明細書
C DMAにおいて使用される通信装置 技術分野
本発明は、 C DMAを利用した移動通信システムにおいて使用される通信装 置に係わり、 特に、 C DMAを利用した移動通信システムにおいて使用される 基地局装置に係わる。 背景技術
近年、 ワイヤレスマルチメディァ通信を実現する次世代移動通信システムと して、 C DMA (Code Division Multiple Access) 技術、 特に、 D S— C DMA (Direct Spread - CDMA)技術を用いたデジタルセルラ無線通信システムの開 発が進められている。
C DMA通信システムでは、 一般に、 チャネル毎あるいはユーザ毎に符号が 割り当てられ、 各チャネルまたは各ユーザは、 それぞれその符号により互いに 識別される。 したがって、 C DMA通信システムでは、 同一の周波数を使用し て同時に複数の通信が実現される。
ただし、 複数の通信が同時に行われると、 各チャネルの信号は互いに干渉し あうので、 結果として、 同時に通信可能なチャネル数 (チャネル容量) は、 制 限される。 ここで、 信号間の干渉は、 各信号の送信電力に依存する。 したがつ て、 伝送路の通信品質が良好なときは、 送信電力を小さくすることにより信号 間の干渉を低減させ、 チャネル容量を増大させるようにしている。 なお、 この 技術は、 しばしば、 送信電力制御 (T P C: Transmitting Power Control) と 呼ばれており、 移動機の消費電力を抑える効果もある。
また、 近年、 予め複数の変調方式を用意しておき、 通信環境に応じて基地局 と移動機との間で実際に使用すべき変調方式を適応的に選択する技術が研究さ れている。 以下、 この適応変調方式について説明する。
CDMA通信システムにおける適応変調では、 通常、 基地局と移動機との間 の伝送路の通信品質 (例えば、 信号対干渉電力比、 誤り率など) に基づいて変 調方式が適応的に変更される。 変調方式としては、 例えば、 図 1Aに示す QP
5 K、 図 1 Βに示す 1 6 Q ΑΜ、 図 1 Cに示す 64 Q AMが用意される。 ここ で、 QP SKでは、 位相平面上に 4個の信号点が定義され、 1シンボル毎に 2 ビットのデータが送信される。 また、 1 6QAMでは、 位相平面上に 16個の 信号点が定義され、 1シンボル毎に 4ビットのデータが送信される。 さらに、
64 QAMでは、 位相平面上に 64個の信号点が定義され、 1シンボル毎に 6 ビットのデータが送信される。そして、例えば、通信環境が良好でないときは、 QP SKを利用してデータを送信し、 通信環境が良好なときは、 16QAMま たは 64 QAMを利用してデータを送信する。 これにより、 効率的なデータ伝 送が実現される。
図 2は、 適応変調を行うことができる既存の送信装置のブロック図である。 ここでは、 この送信装置は、 ユーザデータおよび制御データを多重化して送信 するものとする。 なお、 この送信装置は、 移動通信システムに設けられる基地 局装置である。
データ流量監視部 1は、 送信すべきユーザデータのデータレートをモニタす る。 符号化部 (CHCOD) 2は、 予め決められた符号化方式に従って、 送信 すべきユーザデータを符号化する。 可変レート制御部 3は、 ユーザデータをい つたん保持し、 データ流量監視部 1によるモニタ結果を参照しながら、 そのュ 一ザデータを所定のレートで出力する。 適応変調部 4は、 回線品質情報に基づ いて、 変調方式を決定する。 なお、 回線品質情報は、 基地局と移動機との間の
回線の状態を表し、 例えば、 信号対干渉電力比が使用される。
拡散部 1 0は、 適応変調部 4により決定された変調方式に従ってユーザデー タを変調し、 その変調データを拡散する。 具体的には、 マッピング部 1 1は、 適応変調部 4により決定された変調方式に従ってユーザデータを対応する信号 点に配置する。 拡散コード発生器 1 2は、 送信すべきユーザデータ (または、 そのユーザデータを受信する移動機) に対して割り当てられている拡散コード を生成する。 そして、 拡散器 1 3は、 マッピング部 1 1の出力に対して拡散コ ード発生器 1 2により生成された拡散コードを乗算する。
拡散部 2 0は、 制御データを拡散する。 なお、 拡散部 2 0の構成は、 基本的 に、 拡散部 1 0と同じである。 ただし、 拡散部 2 0では制御データのために予 め決められている拡散コードが生成され、 制御データはその拡散コードにより 拡散される。 また、 制御データは、 基本的に、 適応変調されることはない。 コード多重化部 2 1は、 拡散部 1 0の出力および拡散部 2 0の出力を多重化 して送信する。 なお、 この送信装置から送信される信号を受信する受信装置(こ こでは、 移動機) は、 送信装置において使用された拡散コードと同じコードを 用いてユーザデータを再生する。
上記送信装置における適応変調動作の例を簡単に説明する。なお、ここでは、 現在、ユーザデータが Q P S Kで変調されて送信されているものとする。また、 回線品質が良好であるものとする。
この場合、送信装置は、以下の 3つの動作を選択的に実行することができる。
( 1 ) 変調方式を変更することなく、 送信電力を低下させる。
( 2 ) シンボルレートを 1 / 2に低下させるとともに、 変調方式を Q P S Kか ら 1 6 Q AMに変更する。 この場合、 1シンボルあたりのビット数が 2倍にな るので、 データレートは変わらない。 一方、 シンボルレートが 1 / 2になるの で、 結果的に、 送信電力の増加はある程度抑えられる。
(3) シンボルレートを変更することなく、 変調方式を QP SKから 1 6 QA Mに変更する。 この場合、 1シンボルあたりのビット数が 2倍になるので、 デ ータレートは 2倍になる。 ただし、 送信電力は大きくなる。
