明 細 書 抗ヒト C ENP— Aペプチドモノク口一ナル抗体産生ハイプリ ド一マ細胞の作成.
及びその利用法 技術分野
本発明は、 C E N P— A蛋白質の抗体、 その製造方法及びその利用法に関する, より詳細には、 染色体のセント口メァに発現する蛋白質 C E N P一 Aの N末端の 1ノ 3のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とするモノク口一ナル抗体、 その 製造方法、 及びその利用方法に関する。 また、 本発明はクロマチンタンパク質の 可溶化方法、 及びそれを用いたクロマチンタンパク質の検出、 同定、 定量方法に 関する。 本発明の抗体は、 染色体異常の検出や同定に有用であり、 またセント口 メァの構造や機構の解明に有用である。 景技術
セントロメァは、 有糸分裂をする真核細胞の M期の紡錘体に結合して、 極への 移動に重要な役割を果たすものである。 有糸分裂においては、 セントロメァの両 端に動原体と呼ばれるタンパク質複合体が形成され、 この動原体に紡錘体を形成 する微小管 (動原体微小管) が結合する。 脊椎動物の細胞における有糸分裂にお いて、 動原体で形成され紡錘体の微小管への付着部位であるキネトコァは、 密な 内部プレート、 中間の透明な領域、 そして密な外部プレートから成る 3層の円盤 状の構造体である。
今日までに知られている動原体夕ンパクには、 細胞周期を通して動原体に存在 する C ENP— A、 一 B、 一 Cおよび一 Hのような構成的タンパク、 ならびに C ENP— E、 一 F、 I NC ENP、 M a d l、 M a d 2、 B u b l、 B u b 2お よび R u b R 1のような M期の開始後に現われる過渡的夕ンパクが含まれる。 構 成的タンパクは、 「プレキネトコア」 と呼ばれる S期で核の中に点として現われ るが、 これはそのうちの少なくとも 1つが M—期で内部キネトコアブレ一トの中 に位置していると報告されているからである。
C E N P - B遺伝子は、 ヒ卜の α—サテライ トおよびマウスのマイナ一サテラ ィ ト D N A中に存在し C EN P— Bボックスとして知られている 1 7— b p D N Aモチーフと結合する 8 0— k D aタンパクをコードし、 C EN P— Bボックス 領域の周辺に位置するヌクレオソ一ムのポジショニング (塩基配列上の決まった 位置に整列すること) をもたらす。 この遺伝子のノックアウトマウスは、 成長お よび形態的に如何なる明白な欠陥なしに生育するので、 C ENP— B遺伝子は必 須のものではないと考えられている。
C E N P— C遺伝子は染色体分離に必須であり、 その遺伝子生産物 ( 1 40— k D aタンパク) は明らかな配列特異性のない D N A—結合タンパクである。 C E N P一 Cは電子顕微鏡により内部のキネトコアブレ一卜で検出され、 一方 C E N P - Bは対を成す領域中に位置すると報告された。
C ENP— A遺伝子はヒストン H 3の変種をコ一ドしており、 C ENP— Aの C末端の 2/3はヒストン H 3と高度に相同であるが、 1 / 3のそれ以外のアミ ノ端末は CEN P— Aに固有のものである。 C一末端領域に位置するヒストン類 似配列から成る領域は、 C ENP—Aを動原体領域へ標的とするために必須のも のである。 マウスの C E N P— A遺伝子は、 ジ一ン夕一ゲッティング法により必 須の遺伝子であることが示されている。 C EN P— Aホモログである C S E 4は、 出芽酵母 (S. cerevisiae) から単離され、 そして染色体の分離のために必須であ ることもまた示された。 点変異による分析により、 C s e 4 pの機能的な領域は、 ヒストン H 4との相互作用に必要なヒストンフォルドドメインならびにアミノ末 端 3 3ペプチドにわたつて分布していることが示された。 C ENP— Aのホモ口 グは線虫 ( elegans) 、 キイ口ショウジヨウバエ (D. me 1 anogas t er) 、 および 分裂酵母 (S. pombe) 中で同定されており、 また染色体分離のためにも必須であ る。
出芽酵母 (S. cerevisiae) においてセントロメァ領域は、 "C EN配列" とし て知られている 1 2 5 b p D N A配列が遺伝的に定義され、 C s e 4 pを含め て 8以上の動原体と関連するタンパクがこの DN A領域に局在し、 ヌクレアーゼ 攻撃に抵抗性のある高次のクロマチン複合体を形成する。 分裂酵母 (S. pombe) においては、 数十キロ塩基の逆方向反覆配列に囲まれた 4一 7 k bの固有の配列
( c c領域) から成る更に長い D N A配列 (4 0— 1 2 0 k b) が、 セントロメ ァ頜域を形成する。 何らかの高次クロマチン構造が c c領域内で形成されるであ ろう事が推測される。 何故ならばこの領域内では MN a s e開裂によるヌクレオ ソームラダ一 ( l a d d e r ) は活性セントロメァを形成したときにスミアー
( s me a r ) となるからである。 高等真核生物の動原体は、 数百から数千キロ ベースの縦に反覆された DN A配列を含んでいる。 ただし、 それらの配列と単位 長さは種によって全く異なる ( 5 2) 。
ヒ トにおいては、 5 0 0 k bから 5 M bまで変化するひ —サテライ ト (アルフ ォイ ド) 配列がセントロメァ領域で見出される。 α—サテライ ト配列は、 それぞ れの染色体は、 1 7 1 b ρ α—サテライ ト反復配列がさらに数個のそれぞれ染色 体固有の各型を含む高次配列からなり、 さらにそれが繰り返され、 数メガベース にわたる長大な配列をなし配列中及び高次反覆配合における染色体特異的な変化 を示す 1 7 1 b pのモノマ一の反覆から成る。 しかしながら安定なネオセント口 メァが、 α—サテライ ト等の反覆 D Ν Α配列の無い真性クロマチン領域で見出さ れている。
ネオセントロメァのェピジエネティカルな確立はヒ ト、 キイ口ショウジヨウバ ェ (D. melanogaster) 、 および分裂酵母 (S. pombe) で報告されており、 このこ とは D N A—夕ンパク複合体の形成、 特に C EN P— Aヌクレオゾームの形成が 活性動原体の形成のために決定的に重要であることを示唆している。 C ENP— Aを含有するヌクレオソ一ムは、 セントロメァクロマチンを真正クロマチンまた はへテロクロマチンから区別するものであろう し、 また機能的なキネトコアの形 成を促進する。 本発明者らは、 試験管内ヌクレオソ一ム再構築系において C EN P— Aはヒス トン H 3を置き換え可能であることを示してきた。 また、 C ENP 一 Aヌクレオゾームの基本構造は、 ヌクレオソーム DNAがその周囲をまいたコ ァヒス トンォクタマー (H 3、 H 4、 112八ぉょび1128) から構成される H 3 ヌクレオソームと同様であることを示してきた。 したがって、 本発明者らは、 C ENP— Aヌクレオソ一ム及びその他のセントロメァタンパクから成るセント口 メァクロマチン複合体がプレキネ トコァ複合体を構成していることを提唱する。 これらのことをより解明してゆくために、 H e L a細胞からセントロメァクロ
マチン複合体を単離し、 さらに C EN P— Aヌクレオソームは C E N P— Bポッ クスを含む α—サテライ ト上に選択的に形成されること、 及び C ENP— Βおよ び一 Cはヌクレオソ一ム DNAと結合して A/BZCプレキネトコアクロマチン 複合体を形成することを明らかにしてゆくために、 クロマチン免疫沈澱法 (CH I P) などの手法が求められている。
ところで、 特定のタンパク質を同定したり、 単離するためには抗体を使用する 方法が極めて有用である。 様々な哺乳動物を用いて抗体を作製する方法が広く応 用されている。 抗体を用いてタンパク質複合体を単離して、 その構成因子を網羅 的に解析しょうとするタンパク質工学いわゆるプロテオミクスを実施する上で、 抗体の特異性の高さや、 品質の均一性への要求が極めて高くなつてきており、 特 にモノクローナル抗体に対する要望が大きくなってきている。
モノクローナル抗体は、 抗体を産生するハイプリ ドーマ細胞をいつたんクロー ン化して樹立してしまえば、 その細胞は不死化した細胞 (腫瘍細胞) なので永久 に増殖を続け抗体を産生し続ける。 従って、 均一な抗体を無制限に得ることが可 能となる。
しかし、 従来のモノクローナル抗体の製造方法においては、 目的とする抗体を 産生する八イブリ ド一マ細胞の選別、 樹立が極めて煩雑であった。 とりわけ、 抗 原として合成されたアミノ酸鎖の比較的短いぺプチドを使用する場合には、 ェピ トープ (抗体が認識する部位) をはっきり と限定できる反面、 実際に抗体として 使用できるかどうかを煩雑な方法でモノクローナル抗体を作製してみなければわ からないことから、 多数の比較的短いぺプチドを用意して煩雑な作業を長時間に 亘つて行わなければならなかった。 明の開示
本発明は、 染色体のセントロメァに発現する蛋白質 C ENP— Aの N末端の 1 ノ 3のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とする抗体、 特にモノクロ一ナル抗 体、 及びその製造方法を提供する。 本発明は、 染色体のセントロメァに発現する C EN P— A蛋白質の部分長のぺ
プチドに対する抗体に関する。.
