(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係る空調システム1000の構成について説明する。空調システム1000は、例えば、オフィス内の空間を空調するシステムである。図1に示すように、空調システム1000は、消費電力推定装置100と、空調制御装置200と、室外機310と、室内機320と、室内機330と、電力計測装置400とを備える。消費電力推定装置100と空調制御装置200と電力計測装置400とは、通信ネットワーク610を介して相互に接続される。通信ネットワーク610は、例えば、オフィス内に構築された無線LAN(Local Area Network)である。消費電力推定装置100と第1サーバ510と第2サーバ520とは、通信ネットワーク620を介して相互に接続される。通信ネットワーク620は、例えば、インターネットである。
消費電力推定装置100は、空調機の消費電力を推定する装置である。本実施形態では、理解を容易にするため、室外機310と室内機320と室内機330との集合体を空調機とみなす。ただし、室外機310と室内機320と室内機330とのうちいずれか1つの機器を空調機とみなしてもよい。消費電力推定装置100は、気象予報データと文字列データとスケジュール情報とに基づいて、推定対象期間内における各時刻における空調機の消費電力を推定し、推定対象期間内における空調機の消費電力量を推定する。推定対象期間は、消費電力及び消費電力量を推定する対象となる期間である。推定対象期間は、例えば、1ヶ月、1週間、1日などである。
気象予報データは、気象予報を示すデータである。気象予報データは、予め定められたフォーマットで定義されるデータである。気象予報データは、例えば、日付:10/1、場所:横浜、最高気温:29℃、最低気温:22℃、及び、降水確率:10%というフォーマットのデータである。気象予報データは、一般的には、JSON(Java Script (登録商標) Object Notation)形式のように、受け取る型が決まっているデータである。気象予報データにおける予報対象地域の粒度、及び、気象予報データにおける予報対象期間の粒度は、どのような細かさであってもよい。気象予報データは、消費電力の推定値の概算値を算出するために用いられる。気象予報データは、第1サーバ510から提供される。
文字列データは、気象に関する用語である気象関連用語を含む文字列を示すデータである。文字列データは、フォーマットが定義されていないデータである。言い換えれば、文字列データのフォーマットは、特定のフォーマットに限定されない。文字列データは、本質的には、気象予報を提供するために用意されたデータではなく、気象予報を示すデータではない。つまり、文字列データは、気象予報データではない。文字列データは、例えば、ポータルサイトのトップニュース、気象ニュース、SNS(Social Networking Service)におけるメッセージの内容を示す文字列を示すデータである。文字列データは、消費電力の推定値の概算値を調整するために用いられる。文字列データは、第2サーバ520から提供される。
スケジュール情報は、空調機の制御スケジュールである空調スケジュールを示す情報である。スケジュール情報は、例えば、日時毎に制御内容を示す情報である。この日時は、どのような長さで管理されていてもよい。本実施形態では、この日時は、1時間毎に区切られて管理されるものとする。制御内容は、例えば、設定温度である。この設定温度は、冷房運転における設定温度であってもよいし、暖房運転における設定温度であってもよいし、冷房運転と暖房運転とを自動で切り替える自動運転における設定温度であってもよい。スケジュール情報は、例えば、空調制御装置200から提供される。
消費電力推定装置100は、プロセッサ11と、フラッシュメモリ12と、タッチスクリーン13と、第1通信インターフェース14と、第2通信インターフェース15と、を備える。プロセッサ11は、消費電力推定装置100の全体の動作を制御する。プロセッサ11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)などを内蔵したCPU(Central Processing Unit)である。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。
フラッシュメモリ12は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ12は、例えば、プロセッサ11が実行するプログラムを記憶する。タッチスクリーン13は、ユーザによりなされた操作を検知し、検知の結果を示す信号をプロセッサ11に供給する。また、タッチスクリーン13は、プロセッサ11による制御に従って、情報を表示する。第1通信インターフェース14は、消費電力推定装置100を通信ネットワーク610に接続するための通信インターフェースである。第1通信インターフェース14は、例えば、無線LAN用の通信インターフェースである。第2通信インターフェース15は、消費電力推定装置100を通信ネットワーク620に接続するための通信インターフェースである。消費電力推定装置100は、例えば、パーソナルコンピュータである。
空調制御装置200は、プロセッサ21と、フラッシュメモリ22と、第1通信インターフェース23と、第2通信インターフェース24と、を備える。プロセッサ21は、空調制御装置200の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、例えば、ROM、RAM、RTCなどを内蔵したCPUである。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。
フラッシュメモリ22は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ22は、例えば、プロセッサ21が実行するプログラムを記憶する。第1通信インターフェース23は、空調制御装置200を通信ネットワーク610に接続するための通信インターフェースである。第1通信インターフェース23は、例えば、無線LAN用の通信インターフェースである。第2通信インターフェース24は、空調制御装置200を室外機310に接続するための通信インターフェースである。空調制御装置200は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)におけるHEMSコントローラである。
室外機310は、室外に設置される空調機である。室外機310は、空調制御装置200による制御に従って動作する。室内機320と室内機330とは、室内に設置される空調機である。室内機320と室内機330とは、室外機310を介した空調制御装置200による制御に従って、室内空間の空気を調和する。本実施形態では、室内機320が設置される部屋と室内機330が設置される部屋とは異なり、室内機320が空調する空間と室内機330が空調する空間とは異なるものとする。
