(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画面表示システムおよび画面表示方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる画面表示システムの構成例を示す図である。画面表示システム100は、組込機器110と、端末120とを含む。
組込機器110は、例えば、リモコンやデジカメ、ICレコーダ、車載装置、医療装置、監視カメラや侵入検知器等、用途(動作)が限定された特定用途の機器である。端末120は、スマートフォンやタブレット等、ユーザが携帯し移動自在な機器(スマートデバイス)である。端末120と組込機器110は、通信接続され、例えば、Wi−Fi(登録商標)等の無線により通信接続される。
組込機器110には、センサA,B(111)、LED1(112)等が接続され、図示しない制御部がGUI画面情報を生成する。また、制御部が生成したGUI画面情報を端末120に送信する通信部を有する。例えば、組込機器110の制御部は、組込機器110に接続されたセンサA,B(111)の検出に基づいて所定の処理を行い、処理結果をLED1(112)等に表示させる。また、組込機器110の制御部は、端末120の操作情報に基づいて組込機器110を制御する所定の制御動作を行う。
この制御動作において、組込機器110の制御部は、センサA,B(111)が検出した値や、ユーザ操作の情報等に基づく制御状態、例えば、LED1(112)の点灯/消灯に関するGUI画面情報を生成する。
ここで、組込機器110は、生成したGUI画面情報を自装置内で表示せず、端末120に送信し、端末120で表示させる。すなわち、組込機器110は、表示部を有していない。
端末120は、組込機器110から送信されたGUI画面情報を受信する通信部と、GUI画面情報を表示制御する制御部と、GUI画面情報を表示する表示部121とを有している。表示部121は、タッチパネル等によりユーザ操作を受けることもでき、制御部は、ユーザ操作の入力に基づく操作情報を組込機器110に送信する。
上記の画面表示システム100は、組込機器110が生成したGUI画面情報を端末120へ送信し、端末120の表示部121にGUI画面を表示する。すなわち、端末120の表示部121には、組込機器110が制御処理するGUI画面が表示される。
図2は、実施の形態にかかる画面表示システムの機能を示す図である。組込機器110と、端末120の内部機能をそれぞれ示す。図2では、GUI画面の表示に関する機能を主に記載してある。
組込機器110は、制御部が実行処理するGUIアプリケーション201を有する。GUIアプリケーション201は、GUI画面を構築処理する画面構築処理部211を含む。画面構築処理部211は、構築したGUI画面に含まれる部品の部品配置情報kを生成し、GUI画面情報Kとして端末120に送信する。
GUI画面情報K(部品配置情報k)は、端末120の表示部121上に表示するGUI画面の部品、例えば、図1の端末120の表示部121上に表示するGUI画面に示すセンサA,B(111)、LED1(112)の点灯/消灯の配置位置を含み、例えば、GUI画面上の座標情報を含む。
端末120は、画面描画処理部220を含む。画面描画処理部220は、組込機器110から受信したGUI画面情報K(部品配置情報kを含む)に基づく画面描画処理を行い、表示部121にGUI画面を表示出力する。
そして、組込機器110に接続したセンサA,B(111)の値が変化した場合、端末120の表示部121上に表示されているGUI画面上でセンサA,B(111)に対応するセンサ値の表示内容が変化する。同様に、組込機器110でのLED1(112)の点灯/消灯状態が端末120の表示部121上に表示される(表示状態は図1参照)。
また、端末120に設けられた操作部221を操作することにより、組込機器110に対し操作情報Sを送信できる。例えば、図1に示した表示部121上に表示されているGUI画面上のLED1(112)の点灯/消灯をボタン操作で変更することができる。この際、組込機器110に設けられたGUIアプリケーション201が端末120の操作情報Sに基づき、GUI画面を更新する表示制御を行う。
図3は、実施の形態にかかる画面表示システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。上述した組込機器110、および端末120それぞれのハードウェア構成例を示す。
組込機器110は、制御部(CPU)301と、Read−Only Memory(ROM)302と、Random Access Memory(RAM)303と、半導体メモリやディスクドライブ等の記憶部304と、通信インタフェース(I/F)305と、を含む。これらCPU301〜通信I/F305は、バス308によってそれぞれ接続されている。
