可能な矯正用マイクロインプラントに関する。
 従来、歯列矯正処置においては、隣合う歯を互いに固定源として歯と歯を互いに引っ張り合わせたり、ヘッドギアなどの取り外しのできる装置を使用して所望の歯を移動させたりするという方法が採用されていた。
 近年、上記のような方法に代わってマイクロインプラント矯正が行われている。このマイクロインプラント矯正は、歯根と歯根の間にある歯槽骨に直径1.5mm程度のごく小さなネジ(マイクロインプラント)を簡単な外科手術によって打ち込み、このマイクロインプラントを支点(固定源)として所望の歯を牽引して歯列を整える矯正治療法である。このようなマイクロインプラント矯正によれば、所望の歯(移動させたい歯)を牽引するための支点が固定されているため、移動させたい歯のみをスムーズに動かすことができる。
 マイクロインプラントとしては、チタンなどの生体親和性に優れた金属が主に使用されており(例えば、特許文献1)、最近では生体吸収性材料からなるものを用いることも提案されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
特開2004−57729号公報
愛院大歯誌45(1)165~170,2007 Dental Materials Journal 24(4)628−635,2005
 しかしながら、上記マイクロインプラント矯正においては、一般的に歯槽骨の皮質骨にマイクロインプラントを埋入するが、皮質骨の厚みは約2mm程度しかないため、処置中にマイクロインプラントが脱落してしまうことがあった。マイクロインプラントが脱落すると、再度外科手術が必要となり患者にとって大きな負担となっている。
 なお、マイクロインプラントの脱落率は、マイクロインプラントを埋め込む部位や処置を行う医師の技量によって異なるが、約10~40%である。更に、16歳以下の患者の場合には、骨が発育途中にあるため、マイクロインプラントが脱落し易く、脱落率は更に高くなるとされている。そのため、原則的に、脱落率が高い16歳以下の患者には、マイクロインプラント矯正が適用できない状況である。
 また、マイクロインプラントが脱落しない場合でも、マイクロインプラント矯正の終了時には、再度外科手術(観血処置)を行ってマイクロインプラントを除去することが必要であった。このような観血処置も患者にとって大きな負担となっている。
 本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、埋入させた後に脱落し難く、かつ、歯列を矯正した後、観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることが可能な矯正用マイクロインプラントを提供することを目的とする。
 本発明によれば、以下に示す、矯正用マイクロインプラントが提供される。
[1] 矯正具を固定するための固定部を有し、歯列矯正後に口腔内から除去される頭部部材と、前記頭部部材が嵌合される嵌合穴が形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体と、を備え、前記頭部部材が、前記インプラント本体の前記嵌合穴に分離可能に嵌合している矯正用マイクロインプラント。
[2] 前記インプラント本体が、外周面に螺旋状の溝が形成されたものである前記[1]に記載の矯正用マイクロインプラント。
[3] 前記頭部部材の、前記インプラント本体の前記嵌合穴に嵌合した部分の表面、及び、前記インプラント本体における前記嵌合穴の表面の少なくとも一方には、易剥離性材料からなる層が形成されている前記[1]または[2]に記載の矯正用マイクロインプラント。
[4] 前記頭部部材が、外方に突出した鉤部を有するものであり、前記インプラント本体の前記嵌合穴が、前記インプラント本体の前記嵌合穴に前記頭部部材を嵌合させた後、中心軸を中心に前記頭部部材を回転させたときに前記鉤部が進入する空間が形成された穴であり、中心軸を中心に前記頭部部材を回転させて前記鉤部を上記空間に進入させることによって前記インプラント本体と前記頭部部材とが係合される前記[1]~[3]のいずれかに記載の矯正用マイクロインプラント。
[5] 前記頭部部材が、外周面に螺旋状の溝が形成されたものであり、前記インプラント本体の前記嵌合穴が、前記頭部部材と螺合可能なネジ穴である前記[1]~[3]のいずれかに記載の矯正用マイクロインプラント。
[6] 前記頭部部材が、生体吸収性材料からなるものである前記[1]~[5]のいずれかに記載の矯正用マイクロインプラント。
[7] 前記インプラント本体が、ハイドロキシアパタイト及びβ−リン酸三カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種のリン酸カルシウム材料と、ポリグリコール酸、ポリ−L−乳酸、及びポリカプロラクトンからなる群より選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステルとの複合体からなるものである前記[1]~[6]のいずれかに記載の矯正用マイクロインプラント。