また、 本発明は、 細胞融合法によりモノクローナル抗体を製造する方法におい て、 ミエ口一マ細胞としてマウスの骨髄腫細胞である P 3— X 6 3— A g 8. 6 5 3細胞を使用し、 かつ培地として G I T培地を使用することを特徴とする C E NP— A蛋白質のモノクローナル抗体の製造方法に関する。
本発明は、 セントロメァのクロマチンの可溶化方法に関し、 より詳細にはミク ロコッカスヌクレアーゼ (MN a s e) で処理することによりセントロメァのク ロマチンを可溶化する方法に関する。 本発明の可溶化はクロマチンの全体性を保 持したまま可溶化できることを特徴とするものである。
さらに、 本発明は、 可溶化されたセントロメァのクロマチンタンパク質類を C EN P類の抗体、 好ましくは C EN P— Aの'抗体、 好ましくはモノクローナル抗 体を用いて免疫沈降させてセントロメァのクロマチンに含有されている夕ンパク 質を検出、 同定又は定量する方法に関する。 本発明によれば、 クロマチンの中に は細胞分裂に関連するタンパク質のみならず分化に関連するタンパク質などが含 有されていることが明らかにされ、 セントロメァのクロマチンに含有されている 夕ンパク質を解析することにより、 癌などの各種の疾患の診断が可能となる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 セントロメァクロマチンの可溶化 (第 1図 A) 、 可溶化されたセン トロメァクロマチン内の DNAのサイズ分布 (第 1図 B ) 、 及びバルククロマチ ンタンパクを MN a s e消化後の可溶性画分と不溶性画分における染色結果 (第 1図 C上段) 及びウェスタンブロッテイングによる C E N P— Aの染色結果 (第 1図 C下段) を示す図面に代わる写真である。
第 1図 Aは、 セントロメァクロマチンが H e L a細胞核から可溶化する条件を 検討した結果を示す図面に代わる写真である。 第 1図 Aのレーン Mは C ENP— A、 — B及び一 Cのバンドの位置を示す。 第 1図 Aのレーン 1は核を 0. 3MN a C 1で処理した上澄液の結果を示し、 第 1図 Aのレーン 2は 0. 6 MN a C l 処理による上澄液の結果を示し、 第 1図 Aのレーン 3はその場合の沈殿物の結果 を示し、 第 1図 Aのレーン 4は核を 0. 3 MN a C l 中でミクロコッカルヌクレ
ァーゼ ( (micrococcal nuclease) MN a s e ) で消化した場合の上澄液の結果 を示し、 第 1図 Aのレーン 5はそれに A C A—ビーズを加えた場合の結果を示し、 第 1図 Aのレーン 6は核を 0. 3 MN a C 1 中で MN a s eで消化した場合の沈 殿物の結果をそれぞれ示す。
第 1図 Bは、 MN a s e消化後のクロマチン内 D NAのサイズ分布を示す図面 に代わる写真である。 レーン 1は 2 0単位/ m 1で 2分 (4 0単位/ m 1 ·分、 サンプル # 1 ) 、 レーン 2は 2 0単位/ m 1で 4分 (8 0単位 1 ·分、 サン プル # 2 ) 、 レーン 3は 4 0単位 1で 5分 ( 2 0 0単位/ m 1 ·分、 サンプ ル # 3 ) 、 レーン 4は 8 0単位/ m 1で 4 5分 ( 3 6 0 0単位 Zm 1 ·分、 サン プル # 4 ) のものを示す。
第 1図 Cは、 バルククロマチンタンパクを MN a s e消化後の可溶性画分と不 溶性画分を S D S— P AG Eによって分画しクマシ一プリリアントプル一 (C B B) 染色によって検出した結果 (第 1図 Cの上側) 、 分画した蛋白を膜に転写後 AC A抗体を用いた免疫染色によって C E N P— Aを同定した結果 (第 1図 Cの 下側) を示す図面に代わる写真である。 第 1図 Cのレーン 1〜 4は可溶性画分か らのものであり、 レーン 5〜 8は不可溶性画分からのものであり、 レーン Mは C EN P— Aの位置を示すものである。
第 2図は、 H e L a核から MN a s e消化によって可溶化したバルクク口マチ ンを本発明の抗 C E N P— A、 抗 C E N P— Bまたは抗 C E N P— C抗体ととも に免疫沈降し DNAのクロ一ニング、 塩基配列決定によつ'て得られた D N A配列 の分布を示す。 第 2図の黒線は C E N P— Bボックス含有ひ—サテライ ト DNA を有するク口一ン数を示す。 白抜きの線はそれ以外のクローン数を示している。 第 3図 Aは、 H e L a細胞の有糸分裂期の染色体を免疫蛍光染色した顕微鏡写 真であり、 図面に代わる写真である。 第 3図 Aの上段左側は、 抗 C EN P— C抗 体による染色であり、 第 3図 Aの上段右側は、 抗 C E N P— A抗体による染色で ある。 これらの染色は 2次抗体として C E N P— A抗体については抗マウス I g G—蛍光イソチオシァネート (F I T C) を、 C E N P— C抗体については抗モ ルモッ ト I g G—ローダミンイソチオシァネート (R I T C) を用いた。 第 3図 Aの下段左側は染色体を 4 ' , 6 ' ージアミジノー 3—フエニルインド一ル (D
AP I ) で DNAを染色したものである。 第 3図 Aの下段右側は、 前記の 3種の 染色を重ねあわせ (Marged) たものである。
第 3図 Bは、 可溶化クロマチンを本発明の抗 C E N P— A抗体又は抗 C E N P 一 C抗体によって免疫沈降 (CH I P) したときに、 抗 C ENP— A抗体又は C ENP— Cと共沈降した C ENP— A、 C EN P— Bおよび C ENP— Cをゥェ スタンプロッ ト法により検出した結果を示す図面に代わる写真である。 単離され た H a L a細胞の核を 40 U/mLの MN a s eで 5分間処理したサンプル (レ ーン 1及び 3) 、 8
の1^ & 3 6で4 5分間処理したサンプル (レー ン 2及び 4) である。 そして、 可溶化されたサンプルを抗 C E N P— A抗体を用 いて免疫沈降 (CH I P) したもの (レーン 1及び 2) 、 抗 C EN P— C抗体を 用いて免疫沈降 (CH I P) したもの (レーン 3及び 4) である。 沈殿したタン パク質は、 C ENP— B及び C ENP— Cについては S D S— 7. 5 %で、 C E N P— Aにっては S D S— 1 2. 5 %で分離した。 タンパク質の検出は A C A血 清 (AK) を用いたウェスタンプロッ トによる。 レーン Mは C ENP— A、 C E NP— B及び C ENP— Cの位置を示すマ一カーである。
第 4図は、 本発明の抗 C E N P— A抗体により沈殿したサンプル (a CA) お よび、 上澄をさらに、 八〇八抗体 1 g Gによって沈殿したサンプル (ACA) の ACA血清を用いたウエスタンブロッテイングによる C EN P— A、 一 Bおよび 一 Cの結果を示す図面に代わる写真である。 レーン 1一 4は第 1図 Bに示す 4つ のサンプルを示し、 レーン 5— 8は各サンプルを AC A I g Gとともに沈殿させ た場合を示す。 レーン Mは C ENP— A、 C E N P— Bおよび C E N P— Cを含 有する C ENP— A/B/Cマ一力一混合物である。
第 5図は、 第 4図の沈殿した AZBZC複合物中の C EN P— C/Bのモル比 を計算した結果をグラフ化したものである。
第 6図は、 第 4図の結果の各サンプル中の C EN P—A/Bのモル比と C EN P— Aおよび C ENP— Bの量をグラフ化したものである。 ·印は CEN P— A モル比を示し、 ▲印は C E N P— Aを示し、 圔印は C E N P— Bを示す。 第 7図は、 5〜 2 0 %グリセロール濃度勾配遠心により抗 C ENP— Aまたは 抗 C EN P— C抗体とともに免疫沈澱した動原体クロマチンのサイズ分布を示す
図面に代わる写真である。
第 7図 Aは、 第 1図 Bのサンプル # 3のバルククロマチンの分布をヌクレオソ ーム DN Aラダーによって示したものであり、 第 7図 Bおよぴ第 7図 Cは、 抗 C E N P - A (第 7図 B) 抗体または抗 C EN P— C (第 7図 C) 抗体とともに各 画分を免疫沈降し、 ACA血清を用いてウエスタンブロッテイング法により C E N P—A、 C ENP— Bおよび C ENP— Cの分布を検出したものである。
第 8図は、 抗 C ENP— A抗体ビーズによって単離精製したセントロメァクロ マチンに含まれる DN Aの鎖長分布を示す図面に代わる写真である。
第 9図は、 単離したセントロメァクロマチンが、 C ENP— H、 C ENP- I /H. M i s — 6、 H. M i s— 1 2を含むものであることを示す図面に代わる 写真である。
バキュロウィルス系で発現精製した C EN P—H (レーン 1 ) 、 C ENP— I /H. M i s - 6 (レーン 2 ) 及び単離精製したセントロメァクロマチン (レ一 ン 3— 6 ) を 1 2. 5 % S D S— PAGEによって分離し、 PVD F膜に転写後、 抗 C ENP— H抗体 (レーン 1、 3 ) 、 抗 C ENP— I /H. M i s - 6抗体 (レーン 2、 4 ) 、 抗 H. M i s - 1 2抗体 (レーン 5) 及び AC A抗体 (レ一 ン 6 ) を用いて免疫反応を行った。 分子量マーカーを左に流した (レーン M) 。 第 1 0図は、 MN a s e処理により可溶化されたセントロメァクロマチン (第 8図、 第 9図と同一サンプル) を、 ひ一 C E N P— A抗体を用いた免疫沈降 (C H I P) により沈殿したきた物質のプロテオ一ム解析の結果を示した、 図面に代 わる写真である。
レーン 2、 3、 4は、 沈殿した物質を 8 M尿素で溶出させた画分の番号を示す。 1 0 % S D S - P A G Eでの銀染色である。 レーン Mは分子量マ一カーであり、 右端のレーンは 8 M尿素溶出後のビーズにさらに S D Sを加え煮沸 (boil) した ものであり、 右端の数字は各 S D S一ボイルサンプルでプロテオ一ム解析したバ ンドの番号である。 各パンドのタンパク質についての説明は本文中に記載されて いる。
第 1 1図は、 第 1 0図で 8 M尿素で溶出したレーン 3サンプルを 7. 5 % S D S— PAGEによって蛋白質の分離を行い、 クマシ一染色した結果を示した、' 図
面に代わる写真である。
レーン Mは分子量マ一カーであり、 レーン Sの右端の数字は各バンドの番号で あり、 これらをプロテオーム解析に供した。 各パンドのタンパク質についての説 明は本文中に記載されている。
第 1 2図は、 本発明の可溶化クロマチンを比較のためにマウス I g Gビーズを 用いて免疫沈降した結果を示す図面に変わる写真である。 マウス I g Gのピーズ 及び枋 C E N P— A抗体ビーズのそれぞれのビーズを 0 . 3 MN a C 1 を含むバ ッファーで 3回洗った後に、 0. 6 M N a C l、 2 MN a C l、 0. 1 Mグリ シン— H C 1 ( p H 2. 5 ) で段階的に蛋白を溶出した。 それぞれのピースを 0. 6 M N a C 1で溶出したサンプルについて 1 2. 5 % S D S — P A G Eで分離 しクマシ一プリリアントブルー (C B B ) 染色した。 左のレーン I g G ; I g G ビーズ 中央のレーン a C E N P— A ; 抗 C E N P— A抗体ピーズ 右のレーン M ;分子量マ一力一。 図の左側番号は I g Gレーンの主要なバンドを示し、 各バ ンドの詳細は本文中に記載した。