なお、 移動通信システムでは、 一般に、 チャネル容量を増加させること、 通 信装置の送信電力を抑えること (特に、 移動機の消費電力を抑えること)、 ユー ザデータのデータレートを高速化することが要求される。 そして、 これらの要 求は、 上記 (1) 〜 (3) を適切に選択することにより実現される。
しかし、 既存の技術では、 これらの要求を同時に満足させることはできなか つた。 すなわち、 データ伝送の誤り率を一定の値に保持しょうとすると、 図 1 A〜図 1 Cに示す位相平面に配置される信号点どうし間の距離を一定値にする 必要がある。 一方、 よく知られているように、 送信電力は、 位相平面座標にお ける原点から対応する信号点までの距離の二乗に比例する。 したがって、 使用 すべき信号点が増加すると、 必然的に、 送信電力が大きくなつてしまう。 例え ば、 信号点間距離が同じであるものとすると、 1 6QAMの送信電力は、 QP SKの送信電力に対して約 6 dB大きくなり、 64QAMの送信電力は、 QP SKの送信電力に対して約 12 d B大きくなる。
このように、 既存の適応変調技術では、 データレートの高速化を図ろうとす ると、 送信電力または消費電力の増加をまねいてしまう。 あるいは、 所定の送 信電力の下で一定の品質を確保しようとすると、 データレートの高速化が図れ ないことがあった。 発明の開示
本発明の目的は、 CDMA通信システムにおいて、 データレートの高速化お よぴ送信電力の抑制をバランスよく実現することである。
本発明の送信装置は、 CDMA通信システムにおいて使用され、 ユーザデー
タを変調および拡散する複数の変調拡散手段と、 拡散コードを管理する管理手 段と、 上記管理手段により管理されている拡散コードの使用状況に基づいてコ 一ド多重数を決定する決定手段と、 上記コード多重数に対応する数の変調拡散 手段により変調および拡散されたユーザデータを多重化する多重化手段と、 を 有する。 なお、 この送信装置は、 例えば、 セルラ通信システムの基地局装置で める。
上記構成によれば、 割当て可能な拡散コードが余っているときは、 1ユーザ に対して複数の拡散コードが割り当てられるので、 コード多重を利用してユー ザデータを効率的に送信できる。 すなわち、 通信資源 (ここでは、 拡散コード) が有効に利用される。
なお、 上記送信装置において、 送信信号の指向性を制御するビームフォーマ をさらに設け、 上記管理手段が、 上記ビームフォーマにより生成される指向性 ビームごとに拡散コードを管理し、 上記決定手段が、 指向性ビームごとに管理 されている拡散コードの使用状況に基づいてコード多重数を決定するようにし てもよい。 この構成によれば、 通信エリア内で同時に通信を行うことができる 移動機の数が増加する。
本発明の他の態様の送信装置は、 CDMA通信システムにおいて使用され、拡 散コードを管理する管理手段と、 上記管理手段により管理されている拡散コー ドの使用状況に基づいてコ一ド多重を行うべきか適応変調を行うべきかを決定 する決定手段と、 上記決定手段による決定に従ってユーザデータを処理して出 力する変調拡散手段と、 を有する。
上記構成によれば、 割当て可能な拡散コードが余っているときは、 コード多 重を利用してユーザデータを効率的に送信し、 拡散コードが余っていないとき は、 1つの拡散コードを利用した通信の中で最適な変調方式でユーザデータを 送信する。
図面の簡単な説明
図 1 A、 図 1 B、 図 1 Cは、 それぞれ、 Q P S K:、 1 6 Q AM、 6 4 Q AM の信号点の配置を示す図である。
図 2は、 適応変調を行うことができる既存の送信装置のブロック図である。 図 3は、 本発明の実施形態に係わる移動通信システムを示す図である。
図 4は、 基地局の機能を示すブロック図である。
図 5は、 図 4に示す基地局から送信されるデータのフォーマットを模式的に 示す図である。
図 6および図 7は、 実施形態におけるコード多重を説明する図である。
図 8は、 図 4に示す基地局の動作を示すフローチャートである。
図 9 Aは、 拡散コード管理部の実施例である。
図 9 Bは、 拡散コードの構成の例である。
図 1 0は、 データレート、 拡散コードの使用状況、 および回線品質に基づい てコード多重を行うか否かを判断する処理のフローチヤ一トである。
図 1 1は、 基地局と移動機との間の交渉を説明する図である。
図 1 2は、 図 4に示す基地局から送信される信号を受信する移動機のブロッ ク図である。
図 1 3は、 本努明の第 2の実施形態の基地局の構成図である。
図 1 4は、 第 2の実施形態の基地局の動作を示すフローチャートである。 図 1 5は、 本発明の第 3の実施形態の基地局の構成図である。
図 1 6は、 第 3の実施形態の基地局の動作を示すフローチャートである。 図 1 7は、 本発明の第 4の実施形態の基地局の構成図である。
図 1 8は、 ァダプティブアレイによる指向性ビームを示す図である。
図 1 9は、 ビーム毎に拡散コードを管理する拡散コード管理部の実施例であ
る。
図 2 0は、 本発明の第 5の実施形態の基地局の構成図である。
図 2 1は、 本発明の第 6の実施形態の基地局の構成図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図 3は、 本発明の実施形態に係わる移動通信システムを示す図である。 図 3 において、 基地局 3 0は、 通信ェリァ内の移動機 (M S: Mobile Station) 4 0 との間で無線信号を送受信する機能を備える。 一方、 各移動機 4 0は、 基地局 3 0との間で無線信号を送受信する機能を備える。 そして、 移動機 4 0は、 他 の端末装置と通信を行うときは、 基地局 3 0を介してデータを送受信する。 上記通信システムは、 C DMA通信システムである。 ここで、 CDMA通信 システムでは、 一般には、 チャネル毎あるいはユーザ毎に符号 (拡散コード) が割り当てられ、 各チャネルまたは各ユーザは、 それぞれその拡散コードによ り互いに識別される。 し力 し、 実施形態のシステムでは、 1ユーザに対して、 通信環境に応じて適応的に複数の拡散コードが割り当てられることがある。 ま た、 基地局 3 0と移動機 4 0との間で伝送される信号の変調方式も、 通信環境 に応じて適応的に選択される。