CPU301は、組込機器110全体の制御を司る演算処理装置である。そして、CPU301は、GUIアプリケーション201を実行処理し、上述したGUI画面を生成して端末120に転送する。ROM302は、GUIアプリケーション201のプログラム等を記憶する不揮発性メモリである。RAM303は、CPU301によるGUIアプリケーション201のプログラムの演算処理実行時のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。記憶部304には、組込機器110の機能を実行する際のデータや他のアプリケーション等を格納保持することができる。
通信インタフェース305は、端末120との間のネットワーク接続のインタフェースを司り、通信する情報の入出力を制御する。具体的に、通信インタフェース(I/F)305は、無線/有線のLocal Area Network(LAN)、Wide Area Network(WAN)、インターネットなどのネットワーク310に接続され、組込機器110を端末120に通信接続する。
組込機器110は、CPU301がGUIアプリケーション201をプログラム実行することにより、GUI画面を表示するためのGUI画面情報K(部品配置情報k)を生成し、生成したGUI画面情報Kを端末120に送信する機能を有する。GUI画面情報Kを端末120に送信し、端末120から操作情報Sを受信する機能は、上記通信I/F305によって実現できる。
また、端末120は、制御部(CPU)311と、ROM312と、RAM313と、半導体メモリ等の記憶部314と、通信I/F315と、タッチパネル316と、ディスプレイ317と、を含む。これらCPU311〜ディスプレイ317は、バス318によってそれぞれ接続されている。
また、タッチパネル316は、組込機器110を操作するボタンを有する。タッチパネル316は、図2の操作部221に相当する。ディスプレイ317は、CPU311のプログラム実行に基づきGUI画面を表示する表示装置であり、図1および図2の表示部121に相当する。ディスプレイ317には、例えば、Thin Film Transistor(TFT)液晶表示部、プラズマ表示部、有機EL表示部などを採用することができる。ディスプレイ317上にタッチパネル316が配置されており、ディスプレイ317に表示されたGUI画面上のボタン部分をタッチパネル316上で操作することで、ボタン操作時の操作情報Sを出力できる。
このように、端末120についても、図3に記載したCPU311、ROM312、RAM313等を備えたハードウェアにより構成することができる。端末120は、GUI画面情報K(部品配置情報k)を組込機器110から受信し、受信したGUI画面情報Kに基づきディスプレイ317上にGUI画面を描画する機能を有する。画面描画機能は、上記CPU311のプログラム実行により実現できる。また、GUI画面情報Kを組込機器110から受信し、タッチパネル316の操作情報Sを組込機器110に送信する機能は、上記通信I/F315によって実現できる。端末120は、例えば、汎用のタブレットやスマートフォン、携帯型のPC等を用いることができる。
図4は、実施の形態にかかる画面表示システムによる表示画面の転送状態を説明する図である。組込機器110が生成したGUI画面情報Kを端末120の表示部121に表示する状態を示す。
組込機器110の制御部(CPU301)は、組込機器110を制御するGUI画面情報Kを端末120に送信する。また、組込機器110は、GUI画面を更新した場合には、更新したGUI画面情報Kを端末120に送信する。組込機器110は、端末120の操作により送信された操作情報Sに基づき、GUI画面の更新を行うこともできる。
組込機器110は、GUI画面情報Kとして、GUI画面の構成部品ごとの部品配置情報kを端末120に転送する。図4に示すように、組込機器110が生成したGUI画面の構成部品は、丸(〇)形状の構成部品と、三角(△)形状の構成部品と、四角(□)形状の構成部品と、文字列であるとする。
そして、組込機器110の制御部(CPU301)は、GUI画面上で各構成部品を抽出し、丸(〇)形状の構成部品について、形状(〇)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば赤)の部品配置情報kを生成する。また、三角(△)形状の構成部品について、形状(△)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば青)の部品配置情報kを生成する。また、四角(□)形状の構成部品について、形状(□)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば緑)の部品配置情報kを生成する。また、文字列の構成部品について、文字列「ABCDE」の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば白)の部品配置情報kを生成する。