第 1 3図は、 第 1 2図で説明したそれぞれのビーズから 0 . 6 MN a C 1で溶 出したサンプル ( a A及び I g ) を 1 2. 5 % S D S — P A G Eして分離し、 P VD F膜に転写し、 第 1 3図の上段に示した抗体で免疫染色した結果を示す図面 に変わる写真である。 各レーンセッ トの左が a C Aビーズサンプル、 右が I g G ビーズサンプルである。 1次抗体は、 レーンセッ ト 1がゥサギ抗 C E N P— H抗 体、 2がゥサギ抗 C E N P— H抗体と A C A抗体、 3がマウス抗マウス R i n g I B抗体 (モノクローン抗体) 、 4がゥサギ坊ヒト R N F 2抗体、 5がマウス抗 ヒト B M I — 1抗体、 6がゥサギ抗 C E N P— I /H. M i s 6抗体、 7がゥサ ギ抗 H. M i s i 2抗体である。 2次抗体はそれぞれ H o r s e r a d i s h p e r o x i d a s e結合の、 抗ヒト I g G抗体 (レーン 2 ) 、 抗マウス I g G抗体 (レーン 3、 5 ) 、 抗ゥサギ I g G抗体を用いた。 発色はコニカイムノス ティンを用いた。
第 1 4図は、 B M I 1抗体及び C E N P - C抗体を用いて H e L a細胞を免疫 染色した結果を示す図面に変わるカラ一写真である。 第 1 4図 A (左上) は抗 C E N P - Cで染色したものを示し、 第 1 4図 B (右上) は抗 B M I 1で染色した
ものを示し、 第 1 4図 C (左下) は DAP I による核酸染色を示し、 第 1 4図 D (右下) はこれらを重ねあわせたものである。
第 1 5図は、 BM I 1抗体及び C ENP— I抗体を用いて H e L a細胞を免疫 染色した結果を示す図面に変わるカラー写真である。 第 1 5図 A (左上) は抗 C ENP— Iで染色したものを示し、 第 1 4図 B (右上) は抗 BM I 1で染色した ものを示し、 第 1 4図 C (左下) は DAP I による核酸染色を示し、 第 1 4図 D (右下) はこれらを重ねあわせたものである。
第 1 6図は、 第 1 1図 1 4番バンドに対応するキュリン 4 (Cullin4) に対する 抗体を用いて H e L a細胞を免疫染色した結果を示す図面に変わるカラ一写真で ある。 第 1 6図 A (左上) は抗 C E N P— Aで染色したものを示し、 第 1 6図 B (右上) は抗キュリン 4で染色したものを示し、 第 1 6図 C (左下) は DAP I による核酸染色を示し、 第 1 6図 D (右下) はこれらを重ねあわせたものである。 第 1 7図は、 第 1 6図と同様の方法により M期 (各図の左側) と S期 (各図の 右側) の細胞を染色した結果を示す図面に変わるカラ一写真である。 第 1 7図は、 M期 (各図の左側) と S期 (各図の右側) の各々の 4枚、 合計 8枚の写真からな るものであり、 それぞれ上から A、 B、 C、 Dとなっている。 第 1 7図 A (最上 段) は DAP I による DN Aの染色を示し、 第 1 7図 B (上から 2段目) は抗 C ENP— Aで染色したものを示し、 第 1 7図 C (上から 3段目) は抗キュリン 4 で染色したものを示し、 第 1 7図 D (最下段) はこれらを重ねあわせたものをそ れぞれ示している。 発明を実施するための最良の形態
本発明者らは、 細胞融合法におけるモノクローナル抗体の製造方法において、 ハイプリ ドーマ細胞の選別、 樹立をできるだけ簡略化する方法を検討してきたと ころ、 ミエ口一マ細胞として融合効率の高いマウスの骨髄腫細胞である P 3 - X 6 3 - A g 8. 6 5 3細胞を使用し、 細胞培養培地として牛胎児血清を少ししか 必要としない G I T培地 (日本製薬) を使用することにより、 第一次選別に際し て従来の半分以下の培地面積で選別できることを見出した。 例えば、 9 6ゥエル プレートとして、 その約半分のハーフゥエルプレ一卜を使用することができ、 顕
微鏡でのクローンの出現数を確認するときに、 ゥエル全体を一視野で観察するこ とができ、 迅速なスクリーニングが可能となった。
本発明者らは、 C EN P— A蛋白質は抗原性を有する活性部位を特定すること が困難な蛋白質であり、 C EN P— A蛋白質の全長を用いて抗体を作製しても C E N P一 A蛋白質に有効に反応する抗体を作製することは困難であった。 そこで、 C ENP— A蛋白質に有効に反応する抗体を作製するために、 C ENP— A蛋白 質の各種の断片を用いて抗体を作製した。 即ち、 ヒ ト C E N P— A蛋白質の 3〜 1 9番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 3— 1 9 ) 、 ヒ ト C ENP— A蛋白質 の 1 2〜2 5番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 1 2— 2 5) 、 ヒ ト C ENP —A蛋白質の 2 7〜4 0番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 2 7— 4 0 ) 、 ヒ ト C ENP— A蛋白質の 3 9〜 5 3番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 3 9— 5 3) 、 及びヒ ト C E N P— A蛋白質の 1 2 6〜 1 40番目のアミノ酸配列から なる断片 (# 1 2 6— 1 1 0) を各々抗原として用いて、 モノクローン抗体産生 ハイプリ ドーマ細胞のスクリーニングを行った。
この結果、 抗 C ENP— Aペプチド (# 3— 1 9) 抗体、 抗 C ENP— Aぺプ チド (# 2 7— 40 ) 抗体、 及び抗 C E N.P— Aぺプチド (# 1 2 6— 1 40 ) 抗体が極めて有効な抗体であることがわかった。 特に、 抗 C ENP— Aペプチド (# 3— 1 9 ) 抗体は、 ウェスタンブロッ ト法、 間接蛍光抗体染色法、 免疫沈降 法において極めて優れた結果を与えることがわかった。
これらの多数のぺプチド断片に対する抗体の作製方法として、 本発明の前記し た抗体作製方法が極めて有効であることもわかった。
同様にして、 抗 C E N P— B抗体及び抗 C E N P— C抗体を作製した。 即ち、 C ENP一 B蛋白質の N末端側の半分のアミノ酸配列を有するペプチドを大腸菌 発現系を用いて発現させた組換えべプチドを抗原とし、 また C ENP— C蛋白質 の N末端側の半分のアミノ酸配列を有するぺプチドをバキュロウィルス系を用い て発現させた組換えべプチドを抗原として抗体を作製した。
次に本発明者らは、 得られた本発明の抗体が有効に反応していることを確認し、 その応用例を示すために次の実験を行った。
まず、 本発明者らは、 セントロメァクロマチンが H e L a細胞核から可溶化す
る条件を検討した。 N a C 1 による可溶化を検討した結果を図 1 Aのレーン 1〜 3に示す。 核を 0. 3 MN a C 1処理することによる結果を第 1図 Aのレーン 1 に示す。 この条件では C EN P— A、 — B、 一 Cどれも可溶性画分に溶出しない ことが確認された。 0. 6 MN a C 1処理による上澄液の結果を第 1図 Aのレ一 ン 2に、 沈殿物の結果を第 1図 Aのレーン 3に示す。 この結果、 C ENP— B及 び C EN P— Cが可溶化したことは見られたが (第 1図 Aのレーン 2) 、 C E N P— Aの可溶化は見られなかった。 次に、 核を 0. 3 MN a C l 中でミクロコッ カルヌクレア一ゼ ( (micrococcal nuclease) MN a s e) で消化した場合の上 澄液の結果を第 1図 Aのレ一ン 4に、 沈殿物の結果を第 1図 Aのレ一ン 6にそれ ぞれ示す。 この結果、 MN a s eで処理した場合には C E N P— A、 一 B、 及び 一 Cがいずれも 3 0〜 5 0 %が可溶化することがわかった。 なお、 ウェスタン解 析において、 それぞれのバンドがセントロメァ蛋白であることは、 サンプル中に A C A—ビーズを加えると各々のバンドが除去されることによって確定した (第 1図 Aのレーン 5 ) 。
これらの結果から、 C EN P— Aを含むセントロメァクロマチンはバルククロ マチンと同様に MN a s e消化によって可溶性画分に溶出することができること がわかった。
次に、 H e L a細胞の核ペレッ トをミグロコッカルヌクレア一ゼ ( (micrococ cal nuclease) MN a s e) で消化した後、 放出されたセントロメァクロマチン の程度を見出すために CENP— Aの動的研究を行なった。 単離された H e L a 細胞を、 様々な程度 ( 40— 3 6 0 0単位/ m 1 ·分) にまで MN a s eで消化 した。 この結果を第 1図 Bに図面に変わる写真で示す。 第 1図 Bは、 MN a s e 消化後の各サンプルにおける DNAのサイズ分布を示すものである。 3 7°Cで H e L a核を MN a s eによって消化し、 可溶性画分から抽出した D N Aを 1 %ァ ガロースゲルで電気泳動し、 臭化工チジゥム染色によって D N Aを検出した結果 を示す。 MN a s e消化の条件は次のとおりである。 レーン 1は、 2 0単位/ m 1、 2分 ( 4 0単位/ m 1 ' 分、 以下これをサンプル # 1という。 ) 、 レーン 2 は、 2 0単位/ m 1、 4分、 ( 8 0単位 Zm 1 ·分、 以下これをサンプル # 2と いう。 ) 、 レーン 3は、 40単位 し 5分、 ( 2 0 0単位 Zm 1 ·分、 以下
これをサンプル # 3という。 ) 、 レーン 4は、 8 0単位/ m 1、 4 5分 ( 3 6 0 0単位/ m l ' 分、 以下これをサンプル # 4という。 ) 。
また、 MN a s e消化後の可溶性画分と不溶性画分のパルククロマチンタンパ クを S D S— P A G Eによって分画しクマシ一ブリリアントブルー (C B B) 染 色によって検出した結果を第 1図 Cの上側の図面に代わる写真で示す。 この際、 バルククロマチンの相対量をヒストン H 4のバンド強度で測定した。 セントロメ ァクロマチンの相対量は C EN P— Aの量で測定した。 分画した蛋白を膜に転写 後 A C A抗体を用いた免疫染色によって C E N P— Aを同定した結果を第 1図 C の下側の図面に代わる写真で示す。 第 1図 Cのレーン 1〜 4は上澄液からのもの であり、 レーン 5〜 8は沈殿物からのものであり、 レーン Mは C E N P— Aの位 置を示すものである。
これらの結果は、 C ENP— Aを含むセントロメァクロマチンはバルククロマ チンと同じ様に MN a s e消化によって可溶化することができることを示してい る。
次に C E N P— Aを含む動原体クロマチン複合体の構造と組成を調べるために、 本発明の抗 C ENP— Aモノクローナル抗体とのクロマチン免疫沈降 (CH I P ) を行なった。 トリヌクレオソ一ム及びそれ以上のヌクレオソ一ムを含むクロ マチンを第 1図 Bのサンプル # 3の 5— 2 0 %グリセリン勾配沈降で回収し、 そ して抗 C EN P— A、 — B及び一 Cと免疫沈降させた。 スロッ ト一プロッ ト分析 により、 ひ一サテライ ト DN Aは濃縮されていることがわかった (データは示し ていない) 。 結果を第 2図に示す。 第 2図は、 C E N P— Bボックス含有 α—サ テライ ト DNAを抗 C ENP— Α、 抗 C EN P— Βまたは抗 C ENP— C抗体と ともに免疫沈降したクロマチンに含まれる D N A配列の分布を示す。 第 2図の右 側 3カラムの I Pは、 抗 C ENP— A抗体 (第 2図では a CAと示されてい る。 ) 、 抗 C EN P— B抗体 (第 2図では a C Bと示されている。 ) 、 または、 抗 C ENP— C抗体 (第 2図では《 C Cと示されている。 ) により免疫沈降した D N A断片を T o p oベクター ( I n v i t r o g o n社) にクローン化し、 塩 基配列決定したものの分布を示す。 クローン化した断片の 8 0 %以上が 5 0 0 b より長かった。 第 2図の左側の 「 I P前 (B e f o r e I P) 」 は免疫沈降