基地局 3 0は、 拡散コード管理部 3 1を備え、 通信エリア内で使用される所 定数の拡散コードを管理する。 すなわち、 拡散コード管理部 3 1は、 通信エリ ァ内で通信の移動機 4 0に対して割り当てられるべき拡散コードを管理してい る。 したがって、 拡散コード管理部 3 1は、 予め用意されている所定数の拡散 コードのうち、 未使用状態の拡散コードの数を把握している。
また、 基地局 3 0は、 品質推定部 3 2を備え、 基地局 3 0と各移動機 4 0と の間の回線の品質を検出または推定する。 すなわち、 品質推定部 3 2は、 各移
動機 4◦から伝送されてくる信号を受信し、移動機ごとに信号対干渉電力比(S I R)、 誤り率、 受信電力などを検出または推定する。 なお、 信号対干渉電力比 ( S I R)、 誤り率、 受信電力などを検出または推定する方法は、 公知の技術で ある。
一方、 各移動機 4 0は、 それぞれ、 基地局 3 0との間の回線の品質を推定す るために品質推定部 4 1を備えている。 品質推定部 4 1は、 基地局 3 0から伝 送されてくる信号を受信し、 信号対干渉電力比 (S I R)、 誤り率、 受信電力な どを検出または推定する。 なお、 品質推定部 4 1により検出または推定された 回線品質情報は、 基地局 3 0へ通知される。
次に、 実施形態の送信装置について説明する。 なお、 以下では、 図 3に示す システムにおいて基地局 3 0から対応する移動機 4 0へデータで送信する場合 を説明する。 すなわち、 実施形態の送信装置は、 図 3に示す基地局 3 0である ものとする。 ただし、 本発明はこれに限定されるものではなく、 移動機 4 0か ら基地局 3 0へデータを送信する場合にも適用可能である。
図 4は、 基地局 3 0の機能を示すブロック図である。 なお、 図 4では、 本発 明に直接的に係わる機能のみが示されている。
基地局 3 0は、 送信部 (MO D ) 1 0 0および受信部 (D E M) 2 0 0を備 える。 ここで、 送信部 1 0 0は、 対応する移動機 4 0へ送信すべき制御データ およぴユーザデータを変調およぴ拡散し、 それらのデータを多重化して送信す る機能を備えている。 また、 受信部 2 0 0は、 移動機 4 0から受信した信号を 復調してデータを再生する機能を備えている。
データ流量監視部 1は、 対応する移動機 4 0へ送信すべきユーザデータのデ ータレートをモニタする。 符号化部 ( C H C O D ) 2は、 予め決められた符号 化方式に従って、 送信すべきユーザデータを符号化する。 判定部 1 0 1は、 デ ータレート情報、 ユーザ数情報、 および回線品質情報に基づいて、 コード多重
を行うべきか否かの判断を行う。 なお、 データレート情報は、 データ流量監視 部 1により検出される。 また、 ユーザ数情報は、 通信セル内で通信を行ってい るユーザの数を表す情報、 または、 いずれの移動機 4 0にも割り当てられてい ない未使用の拡散コードの数を表す情報であり、 図 3に示した拡散コード管理 部 3 1から与えられる。 さらに、 回線品質情報は、 対応する移動機 4 0の品質 推定部 4 1により検出または推定され、 受信部 2 0 0を介して受け取る。
可変レート制御部 1 0 2は、 ユーザデータをいつたん保持し、 判定部 1 0 1 からの指示に従ってそのユーザデータを所定のレートで出力する。 ユーザデー タ分離部 1 0 3は、 判定部 1 0 1からの指示に従って、 可変レ一ト制御部 1 0 2から出力されるユーザデータを、 1または複数の拡散部 (1 0 5— :!〜 1 0 5— n ) に振り分ける。 適応変調部 1 0 4は、 判定部 1 0 1からの指示、 デー タレート情報、 および回線品質情報に基づいて、 変調方式を決定する。 なお、 データレート情報および回線品質情報については、 上述した通りである。
拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— nは、 それぞれ、 マッビング部 1 1、 拡散コー ド発生器 1 2、 および拡散器 1 3を備え、 与えられたユーザデータを変調およ び拡散する。 すなわち、 マッピング部 1 1は、 適応変調部 1 0 4により決定さ れた変調方式に従ってユーザデータを対応する信号点に配置する。 拡散コード 発生器 1 2は、 対応するチャネルまたはユーザに対して割り当てられている拡 散コードを生成する。 そして、 拡散器 1 3は、 マッピング部 1 1の出力に対し て拡散コード発生器 1 2により生成された拡散コードを乗算する。 なお、 拡散 部 1 0 5— 1〜1 0 5— nは、 互いに異なる拡散コードを用いてユーザデータ を拡散する。
拡散部 2 0は、 図 2を参照しながら説明したように、 予め決められている拡 散コードを用いて制御データを拡散する。 そして、 コード多重化部 1 0 6は、 拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nの出力および拡散部 2 0の出力を多重化して送
信する。 なお、 移動機 4 0は、 基地局 3 0において使用された拡散コードと同 じコードを用いてユーザデータおよび制御データを再生する。
受信部 2 0 0は、 復調部 2 0 1および抽出部 2 0 2を備える。 ここで、 復調 部 2◦ 1は、 移動機 4 0から送信された信号を復調してデータを再生する。 ま た、 抽出部 2 0 2は、 復調部 2 0 2により再生されたデータから、 移動機 4 0 において得られた回線品質情報を抽出する。 そして、 この回線品質情報は判定 部 1 0 1および適応変調部 1 0 4に渡される。