 本発明の矯正用マイクロインプラントは、「生体吸収性材料からなるインプラント本体」を備えるため、埋入させた後、インプラント本体が骨と良好に結合する。そのため、歯列矯正処置中に脱落し難い。また「頭部部材が、インプラント本体の嵌合穴に分離可能に嵌合する」ため、歯列を矯正した後には、頭部部材とインプラント本体とを分離し、頭部部材のみを除去し、生体吸収性材料からなるインプラント本体は口腔内に残置すればよい。そのため、観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることが可能である。
本発明の矯正用マイクロインプラントの一の実施形態を模式的に示す正面図である。 図1に示す矯正用マイクロインプラントを分解した状態を模式的に示す正面図である。 本発明の矯正用マイクロインプラントの他の実施形態を分解した状態を模式的に示す正面図である。 本発明の矯正用マイクロインプラントの他の実施形態を中心軸に平行に切断したときの断面を模式的に示す断面図である。 図4に示す矯正用マイクロインプラントのインプラント本体を頭部部材側から見た平面図である。 図1に示す矯正用マイクロインプラントを口腔内に埋め込んだ状態を模式的に示す説明図である。 図1に示す矯正用マイクロインプラントを用いた歯列矯正を開始した状態を模式的に示す説明図である。 各試験体の表面における電界放射走査電子顕微鏡画像写真である。
 以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[1]矯正用マイクロインプラント:
 図1は、本発明の矯正用マイクロインプラントの一の実施形態を模式的に示す平面図である。図2は、図1に示す矯正用マイクロインプラント100を分解した状態を模式的に示す平面図である。本発明の矯正用マイクロインプラントの一の実施形態としては、図1、図2に示す矯正用マイクロインプラント100を挙げることができる。矯正用マイクロインプラント100は、矯正具を固定するための固定部11を有し、歯列矯正後に口腔内から除去される頭部部材10と、頭部部材10が嵌合される嵌合穴20aが形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体20と、を備えている。そして、頭部部材10は、インプラント本体20の嵌合穴20aに分離可能に嵌合している。
 このような矯正用マイクロインプラント100は、「生体吸収性材料からなるインプラント本体20」を備えるため、埋入させた後、インプラント本体20が骨と良好に結合する。そのため、矯正用マイクロインプラント100は、チタンなどの生体親和性金属と比べても歯列矯正処置中に脱落し難い。即ち、矯正用マイクロインプラント100を用いれば、埋め込む部位や処置を行う医師の技量に左右されることなく歯列矯正を行うことができる。そして、16歳以下の患者であっても脱落率を低下させることができるため、マイクロインプラント矯正を適用させることができる。そのため、16歳以下の患者における歯列矯正の選択肢が増えることになる。なお、チタンは、骨と接触(オッセオインテグレーション)はするが、骨との化学的結合はされない。また「頭部部材10が、インプラント本体20の嵌合穴20aに分離可能に嵌合する」ため、歯列を矯正した後には、頭部部材10とインプラント本体20とを分離させ、頭部部材10のみを除去し、生体吸収性材料からなるインプラント本体20は口腔内に残置すればよい。そのため、矯正用マイクロインプラント100を用いれば、観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることが可能であり、患者の負担を大きく軽減できる。なお、インプラント本体20は、生体吸収性材料からなるため、生体内で次第に分解吸収されて消滅する。
 矯正用マイクロインプラント100は、頭部部材10の、インプラント本体20の嵌合穴20aに嵌合した部分の表面(例えば、図2に示す内側ネジ部15の表面)、及び、インプラント本体20における嵌合穴20aの表面の少なくとも一方に、易剥離性材料からなる層が形成されていることが好ましい。易剥離性材料からなる層が形成されることによって、歯列矯正中などに頭部部材10とインプラント本体20とが癒着等してしまうことが防止され、癒着等に起因してこれらが分離し難くなることを回避することができる。ここで、「嵌合穴20aに嵌合した部分の表面」とは、嵌合穴20aに嵌合した部分の外周面を意味し、「嵌合穴20aの表面」とは、嵌合穴20aを形成する側壁の壁面を意味する。
