JPWO2019031421A1 - 血液中の血液成分の量を測定する方法 - Google Patents

血液中の血液成分の量を測定する方法 Download PDF

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Abstract

キャピラリ内に導入された血液の分布に偏りがあるにもかかわらず、血液成分を正確に測定する方法を提供する。本発明の測定方法は、バイオセンサのキャピラリ内に複数のヘマトクリット値を測定するための電極系を設け、キャピラリ内の互いに異なる位置でヘマトクリット値を測定することを特徴とする。このようにキャピラリ内の複数の箇所でヘマトクリット値を測定することにより、キャピラリ内に導入された血液の分布のばらつきにかかわらず、より正確なヘマトクリット値を測定することが可能である。

Description

本発明は、血液中の血液成分の量を測定する方法に関するものである。
臨床検査や糖尿病患者の血糖値自己測定等において、生体試料の成分を測定するためのセンサが従来から使用されている。このようなセンサは、例えば、その表面に作用極および対極が形成された絶縁基板の上に、スペーサーを介してカバーが配置されている構成である。前記作用極および対極の上には、酸化還元酵素およびメディエータ(電子伝達体)等を含む試薬が配置されており、この部分が分析部となる。この分析部には、血液を導入するための流路の一端が連通しており、前記流路の他端は外部に向かって開口しており、ここが血液供給口となる。このようなセンサを用いた生体試料(例えば血液)の成分(例えば、血糖値)の分析は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、まず、前記センサを専用の測定装置(メータ)にセットする。そして、指先等をランセットで傷つけて出血させ、これに前記センサの血液供給口を接触させる。血液は、毛細管現象によりセンサの流路に吸い込まれ、これを通って分析部に導入され、ここで、前記試薬と接触する。そして、血液中の成分と、酸化還元酵素とが反応して酸化還元反応が起こり、これによりメディエータを介して電流が流れる。この電流を検出し、この電流値に基づき、前記測定装置において血液成分量を算出し、これを表示する。
健康管理への要求の高まりから、年々、生体試料の成分を測定するための高精度なセンサが強く求められてきている。例えば、2013年5月に発効したISO15197(体外検査システム−糖尿病管理における事故測定のための血糖モニターシステムに対する要求事項)においては、2003年に発効したISO15197と比較して基準が厳しくなっている。
高精度に測定するためのバイオセンサとして、例えば、作用極32と対極36の電極系の上に試薬層39が、作用極33と対極35の電極系の上に別の試薬層40が、それぞれ配置されたバイオセンサが報告されている(特許文献1)。別の電極37は、ヘマトクリット値を測定するための電極であり、試薬層39および試薬層40は、接触していない。試薬層39は、酸化還元酵素とメディエータを、試薬層40は、メディエータを含む。このような電極37と、前記作用極32、対極36、作用極33、対極35のいずれか一つとに、電圧を印加することにより、ヘマトクリット値を測定することができる。
また、3つの電極(作用極W1、W2、参照電極R)の上に試薬が配置されたバイオセンサが報告されている(特許文献2)。この作用極W1と参照電極Rの上には酸化型のレドックス媒介物、作用極W2の上には酸化型のレドックス媒介物と酵素が配置されている。このような作用極W1と参照電極Rとの間に電圧を印加することにより、抵抗値(r値)が測定され、そのr値を用いてヘマトクリット値を算出することができる。
国際公開第2005/103669号パンフレット 特許第4060078号公報
従来、高精度に血液成分を測定するため、バイオセンサのキャピラリ内に導入された血液のヘマトクリット(Hct)値を測定し、この値に応じて血液成分の量を補正することが行われている。
しかしながら、従来の技術においては、キャピラリ内に導入された血液の分布に偏りがあり、従来の測定方法によっては、そのようなバイオセンサを用いて血液成分を正確に測定することは困難であった。
本発明者らは、キャピラリ内に導入された血液の分布の偏りについて詳細に検討したところ、以下の図1に示すような知見が得られた。図1は、2つ試薬部を有するバイオセンサに血液を導入した際の、前記バイオセンサ内の血液分布のばらつきを表す画像である。図1(a)および図1(b)において、図に向かって左側が血液点着側であり、右側が空気孔側である。血液は図に向かって左側から右側へ進行する。図1において、赤血球が多く存在する箇所は黒色、赤血球があまり存在しない箇所は灰色に色づいている。図1(a)において、血液点着側の試薬部において、灰色に色づいており、その場所では血漿成分が多く、赤血球が少ないことが理解できる。また、図1(b)においては、空気孔側の試薬部において、灰色に色づいており、その場所では血漿成分が多く、赤血球が少ないことが理解できる。このようにバイオセンサ内の試薬部において、赤血球の分布に偏りがあり、キャピラリ内の全体のヘマトクリット値を適切に測定できないという問題がある。このような問題に対し、本発明者らは特定の構成を有するバイオセンサを用い、特定の測定工程を含み、血液中の血液成分の量を、高精度に測定する方法の提供を実現した。
従来の測定方法では、バイオセンサのキャピラリ内にヘマトクリット値を測定するための電極系を設けて、その電極系を用いてヘマトクリット値を測定していた。本発明の測定方法は、バイオセンサのキャピラリ内に複数のヘマトクリット値を測定するための電極系を設け、キャピラリ内の互いに異なる位置でヘマトクリット値を測定することを特徴とする。このようにキャピラリ内の複数の箇所でヘマトクリット値を測定することにより、キャピラリ内に導入された血液の分布にばらつきにかかわらず、より正確なヘマトクリット値を測定することが可能である。
本発明は、
第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系とを備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
前記バイオセンサにおいて、
前記第2の対極上には第1の試薬層が配置され、
前記第3の作用極および前記第3の対極上には第2の試薬層が配置され、
前記第1の試薬層と前記第2の試薬層は、離れて配置され、
前記第1の作用極上には、前記第1の試薬層および前記第2の試薬層は配置されず、
前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方を用い、
前記第2の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬を含み、
前記方法は、
前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程と、
前記血液成分の量に依存する電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程を含む方法(本文中、「血液成分の量の第1の測定方法」と呼ぶことがある)である。
また、本発明は、
第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
前記第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系と、
第4の作用極と第4の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第4の電極系と、
を備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
前記バイオセンサにおいて、
前記第3の作用極および前記第3の対極上には、第2の試薬層が配置され、
前記第4の作用極および前記第4の対極上には、第3の試薬層が配置され、
前記第2の試薬層と前記第3の試薬層は、離れて配置され、
前記第1の作用極上には、前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は配置されず、
前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
前記第2の対極として、前記第4の作用極および前記第4の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬をそれぞれ含み、
前記方法は、
前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第1の電流値を検出する第3工程と、
前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第2の電流値を検出する第4工程と、
前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値と、前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程とを含む方法(本文中、「血液成分の量の第2Iの測定方法」と呼ぶことがある)である。
このように、本発明の血液成分の測定方法では、バイオセンサ内で血液の分布がばらつく問題を解消するよう試薬部と電極が構成されているため、複数の電極系へ電圧を印加することにより、血液の分布のばらつきを考慮した測定を行うことができるため、バイオセンサ内で血液の分布がばらついたとしても、測定精度が向上することを特徴とする。
なお、本文中、単に「血液成分の測定方法」に言及する場合は、「血液成分の量の第1の測定方法」、「血液成分の量の第2Iの測定方法」、後記する「血液成分の量の第2IIの測定方法」、「血液成分の量の第2Aの測定方法」、「血液成分の量の第2Bの測定方法」、「血液成分の量の第2Cの測定方法」、「血液成分の量の第2Dの測定方法」および「血液成分の量の第2Eの測定方法」の全てを指す。