そして、組込機器110は、このGUI画面情報Kを構成する部品配置情報kを端末120に送信する。端末120では、受信したGUI画面情報Kについて、部品配置情報kに基づき描画処理する。端末120は、部品配置情報kに含まれる各構成部品の形状や文字列、座標位置、色の情報に基づきGUI画面を生成し、表示部121に表示する。
上記構成によれば、組込機器110から端末120に送信するGUI画面の表示データは、画面全体の画像(イメージ)ではなく、画面を構成するデータ要素である部品配置情報kのみを送信するため、データ転送量を少なくできる。また、データ転送量が少ないため、組込機器110と端末120との間の転送速度が遅くても、短時間で転送できるようになる。
(GUI画面の転送処理)
つぎに、組込機器110から端末120に対するGUI画面の転送処理について説明する。上述したように、組込機器110は、生成したGUI表示画面を端末120に転送する。
はじめに、上記説明した図4は、起動時の状態を示しており、例えば、組込機器110に端末120が通信接続された場合、組込機器110から端末120へのGUI画面の転送状態を示す。起動時において、組込機器110は、端末120に対しGUI画面の全ての構成部品の部品配置情報kを端末120に転送する。
この際、組込機器110は、丸(〇)形状の構成部品について、形状(〇)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば赤)の部品配置情報kを生成する。また、三角(△)形状の構成部品について、形状(△)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば青)の部品配置情報kを生成する。また、四角(□)形状の構成部品について、形状(□)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば緑)の部品配置情報kを生成する。また、文字列の構成部品について、文字列「ABCDE」の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば白)の部品配置情報kを生成する。
そして、組込機器110は、生成したGUI画面の全ての構成部品の部品配置情報kを端末120に転送する。
図5および図6は、実施の形態にかかる画面表示システムによる表示および表示更新を説明する図である。図5は、GUI画面の更新操作の状態を示している。組込機器110側でGUI画面の更新を行うに限らず、例えば、端末120を操作することで組込機器110のGUI画面を更新することができる。
図5の例では、GUI画面を表示している端末120の操作により、組込機器110は、GUI画面を更新する。端末120の表示部121のタッチパネル上で更新箇所をタッチする。例えば、四角(□)形状の構成部品について、表示の座標位置(x,y)を変更する操作を行ったとする。この場合、端末120は、GUI画面のうち、四角(□)形状の構成部品をタッチして、表示の座標位置(x,y)を変更する操作、例えば、更新後の座標(tx,ty)を含む操作情報Sを組込機器110に送信する。端末120は、他の構成部品についても同様の操作により、形状、文字列、位置(座標)、色等の更新のための操作情報Sを同様に組込機器110に送信することができる。
図6は、更新したGUI画面の転送状態を示している。組込機器110側では、端末120の操作等による更新後のGUI画面を端末120に転送する。
組込機器110は、端末120の操作等に基づき、GUI画面を更新する。図6に示す例では、四角(□)形状の構成部品について、更新後の表示の座標位置(x’,y’)の情報を生成する。また、三角(△)形状の構成部品について、色を黄色に変更後の情報を生成する。また、変更後の文字列「あいう」の情報を生成する。
そして、組込機器110は、更新(変更)した構成部品の情報だけを部品配置情報k’として端末120に送信する。図6の例では、組込機器110は、四角(□)形状の構成部品の更新後の表示の座標位置(x’,y’)の情報と、三角(△)形状の構成部品について、色を黄色に変更後の情報と、変更後の文字列「あいう」の情報と、を部品配置情報k’として端末120に送信する。
このように、GUI画面の変更(更新)時には、組込機器110は、GUI画面上で更新された部品配置情報k’だけを端末120に送信する。これにより、組込機器110は、GUI画面の更新ごとにGUI画面全体の画像データを送信する必要がなく、表示画面の更新に必要な最小限の部品配置情報k’だけの送信で済むため、転送データ量を削減できるようになる。
図7および図8は、実施の形態にかかる画面表示システムによる表示および表示更新処理を示すフローチャートである。主に、組込機器110側のCPU301および端末120側のCPU311がそれぞれ行う処理を示す。
図7は、起動時の状態を示しており、例えば、組込機器110に端末120が通信接続された場合、組込機器110から端末120へのGUI画面の転送状態を示す。起動時において、組込機器110のCPU301は、GUI表示画面の表示データを構成する全ての構成部品の部品配置情報kを作成する(ステップS701)。
