ュビキチンリガーゼによるュビキチン化の標的タンパク質をスクリ一二ングする 方法 技術分野
本発明はュビキチンリガーゼのュビキチン化の標的タンパク質を同定するため の新規のスクリーニング方法に関する。
明 背景技術 田
ュビキチン/プロテアソーム系は真核生物に普遍的に存在するタンパク質分解 系である。 この系では、 まず、 (1 ) 分解すべきタンパク質をュビキチンリガーゼ が認識し、 ュビキチン化するステップと、 (2 ) ュビキチン化されたタンパク質を プロテアソームが分解するステップからなっている。 この二つのステップは連続 して起きているので、 ュビキチン化されたタンパク質は急速に分解される。
ュビキチン化に依存した制御タンパク質の分解は、 細胞機能を正常に保っため に必須であると考えられている。 特に、 ュビキチンリガーゼの一つである SCFュ ビキチンリガーゼ及び APCュビキチンリガーゼは、 細胞周期、 発生、 分化、 転写 制御をはじめとした様々な細胞増殖の過程を制御しており、 このュビキチン化の 異常は癌をはじめとした様々な疾患を引き起こす。
SCF ュビキチンリガーゼ及び APC/C ュビキチンリガーゼ(Anaphase promoting complex or cyclosome)の細胞機能制御の全体像を把握するため、 ひいては、 ュビ キチン化の異常に起因する病態の原因解明及び治療法を開発するためには、 ュビ キチン化の標的タンパク質を同定することが不可欠である。 しかし、 SCF ュビキ チンリガーゼはタンパク質分解系の一つであるために、 その標的タンパク質の半 減期が極めて短いため、 標的タンパク質の同定は極めて困難である。
SCFュビキチンリガーゼは、 Skpl、 Cul l (出芽酵母では Cdc53)、 Skpl との結合 モチーフ F-boxを持つ F- boxタンパク質、 及び Rbxlから構成されるュビキチン リガーゼであり、 F-Boxは Skpl との結合を介して Cul lの N末端側に結合し、 Rbxl
が触媒部位であり、 Rbxlは Cul lの C末端側に結合している。 この中で、 ュビキ チン化の標的タンパク質の認識 (結合) を行う役割を果たすのが、 F- box モチ一 フを持つ F- boxタンパク質である。
F-boxタンパク質は、 F- boxモチーフで SCFュビキチンリガーゼのコアと結合す る。 この F- boxモチーフ以外に、 標的タンパク質結合領域を持ち、 ここで、 標的 タンパク質を結合する。 ゲノム解析の結果、 複数の F- box タンパク質が存在する ことが明らかになつている。 また、 それぞれの F- boxタンパク質が、 異なる標的 タンパク質と結合することが遺伝的な解析から明らかになつている。
ところで、 タンパク質間相互作用を検出する方法として、 いくつか知られてい るが、 好適には、 酵母 2-ハイブリッ ド (Two- hybrid) システムという手法が一般 的に用いられる。
Two- hybridシステムは、 転写因子 Ga の活性に、 DNA結合ドメイン (DB) と転 写活性化ドメイン(AD) の二つが必要であることを利用した系である(非特許文献 1)。
あるタンパク質 Aとタンパク質 Bとが相互作用をするかどうかを調べるために、 まず、転写因子 GAL4の DNA結合ドメインとタンパク質 Aの融合タンパク質(DB-A) と、 転写活性化ドメインとタンパク質 Bの融合タンパク質 (AD-B) を酵母内で発 現させる。 DB-A及び AD-Bはそれぞれ単独では転写因子としては機能できないが、 もし、 A と Bが結合すれば、 転写活性に必要な DMA結合ドメインと転写活性化ド メインの二つ持つことになるので、 転写因子として機能することができる。 した がって、 レポーター遺伝子の発現を調べることにより、 A と Bが結合するのかを 容易に調べることができる。
この時、 Bとして遺伝子ライブラリーを用いれば、 A と結合する未知のタンパク 質をスクリ一ユングできる。
同様に、 APC/C ュビキチンリガーゼも複数のサブュニッ トから構成される複合 体であり、 標的タンパク質は、 APC/C ュビキチンリガーゼの標的蛋白質結合サブ ユニッ トと結合する。 標的蛋白質結合サブュニッ トとしては、 Cdc20及び Hctlが 知られている。
特許文献 1 米国特許第 5283173号
非特許文献 1 Fields S and Song 0. A novel genetic system to detect protein-protein interact ion. Nature 340 ·' 245-246.
非特許文献 2 Gyuris J, Golemi s EA, Chertkov H, Brent R. Cdi l, a human Gl and S phase protein phosphatase that associates with Cdk2. Cel l 75 : 791-803. 発明の開示
本願出願は、 SCFュビキチンリガーゼ又は APC/Cュビキチンリガーゼによって ュビキチン化されるタンパク質をスクリ一二ングする実験系を開発し、 これを用 いてュビキチン化の標的タンパク質を同定することを課題とする。
SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質は、 F-boxタンパク質と結合するので, F-box タンパク質と結合するタンパク質として標的タンパク質を同定できる可能 性がある。 このような場合に、 タンパク質間相互作用を検出する T o-hybridシス テムという手法が一般的に用いられる。
しかしながら、 ュビキチン経路で分解されるようなタンパク質の場合には、 従 来の方法では、 タンパク質間相互作用を検出することが困難であった。
SCFュビキチンリガーゼの標的タンパグ質を Aとして、 F_boxタンパク質を用い てスクリーニングし、 Bが標的タンパク質であるとすると、 Two-hybridシステム では、 F- boxタンパク質と標的タンパク質 Bが結合し、 レポーター遺伝子の発現 がおこることが期待される。
しかし、 F - box タンパク質は標的タンパク質と結合すると、 直ちに標的タンパ ク質 Bをュビキチン化し分解へと導く。 その結果、 レポーター遺伝子の発現を誘 導するより前に、 標的タンパク質 Bが分解されてしまうので、 レポーター遺伝子 の発現を活性化するには至らない。 その結果、 見かけ上、 結合してないように見 えることになる。 したがって、 標的タンパク質を同定するためには、 結合の検出 前に標的タンパク質が分解されるという問題点を克服する必要がある。
また、 標的タンパク質が同定されたら、 この実験系を、 ュビキチン化を促進あ るいは抑制する薬剤のスクリーユングにも応用することができる。
従来の Two - hybri d systemを用いて、 F- box と結合するタンパク質として、 ュ
ビキチン化の標的タンパク質を同定することは困難であり、 成功例は報告されて いない。
しかし、 以下の方法で、 標的タンパク質を安定化することにより、 ュビキチン 化の標的タンパク質を同定することが可能となることを見いだした。
本願発明者は、 酵母 two hybri dスク リーニング系に、 ( 1 ) 完全長の F- box タ ンパク質ではなく、Skplとの結合領域であると考えられている F-boxモチーフを、 全体あるいは Skp l と結合できなくなる程度を欠失した変異型 F-box タンパク質 を ba i t として用い、 更に (2 ) 標的タンパク質の分解能が低下した変異株 (例え ば、 温度感受性変異株あるいは欠失変異株) を用いることにより、 標的タンパク 質を安定化でき、 結果としてスク リーニングできることを見出して、 本願発明を なしたものである。
( 1 ) F-boxモチーフを欠失した変異型 F- box タンパク質を ba i t として用いる ことにより、 標的タンパク質と変異型 F-boxタンパク質が結合しても SCFュビキ チンリガーゼのコアに Skplを介して結合することがないので、ュビキチン化され ず、 酵母内での分解が遅れることとなる。
( 2 ) ただし、 変異型 F-boxタンパク質を酵母に導入したのみでは、 酵母内の 野生型の - F-boxタンパク質と標的タンパク質が結合し分解されることとなる。 そ こで、 酵母内の当該 F- boxタンパク質を欠失させる又は条件依存的、 例えば温度 依存的に不活化することにより、 F-box タンパク質と標的タンパク質の存在時間 を延長できたものである。
これにより、 標的タンパク質をスク リーニングするための実験系を、 従来の手 法である酵母 Two - hybri dシステムを改良することにより開発できたものである。 この実験手法を用いて、 出芽酵母ゲノムライブラリーを用いて、 SCF ュビキチ ンリガーゼ (F- box タンパク質 Cdc4) の新規の標的タンパク質を 2種類同定する ことに成功した。
また、 この手法を用いて、 ヒ トの SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質で、 カルシウム制御因子として機能するタンパク質から、 そのュビキチン化に必要な ヒ ト F - box ンパク質を同定した。
また、 本発明の方法により、 APC/C ュビキチンリガーゼの標的タンパク質を同
定することができる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願 2004-279216号の明細書 および または図面に記載される内容を包含する。 図面の簡単な説明