 易剥離性材料からなる層は、生体に対する安全性が高く、頭部部材10とインプラント本体20との癒着等を防止してこれらの分離を可能にするものである。易剥離性材料としては、例えば、ハイドロキシアパタイトなどの生体吸収性材料からなるもの;シリコーン系、塩ビ系、エポキシ系、ポリエステル系などの剥離剤などを挙げることができる。なお、インプラント本体20における嵌合穴20aの表面に形成される易剥離性材料からなる層は、生体吸収性材料からなるものであることが必要であり、具体的には、ハイドロキシアパタイトからなる層とすることが好ましい。また、頭部部材10が生体吸収性材料からなる場合、頭部部材10の、インプラント本体20の嵌合穴20aに嵌合した部分の表面に形成される易剥離性材料からなる層としては、ハイドロキシアパタイトからなる層であることが好ましい。
 なお、易剥離性材料からなる層を形成しない場合であっても、頭部部材10を構成する材料の物性とインプラント本体20を構成する材料の物性とを異ならせることによって、歯列矯正中などに頭部部材10とインプラント本体20とが癒着等してしまうことを防止することができる。例えば、頭部部材10とインプラント本体20とがそれぞれ生体吸収性材料からなる場合、頭部部材10とインプラント本体20とのそれぞれを、分子量の異なるものにより構成することで上記効果(癒着等の防止)を得ることができる。
[1−1]頭部部材:
 頭部部材10は、上述したように、矯正具を固定するための固定部11を有するものであり、固定部11としては、例えば、貫通孔13が形成されたもの(図1、図2参照)や、小径部19(くびれ部分)が形成されたもの(図3、図4参照)などを挙げることができる。貫通孔13が形成されている場合、この貫通孔13に矯正具43(図7参照)を通して固定する。また、小径部19が形成されている場合、この小径部19に矯正具を巻き付けて固定する。矯正具としては、例えば、ブラケットと、このブラケットに通されたワイヤーと、ワイヤーに繋がれたバネ(例えば、引張コイルバネ)などを有する連結具と、を備えるものなどを挙げることができる。
 固定部11の形状は、円柱状、角柱状などとすることができるが、歯列矯正時に患者が触れた際に怪我などをし難いという観点から円柱状であることが好ましい。図1、図2に示す固定部11は円柱状のものである。
 頭部部材10の、インプラント本体20の嵌合穴20aに嵌合した部分の長さ(中心軸方向の長さ)の割合は、頭部部材10の全長の30~90%とすることができる。
 頭部部材10の全長(中心軸方向の長さ)は、例えば、5~10mm程度である。
 頭部部材10は、チタンなどの生体親和性の高い金属や、インプラント本体20と同様の生体吸収性材料を材料とすることができる。これらの中でも、メタルフリーであり金属アレルギーの患者にも使用できるという観点から、生体吸収性材料からなるものであることが好ましい。また、生体吸収性材料を用いた場合、歯列を矯正した後、仮に頭部部材10を分離できない状況になったとしても、インプラント本体20から露出した部分の付け根で頭部部材10を折り、上記露出した部分のみを取り除くこともできる。この場合、頭部部材10も生体吸収性材料からなるため、残った部分(インプラント本体20の嵌合穴20aに嵌合している部分)はインプラント本体20と同様に次第に生体に吸収されて消滅する。一方、チタンなどの生体親和性の高い金属を材料とする場合、強度が得られるため歯列矯正中に折れたり曲がったりし難いという利点がある。生体親和性の高い金属の中でも特に生体親和性が高いためチタンが好ましい。
 頭部部材10は、インプラント本体20の嵌合穴20aと分離可能に嵌合するものであれば特に制限はない。例えば、頭部部材10については、外周面に凹凸の無い柱状のものとし、嵌合穴20aについては、外周面に凹凸の無い柱状の頭部部材10に相補的な形状の穴とすることができる。頭部部材10は、インプラント本体20に分離可能に嵌合し固定されていることが好ましい。頭部部材10がインプラント本体20に固定されることによって、歯列矯正中に頭部部材10がインプラント本体20から外れてしまうことを良好に防止することができる。頭部部材10は、具体的には、外周面に螺旋状の溝が形成されたもの(以下、「第1の雄ネジ」と記す場合がある)とすることができる。そして、頭部部材10の外周面に螺旋状の溝が形成されている場合、インプラント本体20の嵌合穴20aは、頭部部材10と螺合可能なネジ穴であることが好ましい。このように頭部部材10とインプラント本体20とが螺合可能であると、歯列矯正中に頭部部材10とインプラント本体20とが意図せずに分離してしまうこと(即ち、頭部部材10が外れてしまうこと)を良好に防止することができる。
 図1、図2に示す矯正用マイクロインプラント100の頭部部材10(第1の雄ネジ30)は、貫通孔13が形成された固定部11以外に、ネジ山15aが形成されている部分である内側ネジ部15と、固定部11と内側ネジ部15との間に位置し、外方に突出したフランジ17aが形成された鍔部17と、を備えている例である。
 内側ネジ部15のネジ山15aのピッチは、0.1~1.0mmとすることが好ましい。このような範囲であると、第1の雄ネジ30を容易に取り外すことができるため、歯列の矯正が終了した後の処置が容易である。即ち、手早く処置を終了させることができる。