図1(a)および図1(b)は、本発明におけるバイオセンサの電極構成において、キャピラリ内の血液分布のばらつきを表す画像である。 図2は、本発明の測定方法において用いる測定装置の一例を示す斜視図である。 図3は、本発明の測定方法において用いるバイオセンサの一例を示す分解斜視図である。 図4は、図3の前記バイオセンサの断面図である。 図5は、図3の前記バイオセンサの平面図である。 図6は、第1の実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図7は、第1の実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図8は、第1の実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図9は、本発明の測定方法において用いるバイオセンサの別の一例を示す分解斜視図である。 図10は、図9の前記バイオセンサの断面図である。 図11は、図9の前記バイオセンサの平面図である。 図12は、第2Aの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図13は、第2Aの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図14は、第2Aの実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図15は、第2Bの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図16は、第2Bの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図17は、第2Bの実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図18は、第2Cの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図19は、第2Cの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図20は、第2Cの実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図21は、第2Dの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図22は、第2Dの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図23は、第2Dの実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図24は、第2Eの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電圧値の時間的な変化を示す図である。 図25は、第2Eの実施の形態において、電圧印加パターンにおける電極と印加電圧と印加タイミングと印加時間とを示す表である。 図26は、第2Eの実施の形態において使用するバイオセンサの電極と電極系とを示す表である。 図27は、本発明の測定方法において用いるバイオセンサを装着した血液成分測定装置の電気ブロック図である。した図である。
つぎに、本発明を詳しく説明する。
本発明の血液成分の量の第1の測定方法および血液成分の量の第2の測定方法における測定対象の成分は、例えば、グルコース、ケトン、HbA1c、乳酸、尿酸、ビリルビンおよびコレステロール等である。本発明の測定方法において用いられるバイオセンサにおいて、前記試薬部が含む酵素は、測定対象の生体試料の成分に応じ適宜選択される。
<第1の実施の形態:血液成分の量の第1の測定方法>
本発明は、
第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系とを備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
前記バイオセンサにおいて、
前記第2の対極上には第1の試薬層が配置され、
前記第3の作用極および前記第3の対極上には第2の試薬層が配置され、
前記第1の試薬層と前記第2の試薬層は、離れて配置され、
前記第1の作用極上には、前記第1の試薬層および前記第2の試薬層は配置されず、
前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方を用い、
前記第2の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬を含み、
前記方法は、
前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程と、
前記血液成分の量に依存する電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程を含む方法(血液成分の量の第1の測定方法)
である。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記血液成分の量に依存する電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する電流値を用いてもよい。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第3工程の後に、
前記第1工程および前記第2工程を行うのが好ましい。これは、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する工程が終わった後なので、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値および第2の電流値を検出する際の電極系の対極として、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する工程で用いる第3電極系の作用極および対極のいずれも使用することが出来るからである。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第1の試薬層および前記第2の試薬層が、メディエータをそれぞれ含むのが好ましい。前記メディエータは、特に制限されず、例えば、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン、フェロセン誘導体があげられる。この中で、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化物(フェリシアン化カリウム)が好ましい。前記メディエータの配合量は、特に制限されず、1回の測定当り若しくはバイオセンサ1個当り、例えば、0.1〜1000mMであり、好ましくは1〜500mMであり、より好ましくは、10〜300mMである。例えば、血液(生体試料)中のグルコース値(血液成分)を測定する際、酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼ(酸化還元酵素)を用い、メディエータとしてフェリシアン化カリウムを用いたバイオセンサの場合、例えば、以下のようにしてGluに依存する電流値を得る。バイオセンサにおいて、前記酸化還元酵素とメディエータが血液と接触し、これらが血液中に溶解される。そうすると、血液中の基質であるGluと前記酸化還元酵素との間で酵素反応が進行し、前記メディエータが還元されて、フェロシアン化物が生成する。この反応終了後、還元されたメディエータを電気化学的に酸化し、このとき得られる電流から血液中のGluに依存する電流値を得る。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第2の試薬層が、酸化還元酵素を更に含むのが好ましい。前記酸化還元酵素は、測定対象の血液成分に応じ適宜選択される。前記酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼなどがある。測定対象の血液成分がグルコースの場合、酸化還元酵素は、グルコースオキシダーゼおよびグルコースデヒドロゲナーゼが好ましい。前記酸化還元酵素の量は、例えば、バイオセンサ1個当り、若しくは1回の測定当り、例えば、0.01〜100Uであり、好ましくは、0.05〜10Uであり、より好ましくは、0.1〜5Uである。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第1の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vである。前記第1の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第2の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vである。前記第2の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、
前記第3の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vである。前記第3の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、前記第1の電圧および前記第3の電圧は、前記第3の電圧<前記第1の電圧の関係であるのが好ましい。また、前記第2の電圧および前記第3の電圧は、前記第3の電圧<前記第2の電圧の関係であってもよい。また、前記血液成分の量の第1の測定方法において、前記第1の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間の関係であってもよい。また、前記第2の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間であってもよい。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、前記第1の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vであり、前記第2の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vであり、前記第3の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vであり、例えば、前記第3の電圧<前記第1の電圧、かつ、例えば、前記第3の電圧<前記第2の電圧であり、前記第1の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第2の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第3の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第1の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間、かつ、前記第2の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間である。
<第2の実施の形態:血液成分の量の第2Iの測定方法>
本発明は、
第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
前記第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系と、
第4の作用極と第4の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第4の電極系と、
を備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
前記バイオセンサにおいて、
前記第3の作用極および前記第3の対極上には、第2の試薬層が配置され、
前記第4の作用極および前記第4の対極上には、第3の試薬層が配置され、
前記第2の試薬層と前記第3の試薬層は、離れて配置され、
前記第1の作用極上には、前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は配置されず、
前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
前記第2の対極として、前記第4の作用極および前記第4の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬をそれぞれ含み、
前記方法は、
前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第1の電流値を検出する第3工程と、
前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第2の電流値を検出する第4工程と、