図 1は、 F- boxタンパク質として Cdc 4を用いた場合の従来の two hybri d シ ステムによる標的タンパク質の検出可能性を示す図である。
図 2は、 SCF ュビキチンリガーゼ標的タンパク質の探索のための 2—ハイブリ ッ ドシステムの改良を示す図である。
図 3は、 SCF ュビキチンリガーゼ標的タンパク質の探索のため 2—ハイブリツ ド系の改良 (Cdc4 と Sicl)、 温度感受性変異株あるいは欠失変異株を用いて F- boxモチーフを欠失した変異型 F- box タンパク質を baitとして用いる標的タン パク質のスクリ一エングの可能性の検証を示す図である。
図 4は、 Cdc4の結合特性を利用した非特異的な相互作用を与えるクローンの除 去を示す図である。
図 5は、 標的タンパク質の安定化を指標とした非特異的な相互作用を与えるク ローンの除去を示す図である。
図 6は、 本実験系で同定されたタンパク質を示す図である。
スクリ一二ングの手順としては、 安定化された状態でのスク リ一二ングをし、 False positive を、 (1) 結合特異性及び(2)安定化を指標とする 2つの異なる特 異性を利用して、 除去する。 次に (3 ) 蛋白質の半減期を野生株 と cdc4 変異株 とで比較することにより、 標的タンパク質であることを確認する。
図 7 は、 プロテアソームの温度感受性変異変異(prel-1株)をスクリーニング のホストとして用いることができることを示す図である。 なお、 この場合には、 Cdc4-dF および Cdc4を用いることもできる。 図 7では Cdc4を用いた場合につい て示した。 また、 Cdc 4とは異なる F - boxタンパク質 Grrl とその標的タンパク質 Cln2の結合も、 この方法で検出することに成功した。 言いかえれば、 他の F- box にも適用できる。
図 8は、 APC/Cの標的タンパク質の同定のための方法論を示す図である。 Clb2
が安定化される条件では Hctl と Clb2の結合を検出できることを示している。 なお、 APC/Cとの結合領域である C - boxを除去した Hctl- dCを baitとして用いて いる
図 9は、 本実験系で同定されたタンパク質を示す図である。
図 10は、 SCFおよび APC/Cの模式図を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明のュビキチンリガーゼ標的タンパク質スクリ一二ング方法は、 例えば、
Two-hybrid systemであれば、 種々の Two- hybrid systemを基礎として、 改良し た系を利用することができる。 Two- hybrid system としては、 酵母、 原核生物、 哺乳細胞を用いる系が知られている。
本発明のュビキチンリガーゼの標的タンパク質を同定する方法には、
( 1 ) 標的タンパク質の分解能が低下した細胞を、
( 2 _ a)ュビキチンリガーゼを構成するサブュニッ トのうち標的タンパク質と結 合するサブュニッ ト又は変異型の該結合サブュニット及第 1の領域を含む第 1の 融合タンパク質をコードする遺伝子、 並びに
( 2— b)標的タンパク質候補及び第 2の領域を含む第 2の融合タンパク質をコード する遺伝子、 で形質転換して得られる
( 3 ) 第 1の融合タンパク質と第 2の融合タンパク質が結合すれば第 3の遺伝子 の発現を活性又は抑制することができる形質転換細胞用いて、 ュビキチンリガ一 ゼの標的タンパク質を同定する方法が含まれる。
ここで、 ュビキチンリガーゼとしては、 SCFュビキチンリガーゼ及び APC/Cュ ビキチンリガーゼなどが挙げられる。
また、 第 1の融合タンパク質中の第 1の領域及び第 2の融合タンパク質中の第
2の領域の組み合わせとしては、 第 1の融合タンパク質と第 2の融合タンパク質 が細胞内で結合するか否かを検出する既知の方法(以下既知の in vivo タンパ ク質相互作用検出方法という) において用いられる組み合わせを用いることがで き、 例えば、 (ィ) 転写因子の DNA結合領域及び転写因子の活性化領域、 具体的に は、 (口) 転写因子 Gal4の DNA結合領域及び転写因子 Gal4の活性化領域、 (ハ) 大腸菌転写因子 LexAの DNA結合領域と転写因子 B42の活性化領域 (二) Ga の
DNA結合領域及び V16の活性化領域、 が挙げられ、 更に、 (ホ) 転写因子の DNA結 合領域及ぴ転写因子の抑制化領域、 (へ) N- intein及び C- intein、 (ト) SOSタン パク質及び Myri stylation signal , 並びに (チ) カルモジュリン依存性アデ二 ルシクラーゼの T25フラグメント及ぴカルモジュリン依存性アデニルシクラーゼ の T17フラグメント、 が挙げられる。
より具体的には、 本発明の方法は、 例えば、 第 1の融合タンパク質と第 2の融 合タンパク質が細胞内で相互作用、 言い換えれば結合又は会合することにより第 3の遺伝子の発現を活性化又は抑制させ、 該第 3の遺伝子の活性化また抑制を検 出することにより、 第 1の融合タンパク質と第 2の融合タンパク質が細胞内で結 合するか否かを検出する既知の方法において、(I-a)前記第 1の融合タンパク質は、 F-boxモチーフを欠失した変異型 F-box タンパク質 A及び転写因子の DNA結合ド メイン (以下 DBと記載) を含む融合タンパク質であり、 及び(1- b)前記第 2の融 合タンパク質は、 F— boxの標的タンパク質 Bと転写因子の活性化ドメイン (以下 ADと記載) との融合タンパク質であり、 (c) 前記細胞は、 標的タンパク質の分解 が低下した細胞であって、 該細胞内で、 第 1の融合タンパク質の A領域と第 2の 融合タンパク質の B領域が結合することにより第 3の遺伝子の発現を活性又は抑 制することができる細胞であり、 該細胞を用いて SCFュビキチンリガーゼの標的 タンパク質同定する方法を包含している。
I.上記の既知 in vivo タンパク質相互作用検出方法としては、例えば以下の方 法が含まれる。
(ィ) 転写因子 Gal4の DNA結合領域と活性化領域を用いる two-hybrid法:第 1 の融合タンパク質遺伝子の BD領域が転写因子 Gal4の DNA結合領域であり、第 2の融合タンパク質の AD領域が転写因子 Gal 4の活性化領域であり、 第 3の遺伝 子がレポーター遺伝子であり、 当該転写因子が欠損した GAL4 ( -)株出芽酵母酵母 を用いる方法。 具体的には、 DNA結合領域が Gal4の DNA結合領域であり、 前記活 性化領域が Gal4の活性化領域であり、 変異株細胞が、 GAL4 (-)株出芽酵母である 方法。 (米国特許第 5283173号、 Fields S and Song 0. Nature 340 : 245-246 参 照。)
(口)大腸菌転写因子 LexAの DNA結合領域と転写因子 B42の活性化領域を用い
る two- hybri d法:第 1の融合タンパク質遺伝子の BD領域が大腸菌転写因子 LexA の DNA結合領域であり、第 2の融合タンパク質の AD領域が転写因子 B42の活性化 領域であり、 第 3の遺伝子がレポーター遺伝子であり、 特に転写因子を欠損しな い出芽酵母酵母を用いる方法。 (OriGene社 DupLEX- A Yeast 2-ハイブリ ッ ドシス テムキッ ト)
(ハ)哺乳類細胞 two- hybri d法:第 1の融合タンパク質遺伝子の BD領域が Gal4 の DNA結合領域であり、第 2の融合タンパク質の AD領域が V16の活性化領域、第 3の遺伝子がレポーター遺伝子であり、哺乳動物細胞 HeLaである方法。 (Clonetech 社 Matchmaker哺乳類細胞 2-ハイブリ ッドアッセィキッ ト)
(二) 転写因子抑制:第 1の融合タンパク質遺伝子の第 1の領域が転写因子の DNA結合領域であり、 第 2の融合タンパク質の第 2の領域が転写因子の抑制化領 域である方法。 (米国特許第 5885779号参照。)
(ホ) タンパク質トランスプライシング two hybrid法:第 1の融合タンパク質 遺伝子の第 1の領域に相当する領域が N- inteinであり、第 2の融合タンパク質の 第.2の領域が C- inteinである方法。 (米国特許第 6562576号参照。)
(へ) CytoTrap (TM) 法:前記第 1の融合タンパク質遺伝子の第 1の領域に相 当する領域が SOS タンパク質であり、 第 2 の融合タンパク質の第 2 の領域が Myri stylation signalで、 変異株細胞が、 c d c 2 5 H株である方法。
(ト) 酵素分子の 2領域を用いる方法:第 1の融合タンパク質の BD領域に相当 する領域が酵素の第 1の領域(又はフラグメント)あり、 第 2の融合タンパク質の
AD領域に相当する領域領域が酵素の第 2の領域(フラグメント)である、具体的に は、 前記酵素の第 1の領域がカルモジュリン依存性アデニルシクラーゼの T25フ ラグメントであり、 前記酵素の第 2の領域がカルモジュリン依存性アデ二ルシク ラーゼの T17フラグメン卜であり、 前記変異株がカルモジュリン依存性アデニル シクラーゼ欠損株細菌である方法。 (PR0NAS 95 : 5752-5756)