部品配置情報kの作成時、組込機器110は、GUI画面情報Kの各構成部品(オブジェクト)ごとの情報を生成する。丸(〇)形状の構成部品について、形状(〇)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば赤)の情報を生成する。また、三角(△)形状の構成部品について、形状(△)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば青)の情報を生成する。また、四角(□)形状の構成部品について、形状(□)の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば緑)の情報を生成する。また、文字列の構成部品について、文字列「ABCDE」の情報と、表示の座標位置(x,y)と、色(例えば白)の情報を生成する。
そして、CPU301は、生成したGUI画面情報Kに含まれる全ての構成部品からなる部品配置情報kを通信I/F305を介して端末120に送信する(ステップS702)。
端末120のCPU3111は、組込機器110から送信された部品配置情報kを通信I/F315を介して受信する(ステップS703)。そして、端末120のCPU311は、受信した部品配置情報kの画面描画処理を行う(ステップS704)。この際、CPU311は、各構成部品(オブジェクト)ごとの情報を表示部121に表示する描画処理を行う。
丸(〇)形状の構成部品については、形状(〇)を座標位置(x,y)に、色(例えば赤)で描画処理する。また、三角(△)形状の構成部品については、形状(△)を座標位置(x,y)に、色(例えば青)で描画処理する。また、四角(□)形状の構成部品については、形状(□)を座標位置(x,y)に、色(例えば緑)で描画処理する。また、文字列の構成部品については、文字列「ABCDE」を座標位置(x,y)に、色(例えば白)で描画処理する。
図8は、更新したGUI画面の転送状態を示している。GUI画面情報Kの更新時、組込機器110のCPU301は、更新後のGUI画面情報Kを端末120に転送する。例えば、組込機器110のCPU301は、端末120の操作情報Sを受信すると、操作情報Sに基づきGUI画面情報Kを更新処理する。
図8に示す例では、端末120の操作により、三角(△)形状の構成部品の座標位置と、文字列の情報を更新した状態である。三角(△)形状の構成部品については、座標位置が(x,y)から(x’,y’)に変更されている。また、文字列は「ABCDE」から「XYZ」に変更されている。
この場合、組込機器110のCPU301は、更新(変更)した構成部品の情報だけを部品配置情報k’として生成する(ステップS701)。図8の例では、組込機器110のCPU301は、形状(△)の情報(変更なし)と、新たな座標位置(x’,y’)と、色(例えば青)の情報(変更なし)を生成する。また、文字列の構成部品について、新たな文字列「XYZ」の情報と、表示の座標位置(x,y)の情報(変更なし)と、色(例えば白)の情報(変更なし)を生成する。
そして、組込機器110のCPU301は、更新により生成した構成部品のみの部品配置情報k’を通信I/F305を介して端末120に送信する(ステップS702)。
端末120のCPU311は、組込機器110から送信された部品配置情報k’を通信I/F315を介して受信する(ステップS703)。そして、CPU311は、受信した部品配置情報kの画面描画処理を行う(ステップS704)。
この際、端末120のCPU311は、それまでのGUI画面情報Kを保持しており、受信により更新された構成部品の表示状態のみを変更して描画処理する。
すなわち、端末120のCPU311は、更新されていない丸(〇)形状と、四角形状(□)の構成部品は、変更なしで描画処理する。そして、更新された三角(△)形状の構成部品について、更新前と同じ形状(△)の表示位置を新たな座標位置(x’,y’)に、更新前と同じ色(例えば青)で描画処理する。また、更新された文字列の構成部品については、新たな文字列「XYZ」を更新前と同じ座標位置(x,y)に、更新前と同じ色(例えば白)で描画処理する。
このように、組込機器110のCPU301は、GUI画面情報Kを、構成部品単位のデータのみからなる部品配置情報kとして端末120に転送するため、画面全体の画像データを送信する必要がない。図8の例では、更新による変更が生じた部品Pの部品配置情報k’のみを生成して、組込機器110から端末120に転送するため、転送するデータ量を少なくすることができる。
さらに、GUI画面の変更(更新)時には、組込機器110のCPU301は、更新した情報だけを更新して端末120に送信する。これにより、組込機器110は、GUI画面の更新ごとに画面全体の画像データを送信する必要がなく、表示画面の更新に必要な最小限の部品配置情報k’だけを送信するため、組込機器110と端末120との間での転送データ量を部品配置情報kよりもさらに少なくできる。また、端末120においても、最小限のデータ量で表示部121を更新することができ、描画の処理負荷を軽減できるようになる。