前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値と、前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程とを含む方法(血液成分の量の第2Iの測定方法)
である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程および前記第4工程の後に、
前記第1工程および前記第2工程を行うのが好ましい。これは、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する工程が終わった後なので、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値および第2の電流値を検出する際の電極系の対極として、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する工程で用いる第3電極系および第4電極系の作用極および対極のいずれも使用することが出来るからである。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用いてもよい。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第1の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vである。前記第1の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第2の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vである。前記第2の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vである。前記第3の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第4の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vである。前記第3の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、前記第1の電圧および前記第3の電圧は、前記第3の電圧<前記第1の電圧の関係であるのが好ましい。また、前記第2の電圧および前記第3の電圧は、前記第3の電圧<前記第2の電圧の関係であるのが好ましい。
また、前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、前記第1の電圧および前記第4の電圧は、前記第4の電圧<前記第1の電圧の関係であるのが好ましい。また、前記第2の電圧および前記第4の電圧は、前記第4の電圧<前記第2の電圧の関係であるのが好ましい。
また、前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、前記第1の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間の関係であるのが好ましい。また、前記第2の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間であるのが好ましい。
また、前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、前記第1の電圧の印加時間<前記第4の電圧の印加時間の関係であるのが好ましい。また、前記第2の電圧の印加時間<前記第4の電圧の印加時間であるのが好ましい。
前記血液成分の量の第1の測定方法において、前記第1の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vであり、前記第2の電圧は、例えば、1V〜5V、好ましくは1.5V〜4.5V、より好ましくは2V〜4Vであり、前記第3の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vであり、前記第4の電圧は、例えば、0.1V〜3V、好ましくは0.2〜2V、より好ましくは0.3〜1.5Vであり、
例えば、前記第3の電圧<前記第1の電圧、前記第4の電圧<前記第1の電圧、かつ、例えば、前記第3の電圧<前記第2の電圧、前記第4の電圧<前記第2の電圧、であり、前記第1の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第2の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第3の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第4の電圧の印加時間は、例えば0.05〜5秒、好ましくは0.1〜3秒、より好ましくは0.5〜2秒であり、前記第1の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間、前記第1の電圧の印加時間<前記第4の電圧の印加時間、かつ、前記第2の電圧の印加時間<前記第3の電圧の印加時間、前記第2の電圧の印加時間<前記第4の電圧の印加時間である。
[血液成分の量の第2Aの測定方法]
本発明の血液成分の量の第2Aの測定方法は、
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
前記第3工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧である。
[血液成分の量の第2Bの測定方法]
本発明の血液成分の量の第2Bの測定方法は、
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
前記第3工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧である。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法、前記血液成分の量の第2Aの測定方法、および前記血液成分の量の第2Bの測定方法において、
前記第4工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いるのが好ましい。この際、前記第4工程を2回以上行う印加において、各第4の電圧は同一の電圧であるのがより好ましい。前記のように各第4の電圧は同一の電圧であると、たとえば、時間軸における応答値(電流値)の推移をみることができる。
血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
前記第4工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いる方法であって、
前記第3工程と、前記第4工程を、互い違いに行ってもよい。
[血液成分の量の第2Cの測定方法]
本発明の血液成分の量の第2Cの測定方法は、
前記血液成分の量の第2Iの測定方法において、
前記第3工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
前記第4工程を2回以上行い、
前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いる方法であって、
前記第3工程と、前記第4工程を、同時に行う。
前記血液成分の量の第2Cの測定方法において、前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧であってもよい。
前記血液成分の量の第2Cの測定方法において、前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧であってもよい。
前記血液成分の量の第2Cの測定方法において、前記第3の電圧と第4の電圧は、同一の電圧であってもよい。2回以上行う第3工程と第4工程において、すべての工程において、前記第3の電圧と第4の電圧は、同一の電圧であってもよいし、1つ以上の工程において、前記第3の電圧と第4の電圧は、同一の電圧であってもよい。
[血液成分の量の第2IIの測定方法]
前記血液成分の量の第2IIの測定方法は、
前記血液成分の量の第2Cの測定方法において、
前記バイオセンサが、前記第1の作用極と前記第4の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第5の電極系を更に備え、
前記方法が、前記第5の電極系に第5の電圧を印加し、前記ヘマトクリット値に依存する第3の電流値を検出する第5工程をさらに含み、
前記第5工程が、前記第3工程および前記第4の工程の行われていない期間であって、前記第1工程および前記第2工程より前に1回以上行われる。
[血液成分の量の第2Dの測定方法]
本発明の血液成分の量の第2Dの測定方法は、
前記血液成分の量の第2IIの測定方法において、前記第5工程を2回以上行い、各第5の電圧は、同一の電圧である。
[血液成分の量の第2Eの測定方法]
本発明の血液成分の量の第2Eの測定方法は、
前記血液成分の量の第2IIの測定方法において、前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧である。
前記血液成分の量の第2IIの測定方法において、前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧であってもよい。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法、第2IIの測定方法、第2Aの測定方法、第2Bの測定方法、第2Cの測定方法、第2Dの測定方法および第2Eの測定において、
前記第2の試薬層および前記第3の試薬層が、メディエータをそれぞれ含むのが好ましい。前記メディエータは、特に制限されず、例えば、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン、フェロセン誘導体があげられる。この中で、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化物(フェリシアン化カリウム)が好ましい。前記メディエータの配合量は、特に制限されず、1回の測定当り若しくはバイオセンサ1個当り、例えば、0.1〜1000mMであり、好ましくは1〜500mMであり、より好ましくは、10〜300mMである。
前記血液成分の量の第2Iの測定方法、第2IIの測定方法、第2Aの測定方法、第2Bの測定方法、第2Cの測定方法、第2Dの測定方法および第2Eの測定において、
前記第2の試薬層および前記第3の試薬層が、酸化還元酵素を更にそれぞれ含むのが好ましい。前記酸化還元酵素は、測定対象の血液成分に応じ適宜選択される。前記酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼなどがある。測定対象の血液成分がグルコースの場合、酸化還元酵素は、グルコースオキシダーゼおよびグルコースデヒドロゲナーゼが好ましい。前記酸化還元酵素の量は、例えば、バイオセンサ1個当り、若しくは1回の測定当り、例えば、0.01〜100Uであり、好ましくは、0.05〜10Uであり、より好ましくは、0.1〜5Uである。
本発明の血液成分の測定方法において用いられるバイオセンサは、前記のように、所定の電極系を備える。さらに、このバイオセンサは、絶縁基板を有し、この上に各電極系と、前記各電極系に血液を導入するための流路とが形成され、前記流路の一端は、バイオセンサ外部に開口して血液供給口となっていることが好ましい。この場合、前記血液供給口は一つであり、前記流路は、その途中で分岐しており、分岐した各流路の端部は前記各分析部に連通している構成であってもよい。その他、前記流路の途中に電極系が位置し、その後方に別の電極系が位置している構成であってもよい。