する前の可溶化パルククロマチンから作製したクローンを示している。 黒線は c
E N P— Bポックス含有 α—サテライ ト DNAを有するクローン数を示す。 白抜 きの線はそれ以外のクローン数を示しているが、 このクローンはユニーク配列で あり、 ほかの反復配列を含まず、 C ENP— Βボックスを含有しない α—サテラ イ ト DNAすら含まない。
第 2図に要約されるように、 C ENP— Βボックスを含む a—サテライ ト DN Αを 3つの抗体の各々を用いる CH I Pによって濃縮できた。 C ENP— Bは C ENP— Bボックスと優先的に結合することが既に示されている。 したがって、 抗 C ENP— B抗体を用いる CH I Pは α—サテライ ト DNAと C EN P— Bポ ッタスと沈降する (2 0クローン ;全クローンの 3 1 %) ことが期待され、 他の 4 3のクローン (6 9 %) D N Aはバックグラウンドであろうと考えられ、 それ はこの抗 C ENP— Bモノク口一ナル抗体の質を反映するであろう。 抗 C E N P - C抗体を用いる C H I Pは、 α—サテライ ト DNAの C EN P— Βボックスを 顕著に濃縮し (2 6 %) 、 他方钪 C EN P— A抗体を用いる CH I Pは著しく高 い割合 ( 7 6 %) で C E N P— Bボックス含有ひ —サテライ ト D N Aを沈降させ た。 すべての CH I P解析を通じて、 C EN P— Bボックスのない α—サテライ 卜 D N A画分は回収されなかった。 これらの結果は、 C EN P— A、 — Bおよび 一 Cを含有する動原体クロマチン複合体は、 H e L a細胞内で C ENP— Bポッ クスを含む α—サテライ ト DNA ( ひ I 一タイプの配列) 上に選択的に形成され ることを示唆するものである。
次に、 第 1図 Βに示すサンプル # 3および # 4の可溶化クロマチンの免疫沈降 での共沈降を検討した。 結果を第 3図に図面に代わる写真で示す。 第 3図 Αは、 作成した抗 C E N P一 A抗体、 及び抗 C E N P— C抗体が極めて特異性高く M期 染色体のセントロメァを染めることを示している。 これらの抗体を用いて第 3図 Bで、 可溶化クロマチンを抗 C E N P— A抗体 (レーン 1、 2 ) あるいは抗 C E N P— C抗体 (レーン 3、 4 ) によって免疫沈降した後 7. 5 % (第 3図 Bの上 段のもの) あるいは 1 2. 5 % (第 3図 Bの下段のもの) S D S— PAGE後、 A C A血清を用いてウェスタンブロッテイングで分析した。 レーン 1、 3はサン プル # 3を用いた場合を示し、 レーン 2、 4はサンプル # 4の場合を示す。 サン
プル # 3では C E N P— B、 一 C (レーン 1 ) あるいは C ENP— A、 一 B (レ —ン 3) が共沈殿していることを示す。 しかし、 強い MN a s e消化をしたサン プル # 4では共沈殿するセントロメァ蛋白は大きく減少している (レーン 2、 4) 。 これらの結果は 0. 3 MN a C lで C ENP— Bと C ENP— Cが DNA を介して C ENP— Aヌクレオソームを相互作用していることを示している。 バルククロマチン画分での C ENP— Bおよび C ENP— Cをウェスタンプロ ッティングで直接検出し定量することは高いバックグラウンドのために困難であ る。 そのため、 抗 C E N P— A抗体および A C A血清を用いる 2段階の免疫沈降 により C ENP— Aヌクレオソームと相互作用する C EN P— Bおよび C ENP 一 Cの量を測定した。 その結果新たに作製された本発明の抗 C E N P— A抗体は, C ENP一 Aクロマチンを定量的に沈降することができることが示された。 第 1 図 Bに記載した 4つのサンプルの各々を抗 C E N P— A抗体と免疫沈降させ、 つ いで上澄み液を A C A血清で沈澱させた。 両方のセッ トの沈降 (a CAおよび A C A) を A C Aとのウェスタンブロッテイングで分析した。
結果を第 4図に図面に代わる写真で示す。 第 4図は、 抗 C ENP— A抗体によ り沈降した C ENP— A/B/Cクロマチン複合体中の C ENP— A、 — Bおよ び一 Cの含有量の A C A血清を用いたウエスタンプロッティングによる結果を示 す。 第 1図 Bに示す 4つの MN a s e消化サンプルを抗 C E N P - A抗体を用い て免疫沈降した (レーン 1一 4 : a CAのサンプル 1 2 1 ) 。 次に、 上澄み液 を ACA抗体によって免疫沈降させて (レーン 5 — 8 : AC Aのサンプル 1 2 1 ) 、 ACA血清を用いて、 残渣の C E N P sを検出した。 沈殿したタンパクを 1 2. 5 % S D S— P A G Eにより分離し、 P VD F膜にブロッ トして ACA血 清を用いて免疫染色した。 a C Aサンプル中の C E N P— A (レーン 2— 4) が 過剰であるため、 1. 5 X 1サンプルも免疫染色し、 下に示した。 両方のサンプ ルにみられる C ENP— Aと C EN P— Bとの間の広いスメァ状のバンドは、 抗 体セファロースピーズから遊離した I g Gである。 レーン Mは C ENP— A ( 6 1 f m o \ / n 1 ) 、 C EN P— B ( 2 3 f m o 1 / ^ 1 ) および C ENP - C (2 5 f m o 1 / 1 ) を含有する C ENP— A/B/Cマーカー混合物 4 /x 1 であり、 モル比は AZB/C= 2. 6 5 : 1 : 1. 0 9である。
第 4図 (レーン 1一 4) に示されるように、 C ENP— Bおよび C ENP— C は C E N P— Aと共沈降した。 第 4図 (レーン 5— 8) は、 C ENP— Aクロマ チンが上澄み液の溶液から殆ど除去されていること、 C EN P— Cもまた初期の 消化で殆ど消失していること (第 4図、 レーン 5— 6) 、 しかし可溶化 C EN P 一 Bの 4 0 - 5 0 %は CEN P— Aクロマチンの除去後に上澄み液の中に明らか に残っていること (第 4図、 レーン 5— 6) を示している。 第 4図 (レーン 3 ) に示す沈澱をさらに MN a s eで消化するか又は 0. 6 M N a C lで処理する と、 C E N P— Bおよび C E N P— Cは上澄み液の中へ放出された (データは示 してない) 。 これらの結果から、 可溶化 C E N P— Cの殆どと可溶化 C E N P— Bの約半分が、 DNAを介して C ENP— Aヌクレオソ一ムと複合体を形成した ものと結論した。
第 4図に示すように、 C E N P— Bおよび C E N P— Cの量は増大し (レーン 1一 3) 、 最大値に達し (レーン 3) 、 次いで D N A切断が進行するにつれて減 少した (レーン 4) 。 その一方で C E N P— Aの量は増加し続けた。 これらの結 果は、 H e L a細胞の MN a s e消化は 2つの現象をもたらすことを示した。 す なわちそれは先ず C E N P— AZBZC複合体を可溶性画分に放出し、 その後に 複合体から C E N P— B及び/又は C E N P— Cを除去する。 したがって、 弱い MN a s e処理で放出された複合体の中の C ENP— A/B/Cのモル比 (第 1 図 B、 # 1および # 2) は、 プレ動原体 C E N P— A/B/C複合体のモル比を 表わすものであろう。 プレ動原体クロマチン複合体の化学量論を測定するために, パキュロウィルス系で発現させた組換えタンパクを用いて濃度のわかっている A ZB/C混合物を作製した。 これらの組換えタンパクの A C A血清に対する反応 性は、 H e L a細胞から精製したタンパクのそれと同じであることが確認された (デ一夕は示さず) 。 第 4図のレーン Mにおける標準混合物の C ENP— CZB モル比は 1. 0 9であったが、 C E N P— Cの膜への移動の効率が低いので C E N P— C群の強度は C E N P— Bのそれよりも僅かに弱かった。 これを勘案して 第 4図のレーン 1— 4における C ENP— C/Bのモル比を計算した結果を第 5 図に示す。 第 5図は、 沈殿した A/B/C複合物中の CEN P— CZBのモル比 の計算値を示す。 第 4図のレーン 1一 4の C ENP— Cおよび C ENP— Bの強
度を N I Hィメージ解析ソフトによって測定し、 第 4図のレーン M中のマーカー 混合物 (C/Bモル比 = 1. 0 9) の強度値を用いて、 C ENP— C/Bの強度 比をモル値に換算した。 サンプル # 1および # 4の CZBのモル比はマーカ一混 合物 3 n 1 を用いて補正し、 補正値を示す (黒い三角印) 。
その結果、 それらは一定で約 1であることを示した。 一方、 C ENP— A/B の強度比は実際的にそのモル比を表わした'。 これらのデータをもとにして、 C E NP— A/Bモル比のキネテイクス(Kinetics)を第 6図に示した。 第 6図は、 各 サンプル中の C EN P— A/Bのモル比と C EN P— Aおよび C ENP— Bの量 を示す。 サンプル # 1 (第 4図のレーン 1 ) およびサンプル # 2— 4の A/B強 度比 (ウェスタンブロッテイングに各サンプル 3 1 を用いた。 ) を測定し、 A _/Bモル比としてプロッ トした (ー參一) 。 A/Bモル比はサンプル # 1で 4. 2 6であり、 サンプル ;# 2で 4. 1 0であった。 マ一力一プロテインとバンド強 度を比較して C EN P— Aおよび C ENP— Bの量を計算した。 C ENP— Aは ▲印で、 C EN P—Bは■印で、 目盛は右軸に示す。 MN a s e消化のそれぞれ の強度 (単位/ m 1 ·分) に対して、 C E N P— Aの 1 Z4をプロットした。 この結果、 初期消化 (サンプル # 1および # 2 ) での C E N P— C/ B比およ び C E N P— AZ Bのモル比は殆ど一定で、 各々 1. 1 0. 1および 4. 2 0. 4であった。 1 01Q核当量での各サンプルでの C E N P— Aおよび C E N P 一 Bの量を第 6図に記じた。 これらの結果から、 プレ動原体クロマチン複合体の CENP— A : B : Cの平均モル比は概ね 4 : 1 : 1であると結論できた。
C EN P— A/BZCクロマチンは MN a s e消化によって 3〜4me rヌク レオソームまで切り縮めることができる。
次に、 C EN P一 A/B/ Cクロマチンが複合体を保ったままで何処まで短く 切り縮めることが出来るかを検討するため、 6 0 U/m l、 3 7 °C 1 5分MN a s e消化して可溶化したバルククロマチンを 5— 2 0 %グリセ口ル濃度勾配遠心 によって分子量に従って分画した。 各々の分画を抗 C ENP— Aまたは抗 C EN P一 C抗体を用いて免疫沈降し、 S D S— PAGE後に ACA血清を用いて C E NP— A、 一 B及び一 Cを検出した。 結果を第 7図に図面に代わる写真で示す。 第 7図 Aは、 バルククロマチンの分布をクロマチンに含まれる DNAラダーによ