図 5は、 図 4に示す基地局 3◦から送信されるデータのフォーマツトを模式 的に示す図である。 ここでは、 ユーザデータは、 ユーザデータ分離部 1 0 3に より 3個のデータ列に分離されている状態を示している。
制御データは、 チヤネル推定等のために使用されるパイロット信号、 および 送信電力制御などの各種制御のための制御ビットを含んでいる。 そして、 この 制御データは、拡散部 2 0により変調おょぴ拡散される。 ここで、変調方式は、 Q P S Kである。 また、 拡散部 2 0では、 制御データを拡散するために、 予め 固定的に決められている 「拡散コード 0」 が使用される。
一方、 ユーザデータ (ユーザデータ分離部 1 0 3から出力される 3個のデー タ列) は、 拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nの中の任意の 3個の拡散部によりそ れぞれ変調および拡散される。 このとき、 各ユーザデータは、 適応変調部 1 0 4により指定れた変調方式 (Q P S K:、 8 P S K:、 1 6 Q AM、 6 4 Q AMな ど) で変調される。 また、 各ユーザデータは、 動的に割り当てられる拡散コー ド (ここでは、 拡散コード 1〜 3 ) を用いて拡散される。
そして、 これらのデータは、 拡散コードにより識別される制御チャネル、 ュ 一ザチャネル 1〜 3を介して対応する移動機 4 0へ送信される。
次に、 図 6および図 7を参照しながら、 基地局 3 0におけるコード多重動作 について説明する。 ここで、 図 6は、 コード多重が行われていない場合のデー
タの流れを示し、 図 7は、 コード多重が行われている場合のデータの流れを示 している。 なお、 図 7では、 3個の拡散コードを利用してコード多重が行われ るケースが描かれている。
コード多重が行われない場合は、 ユーザデータは、 図 6に示すように、 分離 されることなくそのまま拡散部 1 0 5— 1へ送られる。 そして、 そのユーザデ ータは、 マッピング部 1 1において変調され、 拡散器 1 3において拡散コード 1を用いて拡散される。 ここで、 変調方式が Q P S Kであるとすると、 ユーザ データは、 2ビットずつ対応する信号点に配置される。 すなわち、 1シンボル 毎に 2ビットのデータが送信される。
一方、 コード多重が行われる場合は、 ユーザデータは、 図 7に示すように、 ユーザデータ分離部 1 0 3により 3個のデータ列に分離され、 拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— 3へ送られる。 そして、 各データ列は、 それぞれ、 対応するマツ ビング部 1 1において変調され、 対応する拡散器 1 3において拡散される。 こ のとき、 拡散部 1 0 5—1では 「拡散コード 1」 が使用され、 拡散部 1 0 5— 2では 「拡散コード 2」 が使用され、 拡散部 1 0 5 _ 3では 「拡散コード 3」 が使用される。 したがって、 変調方式が Q P S Kであるとすると、 各拡散部 1 0 5 _ 1〜1 0 5 - 3において、 それぞれ 1シンボル毎に 2ビットのデータが 送信される。 すなわち、 3個の拡散コードを用いてコード多重が行われると、 1シンボル時間に合計 6ビットのデータが送信されることになる。 換言すれば、 変調方式および拡散率(1シンボルあたりのチップ数)が同じであるとすると、 n個の拡散コードを用いてコ一ド多重を行うと、 コード多重を行わない場合と 比較して、 ユーザデータを送信するためのデータレートが n倍になる。
このように、 コード多重を行うと、 ユーザデータを送信するためのデ一タレ 一トを高速にすることができる。
次に、 コード多重を行うことによって送信電力を抑えることができる点につ
いて説明する。 ここでは、 データレートが同じであるという条件の下で、 コー ド多重を行う場合と行わない場合とを比較する。 そして、 一例として、 1シン ボル時間に 6ビットのデータが送信されるケースを想定する。
(1) コード多重を行わない場合
コード多重を行うことなく 1シンボルごとに 6ビットのデータを送信するた めには、 例えば、 64QAMが一般的であると考えられる。 64QAMは、 図 1 Cに示したように、 位相平面上の 64個の信号点が使用される。 ここで、 6 4個の信号点が原点を中心に配置されるものとし、 信号点間の最小距離が 「2」 であるものとすると、 各信号点は、 (+1, + 1) (—1, + 1) (—1, 一 1) (+1, —1) · · · (+ 7, +7) (-7, +7) (—7, —7) (+7, 一 7) に配置されることになる。また、ある信号点を利用して信号が送信される場合、 その送信電力は、 原点からその信号点までの距離の二乗に相当する。 したがつ て、 64 QAMの平均送信電力は、 以下のように算出される。
平均電力 = { 4 X (12+ 12) + 8 X (12+ 32) + 8 X (12+ 52) + 8 X (12+ 72) + 8 ( 32+ 52) + 8 X (32+ 72) + 8 X (52+ 72) + 4 X (32+ 32) + 4 X (52+ 52) + 4 X (72+ 72)} /64
= 42
この場合、 平均振幅は、 6. 48になる。
(2) コード多重を行う場合
ここでは、 図 7に示す方法により、 1シンボル時間に 6ビットのデータを送 信するものとする。 すなわち、 ユーザデータは、 拡散部 105— :!〜 105_ 3においてそれぞれ 2ビットずつ QP SKで変調され、 それらがコード多重化 部 106において多重化されるものとする。
QPSKでは、 信号点が原点を中心に配置されるものとし、 信号点間の最小 距離が 「2」 であるものとすると、 信号点は、 図 1Aに示すように、 (+ 1, +
