<本技術を適用した画像処理システム>
図1は、本技術を適用した画像処理システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
図1において、画像処理システムは、符号化装置11及び復号装置12を有する。
符号化装置11には、符号化対象の元画像が供給される。
符号化装置11は、例えば、HEVCやAVC(Advanced Video Coding)等のような予測符号化により、元画像を符号化する。
符号化装置11の予測符号化では、元画像の予測画像が生成され、元画像と予測画像との残差が符号化される。
さらに、符号化装置11の予測符号化では、予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる復号途中画像に、ILFをかけるILF処理を行うことで、予測画像の予測に用いられる参照画像が生成される。
ここで、ILF処理としてのフィルタ処理(フィルタリング)が、復号途中画像に施されることにより得られる画像を、フィルタ後画像ともいう。
符号化装置11は、予測符号化を行う他、必要に応じて、復号途中画像と元画像とを用いて学習等を行うことにより、フィルタ後画像が、なるべく元画像に近くなるようなILF処理としてのフィルタ処理に関する情報を、フィルタ情報として求めることができる。
符号化装置11のILF処理は、学習により得られるフィルタ情報を用いて行うことができる。
ここで、フィルタ情報を求める学習は、例えば、元画像の1又は複数のシーケンスごとや、元画像の1又は複数のシーン(シーンチェンジから、次のシーンチェンジまでのフレーム)ごと、元画像の1又は複数のフレーム(ピクチャ)ごと、元画像の1又は複数のスライスごと、ピクチャの符号化の単位のブロックの1又は複数ラインごと、その他任意の単位で行うことができる。また、フィルタ情報を求める学習は、例えば、残差が閾値以上になった場合に行うことができる。
符号化装置11は、元画像の予測符号化により得られる符号化データを、伝送媒体13を介して伝送し、又は、記録媒体14に伝送して記録させる。
また、符号化装置11は、学習により得られるフィルタ情報を、伝送媒体13を介して伝送し、又は、記録媒体14に伝送して記録させることができる。
なお、フィルタ情報を求める学習は、符号化装置11とは別の装置で行うことができる。
また、フィルタ情報は、符号化データとは別に伝送することもできるし、符号化データに含めて伝送することもできる。
さらに、フィルタ情報を求める学習は、元画像そのもの(及び元画像から得られる復号途中画像)を用いて行う他、画像特徴量が元画像と類似する、元画像とは別個の画像を用いて行うことができる。
復号装置12は、符号化装置11から伝送される符号化データ及び必要なフィルタ情報を、伝送媒体13や記録媒体14を介して受け取り(受信し)(取得し)、符号化データを、符号化装置11の予測符号化に対応する方式で復号する。
すなわち、復号装置12は、符号化装置11からの符号化データを処理することで、予測符号化の残差を求める。さらに、復号装置12は、残差と予測画像とを加算することにより、符号化装置11で得られるのと同様の復号途中画像を求める。そして、復号装置12は、復号途中画像に、符号化装置11からのフィルタ情報を必要に応じて用いたILF処理としてのフィルタ処理を施し、フィルタ後画像を求める。
復号装置12において、フィルタ後画像は、元画像の復号画像として出力されるとともに、必要に応じて、予測画像の予測に用いられる参照画像として一時記憶される。
符号化装置11及び復号装置12のILF処理としてのフィルタ処理は、任意のフィルタによって行うことができる。
また、符号化装置11及び復号装置12のフィルタ処理は、クラス分類適応処理(の予測演算)によって行うことができる。以下、クラス分類適応処理について説明する。
<クラス分類適応処理>
図2は、クラス分類適応処理を行う画像変換装置の第1の構成例を示すブロック図である。
ここで、クラス分類適応処理は、例えば、第1の画像を、第2の画像に変換する画像変換処理として捉えることができる。
第1の画像を第2の画像に変換する画像変換処理は、その第1と第2の画像の定義によって様々な信号処理となる。
すなわち、例えば、第1の画像を低空間解像度の画像とするとともに、第2の画像を高空間解像度の画像とすれば、画像変換処理は、空間解像度を向上させる空間解像度創造(向上)処理ということができる。
また、例えば、第1の画像を低S/Nの画像とするとともに、第2の画像を高S/Nの画像とすれば、画像変換処理は、ノイズを除去するノイズ除去処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像を所定の画素数(サイズ)の画像とするとともに、第2の画像を、第1の画像の画素数を多くまたは少なくした画像とすれば、画像変換処理は、画像のリサイズ(拡大または縮小)を行うリサイズ処理ということができる。
また、例えば、第1の画像を、HEVC等のブロック単位で符号化された画像を復号することによって得られる復号画像とするとともに、第2の画像を、符号化前の元画像とすれば、画像変換処理は、ブロック単位の符号化及び復号によって生じるブロック歪みを除去する歪み除去処理ということができる。
なお、クラス分類適応処理は、画像の他、例えば、音響を、処理の対象とすることができる。音響を対象とするクラス分類適応処理は、第1の音響(例えば、S/Nの低い音響等)を、第2の音響(例えば、S/Nの高い音響等)に変換する音響変換処理として捉えることができる。
クラス分類適応処理では、第1の画像のうちの注目している注目画素(処理対象の処理対象画素)の画素値を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することにより得られるクラスのタップ係数と、注目画素に対して選択される第1の画像の、タップ係数と同一の数の画素の画素値とを用いた予測演算により、注目画素の画素値が求められる。
図2は、クラス分類適応処理による画像変換処理を行う画像変換装置の構成例を示している。
図2において、画像変換装置20は、タップ選択部21及び22、クラス分類部23、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する。
画像変換装置20には、第1の画像が供給される。画像変換装置20に供給される第1の画像は、タップ選択部21及び22に供給される。