以下、 SCFュビキチンリガーゼの標的蛋白質同定法を中心に説明するが、 APC/C ュビキチンリガーゼの標的蛋白質を同定する方法も、 F- Box 蛋白質に代えて、
C - Box蛋白質 (たとえば、 Hct l,Cdc20) を用いて同様に行うことができる。 (図 1
0,参照。 )C- boxタンパク質は、 APC/Cュビキチンリガーゼと結合するのに必要な
C - box モチーフを持つタンパク質で、 APC/C ュビキチンリガーゼによるュビキチ ン化において、 標的タンパク質を結合するタンパク質である。
II.第 1の融合タンパク質をコードする遺伝子
第 1の融合タンパク質は、 F- box タンパク質又は変異型 F-boxタンパク質及第 1の領域を含んでいる。
II- 1. F-boxタンパク質
F-boxタンパク質としては、 SCFュビキチンリガーゼを構成する F- boxタンパク 質であれば、 いずれのタンパク質であっても本願発明に用いることができる。 具 体的には、 酵母であれば、 SCF ュビキチンリガーゼのサブュニッ トとして機能す ることが知られているものは、 Cdc4、 Met30、 Grrl、 YJL204C、 YJL149W、 Yし R097C、 YLR224W, YLR368W、 Y L088 , YDR131C、 YDR306C、 YNL311C、 Y0R080W、 Ctfl3 である。 (Proteins : Structure, function, and bioinf ormatics 5 4 : 4 5 5 - 4 6 7 )。 ヒ トであれば、 70種以上知られている。
II-2. F-boxモチーフを欠失した変異型 F- boxタンパク質をコードする変異型 F— box is子 :
F-box モチーフ と しては、 例えば、 ア ミ ノ酸 1 文字表記で表すと 、 配列で表 される F-box モチーフが挙げられる ( Trends in Genetics. 14 : 236-243 (1998)。 F- boxモチーフを欠失した変異型 F-box タンパク質とは、 上 記 F-Boxタンパク質において、 前記モチーフをすベて欠失させた変異、 又は Skpl と結合できなくなる程度、前記 F - b o Xモチーフのァミノ酸配列において 1以上 アミノ酸が、 好ましくは 1ないし数個のアミノ酸が、 欠失、 付加又は置換から選 ばれる少なく とも 1以上の変異したさせた変異型 F - Boxタンパク質があげられる (以下 F- boxモチーフを欠失した変異型 F - boxタンパク質と記載する)。
なお、 ( ) 内はアミノ酸配列中の同じ位置を意味する。 また、 アミノ酸一文字 表記では、 Lはロイシン、 Iはィソロイシン、 Vはノく リン、 Dはァスパラギン酸、 C はシスティン、 Kはリジン、 Rはアルギニン、 Wはトリプトファンを意味する。 X は任意のアミノ酸を意味する。 ただし、 指定されたアミノ酸と必ずしも同一であ る必要はない。
なお、 ここで必要な変異型 F-boxタンパク質については、 Skpl と結合できない ことが必要である。 したがって、 F- boxモチーフを欠失した変異型 F- boxタンパ ク質だけでなく、 Skpl と結合できなくなった変異型 F_boxタンパク質でも有効で あることはいうまでもない。
Π-3.第 1の融合タンパク質は、 F- boxタンパク質又は F-boxモチーフを欠失した 変異型 F- boxタンパク質及び上記第 1の領域から構成される。
ここで、 第 1の融合タンパク質は F-boxモチーフを欠失した変異型 F- boxタン パク質を含むことが好ましいが、 特に、 スク リーニングに使用する細胞力 S、 F - box タンパク質遺伝子の変異株を用いる場合には、 F_box モチーフを欠失した変異型 F - boxタンパク質を使用することが必須である。
また、 第 1の領域としては、 上記したように、 (ィ) 転写因子の DNA結合領域又 は転写因子の活性化領域、 具体的には、 (口) 転写因子 Gal4の DNA結合領域若 しくは転写因子 Gal4の活性化領域、 (ハ)大腸菌転写因子 LexAの DNA結合領域若 しくは転写因子 B42の活性化領域、 (二) Ga の DNA結合領域若しくは V16の活 性化領域、 が挙げられ、 更に、 (ホ) 転写因子の DNA結合領域若しくは転写因子の 抑制化領域、 (へ) N- intein 若しくは C- intein、 (ト) SOS タンパク質若しくは Myristylation signal, 並びに (チ) カルモジュリン依存性アデエルシクラーゼ の T25フラグメント若しくはカルモジュリン依存性アデ二ルシクラーゼの T17フ ラグメント、 が挙げられる。
III.第 2の融合タンパク質をコードする遺伝子
第 2の融合タンパク質は、 標的タンパク質候補及び第 2の領域を含む。
111-1.標的タンパク質及び標的タンパク質候補
ある F- boxを構成成分とする SCFュビキチンリガーゼによりュビキチン化され る標的タンパク質としての候補がすでにある場合は、 当該候補を用いることがで さる。
また、 標的タンパク質候補をコードする遺伝子としては、 ゲノムライブラリー あるいは cDNAライブラリーを用いることもできる。
III- 2 .第 2の融合タンパク質の第 2の領域としては、上記した第 2の領域が挙げ られる。 例えば、 (ィ) 転写因子の DNA結合領域又は転写因子の活性化領域、 具体
的には、 (口) 転写因子 Gal4の DNA結合領域若しくは転写因子 Gal4の活性化領 域、 (ハ) 大腸菌転写因子 LexAの DNA結合領域若しくは転写因子 B42の活性化領 域、(二) Gal4の DNA結合領域若しくは V16の活性化領域、が挙げられ、更に、 (ホ) 転写因子の DNA結合領域若しくは転写因子の抑制化領域、 (へ) N-intein若しく は C- intein、 (ト) SOSタンパク質若しくは Myristylation s ignal , 並びに (チ) カルモジュリン依存性アデニルシクラーゼの T25フラグメント若しくはカルモジ ュリン依存性アデニルシクラーゼの T17フラグメント、 で、 それぞれめ場合に第 1 の領域でないものが挙げられる。 それぞれの場合に第 1 の領域とは異なるもの とは、 上記(ィ)についていえば、 第 1の領域として 「転写因子の DNA結合領域」 を採用した場合には、 第 2の領域は 「転写因子の活性化領域」 となり、 逆に、 第 1の領域として 「転写因子の活性化領域」 を採用した場合には、 第 2の領域は 「転 写因子の DNA結合領域」 となる。 (口)から(チ)についても同様である。
IV.標的タンパク質の分解が低下した細胞
標的タンパク質が F_boxタンパク質と結合しても、 ( 1 )ュビキチン化されない 又は (2 ) ュビキチン化されてもタンパク質分解を受けないように変異された細 胞があげられる。
( 1 ) 細胞内の内在性の F_boxタンパク質により標的タンパク質がュビキチン化 されないようにする。
(ィ) F-box タンパク質の中で必須遺伝子でなければ、 細胞から欠失させること により、 若しくは必須の遺伝子であれば、 F- box タンパク質の発現を温度感受性 にする変異を起こさせることにより調製できる。
F- boxタンパク質遺伝子の中で必須遺伝子であるものは CDC4、 MET30、 CTF13の
3種類である。 これらの必須遺伝子の温度感受性変異株は、 分離した研究者より 分与を受けるか、 あるいは、 Kanemaki et al, Nature 423 (2993) 720- 724の方法 で温度感受性株を作製することが可能である。
また、 それ以外の F— boxタンパク質遺伝子の場合には、 これらの遺伝子の欠失 変異株を用いることができる。 この欠失変異株は、 例えば、 Longtine et al,
YeasU4, 953-961 (1998)に記載される方法など、常法で調整することができる。 あ るいは、 OPEN BI0SYSTEM社、 EUR0SCARFから購入することが可能である。
(口) SCFュビキチンリガーゼを構成する F- box タンパク質遺伝子以外の遺伝子 の温度感受性変異株 (例えば、 cdc34株、 cdc53株、 skpl株) を用いることも可 能である。 これらの変異株では標的タンパク質のュビキチン化活性が著しく低下 する。 これらの必須遺伝子の温度感受性変異株は、 上記と同様に、 分離した研究 者より分与を受ける力 あるレヽは、 Kanemaki et al, Nature 423 (2993) 720 - 724 の方法で温度感受性株を作製することが可能である。
( 2 ) ュビキチン化されても、 タンパク質分解を受けないように、 タンパク質分 解能が低下した変異株、 又はタンパク質分解阻害剤を与えられた細胞を用いるこ とができる。 具体的には、 プロテアソームの変異株、 あるいはタンパク質分解阻 害剤 MG132 (SIGMAなどから購入可能)を用いる。
V.以下に Two-hybrid法として、 大腸菌転写因子 LexAの DNA結合領域と転写因子 B42 の活性化領域を用いる two- hybrid法に基づいてまず説明するが、 本発明は、 これに限られるものではない。
V- 1.出芽酵母スクリーニング系による出芽酵母 SCFュビキチンリガーゼの標的タ ンパク質の同定
1 - 1 . F-box変異株酵母の調製