本発明の血液成分の測定方法において用いられるバイオセンサは、さらに、スペーサーおよびカバーを有し、前記絶縁基板の上に、前記スペーサーを介して前記カバーが配置されている構成が好ましい。
本発明の血液成分の測定方法において用いられるバイオセンサにおいて、前記試薬部がメディエータ、またはメディエータおよび酸化還元酵素を含む場合、さらに酵素安定化剤および/または結晶均質化剤を含むのが好ましい。
前記酵素安定化剤としては、例えば、糖アルコールがあげられる。前記糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、還元パラチノース、アラビニトール、グリセロール、リビトール、ガラクチトール、セドヘプチトール、ペルセイトール、ボレミトール、スチラシトール、ポリガリトール、イジトール、タリトール、アリトール、イシリトール、還元澱粉糖化物、イシリトールなどの鎖状の多価アルコールや環式糖アルコールがあげられる。また、これらの糖アルコールの立体異性体、置換体または誘導体であってもよい。これらの糖アルコールは、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用してもよい。これらの中で、好ましいのは、マルチトールである。前記酵素安定化剤の配合量は、1回の測定当り若しくは1センサ当り、例えば、0.1〜500mMの範囲であり、好ましくは、0.5〜100mMの範囲であり、より好ましくは1〜50mMの範囲である。
前記結晶均質化剤は、試薬部の結晶状態を均質にするためのものであり、例えば、アミノ酸があげられる。前記アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、サルコシン、ベタイン、タウリン、これらの塩、置換体および誘導体があげられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用してもよい。これらのなかで、グリシン、セリン、プロリン、トレオニン、リシン、タウリンが好ましく、より好ましくは、タウリンである。前記結晶均質化剤の配合量は、1回の測定当り若しくは1センサ当り、例えば、0.1〜1000mMであり、好ましくは、10〜500mMであり、より好ましくは20〜200mMである。
本発明の血液成分の測定方法において用いられるバイオセンサは、更に、血液検知電極を有し、この血液検知電極は、前記血液供給口から前記各電極系の少なくとも一つよりも後方に位置し、この血液検知電極により、前記各電極系の少なくとも一つに確実に血液が導入されたことが検知可能であることが好ましい。より好ましくは、前記血液検知電極が、前記各電極系の最後方に位置することである。前記血液検知電極は、前記電極系の一つとしても、用いられてもよい。
図2の斜視図に、本発明の測定方法において用いられるバイオセンサを装着した状態の測定装置の一例を示す。図示のように、この測定装置2は、その一端にセンサの装着口5を有し、ここにセンサ3を装着して保持する。なお、符号10は、センサ3の血液供給口である。また、この測定装置2の略中央には表示部4を有し、ここに測定結果を表示する。
図27には、本発明の測定方法において用いられるバイオセンサを装着した状態の測定装置の電気ブロック図の一例を示す。本発明の測定装置において、本発明の一実施の形態にかかる測定装置の入力端子部106には、電圧を印加する電圧印加部137と、電流−電圧変換部138が接続されている。電圧印加部137には、制御部139から電圧が印加され、この電圧は、入力端子部106を介して、バイオセンサ3の各電極系および血液成分導入検知極のうち所望の電極へ一定時間印加される。この電圧印加によりバイオセンサ3において電極間に流れる電流は、電流−電圧変換部138にて電圧に変換され、その後、この電圧はA/D変換部130でデジタル変換され、このデジタル変換された電圧が判定手段131によって閾値と比較される。
また、制御部139に接続された表示部132には、前記バイオセンサ3で検出した血液成分の量や、前記判定手段131による判定結果が表示されるようになっている。なお、図27の符号133は電源部で、前記各部に電源を供給するためのものである。符号134は、ヘマトクリット値と血液成分の測定時の印加電圧、印加時間等からなるテーブルや環境温度から予め作成した検量線および検量テーブルを備えたメモリである。
また、前記制御部139には、時計135が接続され、制御部139は、この時計135の時刻および時間を活用して、各種制御動作を実行するように構成されている。さらに、制御部139内には、補正手段136が設けられ、測定した血液成分の量をヘマトクリット値によって補正することで、血液成分の量の測定精度を高めるものである。
次に、本発明の血液成分の量の測定方法の実施例について、図面に基づき説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1は、本発明の血液成分の量の第1の測定方法の一例である。
図3、図4および図5に、本発明の測定方法において用いるバイオセンサの一例を示す。図3は、前記センサの分解斜視図であり、図4は断面図であり、図5は平面図であり、前記三図において、同一部分には同一符号を付している。このバイオセンサは、一例として、血液成分としてグルコースを測定するためのセンサである。
図示のように、このセンサは、絶縁基板101の上に、6個の電極12、13、14、15、16および17が形成されている。これらの電極は、作用極と対極に切り換え可能である。電極17の表面は、CMC等の高分子材料で被覆されている。電極12および16の一部を覆うように第1の試薬層6が、電極13、14および15の一部を覆うように第2の試薬層7が、配置されている。前記第1の試薬層6と前記第2の試薬層7は、離れて配置されている。前記第2の試薬層7は、血液中の血液成分の量を測定するための試薬、好ましくは酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)、より好ましくは酸化還元酵素とメディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を含み、任意成分として、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を含む。前記第1の試薬層は、好ましくはメディエータを含み、任意成分として、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を含む。
前記絶縁基板101の上には、一方の端部(図において右側端部)を残してスペーサ102を介しカバー103が配置されている。このセンサには、各電極(12、13、14、15、16および17)に血液を導入するために、絶縁基板101、スペーサ102およびカバー103から成る流路8が形成されている。この流路8の先端は、バイオセンサの他方の端部(図において左側端部)まで延伸しており、外部に対し開口すること血液供給口10となっている。前記6個の電極(12、13、14、15、16および17)は各々リードと連結し、これらのリードは、前記一方の端部側(図において右側端部)に延びており、リードの先端はカバーに覆われずに露出している。前記カバー103において、流路8の右側端部に対応する部分(第2の試薬層7上もしくは、電極14上)には、空気孔9が形成されている。さらに、流路8内に、前記電極17、前記第1の試薬層6、前記第2の試薬層7がそれぞれ離れて配置されている。
本発明において、前記絶縁基板の材質は、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラス等が使用でき、このなかで、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)およびポリイミド(PI)が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。絶縁基板の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.05〜2mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.1〜1mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.1〜0.6mmである。前記絶縁基板の材質および大きさについては、後述の実施の形態においても同様である。
絶縁基板上の電極およびリードは、例えば、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザーにより特定の電極パターンに加工することで形成できる。レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる。これについても、後述の実施の形態において同様である。
前記第2の試薬層7は、次のようにして形成する。例えば、酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)を0.1〜5U/センサ、メディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を10〜200mM、酵素安定化剤(例えばマルチトール等)を1〜50mM、結晶均質化剤(例えばタウリン等)を20〜200mM含む水溶液を円形のスリット部20に滴下し、乾燥させる。このスリット部20を設置することで、滴下された水溶液の拡がりを抑制することができ、試薬層7をより正確な位置に配置することができる。これにより、電極13、14および15の一部を覆うように試薬層7が形成される。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
前記第1の試薬層6は、次のようにして形成する。例えば、メディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を10〜200mM、結晶均質化剤(例えばタウリン等)を20〜200mM含む水溶液を円形のスリット部19に滴下し、乾燥させる。このスリット部19を設置することで、滴下された水溶液の拡がりを抑制することができ、試薬層7をより正確な位置に配置することができる。これにより、電極12および16の一部を覆うように試薬層6が形成される。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
本発明において、スペーサ102の材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。また、スペーサの大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.01〜1mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.5mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.05〜0.25mmである。この例のスペーサには、血液導入のための流路となるI字形状の切欠部が形成されているが、その大きさは、例えば、全長0.5〜8mm、幅0.1〜5mm、好ましくは、全長1〜10mm、幅0.2〜3mm、より好ましくは、全長1〜5mm、幅0.5〜2mmである。この切欠部は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、スペーサの形成時に、切欠部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。前記スペーサの材質および大きさ並びに切欠部については、後述の実施の形態においても同様である。
