JPWO2019093418A1 - 哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法およびベクター、ならびにその利用 - Google Patents

哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法およびベクター、ならびにその利用 Download PDF

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Abstract

染色体の特定の部位で、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドの増幅を行う方法を提供する。本発明の一態様に係る方法は、(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドを上記哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含む。

Description

本発明は、哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法およびベクター、ならびにその利用に関する。
本発明者は、哺乳動物複製開始領域(IR;Initiation Region)と核マトリックス結合領域(MAR;Matrix Attachment Region)とを具備するベクター(「IR/MARベクター」または「IR/MARプラスミド」と呼ぶ。)を細胞(例えば、COLO 320、または、CHO DG44)に導入し、ベクター上に存在する薬剤耐性遺伝子を利用して安定な形質転換体を選択することによって、(i)発現させるべきタンパク質をコードする遺伝子(換言すれば、目的遺伝子)の細胞内コピー数を増幅できること、および、(ii)目的遺伝子を、IR/MARベクターに対して同一の遺伝子構築物(シス)として細胞へ導入した場合であっても、IR/MARベクターに対して別の遺伝子構築物(トランス)として細胞へ導入した場合であっても、目的遺伝子の細胞内コピー数を増幅できること、を見出した。そして、本発明者は、上記IR/MARベクターを用いて目的遺伝子を高度に増幅する系(「高度遺伝子増幅系」または「IR/MAR遺伝子増幅系」と呼ぶ。)を完成させるに至った(例えば、特許文献1および2、ならびに非特許文献1および2参照)。ここで、高度遺伝子増幅系(IR/MAR遺伝子増幅系)を用いた遺伝子増幅法を、「IR/MAR遺伝子増幅法」と呼ぶ。
ところで、細菌、古細菌は、外から侵入しようとするファージなどの生物を特異的に認識し、排除する適応免疫機構を有している。CRISPR/Casシステムと呼ばれるこのシステムは、外来生物のゲノム情報を自己ゲノムに取り込み(アダプテーション)、再度同じ外来生物が侵入しようとする際に、自己ゲノムに取り込まれた情報とゲノム配列の相補性を利用して外来ゲノムを切断し、排除する(インターフェアランス)システムである。最近になって、上記のCRISPR/Casシステムを、「DNA編集用の道具」として用いた、ゲノム編集(DNA編集)技術の開発が盛んに行われている(非特許文献3)。
日本国公開特許公報「特開2003−245083号(公開日:2003年9月2日)」 日本国公開特許公報「特開2004−337066号(公開日:2004年12月2日)」
Noriaki Shimizu et. al., Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification, Cancer Research, Vol.61, No.19, p6987-6990, (2001) Noriaki Shimizu et. al., Amplification of plasmids containing a mammalian replication initiation region is mediated by controllable conflictbetween replication and transcription, Cancer Research, Vol.63, No.17, p5281-5290, (2003) Jinek M et al. (2012) "A Programmable Dual-RNA Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity", Science, Vol.337 (Issue 6096), pp.816-821
IR/MAR遺伝子増幅法によって遺伝子増幅を行った場合、増幅した領域には、目的遺伝子の単純反復配列が形成される。しかしながら、IR/MAR遺伝子増幅法による目的遺伝子の増幅は、染色体のランダムな部位で生じるため、染色体の特定の部位を狙って、目的遺伝子の増幅を行うことは困難であった。
本発明の一態様は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、染色体の特定の部位で、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドの増幅を行う方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、目的遺伝子および標的染色体部位と相同な塩基配列を含むIR/MARプラスミドと、guide RNA(以下、「g RNA」と称することもある。)およびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドを含むプラスミド(以下、「CRISPR/Cas9プラスミド」と称することもある。)とを、哺乳動物細胞に共導入することにより、標的染色体部位で目的遺伝子の増幅を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一態様は、以下の構成を包含する。
〔1〕哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法であり、
(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含むことを特徴とする、方法。
〔2〕さらに(e)選択マーカーを、哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含むことを特徴とする、〔1〕に記載の方法。
〔3〕上記(a)〜(c)および(e)が、第1のベクター上に搭載されており、上記(d)および(e)が、第2のベクター上に搭載されていることを特徴とする、〔2〕に記載の方法。
〔4〕上記(e)が薬剤耐性遺伝子であることを特徴とする、〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕上記(a)が(b)によって分断されることなく、上記(a)と(b)とが同一のベクター上の異なる位置に配置されていることを特徴とする、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔6〕以下の(a)〜(c)を含む、〔2〕から〔5〕のいずれかに記載の方法で使用されるためのベクター:
(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、および