つて示す。 第 7図 Bは各々の分画の抗 C EN P— A抗体による CH I Pを、 第 7 図 Cは各々の分画の抗 C ENP— C抗体による CH I Pを示している。 抗 C EN P— C抗体による CH I Pでは C ENP— A、 一 B、 及び一 Cの強度分布が対応 している (第 7図 C) 。 このことは抗 C ENP— C抗体による CH I Pによって 主に C ENP— AZB/C複合体が免疫沈降していることを強く示唆している。 第 7図 B及び Cの結果によると C ENP— A/B/C複合体のピークはフラクシ ヨ ン 7番に位置している。 このフラクションは第 7図 Aの DN Aラダ一から 5— 6 m e rヌクレオゾームの沈降位置に相当する。 モノヌクレオソ一ムの分子量は 約 2 40 kDに相当する。 C EN P— B + C ENP— Cはおよそ 2 2 0 kDでほ ぼモノヌクレオソ一ムの分子量に相当する。 従ってモノヌクレオソーム +C EN P - B + CENP - Cは少なく とも 46 0 k D以上となる。 従ってフラクショ ン # 7は C ENP— B、 C EN P - Cの分子量を考慮すると 3 ~4me rヌクレオ ソームの CEN P— A/B/C複合体に相当することになる。 これらの結果から C EN P—A/B/Cクロマチンは M N a s e消化によつて 3〜4me rヌクレ ォゾームまで切り縮めることが出来ると結論することが出来る。
このように、 本発明の C E N P— A抗体は、 C E N P— A蛋白質に極めて特異 的に結合し、 動原体の解析などに極めて有効であることがわかった。 また、 本発 明の C E N P— A抗体は、 染色体異常についてのスクリーニングゃ診断に有効で ある。 セントロメァ領域を決定する第一の要因が C E NP— A蛋白質を含むヌク レオソーム (C ENP— Aヌクレオソ一ム) の形成であることから、 本発明の C E N P— A抗体はセン トロメァ領域を示すマーカーとして、 セントロメァが形成 される領域を検出、 同定するための極めて有効な抗体である。 さらに、 具体的に は、 例えば、 正常なセントロメァ領域以外にセントロメァが形成される病気があ り、 このような病気に対して本発明の抗体はセン卜ロメァの異変を確実に、 かつ 高感度で検出できるものである。
次に、 本発明者らは、 セントロメァクロマチンに含まれる C ENP— A、 一 B. — C以外の既知セントロメァ蛋白の同定を行った。 本発明の方法により、 H e L a細胞単離核を 0. 3 MN a C 1存在下で比較的弱くミクロコッカスヌクレア一 ゼ処理することによって C ENP—A/B/Cクロマチン複合体を全体性を保つ
た形で可溶性画分に溶出でき、 さらに抗 C EN P— A抗体ピーズを用いて単離精 製出来ることを示した。 この結果は、 単離した C E N P— A/B/Cクロマチン にさらに他のセントロメァ蛋白が構成因子として含まれている可能性を強く示唆 している。
そこで、 最近明らかにされた、 C E N P— H及び C E N P— Iノ h um a n M i s— 6の遺伝子を調達した。 C E N P—H遺伝子は戸所博士 (理研) からの 供与のものである。 C ENP— I ZH. M i s — 6は H e L a c DNAライブ ラリ一から P C R増幅の後、 クロ一ニングによって調達した。 バキュロウィルス 系によってそれぞれの蛋白質を発現し、 S D S— PAGEによって蛋白質を分離 し、 バンドを切り出すことによって目的の蛋白質を精製した。 抗 CENP— H抗 体はゥサギに、 抗 C EN P— I抗体はラッ トに免役して抗体を作成した (オリエ ンタル酵母、 受託) 。 抗ヒト M i s - 1 2抗体は柳田充弘博士より供与を受けた。
H e L a細胞の核を単離し ( 5 X 1 09) 、 0. 3 MN a C 1存在下、 6 U/m 1 MN a s e、 3 7 °C 3 0分の処理によって C ENP— AZB/Cクロマチン複 合体を可溶化し、 抗 C ENP— A抗体ビーズによって単離精製した。 このときの DNAの長さは 0. 3— 5 k b pであった。 結果を第 8図に図面に代わる写真で 示す。 第 8図のレーン Mはマーカ一を示す。
ついで、 単離精製したセントロメァクロマチンを S D S— PAGEによって蛋 白質を分離し、 それぞれの抗体を用いてウェスタンブロッテイングによって目的 の蛋白質の同定を試みた。 結果を第 9図に図面に代わる写真で示す。 第 9図のレ ーン Mはマーカ一を示し、 レーン 1〜 6は各レーンの上に記載されている物の + 印で示されている物を用いたことを示す。 使用した物は上から 「組換え C ENP 一 H」 、 「組換え C EN P - I /Hum a n M i s 6」 、 「セントロメァクロ マチン」 、 「C ENP— H抗体」 、 「C E N P— I /H u m a n M i s 6抗 体」 、 「 Huma n M i s 1 2抗体」 、 「ACA」 である。 第 9図に示される ように、 単離したセントロメァクロマチンは C E N P— A、 一 B、 一 Cを含み (レーン 6 ) さらに、 C ENP— H (レーン 3) 、 C ENP - I /h um a n M i s — 6 (レーン 4 ) 、 h um a n M i s— 1 2 (レーン 5 ) を同時に含む ことが明らかとなった。
ここで、 抗 C EN P— Aモノクローナル抗体をクロマチン免疫沈降(^romatin Immuno-Precipitation; CUP)に用いることの意義について説明する。
以上の実験結果が示すように本発明の抗 C EN P— Aモノクローナル抗体は C h I P法によってセントロメァクロマチンをその全体性をよく保存した形で単離 精製することが可能であることが明らかとなった。 従来の C h I P法はホルムァ ルデヒ ドを用いて複合体をクロスリ ンクによって固定した後に超音波処理あるい は MN a s e処理によって DN Aを切断し可溶化する方法がとられていたが、 こ の方法では蛋白を解析することが困難であった。 そこで本発明ではホルムアルデ ヒ ド処理は行わず、 MN a s e処理によって極めてマイルドな条件で可溶化でき ることを見出した。 本発明において重要なポイントは 2点である。 第 1点は特異 性の高い抗 C ENP— Aモノクローナル抗体であり、 第 2点は全体性を保った形 でセントロメァクロマチンを可溶化する方法である。 本発明は、 抗 CEN P— A モノク口一ナル抗体、 及びその利用法として全体性を保ったセントロメァクロマ チンの単離法を提供するものである。
本発明の可溶化方法は、 MN a s e処理によって極めてマイルドな条件で可溶 化できるものであり、 使用される MN a s eの濃度は l U/mL〜 5 0 0 U/m L、 好ましくは 1 0 U/mL〜 1 0 0 U/mLであり、 処理時間は可溶化するセ ントロメァクロマチンの状態や使用する MN a s eの濃度や、 目的とする可溶化 の程度によっても異なるが、 一般的には 1分〜 1 0 0分、 好ましくは 1分〜 5 0 分程度である。 処理温度は MN a s eの活性が維持できる温度であれば特に制限 はないが、 体温付近が好ましい。
この処理は適当な緩衝液中で行う ことができ、 例えば後述する実施例に記載の ように WB緩衝液を使用することができる。 緩衝液には必要に応じて N a C 1や C a C 1 2などを添加することができる。
なお、 本願の優先権の基礎となる特許出願の後に公表された本発明者らによる 論文 (Satoshi Ando, et al. , Molecular Cellular Biol. , 22 (7), 2229-2241 (2002)) には、 MN a s e処理によるセントロメァクロマチンの動態を詳細に解 祈し全体性を保ったセントロメァクロマチンの単離法が記載されている。
本発明の方法により可溶化して単離したセントロメァクロマチンを分析した例
を第 1 0図及び第 1 1図に図面に代わる写真で示す。 第 1 0図は、 可溶化したセ ントロメァクロマチンを C E N P— A抗体で免疫沈降させ、 8 M尿素で (レ一ン 2〜4) 含むあるいは、 次に S D S存在下で加熱 (S D S—ボイル) して溶出し たサンプルを 1 0 % S D S— PA G Eで展開し、 銀染色したものである。 第 1 0 図の右側の数字は S D S一ボイルサンプルについて銀染色法により検出された夕 ンパク質のバンドを示しており、 これらをプロテオ一ム解析した。 第 1 0図の右 側の数字で示されるタンパク質のバンドを解析したプロテオーム解析の結果は以 下のとおりである。
1は、 未知タンパク質であり、
2は、 未知タンパク質であり、
3は、 検索により該当タンパク質を見出せなかった (no hit) を示し、 4は、 C E N P— Cを示し、
5は、 分裂期キネシン様 1 (mitotic Kinesin-like 1) を示し、
6は、 分裂期キネシン様 1 (mitotic Kinesin-like 1) を示し、
7は、 分裂期キネシン様 1 (mitotic Kinesin-like- 1) を示し、
8は、 マウス Ζ ί ρ 9 1 と相同性を有する亜鉛フィンガ一タンパク質 (zinc finger protein homologous to mouse Z f p91) を示し、
9は、 r a c GT Pァ一ゼ活性化タンパク質 1 (rac GTPase activating protein 1) を示し、
1 0は、 r a c G T Pァ一ゼ活性化タンパク質 1 (rac GTPase activating protein 1) を示し、
1 1は、 r a c G T Pァ一ゼ活性化タンパク質 1 (rac GTPase activating protein 1) を示し、
1 2は、 検索により該当タンパク質を見出せなかった (no hit) を示し、 1 3は、 レクタクロム 1 (rectachrome 1 (Human poly comb 3) ) を示し、 1 4は、 ポリコーム複合タンパク質 B m i — 1 (polycomb complex protein Bmi-1) 、 ポリホメォティックタンパク質 2 (polyhomeot ic protein 2 (PHP- 2)) を示し、
1 5は、 ヒトリングフィンガータンパク質 2 (human Ring finger protein 2
(mouse Ring IB)) 、 ポリ c omb複合タンパク質 Bm i — 1 ( polycomb complex protein Bmi-1) を示し、
1 6は、 ヒトリングフィンガータンパク質 2 (human Ring finger protein 2 (mouse Ring IB) ) 、 マクロ—ヒス卜ン H 2 A 1— 1 (macro - M s tone H2A1.1) を示し、
1 7は、 検索により該当タンパク質を見出せなかった (no hit) を示し、 1 8は、 フイブ1 Jラリン ibi'illarin; 34kD nucleolar scleroderma
protein; 示し、
1 9は、 ラミン A前駆体 (lamin A precursor) を示し、
2 0は、 B細胞抗原受容体 (B cell antigen receptor) を示し、
2 1は、 ヒストン H4 (histone H4) を示す。
第 1 1図は、 本発明の方法により可溶化したバルククロマチンより C E N P— A抗体で免疫沈降させ、 単離したセントロメァクロマチン複合体を 8 M尿素で溶 出 (第 1 0図レーン 3と同じサンプル) した蛋白を 7. 5 % S D S— PAGEに より分離した結果を示す図面に代わる写真である。 第 1 1図の右側の数字はそれ ぞれのバンドをプロテオ一ム解析により検出されたタンパク質を示している。 第 1 1図の右側の数字で示されるタンパク質のバンドを解析した結果は以下のとお りである。
1は、 未知タンパク質であり、
2は、 未知夕ンパク質であり、
3は、 未知タンパク質であり、
4は、 未知タンパク質であり、
5は、 S W I / S N F関連タンパク質 (SWI/SNF related ) を示し、
6は、 C ENP— Cを示し、
7は、 D N A欠損箇所結合タンパク質 (DNA damage binding protein) を示し、 8は、 未知タンパク質であり、
9は、 検索により該当タンパク質を見出せなかった (no hit) を示し、
1 0は、 検索により該当タンパク質を見出せなかった (no hit) を示し、 1 1は、 キネシン様タンパク質 5 (kinesin-like 5) を示し、 .