出芽酵母には F-boxタンパク質が 1 7種類存在する事が知られている。 このう ち、 SCF ュビキチンリガーゼのサブュニッ トとして機能することが知られている ものは、 Cdc4、 Met30、 Grrl、 YJL204C、 YJL149W、 YLR097C、 YLR224W、 YLR368W、 YML088W, YDR131 YDR306C、 YNL311C , Y0R080W、 Ctfl3 である。 (Proteins : Structure, function, and bioinformatics 5 4 : 4 5 5 - 4 6 7 )。
まず、これらの F— Boxの変異株については以下の方法で作製することが可能で ある。
上記 F-boxタンパク質の中で必須遺伝子であるものは Cdc4、 Met30、 Ctfl3の 3 種類である。 これらの必須遺伝子の温度感受性変異株は、 分離した研究者より分 与を受ける力 あるいは、 Kanemaki et al, Nature 423 (2993) 720-724の方法で 温度感受性株を作製することが可能である。
また、それ以外の F— box遺伝子の場合には、 これらの遺伝子の欠失変異株を用 い る こ と ができ る。 こ の欠失変異株は、 例えば、 Longtine et al,
Yeast , 953-961 (1998)に記載される方法など、常法で調整することができる。 あ るいは、 OPEN BI0SYSTEM社、 EUR0SCARFから購入することが可能である。
1— 2 . F- boxモチーフに変異を導入した変異型 F_boxタンパク質をコ一ドする遺 伝子
F - boxモチーフに変異を導入した変異型 F- box タンパク質に関しては、例えば、 F-box モチーフに相当する部分の遺伝子領域内を、 遺伝子組み換え技術により欠 失 さ せ れ ば よ い 。 具 体 的 に は 、 F- box モ チ ー フ で あ る 列を欠失させた配列、具体的には、出芽酵母の F- boxタンパク質の一つである Cdc4 の場合では、 配列番号 1の配列において 282アミノ酸残基から 320ァミノ酸残基 までを欠失させた配列を用いることができる。 あるいは、 Skpl と結合できなくな つた変異型 F- boxタンパク質が知られている場合にはこの変異型 F-boxタンパク 質を用いることもできる。
( 1— 1 ) と ( 1— 2 ) を組み合わせてスク リーニングを行えば、 Cdc4の標的 タンパク質の場合と同様に、 それぞれの F- boxが結合する標的タンパク質を同定 することが可能である。
1— 3 . 酵母ライブラリーの調製
出芽酵母のゲノムライブラリー、 cDNAライブラリーを、 pJG4-5等の発現べクタ 一にクローン化して調製することができる。
1 - 4 . 酵母 two hybridハイブリッド系の調製
1—4 - 1 . 第 1の融合蛋白質 · Baitの調製
LexAの DNA結合ドメインを組み込んだ発現ベクターに変異型 F— box遺伝子を 組み替え LexA の DNA結合ドメインと変異型 F— boxを融合させたタンパク質を発 現することができるベクターを調製する。発現ベクターとしては、例えば、 pGi lda などを用いることができる。
1— 4— 2 . 第 2の融合タンパク質 ' ライブラリーの調製
B42 の転写活性化ドメインを組み込んだ発現ベクターに酵母遺伝子ライブラリ 一中の遺伝子を組み替え B42の転写活性化ドメインと種種の試験対象タンパク質 を融合させたタンパク質を発現することができるベクターライブラリーを調製す
る。 発現ベクターとしては、 pJG4 - 5などを用いることができる。
1 - 4 - 3 . bait とベクターライブラリーの酵母変異株への導入
F - boxタンパク質遺伝子の変異株に、 baitとベクターライブラリ一及びレポ一 ター遺伝子を導入する。 周知の酵母へのベクター導入方法を利用することができ るが、 例えば、 Gietz RD, SchiestlRH Methods Mol. Cell Biol 5 : 255-269 (1995) に記載の方法を用いることができる。
1— 5 .標的タンパク質の同定
陽性株のスクリーニング工程と false positiveを排除する工程からなる。
1一 5— 1 .スク リ一二ング
F- box欠失変異株をバイ トとライブラリーで形質転換し、得られた菌株 をコロ ニー形成させる。 X-galの含まれる合成培地を用いてレポーター遺伝子 LacZを発 現させ、 その結果、 青くなつたコロニーをピックアップする。
1― 5— 2 .選抜されたプラスミ ドの精製
常法に従って、 プラスミ ドを分離し大腸菌 KC8株を形質転換し、 出てきたコロ ニーからプラスミ ドを抽出精製する。
1 - 5 - 3 .再現性の確認
必要に応じ再現性を確認する。 得られたクローンを再び bait、 レポーター遺伝 子とともに F- box変異株に導入し、 同様の要領でフィルターアツセィを行う。 再 現性のないものは排除する。
1一 5— 4 .擬陽性の排除
更に必要に応じ、 擬陽性を次のように排除することができる。
F-boxタンパク質は F- boxモチーフ以外に WD (ト リプトフアンーァスパラギン 酸) 40 リピートあるいは LRR (Leucine rich repeat) などの、 標的タンパク質を 結合するモチーフを持っている。 例えば、 Cdc4の場合には WD40を持つ。 また、 另' Uの F- boxタンパク質 Met30も Cdc4と類似の WD40を持つが、 Cdc4 と Met30は別 の標的タンパク質の結合に関与する。 そこで、 Cdc4の WDと Met30の WDを置き換 え た キ メ ラ 分 子 Cdc4- dF - Met30-WD を pGi lda に ク ロ ー ン 化す る
(pGi lda- Cdc4- dF-Met30 - WD)。 Cdc4の標的タンパク質をスクリーニングする場合 では、 PGi lda-Cdc4-dF のかわりに pGi lda- Cdc4-dF-Met30-WD を導入した上記
F - box欠失変異株酵母に、 (1 ) で分離したプラスミ ドを導入し、 フィルターアツ セィを行い、 青くならないものを選択する。
Met30以外の F-box タンパク質の標的タンパク質結合領域を用いることが可能 であることはいうまでもない。
Cdc4以外の F-boxタンパク質の場合には、該 F- boxタ ^パク質の標的タンパク 質結合領域が WD40の場合には、該 F-boxタンパク質以外の F-boxタンパク質で標 的タンパク質結合領域が WD40である F- boxタンパク質の WD40を用いることがで きる。 また、 該 F- boxタンパク質の標的タンパク質結合領域が LRRの場合には、 該 F_boxタンパク質以外の F-boxタンパク質で標的タンパク質結合領域が LRRで ある F- boxタンパク質の LRRを用いることができる。
1 - 5— 5 .標的タンパク質の塩基配列
pos itive なシグナルを出すクローンを標的タンパク質をコードするクローン として同定し、 塩基配列を決定する。
1一 6 .ュビキチン化及びタンパク質分解の確認
同定された標的タンパク質が、 実際にュビキチン化され、 分解されているかど うかについても、 必要に応じ検定することができる。
1— 6— 1 .ュビキチン化による標的タンパク質の分解の確認 ( 1 )
決定された標的タンパク質をコードする遺伝子の開始コ ドンから終止コドンの 直前までを PCR法により増幅する。増幅した DNA断片と LacZ遺伝子とを融合する。 できたプラスミ ドを F-box変異株、 及び野生株に導入する。 もし該タンパク質が 特定の F- box に依存してュビキチン化/分解されるのであれば、 該タンパク質と LacZの融合タンパク質も、 野生株では分解されるが、 F-box変異株では安定化さ れる。 そこで、 コロニーを X- gal含有合成培地でフィルターアツセィを行い、 陽 性 (青色) クローンを残す。
1 - 6一 2 .ュビキチン化による標的タンパク質の分解の確認 (2)
同定された標的タンパク質が本当に SCFュビキチンリガ一ゼに依存して分解さ れるのかをタンパク質レベルで半減期を比較することにより調べることができる。 タンパク質量については、 Western blottingを行うことにより調べる。 用いる 抗体としては、 すでに標的タンパク質の候補タンパク質の抗体がある場合には、
その抗体を用いてタンパク質を検出する。 もし、 抗体がない場合には、 組み換え
DNA の技術を用いて、 短いアミノ酸配列 (ェピトープタグ) を標的タンパク質の 候補タンパク質と融合し、 ェピトープ特異的抗体を用いて融合タンパク質を検出 する。 ェピトープタグとしては、 インフルエンザへマグルチニンタンパク質由来 の 9アミノ酸からなるペプチド (以下 HAと記載)、 あるいは、 ヒ ト C- mycタンパ ク質由来の 9E10ェピトープなどを用いる。 ここでは、ェピトープ特異的抗体を用 いる場合を例にして説明する。
標的タンパク質とェピトープの融合タンパク質を、 出芽酵母野生株及び出芽酵 母 F- boxタンパク質遺伝子の変異株で発現させる。 ここで、 タンパク質合成阻害 剤 cychloheximide (SIGMAかち購入) を終濃度 50 μ g/ml加えることにより、 融 合タンパク質の発現を停止させ、 その直後から例えば 15分間隔で細胞を回収し、 タンパク質抽出液を作製する。 タンパク質抽出液の作製は、 例えば、 Yeong FM et al. Mol. Cell 5: 501-511 (2000)に記載の方法などを用いる。次に、 Western Blotting を行い、 ェピトープ特異的抗体を用いて融合タンパク質の量を調べる。 もし、 調 ベているタンパク質が標的タンパク質ならば、 野生株では不安定であり半減期が 短いが、 変異株では安定化され半減期が長くなるはずである。 この条件を満たす ものを標的タンパク質として再確認できる。