 鍔部17のフランジ17aは、第1の雄ネジ30の強度を向上させる部分であり、フランジ17aが形成されることによって、歯列矯正中に矯正用マイクロインプラント100の頭部部材10が折れたり曲がったりしてしまうことを防止することができる。即ち、頭部部材10は、インプラント本体20から露出した部分の付け根に牽引力が最も掛かるため、この付け根部分にフランジ17aを形成することによって頭部部材10の強度を補強している。
 鍔部17のフランジ17aの、中心軸方向に直交する断面における形状は、例えば、円形状、楕円形状、六角形などの多角形などとすることができる。これらの中でも、多角形であると、第1の雄ネジ30を容易に取り外すことができるため、歯列の矯正が終了した後の処置が容易である。即ち、手早く処置を終了させることができる。
 第1の雄ネジ30の内側ネジ部15の形状は、特に制限はなく、円柱状(一方の端部(頭部)から他方の端部(先端部)まで直径が同じ形状)、円錐状(頭部から先端部に向かうに従って直径が小さくなる形状(テーパ状))、先端部がテーパ状で頭部が円柱状となる形状などを挙げることができる。
 第1の雄ネジ30の内側ネジ部15の直径(円錐状である場合には最大直径)は、第1の雄ネジ30の材質などにより適宜設定可能であるが、例えば、0.5~2.0mm程度である。
 本発明の矯正用マイクロインプラントにおいては、頭部部材が、インプラント本体に分離可能に嵌合し固定されている場合、頭部部材が外方に突出した鉤部を有するものであることも好ましい。この場合、インプラント本体の嵌合穴は、インプラント本体の嵌合穴に頭部部材を嵌合させた後、中心軸を中心に頭部部材を回転させたときに鉤部が進入する空間が形成された穴であることが好ましい。このような矯正用マイクロインプラントは、中心軸を中心に頭部部材を回転させて鉤部を上記空間に進入させることによってインプラント本体と頭部部材とが係合される。そのため、インプラント本体と頭部部材とを容易に係合させることができるので、歯列矯正中はインプラント本体と頭部部材とが容易に分離してしまうことがない。一方で、歯列を矯正した後にはインプラント本体と頭部部材との係合を容易に解除することができ、頭部部材を容易に取り除くことができる。
 図3、図4に示す矯正用マイクロインプラント101は、頭部部材10が、小径部19が形成された固定部11、及び、外方に突出した鉤部23を先端に有する嵌入部25を有している。更に、頭部部材10は、固定部11と嵌入部25との間に位置し外方に突出したフランジ17aが形成された鍔部17を有している。なお、嵌入部25は、先端に鉤部23を有しているが、鉤部23の位置は嵌入部の先端に限定されない。図3は、本発明の矯正用マイクロインプラントの他の実施形態を分解した状態を模式的に示す平面図である。図4は、本発明の矯正用マイクロインプラントの他の実施形態を中心軸に平行に切断したときの断面を模式的に示す断面図である。
[1−2]インプラント本体:
 インプラント本体20は、上述したように、生体吸収性材料からなるものである。この生体吸収性材料としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ−L−乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリコハク酸ブチレンなどの脂肪族ポリエステル;ハイドロキシアパタイト、β−リン酸三カルシウム(TCP)、炭酸カルシウム、ポリフォスファゼンなどの無機素材;セルロース、デンプン、デキストラン、キチン・キトサン、ヒアルロン酸などの多糖類;コラーゲン、ゼラチン、セリシン、ガゼイン、フィブリンなどのペプチド;ナイロン4、ナイロン2/ナイロン6共重合体などのポリアミノ酸;ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(エチレンアジペート/テレフタレート)(PEAT)などの共重合ポリエステルなどを挙げることができる。これらの中でも、ポリグリコール酸、ポリ−L−乳酸、ポリカプロラクトンが好ましい。なお、インプラント本体20は、これらを1種単独でまたは2種以上を含むものであってもよい。2種以上を含むものである場合、無機素材と脂肪族ポリエステルとの複合体からなるものであることが好ましく、ハイドロキシアパタイト及びβ−リン酸三カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種のリン酸カルシウム材料と、ポリグリコール酸、ポリ−L−乳酸、及びポリカプロラクトンからなる群より選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステルとの複合体からなるものであることが更に好ましい。上記各成分のうち、ハイドロキシアパタイトを含むと、このハイドロキシアパタイトが骨との結合を強化する。また、ポリ−L−乳酸を含むと、このポリ−L−乳酸がインプラント本体20の柔軟性を高める。従って、ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体は、これらの両方の性質を有するため好ましい。