(従来の画像データ転送との比較例)
図9および図10は、従来の技術による表示および表示更新時の転送状態を示すフローチャートである。
図9は、機器1001から端末1011への表示画面の転送状態を示す。機器1001は、表示データGを作成し(ステップS901)、機器1001上の表示画面に描画処理する(ステップS902)。また、作成した表示データGを端末1011に送信する(ステップS903)。
端末1011は、機器1001から送信された表示データGを受信する(ステップS904)。そして、端末1011は、受信した表示データGの画面描画処理を行い(ステップS905)、表示画面1012に表示する。
図10は、更新したGUI画面の転送状態を示している。表示画面の更新時、機器1001は、更新後の表示データG’を端末1011に転送する。
図10に示すように、表示データG’は、更新前の表示データGと比べて、三角(△)形状の構成部品の座標位置と、文字列の情報が更新されているとする(図6と同様の更新)。三角(△)形状の構成部品については、座標位置が(x,y)から(x’,y’)に変更されている。また、文字列は「ABCDE」から「XYZ」に変更されている。
しかしながら、従来の技術では、機器1001は、表示データGを更新(変更)した場合でも、図10に示すように、画面の描画処理は図9と同様である。これにより、機器1001は、全ての部品に対する更新後の表示データG’を作成し(ステップS901)、機器1001上の表示画面に描画処理する(ステップS902)。また、生成した表示データG’を端末1011に送信する(ステップS903)。
端末1011は、機器1001から送信された表示データG’を受信する(ステップS904)。そして、端末1011は、受信した表示データG’の画面描画処理を行い(ステップS905)、表示画面1012に表示する。
したがって、図10に示す表示画面の更新時において生成した表示データG’は、更新前の表示データGとデータサイズが同じである。すなわち、表示データGおよび表示データG’は、表示画面1012全体のイメージ(全画素)に対応するデータ量を有する。
このように、従来の技術では、画面全体の画像データを送信するため、機器1001から端末1011に転送する表示データGのデータサイズは、実施の形態に比して大きくなる。さらに、GUI画面の変更(更新)時においても、画面全体の画像データを送信するため、機器1001から端末1011に転送する表示データG’のデータサイズは、表示データGと変わらず、実施の形態に比して大きい。
(実施の形態のGUI画面の遠隔表示例)
上述した画面表示システム(組込機器110)により生成したGUI画面を端末120に表示させる各種適用例について説明しておく。
図11および図12は、実施の形態にかかる画面表示システムによる端末への画面表示例を示す説明図である。
図11には、ある工場1100内の組込機器110が生成したGUI画面情報Kを端末120の表示部121に表示させる例を示す。組込機器110は、例えば、工場1100で生産する部品の生産ラインの一部の機器である。ユーザは、端末120を携帯することにより、組込機器110の場所で直接操作することなく、組込機器110から離れた箇所で表示部121を見て組込機器110を操作することができる。
例えば、組込機器110がクリーンルームに設置されている場合、端末120は、クリーンルームの外に位置していても組込機器110の制御状態を表示させることができる。これにより、組込機器110の設置箇所に限定されず、組込機器110から遠隔箇所で組込機器110を操作できるようになる。
そして、実施の形態では、組込機器110には表示画面を設けなくとも、ユーザが端末120の表示部121を見て組込機器110を操作することができる。この場合、組込機器110に表示部を設けないため、コストダウンを図ることができる。さらには、複数台の組込機器110を端末120に通信接続することにより、1台の端末120の表示部121を見ながら組込機器110を切り替えて、切り替えた組込機器110が行っている動作状況等の監視を端末120の表示部121に表示させることができる。
図12には、ある工場1201内の組込機器110が生成したGUI画面情報Kを他の工場1202の端末120の表示部121に表示させる例を示す。組込機器110は、例えば、工場1201で生産する部品の生産ラインの一部の機器である。ユーザは、他の工場1202で端末120を操作することにより、組込機器110の場所で直接操作することなく、組込機器110から離れた箇所で表示部121を見ながら組込機器110を操作することができる。
例えば、組込機器110が他国の工場1201に設置されている場合、自国の工場1202の位置の端末120を操作することで、組込機器110のGUI画面情報Kを表示させることができる。これにより、組込機器110の設置箇所に限定されず、組込機器110の遠隔箇所で組込機器110を操作でき、例えば、組込機器110を端末120でリモートメンテナンスできるようになる。