V-2. 出芽酵母スクリーニング系によるヒ ト SCFュビキチンリガーゼの標的タン パク質の同定
酵母の場合と同様に、 ヒ トなど哺乳類の SCFュビキチンリガーゼの標的タンパ ク質の同定することができる。
今のところ、 酵母の F- boxタンパク質とヒ トの F- boxタンパク質とで、 機能的 な対応についてわかっていない。 そこで、 標的タンパク質の分解が低下した変異 細胞として、 SCFュビキチンリガーゼを構成する F - boxタンパク質遺伝子以外の 遺伝子の温度感受性変異株 (例えば、 cdc34株、 cdc53株、 skpl株) を用いるこ とができる。 あるいは、 ュビキチン化されたタンパク質の分解を行うプロテアソ ームの変異株 (温度感受性 prel- 1変異株) を用いること、 あるいは、 タンパク質 分解阻害剤であるプロテアソームインヒビター例えば MG132 (SIGMA から購入可 能)などで処理した細胞を用いることができる。 プロテアソームの阻害剤 MG132
(SIGMA) を用いる場合には、 さらに、 erg6変異株 (膜脂質合成酵素の変異株で、 プロテアソームの阻害剤 MG132を含む薬剤の膜透過活性があがった変異株) を用 いることができる。
第 1の融合タンパク質をコードする遺伝子としては、 ヒ ト F - boxタンパク質あ るいは F- boxモチーフを欠失したヒ ト F- boxタンパク質及び第 1の領域からなる 融合タンパク質をコードする遺伝子を用いることができる。
第 2の融合タンパク質をコードする遺伝子としては、 ヒ ト標的タンパク質の候 補及び第 2の領域からなる融合タンパク質をコードする遺伝子を用いることがで さる。
V- 3 . 出芽酵母スクリーニング系による APC/Cュビキチンリガーゼの標的タンパ ク質の同定
SCFュビキチンリガーゼの場合と同様に、 APC/Cュビキチンリガーゼの標的タン パク質の同定することができる。
標的タンパク質の分解が低下した変異として、 APC/C ュビキチンリガーゼを構 成するサブュニッ トの遺伝子の温度感受性変異株あるいは欠失変異株を用いるこ とができる。 あるいは、 ュビキチン化されたタンパク質の分解を行うプロテアソ ームの変異株 (例えば温度感受性 prel - 1変異株など) を用いること、 あるいは、 プロテアソームインヒビター例えば MG132 (SIGMA から購入可能)などで処理した 細胞を用いることができる。
プロテアソームの阻害剤 MG132 (SIGMA) を用いる場合には、 さらに、 erg6変異 株 (膜脂質合成酵素の変異株で、 プロテアソームの阻害剤 MG132を含む薬剤の膜 透過活性があがった変異株) を用いることができる。
第 1の融合タンパク質をコードする遺伝子としては、 C - Box として Cdc20又は Hctl (あるいはこれらのヒ トホモログ) 若しくはこれらの変異体及び第 1の領域 からなる融合タンパク質をコードする遺伝子を用いることができる。 上記変異体 としては、 C- Boxモチーフを欠失した遺伝子、 たとえば、 Hctlの C- boxモチーフ を含む領域を欠損させた変異体を用いることができる。
C- boxモチーフとしては、 例えば、 アミノ酸 1文字表記で表すと、 DR (F/Y) IPXR と言う配列で表される C - boxモチーフが挙げられる (The EMBO Journal Vol. 20,
No. 18, pp. 5165- 5175)。C-boxモチーフを欠失した変異型 F_box タンパク質とは、 上記 C- Box タンパク質において、 前記モチーフをすベて欠失させた変異、 又は APC/Cと結合できなくなる程度、 前記 C_ b o Xモチーフのァミノ酸配列において 1 以上アミノ酸が、 好ましくは 1ないし数個のアミノ酸が、 欠失、 付加又は置換 から選ばれる少なく とも 1以上の変異したさせた変異型 C - Boxタンパク質があげ られる (以下 C- boxモチーフを欠失した変異型 C- boxタンパク質と記載する)。 なお、 ここで必要な変異型 C- box タンパク質については、 APC/C と結合できな いことが必要である。 したがって、 C- boxモチーフを欠失した変異型 C-box タン パク質だけでなく、 APC/C と結合できなくなった変異型 C- boxタンパク質でも有 効であることはいうまでもない。 第 2の融合タンパク質をコードする遺伝子としては、 標的タンパク質候補及び 第 2の領域からなる融合タンパク質をコードする遺伝子を用いることができる。 VI . その他のスクリ一ユング系を利用した SCFュビキチンリガーゼの標的タンパ ク質の同定方法
VI- 1 . SOS/Ras システム
two-hybridシステムにおいて、 bait (餌) タンパク質はヒ ト SOSタンパク質と の融合タンパク質として、 標的タンパク質はミリスチル化シグナルとの融合タン パク質として cdc25H変異株酵母内で発現させるシステムで、 bait タンパク質と 標的タンパク質が結合した場合に、 SOSタンパク質が膜状にある Rasを活性化し、 37度での生存ができるというものである。
本システムにおいても、 cdc25H変異株酵母にさらに、 常法により F - box変異さ せた F- box/cdc25H 変異株酵母を調製し、 これに、 F-box モチーフを欠失させた F-box タンパク質を融合したヒ ト SOS タンパク質と、 標的タンパク質を含むライ ブラリーと融合したミ リスチル化シグナルとの融合タンパク質をコードする遺伝 子で形質転換することにより、 標的タンパク質をスクリ一二ングすることができ る。
VI- 2 . ほ乳類 Two - Hybri d法を利用する方法
ほ乳類 Two-Hybrid法を利用する。
two- hybri dシステムにおいて、 bai t (餌) タンパク質は酵母 Gal4の DBとの融 合タンパク質として、標的タンパク質は V16の ADとの融合タンパク質として HeLa 細胞で発現させるシステムで、 baitタンパク質と標的タンパク質が結合した場合 に、 レポーター遺伝子 SEAPの発現が観察されるというものである。
本システムにおいても、 Gal4の DB と F-boxモチーフを欠失させた F-boxタン パク質を融合したタンパク質と、 標的タンパク質を含むライブラリーと融合した V16の ADとの融合タンパク質をコードする遺伝子で形質転換することにより、標 的タンパク質をスクリーニングすることができる。 この場合、 ヒ トなど哺乳類の SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質の同定に用いることが可能である。 今のところ、 酵母の F - boxタンパク質とヒ トの F-boxタンパク質とで、 機能的 な対応についてわかっていない。 そこで、 細胞の、 標的タンパク質の分解能を低 下させる手段として、 プロテアソームインヒビターを用いることができる。 ある レ、は、 siRNAの手法を用いて、 SCFュビキチンリガーゼあるいはプロテアソームの 活性を低下させた細胞を用いることも可能である(例えば Watanabe N et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 101 : 4419—4424 (2004) )。
このほ乳類 Two-Hybrid法を利用する方法は、例えば V- 2の酵母を用いたヒ ト標 的タンパク質スクリーニングにおいて明らかにした標的タンパク質と、 当該ヒ ト F- boxタンパク質の結合を、 ヒ ト HeLa細胞で検証することにも用いることができ る。
あるいは、 ヒ ト SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質であることがわかつ ているが、 それに対応する F - boxタンパク質が明らかでない場合にも用いること ができる。 この場合、 ヒ ト F-boxタンパク質遺伝子のライブラリーと Gal4の DB との融合タンパク質遺伝子、及び標的タンパク質と V16の ΑΌとの融合タンパク質 をコードする遺伝子で HeLa細胞を形質転換し、プロテアソームインヒビターの存 在化でレポーター遺伝子 SEAPの発現を調べることができる。もちろん、ヒ ト F-box タンパク質遺伝子のライブラリーと V16の ADとの融合タンパク質遺伝子、 及び、 標的タンパク質と Gal4の DBとの融合タンパク質をコードする遺伝子を用いても 同様に実験できることはいうまでもなレ、。
SCFュビキチンリガーゼの場合と同様に、 APC/Cュビキチンリガーゼの標的タン
パク質の同定することができる。
以下に実施例を用いて、 より具体的に本願発明を説明するが、 本願発明が実施 例に限定されるものではないことは言うまでもない。
[実施例]
以下の実施例、 参考例で使用した出芽酵母菌株は次のとおりである。 野生株 W303株 (ATCC200903など)
TK-505 (Mat a cdc4 - 1 sicl )
cdc4- 1株は ATCC (200625、 208543、 208544)から購入することが可能である。 ま た必要に応じて野生株と掛け合わせて使用する。