 上記リン酸カルシウム材料と上記脂肪族ポリエステルとの複合体からなるものである場合、上記リン酸カルシウム材料と上記脂肪族ポリエステルとの配合比は、上記リン酸カルシウム材料が20~40質量%であり、上記脂肪族ポリエステルが60~80質量%であることが好ましい。
 また、ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体である場合においても、ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体におけるハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との配合比は、ハイドロキシアパタイトが20~40質量%であり、ポリ−L−乳酸が60~80質量%であることが好ましい。
 脂肪族ポリエステルなどの生体吸収性ポリマーとしては、初期の粘度平均分子量が15万~60万のものが好ましく、20万~55万のものが更に好ましい。
 インプラント本体20に形成される嵌合穴20aは、中心軸がインプラント本体20の中心軸に一致するように形成された穴であることが好ましい。
 そして、上述したように、頭部部材10が、外周面に螺旋状の溝が形成されたものである場合には、嵌合穴20aは、図2に示すように、頭部部材10と螺合可能なネジ穴であることが好ましい。
 図1、図2に示されるインプラント本体20は、ネジ山27aが形成されている部分である外側ネジ部27と、ネジ山27aが形成されていない胴部29と、を備えており、先端には切り欠き溝31が形成されている。この切り欠き溝31が形成されると、下穴を形成しない場合であっても容易に矯正用マイクロインプラント100を骨にねじ込むことができる。
 また、頭部部材10が、外方に突出した鉤部23を有するものである場合には、図3~図5に示すように、嵌合穴20aは、「インプラント本体20の嵌合穴20aに頭部部材10を嵌合させた後、中心軸を中心に頭部部材10を回転させたときに鉤部23が進入する空間33が形成された穴」であることが好ましい。図3~図5に示されるインプラント本体20は、ネジ山27aが形成されている部分である外側ネジ部27と、ネジ山27aが形成されていない胴部29と、を備えている。
 インプラント本体20が胴部29を備えることによって、この胴部29に手回しのレンチなどを取り付けることができるため、矯正用マイクロインプラント100を骨に容易にねじ込むことができる。胴部29の、中心軸方向に直交する断面における形状は、円形、楕円形、多角形などとすることができる。これらの中でも、レンチなどを固定し易いという観点から、多角形(図5においては、12角形)であることが好ましい。図5は、図4に示す矯正用マイクロインプラント101のインプラント本体20を頭部部材10側から見た平面図である。
 インプラント本体20の全長(中心軸方向の長さ)は、例えば、5~10mm程度である。
 インプラント本体20は、外周面に凹凸の無い柱状であってもよいし、外周面に螺旋状の溝が形成されたもの(以下、「第2の雄ネジ」と記す場合がある)であってもよい。これらうち、外周面に螺旋状の溝が形成されていると、より確実に矯正用マイクロインプラントを骨に固定することができる。そのため、矯正用マイクロインプラントの脱落率を更に低下させることができる。即ち、より確実に骨に固定できるため、矯正用マイクロインプラントを埋入後すぐに歯列矯正を開始することができる。また、矯正用マイクロインプラントをそのまま骨にねじ込むことができる(即ち、埋入位置に予め穴(下穴)を開ける必要がない)ため、処置が容易になる。
 第2の雄ネジのネジ部のピッチは、0.1~1.0mmとすることが好ましい。このような範囲であると、矯正用マイクロインプラントを骨に容易に埋入させることができる。
 第2の雄ネジのネジ部の長さの割合は、第2の雄ネジの全長(中心軸方向の長さ)の30~90%とすることができる。
 第2の雄ネジのネジ部の形状は、特に制限はなく、円柱状(一方の端部(頭部)から他方の端部(先端部)まで直径が同じ形状)、円錐状(頭部から先端部に向かうに従って直径が小さくなる形状(テーパ状))、先端部がテーパ状で頭部が円柱状となる形状などを挙げることができる。
 第2の雄ネジのネジ部の直径(円錐状である場合には最大直径)は、インプラント本体の強度などにより適宜設定することができるが、例えば、0.5~2.0mm程度である。
[2]矯正用マイクロインプラントの製造方法:
 本発明の矯正用マイクロインプラントは、以下のように製造することができる。まず、生体吸収性材料を溶融成形した後、切削加工して、頭部部材が嵌合される嵌合穴が形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体を作製する。次に、チタンなどの生体親和性の金属からなる線材を線送りローラーなどで直線状にした後、所定の長さで切断する(切断工程)。その後、一方の端部を圧縮成形して頭部を成形し(成形工程)、転造法または切削・研削法によりネジ部を形成する(ネジ部加工工程)。このようにして、矯正具を固定する固定部を有する頭部部材を作製する。次に、上記頭部部材を上記インプラント本体の上記嵌合穴に分離可能に嵌合させる。このようにして矯正用マイクロインプラントを作製することができる。なお、頭部部材を生体吸収性材料により作製する場合には、インプラント本体と同様の方法で作製することができる。
 「頭部部材が、インプラント本体の嵌合穴に嵌合した部分の表面にハイドロキシアパタイトからなる層を有するもの」である場合には、切断工程、成形工程、及び、ネジ部加工工程を行って頭部基体を作製した後、この頭部基体の、インプラント本体の嵌合穴に嵌合した部分の表面に、ハイドロキシアパタイトを含むスラリーを塗工して乾燥させる。このようにして頭部部材を作製することができる。
[3]矯正用マイクロインプラントを用いた歯列矯正方法:
 本発明の矯正用マイクロインプラントを用いた歯列矯正方法は、本発明の矯正用マイクロインプラントの埋入位置を決定し、決定された埋入位置に本発明の矯正用マイクロインプラントを埋入し、この矯正用マイクロインプラントを用いて歯列の矯正を行い、歯列を矯正した後、矯正用マイクロインプラントのインプラント本体を埋入させた状態で頭部部材とインプラント本体とを分離し、分離された頭部部材を口腔内から除去して、歯列矯正を終了する方法である。
 ここで、「本発明の矯正用マイクロインプラントを埋入」するとは、矯正用マイクロインプラントのインプラント本体が歯茎の表面よりも深い位置(歯茎に埋もれる位置)に配置されるように本発明の矯正用マイクロインプラントを埋め込むことをいう。
 このように本発明の矯正用マイクロインプラントを使用すれば、歯列を矯正した後、頭部部材を口腔内から取り除くだけでよい。即ち、頭部部材を取り除いたことにより形成された穴(頭部部材が嵌っていた穴)はその周りの歯茎によって自然に早期に塞がれるためである。従って、観血処置を行なわずに歯列矯正処置を終了させることができる。
 本発明の矯正用マイクロインプラントの使用方法は、具体的には、まず、矯正用マイクロインプラントの埋入位置を決定する。その後、埋入位置に局所麻酔をし、円筒形のメスで肉部分(歯茎)を開窓して骨の表面を露出させる。その後、上記骨に小径ドリルで穴(矯正用マイクロインプラントの径により適宜設定されるが、例えば、直径1mm、深さ4mm程度の穴)を開ける。続いて、手回しのレンチをインプラント本体の胴部に取り付け、本発明の矯正用マイクロインプラントを上記穴にねじ込み、固定する。このとき、図6に示すように、矯正用マイクロインプラント100のインプラント本体20が歯茎35の表面よりも深い位置(歯茎35に埋もれる位置)に配置されるように矯正用マイクロインプラント100を埋め込む。図6は、図1に示す矯正用マイクロインプラント100を口腔内に埋め込んだ状態を模式的に示す説明図である。
 次に、図7に示すように、歯列矯正用のブラケット37を歯の表面に取り付け、このブラケット37にワイヤー39を通した後、ワイヤー39と本発明の矯正用マイクロインプラント(矯正用マイクロインプラント100)とを連結具41で連結する。そして、本発明の矯正用マイクロインプラントを牽引用の固定源とし、所定の歯に所望の牽引力がかかるように連結具41による牽引力を調節して歯列の矯正を開始する。図7は、図1に示す矯正用マイクロインプラント100を用いた歯列矯正を開始した状態を模式的に示す説明図である。
 歯列が所望の状態になったことを確認して歯列の矯正を終了する。そして、歯列の矯正をした後、矯正用マイクロインプラントのインプラント本体を埋入させた状態で頭部部材とインプラント本体とを分離し、分離された頭部部材のみを口腔内から取り除く。このとき、矯正具43(ブラケット37、ワイヤー39、及び、連結具41)も口腔内から取り除く。なお、連結具41は、引張コイルバネと固定用金具とからなる。そして、上述したように、頭部部材を取り除いた後には、頭部部材が嵌っていた穴が残るが、この穴は、穴の周りの歯茎によって自然に早期に(およそ1日で)塞がれることになる。このようにして観血処置を行わずに歯列矯正処置を終了させることができる。
 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
 まず、チタン製の頭部部材(第1の雄ネジ)を用意した。具体的には、チタンからなる線材を線送りローラーで直線状にした後、所定の長さで切断し(切断工程)、その後、一方の端部を圧縮成形して頭部を成形し(成形工程)、そして、切削・研削法によりネジ部を形成した(ネジ部加工工程)。その後、ネジ部の表面にハイドロキシアパタイトを含むスラリーを塗工して乾燥させた。このようにして、矯正具を通すための貫通孔が形成された固定部と、ネジ山が形成されている部分であるネジ部と、固定部とネジ部との間に位置し外方に突出したフランジが形成された鍔部と、を備え、上記ネジ部の表面にハイドロキシアパタイトからなる層が形成された第1の雄ネジを作製した。この第1の雄ネジは、全体の長さが10mm、ネジ部の直径が0.8mm、ネジ部の長さが5mmのものであった。