タップ選択部21は、第1の画像を構成する画素を、順次、注目画素に選択する。さらに、タップ選択部21は、注目画素に対応する第2の画像の対応画素(の画素値)を予測するのに用いる第1の画像を構成する画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして選択する。
具体的には、タップ選択部21は、注目画素の時空間の位置から空間的又は時間的に近い位置にある第1の画像の複数の画素を、予測タップとして選択する。
タップ選択部22は、注目画素を、幾つかのクラスのうちのいずれかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いる第1の画像を構成する画素(の画素値)の幾つかを、クラスタップとして選択する。すなわち、タップ選択部22は、タップ選択部21が予測タップを選択するのと同様にして、クラスタップを選択する。
なお、予測タップとクラスタップは、同一のタップ構造を有するものであっても良いし、異なるタップ構造を有するものであっても良い。
タップ選択部21で得られた予測タップは、予測演算部25に供給され、タップ選択部22で得られたクラスタップは、クラス分類部23に供給される。
クラス分類部23は、一定の規則に従って、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
すなわち、クラス分類部23は、例えば、タップ選択部22からのクラスタップを用いて、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
例えば、クラス分類部23は、クラスタップを用いて、注目画素の画像特徴量を求める。さらに、クラス分類部23は、注目画素の画像特徴量に応じて、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
ここで、クラス分類を行う方法としては、例えば、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)等を採用することができる。
ADRCを用いる方法では、クラスタップを構成する画素(の画素値)が、ADRC処理され、その結果得られるADRCコード(ADRC値)にしたがって、注目画素のクラスが決定される。ADRCコードは、注目画素を含む小領域の画像特徴量としての波形パターンを表す。
なお、LビットADRCにおいては、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値の最大値MAXと最小値MINが検出され、DR=MAX-MINを、集合の局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップを構成する各画素の画素値がLビットに再量子化される。すなわち、クラスタップを構成する各画素の画素値から、最小値MINが減算され、その減算値がDR/2Lで除算(再量子化)される。そして、以上のようにして得られる、クラスタップを構成するLビットの各画素の画素値を、所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。したがって、クラスタップが、例えば、1ビットADRC処理された場合には、そのクラスタップを構成する各画素の画素値は、最大値MAXと最小値MINとの平均値で除算され(小数点以下切り捨て)、これにより、各画素の画素値が1ビットとされる(2値化される)。そして、その1ビットの画素値を所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。
なお、クラス分類部23には、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値のレベル分布のパターンを、そのままクラスコードとして出力させることも可能である。しかしながら、この場合、クラスタップが、N個の画素の画素値で構成され、各画素の画素値に、Aビットが割り当てられているとすると、クラス分類部23が出力するクラスコードの場合の数は、(2N)A通りとなり、画素の画素値のビット数Aに指数的に比例した膨大な数となる。
したがって、クラス分類部23においては、クラスタップの情報量を、上述のADRC処理や、あるいはベクトル量子化等によって圧縮することにより、クラス分類を行うのが好ましい。
係数取得部24は、後述する学習によって求められたクラスごとのタップ係数を記憶し、さらに、その記憶したタップ係数のうちの、クラス分類部23から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数、すなわち、注目画素のクラスのタップ係数を取得する。さらに、係数取得部24は、注目画素のクラスのタップ係数を、予測演算部25に供給する。
ここで、タップ係数とは、ディジタルフィルタにおける、いわゆるタップにおいて入力データと乗算される係数に相当する係数である。
予測演算部25は、タップ選択部21が出力する予測タップと、係数取得部24が供給されるタップ係数とを用いて、注目画素に対応する第2の画像の画素(対応画素)の画素値の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う。これにより、予測演算部25は、対応画素の画素値(の予測値)、すなわち、第2の画像を構成する画素の画素値を求めて出力する。
図3は、係数取得部24に記憶されるタップ係数の学習を行う学習装置の構成例を示すブロック図である。
ここで、例えば、高画質の画像(高画質画像)を第2の画像とするとともに、その高画質画像をLPF(Low Pass Filter)によってフィルタリングする等してその画質(解像度)を低下させた低画質の画像(低画質画像)を第1の画像として、低画質画像から予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像の画素(高画質画素)の画素値を、所定の予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、高画質画素の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(1)において、xnは、対応画素としての高画質画素yに対する予測タップを構成する、n番目の低画質画像の画素(以下、適宜、低画質画素という)の画素値を表し、wnは、n番目の低画質画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、N個の低画質画素x1,x2,・・・,xNで構成されることとする。