電力計測装置400は、空調機の消費電力を計測し、空調機の消費電力量を計測する。つまり、電力計測装置400は、室外機310の消費電力を計測し、室外機310の消費電力量を計測する。また、電力計測装置400は、室内機320の消費電力を計測し、室内機320の消費電力量を計測する。また、電力計測装置400は、室内機330の消費電力を計測し、室内機330の消費電力量を計測する。なお、電力計測装置400は、室外機310と室内機320と室内機330との合計消費電力を計測し、室外機310と室内機320と室内機330との合計消費電力量を計測してもよい。電力計測装置400は、通信ネットワーク610に接続するための通信インターフェースを備える。電力計測装置400は、計測した消費電力又は計測した消費電力量を示す計測電力情報を、通信ネットワーク610を介して、消費電力推定装置100又は空調制御装置200に送信する。電力計測装置400は、例えば、カレントトランスを備える。
第1サーバ510は、気象予報データを提供するサーバである。第1サーバ510が蓄積する気象予報データは、定期的に更新される。第1サーバ510は、通信ネットワーク620に接続する機能を有する。第1サーバ510は、消費電力推定装置100からの要求に従って、気象予報データを消費電力推定装置100に送信する。第1サーバ510は、例えば、気象庁又は他の機間が保有するサーバである。第1サーバ510は、例えば、第1サーバ510の全体の動作を制御するプロセッサと、気象予報データを記憶するハードディスクと、第1サーバ510を通信ネットワーク620に接続するための通信インターフェースとを備える。
第2サーバ520は、文字列データを提供するサーバである。第2サーバ520が蓄積する文字列データは、リアルタイムに更新される。第2サーバ520は、通信ネットワーク620に接続する機能を有する。第2サーバ520は、消費電力推定装置100からの要求に従って、文字列データを消費電力推定装置100に送信する。第2サーバ520は、例えば、SNS又は他のサービスを提供するサーバである。第2サーバ520は、例えば、第2サーバ520の全体の動作を制御するプロセッサと、文字列データを記憶するハードディスクと、第2サーバ520を通信ネットワーク620に接続するための通信インターフェースとを備える。
次に、図2を参照して、消費電力推定装置100及び空調制御装置200の機能について説明する。図2に示すように、消費電力推定装置100は、機能的には、第1データ取得部101と、第2データ取得部102と、消費電力推定部103と、消費電力情報記憶部104と、用語抽出部105と、用語情報記憶部106と、調整値決定部107と、調整値情報記憶部108と、時刻情報記憶部109と、地域情報記憶部110と、消費電力調整部111とを備える。また、空調制御装置200は、機能的には、スケジュール情報記憶部201と、スケジュール調整部202と、空調制御部203とを備える。
第1データ取得手段は、例えば、第1データ取得部101に対応する。第2データ取得手段は、例えば、第2データ取得部102に対応する。消費電力推定手段は、例えば、消費電力推定部103に対応する。調整値決定手段は、例えば、調整値決定部107に対応する。調整値情報記憶手段は、例えば、調整値情報記憶部108に対応する。時刻情報記憶手段は、例えば、時刻情報記憶部109に対応する。地域情報記憶手段は、例えば、地域情報記憶部110に対応する。消費電力調整手段は、例えば、消費電力調整部111に対応する。スケジュール調整手段は、例えば、スケジュール調整部202に対応する。空調制御手段は、例えば、空調制御部203に対応する。
第1データ取得部101は、第1サーバ510から気象予報を示すデータである気象予報データを取得する。例えば、第1データ取得部101は、通信ネットワーク620を介して、推定対象期間内における気象予報を示す気象予報データの送信要求を第1サーバ510に送信する。そして、第1データ取得部101は、この送信要求に応答して第1サーバ510が送信した気象予報データを、通信ネットワーク620を介して受信する。第1データ取得部101の機能は、例えば、プロセッサ11と第2通信インターフェース15とが協働することにより実現される。
第2データ取得部102は、第2サーバ520から気象に関連する用語である気象関連用語を含む文字列を示すデータである文字列データを取得する。例えば、第2データ取得部102は、通信ネットワーク620を介して、ポータルサイトのトップニュースの内容を示す文字列データの送信要求を第2サーバ520に送信する。そして、第2データ取得部102は、この送信要求に応答して第2サーバ520が送信した文字列データを、通信ネットワーク620を介して受信する。第2データ取得部102の機能は、例えば、プロセッサ11と第2通信インターフェース15とが協働することにより実現される。
消費電力推定部103は、気象予報データに基づいて、空調機の消費電力を推定する。ここで、空調機の消費電力は、気象状況と制御内容とに依存する。そこで、消費電力推定部103は、気象状況を示す気象予報データに加え、気象状況と制御内容とに応じた消費電力を示す消費電力情報と、時刻毎に制御内容を示すスケジュール情報とに基づいて、空調機の消費電力を推定する。なお、消費電力推定部103は、第1データ取得部101から気象予報データを取得し、消費電力情報記憶部104から消費電力情報を取得し、スケジュール情報記憶部201からスケジュール情報を記憶する。
図3に示すように、消費電力情報は、例えば、気象状況と曜日と制御内容と消費電力とが対応付けられた情報である。気象状況は、例えば、外気温と天候とにより特定される。また、制御内容は、例えば、空調制御における設定温度である。消費電力は、気象状況と曜日と制御内容とに応じた空調機の消費電力である。なお、消費電力が曜日に依存しない場合、消費電力情報は、気象状況と制御内容と消費電力とが対応付けられた情報であってもよい。図3に示す最初のレコードは、外気温が28℃であり、天候が晴れであり、曜日が月曜日であり、制御内容が26℃である場合、空調機の消費電力が6kWであることを示している。
本実施形態では、消費電力推定部103は、一時間毎に、消費電力と消費電力量とを推定するものとする。つまり、消費電力推定部103は、推定対象期間を一時間毎に分割し、一時間毎に消費電力を推定し、一時間毎の消費電力量を推定する。そして、消費電力推定部103は、一時間毎の消費電力量の和を推定対象期間における消費電力量として求める。消費電力推定部103の機能は、例えば、プロセッサ11と第1通信インターフェース14とが協働することにより実現される。