(従来技術と実施の形態の組込機器の対比)
図13は、従来の組込機器の構成例を示す図である。実施の形態(図2参照)と同等の機能を有する従来の組込機器1301を示す。従来の組込機器1301は、センサ1311、LED1312、GUIアプリケーション1321に加えて、表示部1341、操作部1342を有している。
GUIアプリケーション1321は、部品配置情報kに基づいてGUI画面を表示部1221に表示するために、画面構築処理部1331と、画面描画処理部1332とを含む。
このように、従来の組込機器1301では、タッチパネル等の操作部1342や、液晶画面等の表示部1341のハードウェアを有しているため、組込機器1301重量や大きさが大きくなり、また、部品コストが高く、コストを下げることが難しかった。また、画面描画処理部1332が行う画面描画処理の処理負荷がかかりメモリ使用量が高いため、GUIアプリケーション1321を実行するためには、高性能な制御部(CPU等のマイコン)と、大容量のメモリが必要となり、組込機器1301のコストを下げることが難しい。
これに対し、実施の形態では、図2に示したように、画面描画処理部220と、表示部121を端末120側に設け、組込機器110には設けない。組込機器110は、GUI画面情報K(部品配置情報k)を端末120に送信する。このように、組込機器110は、画面描画処理と、表示にかかるハードウェアを汎用のスマートデバイス(端末120)に設けることで、組込機器110のコストを抑えることができる。また、組込機器110は、画面描画処理と、表示にかかる処理負荷およびメモリ使用量を抑えることができるようになる。
また、実施の形態によれば、組込機器110と端末120とで同じGUI画面を表示する無駄を省くことができ、ユーザが携帯する端末120だけでGUI画面を表示することでGUI画面を見るユーザにだけ提示でき、組込機器110でのGUI画面表示に伴う消費電力等の無駄も省くことができる。
なお、端末120は、本来画面描画処理と表示のハードウェアを備えたものであるため、端末120での画面描画処理と、表示にかかる処理負荷およびメモリ使用量は増えず、コスト高を招かない。さらに、操作部についても組込機器110から端末120側に設けることで、組込機器110のコストをより下げることができる。
図14は、実施の形態にかかる画面表示システムの他の機能を示す図である。図14に示す例では、異なるシステム(種類)の複数の組込機器110(110A〜110C)に対して1台の端末120を通信接続する構成例を示す。
実施の形態では、上述したように、画面描画処理と、表示にかかるハードウェアを組込機器110に備えずに、端末120に設ける。このシステム構成においては、図14に示すように、1台の端末120を複数の組込機器110(110A〜110C)に対し通信接続することで、1台の端末120に複数の組込機器110(110A〜110C)のGUI画面を表示することができるようになる。また、1台の端末120で複数の組込機器110(110A〜110C)を制御できるようになる。
例えば、端末120側の操作で、一つの組込機器110Aに切り替えて通信接続することで、通信接続した組込機器110Aが制御中のGUI画面を端末120の表示部121上に表示することができ、端末120の操作部221の操作で通信接続中の組込機器110Aを制御することができる。
図14に示すようなシステム構成によれば、従来、例えば3台の組込機器110(110A〜110C)にそれぞれ設けていた画面描画処理部1332と、表示部1341、さらに操作部1342(図13参照)を削減することができ、組込機器110の設置箇所での無駄なGUI表示を省いてシステム全体を大幅に低コスト化できるようになる。
図15は、従来のGUIアプリケーションの作成状態を説明する図である。つぎに、GUIアプリケーション作成の観点で従来と実施の形態とを対比する。図15の組込機器110は、GUI画面の表示機能がない例を示す。
このような従来の組込機器110は、組込機器110の構成ごとにPC等の外部コンピュータ1510側にGUIアプリケーション1521を作成する必要があった。GUIアプリケーション1521は、上述同様に、画面構築処理部1531が部品配置情報kを生成し、画面描画処理部1532が表示部1541に表示するGUI画面を描画処理する。また、操作部1542による操作情報を組込機器110に送信処理する。
上記構成では、組込機器110のシステム構成(種類)が異なるごとに、外部コンピュータ1510側のGUIアプリケーション1521の種類が増え、システム構成ごとにGUIアプリケーション1521を作成する必要があった。これにより、GUIアプリケーション1521のソフトウェア構造および機能が複雑になり、開発工数が増え、開発コストを下げることが難しい問題を有している。