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(2)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、対応画素としての第kサンプルの高画質画素に対する予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(3)(又は式(2))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和E(統計的な誤差)を最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、対応画素としての高画質画素ykと、その高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と(6)から、次式が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
式(8)の正規方程式を、クラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求めることができる。
図3は、式(8)の正規方程式をたてて解くことによりタップ係数wnを求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
図3において、学習装置30は、教師データ生成部31、生徒データ生成部32、及び、学習部33を有する。
教師データ生成部31及び生徒データ生成部32には、タップ係数wnの学習に用いられる学習画像が供給される。学習画像としては、例えば、解像度の高い高画質画像を用いることができる。
教師データ生成部31は、学習画像から、タップ係数の学習の教師(真値)となる教師データ、すなわち、クラス分類適応処理により得たい教師データとして、式(1)による予測演算としての写像の写像先となる教師画像を生成し、学習部33に供給する。ここでは、教師データ生成部31は、例えば、学習画像としての高画質画像を、そのまま教師画像として、学習部33に供給する。
生徒データ生成部32は、学習画像から、タップ係数の学習の生徒となる生徒データ、すなわち、クラス分類適応処理においてタップ係数との予測演算の対象となる生徒データとして、式(1)による予測演算としての写像による変換対象となる生徒画像を生成し、学習部33に供給する。ここでは、生徒データ生成部32は、例えば、学習画像としての高画質画像をLPF(low Pass Filter)でフィルタリングすることにより、その解像度を低下させることで、低画質画像を生成し、この低画質画像を、生徒画像として、学習部33に供給する。
学習部33は、生徒データ生成部32からの生徒データとしての生徒画像を構成する画素を、順次、注目画素とし、その注目画素について、図2のタップ選択部21が選択するのと同一のタップ構造の画素を、生徒画像から予測タップとして選択する。さらに、学習部33は、注目画素に対応する教師画像を構成する対応画素と、注目画素の予測タップとを用い、クラスごとに、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより、クラスごとのタップ係数を求める。
図4は、図3の学習部33の構成例を示すブロック図である。
図4において、学習部33は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、足し込み部44、並びに、係数算出部45を有する。
生徒画像は、タップ選択部41及び42に供給され、教師画像は、足し込み部44に供給される。
タップ選択部41は、生徒画像を構成する画素を、順次、注目画素として選択し、その注目画素を表す情報を、必要なブロックに供給する。
さらに、タップ選択部41は、注目画素について、生徒画像を構成する画素から、図2のタップ選択部21が選択するの同一の画素を予測タップに選択し、これにより、タップ選択部21で得られるのと同一のタップ構造の予測タップを得て、足し込み部44に供給する。
タップ選択部42は、注目画素について、生徒画像を構成する画素から、図2のタップ選択部22が選択するのと同一の画素をクラスタップに選択し、これにより、タップ選択部22で得られるのと同一のタップ構造のクラスタップを得て、クラス分類部43に供給する。
クラス分類部43は、タップ選択部42からのクラスタップを用いて、図2のクラス分類部23と同一のクラス分類を行い、その結果得られる注目画素のクラスに対応するクラスコードを、足し込み部44に出力する。
足し込み部44は、教師画像を構成する画素から、注目画素に対応する対応画素(の画素値)を取得し、対応画素と、タップ選択部41から供給される注目画素についての予測タップを構成する生徒画像の画素(の画素値)とを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスコードごとに行う。
すなわち、足し込み部44には、教師データとしての教師画像の対応画素yk、生徒データとしての注目画素の予測タップxn,k、注目画素のクラスを表すクラスコードが供給される。
足し込み部44は、注目画素のクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(8)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、足し込み部44は、やはり、注目画素のクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,k及び教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、足し込み部44は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)又はベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk+1及び生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1又はxn,k+1yk+1を足し込む(式(8)のサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部44は、例えば、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(8)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部45に供給する。