(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔7〕以下の(a)〜(d)が導入されてなる哺乳動物細胞:
(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔8〕〔7〕に記載の哺乳動物細胞を用いた、目的タンパク質を生産する方法。
本発明の一態様によれば、細胞に導入された目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを、染色体の特定の部位で増幅することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態における方法により、哺乳動物細胞内の標的染色体部位に目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを導入し、当該目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを高度に増幅させるメカニズムを示す図である。 (a)は、実施例で使用されたIR/MARプラスミド(plasmid 6)の構造を示す図である。(b)は、plasmid 6内のCas9により切断される位置および実施例で使用されたプライマーの位置を示す図である。(c)は、MAC内のCas9により切断される位置および実施例で使用されたプライマーの位置を示す図である。 実施例で使用されたpCas9プラスミド(pSpCas9(BB)−2A−Puro(PX459)V2.0プラスミド)の構造を示す図である。 実施例で使用されたMACの構造およびその構築のためのベクターを示す図である。 MACおよびIR/MARプラスミドに対する蛍光染色の結果を示す図である。 IR/MARプラスミドのみを導入した場合と、pCas9プラスミドおよびIR/MARプラスミドを導入した場合とにおける、MACとIR/MARプラスミドとの重なりの程度に応じた細胞の比率を示す図である。 IR/MARプラスミド間の組み換え機構を解析した結果を示す図である。 IR/MARプラスミドおよびMAC間の組み換え機構を解析した結果を示す図である。 MAC上のHR2領域の塩基配列を示す図である。図中、四角枠内は、HR2領域増幅のためのプライマー対応配列を示す。また、図中、下線部および二重下線部は、guide RNA対応配列を示す(それぞれ、「HR2−1」および「HR2−2」と称する)。なお、当該HR2領域の塩基配列を配列番号11として示す。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本明細書において、「遺伝子」とはヌクレオチドの重合体を意図し、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と同義で使用される。遺伝子は、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)でも存在しうるし、RNA(例えば、mRNA)の形態でも存在しうる。DNAまたはRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。遺伝子は化学的に合成してもよい。また、本明細書において「ポリヌクレオチド」と記載した場合、DNAであってもよいし、RNAであってもよい。
本明細書において、「タンパク質」は、「ペプチド」または「ポリペプチド」と同義で使用される。本明細書中、塩基およびアミノ酸の表記は、IUPACおよびIUBの定める1文字表記または3文字表記を適宜使用する。
〔1.本発明のメカニズム(モデル)〕
〔1−1.本発明者による知見〕
本発明者は、染色体の特定の部位で、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドの増幅を行う方法について検討を行った。その結果、plasmid 6(IR/MARプラスミド)およびpCas9 HR2−2(CRISPR/Cas9プラスミド)を共導入することにより、MAC(すなわち、標的染色体部位)にplasmid 6が導入されること、一つのMACあたり少なくとも数十コピーのプラスミド配列が増幅されていること、MACへのIR/MARプラスミドの導入効率が顕著に増加すること、およびMAC上で目的遺伝子を含むプラスミド配列の増幅が顕著に増加することを見出した(実施例1、図5、図6)。
また、本発明者は、plasmid 6(IR/MARプラスミド)およびpCas9 HR2−2(CRISPR/Cas9プラスミド)の共導入により生じるIR/MARプラスミド間の組み換えが、非相同末端結合による組み換えにより生じることを見出した(実施例2、図7)。
さらに、本発明者は、plasmid 6(IR/MARプラスミド)およびpCas9 HR2−2(CRISPR/Cas9プラスミド)の共導入により生じるIR/MARプラスミドおよびMAC間の組み換えが、相同組み換えにより生じることを見出した(実施例3、図8)。
〔1−2.本発明のメカニズム(モデル)〕
相同組み換えのためのベクターを設計する際、通常の相同組み換えにおいては、目的塩基遺伝子を含むポリヌクレオチドが、標的部位(標的染色体部位)と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドで挟み込まれるように配置される(すなわち、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドが、標的部位(標的染色体部位)と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドの内部に位置するように設計される)。その結果、標的部位(標的染色体部位)の塩基配列のみが切断され、切断された標的部位(標的染色体部位)と、未切断の目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを含むプラスミドとの間で相同組み換えが生じる。
しかし、本発明の一態様においては、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドは、標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドで挟み込まれることなく(換言すれば、標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドは目的遺伝子を含むポリヌクレオチドによって分断されることなく)、プラスミド上の、標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドとは異なる位置に配置される。その結果、標的染色体部位のみならず、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを含むプラスミドにおいても、標的染色体部位と相同な塩基配列の切断が生じる。
そうすると、IR/MARプラスミドおよびCRISPR/Cas9プラスミドの導入直後には、IR/MARプラスミドと標的染色体部位との間で組み換えが起こらず、IR/MARプラスミドの標的染色体部位と相同な塩基配列が、CRISPR/Cas9プラスミドにより切断されない配列(切断不可配列)となった後に、IR/MARプラスミドと標的染色体部位との間で組み換えが起こると予測される。