消費電力情報記憶部104は、上述した消費電力情報を記憶する。この消費電力情報は、例えば、気象状況と曜日と制御内容との組み合わせ毎に測定された消費電力の実績値に基づいて生成される。この消費電力情報は、例えば、タッチスクリーン13を介してユーザから受け付けた操作に基づいて生成されてもよいし、通信ネットワーク610又は通信ネットワーク620を介して他の装置から取得されてもよい。消費電力情報記憶部104の機能は、例えば、フラッシュメモリ12の機能により実現される。
用語抽出部105は、用語情報記憶部106に記憶された用語情報に基づいて、第2データ取得部102により取得された文字列データにより示される文字列から、各種の用語を抽出する。用語抽出部105は、抽出した用語と、文字列中における抽出位置とを示す情報を、調整値決定部107に供給する。図4に示すように、用語情報は、文字列データから抽出すべき用語を、用語の分類毎に示す情報である。抽出すべき用語は、気象関連用語と、時刻関連用語と、地域関連用語とに分類される。気象関連用語は、調整値を決定するための用語である。時刻関連用語は、調整対象時刻を決定するための用語である。地域関連用語は、調整対象地域を決定するための用語である。
気象関連用語は、気象に関連する用語であり、例えば、気象の状態を表す用語である。気象関連用語は、晴れ間、にわか雨、強い日差し、大荒れ、梅雨前線、暴風警報、又は、台風などである。時刻関連用語は、時刻に関連する用語であり、例えば、日付や時間帯を示す用語である。時刻関連用語は、現在時刻を基準とした相対的な表現により、日付や時間帯を示す用語であってもよい。時刻関連用語は、例えば、明日、今日一杯、未明、明け方、昼過ぎ、夜間、又は、日中などである。地域関連用語は、地域に関する用語であり、例えば、地域の名称を表す用語である。地域関連用語は、地域に存在するランドマークの名称であってもよい。地域関連用語は、例えば、神奈川県東部、神奈川区、鶴見区、ランドマークタワー、赤レンガ倉庫、神奈川県中部、又は、大船などである。用語抽出部105の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
用語情報記憶部106は、上述した用語情報を記憶する。この用語情報は、例えば、タッチスクリーン13を介してユーザから受け付けた操作に基づいて生成されてもよいし、通信ネットワーク610又は通信ネットワーク620を介して他の装置から取得されてもよい。用語情報記憶部106の機能は、例えば、フラッシュメモリ12の機能により実現される。
調整値決定部107は、第2データ取得部102により取得された文字列データに基づいて、消費電力推定部103により推定された消費電力に対する調整値を決定する。例えば、調整値決定部107は、用語抽出部105により抽出された用語と、調整値情報記憶部108に記憶された調整値情報と、時刻情報記憶部109に記憶された時刻情報と、地域情報記憶部110に記憶された地域情報とに基づいて、調整値を決定する。調整値決定部107の処理内容の詳細については後述する。調整値決定部107の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
調整値情報記憶部108は、調整値情報を記憶する。図5に示すように、調整値情報は、気象関連用語と調整値との対応関係を示す情報である。調整値は、調整値の絶対値を示す調整量と調整値の符号を示す調整特性とにより表すことができる。ここで、冷房期と暖房期とでは、抽出すべき気象関連用語が異なることが多く、また、調整特性が逆になる可能性が高い。そこで、本実施形態では、図5に示すように、冷房期に用いる調整値情報と暖房期に用いる調整値情報とを、別々に管理するものとする。
冷房期は、基本的に、空調機により冷房運転が実行される時期であり、例えば、夏季である。暖房期は、基本的に、空調機により暖房運転が実行される時期であり、例えば、冬季である。図5において、冷房期に用いる調整値情報における1行目のレコードは、冷房期において、晴れ間という気象関連用語が抽出された場合、消費電力の推定値を1kW分増加させることを意味する。また、図5において、暖房期に用いる調整値情報における1行目のレコードは、暖房期において、晴れ間という気象関連用語が抽出された場合、消費電力の推定値を1kW分減少させることを意味する。なお、本実施形態では、調整値情報は、予め調整値情報記憶部108に記憶されており、更新されないものとする。調整値情報記憶部108の機能は、例えば、フラッシュメモリ12の機能により実現される。
時刻情報記憶部109は、時刻情報を記憶する。図6に示すように、時刻情報は、時刻に関連する用語である時刻関連用語と時刻との対応関係を示す情報である。図6において、時刻情報における1行目のレコードは、明け方という時刻関連用語が抽出された場合、調整対象となる時刻が3時であることを示している。なお、本実施形態において、時刻は、時分秒により表される時刻だけではなく、年月日により表される日付をも指定する場合があるものとする。
また、本実施形態において、時刻関連用語と対応付けられる時刻は、1つの時刻であってもよいし、ある期間の開始時刻とこの期間の終了時刻との2つであってもよい。なお、時刻関連用語と対応付けられる時刻が1つの時刻である場合、この時刻から開始される予め定められた時間分の期間、この時刻に終了する予め定められた時間分の期間、又は、この時刻を中心とする予め定められた時間分の期間が指定される。例えば、上記1行目のレコードでは、明け方は、3時から4時の期間を示してもよいし、2時から3時までの期間を示してもよいし、2時半から3時半の期間を示してもよい。時刻情報記憶部109の機能は、例えば、フラッシュメモリ12の機能により実現される。
地域情報記憶部110は、地域情報を記憶する。図7に示すように、地域情報は、地域に関連する用語である地域関連用語と地域との対応関係を示す情報である。図7において、地域情報における1行目のレコードは、神奈川県東部という地域関連用語が抽出された場合、調整対象となる地域が横浜市であることを示している。なお、地域関連用語に対応付けられる地域と、地域関連用語により連想される地域と、の大小関係は不問である。つまり、地域関連用語に対応付けられる地域は、地域関連用語により連想される地域を含むより広い範囲の地域であってもよいし、地域関連用語により連想される地域に含まれるより狭い範囲の地域であってもよい。本実施形態では、空調機は1つの地域に設置されているため、空調機が調整対象となる地域に設置されている場合、推定された消費電力が調整される。なお、空調機が異なる地域に設置されている場合、調整対象となる地域に設定されている空調機について推定された消費電力が調整される。地域情報記憶部110の機能は、例えば、フラッシュメモリ12の機能により実現される。