係数算出部45は、足し込み部44から供給される各クラスについての正規方程式を解くことにより、各クラスについて、最適なタップ係数wnを求めて出力する。
図2の画像変換装置20における係数取得部24には、以上のようにして求められたクラスごとのタップ係数wnを記憶させることができる。
図5は、クラス分類適応処理を行う画像変換装置の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図5において、画像変換装置20は、タップ選択部21及び22、クラス分類部23、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する。
したがって、図5の画像変換装置20は、図2の場合と同様に構成される。
但し、図5では、係数取得部24は、後述する種係数を記憶する。さらに、図5では、係数取得部24には、外部からパラメータzが供給される。
係数取得部24は、種係数から、パラメータzに対応する、クラスごとのタップ係数を生成し、そのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部23からのクラスのタップ係数を取得して、予測演算部25に供給する。
ここで、図2では、係数取得部24は、タップ係数そのものを記憶するが、図5では、係数取得部24は、種係数を記憶する。種係数は、パラメータzを与える(決定する)ことによって、タップ係数を生成することができ、かかる観点から、種係数は、タップ係数と同等の情報であるとみなすことができる。本明細書では、タップ係数には、タップ係数そのものの他、そのタップ係数を生成することができる種係数も必要に応じて含まれることとする。
図6は、係数取得部24に記憶される種係数の学習を行う学習装置の構成例を示すブロック図である。
ここで、例えば、図3で説明した場合と同様に、高画質の画像(高画質画像)を第2の画像とするとともに、その高画質画像の空間解像度を低下させた低画質の画像(低画質画像)を第1の画像として、低画質画像から予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像の画素である高画質画素の画素値を、例えば、式(1)の線形1次予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
いま、タップ係数wnが、種係数と、パラメータzとを用いた次式によって生成されることとする。
但し、式(9)において、βm,nは、n番目のタップ係数wnを求めるのに用いられるm番目の種係数を表す。なお、式(9)では、タップ係数wnが、M個の種係数β1,n,β2,n,・・・,βM,nを用いて求められる。
ここで、種係数βm,nとパラメータzから、タップ係数wnを求める式は、式(9)に限定されるものではない。
いま、式(9)におけるパラメータzによって決まる値zm-1を、新たな変数tmを導入して、次式で定義する。
式(10)を、式(9)に代入することにより、次式が得られる。
式(11)によれば、タップ係数wnは、種係数βm,nと変数tmとの線形1次式によって求められることになる。
ところで、いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(12)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(12)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(13)において、xn,kは、対応画素としての第kサンプルの高画質画素に対する予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(13)のwnに、式(11)を代入することにより、次式が得られる。
式(14)の予測誤差ekを0とする種係数βm,nが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのような種係数βm,nを求めることは、一般には困難である。
そこで、種係数βm,nが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適な種係数βm,nは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(15)において、Kは、対応画素としての高画質画素ykと、その高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(15)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(16)に示すように、総和Eを種係数βm,nで偏微分したものを0とするβm,nによって与えられる。
式(13)を、式(16)に代入することにより、次式が得られる。
いま、Xi,p,j,qとYi,pを、式(18)と(19)に示すように定義する。
この場合、式(17)は、Xi,p,j,qとYi,pを用いた式(20)に示す正規方程式で表すことができる。
式(20)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いることにより、種係数βm,nについて解くことができる。
図5の画像変換装置20においては、多数の高画質画素y1,y2,・・・,yKを教師データとするとともに、各高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kを生徒データとして、クラスごとに式(20)の正規方程式をたてて解く学習を行うことにより求められたクラスごとの種係数βm,nが、係数取得部24に記憶される。そして、係数取得部24では、種係数βm,nと、外部から与えられるパラメータzから、式(9)にしたがって、クラスごとのタップ係数wnが生成され、予測演算部25において、そのタップ係数wnと、注目画素についての予測タップを構成する低画質画素(第1の画像の画素)xnを用いて、式(1)が計算されることにより、高画質画素(第2の画像の対応画素)の画素値(に近い予測値)が求められる。
図6は、式(20)の正規方程式をクラスごとにたてて解くことにより、クラスごとの種係数βm,nを求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