1) (— 1, + 1) (― 1, 一 1) (+ 1,一 1)に配置されることになる。また、 拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— 3において変調された 3つの Q P S K信号が多重 ィ匕されると、 その多重化信号の I成分および Q成分は、 3つの QP SK信号の I成分および Q成分がそれぞれ加算することにより得られる。 例えば、 拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— 3により生成される 3つの QP S K信号の I成分および Q成分がすべて (+ 1, + 1) であった場合は、 多重化信号の信号点は (+ 3, + 3) になる。 また、 3つの QP SK信号の I成分および Q成分がすべて (一 1, — 1) であった場合は、 多重化信号の信号点は (一 3, - 3) になる。 あ るいは、 3つの QP SK信号の I成分および Q成分がそれぞれ (一 1, 一 1)、 (+ 1, — 1)、 (+ 1, + 1) であった場合は、 多重化信号の信号点は (+ 1, - 1) になる。 そして、 このようにして全ての組合せについて加算値を計算す る、 この多重化信号は、 (+ 1, + 1) (— 1, + 1) (— 1, 一1) (+ 1, - 1) · - ' (+ 3, + 3) (- 3, + 3) (一 3, - 3) (+ 3, - 3) にから構成 される 1 6個の信号点に配置されることになる。 すなわち、 図 1 Bに示す 1 6 Q AMと同じ信号点配置が得られる。 したがって、 この多重化信号の平均電力 は以下のようにして算出される。
平均電力 = { 4 X (12+ 12) + 8 X (12+ 32) + 4 X ( 32+ 32)}
/1 6 = 1 0
この場合、 平均振幅は、 3. 1 6になる。
上記 (1) および (2) によれば、 データレートが同じであるとすると、 コ 一ド多重を利用してデータを送信すると、 コード多重を利用しない場合と比較 して、 送信電力が大幅に抑えられることがわかる。 すなわち、 コード多重を利 用することにより消費電力の低減化が可能となる。 上述の例では、 3マルチコ ード伝送を行えば、 64QAMと比較して、 送信電力を 6 d B小さぐしても同 等の誤り率が得られることになる。
このように、 コード多重を行うことにより、 データレートの高速化および/ または消費電力の低減が実現される。 例えば、 コード多重を行わない従来の送 信装置において、 6 4 Q AMを使用しなければ伝送できないような高速伝送の 要求がユーザからあつたとする。 この場合、 もし、 6 4 <3八1^では所要の£ 10 /N oを満たすような電界強度が得られなかったとすると、 ユーザからの要求 よりも低いデータレートでデータ伝送を行う力 \ あるいはデータ伝送を行わな いこととなっていた。 これに対して、 実施形態の送信装置は、 複数の拡散コー ドを利用してコード多重を行うので、 従来の送信装置と同じ送信電力であって も、 誤り率が 3 d B程度改善されるので、 所要の E b ZN oを満足することが できる。 すなわち、 高速伝送の要求を満たすことができる。
ところで、 コード多重では、 当然のことではあるが、 1つのユーザデータに 対して複数の拡散コードが同時に使用される。 すなわち、 コード多重を行う場 合には、 通信ェリァ内で複数の拡散コ一ドが使用されずに残っている必要があ る。 したがって、実施形態の基地局は、未使用の拡散コードの残数に基づいて、 コード多重を行うか否かを適応的または動的に判断する。 以下、 コード多重を 行うか否かの判断処理を含むデータ送信処理についてフロ チヤ一トを参照し ながら説明する。
図 8は、 図 4に示す基地局の動作を示すフローチャートである。 なお、 この フローチャートは、 データ送信に係わる処理のみを示している。 また、 以下の 処理は、 主に、 判定部 1 0 1および適応変調部 1 0 4により実行される。
ステップ S 1では、 データ流量監視部 1により検出されたユーザデータのデ ータレート (あるいは、 ユーザからの要求伝送レート) に基づいて、 送信パラ メータが算出される。 ここで、 送信パラメータとしては、 コード多重に係わる パラメータおよび変調方式に係わるパラメータが算出される。
コード多重に係わるパラメータとしては、 マルチコード数およびシンポルレ
ートが算出される。 なお、 「マルチコード数」 は、 同時に使用すべき拡散コード の数である。 一方、 「シンボルレート」 は、 拡散コードごとに単位時間当たりに 伝送すべきシンボルの数を表す。 ここで、 このシンポルレートは、 チップレー トが一定であるとすると、 拡散率 (S F ) に対してユニークに決定される。 し たがって、 コード多重に係わるパラメータとしては、 マルチコード数および拡 散率が算出されてもよい。
コード多重に係わるパラメータは、 ユーザが要求するデータレートを満足す るように決定される。 具体的には、 以下の条件を満たすようなパラメータが選 択される。
要求データレート ≤ (シンボル当たりのビッ ト数) X (シンボルレート) X (マルチコ一ド数)
ここで、 コード多重が行われるときに拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nにおいて Q P S Kが用いられるものとすると、 「シンボル当たりのビット数 = 2」 である。 また、 各ユーザに対して割り当て可能な拡散コードの最大値が 「n ( n : 自然 数)」 であったものとすると、 「マルチコード数」 としては 「1」 〜 「n」 が選 択可能である。 ただし、 「マルチコード数 = 1」 は、 コード多重を行わないこと を意味する。 さらに、 「シンボルレート」 は、 予め決められている複数の拡散率 の中から適切に選択されたある拡散率に対応する値が使用される。
そして、 上記条件を満たす 「シンボルレート」 と 「マルチコード数」 との組 合せが、 候補パラメータとして選ばれる。 なお、 候補パラメータが複数あった 場合は、 「マルチコード数」 が大きいものほど優先度が高いものとする。