 次に、「ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体(ハイドロキシアパタイト30質量%、ポリ−L−乳酸70質量%)」を溶融成形した後、切削加工した。このようにして、第1の雄ネジと螺合し得るネジ穴(直径0.8mm、深さ7mm)が形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体(第2の雄ネジ)(全体の長さ10mm、ネジ部の直径1.5mm、ネジ部の長さ8mm)を作製した。
 次に、上記第1の雄ネジを上記第2の雄ネジの上記ネジ穴に螺合させて上記第1の雄ネジと上記第2の雄ネジとを分離可能に嵌合させることにより、矯正用マイクロインプラント(全体の長さ13mm)を作製した。
(実施例2)
 「ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体」からなるインプラント本体に代えて、ポリグリコール酸からなるインプラント本体(第2の雄ネジ)を作製したこと以外は、実施例1と同様にして矯正用マイクロインプラントを作製した。
(実施例3)
 「ハイドロキシアパタイトとポリ−L−乳酸との複合体」からなるインプラント本体に代えて、ポリ−L−乳酸からなるインプラント本体(第2の雄ネジ)を作製したこと以外は、実施例1と同様にして矯正用マイクロインプラントを作製した。
(実施例4)
 ポリ−L−乳酸を溶融成形した後、切削加工することによって、矯正具を通すための貫通孔が形成された固定部と、ネジ山が形成されている部分であるネジ部と、固定部とネジ部との間に位置し外方に突出したフランジが形成された鍔部と、を備えたネジ部材を作製した。その後、作製したネジ部材のネジ部の表面にハイドロキシアパタイトを含むスラリーを塗工して乾燥させることにより、上記ネジ部の表面にハイドロキシアパタイトからなる層を形成した。このようにして頭部部材(第1の雄ネジ)を作製した。この第1の雄ネジは、全体の長さが10mm、ネジ部の直径が0.8mm、ネジ部の長さが5mmのものであった。
 次に、実施例3と同様にしてポリ−L−乳酸からなるインプラント本体(第2の雄ネジ)を作製した。
 次に、上記第1の雄ネジを上記第2の雄ネジの上記ネジ穴に螺合させて上記第1の雄ネジと上記第2の雄ネジとを分離可能に嵌合させることにより、矯正用マイクロインプラント(全体の長さ13mm)を作製した。
(比較例1)
 チタンからなる線材を線送りローラーで直線状にした後、所定の長さで切断し(切断工程)、その後、一方の端部を圧縮成形して頭部を成形し(成形工程)、そして、切削・研削法によりネジ部を形成した(ネジ部加工工程)。このようにしてチタン製の雄ネジ(全体の長さ13mm、外径1.5mm)を作製し、この雄ネジを矯正用マイクロインプラントとした。
 作製した矯正用マイクロインプラント(実施例1~4、比較例1)について、以下の方法により[脱落性評価試験]を行った。
[脱落性評価試験]
 脱落性評価試験において疑似体液試験を行った。具体的には、作製した矯正用マイクロインプラントを疑似体液中に所定期間浸漬させ、アパタイト生成能を観察した。疑似体液試験の結果、実施例1~4の矯正用マイクロインプラント(インプラント本体)は、アパタイト生成能がチタン(比較例1の矯正用マイクロインプラント)に比べて有意に高かった。
 また、上記疑似体液試験以外に犬を対象にした動物実験を行った。具体的には、犬を使った動物実験では、口腔内に作製した矯正用マイクロインプラント(実施例1~4、比較例1)を埋入し、それを固定源として歯を牽引して移動させた。本試験の結果、実施例1~4の矯正用マイクロインプラント(インプラント本体)は、チタン(比較例1の矯正用マイクロインプラント)に比べて脱落率が有意に低かった。
[アパタイト生成能]
 本発明の矯正用マイクロインプラントについて、以下の方法によりアパタイト生成能を評価した。なお、生体吸収性高分子材料としては、ポリグリコール酸(PGA)とポリ−L−乳酸(PLA)との配合比(PGA/PLA)が100/0(図8中、「PLA100」と記す)、75/25(図8中、「PLA75/PGA25」と記す)、50/50(図8中、「PLA50/PGA50」と記す)である3種類の材料を使用した。
 まず、PLAとPGAの顆粒を各配合比となるようにして金型(80mm×10mm×2.5mm)に入れ、その後、卓上型ホットプレス機によって成形温度180℃、プレス圧力10MPa、成形時間30分の条件で加熱・加圧成形した。その後、実験室環境下にて室温まで徐冷した。このようにして、PLAとPGAとの配合比が上記条件を満たすPLA/PGA試験体を複数作製した。その後、各PLA/PGA試験体を、ダイヤモンド工具を用いて、5mm×5mm×2.5mmの板状に切り出した。その後、板状のPLA/PGA試験体の表面を#1000の耐水研磨紙で研磨した。