以上の結果と、本発明者により以前に見出されていたIR/MARプラスミドの増幅機構に関する知見を併せると、本発明の一態様における方法は、図1に示すようなメカニズムにより、哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドが増幅されると考えられる(適宜、図1を参照)。
(1)CRISPR/Casシステムによる、標的染色体部位、およびIR/MARプラスミド上の標的染色体部位と相同な塩基配列の切断。
(2)IR/MARプラスミドの多量体化および切断/再結合による切断付加配列への変換(非相同末端結合による組み換え)。
(3)多量体化IR/MARプラスミドの標的染色体部位への導入(相同組み換え)。
(4)BFBサイクルによる、染色体上での目的遺伝子の増幅。
なお、本明細書において、「ベクター」と「プラスミド」は、特に断りがない限り、同義のものとして扱う。
〔2.哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法〕
本発明の一実施形態において、哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法であり、
(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド
を哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
なお、上記「(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド」、「(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド」、「(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド」、「(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド」のそれぞれを、「(a)成分」、「(b)成分」、「(c)成分」、「(d)成分」と称することもある。また、「(a)成分」、「(b)成分」、「(c)成分」および「(d)成分」を併せて、「(a)〜(d)成分」と称することもある。
以下、上記の各構成について説明する。
〔2−1.標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド〕
本明細書において、「標的染色体部位」とは、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを導入して増幅させることが所望される、染色体上の特定の位置を意味する。
本明細書において、「標的染色体部位と相同な塩基配列」とは、上記(b)成分の、標的染色体部位への相同組み換えによる導入が可能な程度にまで類似している塩基配列を意味し、例えば、標的染色体部位と、少なくとも80%以上、90%以上、95%以上、99%以上の塩基配列が同一である。「標的染色体部位と相同な塩基配列」の長さは、特に限定されず、任意の長さであり得る。
〔2−2.目的遺伝子を含むポリヌクレオチド〕
本明細書において、「目的遺伝子」は、標的染色体部位への導入が所望される塩基配列であって、導入先の細胞で機能する塩基配列を意味する。「導入先の細胞で機能する」とは、導入された塩基配列が、導入先の細胞に対して何らかの生理学的な影響を及ぼすことを意味する。
本明細書において、「目的遺伝子」は、例えば、発現させるべきタンパク質(換言すれば、目的タンパク質)をコードするポリヌクレオチドであり得る。また、本明細書において、「目的遺伝子」は、発現させるべきRNA(換言すれば、目的RNA)をコードするポリヌクレオチドであってもよい。目的RNAは、例えば、non−coding RNAであり、例えば、miRNA、snRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA等であり得る。よって、目的遺伝子は、特に限定されることなく、所望のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、所望のRNAをコードするポリヌクレオチド等を適宜選択の上、採用すればよい。
上記「目的遺伝子」は、その塩基配列情報を元に、公知の技術(例えば、PCR法、化学合成法)を用いて取得すればよい。
目的遺伝子を含むポリヌクレオチドは、目的遺伝子の発現制御が可能なようにプロモーターに連結されていることが好ましい。上記プロモーターは、導入される哺乳動物細胞内で機能するものであれば特に限定されない。例えば、転写因子等による所定の操作によって、プロモーターの転写活性が制御されて活性化または不活性化されるプロモーター(換言すれば、転写活性調節型プロモーター)であってもよいし、恒常的に転写活性が活性化されている恒常型プロモーターであってもよい。
転写活性調節型プロモーターは、特に限定されず、例えば、TREプロモーター(クロンテック社製)、T−REXプロモーター(インビトロジェン社製)等の市販品を利用可能である。恒常型プロモーターとしては、CMVプロモーター、SV40初期領域由来プロモーター(SV40プロモーター)、SRalphaプロモーター(SRαプロモーター)、LTRプロモーター、MMTVプロモーター等が利用可能である。
目的遺伝子を含むポリヌクレオチドには、その他、ターミネーター等の目的遺伝子の発現に必要なポリヌクレオチド、制限酵素認識部位、薬剤耐性遺伝子等のクローニングに必要なポリヌクレオチドが含まれていてもよい。
本発明の一実施形態において、目的遺伝子を含むポリヌクレオチド((b)成分)は、上記(a)成分、(c)成分および(d)成分と同一のベクター上に搭載されていてもよいし、上記(a)成分、(c)成分および(d)成分と別のベクター上に搭載されていてもよい。ベクターサイズが大きくなりすぎることによる宿主細胞への導入率の低下を回避するためには、上記(a)成分〜(d)成分は2つ以上のベクターに分けて宿主細胞に導入されることが好ましい。よって、目的遺伝子を含むポリヌクレオチド((b)成分)は、上記(a)成分および(c)成分と同一のベクター(例えば、「第1のベクター」と称する。)上に搭載され、上記(d)成分は別のベクター(例えば、「第2のベクター」と称する。)上に搭載されていることが好ましい。
また、本発明の一実施形態において、少なくとも目的遺伝子を含むポリヌクレオチド((b)成分)と(a)成分とが、同一のベクター上に搭載されている場合、上記(a)成分は(b)成分によって分断されることなく、当該ベクター上の異なる位置に配置されている。