ここで、調整値決定部107は、文字列データにより示される文字列に第1気象関連用語が含まれる場合、第1調整値を調整値として決定することができる。第1気象関連用語は、1つの気象関連用語である。第1調整値は、調整値情報により第1気象関連用語に対応付けられた調整値である。例えば、第1気象関連用語が晴れ間である場合、+1kWが調整値として決定される。ここで、調整対象時刻は、文字列データにより示される文字列に含まれる時刻関連用語により決定される。
例えば、調整値決定部107は、文字列データにより示される文字列に第1時刻関連用語が更に含まれ、文字列内において第1気象関連用語と第1時刻関連用語とが予め定められた関係にある場合、第1時刻を第1調整値で調整される時刻として決定する。第1時刻関連用語は、1つの時刻関連用語である。第1時刻は、時刻情報により第1時刻関連用語に対応付けられた時刻である。文字列内において第1気象関連用語と第1時刻関連用語とが予め定められた関係にある場合とは、例えば、第1気象関連用語と第1時刻関連用語とが1つの文に含まれる場合、又は、第1気象関連用語と第1時刻関連用語との間に予め定められた個数(例えば、10個)以下の文字しか存在しない場合である。例えば、文字列に、晴れ間と昼過ぎとが含まれ、晴れ間と昼過ぎとが1つの文に含まれている場合、15時が+1kWの調整値で調整される時刻として決定される。また、調整対象地域は、文字列データにより示される文字列に含まれる地域関連用語により決定される。
例えば、調整値決定部107は、文字列データにより示される文字列に第1地域関連用語が更に含まれ、文字列内において第1気象関連用語と第1地域関連用語とが予め定められた関係にある場合、第1調整値を第1地域に配置された空調機の調整値として決定される。つまり、調整値決定部107は、文字列データにより示される文字列に第1地域関連用語が更に含まれ、文字列内において第1気象関連用語と第1地域関連用語とが予め定められた関係にあり、第1地域に空調機が配置されている場合、第1調整値を調整値として決定する。第1地域関連用語は、1つの地域関連用語である。第1地域は、地域情報により第1地域関連用語に対応付けられた地域である。文字列内において第1気象関連用語と第1地域関連用語とが予め定められた関係にある場合とは、例えば、第1気象関連用語と第1地域関連用語とが1つの文に含まれる場合、又は、第1気象関連用語と第1地域関連用語との間に予め定められた個数(例えば、10個)以下の文字しか存在しない場合である。例えば、文字列に、晴れ間と神奈川県東部とが含まれ、晴れ間と神奈川県東部とが1つの文に含まれ、空調機が横浜市に配置されている場合、+1kWが調整値として決定される。
また、例えば、調整値決定部107は、文字列データにより示される文字列に第1気象関連用語と第1時刻関連用語と第1地域関連用語とが含まれ、文字列内において第1気象関連用語と第1時刻関連用語と第1地域関連用語とが1つの文に含まれる場合、第1調整値を第1地域に配置された空調機の第1時刻における調整値として決定する。
例えば、文字列データが「神奈川県横浜市西区、明け方から昼前まで、激しい雨、猛烈な強風。神奈川県横浜市港北区、4日から5日朝方、台風が通過。」という文字列を示すデータであるものとする。この場合、例えば、この文字列の第1文からは、「神奈川県横浜市西区」という第1地域関連用語が抽出され、「明け方」及び「昼前」という第1時刻関連用語、又は、「明け方から昼前まで」という第1時刻関連用語が抽出され、「激しい雨」及び「猛烈な強風」という第1気象関連用語が抽出される。また、例えば、この文字列の第2文からは、「神奈川県横浜市港北区」という第1地域関連用語が抽出され、「4日」及び「5日朝方」という第1時刻関連用語、又は、「4日から5日朝方」という第1時刻関連用語が抽出され、「台風」という第1気象関連用語が抽出される。
ここで、第1文に関して、「明け方から昼前まで」という用語が用語情報及び時刻情報に含まれ、時刻情報により「明け方から昼前まで」という用語に「3時から11時」という時間帯が対応付けられているものとする。この場合、「明け方から昼前まで」という用語から、直接、「3時から11時」という時間帯が特定される。一方、ここで、「明け方から昼前まで」という用語が用語情報及び時刻情報に含まれておらず、「明け方」及び「昼前」という用語が用語情報及び時刻情報に含まれ、時刻情報により、「明け方」という用語に「3時」という時刻が対応付けられ、「昼前」という用語に「11時」という時刻が対応付けられているものとする。この場合、「明け方」という用語から「3時」という時刻が特定され、「昼前」という用語から「11時」という時刻が特定され、「から」という用語から「3時から11時」という時間帯が特定される。第2文に関しても同様である。
消費電力調整部111は、消費電力推定部103により推定された消費電力を、調整値決定部107により決定された調整値で調整する。より詳細には、消費電力調整部111は、消費電力推定部103により推定された消費電力のうち、調整値決定部107により決定された調整対象時刻、及び、調整値決定部107により決定された調整対象地域に対応する消費電力を、調整値決定部107により決定された調整値で調整する。消費電力調整部111は、調整後の消費電力を示す情報を、スケジュール調整部202に供給する。消費電力調整部111の機能は、例えば、プロセッサ11と第1通信インターフェース14とが協働することにより実現される。
また、消費電力推定部103は、気象予報データと予め定められた期間である推定対象期間の空調スケジュールとに基づいて、推定対象期間に含まれる複数の個別期間のそれぞれにおける消費電力を推定する。これらの複数の個別期間は、例えば、推定対象期間を1時間毎に区切ることにより得られる期間である。この場合、調整値決定部107は、文字列データに基づいて、これらの複数の個別期間のそれぞれに対する調整値を決定する。そして、消費電力調整部111は、複数の個別期間のそれぞれにおける消費電力を、複数の個別期間のそれぞれに対する調整値で調整し、推定対象期間における推定電力量を求める。消費電力調整部111は、推定対象期間における推定電力量を示す情報を、スケジュール調整部202に送信する。
スケジュール情報記憶部201は、空調機の制御スケジュールを示す情報であるスケジュール情報を記憶する。スケジュール情報は、推定対象期間における空調機の制御スケジュールを示す。最も簡単な制御スケジュールとしては、例えば、推定対象期間の間、予め定められた設定温度(例えば、26℃)で制御することを示す制御スケジュールが考えられる。スケジュール情報記憶部201は、消費電力推定部103による要求に従って、スケジュール情報を、スケジュール情報記憶部201に送信する機能を有する。スケジュール情報記憶部201の機能は、例えば、プロセッサ21と第1通信インターフェース23とが協働することにより実現される。