 次に、生体内における骨形成能をシュミレーションするため、PLA/PGA試験体の疑似体液浸漬試験を行い、アパタイト生成能を評価した。具体的には、以下のようにして疑似体液浸漬試験を行った。なお、疑似体液としてハンクス溶液(pH7.4、37℃)を使用した。
 各試験体を、ポリスチレン容器に入れた20mlのハンクス溶液に浸漬した。浸漬期間は3日または7日とし、ハンクス溶液は毎日新しいものに交換した。浸漬後の各試験体は、蒸留水で洗浄し、デシケータ内で24時間真空乾燥させた。その後、電界放射走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて各試験体の表面観察を行ない、アパタイトの生成状態を確認した。FE−SEMによって観察された各試験体の表面の画像を図8に示す。図8は、各試験体における表面の電界放射走査電子顕微鏡画像写真である。
 ハンクス溶液に3日間浸漬した後の全てのPLA/PGA試験体は、多くの結晶物の析出が認められた。更に、7日間浸漬した後のPLA/PGA試験体は、より無数の結晶物が堆積していることが確認できた。また、これらの結晶物は、薄膜X線回折によりアパタイトであることが判明した。これらの結果から、作製したPLA/PGA試験体は、優れたアパタイト生成能を有することが確認できた。
 上記実施例1~4、比較例1から明らかなように、実施例1~4の矯正用マイクロインプラントは、比較例1の矯正用マイクロインプラントに比べて、埋入させた後に脱落し難いことが確認された。また、実施例1~4の矯正用マイクロインプラントは、歯列を矯正した後にインプラント本体を埋入させた状態で頭部部材を分離して取り除けばよいため、観血処置を行わないで歯列矯正処置を終了させることができる。また、アパタイト生成能の評価によれば、本発明の矯正用マイクロインプラントは、優れたアパタイト生成能を有するものであることが分かる。
 本発明の矯正用マイクロインプラントは、歯列矯正用の冶具(固定源)として好適に用いることができる。
10:頭部部材、11:固定部、13:貫通孔、15:内側ネジ部、15a,27a:ネジ山、17:鍔部、17a:フランジ、19:小径部、20:インプラント本体、20a:嵌合穴、23:鉤部、25:嵌入部、27:外側ネジ部、29:胴部、30:第1の雄ネジ、31:切り欠き溝、33:空間、35:歯茎、37:ブラケット、39:ワイヤー、41:連結具、43:矯正具、100,101:矯正用マイクロインプラント。

Claims (7)

  1.  矯正具を固定するための固定部を有し、歯列矯正後に口腔内から除去される頭部部材と、
     前記頭部部材が嵌合される嵌合穴が形成された生体吸収性材料からなるインプラント本体と、を備え、
     前記頭部部材が、前記インプラント本体の前記嵌合穴に分離可能に嵌合している矯正用マイクロインプラント。
  2.  前記インプラント本体が、外周面に螺旋状の溝が形成されたものである請求項1に記載の矯正用マイクロインプラント。
  3.  前記頭部部材の、前記インプラント本体の前記嵌合穴に嵌合した部分の表面、及び、前記インプラント本体における前記嵌合穴の表面の少なくとも一方には、易剥離性材料からなる層が形成されている請求項1または2に記載の矯正用マイクロインプラント。
  4.  前記頭部部材が、外方に突出した鉤部を有するものであり、前記インプラント本体の前記嵌合穴が、前記インプラント本体の前記嵌合穴に前記頭部部材を嵌合させた後、中心軸を中心に前記頭部部材を回転させたときに前記鉤部が進入する空間が形成された穴であり、中心軸を中心に前記頭部部材を回転させて前記鉤部を上記空間に進入させることによって前記インプラント本体と前記頭部部材とが係合される請求項1~3のいずれか一項に記載の矯正用マイクロインプラント。
  5.  前記頭部部材が、外周面に螺旋状の溝が形成されたものであり、前記インプラント本体の前記嵌合穴が、前記頭部部材と螺合可能なネジ穴である請求項1~3のいずれか一項に記載の矯正用マイクロインプラント。
  6.  前記頭部部材が、生体吸収性材料からなるものである請求項1~5のいずれか一項に記載の矯正用マイクロインプラント。
  7.  前記インプラント本体が、ハイドロキシアパタイト及びβ−リン酸三カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種のリン酸カルシウム材料と、ポリグリコール酸、ポリ−L−乳酸、及びポリカプロラクトンからなる群より選択される少なくとも一種の脂肪族ポリエステルとの複合体からなるものである請求項1~6のいずれか一項に記載の矯正用マイクロインプラント。
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