すなわち、通常の相同組み換えにおいては、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドが、標的部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドで挟み込まれるように配置される(すなわち、標的部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドの内部に位置するように、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドが配置される)。一方、本発明の一実施形態においては、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドは、標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドで挟み込まれることなく(換言すれば、標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドは目的遺伝子を含むポリヌクレオチドによって分断されることなく)、同一ベクター上で標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチドとは異なる位置に配置される。そのような構成を採用することにより、染色体の特定の部位で、目的遺伝子を含むポリヌクレオチドの増幅を行うことができるという、本発明の一実施形態における効果を発揮することを可能にする。
〔2−3.哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド〕
本発明の一実施形態における哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法は、哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド((c)成分)を哺乳動物細胞に導入する工程を含む。
本発明の一実施形態において、「哺乳動物複製開始領域(IR)」および「核マトリックス結合領域(MAR)」は、以前に、本発明者により開発されたIR/MAR遺伝子増幅法(例えば、特許文献1および2、ならびに非特許文献1および2に記載の方法)に用いられるものであれば特に限定されない。
本明細書において、「哺乳動物複製開始領域(IR)」は、特に限定されず、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、β−グロビン遺伝子座の複製開始領域等を挙げることができる。なおc−myc遺伝子座の複製開始領域については、例えば、McWhinney, C. et al., Nucleic Acids Res. vol. 18, p1233-1242(1990)に記載されている。ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の複製開始領域については、例えば、Dijkwel, P.A. et al., Mol. Cell. Biol. vol.8, p5398-5409(1988)に記載されている。β−グロビン遺伝子座の複製開始領域については、例えば、Aladjem, M. et al., Science vol. 281, p1005-1009(1998)に記載されている。
本明細書において、「核マトリックス結合領域(MAR)」は、特に限定されず、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座等の核マトリックス結合領域を挙げることができる。なお、Igκ遺伝子座の核マトリックス結合領域については、例えば、Tsutsui, K. et. al., J. Biol. Chem. Vol.268, p12886-12894(1993)に記載されている。SV40初期領域の核マトリックス結合領域については、例えば、Pommier, Y. et. al., J. Virol., Vol.64, p419-423(1990)に記載されている。ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域については、例えば、Shimizu N. et al., Cancer Res. Vol.61, p6987-6990(2001)に記載されている。
〔2−4.guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド〕
本発明の一実施形態における哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法は、guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド((d)成分)を哺乳動物細胞に導入する工程を含む。
本発明の一実施形態において、guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドの哺乳動物細胞への導入により、哺乳動物細胞内の標的染色体部位および/または上記(a)成分の切断が生じる。guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドによる標的配列の切断(DNA切断)は、例えば、非特許文献3に記載されたメカニズムにより生じる。
本明細書において、「guide RNA」は、CRISPR/Casシステムの一部を形成するRNAであり、標的染色体部位を切断するための標的配列と相補的な塩基配列を有する。guide RNAの長さは、標的配列を認識できる長さであれば特段限定されず、一般的には、61〜65塩基程度の1本鎖RNAである。guide RNAは、例えば、10〜60塩基、好ましくは20〜50塩基、より好ましくは25〜40塩基、さらに好ましくは32〜36塩基の長さの配列を標的配列として認識する。
なお、guide RNAの配列は、標的染色体部位を切断するための標的配列に応じて適宜設計すればよい。また、guide RNAの合成は、当該分野で既知の任意の方法を用いて行うことができる。
本明細書において、「Cas9」は、CRISPR/Casシステムで機能するエンドヌクレアーゼであり、guide RNAと協調して標的配列の切断活性を有する限り特段限定されない。
本発明の一実施形態におけるCas9は、例えば、以下の(i)〜(iii)からなる群より選択されるいずれかのタンパク質である:
(i)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(ii)配列番号1に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質で、かつ、DNA切断活性を有するタンパク質;および
(iii)配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸。
上記(i)のタンパク質は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり、Streptococcus pyogenesに由来する、全長1371アミノ酸残基から構成されるポリペプチドである。
上記(ii)のタンパク質は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等であって、DNA切断活性を有する限りにおいて、その具体的な配列については限定されない。ここで欠失、置換または付加されてもよいアミノ酸の数は、上記機能を失わせない限り、限定されてないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の導入法によって欠失、置換または付加できる程度の数をいい、好ましくは5アミノ酸以内であり、より好ましくは3アミノ酸以内(例えば、3、2または1アミノ酸)である。また、明細書中において「変異」とは、部位特異的突然変異誘発法等によって人為的に導入された変異を主に意味するが、天然に存在する同様の変異であってもよい。