スケジュール調整部202は、推定電力量が予め定められた目標電力量を超える場合、推定電力量が目標電力量を超えないように、空調スケジュールを調整する。例えば、スケジュール調整部202は、目標電力量を上記複数の個別期間に振り分けることにより、個別期間毎の目標電力量である個別目標電力量を求める。そして、スケジュール調整部202は、個別期間毎の推定電力量である個別推定電力量と個別期間毎の目標電力量である個別目標電力量との差が大きい個別期間から順に消費電力が低減されるように制御内容を調整する。スケジュール調整部202は、推定電力量が目標電力量以下になるまで制御内容を調整する処理を繰り返す。スケジュール調整部202の機能は、例えば、プロセッサ21の機能により実現される。
空調制御部203は、スケジュール調整部202により調整された空調スケジュールに従って、空調機を制御する。つまり、空調制御部203は、スケジュール情報記憶部201に記憶された調整済みのスケジュール情報により示される空調スケジュールに従って、室外機310と室内機320と室内機330とを制御する。空調制御部203の機能は、例えば、プロセッサ21と第2通信インターフェース24とが協働することにより実現される。
次に、図8のフローチャートを参照して、消費電力推定装置100が実行する消費電力推定処理について説明する。消費電力推定処理は、例えば、消費電力推定装置100が備えるタッチスクリーン13に対して、消費電力推定処理の開始を指示する操作が受け付けられたことに応答して実行される。
まず、プロセッサ11は、気象予報データを取得する(ステップS101)。例えば、プロセッサ11は、第2通信インターフェース15を介して、第1サーバ510に、気象予報データの要求情報を送信する。そして、プロセッサ11は、第2通信インターフェース15を介して、第1サーバ510から気象予報データを受信する。なお、気象予報データは、推定対象期間における気象予報を予め定められた期間毎に示すデータであるものとする。推定対象期間は、例えば、現在時刻から1ヶ月後までの1ヶ月間であるものとする。また、上記予め定められた期間は、例えば、1日毎の期間であるものとする。なお、消費電力は1時間単位で推定され、個別期間の長さは1時間であるものとする。
プロセッサ11は、ステップS101の処理を完了すると、スケジュール情報を取得する(ステップS102)。例えば、プロセッサ11は、第1通信インターフェース14を介して、空調制御装置200に、スケジュール情報の要求情報を送信する。そして、プロセッサ11は、第1通信インターフェース14を介して、空調制御装置200からスケジュール情報を受信する。スケジュール情報は、例えば、推定対象期間における空調機のスケジュールを上記個別期間毎に示すものとする。
プロセッサ11は、ステップS102の処理を完了すると、消費電力を推定する(ステップS103)。例えば、プロセッサ11は、気象予報データとスケジュール情報と消費電力情報とに基づいて、推定対象期間における消費電力を個別期間毎に推定する。つまり、プロセッサ11は、現在時刻から1ヶ月後までの消費電力を1時間単位で推定する。
プロセッサ11は、ステップS103の処理を完了すると、文字列データを取得する(ステップS104)。例えば、プロセッサ11は、第2通信インターフェース15を介して、第2サーバ520に、文字列データの要求情報を送信する。そして、プロセッサ11は、第2通信インターフェース15を介して、第2サーバ520から文字列データを受信する。例えば、プロセッサ11は、第2サーバ520が管理するニュースサイトのうち、更新日時が最も新しい5つのニュースサイトにアクセスし、この5つのニュースサイトから文字列データを取得する。
プロセッサ11は、ステップS104の処理を完了すると、文字列データから用語を抽出する(ステップS105)。例えば、プロセッサ11は、用語情報により、気象関連用語、時刻関連用語、又は、地域関連用語として示される用語を、文字列データから抽出する。プロセッサ11は、例えば、抽出された用語と抽出位置とを示す情報を、フラッシュメモリ12に記憶する。
プロセッサ11は、ステップS105の処理を完了すると、調整値決定処理を実行する(ステップS106)。調整値決定処理については、図9に示すフローチャートを参照して、詳細に説明する。
まず、プロセッサ11は、抽出した用語の中から気象関連用語を選択する(ステップS201)。プロセッサ11は、ステップS201の処理を完了すると、気象関連用語に対応する時刻関連用語があるか否かを判別する(ステップS202)。例えば、プロセッサ11は、選択した気象関連用語が抽出された1つの文から抽出された時刻関連用語があるか否かを判別する。プロセッサ11は、気象関連用語に対応する時刻関連用語がないと判別すると(ステップS202:NO)、ステップS201に処理を戻す。
プロセッサ11は、気象関連用語に対応する時刻関連用語があると判別すると(ステップS202:YES)、気象関連用語に対応する地域関連用語があるか否かを判別する(ステップS203)。例えば、プロセッサ11は、選択した気象関連用語が抽出された1つの文から抽出された地域関連用語があるか否かを判別する。プロセッサ11は、気象関連用語に対応する地域関連用語がないと判別すると(ステップS203:NO)、ステップS201に処理を戻す。
プロセッサ11は、気象関連用語に対応する地域関連用語があると判別すると(ステップS203:YES)、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域であるか否かを判別する(ステップS204)。なお、プロセッサ11は、地域情報に基づいて地域関連用語が示す地域を特定する。また、プロセッサ11は、例えば、フラッシュメモリ22に記憶された設置場所情報に基づいて、空調機の設置地域を特定することができる。プロセッサ11は、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域でないと判別すると(ステップS204:NO)、ステップS201に処理を戻す。
プロセッサ11は、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域であると判別すると(ステップS204:YES)、調整値を決定する(ステップS205)。例えば、プロセッサ11は、気象情報により選択した気象関連用語に対応付けられた調整値を、時刻情報により選択した気象関連用語に対応する時刻関連用語に対応付けられた時刻における調整値として決定する。例えば、冷房期において、選択された気象関連用語が「にわか雨」であり、「にわか雨」が抽出された1文から「明け方」という時刻関連用語と「神奈川県東部」という地域関連用語とが抽出され、空調機の設置地域が「横浜市」である場合、空調機の3時における消費電力の推定値に対して、−1kWという調整値が決定される。