なお、図中、図3の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図6において、学習装置30は、教師データ生成部31、パラメータ生成部61、生徒データ生成部62、及び、学習部63を有する。
したがって、図6の学習装置30は、教師データ生成部31を有する点で、図3の場合と共通する。
但し、図6の学習装置30は、パラメータ生成部61を新たに有する点で、図3の場合と相違する。さらに、図6の学習装置30は、生徒データ生成部32及び学習部33に代えて、生徒データ生成部62、及び、学習部63がそれぞれ設けられている点で、図3の場合と相違する。
パラメータ生成部61は、パラメータzが取り得る範囲の幾つかの値を生成し、生徒データ生成部62と学習部63に供給する。
例えば、パラメータzが取り得る値が0乃至Zの範囲の実数であるとすると、パラメータ生成部61は、例えば、例えば、z=0,1,2,・・・,Zの値のパラメータzを生成し、生徒データ生成部62と学習部63に供給する。
生徒データ生成部62には、教師データ生成部31に供給されるのと同様の学習画像が供給される。
生徒データ生成部62は、図3の生徒データ生成部32と同様に、学習画像から生徒画像を生成し、生徒データとして、学習部63に供給する。
ここで、生徒データ生成部62には、学習画像の他、パラメータzが取り得る範囲の幾つかの値が、パラメータ生成部61から供給される。
生徒データ生成部62は、学習画像としての高画質画像を、例えば、そこに供給されるパラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、パラメータzの幾つかの値それぞれに対して、生徒画像としての低画質画像を生成する。
すなわち、生徒データ生成部62では、学習画像としての高画質画像について、Z+1種類の、空間解像度の異なる生徒画像としての低画質画像が生成される。
なお、ここでは、例えば、パラメータzの値が大きくなるほど、カットオフ周波数の高いLPFを用いて、高画質画像をフィルタリングし、生徒画像としての低画質画像を生成することとする。この場合、値の大きいパラメータzに対する生徒画像としての低画質画像ほど、空間解像度が高い。
また、生徒データ生成部62では、パラメータzに応じて、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向のうちの一方又は両方向の空間解像度を低下させた生徒画像としての低画質画像を生成することができる。
さらに、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向のうちの両方向の空間解像度を低下させた生徒画像としての低画質画像を生成する場合には、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向の空間解像度は、それぞれ別個のパラメータ、すなわち、2個のパラメータz及びz'に応じて、別個に低下させることができる。
この場合、図5の係数取得部24では、外部から2個のパラメータz及びz'が与えられ、その2個のパラメータz及びz'と種係数とを用いて、タップ係数が生成される。
以上のように、種係数としては、1個のパラメータzの他、2個のパラメータz及びz'、さらには、3個以上のパラメータを用いて、タップ係数を生成することができる種係数を求めることができる。但し、本明細書では、説明を簡単にするため、1個のパラメータzを用いてタップ係数を生成する種係数を例に、説明を行う。
学習部63は、教師データ生成部31からの教師データとしての教師画像、パラメータ生成部61からのパラメータz、及び、生徒データ生成部62からの生徒データとしての生徒画像を用いて、クラスごとの種係数を求めて出力する。
図7は、図6の学習部63の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図4の学習部33と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図7において、学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、足し込み部71、並びに、係数算出部72を有する。
したがって、図7の学習部63は、タップ選択部41及び42、並びに、クラス分類部43を有する点で、図4の学習部33と共通する。
但し、学習部63は、足し込み部44及び係数算出部45に代えて、足し込み部71、及び、係数算出部72をそれぞれ有する点で、学習部33と相違する。
図7では、タップ選択部41と42は、パラメータ生成部61で生成されるパラメータzに対応して生成された生徒画像(ここでは、パラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFを用いて生成された生徒データとしての低画質画像)から、予測タップとクラスタップをそれぞれ選択する。
足し込み部71は、図6の教師データ生成部31からの教師画像から、注目画素に対応する対応画素を取得し、その対応画素、タップ選択部41から供給される注目画素について構成された予測タップを構成する生徒データ(生徒画像の画素)、及び、その生徒データを生成したときのパラメータzを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスごとに行う。
すなわち、足し込み部71には、注目画素に対応する対応画素としての教師データyk、タップ選択部41が出力する注目画素についての予測タップxi,k(xj,k)、及び、クラス分類部43が出力する注目画素のクラスが供給されるとともに、注目画素についての予測タップを構成する生徒データを生成したときのパラメータzが、パラメータ生成部61から供給される。
そして、足し込み部71は、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k(xj,k)とパラメータzを用い、式(20)の左辺の行列における、式(18)で定義されるコンポーネントXi,p,j,qを求めるための生徒データ及びパラメータzの乗算(xi,ktpxj,ktq)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(18)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。式(18)のtqも同様である。