置換されるアミノ酸残基は、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に置換されていることが好ましい。例えば、アミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸およびアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)が挙げられる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加および/または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている。さらに、変異後のアミノ酸残基は、共通した性質をできるだけ多く有するアミノ酸残基に変異していることがより好ましい。
本明細書において「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、目的とするタンパク質と同等(同一および/または類似)の生物学的機能や生化学的機能を有することを意図する。生物学的な性質には発現する部位の特異性や、発現量等も含まれ得る。変異を導入したタンパク質が所望の機能を有するかどうかは、そのタンパク質をサブユニットの一部として用いた場合に、DNA切断活性を有するかどうか調べることにより判断できる。
上記(iii)のタンパク質も、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアント、アレル、ホモログ、オルソログ、部分ペプチド、または他のタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質等を意図しており、DNA切断活性を有する限りにおいて、その具体的な配列については限定されない。
Cas9に関して、アミノ酸配列の相同性とは、アミノ酸配列全体(または機能発現に必要な領域)で、少なくとも80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有することを意味する。アミノ酸配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990)を利用して決定することができる。該プログラムは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993)に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列またはアミノ酸配列を最適な状態にアラインメントするために、付加または欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。
Cas9に関して、相同性とは、性質が類似のアミノ酸残基数の割合(homology、positive等)を意図しているが、より好ましくは、同一のアミノ酸残基数の割合、すなわち同一性(identity)である。なお、アミノ酸の性質については上述したとおりである。
上記タンパク質を得る方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法を用いてもよい。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、挿入および/または付加することで、所望の組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製することができる。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(KOD−Plus Site−Directed Mutagenesis Kit(東洋紡)、Transformer Site−Directed Mutagenesis Kit(Clontech)、QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)等)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction:PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。
なお、上記実施形態においては、Streptococcus pyogenes由来のCas9について言及したが、他の生物由来のCas9を本発明の一実施形態において使用可能であることは言うまでもない。また、本明細書における「Cas9」は、標的とする相同配列を配列特異的に切断するヌクレアーゼであればよく、Cas9の代替として使用される代替物もまた、本明細書における「Cas9」の範囲に包含される。
本明細書において、「guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド」は、guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含み、かつ、導入先の細胞内でCRISPR/Casシステムを作動させ、目的の塩基配列を切断することができるポリヌクレオチドであれば特に限定されない。
〔2−5.選択マーカー〕
本発明の一実施形態において、上記(a)〜(d)成分に加えて、さらに選択マーカー((e)成分)を、哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含んでもよい。哺乳動物細胞に、上記選択マーカーを上記(a)〜(d)成分と同時に導入することにより、上記(a)〜(d)成分が導入された細胞を容易に選抜することができる。
本明細書において、「選択マーカー」は、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞と、上記(a)〜(d)成分が導入されていない哺乳動物細胞と、が混在した細胞集団の中から、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞を選抜することができる物質であれば特に限定されない。「選択マーカー」としては、例えば、薬剤耐性遺伝子(例えば、ブラストサイジン抵抗性遺伝子、ネオマイシン抵抗性遺伝子、ヒグロマイシン抵抗性遺伝子、ピューロマイシン抵抗性遺伝子等)、選択マーカーとして利用可能な蛍光タンパク質をコードする遺伝子(例えば、EGFP遺伝子等)、蛍光物質(例えば、FITC、Cy3、Cy5、Alexa488等)、放射性同位体、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ(例えばHRP)、アルカリホスファターゼ等)等が挙げられる。操作の容易性の観点から、好ましくは、薬剤耐性遺伝子が使用される。
上述の通り、目的遺伝子を含むポリヌクレオチド((b)成分)は、上記(a)成分および(c)成分と同一のベクター(例えば、「第1のベクター」と称する。)上に搭載され、上記(d)成分は別のベクター(例えば、「第2のベクター」と称する。)上に搭載されていることが好ましい。よって、(e)成分は、上記第1のベクターおよび第2のベクターの両方が導入されている細胞を選抜できるような態様、例えば、上記第1のベクターおよび第2のベクターの両方に搭載されることが好ましい。