は、 未知タンパク質であり、 を示し、
は、 C ENP— Bを示し、
は、 C ENP— I /ヒ ト M i s— 6 ( CENP-I/hMi s-6) 、 熱ショ ック 7 0 k Dタンパク質 5 (Heat shock 70 kD protein 5) を示し、 C u 1 1 i n 4 Aを示し、
は、 R a c GAP— 1を示し、
は、 未知タンパク質であり、
は、 HDAC— 1を示し、
は、 未知タンパク質であり、
9は、 未知タンパク質であり、
9— 1は、 未知タンパク質であり、
9— 2は、 未知タンパク質、 又は、 R f p— l b、 BM I — 1を示し、9— 3は、 R f p— 2、 BM I — 1、 Z i p— 9 1、 β —ァクチン
( β— act in) を示し、
9一 4はヒス トンマクロ H 2 A 2. 1 (histone macro H2A2.1) を示し、 0は、 レクタクローム (rectachrome (Hpc-3)) 、 R i p— 1を示し、 1は、 R u v B様タンパク質 2 (RuvB-like protein 2) 、 D EADボックス タンパク質 (DEAD- box protein ) 、 ヒ ト A r p N b e t a/BAF 5 3 (hArpNbeta/BAF 53) を示し、
2は、 未知タンパク質であり、
3は、 未知タンパク質であり、
4は、 C ENP— H ( 2 0 6 ) を示し、
5は、 C ENP— H ( 1 0 9 ) を示し、
6は、 C ENP— H ( 3 3 2 ) を示し、
7は、 S o XL Z/S o x 6ロイシンジッパー結合夕ンパク質 (SoxLZ/Sox 6 leucine zipper binding protein) 、 クロモ;^ックス相同タンパク質 8 ( Chr omobox omol og 8) を示す。 1 0図及び第 1 1図においてウエスタン解析で同定した、 C ENP— A、 -
B、 一 C、 一 H、 一 I /hM i s— 6については、 アミノ酸配列として同定する ことが出来た。 さらに未知タンパク質などについては、 単離したセントロメァク ロマチンを用いてプロテオ—ム解析を続行している。 さらに現在 6 0以上の蛋白 質を同定している ( 1例として第 1 0図参照) 。
さらに、 抗 C ENP— A抗体ピーズで免疫沈降した蛋白質群が I g G抗体に非 特異的に吸着した蛋白を含むか否かをチェックした。 具体的には、 本発明の方法 で可溶化したクロマチンにマウス I g G (購入した) ビーズを加え 4°Cで一昼夜 混ぜ合わせ、 次にその上澄に抗 C E N P— A枋体ピーズで免疫沈降した。 それぞ れのサンプルから蛋白質を溶出し前述と同様の方法でプロテオ一ム解析して遺伝 子を同定した。 その結果を第 1 2図に図面に変わる写真で示す。 第 1 2図の左側 のレ一ンはマウス I g Gのものであり、 1〜1 3の番号は検出された蛋白質のバ ンドを示す。 これらの検出された蛋白質のプロテオ一ム解析の結果、 バンド 1は AT P—依存性] RN Aヘリ力一ゼ ( 1 5 8 6、 この値は、 決定したペプチドと データベースとのホモロジ—の程度を示す。 以下同じ) であり、 パンド 2は転写 制御蛋白質 8 0 ( 8 1 6 ) 、 2本鎖 RNA—特異的アデノシンデアミラーゼ ( 6 9 9 ) であり、 バンド 3は D E A D / Hボックスポリプチド 3 (DEAD/H box pol yputide 3) ( 1 0 2 2 ) であり、 バンド 4は成長制御ヌクレアーゼ 6 8蛋白質 (Growth regulated nuclease 68 protein) ( 9 6 5 ) であり、 バンド 6は B A F 5 3 ( 9 1 ) 、 ァクチン様蛋白質 6 ( 2 2 2 ) であり、 バンド 7はインタ一口 ィキンェン八ンサー結合因子 2 (3 7 1 ) であり、 バンド 8はヒストンマクロ H 2 A I . I ( 3 3 6 ) 、 ァクチン ( 1 9 3) であり、 バンド 9〜 1 3はへテロ核 リポヌクレオプロテイン類であった。 第 1 2図の右側のレーンは ο;— C ENP— Aを用いた場合である。 その右側のレーン Mはマーカ一である。 この結果、 抗 C ENP— Aビーズから回収された蛋白質のスペクトルは第 1 0図、 第 1 1図で得 られた結果とほぼ同一であった。 それに対してマウス I g Gビーズに結合した蛋 白スペクトルは全く異なるものであった (第 1 2図参照) 。 両者で重なる蛋白質 はヒストン H l、 コアヒストン (H 3 , H 2 A, H 2 B , H 4 ) 、 ァクチン及び ヒストンマクロ H 2 A 1. 1のみであった。 この結果は抗 C E N P— Aピ一ズに よって回収した蛋白質がセントロメァクロマチン特異的な物である事を示してい
る。
次に、 プロテオーム解析で検出したポリコーム複合体の構成因子である R N F 2と、 癌関連遗伝子としても知られている B M I 1について抗体を調達し、 まず 単離した C E N P— AZ B / C複合体にこれら蛋白が含まれることをウエスタン プロット法によって確認した。 結果を第 1 3図に図面に変わる写真で示す。 第 1 3図の 1〜 7の各レ一ンセットの左が《 C Aビーズサンプル、 右が I g Gピーズ サンプルである。 各レーンセッ トの 1次抗体は、 レーンセッ ト 1がゥサギ抗 C E N P— H抗体、 レーンセッ ト 2がゥサギ抗 C E N P— H抗体と A C A抗体、 レー ンセッ ト 3がマウス抗マウス R i n g 1 B抗体 (モノクロ一ン抗体) 、 レーンセ ッ ト 4がゥサギ抗ヒト R N F 2抗体、 レーンセッ ト 5がマウス抗ヒト B M I — 1 抗体、 レーンセッ ト 6がゥサギ抗 C E N P— I /H. M i s 6抗体、 レーンセッ ト 7がゥサギ抗 H. M i s 1 2抗体である。 2次抗体はそれぞれ西洋ヮサビパー ォキシダ一ゼ (H o r s e r a d i s h p e r o x i d a s e ) 合の、 Ϋη ヒト I g G抗体 (レーン 2 ) 、 抗マウス I g G抗体 (レーン 3、 5 ) 、 抗ゥサギ I g G抗体を用いた。 発色はコニカイムノスティンを用いたものである。 レーン セッ ト 1で C E N P— Hが、 レーンセッ ト 2で C E N P — Hと C E N P— A, ― B , — Cが検出される。 0 . 6 MN a C 1では本来 C E N P— Aは溶出しないが、 大量の C E N P— Aが存在するためその一部がもれて来ている。 実際 2 MN a C 1 , p H 2. 5で大量の C E N P— Aが溶出している。 レ一ンセット 3、 4で 同じ移動度のバンドが検出されている。 ヒト R N F 2はマウス R i n g 1 Bのホ モログで 9 9 %のホモロジ一があるため両方で同定されている。 レーンセッ ト 3、 4で検出されている蛋白は R N F - 2と結論される。 レーンセッ ト 5で B M I — 1が 3本のバンドとして検出されている。 レーン 6セッ トで C E N P— I /H. M i s 6が検出されている。 レーンセット 7で極めて薄いが I g Gのバンドのす ぐ下に検出されている。 レーンセッ ト 3、 5でそれぞれ R N F 2 , B M I — 1の 下方に出ているバンドはビーズからもれ出したマウス I g G抗体である。 レーン セッ ト 3、 5では抗マウス I g Gを用いているために染色されている。 他のレー ンセットは動物種が異なる抗 I g G抗体であるために極めて薄いバンドとして検 出されている。 第 9図では 8 M尿素によって溶出した蛋白に対するウエスタン解
析であるが、 C ENP— A, — B, — C, — H, — I /H. M i s 6, H. M i s 1 2は再現的に同定されている。 ここではさらに RNF 2, BM I — 1が同定 されたことになる。
さらに同じ抗体を用いて H e L a細胞を免疫染色した。 この結果を第 1 4図及 び第 1 5図に図面に変わる写真で示す。 第 1 4図 A (左上) は抗 C EN P— Cで 染色したものを示し、 第 1 4図 B (右上) は抗 BM I 1で染色したものを示し、 第 1 4図 C (左下) は DAP I により核酸の染色を示し、 第 1 4図 D (右下) は これらを重ねあわせたものである。 第 1 5図 A (左上) は抗 C E N P - Iで染色 したものを示し、 第 1 5図 B (右上) は抗 BM I 1で染色したものを示し、 第 1 5図 C (左下) は DAP I を示し、 第 1 5図 D (右下) はこれらを重ねあわせた ものである。 この結果、 R N F 2は核内に多数のドットが出たが、 セントロメァ と重なるドッ トが有るか否かは判別できなかった (データは示していない) 。 そ れに対して BM I 1は同様に核内にドッ トとして観察されしかもそれらのドッ ト は C EN P— C、 C E N P— H或いは C E N P— I /H. M i s 6の示すドッ ト と完全に重なった。 従って BM I 1蛋白質がセントロメァ構成蛋白質である事が 初めて証明されたことになる。 ポリコ一ム複合体は染色体をへテロクロマチン化 して特定の遺伝子の転写を押さえる機能を持ち、 細胞の分化、 個体の形態形成に 深く関与していることが知られている。 従って、 本発明によってセントロメァ構 造体が何らかの形で細胞分化、 個体の形態形成に深く閧与する事を示唆する結果 が得られたことになる。
次に、 第 1 1図 1 4番バンドに対応するキュリン 4 (Cullin4) に対する抗体を 調達し、 H e L a細胞を免疫染色した。 この結果を第 1 6図及び第 1 7図に図面 に変わる写真で示す。 第 1 6図 A (左上) は抗 C E N P— Aで染色したものを示 し、 第 1 6図 B (右上) は抗キュリン 4で染色したものを示し、 第 1 6図 C (左 下) は DAP I による染色体の染色を示し、 第 1 6図 D (右下) はこれらを重ね あわせたものである。 第 1 7図は、 第 1 6図と同様の方法により M期 (各図の左 側) と S期 (各図の右側) の細胞を、 各々第 1 6図と同様に染色したものである。
この結果、 核内にドッ トとして観察されこれらのドッ トは C ENP— Aの示す ドッ トと完全に一致した。 キュリン (Cullin) はュビキチンリガーゼとして作用
することが知られておりターゲッ トの蛋白質をュビキチン化しプロテオソーム経 路を通して速やかにターゲッ ト蛋白を消失させる機能を有する。 本発明のこの発 見で興味深い点は H e L a細胞で検出されるキュリン 4 (Cullin4) は S期に比較 的 Λッキリと同定され M期から細胞分裂期には消失する点である (第 1 6図、 第 1 7図) 。 M期から染色体分離期に入る際に A P C複合体 (Anaphase Promoting
Complex) の存在が知られており、 ある種の蛋白質がュピキチン経路を通して分 解する事が染色体分裂開始の引き金となる事が知られている。 今回の発見はキュ リン 4 (Cullin4) がこうした細胞周期制御に重要な役割を果たしている事を予想 させる極めて興味深い知見である。 キュリン 4 (Cullin4) がセントロメァに局在 するという知見は本発明により初めて明らかにされたものである。 キュリン 4 A
(Cullin4A) に関して興味深い知見は肺ガン細胞ではキュリン 4 A (Cullin4A) 遺伝子の増加あるいは転写量の増加が観察される事である。 キュリン 4 A (Cull in4A) は D D B 1 と結合することが知られているが、 キュリン 4 A (Cullin4A) の DD B 1への結合量が増加することが何らかの形で発がんに繋がる可能性を示 している。 第 1 1図の 7番バンドが DD B 1に相当し、 DD B 1 もセントロメァ 構成蛋白と考えられ、 本発明による方法が癌の診断や発ガン機構の解明に極めて 重要であることが示された。