本発明において、カバー103の材質は、特に制限されない。例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。カバーの血液を導入するための流路の天井部に相当する部分は、親水処理されることがさらに好ましい。親水処理としては、例えば界面活性剤を塗布する方法、プラズマ処理などによりカバー表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入する方法等がある。また、試薬層上にレシチン等の界面活性剤からなる層を形成してもよい。カバーの大きさは、特に制限されない。例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜0.5mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.25mmであり、より好ましくは、全長15〜30mm、幅5〜10mm、厚み0.05〜0.1mmである。カバーには空気孔9が形成されていることが好ましく、形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等である。その大きさは、例えば、最大直径0.01〜10mm、好ましくは、最大直径0.05〜5mm、より好ましくは、最大直径0.1〜2mmである。この空気孔は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、カバーの形成時に、空気抜き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。前記カバーの材質および大きさ並びに空気孔については、後述の実施の形態においても同様である。
さらに、このバイオセンサは、絶縁基板101、スペーサ102およびカバー103をこの順序で積層し、一体化することで製造できる。前記3つの部材は、接着剤あるいは熱融着等で貼り合わせることにより一体化される。前記接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、また熱硬化性接着剤(ホットメルト接着剤等)、UV硬化性接着剤等が使用できる。これについても、後述の実施の形態において同様である。
このセンサを用いた血液成分量、例えば、血糖値の測定は、次のようにして実施される。まず、専用のランセットで指先等を穿刺し、出血させる。一方、前記センサを専用の測定装置(メータ)にセットする。出血した血液に、測定装置にセットしたセンサの血液供給口を接触させ、毛細管現象により血液をセンサ内部に導入する。このセンサによる分析は、次のステップにより行われる。
なお、この実施の形態1においては、電極12を電極A、電極13を電極C、電極14を電極D、電極15を電極E、電極16を電極G、および電極17を電極Fとして用いる。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図8に示す。
(工程A:検体(血液)の検知)
電極Dと電極Eの両電極間に電圧を印加し、血液の導入に伴う電流値の変化により血液の導入を検知する。血液の導入を確認したら、以降のステップを開始する。この工程Aでの印加電圧は、例えば、0.05〜1V、好ましくは0.7Vである。そして、血液中のグルコースとグルコース酸化還元酵素とを一定時間反応させる。なお、この工程Aは任意の工程である。
(工程B:血液成分の量に依存する電流値の測定工程)
測定装置2は、図6に示すように、血液中のグルコースとグルコース酸化還元酵素とを一定時間反応させた後、第3電圧の電圧値および印加時間を制御し、第3の電極系に電圧を印加させる。測定装置2は、バイオセンサ3に測定対象の血液が導入されて検知電極系(電極Dと電極E)によって血液を検知すると、電流の計測を開始する。
このとき、測定装置2は、図7に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図6において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この工程における電圧印加である。この第3の電圧は、400mVである。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。
前記第3の電極系に前記第3の電圧を印加して得られた血液成分の量に依存する第3の電流値は、以下の血液成分の量を算出する工程において用いる。
(工程C:Hct値の測定工程)
測定装置2は、図6に示すように血液成分の量に依存する電流値の測定工程の後、第2電圧の電圧値および印加時間を制御し、第2の電極系に電圧を、第1の電圧の電圧値および印加時間を制御し、第1の電極系に電圧を印加させる。なお、この例においては工程B、次いで工程Cを行っているが、工程Cのいくつかを先に行い、次いで工程Bを行ってもよい。
このとき、測定装置2は、図7に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第2の電圧は、第2の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極Aおよび電極Gを含む)との間に印加させる。図6において、「Hct−1」で示す電圧印加が、この工程における電圧印加である。この第2の電圧は、2500mVである。第1の電圧は、第1の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極C、電極Eおよび電極Dを含む)との間に印加させる。このように第1の電極系の第1の対極(電極C、電極E、電極D)は、第3の電極系の第3の作用極(電極C)および第3の対極(電極E、電極D)の少なくとも一方を用いている。前記第2の電極系に前記第2の電圧を印加して得られたヘマトクリット値に依存する第2の電流値と、前記第1の電極系に前記第1の電圧を印加して得られたヘマトクリット値に依存する第1の電流値は、以下の血液成分の量を算出する工程において用いる。
第1の電圧は、第1の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極C、電極Eおよび電極Dを含む)との間に印加させる。図6において、「Hct−2」で示す電圧印加が、この工程における電圧印加である。この第2の電圧は、2500mVである。前記電極Fには、CMC等の高分子を除き、前記第1の試薬層および前記第2の試薬層が配置されていない。すなわち、前記電極Fは、裸の電極といえる。
(工程D:血液成分の量を算出する工程)
得られた複数、例えば5つの前記血液成分の量に依存する電流値は、以下のように処理して、前記血液成分の量に依存する電流値として用いる。
上記抽出した複数の所定時間における測定電流値や上記抽出した生体情報測定装置の温度情報などに基づいた複数のパラメータ(x1,x2,x3・・・,x10)を算出し(「所定のパラメータを計算する」)、重回帰式(たとえば、下記式1)により、補正量を算出し、血液成分の量に依存する電流値を算出する。
前記工程Cで得られたHct値に依存する電流値(第1の電流値と第2の電流値)と、前記工程Bで得られた血液成分に依存する電流値(第3の電流値)とを用いて、血液成分の量を得る。これは、予め作成した検量線(検量テーブルを含む)に基づき行うことが好ましい。得られた血液成分の量は、測定装置に表示若しくは記憶される。なお、工程Cで得られたHct値に依存する電流値から得られたHct量と、前記工程Bで得られた血液成分に依存する電流値とを用いて、血液成分の量を得てもよい。
血液成分の量を算出した後、バイオセンサを廃棄し、表示部などをオフした後、測定器もオフして、生体試料の成分の測定を終了する。
この実施の形態1によれば、Hct値を測定するための第1工程と第2工程において、それぞれの対極上にのみ配置される第1の試薬層と第2の試薬層が、互いに離れて配置されているため、Hct値をより高精度に測定することができる。また、このような配置のように第1の試薬層と第2の試薬層が離れていた方がキャピラリ内の血液の分布状態を詳細に知ることが出来る。
[実施の形態2A]
実施の形態2Aは、本発明の血液成分の量の第2Iおよび第2Aの測定方法の一例である。
図9、図10および図11に、本発明の測定方法において用いるバイオセンサの別の一例を示す。図9は、前記センサの分解斜視図であり、図10は断面図であり、図11は平面図であり、前記三図において、同一部分には同一符号を付している。このバイオセンサは、一例として、血液成分としてグルコースを測定するためのセンサである。
図示のように、このセンサは、絶縁基板201の上に、6個の電極22、23、24、25、26および27が形成されている。これらの電極は、作用極と対極に切り換え可能である。電極22、23、24、25、26および27の表面は、CMC等の高分子材料で被覆されている。電極22および26の一部を覆うように第3の試薬層32が、電極23、24および25の一部を覆うように第2の試薬層33が、配置されている。前記第3の試薬層32と前記第2の試薬層33は、離れて配置されている。前記第2の試薬層は、血液中の血液成分の量を測定するための試薬、好ましくは酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)、より好ましくは酸化還元酵素とメディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を含み、任意成分として、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を含む。前記第3の試薬層は、血液中の血液成分の量を測定するための試薬、好ましくは酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)、より好ましくは酸化還元酵素とメディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を含み、任意成分として、酵素安定化剤、結晶均質化剤等を含む。
前記絶縁基板201の上には、一方の端部(図において右側端部)を残してスペーサ202を介しカバー203が配置されている。このセンサには、各電極(22、23、24、25、26および27)に血液を導入するために、絶縁基板201、スペーサ202およびカバー203から成る流路34が形成されている。この流路34の先端は、バイオセンサの他方の端部(図において左側端部)まで延伸しており、外部に対し開口すること血液供給口10となっている。前記6個の電極(22、23、24、25、26および27)は各々リードと連結し、これらのリードは、前記一方の端部側(図において右側端部)に延びており、リードの先端はカバーに覆われずに露出している。前記カバー203において、流路34の右側端部に対応する部分(第2の試薬層33上もしくは、電極24上)には、空気孔35が形成されている。さらに、流路34内に、前記電極27、前記第3の試薬層32、前記第2の試薬層33がそれぞれ離れて配置されている。