この場合、調整値は、例えば、「3時、−1kW」を示す情報としてフラッシュメモリ12に記憶される。なお、空調機の設置地域が後の処理で判別される場合、例えば、ステップS204の処理がスキップされ、調整値は、例えば、「3時、横浜市、−1kW」を示す情報としてフラッシュメモリ12に記憶される。プロセッサ11は、ステップS205の処理を完了すると、未選択の気象関連用語があるか否かを判別する(ステップS206)。プロセッサ11は、未選択の気象関連用語があると判別すると(ステップS206:YES)、ステップS201に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、未選択の気象関連用語がないと判別すると(ステップS206:NO)、ステップS106の調整値決定処理を完了する。
プロセッサ11は、ステップS106の処理を完了すると、推定した消費電力を決定した調整値で調整する(ステップS107)。つまり、調整対象時刻における消費電力の推定値に、決定した調整値を加算する。プロセッサ11は、ステップS107の処理を完了すると、推定電力情報を空調制御装置200に送信する(ステップS108)。推定電力情報は、例えば、調整後の消費電力の推定値を、1時間毎に示す情報である。プロセッサ11は、ステップS108の処理を完了すると、消費電力推定処理を完了する。
次に、図10を参照して、空調制御装置200が実行するスケジュール調整処理について説明する。
まず、プロセッサ21は、消費電力推定装置100から推定電力情報を受信したか否かを判別する(ステップS301)。プロセッサ21は、消費電力推定装置100から推定電力情報を受信していないと判別すると(ステップS301:NO)、ステップS301に処理を戻す。一方、プロセッサ21は、消費電力推定装置100から推定電力情報を受信したと判別すると(ステップS301:YES)、推定対象期間における目標電力量を特定する(ステップS302)。目標電力量は、例えば、タッチスクリーン13に対してなされた操作に基づいて設定される。本実施形態では、目標電力量を示す情報は、フラッシュメモリ22に予め記憶されているものとする。
プロセッサ21は、ステップS302の処理を完了すると、推定対象期間における推定電力量を算出する(ステップS303)。例えば、プロセッサ21は、推定電力情報により示される1時間毎の推定電力から一時間毎の推定電力量を算出し、算出した推定電力量の推定対象期間分の総和を、推定対象期間における推定電力量として算出する。プロセッサ21は、ステップS303の処理を完了すると、推定電力量が目標電力量を超過しているか否かを判別する(ステップS304)。プロセッサ21は、推定電力量が目標電力量を超過していないと判別すると(ステップS304:NO)、スケジュール調整処理を完了する。
プロセッサ21は、推定電力量が目標電力量を超過していると判別すると(ステップS304:YES)、超過電力量が最も大きい時刻を特定する(ステップS305)。プロセッサ21は、ステップS305の処理を完了すると、特定した時刻の制御を変更可能か否かを判別する(ステップS306)。例えば、冷房期において、特定した時刻における設定温度が、冷房運転における最高設定温度よりも低いか否かを判別する。
プロセッサ21は、特定した時刻の制御を変更可能でないと判別すると(ステップS306:NO)、ステップS305に処理を戻し、超過電力量が次に大きい時刻を特定する。プロセッサ21は、特定した時刻の制御を変更可能であると判別すると(ステップS306:YES)、特定した時刻の制御を変更する(ステップS307)。プロセッサ21は、ステップS307の処理を完了すると、ステップS304に処理を戻す。
本実施形態では、気象予報データと文字列データとに基づいて、空調機の消費電力が推定される。より詳細には、気象予報データに基づいて空調機の消費電力が推定され、文字列データに基づいて消費電力に対する調整値が決定され、推定された消費電力が決定された調整値で調整される。従って、本実施形態によれば、安定的に高い精度で空調機の消費電力を推定することができる。
また、本実施形態では、気象関連用語に基づいて調整量が特定され、時刻関連用語に基づいて調整対象時刻が特定され、地域関連用語に基づいて調整対象地域が特定される。従って、本実施形態によれば、文字列データから、調整量と調整対象時刻と調整対象地域とを特定することができ、推定された消費電力を適切に調整することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、文字列データにより示される文字列に気象関連用語が1つでも含まれていれば、この気象関連用語に対応する調整量で消費電力の予測値が調整される例について説明した。しかしながら、文字列に1つの気象関連用語が含まれているだけで、消費電力を調整することが望ましくない場合がある。本実施形態では、気象関連用語に対応付けられた確信度と気象関連用語の出現回数とに基づいて、消費電力が調整されるか否かが決定される手法について説明する。
この確信度は、気象関連用語を信頼できる程度と考えることができる。例えば、確信度は、0から1までの値である。確信度が0であることは、気象関連用語が全く信頼できないことを意味する。一方、確信度が1であることは、気象関連用語の信頼度が極めて高いことを意味する。つまり、確信度が高いほど、気象関連用語の信頼度が高い。本実施形態では、確信度と出現回数との積が1以上となった場合に、消費電力が調整されるものとする。例えば、確信度が1である気象関連用語は、一度でも出現したら、消費電力が調整される。一方、確信度が0.01である気象関連用語は、100回出現しない限り、消費電力が調整されない。
本実施形態では、同一の気象関連用語が2つ以上含まれる1つの文字列を示す文字列データが1回取得された場合、この気象関連用語の出現回数は1回であるものとみなす。同一の情報源から取得された情報のみに基づいて、信憑性を高めることは好ましくないと考えられるためである。ただし、同一の気象関連用語が2つ以上含まれる1つの文字列を示す文字列データが1回取得された場合、この気象関連用語の出現回数が2つ以上であるものとみなしてもよい。なお、実施形態1では、全ての気象関連用語に確信度として1が対応付けられた例を示した。