これに対し、実施の形態のシステム構成によれば、図2に示したように、各システム構成の組込機器110には、GUIアプリケーション処理の中で組込機器110の構成に依存する最低限の部分だけを組込機器110内に配置している。すなわち、組込機器110にGUIアプリケーション201を配置し、端末120に画面描画処理部220と表示部121(および操作部221)を配置している。
これにより、スマートデバイス(端末120)側では、画面描画処理部220は、GUIアプリケーションの処理を「部品配置情報kに基づいて画面描画を行う」という汎用的な処理とすることができる。これにより、異なる構成の組込機器110に対しても、端末120のGUIアプリケーションは1種類で対応することができ、開発工数を削減することができるようになる。すなわち、端末120の画面描画処理部220は、組込機器110から送信される部品配置情報kに基づいて画面描画を行う、という単一機能を有すればよく、汎用化でき従来技術に比べて開発コストを下げることができるようになる。
つぎに、図15に示す従来のシステム構成では、外部コンピュータ1510のOSのバージョンアップ等によりGUIアプリケーション1521(画面構築処理部1531、画面描画処理部1532)の変更が必要となる。この場合、個別のGUIアプリケーション1521全ての修正と再テストが必要となり、開発工数が増える問題を有している。
これに対し、実施の形態のシステム構成(図2参照)によれば、異なる構成の組込機器110に対しても端末120のGUIアプリケーション(画面描画処理部220等)は1種類で対応できる。このため、実施の形態では、GUIアプリケーション201の変更と再テストは1回だけ行えばよく、従来技術に比べて開発工数を削減できるようになる。
すなわち、端末120上のGUIアプリケーション(画面描画処理部220等)は、組込機器110の種類によらず、1種類であるため、OSバージョンアップ時等のGUIアプリケーション201の変更と再テストは1回だけ行えばよく、変更と再テストは1回で済ませることができる。
図16は、実施の形態にかかる画面表示システムのGUIアプリケーションの更新処理例を示す図である。GUIアプリケーションの更新時、変更した端末120側のGUIアプリケーション201B(画面描画処理部220等)を外部コンピュータ1510等からアプリケーションダウンロード用サーバ1601にアップロードしておく。そして、端末120がアプリケーションダウンロード用サーバ1601からGUIアプリケーション201B(画面描画処理部220等)をダウンロードして端末120にインストールすることができる。
つぎに、図17〜図19は、種類の異なる組込機器に対する開発工数の比較の説明図である。図17には、従来技術による種類の異なる組込機器のシステム構成を示し、図18には、実施の形態による種類の異なる組込機器のシステム構成を示す。図19には、従来技術と実施の形態との開発工数の比較を示す図表を示す。
従来、図17に示すように、3つの組込機器110(110A〜110C)は、例えば、組込機器110Aは、一つのセンサA(111)と、一つのLED A(112)とを備え、組込機器110Bは、二つのセンサB1,B2(111)と、一つのLED B(112)とを備え、組込機器110Cは、一つのセンサC(111)と、二つのLED C1,C2(112)とを備え、異なる種類で異なる制御を行う。
これら種類の異なる複数の組込機器110(110A〜110C)は、それぞれ個別にPC等の外部コンピュータ1510に通信接続される。各外部コンピュータ1510は、組込機器110A〜110Cそれぞれに対応する3つのGUIアプリケーション1521A〜1521Cを有している。
図18に示す実施の形態のシステム構成においても、3つの組込機器110側は、従来技術(図17)と同様に異なる種類の構成を有するが、端末120側のGUIアプリケーションは共通する一つのGUIアプリケーション(画面描画処理部220等)である。
図19を用いて、従来技術(図17)と、実施の形態(図18)のそれぞれのシステム構成における開発工数を比較する。従来技術と実施の形態とを比較して、組込機器110A〜110C側の開発工数は、いずれも3種類分だけ同様の開発工数がかかる。
そして、従来技術の外部コンピュータ1510側では、外部コンピュータ1510ごとに異なる3種類のGUIアプリケーション1521A〜1521Cの開発が必要となる。ここで、従来技術では、各GUIアプリケーション1521A〜1521Cは、それぞれ部品配置と画面描画処理の開発が必要である。
これに対し、実施の形態の端末120側では、3つの組込機器110でそれぞれセンサ111やLED112の配置構成が異なることに対応して、3つの組込機器110それぞれに対応した部品配置処理k1〜k3の開発工数が必要であるが、画面描画処理部220の画面描画処理については共通した開発工数で済む。
このように、実施の形態では、端末120側のGUIアプリケーションにかかる画面描画処理は、異なる種類の組込機器110に対して共通とすることができ、開発を1回で完了させることができる。また、部品配置処理と画面描画処理を分離することにより、異なるシステム構成の影響を受ける部分を最小限に抑えることができ、従来技術と比べて開発工数を削減できる。