s icl変異は、 Longtine et al, Yeastl4, 953- 961 (1998)の方法で導入した。 なお、 このスクリーニングにおいては、 sicl変異が導入されている必要は全く ない。
TK-542 (Mat a hctl)
hctl変異は、 Longtine et al, YeastH, 953- 961 (1998)の方法で W303株に導 入した。
以下の実施例、 参考例で使用するプラスミ ドは次のとおりである。
pGi lda- Cdc4:市販されている pGi lda (OriGene社)に CDC4全長を PCRで増幅後 に BamHISall で切断後クローン化した。錶型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、
Invitrogen より購入した。 プライマーは、 ATGGATCCCGATGGGGTCGTTTCCCTTAGC と
CGGTCGACCAAAGACGTTATTAGGTCCCTCを用いた。
pGi lda-Cdc4-dF: F- boxモチーフ (CDC4のアミノ酸残基 281- 320) を欠失した
Cdc4- dFを、 pGi ldaにクローン化した。 具体的には、 PCRでじ0じ4のァミノ酸残 基 1-281 を増幅後、 BamHI EcoRI で切断した。 銹型として用いた出芽酵母染色体
DNA は 、 Invitrogen よ り 購 入 し た 。 プ ラ イ マ ー は 、
ATGGATCCCGATGGGGTCGTTTCCCTTAGCと CAGAATTCCAAAGACGTTATTAGGTCCCTCを用いた。
また、 CDC 4のアミノ酸残基 321番から C末端までをコードする DNA配列を PCR で增幅した後、 EcoRI Sai lで切断した。铸型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、 Invitrogenより購入した。 プライマーは、 CGGAATTCATATCGGAAAATTTTGTGAGCCCと CGGTCGACCAAAGACGTTATTAGGTCCCTを用いた。 これら二つの DNA断片を、 BamHI Sai l で切断した pGi ldaにクローン化した。
pGi lda-Cdc4-dF-Met30WD: Cdc4の 1-281 番のァミノ酸残基までと、 Met30の 228番から C末端までを融合して作製した Cdc4 - dF- Met30WDを pGi ldaにクローン ィ匕した。 Cdc4の 1-281番のアミノ酸残基までをコードする DNA配列を PCRで增幅 した。 錶型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、 Invitrogenより購入した。 ブラ ィマーは、 ATGGATCCCGATGGGGTCGTTTCCCTTAGCと ACGCGGCCGCTCAAAGACGTTATTAGGTCC を用いた。 また、 Met30の 228番から C末端までをコードする DNA配列は、 PCR で増幅した。鎵型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、 Invitrogenより購入した。 プ ラ イ マ ー は , AAGCGGCCGCTGCGAGCAGCACATAGACAG と AGTCGACCTAATCATTGAGATCGAATTTGを用いた。
PJG4-5-ASC-SIC1 : PCRで増幅した出芽酵母 SIC1全長を pJG4- 5に EcoRI Notl で切断後クロ一ン化した。 鎳型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、 Invitrogen よ り 購 入 し た 。 プ ラ イ マ ー は , AAGAATTCGGCGCGCCAATGACTCCTTCCA と TTGCGGCCGCATGCTCTTGATCCCTAGATTを用レヽた。
出芽酵母ライブラリー : 出芽酵母の全 0RF (0pen reading frame)を含むライ ブラリー(Ito et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 97 : 1143— 1147 (2001) )のライブラ リー部分を制限酵素 (Ascl Notl) で切断し、 pJG4- 5- ASC-SIC1 の SIC1部分と置 き換えた。
pSH18-34 (レポーター遺伝子 LacZを持つプラスミ ド: OriGene社)
pURA3-Gal lp-HA: pYES2 (Invitrogen) の GALlpromoterから CYC1 terminator までを PCR で増幅 (用いたプライマーは、 AATCTAGACGGATTAGAAGCCGCCGAG と
AATCTAGAGGCCGCAAATTAAAGCCTTCである) し、 YCplac33 (Gene, 74 (1998) 527-534、 なお、出芽酵母のプラスミ ドで URA3をマーカーとして持つものであれば基本的に 代用可能で、 例えば ATCCから購入可能な pRS306等を用いることもできる。) の
PvuI I部位にクローン化し(これを YC33Gとした)、次に、この Notl Sphl部位に、
PFA5a-3HA-kanMX (Longt ine et al, Yeastl4, 953-961 (1998) ) を鋅型として HA ェピトープを含む領域を PCRで増幅した DNA断片をクローン化した (用いたプラ イ マ 一 は 、 CAAAATGTCTGCGGCCGCCATCTTTTACCCATACGAT と AAGCATGCGGCGCGCCTCAGCACTGAGCである)。 なお、 HAェピトープとの融合タンパク 質発現用の出芽酵母プラスミ ドであればどれでも代用可能である。
PURA3- SICl-LacZ: まず、 大腸菌 LacZ遺伝子を PCRで増幅後 (用いたプライマ 一 は 、 TAGCGGCCGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTG と
CCGCATGCTTATTTTTGACACCAGACCAACTGGである)、 Notl Sphl で pURA3- Gal lp- HA の HAをコードする領域と置き換えた。
pGi lda-HCTl : 市販されている pGi lda (OriGene社)に HCT1全長を PCRで増幅 後に BamHISal l で切断後クローン化した。 錄型として用いた出芽酵母染色体 DNA は、 Invitrogenより購入した。 プライマーは、 CCGGATCCCGATGTCCACAAACCTGAACCC と CCGTCGACCTAACGTATTTGATTAAATGを用いた。
pGi lda-Hctl-dC: C-boxモチーフを含む N末端領域を欠失した Hctl-dCを、 pGi ldaにクローン化した。具体的には、 PCRで HCT1のアミノ酸残基 99- 566を増 幅後、 BamHI EcoRI で切断した。 鎵型として用いた出芽酵母染色体 DNA は、 Invitrogen より購入した。 プライマーは、 CCGAATTCGCACATGAAACTTATAATAC と CCGTCGACCTAACGTATTTGATTAAATGを用いた。
PJG4-5-ASC-CLB2 ; PCRで増幅した出芽酵母 CLB2全長を pJG4_5に Ascl Notl で切断後クローン化した。 铸型として用いた出芽酵母染色体 DNAは、 Invitrogen よ り 購入 し た 。 プ ラ イ マ ー は , AAGGCGCGCCGATGTCCAACCCAATAGAAAT と GAGCGGCCGCTCATTCATGCAAGGTCATTAを用いた。
参考例 1
Siclは F_boxとして Cdc4を持つ SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質で あることがわかっているタンパク質である。 そこで、 two- hybrid システムで、
F-boxタンパク質として Cdc4をもちいて baitを調製し、 SiCl との結合を検出で
きるか検討した。 Two-hybridシステム(OriGene社から購入した DupLEX- A Yeast 2- ハイプリ ッ ドシステムキッ トを使用 (I- (口) に記載) : (大腸菌転写因子 LexA の DNA 結合領域と転写因子 B42 の活性化領域を用いる two-hybrid 法) を、 pGi lda- Cdc4及び PJG4-5- ASC-SIC1で常法により形質転換した。 (図 1)。 このよう にュビキチン化の標的タンパク質の同定を行う場合には、通常の Two- hybridシス テムでは不可能である。 実施例 1
TK-505あるいは野生株を以下のプラスミ ドで形質転換し、得られたコロニーを メンブレン (hybond- N Araersham:直径 88 mm) に移す。 X- galを含み、 炭素源と してラフィノースとガラク トースを含む合成培地 (寒天培地) の上にのせ、 許容 温度 3 0 °Cあるいは非許容温度 3 7 °Cで 1 2 hr培養した (以下フィルターアツセ ィとする)。
レポーター遺伝子 LacZを発現させ、 その結果、 コロニーが青くなるか調べた。