さらに、足し込み部71は、やはり、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k、教師データyk、及び、パラメータzを用い、式(20)の右辺のベクトルにおける、式(19)で定義されるコンポーネントYi,pを求めるための生徒データxi,k、教師データyk、及び、パラメータzの乗算(xi,ktpyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(19)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。
すなわち、足し込み部71は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(20)における左辺の行列のコンポーネントXi,p,j,qと、右辺のベクトルのコンポーネントYi,pを、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネントXi,p,j,q又はベクトルのコンポーネントYi,pに対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk、生徒データxi,k(xj,k)、及びパラメータzを用いて計算される、対応するコンポーネントxi,ktpxj,ktq又はxi,ktpykを足し込む(式(18)のコンポーネントXi,p,j,q又は式(19)のコンポーネントYi,pにおけるサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部71は、0,1,・・・,Zのすべての値のパラメータzにつき、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(20)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部72に供給する。
係数算出部72は、足し込み部71から供給されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、各クラスごとの種係数βm,nを求めて出力する。
ところで、図6の学習装置30では、学習画像としての高画質画像を教師データとするとともに、その高画質画像の空間解像度を、パラメータzに対応して劣化させた低画質画像を生徒データとして、タップ係数wn及び生徒データxnから式(1)の線形1次式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和を直接的に最小にする種係数βm,nを求める学習を行うようにしたが、種係数βm,nの学習としては、教師データの予測値yの自乗誤差の総和を、いわば、間接的に最小にする種係数βm,nを求める学習を行うことができる。
すなわち、学習画像としての高画質画像を教師データとするとともに、その高画質画像を、パラメータzに対応したカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、その水平解像度及び垂直解像度を低下させた低画質画像を生徒データとして、まず最初に、タップ係数wn及び生徒データxnを用いて式(1)の線形1次予測式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和を最小にするタップ係数wnを、パラメータzの値(ここでは、z=0,1,・・・,Z)ごとに求める。そして、そのパラメータzの値ごとに求められたタップ係数wnを教師データとするとともに、パラメータzを生徒データとして、式(11)によって種係数βm,n及び生徒データであるパラメータzに対応する変数tmから予測される教師データとしてのタップ係数wnの予測値の自乗誤差の総和を最小にする種係数βm,nを求める。
ここで、式(1)の線形1次予測式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和Eを最小(極小)にするタップ係数wnは、図3の学習装置30における場合と同様に、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより、各クラスについて、パラメータzの値(z=0,1,・・・,Z)ごとに求めることができる。
ところで、タップ係数は、式(11)に示したように、種係数βm,nと、パラメータzに対応する変数tmとから求められる。そして、いま、この式(11)によって求められるタップ係数を、wn’と表すこととすると、次の式(21)で表される、最適なタップ係数wnと式(11)により求められるタップ係数wn’との誤差enを0とする種係数βm,nが、最適なタップ係数wnを求めるのに最適な種係数となるが、すべてのタップ係数wnについて、そのような種係数βm,nを求めることは、一般には困難である。
なお、式(21)は、式(11)によって、次式のように変形することができる。
そこで、種係数βm,nが最適なものであることを表す規範として、例えば、やはり、最小自乗法を採用することとすると、最適な種係数βm,nは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
式(23)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(24)に示すように、総和Eを種係数βm,nで偏微分したものを0とするβm,nによって与えられる。
式(22)を、式(24)に代入することにより、次式が得られる。
いま、Xi,j,とYiを、式(26)と(27)に示すように定義する。
この場合、式(25)は、Xi,jとYiを用いた式(28)に示す正規方程式で表すことができる。
式(28)の正規方程式も、例えば、掃き出し法等を用いることにより、種係数βm,nについて解くことができる。
図8は、図6の学習部63の他の構成例を示すブロック図である。
すなわち、図8は、式(28)の正規方程式をたてて解くことにより種係数βm,nを求める学習を行う学習部63の構成例を示している。
なお、図中、図4又は図7の場合と対応するについては、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図8の学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、係数算出部45、足し込み部81及び82、並びに、係数算出部83を有する。
したがって、図8の学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、並びに、係数算出部45を有する点で、図4の学習部33と共通する。