本発明の一実施形態において、(e)成分が複数のベクターに搭載される場合、各々のベクターに搭載される選択マーカーは異なる種類のものであることが好ましい。例えば、第1のベクターに、薬剤耐性遺伝子として、ブラストサイジン抵抗性遺伝子を搭載した場合、第2のベクターには、ブラストサイジン抵抗性遺伝子以外の薬剤耐性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン抵抗性遺伝子、ピューロマイシン抵抗性遺伝子等)が搭載され得る。異なる選抜マーカーを搭載することにより、所望の複数のベクターのすべてが導入された細胞の選抜を行うことができる。
〔2−6.哺乳動物細胞に同時に導入する工程〕
本発明の一実施形態において、哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法は、上記(a)〜(d)成分を哺乳動物細胞に同時に導入する工程(換言すれば、導入工程)を含んでいる。
哺乳動物細胞としては、特に限定されず、各種哺乳動物由来の細胞(例えば、各種哺乳動物由来の培養細胞)が用いられ得る。例えば、チャイニーズハムスター由来のCHOや、各種腫瘍細胞等が挙げられる。CHOとしては、例えば、CHO−K1(ATCC CCL−61、RIKEN RCB0285、RIKEN RCB0403等)や、CHO DG44が挙げられる。CHOは、現在、医薬等の有用タンパク質の実生産に用いられており、安全性が確認されている細胞であり、本発明の一実施形態における方法が適用される哺乳動物細胞としては好ましい。
遺伝子増幅効率が高いという点では、無限増殖能を有する腫瘍細胞が好ましい。上記腫瘍細胞としては、例えば、HeLa(入手先:例えば、ATCC CCL−2、ATCC CCL−2.2、RIKEN RCB0007、RIKEN RCB0191等)、ヒト大腸がんCOLO 320DM(入手先:例えば、ATCC CCL−220)、ヒト大腸がんCOLO 320HSR(入手先:例えば、ATCC CCL−220.1)、NS0(入手先:例えば、RIKEN RCB0213)等が挙げられる。なおヒト大腸がんCOLO 320DMについては、Shimizu, N., Kanda, T., and Wahl, G. M. Selective capture of acentricfragments by micronuclei provides a rapid method for purifying extrachromosomally amplified DNA. Nat. Genet., 12: 65−71, 1996.を参照のこと。
本発明の一実施形態における哺乳動物細胞に同時に導入する方法は、特に限定されるものではなく、リポフェクション、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法等の公知の方法を利用可能である。またその詳細な条件については、導入される哺乳動物や、各エレメント等に応じて適宜最適な条件を検討の上、採用すればよい。
〔2−7.その他の工程〕
本発明の一実施形態において、哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法は、導入工程の他に、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞を分離する工程(換言すれば、選抜工程)や、当該選抜工程によって選抜された哺乳動物細胞(換言すれば、形質転換細胞)を培養する工程(換言すれば、培養工程)を含んでいてもよい。また、培養工程によって生産された目的タンパク質を精製する工程(換言すれば、精製工程)を含んでいてもよい。つまり、本発明の一実施形態における哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法は、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞を用いた、目的タンパク質を生産する方法をも包含する。
選抜工程は、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞を分離する工程である。より詳細に、選抜工程は、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞と、上記(a)〜(d)成分が導入されていない哺乳動物細胞と、が混在した細胞集団の中から、上記(a)〜(d)成分が導入された哺乳動物細胞を選抜する工程である。選抜工程によって、目的タンパク質を高発現し得る哺乳動物細胞を選抜することができる。
選抜工程の具体的な方法は特に限定されることなく、PCR法やサザンブロット法によって、細胞に含まれる目的遺伝子等のポリヌクレオチドを検出することにより選抜工程を行い得る。また、上記(a)〜(d)成分に加えて、上記(e)成分が哺乳動物細胞に同時に導入されており、上記(e)成分が薬剤耐性遺伝子である場合には、その薬剤耐性を利用して所望の細胞を選抜すればよい。上記(e)成分を用いることにより、容易に選抜工程を行い得る。薬剤耐性、PCR法、サザンブロット法を利用した選抜の具体的な方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が適宜利用され得る。
培養工程は、選抜工程によって既に選抜された哺乳動物細胞を培養する工程である。かかる培養工程によって、目的タンパク質を哺乳動物細胞において高発現させることができる。培養工程の具体的方法は特に限定されるものではなく、培養する哺乳動物細胞に最適な条件を検討の上、適宜採用すればよい。
精製工程は、培養工程によって生産された目的タンパク質を精製する工程である。精製工程におけるタンパク質の具体的な精製方法としては、例えば、哺乳動物細胞をPBS(Phosphate Buffered Saline)等の緩衝溶液に懸濁した後、ホモジェナイザーまたは超音波等で細胞を破砕し、当該懸濁液を遠心分離に供した後、上清を回収すればよい。上記緩衝溶液には、目的タンパク質の可溶化を促進するための界面活性剤や、目的タンパク質の立体構造を安定化するための還元剤、目的タンパク質の分解を防止するためのプロテアーゼインヒビターを適宜添加してもよい。
上記界面活性剤としては、CHAPS(3-[(3-cholamidopropyl)-dimethylammonio]-1-propanesulfonate)、Triton X−100、Nikkol、n−オクチルグリコシド等を利用することができる。また、上記還元剤としては、DTT(dithiothreitol)、DET(dithioerythritol)等を利用することができる。上記プロテアーゼインヒビターとしては、アプロチニンや、ロイペプチンを利用することができる。