(i) 野生株を pSH18- 34、 pJG4-5-ASC-SIC 及び pGi lda_Cdc4で形質転換し、 許容温度 3 0でで 24時間培養した。
(i i ) 野生株を pSH18-34、 pJG4-5-ASC-SICK 及び pGi lda-Cdc4-dFで形質転換 し、 許容温度 3 0でで 24時間培養した。
(i i i) TK- 505 を pSH18- 34、 pJG4- 5-ASC- SIC1、 及び pGi lda- Cdc4-dFで形質転換 し、 許容温度で 12時間培養後、 非許容温度 3 7度で 1 2時間培養した。
(iv) TK-505 を pSH18- 34、 pJG4- 5- ASC-SIC1、 及び pGi lda_Cdc4- dFで形質転換 し、 許容温度 3 0でで 24時間培養した。
結果をそれぞれ、 図 3に示す。
(i i i)のみ、 POSITIVEなシグナルが得られた。
したがって、 上記標的タンパク質の分解が低下した変異株を用いてスクリー二 ングを行うこと (温度感受性変異株あるいは欠失変異株)、 及び、 完全長の F- box タンパク質ではなく、 F- boxモチーフを欠失した変異型 F-box タンパク質を bait として用いる (図 2参照) ことという条件を同時に満たすことにより、 標的タン パク質のスクリ一二ングが可能となることが判明した。
実施例 2
SCFュビキチンリガーゼの標的タンパク質のスクリ一二ング
出芽酵母ライブラリ一を用いてスクリーニングを行った。
具体的には、
( 1) 開発した実験系を用いたスクリーニングと、 (2) 非特異的な相互作用を与 えるクローンの除去及び標的タンパク質であることの確認からなる。 (2) は、 F- boxタンパク質の結合特異性を利用した方法 (2-1) と、 標的タンパク質の安 定化を利用する方法 (2-2) とタンパク質の半減期を測定して、 SCFュビキチン リガーゼの標的タンパク質であることを証明する (2-3)、 という 3段階を用い た。
(1) 開発した実験系を用いたスク リーニング
予め、 TK505株を pGilda- Cdc4-dFと pSH18- 34 の二つで形質転換しておく。 得 られた菌株 (TK505 / pGilda- Cdc4 - dF + pSH18- 34) に、 出芽酵母ライブラリーを 導入した (常法に従う)。
コロニーをメンブレン (hybond-N Amersham:直径 88 mm) に移し、 X - galを含 み炭素源としてラフィノースとガラク トースを含む合成培地 (寒天培地) 上にの せ、 許容温度 30°C 12時間保温した後に、 非許容温度 37°C 12時間保温 (以下フ ィルターアツセィとする) した。
レポーター遺伝子 LacZを発現し、 その結果、 青くなったコロニーを培養し、 常 法に従って、 プラスミ ドを分離し大腸菌 KC8株 (Clonetech より購入した) を形 質転換し、 出てきたコロニーからプラスミ ドを抽出精製した。
再現性を確認するために、 得られたクローンを再び TK505 I pGilda -Cdc4-dF + pSH18- 34に導入し、 同様の要領でフィルターアツセィを行った。 結果、 再現性の ないものは廃棄した。
(2) 非特異的な相互作用を与えるクローンの除去及び標的タンパク質であるこ との確認
(2-1 ) 結合の特異性を利用する方法
F-boxタンパク質は F- boxモチーフ以外に WD (トリプトフアンーァスパラギン酸)
40 リピートあるいは LRR (Leucine rich repeat) などの、 標的タンパク質を結合 するモチーフを持っている。 Cdc4の場合には WD40を持つ。 また、 別の F- boxタ ンパク質 Met30も Cdc4と類似の WD40を持つが、 Cdc4 と Met30は別の標的タンパ ク質の結合に関与する。 そこで、 Cdc4の WDと Met30の WDを置き換えたキメラ分 子 Cdc4- dF-Met30 - WDを pGi ldaにクローン化した(pLexA- Cdc4-dF- Met30- TO : Cdc4 の 1-281番のアミノ酸残基と Met30の 228番から 640番 (C末端まで) を持つ)。 そこで、 実施例 1の pGi lda-Cdc4 - dF のかわりに pGilda- Cdc4- dF_Met30- WDを 導入した株に、( 1 )で分離したプラスミ ドを導入し、フィルターアツセィを行い、 青くならないものを選択した。 SIC1 の場合の結果を図 4に示す。 ここまでで posit iveなシグナルを与えるクローンの塩基配列を決定する。
( 2 _ 2 )標的タンパク質の安定化を利用する標的タンパク質であることの確認方 法
標的タンパク質の候補遺伝子の開始コドンから終止コ ドンの直前までを PCR法 により増幅し、 増幅された DNA断片と、 pUra3- SICl-LacZの SIC1の部分とを置き 換え、 LacZとの融合タンパク質遺伝子発現用のプラスミ ドを作製した。 できたプ ラスミ ドを cdc4変異株、 及び野生株に導入した。 調べているタンパク質が Cdc4 に依存してュビキチン化/分解されるのであれば、 LacZ と該タンパク質の融合タ ンパク質は、 野生株では不安定である。 一方、 cdc4変異株(TK505株)においては 該タンパク質が安定化されるため融合タンパク質も安定化されるはずである。 そこで、 コロニーをフィルターに移し、 これを X-galを含み炭素源としてラフ ィノースとガラク トースを含む合成培地 (寒天培地) 上におきフィルターアツセ ィを行う。 ここで青くなるクローンを残す。 図 5に SIC1の場合の結果を示した。
( 2 - 3 ) タンパク質の半減期を測定して、 SCFュビキチンリガーゼの標的タンパ ク質であることの確認
これまでの過程で得た 0RFがコードするタンパク質が本当に Cdc4に依存して分 解されるのかをタンパク質レベルで半減期を比較することにより調べる。 標的タ ンパク質の候補遺伝子の開始コ ドンから終止コドンの直前までを PCRで増幅し、 pURA3- Gal lp- HAにクローン化した。 このプラスミ ドを用いて、 出芽酵母野生株及 び cdc4変異株(TK505株)を形質転換した。
形質転換体をラフイノースを炭素源とする培地で培養後、 細胞数が 1-2 X 107 細胞程度まで培養した。 ここで、 ガラク トースを終濃度 2%となるように加え、 0RF-HAがコードする融合タンパク質を生産させた。 ガラク トースを加えてから 1 時間後に、 タンパク質合成阻害剤 cychloheximide (SIGMAから購入) を終濃度 50 g/ml加え、 融合タンパク質の発現を停止させた。 その直後から 15分間隔で細 胞を回収し、 Yeong FM et al. Mol. Cel l 5 : 501- 511 (2000)に記載の方法で、 タンパ ク質抽出液を作製した。 次に、 Western Blotting を行い、 anti- HA (12CA5)抗体 (Roche より購入) を用いて融合タンパク質の量を調べた。 野生株では不安定で あるが、 変異株では安定化されたものを標的タンパク質とした。
本スクリ一二ングで同定した標的タンパク質の場合の一例を図 6に示す。 これ までに本実験で明らかにした SCFュビキチンリガーゼの新規標的タンパク質は細 胞周期制御因子の転写因子である Swi5と、カルシウムシグナリングの制御因子で あるカルシニューリンの活性を調節する Rcnlである。 実施例 3
実施例 2で明らかにした標的タンパク質の一つは、ヒ トにホモログが存在する。 そこで、 このヒ トホモログをュビキチン化するのに必要な F-boxタンパク質をス ク リ一ユングすることができる。 これまでに完全長配列が知られているヒ ト
F-box タ ン ノヽ0 ク 質 の cDNA の う ち 、 7 種 類 ( FBW1, FBW1B, FBW2, FBW3, FBW5, FBW7, SKP2 : Watanabe N. et al. PNAS 101 : 4419 - 4424 (2004) : これらの遺伝子は Invitrogen社から購入することが可能 である) を PCRで増幅し、 Ascl Notlで切断後に、 pGi ldaにクローン化した。 次に、 実施例 2.で明らかにした標的タンパク質のヒ トホモログを PCRで増幅後 に pJG4- 5にクローン化した。 これとレポーター遺伝子 pSH18-34とで、 prel- 1株 を形質転換した。 prel-1株はプロテアソームを構成するプロテアーゼ遺伝子の変 異株である (Heinemeyer et al. EMB0 J. 10: 555-562 (1991)。
得られた形質転換体に、 上記で作製した pGi ldaにクローン化された F-box タ ンパク質を導入した。
実施例 1 と同様なフィルターアツセィを行った。予め許容温度で 12時間培養後、
3 7 °C (非許容温度) で 2 4時間培養した。 その結果、 青いシグナルを出すもの が 1種あった。 これは出芽酵母 Cdc4 とよく似た構造をしており、 Cdc4のヒ トホ モログと考えられているものであった。 実施例 4
prel- 1株 (プロテアソームの温度感受性変異株) あるいは野生株を以下のプラ スミ ドで形質転換し、 得られたコロニーをメンブレン (hybond- N Amersham:直径 88 mm) に移す。 X - galを含み、 炭素源としてラフィノースとガラク トースを含む 合成培地 (寒天培地) の上にのせ、 許容温度 3 0 °Cあるいは非許容温度 3 7でで 1 2 hr培養した (以下フィルターアツセィとする)。