但し、図8の学習部63は、足し込み部44に代えて、足し込み部81を有する点、並びに、足し込み部82及び係数算出部83を新たに有する点で、図4の学習部33と相違する。
足し込み部81には、クラス分類部43が出力する注目画素のクラスと、パラメータ生成部61が出力するパラメータzが供給される。足し込み部81は、教師データ生成部31からの教師画像のうちの、注目画素に対応する対応画素としての教師データと、タップ選択部41から供給される注目画素についての予測タップを構成する生徒データとを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、かつ、パラメータ生成部61が出力するパラメータzの値ごとに行う。
すなわち、足し込み部81には、教師データyk、予測タップxn,k、注目画素のクラス、及び、予測タップxn,kを構成する生徒画像を生成したときのパラメータzが供給される。
足し込み部81は、注目画素のクラスごとに、かつ、パラメータzの値ごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(8)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、足し込み部81は、注目画素のクラスごとに、かつ パラメータzの値ごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,k及び教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、足し込み部81は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)又はベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk+1及び生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1又はxn,k+1yk+1を足し込む(式(8)のサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部81は、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、パラメータzの各値ごとに、式(8)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部45に供給する。
したがって、足し込み部81は、図4の足し込み部44と同様に、各クラスについて、式(8)の正規方程式をたてる。但し、足し込み部81は、さらに、パラメータzの各値ごとにも、式(8)の正規方程式をたてる点で、図4の足し込み部44と異なる。
係数算出部45は、足し込み部81から供給される各クラスについての、パラメータzの値ごとの正規方程式を解くことにより、各クラスについて、パラメータzの値ごとの最適なタップ係数wnを求め、足し込み部82に供給する。
足し込み部82は、パラメータ生成部61(図6)から供給されるパラメータz(に対応する変数tm)と、係数算出部45から供給される最適なタップ係数wnを対象とした足し込みを、クラスごとに行う。
すなわち、足し込み部82は、パラメータ生成部61から供給されるパラメータzから式(10)によって求められる変数ti(tj)を用い、式(28)の左辺の行列における、式(26)で定義されるコンポーネントXi,jを求めるためのパラメータzに対応する変数ti(tj)どうしの乗算(titj)と、サメーション(Σ)に相当する演算を、クラスごとに行う。
ここで、コンポーネントXi,jは、パラメータzによってのみ決まるものであり、クラスとは関係がないので、コンポーネントXi,jの計算は、実際には、クラスごとに行う必要はなく、1回行うだけで済む。
さらに、足し込み部82は、パラメータ生成部61から供給されるパラメータzから式(10)によって求められる変数tiと、係数算出部45から供給される最適なタップ係数wnとを用い、式(28)の右辺のベクトルにおける、式(27)で定義されるコンポーネントYiを求めるためのパラメータzに対応する変数ti及び最適なタップ係数wnの乗算(tiwn)と、サメーション(Σ)に相当する演算を、クラスごとに行う。
足し込み部82は、各クラスごとに、式(26)で表されるコンポーネントXi,jと、式(27)で表されるコンポーネントYiを求めることにより、各クラスについて、式(28)の正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部83に供給する。
係数算出部83は、足し込み部82から供給されるクラスごとの式(28)の正規方程式を解くことにより、各クラスごとの種係数βm,nを求めて出力する。
図5の係数取得部24には、以上のようにして求められたクラスごとの種係数βm,nを記憶させることができる。
なお、種係数の学習においても、タップ係数の学習における場合と同様に、第1の画像に対応する生徒データと、第2の画像に対応する教師データとする画像の選択の仕方によって、種係数としては、各種の画像変換処理を行う種係数を得ることができる。
すなわち、上述の場合には、学習画像を、そのまま第2の画像に対応する教師データとするとともに、その学習画像の空間解像度を劣化させた低画質画像を、第1の画像に対応する生徒データとして、種係数の学習を行うようにしたことから、種係数としては、第1の画像を、その空間解像度を向上させた第2の画像に変換する空間解像度創造処理としての画像変換処理を行う種係数を得ることができる。
この場合、図5の画像変換装置20では、画像の水平解像度及び垂直解像度を、パラメータzに対応する解像度に向上させることができる。
また、例えば、高画質画像を教師データとするとともに、その教師データとしての高画質画像に対して、パラメータzに対応するレベルのノイズを重畳した画像を生徒データとして、種係数の学習を行うことにより、種係数としては、第1の画像を、そこに含まれるノイズを除去(低減)した第2の画像に変換するノイズ除去処理としての画像変換処理を行う種係数を得ることができる。この場合、図5の画像変換装置20では、パラメータzに対応するS/Nの画像(パラメータzに対応する強度のノイズ除去を施した画像)を得ることができる。