本発明者らは、 H e L a細胞単離核を出発材料としているので M—期細胞では なく、 間期におけるセントロメァクロマチンを単離している。 従って単離したセ ントロメァクロマチンに含まれる蛋白は間期核におけるセントロメァの機能を示 唆するものである。 多くの未知蛋白のほかに既知蛋白をも含んでいた。 その中に は、 ポリコーム遺伝子関連蛋白が含まれていた (BM I — 1、 RNF 2、 MP C 3など) 。 ポリコーム遺伝子群は遺伝子発現を負に制御する分化制御に広く関連 するものであり、 この遺伝子群が間期の核セントロメァに存在するということは、 セント口メァ領域が細胞の将来の姿を決める分化に対しても重要な役割を果たす 可能性を示すものである。 この点は、 セントロメァが染色体の均等分配のみなら ず、 細胞の姿を決める際にシグナルを受け答えし、 細胞全体を監視する管制塔あ るいは情報センターの役割を果たすことが考えられる。 これはセントロメァの役 割として全く新しい視点を与えるものであり極めて画期的である。
このようなセント口メァの機能の医学的意義としては、 セントロメァ機能の欠 損は、 娘染色体の均等分配の欠損の場合は殆どが死に至るであろうが、 分化制御 機能の欠損の場合は癌細胞化すると考えられる。 従って、 本発明により癌研究、 特に細胞の癌化に新しい道を開くのと同時に、 癌細胞の診断に役立つものと考え られる。 したがって、 本発明は、 細胞のセン トロメァクロマチンを可溶化し、 こ れを抗 C EN P抗体を用いて免疫沈降させたタンパク質から癌などの疾患に関連 するタンパク質を検出 · 同定することからなる癌などの疾患の診断方法を提供す るものである。
本発明の免疫沈降に使用される抗体としては、 抗 C E N P抗体を使用すること ができ、 好ましくは抗 C E N P— A抗体が使用される。 これらの抗体は担体、 例 えばビーズ状などの形状をした担体に固定化して使用することもできる。 この方 法により沈殿してきたタンパク質は、 このままで解析することもできるし、 適当 な、 例えば尿素溶液などで溶出処理してから解析することもできる。 解析法とし ては S D S— PAGEなどに展開して解析することもできるし、 目的のタンパク 質の抗体を用いた抗体による検出法を使用することもできる。 あるいは、 0. 6 MN a C l、 2 MN a C l、 p H 2. 5、 0. 1 Mグリシンで段階的に溶出する こともできる。 ,
本発明は、 C E N P— A蛋白質の N末端部分のアミノ酸配列からなるぺプチド に対する抗体、 好ましくはモノクローナル抗体、 及びその製造方法を提供するも のである。 本発明の抗体は、 従来の方法でも製造することができるが、 好ましく は本発明のモノクロ一ナル抗体の製造方法により製造される。
抗原として使用するペプチドは、 C E N P— A蛋白質の部分長のアミノ酸配列 からなるぺプチドを用いることを特徴としている。 C ENP— A蛋白質の C末端 側の 2/ 3はヒス トンコア一を形成している H 3蛋白質と相同であるアミノ酸配 列からなっていることから、 C E N P— A蛋白質の N末端側の約 1 / 3の C E N P二 A蛋白質固有の配列を用いるほうが好ましい。 好ましいアミノ酸配列として は、 C E N P— A蛋白質の 3〜 1 9番目のアミノ酸配列を含むペプチド、 2 7〜 40番目のアミノ酸配列を含むぺプチド、 及び 1 2 6〜 1 40番目のアミノ酸配 列を含むペプチドが挙げられる。 より好ましいペプチドとしては、 CEN P— A
蛋白質の 3〜 1 9番目のアミノ酸配列を含むぺプチド、 さらに好ましくは 3〜 1 9番目のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
本発明の抗体の製造方法は、 通常の細胞融合法におけるモノクローナル抗体の 製造方法を使用するものであるが、 その際にミエローマ細胞としてマウスの骨髄 腫細胞である P 3 -X 6 3 -A g 8. 6 5 3細胞を使用し、 かつ培地として G I T培地を使用することを特徴とするものである。 G I T培地は、 日本製薬株式会 社より市販されているがこれに限定されるものではなく、 牛胎児血清を必要とし ない同種の培地であれば本発明の方法に使用することができる。
本発明の方法における抗原としては、 通常の方法で抗体を製造することができ る各種の抗原を使用することができる。 例えば、 大腸菌発現系を用いた C E N P — B蛋白質、 その N末端側のペプチドなどの組換え蛋白質、 バキュロウィルス系 系を用いた C ENP— C蛋白質などの組換え蛋白質などや、 その他の蛋白質又は それらの断片を使用することができる。 実施例
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、 本発明はこれらの実施例に 限定されるものではない。 実施例 1 (C E N P— A蛋白質の N末端側べプチドのモノクローナル抗体の製 造)
種々のアミノ酸長のヒ トの C ENP— Aペプチド (ァミノ末端から 3— 1 9の アミノ酸) を化学的に合成し、 C E N P— A蛋白質の各種の断片を用いて抗体を 作製した。 即ち、 ヒ ト C ENP— A蛋白質の 3〜 1 9番目のアミノ酸配列からな る断片 (# 3— 1 9) 、 ヒ ト C EN P— A蛋白質の 1 2〜 2 5番目のアミノ酸配 列からなる断片 (# 1 2— 2 5) 、 ヒ ト C ENP— A蛋白質の 2 7〜 4 0番目の ァミノ酸配列からなる断片 (# 2 7— 4 0 ) 、 ヒ ト C ENP—A蛋白質の 3 9〜 5 3番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 3 9— 5 3 ) 、 及びヒ ト C E N P— A 蛋白質の 1 2 6〜 1 40番目のアミノ酸配列からなる断片 (# 1 2 6— 1 1 0 ) を各々抗原として用いた。
各々のペプチドをキーホールリムペッ ト (keyhole limpet) へモシァニン(Pie rce)と共有結合させた。 マウスの骨髄腫細胞 (P 3—X 6 3— Ag 8. 6 5 3 ) を用いて、 G I T培地 (日本製薬) で融合細胞を培養した。 融合方法、 スクリ一 ニング方法などの具体的な手順は、 コリガンらの方法に従った (Coligan, I.E., et al . , Current protocols in immunology , Greene Publishing Associates and Wi ley-Interscience) '。
選択されたハイプリ ドーマ細胞は、 ウェスタンプロッ ト分析により C E N P— Aタンパクを特異的に認識する I g Gを生産していた。 そして間接的免疫蛍光顕 微鏡検査により S—期と M—期の動原体領域を檫識した (第 3図 A参照) 。
この結果得られた、 抗 C E N P— Aぺプチド抗体 (# 3— 1 9、 # 2 7— 4 0、 # 1 2 6— 1 4 0 ) が極めて有用な抗体であることが明らかになった。 特に # 3 1 9抗体は、 ウェスタンブロッテイ ング法、 間接蛍光抗体染色、 免疫沈降法で 優れた結果を与えた。 実施例 2 ( C E N P一 B蛋白質の N末端側べプチドのモノクローナル抗体の製 造)
大腸菌 (E.coli) 細胞中で発現し包接体として単離した C ENP— Bのァミノ 末端部分を抗原として、 実施例 1と同様な方法で抗体を製造した。 実施例 3 (抗 C ENP— C抗体の作製)
ヒ トの C ENP— C (アミノ酸 1— 42 6 ) のァミノ末端半分をコードする D N A配列を、 H e L a細胞の c DNAライブラリ一を用いての P C Rで増幅し、 N c o 1および E c o R Iでの消化後に p F a s t B a c HTベクター(Gibco
BRL)の中へクローン化した。 使用したプライマ一は、 -GGCCGGACCATGGCTGCGT CCGGTCTGGAと、 5' - ATAGAATCCTCTTCAGCTGGT AGCCATであった。 単離したクローン は DNA配列を読み、 そしてアミノ酸置換のないクロ一ンを選択した。 C EN P — Cのァミノ末端半分を、 B a c— t o— B a cパキュロウィルス発現系(GIBC0
BRL)を用いて S F 9細胞内で発現させ、 N i 一力ラム上で精製した。 ポリクロ一 ナルモルモッ ト抗体を C N - B r活性化したセファロース 4 Bビーズ (Amersham
6773
Pharmacia Biotech) へ連結した同一のタンパクでァフィ二ティー精製した。 実施例 4 (クロマチンの可溶化)
H e L a S 3細胞を、 5 %牛血清を含有する R P M I 1 6 4 0培地 (日水製 薬 (東京、 日本) ) で、 5 X 1 05細胞/ mLの濃度になるまで培養した。 培養し た細胞の核を分離した。
H e L a細胞の核ペレッ ト (核 1 X 1 09コ) を、 氷冷した 0. 3M N a C 1を含有する WB (WB : 2 0 mM H e p e s、 p H 8. 0 ; 2 0 mM K C 1 ; 0. 5 mM EDTA ; 0. 5 mM ジチオトレイ ト一ル (di thiothrei tol (DDT)) 、 0. 0 5 mM フエ二ルメチルスルフォニルフルオラィ ド (phenylmet hylsulfonyl f luor ide (PMSF) ) 5m l に懸濁した。 この核懸濁液を、 最終濃度 2 mMの C a C 1 2を添加した後に、 3 7 °Cでミクロコッカスヌクレアーゼ (MN a s e ) で消化した。 急冷と共に最終濃度 1 O mMの E GTAの添加により反応を 停止させた。 消化物を、 4 °Cにおいて 1 0分間、 1 0 , 0 0 0 3で1 2 0 2ロ —夕一 (日立) を用いて遠心分離した。 可溶化されたクロマチンは、 上澄み液中 へ回収された。 ペレットは、 5 m 1の同じ緩衝液へ再懸濁した。
結果を第 1図に示す。 第 1図 Aは、 セントロメァクロマチンが H e L a細胞核 から可溶化する条件を検討した結果を示し、 第 1図 Bは、 MN a s e消化後のク ロマチン内 D N Aのサイズ分布を示し、 第 1図 Cは、 バルククロマチンタンパク を MN a s e消化後の可溶性画分と不溶性画分を S D S— PAGEによって分画 しクマシ一ブリリアントブル一 (CB B) 染色によって検出した結果 (第 1図 C の上側) 、 分画した蛋白を膜に転写後 AC A抗体を用いた免疫染色によって C E NP— Aを同定した結果 (第 1図 Cの下側) を示す。 実施例 5 (免疫沈降)
ACA血清 (M l ) は、 C ENP— A、 C ENP— B、 C EN P— Cを認識す る I g G抗体を含む。 これらの I g Gを、 プロテイン一 G—セファロ一ス カラ ム (P h a rma c i a) に吸着させ精製した。 モルモットの抗 C ENP— C I g G (g p ot C C) を、 C E N P— C—結合したセファロ一ス 4 Bのカラム上
でァフィ二ティー精製した。 これら I g G類の各々 (各〜 1 0 m g) を CN B r 活性化セファロース 4 B (乾燥粉末 l g、 Pharmacia) と連結した。
これらの I g G—結合セファロースビーズ ( 5 0 1 ) を、 0. 1 %の N P—
4 0を補った実施例 4で製造した可溶化クロマチンサンプル ( 1 m l ) へ添加す るか又はグリセリン勾配沈降 ( 2 m l ) からの各画分へ添加し、 そして回転しな がら 4 °Cで 6時間培養した。 抗 C E N P— B抗体との C H I Pのために、 抗 C E N P - B I g Gおよびプロテイン— G—セファロ一スをサンプルに添加し、 回 転しながら 4°Cで 7時間培養した。 培養後にピーズを、 0. 1 %のツイーン 2 0 を含有する 0. 3 Mの N a C 1 — WBにより室温で 3分間、 5回洗浄し、 5 0— 1 0 0 1の S D S—緩衝液 ( 5 0 mM T r i s — H C l , p H 8. 0 ; 2
5 mM D T T ; 1 % S D S ; 1 5 % グリセリン) の中へ再懸濁した。 得ら れたタンパクは、 S D S— P A G Eおよびウエスタン ブロッテイングで分析し た。 実施例 6 (S D S— P AG Eおよびウェスタン ブロッテイング)
実施例 5の方法で得られた夕ンパクを 1 2. 5 %の S D S— P A G Eで分離し、 公知の方法でポリビニリデンジフルオラィ ド (P VD F) 膜 (M i 1 1 i p o r e ) へ移した。 膜を 1 0 %の脱脂乳 (W a k o ) で前処理し、 4 °Cで一晩 AC A 血清 (A. K. , 1 : 3 0 0 0希釈) と反応させ、 次いで西洋ヮサビ ペルォキ シダ一ゼ ( 1 : 3 0 0 0希釈) (Bio - Rad) と結合したャギ抗ヒト免疫グロブリン G ( I g G) と 4 °Cでー晚反応させた。 発色をコニカ インムノスティン (コニ 力) で行なった。 クーマシ一プリ リアントブル一又は西洋ヮサビペルォキシダー ゼで染色されたタンパクの一群の強度を測定するために、 画像をスキャナ一でデ ィジタル化し N I Hイメージ 1 · 5 5によって分析した。