図11に示すように、本実施形態に係る消費電力推定装置120は、機能的には、第1データ取得部101と、第2データ取得部102と、消費電力推定部103と、消費電力情報記憶部104と、用語抽出部105と、用語情報記憶部106と、調整値決定部107と、調整値情報記憶部108と、時刻情報記憶部109と、地域情報記憶部110と、消費電力調整部111とに加え、計測電力情報取得部112と、調整値更新部113と、確信度更新部114と、を備える。調整値更新手段は、例えば、調整値更新部113に対応する。確信度更新手段は、例えば、確信度更新部114に対応する。
図12に示すように、本実施形態に係る調整値情報は、気象関連用語と調整値と確信度との対応関係を示す情報である。図12には、例えば、冷房期において、傘を持っていくという気象関連用語に対応付けられる確信度が0.3であり、乾燥期において、枯れたという気象関連用語に対応付けられる確信度が0.05である例を示している。乾燥期は、例えば、基本的に、空気が乾燥した季節であり、除湿運転が推奨される季節である。傘を持っていくという用語は、4回出現すると消費電力が調整される。一方、枯れたという用語は、20回出現すると消費電力が調整される。
計測電力情報取得部112は、空調機の消費電力の実績値を示す計測電力情報を取得する。計測電力情報取得部112は、例えば、電力計測装置400から計測電力情報を取得する。計測電力情報取得部112の機能は、例えば、プロセッサ11と第1通信インターフェース14とが協働することにより実現される。
調整値更新部113は、第1実績値と第2実績値とに基づいて、調整値情報により第1気象関連用語に対応付けられる調整値を更新する。第1実績値は、文字列に第1気象関連用語が含まれる場合(以下、適宜「用語出現時」という。)における消費電力の実績値である。より詳細には、第1実績値は、1つの文字列に第1気象関連用語と第1時刻関連用語と第1地域関連用語とが含まれ、第1地域に空調機が設置されている場合において、第1時刻における空調機の消費電力の実績値である。第1地域は、地域情報により第1地域関連用語に対応付けられた地域である。第1時刻は、時刻情報により第1時刻関連用語に対応付けられた時刻である。
第2実績値は、文字列に第1気象関連用語が含まれない場合(以下、適宜「用語非出現時」という。)における消費電力の実績値である。より詳細には、第2実績値は、第2時刻における空調機の消費電力の実績値である。第2時刻は、時刻情報により、第1気象関連用語と第1地域関連用語とともに1つの文字列に含まれる時刻関連用語に対応付けられた時刻以外の時刻である。また、第2時刻は、例えば、空調スケジュールにより示される制御内容と気象予報により示される外部環境とにより特定される運転条件が、第1時刻と同じ時刻である。制御内容は、例えば、運転モードと設定温度とにより特定される。また、外部環境は、例えば、天候と外気温とにより特定される。
ここで、例えば、第1実績値と第2実績値との差が新たな調整量として設定される。また、第1実績値が第2実績値よりも大きい場合に調整特性が+に設定され、第1実績値が第2実績値よりも小さい場合に調整特性が−に設定される。第1実績値と第2実績値とは、例えば、計測電力情報から特定される。調整値更新部113の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
ここで、調整値決定部107は、第1気象関連用語を含む文字列を示す文字列データが取得された回数と、調整値情報により第1気象関連用語に対応付けられた確信度と、の乗算値が予め定められた閾値を超える場合、第1調整値を調整値として決定する。
確信度更新部114は、第1実績値と第2実績値とに基づいて、調整値情報により第1気象関連用語に対応付けられる確信度を更新する。確信度更新部114は、例えば、第1実績値のばらつきが小さい程高い確信度になるように確信度を更新する。確信度更新部114の機能は、例えば、プロセッサ11の機能により実現される。
次に、図13に示すフローチャートを参照して、消費電力推定装置120が実行する調整値決定処理について説明する。
まず、プロセッサ11は、抽出した用語の中から気象関連用語を選択する(ステップS401)。プロセッサ11は、ステップS401の処理を完了すると、気象関連用語に対応する時刻関連用語があるか否かを判別する(ステップS402)。プロセッサ11は、気象関連用語に対応する時刻関連用語がないと判別すると(ステップS402:NO)、ステップS401に処理を戻す。
プロセッサ11は、気象関連用語に対応する時刻関連用語があると判別すると(ステップS402:YES)、気象関連用語に対応する地域関連用語があるか否かを判別する(ステップS403)。プロセッサ11は、気象関連用語に対応する地域関連用語がないと判別すると(ステップS403:NO)、ステップS401に処理を戻す。
プロセッサ11は、気象関連用語に対応する地域関連用語があると判別すると(ステップS403:YES)、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域であるか否かを判別する(ステップS404)。プロセッサ11は、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域でないと判別すると(ステップS404:NO)、ステップS401に処理を戻す。
プロセッサ11は、地域関連用語が示す地域が空調機の設置地域であると判別すると(ステップS404:YES)、カウント値をインクリメントする(ステップS405)。このカウント値は、例えば、気象関連用語と時刻関連用語と地域関連用語との組み合わせ毎に用意されるカウンタによりカウントされるカウント値である。このカウント値は、例えば、フラッシュメモリ12に記憶される。プロセッサ11は、ステップS405の処理を完了すると、カウント値と確信度との積が閾値以上であるか否かを判別する(ステップS406)。この閾値は、例えば、1である。
プロセッサ11は、カウント値と確信度との積が閾値以上であると判別すると(ステップS406:YES)、調整値を決定する(ステップS407)。プロセッサ11は、カウント値と確信度との積が閾値以上でないと判別した場合(ステップS406:NO)、又は、ステップS407の処理を完了した場合、未選択の気象関連用語があるか否かを判別する(ステップS408)。プロセッサ11は、未選択の気象関連用語があると判別すると(ステップS408:YES)、ステップS401に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、未選択の気象関連用語がないと判別すると(ステップS408:NO)、調整値決定処理を完了する。
次に、図14に示すフローチャートを参照して、消費電力推定装置120が実行する更新処理について説明する。更新処理は、基本的に、調整値情報により示される調整値と、調整値情報により示される確信度とを、更新する処理である。更新処理は、例えば、予め定められた時間が経過する毎に、実行される。この時間は、例えば、1ヶ月である。