そして、図19に示すように、従来技術と実施の形態とを比較した場合、工数の差分(格差)は、組込機器110の種類の数に比例して増大する。すなわち、実施の形態によれば、組込機器110の種類が増えるほど、従来技術に対してより開発工数の削減の効果を得ることができるようになる。
以上説明した実施の形態によれば、組込機器で生成したGUI画面を端末に転送し、端末でGUI画面を描画処理して表示することで、組込機器の制御状態を表示することができる。組込機器は、GUI画面の表示を行わず、端末のみでGUI画面を表示する。また、端末のGUI画面に対する操作により組込機器は対応する制御を行う。
上記構成によれば、組込機器側でGUI画面を表示するための描画処理等を行う必要がなく、組込機器の処理負荷を下げることができ、かつ組込機器を低コスト化できる。あらかじめ定められた制御を行う組込機器等は、制御内容をGUI画面で表示することで、制御操作を容易に行うことができるが、実施の形態では、組込機器は、GUI画面を生成処理するだけとし、描画処理は行わない。加えて、組込機器は、表示部を有さない構成とした。これにより、組込機器のハードウェア構成を簡素化でき、低コスト化できる。
すなわち、実施の形態では、組込機器に端末が通信接続されるシステム構成において、組込機器側にGUI画面の生成処理を配置し、端末側にGUI画面の描画処理を配置することで、GUIの機能を機器と端末に効率的に分離配置して、システム全体を低コスト化した。なお、端末は、汎用のスマートデバイスを用いて描画処理を行うことができるため、コスト高を招かない。
また、一つの端末で複数の異なるシステム(種類)の組込機器に通信接続することができ、例えば、端末が通信を切り替えて接続した1台の組込機器が生成したGUI画面を表示し、組込機器を制御できる。また、通信切り替えして同じ端末で異なる組込機器のGUI画面の表示および制御を行うことができ、複数の組込機器を含むシステム全体のコストを抑えることができるようになる。
また、実施の形態によれば、GUI画面表示のためのGUIアプリケーションのうち、主に画面構築にかかる構成を組込機器側に持たせ、画面描画にかかる構成を端末側に持たせてGUIアプリケーションの機能を分割配置している。これにより、組込機器側が各種システムごとに対応して種類が増えた場合であっても、端末側は単一機能のGUIアプリケーションで対応し、描画処理することができる。
これにより、例えば、OSバージョンアップ等によりGUIアプリケーションの変更が必要になった場合でも、実施の形態によれば、端末側のGUIアプリケーションは、組込機器の種類によらず1種類であるため、1回の変更および再テストだけで済ませることができる。この点、従来技術では、組込機器の種類分、GUIアプリケーションの全てを変更および再テストする必要が生じ、組込機器の種類が増えるほど開発工数がかかり、開発工数が増大する。
また、実施の形態によれば、組込機器が生成したGUI画面を端末上に表示でき、ユーザは、端末の表示画面を見ながら組込機器を操作できる。この際、組込機器から端末に送信されるGUI画面は、オブジェクトごとの形状、テキスト文字、座標、色等からなるものであり、イメージデータに比してデータ量が小さい。これにより、GUI画面のデータを少ないデータ量で組込機器から端末に転送できるようになる。また、データ転送量が少ないため、組込機器と端末との間の転送速度が遅くても、短時間で転送できるようになる。
また、組込機器は、GUI画面の更新時に、更新したオブジェクトのみ、形状、テキスト文字、座標、色等を生成して、端末に送信する。これにより、GUI画面の更新時のデータ量をさらに削減した少ないデータ量で組込機器から端末に転送できるようになる。
通信接続される組込機器と端末は、端末の操作により、組込機器を動作制御できる。これにより、機器が設置された箇所から離れた位置であっても、ユーザは端末の表示画面を見て組込機器の動作状態等を監視でき、また、組込機器を動作制御できるようになる。
そして、組込機器から端末へ転送するGUI画面のデータ量を削減できるため、組込機器の設置箇所までユーザが出向かなくても、遠隔地での端末操作で組込機器を制御できるようになる。また、端末を用いて遠隔地から組込機器の不具合時等にリモートメンテナンスすることができるようになる。また、端末で組込機器のGUI画面を表示できるため、組込機器の表示画面を設けずコストダウンを図ることができる。さらには、端末を複数台の組込機器に接続することにより、1台の端末で複数台の組込機器を監視できるようになる。
なお、本実施の形態で説明した画面表示のプログラムは、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション、PC(タブレット、スマートフォンを含む)等のコンピュータで実行することにより実現することができる。また、本画面表示方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。