一方、 変調方式に係わるパラメータとしては、 多値数およびシンポルレート が算出される。 なお、 「多値数」 は、 一般には、 位相平面上に配置される信号点 の数を意味するが、 ここでは、 「シンボル当たりのビット数」 を意味するものと する。 すなわち、 例えば、 Q P S Kは 「2」、 8 P S Kは 「3」、 1 6 Q AMは
「4」、 6 4 Q AMは 「6」 であるものとする。
変調方式に係わるパラメータとしては、 以下の条件を満たすものが選択され る。
要求データレート ≤ (多値数) X (シンボルレート)
そして、 上記条件を満たす 「多値数」 と 「シンボルレート」 との組合せが、 候捕パラメータとして選ばれる。 なお、 侯捕パラメータが複数あった場合は、 「多値数」 が大きいものほど優先度が高いものとする。
このように、ステップ S 1では、コード多重に係わる送信パラメータの候補、 および変調方式に係わる送信パラメータの候補がそれぞれ選択される。
ステップ S 2では、 図 3に示す拡散コード管理部 3 1を参照して、 未使用の 拡散コードが検索される。 なお、 拡散コード管理部 3 1は、 図 9 Aに示すよう に、 予め用意されている所定数の拡散コードについて、 それぞれその使用状態 (使用 Z未使用) を管理している。 また、 拡散コードは、 図 9 Bに示すような ツリー構造 (あるいは、 階層構造) で表される。 この例では、 2 5 6個の拡散 コードが用意されている。
ステップ S 3〜 S 6では、 コード多重を行うことができるか否かが調べられ る。 具体的には、 ステップ S 1で得られた 「マルチコード数」 と、 ステップ S 2で検出された 「使用可能な拡散コードの数」 とが比較される。 このとき、 「使 用可能な拡散コードの数」 が 「マルチコード数」 以上であれば、 対応するコー ド多重を行うことができるものとみなし、 ステップ S 2 1に進む。 そして、 ス テツプ S 2 1では、 対応するユーザチャネルが割り当てられる。 なお、 ステツ プ S 1において複数の候補が選択されている場合には、 「使用可能な拡散コー ドの数」 を越えない範囲で最も大きな 「マルチコード数」 が選ばれる。
コード多重を行うことができないと判断された場合 (例えば、 階層化直交コ —ドを利用するシステムにおいては、 上位のコードが使用されているとき等)
は、 ステップ S 1 1〜S 1 6において、 最適な変調方式が決定される。 このと き、 基地局 3 0と対応する移動機 4 0との間の回線の品質が調べられ、 そのよ うな通信環境の下で利用可能な変調方式が決定される。 そして、 もし、 利用可 能な変調方式が複数あった場合は、 最も優先度の高い変調方式が選択される。 なお、 回線の品質を表す情報は、 この実施例では、 ステップ S 1 2において対 応する移動機 4 0の品質推定部 4 1から受け取る。
検出された通信環境下で使用可能な変調方式がないと判断された場合は、 受 信したユーザデータを伝送するためのユーザチャネルを割り当てることができ ないものとみなし、 ステップ S 2 2において、 その旨をユーザに通知する。 なお、 ステップ S 2 1のチャネル割当では、 以下の処理を行われる。
( 1 ) コード多重を行う場合
判定部 1 0 1は、 ユーザデータ分離部 1 0 3に対して 「マルチコ一ド数」 を 通知する。 このとき、 例えば、 「マルチコード数 = 3」 であれば、 ユーザデータ 分離部 1 0 3は、 受信したユーザデータを図 7に示すように 3個のデータ列に 分離する。 そして、 3個のデータ列は、 拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— 3へ渡さ れる。
また、 適応変調部 1 0 4は、 拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— nに対して 「変調 方式: Q P S K:」 を通知する。 これにより、拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— nは、 それぞれ Q P S Kでユーザデータを変調する。
さらに、 判定部 1 0 1は、 ユーザデータを処理する拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nに対して、 互いに異なる拡散コードを通知する。 ここで、 これらの拡散 コードは、 例えば、 拡散コード管理部 3 1により割り当てられる。 そして、 拡 散コードが割り当てられた拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— nは、 それぞれそのコ 一ドを用いてユーザデータを拡散する。
このように、 ユーザデータは、 複数の拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nにおい
てそれぞれ QP SK変調され、 さらに互いに異なる拡散コードを用いて拡散さ れた後、 多重化される。
(2) コード多重を行わない場合
判定部 101は、 ユーザデータ分離部 103に対して 「マルチコ一ド数 = 1」 を通知する。 この場合、 ユーザデータ分離部 103は、 受信したユーザデータ をそのまま拡散部 105— 1へ渡す。
適応変調部 104は、 回線の品質に応じて適応的に決定した変調方式 (QP SK:、 8 P SK、 16QAM、 64 QAMなど) を拡散部 105— 1に通知す る。 そして、 拡散部 105— 1は、 通知された変調方式でユーザデータを変調 する。
このように、 図 8に示すフローチャートのデータ送信では、 拡散コードの使 用状況 (あるいは、 通信エリア内で通信をしているユーザの数) に応じてコー ド多重を行うかことができるか否かが判断され、 回線の品質に応じて変調方式 が決定される。 これにより、 通信環境に応じた適切な方法でユーザデータが送 信されるので、 データレートの高速化および Zまたは消費電力の低減化が実現 される。 ただし、 本発明はこれに限定されるものではなく、 拡散コードの使用 状況および回線の品質の双方に基づいて、 コード多重を行うか否かを判断する ようにしてもよい。