レポーター遺伝子 LacZを発現させ、 その結果、 コロニーが青くなるか調べた。
( i) 野生株を pSH18- 34、 pJG4- 5- ASC- SIC1、 及び pGi lda_Cdc4で形質転換し、 許容温度 3 0でで 24時間培養した。
( i i) prel- 1株を pSH18- 34、 pJG4- 5- ASC- SIC1、 及び pGi lda- Cdc4で形質転換 し、 許容温度で 12時間培養後、 非許容温度 3 7度で 1 2時間培養した。
(i i i) prel- 1株を pSH18- 34、 pJG4- 5- ASC- SIC1、 及び pGi lda- Cdc4で开質転換 し、 許容温度 3 0でで 24時間培養した。
結果をそれぞれ、 (図 7 )に示す。
(i i)のみ、 POSITIVEなシグナルが得られた。
したがって、プロテアソ一ムの温度感受性変異株を用いた標的タンパク質のスク リ一二ングが可能であることが判明した。
なお、 本実施例 4では、 Cdc 4に代えて Cdc4- dFを用いることもできる。
また、 Cdc 4とは異なる F- boxタンパク質 Grrl とその標的タンパク質 Cln2の結合 も、 この方法で検出することに成功したので、 他の F- boxにも (プロテアソーム の温度感受性変異株) を利用する方法を適用できることが分かった。 参考例 2
Clb2は C- box として Hct l を持つ APC/Cュビキチンリガーゼの標的タンパク質
であることがわかっているタンパク質である。 そこで、 two- hybrid システムで、 C-boxタンパク質として Hctlをもちいて baitを調製し、 Clb2 との結合を検出で きるか検討した。 Two- hybridシステム(OriGene社から購入した DupLEX- A Yeast 2 - ハイブリ ッドシステムキッ ト (大腸菌転写因子 LexA め DNA結合領域と転写因子 B42 の活性化領域を用いる two- hybrid 法) を使用 し、 pGi lda- HCT1 及び PJG4-5-ASC-CLB2 で常法により形質転換した。 結果、 レポーターの発現は見られ ず、 このようにュビキチン化の標的タンパク質の同定を行う場合には、 通常の Two-hybridシステムでは不可能であることが分かった。 実施例 5
TK-542あるいは野生株を以下のプラスミ ドで形質転換し、得られたコロニーを メンブレン (hybond-N Amersham:直径 88 mm) に移す。 X- galを含み、 炭素源と してラフィノースとガラク トースを含む合成培地 (寒天培地) の上にのせ、 許容 温度 3 0 °Cあるいは非許容温度 3 7 °Cで 1 2 hr培養した (以下フィルターアツセ ィとする)。
レポーター遺伝子 LacZを発現させ、 その結果、 コロニーが青くなるか調べた。
(i) 野生株を pSH18- 34、 pJG4- 5- ASC- CLB2、 及び pGi lda- HCT1で形質転換し、 3 0 °Cで 24時間培養した。
(i i) 野生株を pSH18- 34、 pJG4-5- ASC- CLB2、 及び pGi lda-HCTl- dCで形質転換 し、 3 0でで 24時間培養した。
(i i i) TK-542 を PSH18-34、 pJG4- 5- ASC- CLB2、 及び pGi lda- HCTl-dCで形質転換 し、 3 0 °Cで 24時間培養した。
結果をそれぞれ、 図 8に示す。
(ii i)のみ、 POSITIVEなシグナルが得られた。
したがって、上記標的タンパク質の分解が低下した変異株を用いてスクリーニン グを行うこと (温度感受性変異株あるいは欠失変異株)、及び、完全長の C-box タ ンパク質ではなく、 C- box モチーフを欠失した変異型 C-box タンパク質を bait として用いる (図 2参照) ことという条件を同時に満たすことにより、 標的タン
パク質のスクリ一二ングが可^となることが判明した。 実施例 6
APC/C ュビキチンリガーゼの標的タンパク質のスクリーニング出芽酵母ライブラ リ一を用いてスクリ一二ングを行った。
具体的には、
( 1 ) SCF ュビキチンリガーゼの標的タンパク質のスクリーニングと同様に、 開 発した実験系を用いたスクリ一二ングと、 (2 )非特異的な相互作用を与えるクロ —ンの除去及び標的タンパク質であることの確認からなる。 実際に行った結果、
( 1 ) で得たクローンが比較的少なかったので、 ュビキチンリガーゼの標的タン パク質であることを証明する手順のみ行った。
( 1 ) 開発した実験系を用いたスク リーニング
予め、 TK542株を pGi lda- Hctl_dCと pSH18- 34 の二つで开質転換しておく。 得ら れた菌株 (TK505 / pGilda-Hctl- dC + pSH18- 34) に、 出芽酵母ライブラリーを導 入した (常法に従う)。
コロニーをメンブレン (hybond-N Amersham:直径 88 mm) に移し、 X-galを含 み炭素源としてラフィノースとガラク トースを含む合成培地 (寒天培地) 上にの せ、 30°C 24時間保温 (以下フィルターアツセィとする) した。
レポーター遺伝子 LacZを発現し、 その結果、 青くなったコロニーを培養し、 常法 に従って、 プラスミ ドを分離し大腸菌 KC8株 (Clonetech より購入した) を形質 転換し、 出てきたコロニーからプラスミ ドを抽出精製した。
再現性を確認するために、 得られたクローンを再び TK542 I pGi lda- Hctl- dC + PSH18-34に導入し、 同様の要領でフィルターアツセィを行った。 結果、 再現性の ないものは廃棄した。
( 2 ) 非特異的な相互作用を与えるクローンの除去及び標的タンパク質であるこ との確認
タンパク質の半減期を測定して、 SCF ュビキチンリガーゼの標的タンパク質で
あることの確認
野生株および hctl変異株にこれまでの過程で得た候補プラスミ ドを導入した。 形質転換体をラフイノースを炭素源とする培地で培養後、 細胞数が 1-2 X 107 細胞程度まで培養した。 ここで、 ガラク トースを終濃度 2%となるように加え、 ◦RF - HAがコードする融合タンパク質を生産させた。 ガラク トースを加えてから 1 時間後に、 タンパク質合成阻害剤 cychloheximide (SIGMAから購入) を終濃度 50 /z g/ml加え、 融合タンパク質の発現を停止させた。 その直後から 15分間隔で細 胞を回収し、 Yeong FM et al. Mol. Cel l 5 : 501- 511 (2000)に記載の方法で、 タンパ ク質抽出液を作製した。 次に、 Western Blotting を行い、 anti-HA (12CA5)抗体 (Roche より購入) を用いて融合タンパク質の量を調べた。 野生株では不安定で あるが、 変異株では安定化されたものを標的タンパク質とした。 同定された 2種 類の標的蛋白質の半減期を図 9に示す。
これまでに本実験で明らかにした APC/Cュビキチンリガーゼの標的タンパク質 は細胞周期制御因子の Clblおよび UAH1である。
産業上の利用可能性
本発明の実験手法により、 ュビキチン化の標的タンパク質を明らかにすること ができる。 こうした基礎生物学への貢献のみでなく、 治療薬のスクリーニング及 び評価に用いることが可能である。
ュビキチン化の標的タンパク質を明らかにする実験系として有用である。
開発した手法を用いて、 SCFュビキチンリガーゼ及び APC/Cュビキチンリガ一 ゼの標的タンパク質のスクリーニングを行った。 その結果、 すでに明らかにされ ている標的タンパク質に加えて、 新規の標的タンパク質を明らかにした。 これら の中には細胞周期制御に関わる転写因子及び力ルシゥムシグナリングの制御因子 を含む。
本発明は、 治療薬のスクリーニング及び評価に有用である。 本発明の方法は、
F-box タンパク質と標的タンパク質の結合を検出する系を包含する。 この結合量 をレポーター遺伝子の活性で定量することもできる。 したがって、 例えば、 ある
薬剤を作用したときに、 F- box タンパク質と標的タンパク質の結合が促進される か、 あるいは阻害されるかを、 レポーター遺伝子の活性の増減を調べることによ り、 容易に判断できる。 特定の標的タンパク質へのュビキチン化活性が亢進、 あ るレ、は阻害されると、 癌をはじめとした様々な病態の原因となることが知られて いる。 もし、 ュビキチン化活性が亢進することによって病気が引き起こされるの であれば、 F - box タンパク質と標的タンパク質の結合を阻害する薬剤及び C - Box タンパク質と標的タンパク質の結合を阻害する薬剤は治療薬の候補になり うる。 また、ュビキチン化活性が低下することによって病気が引き起こされるであれば、 F-boxタンパク質と標的タンパク質の結合を促進する薬剤及び C-Box タンパク質 と標的タンパク質の結合を阻害する薬剤は治療薬の候補になり うる。このように、 F-box タンパク質と標的タンパク質の結合を促進あるいは阻害する薬剤及び C-Box タンパク質と標的タンパク質の結合を促進あるいは阻害する薬剤のスクリ —ニング及び評価する実験系として用いる。 本明細書で引用した全ての刊行物、 特許および特許出願をそのまま参考として 本明細書にとり入れるものとする。