本発明において、前記絶縁基板の材質は、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラス等が使用でき、このなかで、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)およびポリイミド(PI)が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。絶縁基板の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.05〜2mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.1〜1mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.1〜0.6mmである。前記絶縁基板の材質および大きさについては、後述の実施の形態においても同様である。
絶縁基板上の電極およびリードは、例えば、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザーにより特定の電極パターンに加工することで形成できる。レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる。これについても、後述の実施の形態において同様である。
前記第2の試薬層33は、次のようにして形成する。例えば、酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)を0.1〜5U/センサ、メディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を10〜200mM、酵素安定化剤(例えばマルチトール等)を1〜50mM、結晶均質化剤(例えばタウリン等)を20〜200mM含む水溶液を円形のスリット部(図示せず)に滴下し、乾燥させる。このスリット部を設置することで、滴下された水溶液の拡がりを抑制することができ、試薬層33をより正確な位置に配置することができる。これにより、電極23、24および25の一部を覆うように試薬層33が形成される。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
前記第3の試薬層32も、次のようにして形成する。例えば、酸化還元酵素(例えばグルコースデヒドロゲナーゼ等)を0.1〜5U/センサ、メディエータ(例えばフェリシアン化カリウム等)を10〜200mM、酵素安定化剤(例えばマルチトール等)を1〜50mM、結晶均質化剤(例えばタウリン等)を20〜200mM含む水溶液を円形のスリット部(図示せず)に滴下し、乾燥させる。このスリット部を設置することで、滴下された水溶液の拡がりを抑制することができ、試薬層32をより正確な位置に配置することができる。これにより、電極22および26の一部を覆うように試薬層32が形成される。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
本発明において、スペーサ202の材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。また、スペーサの大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.01〜1mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.5mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.05〜0.25mmである。この例のスペーサには、血液導入のための流路となるI字形状の切欠部が形成されているが、その大きさは、例えば、全長0.5〜8mm、幅0.1〜5mm、好ましくは、全長1〜10mm、幅0.2〜3mm、より好ましくは、全長1〜5mm、幅0.5〜2mmである。この切欠部は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、スペーサの形成時に、切欠部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。前記スペーサの材質および大きさ並びに切欠部については、後述の実施の形態においても同様である。
本発明において、カバー203の材質は、特に制限されない。例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。カバーの血液を導入するための流路の天井部に相当する部分は、親水処理されることがさらに好ましい。親水処理としては、例えば界面活性剤を塗布する方法、プラズマ処理などによりカバー表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入する方法等がある。また、試薬層上にレシチン等の界面活性剤からなる層を形成してもよい。カバーの大きさは、特に制限されない。例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜0.5mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.25mmであり、より好ましくは、全長15〜30mm、幅5〜10mm、厚み0.05〜0.1mmである。カバーには空気孔9が形成されていることが好ましく、形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等である。その大きさは、例えば、最大直径0.01〜10mm、好ましくは、最大直径0.05〜5mm、より好ましくは、最大直径0.1〜2mmである。この空気孔は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、カバーの形成時に、空気抜き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。前記カバーの材質および大きさ並びに空気孔については、後述の実施の形態においても同様である。
さらに、このバイオセンサは、絶縁基板201、スペーサ202およびカバー203をこの順序で積層し、一体化することで製造できる。前記3つの部材は、接着剤あるいは熱融着等で貼り合わせることにより一体化される。前記接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、また熱硬化性接着剤(ホットメルト接着剤等)、UV硬化性接着剤等が使用できる。これについても、後述の実施の形態において同様である。
このセンサを用いた血液成分量、例えば、血糖値の測定は、次のようにして実施される。まず、専用のランセットで指先等を穿刺し、出血させる。一方、前記センサを専用の測定装置(メータ)にセットする。出血した血液に、測定装置にセットしたセンサの血液供給口を接触させ、毛細管現象により血液をセンサ内部に導入する。このセンサによる分析は、次のステップにより行われる。
なお、この実施の形態2Aにおいては、電極22を電極A、電極23を電極C、電極24を電極D、電極25を電極E、電極26を電極G、および電極27を電極Fとして用いる。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系、第3の電極系の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図14に示す。
(工程A:検体(血液)の検知)
電極Dと電極Eの両電極間に電圧を印加し、血液の導入に伴う電流値の変化により血液の導入を検知する。血液の導入を確認したら、以降のステップを開始する。この工程Aでの印加電圧は、例えば、0.05〜1V、好ましくは0.7Vである。そして、血液中のグルコースとグルコース酸化還元酵素とを一定時間反応させる。なお、この工程Aは任意の工程である。
(工程B:血液成分の量に依存する電流値の測定工程)
測定装置2は、図12に示すように、血液中のグルコースとグルコース酸化還元酵素とを一定時間反応させた後、第3電圧の電圧値および印加時間を制御し、第3の電極系に電圧を印加させる(第3工程)。測定装置2は、バイオセンサ3に測定対象の血液が導入されて検知電極系(電極Dと電極E)によって血液を検知すると、電流の計測を開始する。
このとき、測定装置2は、図13に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図12において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この第3工程における電圧印加である。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。
前記第3工程を2回以上行う場合において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧であってもよい。これは、異なる電圧で反応する妨害物質の影響をみることが出来るためである。
この工程Bにおいては、第3工程の後、第4電圧の電圧値および印加時間を制御し、第4の電極系に電圧を印加させる(第4工程)。図12において、「Glu−2」で示す電圧印加が、この第4工程における電圧印加である。この第4の電圧は、500mVである。また、前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第4工程は、複数回、例えば、5回行う。例えば、第3工程、第4工程、第3工程、第4工程のように、順番に行う。前記第4工程を2回以上行う場合において、各第4の電圧は、同一の電圧であってもよい。これは、たとえば、時間軸における応答値(電流値)の推移をみることができるためである。
この工程Bにおいては、前記第3工程を2回以上行い、
前記第4工程を2回以上行い、
前記第3工程と、前記第4工程を、互い違いに行ってもよい。
この工程Bにおいて、第3工程と第4工程は、入れ替えてもよい。すなわち、図12における例では、第3工程を一番先に行っているが、第4工程を一番先に行ってもよい。
前記第3の電極系に前記第3の電圧を印加して得られた血液成分の量に依存する第3の電流値と、前記第4の電極系に前記第4の電圧を印加して得られた血液成分の量に依存する第4の電流値は、以下の血液成分の量を算出する工程において用いる。
(工程C:Hct値の測定工程)
測定装置2は、図12に示すように血液成分の量に依存する電流値の測定工程(第3工程および第4工程)の後、第2電圧の電圧値および印加時間を制御し、第2の電極系に電圧(第2工程)を、第1の電圧の電圧値および印加時間を制御し、第1の電極系に電圧を(第1工程)印加させる。なお、この例においては工程B、次いで工程Cを行っているが、工程Cを先に行い、次いで工程Bを行ってもよい。
このとき、測定装置2は、図13に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第2の電圧は、第2の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極Aおよび電極Gを含む)との間に印加させる。図12において、「Hct−1」で示す電圧印加が、この工程における電圧印加である。この第2の電圧は、2500mVである。第1の電圧は、第1の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極C、電極Eおよび電極Dを含む)との間に印加させる。このように第1の電極系の第1の対極(電極C、電極E、電極D)は、第3の電極系の第3の作用極(電極C)および第3の対極(電極E、電極D)の少なくとも一方を用いている。前記第2の電極系に前記第2の電圧を印加して得られたヘマトクリット値に依存する第2の電流値と、前記第1の電極系に前記第1の電圧を印加して得られたヘマトクリット値に依存する第1の電流値は、以下の血液成分の量を算出する工程において用いる。