図 10は、 データレート、 拡散コードの使用状況、 および回線品質に基づい てコード多重を行うか否かを判断する処理のフローチヤ一トである。
ステップ S 3 1では、 ユーザデータのデータレートが検出される。 ステップ S 32では、 拡散コードの使用状況が検出される。 ステップ S 33では、 回線 の状態が検出される。 そして、 ステップ S 34において、 コード多重を行うか 否かを判定する。 具体的には、 例えば、 まず、 ユーザが要求するデータレート を満足するような 「マルチコード数」 および 「シンボルレート (または、 拡散
率)」 を算出する。 続いて、 未使用の拡散コードをサーチし、 算出された数の拡 散コードを割り当てることができるか否かを調べる。 また、 回線の状態を考慮 し、 算出された 「マルチコード数」 および 「シンボルレート」 でデータ送信が 行われた場合に、 所定の品質が確保できるか否かを調べる。 この結果、 必要な 数の割当可能な拡散コードが残っており、 且つ、 所定の品質を確保できると判 断した場合には、 ステップ S 3 5において、 コード多重を行うための設定を行 ラ。
一方、 コード多重を行わない場合は、 ステップ S 3 6において変調方式が決 定され、 ステップ S 3 7において対応する通知が行われる。
なお、 上述の実施例では、 コード多重が行われる場合には、 拡散部 1 0 5— 1 〜 1 0 5 _ nにおいてユーザデータが Q P S Kで変調されるものとしたが、 本発明はこれに限定されるものではない。 すなわち、 コード多重が行われる場 合であっても、 拡散部 1 0 5— 1 〜 1 0 5 _ nにおいてユーザデータが Q P S K以外の方式で変調されてもよい。
上述のように、 基地局 3 0は、 通信環境等に応じてデータの送信方式を適応 的に変更する。 このとき、 データの送信方式の変更は、 図 1 1に示すように、 対応する移動機 4 0に通知される。 すなわち、 基地局 3 0は、 送信方式を決定 すると、 それに対応するパラメータ (マルチコード数、 拡散コード、 変調方式 など) を移動機 4 0へ通知する。 移動機 4 0は、 基地局 3 0から通知された送 信方式で送信された信号を受信できるか否かを判断し、 その結果を基地局 3 0 に応答する。 そして、 移動機 4 0においてデータ受信が可能な場合は、 基地局 3 0は、 送信方式を変更する。 一方、 基地局 4 0は、 受信方式を変更する。 このように、 データの送信方式の変更は、 基地局 3 0と移動機 4 0との間の 交渉によって進められる。
図 1 2は、 図 4に示す基地局から送信される信号を受信する移動機のブロッ
ク図である。 なお、 ここでは、 データの受信に直接的に係わる機能の要部のみ が示されている。
基地局 3 0から送信された信号は、 アンテナを介して受信され、 逆拡散部 5 0 1— 1 5 0 1— ii、 5 0 2に渡される。 ここで、 逆拡散部 5 0 1— 1〜5 0 l—nは、 受信信号を逆拡散および復調する。 一方、 逆拡散部 5 0 2は、 受信 信号を逆拡散および復調して制御データを再生する。
逆拡散部 5 0 1— 1〜5 0 1— n、 5 0 2の構成は、 基本的に同じである。 すなわち、 拡散コード発生部 5 1 1は、 予め決められた拡散コードあるいは基 地局 3 0により割り当てられた拡散コードを生成する。 拡散器 5 1 2は、 拡散 コード発生器 5 1 1により生成された拡散コードを受信信号に乗算する。 復調 器 5 1 3は、 逆拡散された信号を復調する。 さらに、 合成器 5 0 3は、 逆拡散 部 5 0 1— 1〜5 0 1— nからの復調信号を合成する。 そして、 複合器 5 0 4 は、 合成器 5 0 3の出力を複合してユーザデータとして出力する。 一方、 逆拡 散部 5 0 2による復調データは、 制御データとして出力される。
上記移動機において、 復調器 5 1 3における復調方式は、 基地局 3 0からの 指示に従う。 また、 k個の拡散コードを用いてコード多重が行われる場合は、 合成器 5 0 3は、 逆拡散部 5 0 1— 1〜5 0 1— kからの復調信号を合成して ユーザデータを再生する。
次に、 本発明の他の実施形態 (第 2〜第 6の実施形態) について説明する。 図 1 3は、 本発明の第 2の実施形態の基地局の構成図である。 第 2の実施形 態の基地局では、 移動機 4 0との間の回線の品質は、 基地局において検出また は推定される。 すなわち、 この基地局の受信部 (D E M) 2 0 0は、 移動機 4 0との間の回線の品質を検出または推定する回線品質推定部 2 0 3を備える。 ここで、 回線品質推定部 2 0 3は、 対応する移動機 4 0から伝送されてくる信 号を受信し、 信号対干渉電力比 (S I R)、 誤り率、 受信電力などを検出または
推定する。 なお、 信号対干渉電力比 (S I R)、 誤り率、 受信電力などを検出ま たは推定する方法は、 公知の技術である。
なお、 送信部 (MO D) 1 0 0の動作は、 基本的に、 図 4を参照しながら説 明した通りである。 すなわち、 判定部 1 0 1は、 回線品質推定部 2 0 3により 検出または推定された回線品質に基づいてコード多重を行うか否かを判定し、 適応変調部 1 0 4は、 その回線品質に基づいて変調方式を決定する。
図 1 4は、 第 2の実施形態の基地局の動作を示すフローチャートである。 第 2の実施形態の基地局の動作は、 図 8に示したステップ S 1 2をステップ S 4 1に置き換えることにより実現される。 すなわち、 図 8に示したフローチヤ一 トでは、 回線品質情報を対応する移動機 4 0から受信するが、 第 2の実施形態 では、 回線品質情報は、 当該基地局により検出または推定される。