結果を第 4図に示す。 第 4図は、 本発明の抗 C E N P— A抗体により沈殿した サンプル (a C A) および、 上澄をさらに、 AC A抗体 I q Gによって沈殿した サンプル (A CA) の AC A血清を用いたウェスタンブロッテイングによる C E N P— A、 — Bおよび— Cの結果を示すものである。 第 5図は、 第 4図の沈殿し た AZB/C複合物中の C E N P— CZBのモル比を計算した結果をグラフ化し
たものである。 また、 第 6図は、 第 4図の結果の各サンプル中の C E N P— A/ Bのモル比と C ENP— Aおよび C EN P— Bの量をグラフ化したものである。 実施例 7 (グリセリン勾配沈降)
実施例 4により可溶性クロマチン溶液 3 m 1 を、 1 m 1の 5 0 %グリセリン上 に積層された 5 0mM T r i s -H C 1 ( H 8. 0 ) 、 2 mM E D T A、 0. 1 % NP— 40、 2 mM DTTおよび 0. 1 5 M N a C l を含有する 5〜 2 0 %のグリセリン 3 4 m 1 に添加し、 4 °Cで 1 5. 5時間にわたり 2 2, 0 0 0 r pmでSW2 8ロ一タ一 (ベックマン) を用いて遠心分離した。 2m l の分取を底部から分画し、 そして DN Aとタンパクをそれぞれ 1 %ァガ口一スゲ ル電気泳動または S DA- P AGEによって分離した。
結果を第 7図に示す。 第 7図 Aは、 第 1図 Bのサンプル # 3のバルククロマ チンの分布をヌクレオゾーム DNAラダ一によって示したものであり、 第 7図 B およぴ第 7図 Cは、 抗 C ENP— A (第 7図 B) 抗体または抗 C ENP— C (第 7図 C) 抗体とともに各画分を免疫沈降し、 AC A血清を用いてウエスタンプロ ッティング法により C ENP— A、 C ENP— Bおよび C ENP— Cの分布を検 出したものである。 実施例 8 (抗 C ENP— A、 Bまたは C抗体を用いて C H I Pにより回収され た DN Aのクローニングと配列決定)
H e L a核 (2 X 1 08コ/ m l、 1 5m l ) を 3 7 °Cで 1 0分間、 40単位 m 1の MN a s e (B o e h r i n g e r ) で消化した。 小さな DNAの画分と 遊離のタンパクを除去するために、 消化物の可溶性画分を 5— 2 0 %のグリセリ ン勾配で遠心分離し、 トリヌクレオソームよりも重い画分をプールし、 抗 C EN P— A、 一 Bまたは一 C抗体を用いて免疫沈降した。 免疫沈降のあと、 ビーズを プロティナ一ゼ Kで処理し、 次いで DNAをフエノール抽出で精製した。 沈澱し た D N Aおよび精製した C ENP— Bを用いてのゲルシフト競合アツセィを行な つた。 DNAを、 T a Qポリメラーゼでの処理の後に T 0 P O T Aクロ一ニン グキッ ト (Invitrogen) を用い 3 ' d T—末端べクタ一 P C R 2. 1 - T 0 P O
の中へクロ一ニングして相補 3 ' A末端を付加した。 DNA配列は、 AB I P R I SM 3 7 0 0 D N A 分析器 (Perkin Elmer Applied Biosystems) また は AB I P R I SM 3 7 7 DNA シーケンサー (Perkin Elmer Appl ied Biosystems) を用いて決定した。 この配列を N C B Iで B L A S Tサーバ一を用 いてデ一タベースと比較した。 α—サテライ ト DN Αと相同性を示すクローンを、 A 1 e x a n d r o vほかの分類に従って区別した。 実施例 9 (A/B/C対照混合物の作製)
C ENP— A、 CEN P— Bおよび C ENP— Cをバキュロウィルス B a c— t o— B a c系 (Gibco BRL) を用いて発現させ、 次のようにして精製した。 C E NP—Aとヒス トン H4をアミノ末端で 6ヒスチジンと共発現させ、 そして N i —カラムを用いて C ENP— A/ h i s 6 H 4複合体を精製した。 C ENP— Bは Q—セファ口一スカラム上で精製した。 全長 C E N P— Cを符号化する C E NP— C遺伝子を、 H e L a細胞の c D N Aライブラリ一 (Clontech) を用いて の P C Rで増幅し、 p F a s t B a cベクターと結合した。 全長 C E N P— Cを バキュロウィルス系の中で発現させ、 包接体として単離した。 これを 6 Mの尿素 で可溶化し、 そしてへパリンーセファロースカラムで精製した。 各々のタンパク の濃度は、 ゥシの血清アルブミン (E S A) を標準として用い S D S— P A G E の C B B染色後にタンパク群の強度から計算した。 AZBZC対照混合物は 6 1 f mo 1 /m 1 の C E N P— A、 2 3 f m o 1 /m l の C EN P— B、 および 2 5 f mo 1 /m lの C EN P— Cを含有しており、 A/BZCの比率は 2. 6 5 : 1 : 1. 0 9となる。 タンパク取扱い中の損失を防ぐために、 B S Aおよびコ ァヒス トンを各々 7 5 n g/m lおよび 3 7 n gZm lの濃度で加えた。 H e L a細胞から精製した C ENP— A、 一 Bおよび— Cを用い、 ウエスタンブロッテ ィ ングの結果との直接比較によって組換え夕ンパクの A C A血清との反応性は同 等であることを確認した。 実施例 1 0
実施例 4に記載の方法に準じて、 H e L a細胞単離核を MN a s e消化 ( 6 U
/m 1、 3 7 °C、 3 0分) し可溶化した。 得られたバルククロマチンから抗 C E N P— A抗体ビーズを用いて、 実施例 5に記載の方法に準じてセントロメァクロ マチンを単離した。
ここで単離されたセントロメァクロマチンに含まれる DN Aの分析結果を第 8 図に示す。 '
次いで、 単離したセントロメァクロマチンをプロテア一ゼ Kで蛋白を消化し、 フエノール処理によって DN Aを抽出した。 ァ 32P— AT P、 ポリヌクレオチド キナーゼによって DN Aを放射能標識し、 1 %ァガロースゲルに流した。
ここで単離されたセントロメァクロマチンは、 C ENP— H、 C E N P - I / H. M i s— 6、 H. M i s— 1 2を含むものであった。 結果を第 9図に示す。 実施例 1 1
実施例 1 0で得られた可溶化されたセントロメァクロマチンを、 実施例 5に記 載の方法に準じてひ一 C E N P— A抗体を用いて免疫沈降した。
第 1 0図は、 MN a s e処理により可溶化されたセントロメァクロマチン (第 8図、 第 9図と同一サンプル) を、 α— C E N P— A抗体を用いた免疫沈降 (C H I P) により沈殿したきた物質のプロテオーム解析の結果を示した、 図面に代 わる写真である。
レーン 2、 3、 4は、 沈殿した物質を 8 M尿素で溶出させた画分の番号を示す。 1 0 % S D S - PAGEでの銀染色である。 レーン Mは分子量マ一力一であり、 右端の S D Sはボイル (boil) したものであり、 右端の数字は各 S D S—ボイル サンプルでプロテオ一ム解析したバンドの番号である。 各バンドのタンパク質に ついての説明は本文中に記載されている。
第 1 1図は、 第 1 0図で 8 M尿素で溶出したレーン 3サンプルを 7. 5 % S D S— PAGEによって蛋白質の分離を行い、 クマシ一染色した結果を示した、 図 面に代わる写真である。 実施例 1 2 ( I g G結合ビーズによる非特異的吸着)
H e L a細胞 ( 5 x l 09) から核を単離精製し、 0. 3 M N a C 1存在下で
MN a s eで消化しバルククロマチンを可溶化した。 これに I g G—セファ スビーズを加え一晩 4 °Cで回転によって混ぜつつ吸着をすすめた。 次に反応後の 上澄を抗 C E N P一 A抗体一セファロースビーズで同様に混ぜつつ一晩放置しビ ースを回収した。 それぞれのビーズを 0. 3 MN a C l を含むバッファ一で 3回 洗った後に、 0. 6 M N a C l、 2 MN a C l、 0. 1 Mグリシン— HC 1 ( p H 2. 5 ) で段階的に蛋白を溶出した。 それぞれのピースを 0. 6 M N a C 1で溶出したサンプルについて 1 2. 5 % S D S— P AG Eで分離しクマ シ一ブリリアントブルー (C B B) 染色した。
結果を第 1 2図に示す。 第 1 2図の左のレーン I g G ; I 'g Gビーズ 中央の レーン a C ENP— A ;抗 C ENP— A抗体ビーズ 右のレーン M ;分子量マ一 力一。 図の左側番号は I g Gレーンの主要なバンドを示し、 これらのバンドのプ 口テオ一ム解析による解析結果を示してある。 実際はすべてのゲルを切り出して 網羅的に解析した。 2 0 0に及ぶアミノ酸配列の結果を得ているが、 ここでは主 要な蛋白のみを示してある。
さらに、 得られた各ビーズから 0. 6 MN a C 1で溶出したサンプル (α A及 び I g) を 1 2. 5 % S D S— P AG Eして分離し、 PVD F膜に転写し、 図 の上段に示した抗体で免疫染色した。
結果を第 1 3図に示す。 第 1 3図の各レ一ンセッ 卜の左がひ C Aビーズサンプ ル、 右が I g Gビーズサンプルである。 1次抗体は、 レーンセッ ト 1がゥサギ抗 C ENP— H抗体、 2がゥサギ抗 C ENP— H抗体と ACA抗体、 3がマウス抗 マウス R i n g 1 B抗体 (モノクロ一ン抗体) 、 4がゥサギ抗ヒト RNF 2抗体, 5がマウス抗ヒト BM I— 1抗体、 6がゥサギ抗 C EN P— I ZH. M i s 6抗 体、 7がゥサギ抗 H. M i s i 2抗体である。 2次抗体はそれぞれ H 0 r s e r a d i s h p e r o x i d a s e結合の、 抗ヒト I g G抗体 (レーン 2 ) 、 抗マウス I g G抗体 (レーン 3、 5 ) 、 抗ゥサギ I g G抗体を用いた。 発色はコ 二カイムノスティンを用いた。 業上の利用可能性
本発明は、 高感度で、 かつ確実に C E N P— A蛋白質と反応する抗体を提供す
るものである。 本発明の抗体は、 セントロメァヌクレオゾームに対する特異的親 和性が高く、 セントロメァ領域構造体 (動原体) の構成因子を網羅的に単離する ことが可能である。 例えば、 本発明の抗体 (# 3— 1 9) は、 ミクロコッカスヌ クレアーゼ(MN a s e)を用いて H e L a細胞クロマチンを可溶化しクロマチン 免疫沈降法 (^romaiin immuno frecipitation;CH I P) 解析により、 確実にか つ高感度で目的の C ENP—A蛋白質を認識した。 その結果 C ENP— A、 C E NP— B、 C E N P— Cが複合体を形成しキネ トコア領域の基本構造体を形成し ている事が明らかとなった。 他の抗体も同様の目的に有効であると予想される。 これら抗体を組み合わせて利用する事によってセントロメァクロマチンをさらに 高純度に精製が出来、 今後セントロメァ /キネトコァ複合体の単離、 構成因子の 網羅的解析、 遺伝子同定 (プロテオミクス) に利用可能であると期待される。 また、 本発明の抗体の製造方法により、 多数の抗原からのモノクローナル抗体 を簡便にスクリ一ニングすることができる。
また、 本発明はクロマチンを可溶化する方法を提供するものであり、 本発明の 可溶化はクロマチンを断片化するが、 クロマチンの全体的な特性を保持して断片 化、 可溶化されることを特徴するものである。 かつ、 本発明の可溶化の方法は簡 便でかつ再現性に優れており、 クロマチン蛋白質類の解析に優れた効果を奏する ものである。 したがって、 本発明は本発明の方法により可溶化されたクロマチン の免疫沈降法、 及び当該免疫沈降法によるクロマチン蛋白質類の解析法を提供す るものでもある。 クロマチン蛋白質類の解析により細胞の分化の状態や細胞の変 成、 癌化などを分析することが可能となる。