第1の電圧は、第1の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極C、電極Eおよび電極Dを含む)との間に印加させる。図12において、「Hct−2」で示す電圧印加が、この工程における電圧印加である。この第2の電圧は、2500mVである。前記電極Fには、CMC等の高分子を除き、前記第2の試薬層および前記第3の試薬層が配置されていない。すなわち、前記電極Fは、裸の電極といえる。
(工程D:血液成分の量を算出する工程)
得られた複数、例えば複数の前記血液成分の量に依存する電流値は、以下のように処理して、前記血液成分の量に依存する電流値として用いる。
上記抽出した複数の所定時間における測定電流値や上記抽出した生体情報測定装置の温度情報などに基づいた複数のパラメータ(x1,x2,x3・・・,x10)を算出し(「所定のパラメータを計算する」)、重回帰式(たとえば、下記式1)により、補正量を算出し、血液成分の量に依存する電流値を算出する。
前記工程Cで得られたHct値に依存する電流値(第1の電流値と第2の電流値)と、前記工程Bで得られた血液成分に依存する電流値(第3の電流値と第4の電流値)とを用いて、血液成分の量を得る。これは、予め作成した検量線(検量テーブルを含む)に基づき行うことが好ましい。得られた血液成分の量は、測定装置に表示若しくは記憶される。なお、工程Cで得られたHct値に依存する電流値から得られたHct量と、前記工程Bで得られた血液成分に依存する電流値とを用いて、血液成分の量を得てもよい。
血液成分の量を算出した後、バイオセンサを廃棄し、表示部などをオフした後、測定器もオフして、生体試料の成分の測定を終了する。
この実施の形態2Aによれば、血液成分を測定するための第3の電極系と第4の電極系に、それぞれ異なる電圧を印加することにより、異なる電圧で反応する妨害物質の影響を、最終的に得られる血液成分の量に反映させることができる。
[実施の形態2B]
実施の形態2Bは、本発明の血液成分の量の第2Bの測定方法の一例である。
この方法において用いるバイオセンサは、実施の形態2Aで用いたバイオセンサと同一である。なお、この実施の形態2Bにおいては、電極12を電極A、電極13を電極C、電極14を電極D、電極15を電極E、電極16を電極G、および電極17を電極Fとして用いる。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系および第4の電極系の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図17に示す。
実施の形態2Bにおいては、測定装置2は、図16に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図15において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この第3工程における電圧印加である。この第3の電圧は、400mVである。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。この工程Bにおいては、第3工程の後、第4電圧の電圧値および印加時間を制御し、第4の電極系に電圧を印加させる(第4工程)。図16において、「Glu−2」で示す電圧印加が、この第4工程における電圧印加である。この第4の電圧は、400mVである。また、前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第4工程は、複数回、例えば、5回行う。例えば、第3工程、第4工程、第3工程、第4工程のように、順番に行う。
実施の形態2Bは、工程Bにおいて第3工程を2回以上行う場合、各第3の電圧は、同一の電圧である以外は、実施の形態2Aと同様である。各第3の電圧が同一の電圧であれば、異なる電圧で反応する妨害物質の影響をみることが出来る。
この実施の形態2Bによれば、血液成分を測定するための第3の電極系と第4の電極系に、同じ電圧を印加することにより、それぞれの系における妨害物質の応答値の推移を、最終的に得られる血液成分の量に反映させることができる。
[実施の形態2C]
実施の形態2Cは、本発明の血液成分の量の第2Cの測定方法の一例である。
この方法において用いるバイオセンサは、実施の形態2Aで用いたバイオセンサと同一である。なお、この実施の形態2Cにおいては、電極12を電極A、電極13を電極C、電極14を電極D、電極15を電極E、電極16を電極G、および電極17を電極Fとして用いる。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系および第4の電極系の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図20に示す。
実施の形態2Cにおいては、測定装置2は、図19に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図18において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この第3工程における電圧印加である。この第3の電圧は、500mVである。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。この工程Bにおいては、第3工程と同時に、第4電圧の電圧値および印加時間を制御し、第4の電極系に電圧を印加させる(第4工程)。図18において、「Glu−2」で示す電圧印加が、この第4工程における電圧印加である。この第4の電圧は、500mVである。また、前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第4工程は、複数回、例えば、5回行う。
実施の形態2Cは、工程Bにおいて第3工程と第4工程を同時に行う以外は、実施の形態2Bと同様である。第3工程と第4工程を同時に行うことにより、工程Bにおける電圧印加のブランク時間が長くなり、同一時間で、別の場所の状態を同時に測定することができる。
[実施の形態2D]
実施の形態2Dは、本発明の血液成分の量の第2Dの測定方法の一例である。
この方法において用いるバイオセンサは、実施の形態2Aで用いたバイオセンサと同一である。なお、この実施の形態2Dにおいては、電極12を電極A、電極13を電極C、電極14を電極D、電極15を電極E、電極16を電極G、および電極17を電極Fとして用いる。実施の形態2A、2B、2Cにおいては、第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系および第4の電極系を備えたが、この実施の形態2Dにおいては、さらに第5の電極系も備える。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系、第4の電極系および第5の電極の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図23に示す。
実施の形態2Dにおいては、測定装置2は、図22に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図21において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この第3工程における電圧印加である。この第3の電圧は、500mVである。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。この工程Bにおいては、第3工程の後、第4電圧の電圧値および印加時間を制御し、第4の電極系に電圧を印加させる(第4工程)。図22において、「Glu−2」で示す電圧印加が、この第4工程における電圧印加である。また、前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第4工程は、複数回、例えば、5回行う。例えば、第3工程、第4工程、第3工程、第4工程のように、順番に行う。
実施の形態2Dは、工程Bにおいて第3工程と第4工程の行われていない期間であって、第1工程および第2工程の前に第5工程が1回以上行われる以外は、実施の形態2Aと同様である。このような第5工程を更に行うことにより、異なる電圧で反応する妨害物質の影響をみることが出来、好ましい。
第5の電圧は、第5の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極Gを含む)との間に印加させる。図21において、「Hct−3」で示す電圧印加が、この第5工程における電圧印加である。この第5の電圧は、2500mVである。
実施の形態2Dにおいて、前記第5工程を2回以上行い、各第5の電圧は、同一の電圧であってもよい。
この実施の形態2Dによれば、第1工程および第2工程に加えて、さらにヘマトクリット値を測定するための第5の電極系に、第1工程および第2工程より以前に第5の電圧を印加することにより、妨害物質の温度の変化における応答値の推移を、最終的に得られる血液成分の量に反映させることができる。
[実施の形態2E]
実施の形態2Eは、本発明の血液成分の量の第2Eの測定方法の一例である。
この方法において用いるバイオセンサは、実施の形態2Aで用いたバイオセンサと同一である。なお、この実施の形態2Eにおいては、電極12を電極A、電極13を電極C、電極14を電極D、電極15を電極E、電極16を電極G、および電極17を電極Fとして用いる。実施の形態2A、2B、2Cにおいては、第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系および第4の電極系を備えたが、この実施の形態2Eにおいては、さらに第5の電極系も備える。それぞれの電極を第1の電極系、第2の電極系、第3の電極系、第4の電極系および第5の電極の対極および作用極のいずれとして用いるかは、図26に示す。
実施の形態2Eにおいては、測定装置2は、図25に示すように、電圧印加電極、印加電圧、印加時間および印加タイミングを変化させる。第3の電圧は、第3の電極系(作用極としての電極Cと、対極としての電極Dおよび電極Eを含む)との間に印加させる。図24において、「Glu−1」で示す電圧印加が、この第3工程における電圧印加である。この第3の電圧は、400mVである。また、前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程は、複数回、例えば、5回行う。この工程Bにおいては、第3工程の後、第4電圧の電圧値および印加時間を制御し、第4の電極系に電圧を印加させる(第4工程)。図24において、「Glu−2」で示す電圧印加が、この第4工程における電圧印加である。また、前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第4工程は、複数回、例えば、5回行う。例えば、第3工程、第4工程、第3工程、第4工程のように、順番に行う。
実施の形態2Eは、工程Bにおいて第3工程と第4工程の行われていない期間であって、第1工程および第2工程の前に第5工程が1回以上行われる以外は、実施の形態2Bと同様である。このような第5工程を更に行うことにより、異なる電圧で反応する妨害物質の影響をみることが出来る。