まず、プロセッサ11は、用語情報により示される気象関連用語を選択する(ステップS501)。プロセッサ11は、ステップS501の処理を完了すると、用語非出現時の消費電力の実績値を収集する(ステップS502)。プロセッサ11は、ステップS502の処理を完了すると、用語非出現時の消費電力の平均値を算出する(ステップS503)。プロセッサ11は、ステップS503の処理を完了すると、用語出現時の消費電力の実績値を収集する(ステップS504)。プロセッサ11は、ステップS504の処理を完了すると、用語出現時の消費電力の平均値を算出する(ステップS505)。
プロセッサ11は、ステップS505の処理を完了すると、用語非出現時の消費電力の平均値と用語出現時の消費電力の平均値との差を新たな調整値として設定する(ステップS506)。プロセッサ11は、ステップS506の処理を完了すると、用語出現時の消費電力の標準偏差を算出する(ステップS507)。プロセッサ11は、ステップS507の処理を完了すると、標準偏差に基づく確信度を新たな確信度として設定する(ステップS508)。
図15を参照して、用語出現時の消費電力の分布について説明する。図15において、用語非出現時の消費電力の平均値の位置を0として示している。点P1、点P2、点P3、点P4、点P5、及び、点P6は、用語出現時における6つの消費電力を示す点である。点S1は、この6つの消費電力の平均値を示す点である。0から点S1までの距離が調整値に対応する。点S1が0よりも右側にある場合、つまり、用語出現時の消費電力の平均値が用語非出現時の消費電力の平均値よりも大きい場合、調整特性が+に設定される。一方、点S1が0よりも左側にある場合、つまり、用語出現時の消費電力の平均値が用語非出現時の消費電力の平均値よりも小さい場合、調整特性が−に設定される。
また、枠S2は、用語出現時における6つの消費電力のばらつき具合を示している。枠S2が横方向に長いほど、用語出現時の消費電力のばらつきが大きく、用語出現時の消費電力の分散及び標準偏差が大きいことを意味する。ここで、確信度は、図16に示すように、用語出現時の消費電力の標準偏差と用語出現時の消費電力の平均値とに基づいて、6つの値に設定される。図16に示すように、平均値に対する標準偏差が小さいほど、高い確信度が設定される。つまり、用語出現時の消費電力のばらつきが少ないほど、高い確信度が設定される。
プロセッサ11は、ステップS508の処理を完了すると、未選択の気象関連用語があるか否かを判別する(ステップS509)。プロセッサ11は、未選択の気象関連用語があると判別すると(ステップS509:YES)、ステップS501に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、未選択の気象関連用語がないと判別すると(ステップS509:YES)、更新処理を完了する。
本実施形態では、気象関連用語に対応付けられた確信度と気象関連用語の出現回数とに基づいて、気象関連用語に対応付けられた調整値で調整されるか否かが決定される。従って、本実施形態によれば、適切に、消費電力の推定値を調整することが期待できる。
また、本実施形態では、用語出現時における消費電力の実績値と用語非出現時における消費電力の実績値とに基づいて、気象関連用語に対応付けられる調整値及び確信度が更新される。従って、本実施形態によれば、更に適切に、消費電力の推定値を調整することが期待できる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
例えば、実施形態1では、消費電力推定装置100が空調システム1000に含まれる例について説明した。消費電力推定装置100は空調システム1000に含まれていなくてもよい。また、消費電力推定装置100は、空調制御装置200に組み込まれていてもよい。また、第1サーバ510、第2サーバ520、室内機320、又は、室内機330の個数は、実施形態1で示した例に限定されないことは勿論である。
実施形態1では、推定電力量が目標電力量を超過する場合、超過電力が最も大きい時刻から順に消費電力量が削減されるように空調スケジュールが調整される例について説明した。本発明において、空調スケジュールを調整する手法はこの例に限定されない。例えば、ユーザの快適性が考慮されて、空調スケジュールが調整されてもよい。
例えば、スケジュール調整部202は、複数の個別期間のうち消費電力の削減量に対する快適性の低下率が低い個別期間から順に消費電力が低減されるように、空調スケジュールを調整することが好適である。なお、この快適性の低下率を個別期間毎に示す情報が、予め定めフラッシュメモリ22に記憶されていることが好適である。この情報は、例えば、タッチスクリーン13に対するユーザ操作に基づいて生成されてもよい。
あるいは、スケジュール調整部202は、複数の空調機により空調される複数の空間のうち、空調実行時における温度変化の応答性が低い空間から順に消費電力が低減されるように、空調スケジュールを調整することが好適である。応答性が低い空間は、例えば、店舗内のように人の入れ替わりが激しい空間である。一方、応答性が高い空間は、例えば、オフィス内の空間のように、人の移動が少ない空間である。なお、この応答性を空間毎に示す情報が、予め定めフラッシュメモリ22に記憶されていることが好適である。この情報は、例えば、タッチスクリーン13に対するユーザ操作に基づいて生成されてもよい。なお、この場合、複数の空間のそれぞれを実行する複数の空調機が存在することが前提である。
実施形態1では、調整対象時刻が、文字列データにより示される文字列に含まれる時刻関連用語により特定される例について説明した。調整対象時刻は、時刻関連用語以外の情報により特定されてもよい。例えば、文字列データがアップデートされた時刻が特定可能である場合、この時刻から調整対象時刻が特定されてもよい。同様に、調整対象地域は、地域関連用語以外の情報により特定されてもよい。例えば、文字列データのアップデート元の地域が特定可能である場合、この地域から調整対象地域が特定されてもよい。
実施形態2では、確信度が更新される例について説明した。確信度は、更新されなくてもよい。また、用語情報、調整値情報、時刻情報、地域情報、消費電力情報、又は、スケジュール情報は、適宜、更新されてもよい。
本発明に係る消費電力推定装置100、消費電力推定装置120、又は、空調制御装置200の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係る消費電力推定装置100、消費電力推定装置120、又は、空調制御装置200として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。