上記上清から、目的タンパク質をアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過クロマトグラフィー等のカラムクロマトグラフィーを用いて、精製することができる。また、精製された目的タンパク質を含む溶液を適当な緩衝液に対して透析することで、目的タンパク質を含む溶液から不要な塩を除去してもよい。精製工程は、目的タンパク質の分解を抑えるために低温条件下で行われることが好ましい。特に4℃以下の低温条件下で精製工程が行われることが好ましい。なお、精製工程の具体的な方法は、この限りではなく、公知の方法を適宜利用し得る。
〔3.哺乳動物細胞〕
本発明の一実施形態において、以下の(a)〜(d)が導入されてなる哺乳動物細胞を提供する。
(a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
(c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
本発明の一実施形態において使用される細胞については、上記〔2−6〕の項に記載した細胞を用いればよい。
本発明の一実施形態において使用される上記(a)〜(d)成分については、上記〔2−2〕〜〔2−4〕の項に記載した(a)〜(d)成分を用いればよい。
本発明の一実施形態において、上記(a)〜(d)成分の哺乳動物細胞への導入は、上記〔2−6〕の項に記載した方法を用いればよい。
本発明の一実施形態における哺乳動物細胞は、上記(a)〜(d)成分に加えて、さらに(e)選択マーカーが導入されたものでもよい。本発明の一実施形態において使用される上記(e)成分については、上記〔2−5〕の項に記載した(e)成分を用いればよい。
本発明の一実施形態における哺乳動物細胞を用いることにより、目的タンパク質を、大量かつ安定的に生産することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(細胞)
MMCT(Micronuclei−mediated chromosome transfer)法により、マウス人工染色体(MAC;Mouse artificial chrmosome)を導入したCHO DG44細胞株(以下、「CD/M2 #44細胞」と称する。)を用いた。当該細胞株は、chromocenter社から入手した。MACの構造およびその構築のためのベクターは、図4に示す通りである。なお、マウス人工染色体は、Hygromycinを搭載している。
(IR/MARプラスミド)
pΔBMd2EGFP(PlosONE, 2017, 12(4): e0175585, Ohsaki et al)のMlu I切断部位(CMV promoterとAmpとの間)に、MAC(chromocenter社製)のHR2領域(図9を参照)からPCR増幅した2838bpのDNA断片を挿入した(図2(a)を参照)。PCRのためのプライマーとしては、以下を使用した。
・F:CTGGTAGAGTCTGGAGTGAA(配列番号4)
・R:GCTCTTCCCTGACAAGACCC(配列番号5)
これを、plasmid 6と称する。このプラスミドは、IR/MAR、ブラストサイジン耐性遺伝子(BS耐性遺伝子)等を有する。
(pCas9プラスミド)
Addgene社から、pSpCas9(BB)−2A−Puro(PX459)V2.0プラスミドを入手した(図3を参照)。このプラスミドのU6 promoterとgRNA scaffoldとの間にあるBbs I−Bbs I切断部位(図3には記載されてない)間に、以下のいずれかの配列の2本鎖DNAを挿入した。なお、以下の配列は、MAC上のHR2領域の塩基配列の一部と相同な塩基配列である(図9を参照)。
(1)GCATTACAGTCACAGTTGTC(配列番号2)
(2)GCTGAACAAGAAAGCTAGTA(配列番号3)
上記(1)の配列の2本鎖DNAを挿入したプラスミドをpCas9 HR2−1と称し、上記(2)の配列の2本鎖DNAを挿入したプラスミドをpCas9 HR2−2と称する。上記の各配列がguide RNAとして転写され、当該guide RNAが標的染色体部位を認識し、当該guide RNAにリクルートされたCas9が標的染色体部位を切断する。このプラスミドは、Cas9遺伝子およびピューロマイシン耐性遺伝子を有する。
〔実施例1〕
(形質転換および選択)
上記のプラスミドを、CD/M2 #44細胞に導入した。具体的には、plasmid 6を単独で、または、plasmid 6およびpCas9 HR2−2のDNAを4:1〜9:1の比率で混合し、リポフェクタミン2000(Invitrogen社製)を用いて、CD/M2 #44細胞に導入した。続いて、ブラストサイジンおよびピューロマイシンを用いて、薬剤同時選択を行った。約一か月後に、安定的な形質転換体を選択し、染色体標本を作製すると共に、細胞内の全ゲノムDNAを抽出した。その後、FISH法により、染色体の解析を行った。
(FISH法)
MACの検出のために、Mouse Cot−I DNA(マウスゲノム中の高度反復配列が濃縮されているDNA)からビオチン標識プローブを調製した。また、plasmid 6の検出のために、MACとの相同配列を有していないpΔBMd2EGFPからDIG標識プローブを調製した。上記2種類のプローブを混合し、染色体標本とハイブリダイズした。ビオチン標識プローブは赤色蛍光で、DIG標識プローブは緑色蛍光で検出した。DNAはDAPIを用いて青色蛍光で対比染色した。結果を図5および6に示す。
その結果、ビオチン標識プローブの蛍光とDIG標識プローブの蛍光との重なりが見られたことから、MAC(すなわち、標的染色体部位)にplasmid 6が導入されていることが示唆された(図5)。また、plasmid 6のプラスミド配列のシグナル強度とその形態から、一つのMACあたり少なくとも数十コピーのプラスミド配列が増幅されていることが示唆された(図5)。さらに、plasmid 6のみを導入したときと比べて、plasmid 6およびpCas9 HR2−2を共導入したときには、MACとplasmid 6とが重なって検出される細胞の割合が劇的に増加していた(図6)。このことより、IR/MARプラスミドとpCas9プラスミドとの共導入により、MACへのIR/MARプラスミドの導入効率が顕著に増加すること、およびMAC上でプラスミド配列(目的遺伝子)の増幅が顕著に増加することが示唆された。
なお、plasmid 6およびpCas9 HR2−1を共導入した実験の結果は示していないが、plasmid 6およびpCas9 HR2−2を共導入した場合と同様の結果となった。
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法により、形質転換、安定的な形質転換体の選択、および細胞内の全ゲノムDNAの抽出を行った。IR/MARプラスミド間の組み換え機構を解析するために、得られたゲノムDNAを用いて、以下のプライマーおよびPCR条件によりPCRを行った。
(プライマー)
・F4:TGGATACAACGTATGCAATGG(配列番号6)
・R5:TCTACCTGCCTGGACAGCAT(配列番号7)
・R7:GCGAGAAGAATCATAATGGG(配列番号8)
なお、各プライマーは、図2(b)に示す、plasmid 6上のそれぞれの位置に対応する。
(PCR条件)
・95℃、15秒間
・58℃、15秒間
・68℃、4分間、を35サイクル
続いて、PCR後の試料を電気泳動にかけ、PCR産物の評価を行った。結果を図7に示す。
図7中の各表記は、それぞれ、以下を示す。