第5の電圧は、第5の電極系(作用極としての電極Fと、対極としての電極Gを含む)との間に印加させる。図24において、「Hct−3」で示す電圧印加が、この第5工程における電圧印加である。この第5の電圧は、2500mVである。
実施の形態2Eにおいて、前記第5工程を2回以上行い、各第5の電圧は、同一の電圧であってもよい。
この実施の形態2Eによれば、第1工程および第2工程に加えて、さらにヘマトクリット値を測定するための第5の電極系に、第1工程および第2工程より以前に第5の電圧を印加することにより、妨害物質の温度の変化における応答値の推移を、最終的に得られる血液成分の量に反映させることができる。
以上のように、本発明のバイオセンサの製造方法は、生体試料の成分をさらに高精度に測定することが可能なバイオセンサを製造することができる。従って、本発明のバイオセンサの製造方法は、生物学、生化学および医学等の血液成分を測定する、あらゆる分野に好ましく使用でき、特に臨床検査の分野に好適である。
2 測定装置
3 センサ
4 表示部
5 装着口
10 血液供給口
101 絶縁基板
102 スペーサ
103 カバー
6 第1の試薬層
7 第2の試薬層
8 流路
9 空気孔
12 電極A
13 電極C
14 電極D
15 電極E
16 電極G
17 電極F
19 スリット部
20 スリット部
201 絶縁基板
202 スペーサ
203 カバー
32 第3の試薬層
33 第2の試薬層
34 流路
35 空気孔
22 電極A
23 電極C
24 電極D
25 電極E
26 電極G
27 電極F
29 スリット部
30 スリット部
106 入力端子部
130 A/D変換部
131 判定手段
132 表示部
133 電源部
134 メモリ
135 時計
136 補正手段
137 電圧印加部
138 電流−電圧変換部
139 制御部

Claims (22)

  1. 第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
    第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
    第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系とを備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
    前記バイオセンサにおいて、
    前記第2の対極上には第1の試薬層が配置され、
    前記第3の作用極および前記第3の対極上には第2の試薬層が配置され、
    前記第1の試薬層と前記第2の試薬層は、離れて配置され、
    前記第1の作用極上には、前記第1の試薬層および前記第2の試薬層は配置されず、
    前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
    前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方を用い、
    前記第2の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬を含み、
    前記方法は、
    前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
    前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
    前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する電流値を検出する第3工程と、
    前記血液成分の量に依存する電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程を含む方法。
  2. 前記第3工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記血液成分の量に依存する電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する電流値を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 前記第3工程の後に、
    前記第1工程および前記第2工程を行う請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1の試薬層および前記第2の試薬層が、メディエータをそれぞれ含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第2の試薬層が、酸化還元酵素を更に含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 第1の作用極と第1の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第1の電極系と、
    前記第1の作用極と第2の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第2の電極系と、
    第3の作用極と第3の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第3の電極系と、
    第4の作用極と第4の対極とを有する血液成分の量に依存する電流値を測定するための第4の電極系と、
    を備えたバイオセンサを用いて、血液中の血液成分の量を測定する方法であり、
    前記バイオセンサにおいて、
    前記第3の作用極および前記第3の対極上には、第2の試薬層が配置され、
    前記第4の作用極および前記第4の対極上には、第3の試薬層が配置され、
    前記第2の試薬層と前記第3の試薬層は、離れて配置され、
    前記第1の作用極上には、前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は配置されず、
    前記第1の対極と前記第2の対極は、離れて配置され、
    前記第1の対極として、前記第3の作用極および前記第3の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
    前記第2の対極として、前記第4の作用極および前記第4の対極の少なくとも一方をそれぞれ用い、
    前記第2の試薬層および前記第3の試薬層は、前記血液中の血液成分の量を測定するための試薬をそれぞれ含み、
    前記方法は、
    前記第1の電極系に第1の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第1の電流値を検出する第1工程と、
    前記第2の電極系に第2の電圧を印加し、ヘマトクリット値に依存する第2の電流値を検出する第2工程と、
    前記第3の電極系に第3の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第1の電流値を検出する第3工程と、
    前記第4の電極系に第4の電圧を印加し、前記血液成分の量に依存する第2の電流値を検出する第4工程と、
    前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値と、前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第1の電流値と、前記ヘマトクリット値に依存する第2の電流値とを用いて、前記血液成分の量を算出する工程とを含む方法。
  7. 前記第3工程および前記第4工程の後に、
    前記第1工程および前記第2工程を行う請求項6に記載の方法。
  8. 前記第3工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用いる請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記第3工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧である請求項8に記載の方法。
  10. 前記第3工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧である請求項8に記載の方法。
  11. 前記第4工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いる請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第4工程を2回以上行う印加において、各第4の電圧は同一の電圧である請求項11に記載の方法。
  13. 前記第3工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
    前記第4工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いる方法であって、
    前記第3工程と、前記第4工程を、互い違いに行う請求項6または7に記載の方法。
  14. 前記バイオセンサが、前記第1の作用極と前記第4の対極とを有するヘマトクリット値に依存する電流値を測定するための第5の電極系を更に備え、
    前記方法が、前記第5の電極系に第5の電圧を印加し、前記ヘマトクリット値に依存する第3の電流値を検出する第5工程をさらに含み、
    前記第5工程が、前記第3工程および前記第4の工程の行われていない期間であって、前記第1工程および前記第2工程より前に1回以上行われる請求項13に記載の方法。
  15. 前記第5工程を2回以上行い、各第5の電圧は、同一の電圧である請求項14に記載の方法。
  16. 前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧である請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧である請求項14または15に記載の方法。
  18. 前記第3工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第1の電流値として、得られた2つ以上の前記血液成分の量に依存する第1の電流値を用い、
    前記第4工程を2回以上行い、
    前記血液成分の量を算出する工程における前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値として、得られた2つ以上の前記前記血液成分の量に依存する第2の電流値を用いる方法であって、
    前記第3工程と、前記第4工程を、同時に行う請求項6または7に記載の方法。
  19. 前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、それぞれ異なる電圧である請求項18に記載の方法。
  20. 前記第3の工程を2回以上行う印加において、各第3の電圧は、同一の電圧である請求項18に記載の方法。
  21. 前記第2の試薬層および前記第3の試薬層が、メディエータをそれぞれ含む請求項6〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記第2の試薬層および前記第3の試薬層が、酸化還元酵素を更にそれぞれ含む請求項6〜21のいずれかに記載の方法。
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