図 1 5は、 本発明の第 3の実施形態の基地局の構成図である。 第 3の実施形 態の基地局では、 移動機 4 0との間の回線の品質は、 その移動機 4 0で検出さ れた値、 および当該基地局において検出された値の双方を考慮して推定される。 すなわち、 この基地局の受信部 (D E M) 2 0 0は、 上述した抽出部 2 0 2お よび回線品質推定部 2 0 3の双方を備える。 そして、 それらの値の平均値、 ま たはそれらの値のうちの悪い方が回線品質情報渡として判定部 1 0 1および適 応変調部 1 0 4に送られる。
なお、 基地局 3 0から移動機 4 0へ信号を伝送する下り回線の品質、 及ぴそ の移動機 4 0から基地局 3 0へ信号を伝送する上り回線の品質は、 一般には、 互いに同じである。 ただし、 上り回線および下り回線の搬送波周波数が互いに 大きく異なっている場合には、 通常、 上り回線の品質と下り回線の品質が互い に異なることになる。 そして、 第 3の実施形態の基地局によれば、 上り回線の 品質と下り回線の品質が互!/ヽに異なる場合であつても、 それらの双方を考慮し て最適なデータ送信方法を選択できる。
図 1 6は、 第 3の実施形態の基地局の動作を示すフローチャートである。 第 3の実施形態の基地局の動作は、 図 8に示したステップ S 1 2に後にステップ S 4 1および S 4 2を挿入することにより実現される。 すなわち、 ステップ S 4 2において、 移動機 4 0により検出された回線品質および当該基地局により 検出された回線品質から平均品質または最悪品質が求められる。 そして、 ステ ップ S 1 3において、 ステップ S 4 2で求められた品質に基づいて、 実行しよ うとする変調方式が適切か否かが判断される。
図 1 7は、 本発明の第 4の実施形態の基地局の構成図である。 第 4の実施形 態の基地局は、 図 4に示した構成に加えてビームフォーマ 1 1 1およびァダプ ティブアレイアンテナ 1 1 2を備え、 通信エリア内でのユーザ分離を行うこと ができる。 すなわち、 この基地局は、 図 1 8に示すように、 指向性を持ったビ ームを利用して無線信号を送信することができる。 このとき、 ビーム同士が互 いにオーバラップしていなければ、 或いはビーム同士のオーバラップが少なけ れば、 通信セル内のユーザは、 ビーム毎に互いに分離される。 すなわち、 同一 の拡散コードが複数のユーザに割り当てられた場合であっても、 それらが互い に異なるビーム内に位置していれば、 基地局 3 0は、 それらのユーザを互いに 識別できる。 ただし、 1つのビーム内で同一の拡散コードが複数のユーザに割 り当てられることは許されない。
したがって、 第 4の実施形態の基地局は、 ビーム毎に拡散コードの使用状況 またはユーザ数を管理し、 それに基づいてコード多重を行うことができるか否 かを判断する。 このため、 拡散コード管理部 3 1は、 図 1 9に示すように、 ビ ーム毎に拡散コードの割当て状況を管理している。 なお、 各移動機とビームと の対応関係は、 公知の技術により管理されているものとする。
さらに、 第 4の実施形態の基地局では、 判定部 1 0 1は、 ある移動機 4 0へ のデータ送信においてコード多重を行うか否かを判定する際には、 拡散コード
管理部 3 1を参照し、 その移動機 4 0の位置に対応するビームの中で使用可能 な拡散コードの数を調べる。 そして、 コード多重を行うために必要な数の拡散 コードを確保できるときは、 判定部 1 0 1は、 コード多重を行うためのパラメ ータを、 ユーザデータ分離部 1 0 3、 適応変調部 1 0 4、 拡散部 1 0 5— 1〜 1 0 5— nに通知する。 これにより、 マルチコード伝送が実現される。
図 2 0は、 本発明の第 5の実施形態の基地局の構成図である。 第 5の実施形 態の基地局は、第 4の実施形態と第 2の実施形態との組合せである。すなわち、 第 5の実施形態の基地局は、移動機 4 0との間の回線の品質を検出する機能(回 線品質推定部 2 0 3 )、 およびァダプティブアレイによりユーザを分離する機能 (ビームフォーマ 1 1 1、ァダプティプアレイアンテナ 1 1 2 )を備えている。 図 2 1は、 本発明の第 6の実施形態の基地局の構成図である。 第 6の実施形 態の基地局は、第 4の実施形態と第 3の実施形態との組合せである。すなわち、 第 5の実施形態の基地局は、移動機 4 0との間の回線の品質を検出する機能(抽 出部 2 0 2、 回線品質推定部 2 0 3 )、 およぴァダプティプアレイによりユーザ を分離する機能 (ビームフォーマ 1 1 1、 ァダプティブアレイアンテナ 1 1 2 ) を備えている。
なお、 拡散コードは、 有限な通信資源であり、 効率的かつ公平に利用される 必要がある。 したがって、 通信エリア内で通信を要求するユーザの数が多い場 合は、 コード多重が制限されるようにしてもよい。 例えば、 使用可能は拡散コ ードが残っていない状況において、 新たなユーザが通信の開始を要求してきた 場合には、 基地局は、 コード多重によるデータ送信を 1つの拡散コードを用い たデータ送信に変更するようにしてもよい。 この場合、 使用可能となった拡散 コードを上記新たなユーザに割り当てることができる。
また、 上述の実施例では、 基地局から移動機へのデータ送信について説明し たが、 本発明はこれに限定されるものではない。 すなわち、 本発明は、 移動機
から基地局へのデータ送信にも適用可能である。 ただし、 この場合は、 拡散コ 一ドの使用状況に関する情報を基地局から移動機に通知する必要がある。
さらに、 上述の実施例では、 コード多重を行うために複数の拡散部 1 0 5— 1〜1 0 5— nが設けられているが、 本発明はこれに限定されるものではない。 すなわち、 1つの拡散部が所定数の拡散コードをサイタリックに変更しながら ユーザデータに対する拡散処理を繰り返すことによって、 複数の拡散部 1 0 5 一:!〜 1 0 5— nによる拡散動作と同等の動作を実現するようにしてもよい。