・MW:HyperLadder I(BioLine社製)
・#44:実施例に記載のCD/M2 #44細胞
・#44−6:#44の細胞に、plasmid 6を導入し、30日間、ブラストサイジンで選別した細胞
・#44−6 HR2−2 day30 (exp.2):#44の細胞に、plasmid 6とpCas9 HR2−2とを9:1の比率で混合した混合物を導入し、30日間、ブラストサイジンおよびピューロマイシンで選別した細胞
・#44−6 HR2−1 day6 (exp.1):#44の細胞に、plasmid 6とpCas9 HR2−1とを9:1の比率で混合した混合物を導入し、6日間、ブラストサイジンおよびピューロマイシンで選別した細胞
・#44−6 HR2−2 day6 (exp.1):#44の細胞に、plasmid 6とpCas9 HR2−2とを4:1の比率で混合した混合物を導入し、6日間、ブラストサイジンおよびピューロマイシンで選別した細胞
・C5−2、C5−5、C5−6:#44−6 HR2−2 day30 (exp.2)から得られたクローン化細胞
図7より、IR/MARプラスミドとpCas9プラスミドとを共導入した場合には、目的の長さのバンドの他にスメアが検出された。このことは、F4−R5のプライマー対を用いた場合も、F4−R7のプライマー対を用いた場合も同様の結果であった。また、IR/MARプラスミドとpCas9プラスミドとを共導入した細胞(#44−6 HR2−2 day30 (exp.2))から得られたC5−2、C5−5、C5−6のクローン化細胞では、目的の長さのバンドの他に、鎖長の異なる別のバンドが検出された。
これらの結果は、Cas9で切断したIR/MARプラスミド間で、大きな挿入および/または欠失が生じていることを示唆している。また、IR/MARプラスミド間の組み換えは、非相同末端結合による組み換えにより生じたことを示唆している。
〔実施例3〕
実施例1と同様の方法により、形質転換、安定的な形質転換体の選択、および細胞内の全ゲノムDNAの抽出を行った。IR/MARプラスミドおよびMAC間の組み換え機構を解析するために、得られたゲノムDNAを用いて、以下のプライマーおよびPCR条件によりPCRを行った。
(プライマー)
・α6:GCTGGTAGGCAAGACCAATTAATTACTGGC(配列番号9)
・R10:GAGATGGCGGACGCGATGGATATGTTCTGC(配列番号10)
なお、各プライマーは、図2(b)および(c)に示す、plasmid 6およびMAC上のそれぞれの位置に対応する。
(PCR条件)
・95℃、15秒間
・68℃、15秒間
・70℃、5分間、を35サイクル
続いて、PCR後の試料を電気泳動にかけ、PCR産物の評価を行った。結果を図8に示す。
図8中の各表記は、それぞれ、以下を示す。
・MW:HyperLadder I(BioLine社製)
・#44:実施例に記載のCD/M2 #44細胞
・#44−6:#44の細胞に、plasmid 6を導入し、30日間、ブラストサイジンで選別した細胞
・#44−6 HR2−2 day30 (exp.2):#44の細胞に、plasmid 6とpCas9 HR2−2とを4:1の比率で混合した混合物を導入し、30日間、ブラストサイジンおよびピューロマイシンで選別した細胞
・C5−2〜C5−6、C5−12、C11−1、C11−2:#44−6 HR2−2 day30 (exp.2)から得られたクローン化細胞
図8より、IR/MARプラスミドとpCas9プラスミドとを共導入した場合には、目的の長さのバンドは検出されたものの、スメアは検出されなかった。
すなわち、IR/MARプラスミドおよびMAC間では、挿入および/または欠失が生じていないため、この結果は、相同組み換えにより、IR/MARプラスミドがMACに導入されたことを示唆している。
実施例1〜3の結果、および本発明者により以前に見出されていたIR/MARプラスミドの増幅機構に関する知見を併せると、本発明の一態様における方法は、図1に示すようなメカニズムにより、プラスミド配列(目的遺伝子)が標的染色体部位で増幅されることが示唆される。
本発明の一態様は、所望のタンパク質(例えば、有用タンパク質)を大量に生産することが所望される分野、例えば、医薬品、化学、食品、化粧品、繊維等の種々広範な産業において利用可能である。また、本発明の一態様は、染色体の特定の部位で目的遺伝子の増幅が所望される分野、例えば、遺伝子治療等の分野において利用可能である。

Claims (8)

  1. 哺乳動物細胞内の標的染色体部位で目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させる方法であり、
    (a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
    (c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
    (d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含むことを特徴とする、方法。
  2. さらに(e)選択マーカーを、哺乳動物細胞に同時に導入する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 上記(a)〜(c)および(e)が、第1のベクター上に搭載されており、上記(d)および(e)が、第2のベクター上に搭載されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 上記(e)が薬剤耐性遺伝子であることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
  5. 上記(a)が(b)によって分断されることなく、上記(a)と(b)とが同一のベクター上の異なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
  6. 以下の(a)〜(c)を含む、請求項2から5のいずれか1項に記載の方法で使用されるためのベクター:
    (a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、および
    (c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
  7. 以下の(a)〜(d)が導入されてなる哺乳動物細胞:
    (a)標的染色体部位と相同な塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)目的遺伝子を含むポリヌクレオチド、
    (c)哺乳動物複製開始領域(IR)および核マトリックス結合領域(MAR)に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
    (d)guide RNAおよびCas9に相当する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
  8. 請求項7に記載の哺乳動物細胞を用いた、目的タンパク質を生産する方法。

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