なお、上述の場合には、タップ係数wnを、式(9)に示したように、β1,nz0+β2,nz1+・・・+βM,nzM-1で定義し、この式(9)によって、水平及び垂直方向の空間解像度を、いずれも、パラメータzに対応して向上させるためのタップ係数wnを求めるようにしたが、タップ係数wnとしては、水平解像度と垂直解像度を、独立のパラメータzxとzyに対応して、それぞれ独立に向上させるものを求めるようにすることも可能である。
すなわち、タップ係数wnを、式(9)に代えて、例えば、3次式β1,nzx 0zy 0+β2,nzx 1zy 0+β3,nzx 2zy 0+β4,nzx 3zy 0+β5,nzx 0zy 1+β6,nzx 0zy 2+β7,nzx 0zy 3+β8,nzx 1zy 1+β9,nzx 2zy 1+β10,nzx 1zy 2で定義するとともに、式(10)で定義した変数tmを、式(10)に代えて、例えば、t1=zx 0zy 0,t2=zx 1zy 0,t3=zx 2zy 0,t4=zx 3zy 0,t5=zx 0zy 1,t6=zx 0zy 2,t7=zx 0zy 3,t8=zx 1zy 1,t9=zx 2zy 1,t10=zx 1zy 2で定義する。この場合も、タップ係数wnは、最終的には、式(11)で表すことができ、したがって、図6の学習装置30において、パラメータzxとzyに対応して、教師データの水平解像度と垂直解像度をそれぞれ劣化させた画像を、生徒データとして用いて学習を行って、種係数βm,nを求めることにより、水平解像度と垂直解像度を、独立のパラメータzxとzyに対応して、それぞれ独立に向上させるタップ係数wnを求めることができる。
その他、例えば、水平解像度と垂直解像度それぞれに対応するパラメータzxとzyに加えて、さらに、時間方向の解像度に対応するパラメータztを導入することにより、水平解像度、垂直解像度、時間解像度を、独立のパラメータzx,zy,ztに対応して、それぞれ独立に向上させるタップ係数wnを求めることが可能となる。
さらに、図6の学習装置30において、パラメータzxに対応して教師データの水平解像度及び垂直解像度を劣化させるとともに、パラメータzyに対応して教師データにノイズを付加した画像を、生徒データとして用いて学習を行って、種係数βm,nを求めることにより、パラメータzxに対応して水平解像度及び垂直解像度を向上させるとともに、パラメータzyに対応してノイズ除去を行うタップ係数wnを求めることができる。
<符号化装置11の第1の構成例>
図9は、図1の符号化装置11の第1の構成例を示すブロック図である。
図9において、符号化装置11は、A/D変換部101、並べ替えバッファ102、演算部103、直交変換部104、量子化部105、可逆符号化部106、及び、蓄積バッファ107を有する。さらに、符号化装置11は、逆量子化部108、逆直交変換部109、演算部110、クラス分類適応フィルタ111、フレームメモリ112、選択部113、イントラ予測部114、動き予測補償部115、予測画像選択部116、及び、レート制御部117を有する。
A/D変換部101は、アナログ信号の元画像を、ディジタル信号の元画像にA/D変換し、並べ替えバッファ102に供給して記憶させる。
並べ替えバッファ102は、元画像のフレームを、GOP(Group Of Picture)に応じて、表示順から符号化(復号)順に並べ替え、演算部103、イントラ予測部114、動き予測補償部115、及び、クラス分類適応フィルタ111に供給する。
演算部103は、並べ替えバッファ102からの元画像から、予測画像選択部116を介してイントラ予測部114又は動き予測補償部115から供給される予測画像を減算し、その減算により得られる残差(予測残差)を、直交変換部104に供給する。
例えば、インター符号化が行われる画像の場合、演算部103は、並べ替えバッファ102から読み出された元画像から、動き予測補償部115から供給される予測画像を減算する。
直交変換部104は、演算部103から供給される残差に対して、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施す。なお、この直交変換の方法は任意である。直交変換部104は、直交交換により得られる変換係数を量子化部105に供給する。
量子化部105は、直交変換部104から供給される変換係数を量子化する。量子化部105は、レート制御部117から供給される符号量の目標値(符号量目標値)に基づいて量子化パラメータQPを設定し、変換係数の量子化を行う。なお、この量子化の方法は任意である。量子化部105は、量子化された変換係数を可逆符号化部106に供給する。
可逆符号化部106は、量子化部105において量子化された変換係数を所定の可逆符号化方式で符号化する。変換係数は、レート制御部117の制御の下で量子化されているので、可逆符号化部106の可逆符号化により得られる符号化データの符号量は、レート制御部117が設定した符号量目標値となる(又は符号量目標値に近似する)。
また、可逆符号化部106は、符号化装置11での予測符号化に関する符号化情報のうちの、必要な符号化情報を、各ブロックから取得する。
ここで、符号化情報としては、例えば、イントラ予測やインター予測の予測モード、動きベクトル等の動き情報、符号量目標値、量子化パラメータQP、ピクチャタイプ(I,P,B)、CU(Coding Unit)やCTU(Coding Tree Unit)の情報等がある。
例えば、予測モードは、イントラ予測部114や動き予測補償部115から取得することができる。また、例えば、動き情報は、動き予測補償部115から取得することができる。
可逆符号化部106は、符号化情報を取得する他、クラス分類適応フィルタ111から、そのクラス分類適応フィルタ111でのクラス分類適応処理に関するフィルタ情報を取得する。図9では、フィルタ情報には、クラスごとのタップ係数が必要に応じて含まれる。
可逆符号化部106は、符号化情報及びフィルタ情報を、任意の可逆符号化方式で符号化し、符号化データのヘッダ情報の一部とする(多重化する)。
可逆符号化部106は、符号化データを、蓄積バッファ107を介して伝送する。したがって、可逆符号化部106は、符号化データ、ひいては、符号化データに含まれる符号化情報やフィルタ情報を伝送する伝送部として機能する。
可逆符号化部106の可逆符号化方式としては、例えば、可変長符号化又は算術符号化等を採用することができる。可変長符号化としては、例えば、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)等がある。算術符号化としては、例えば、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)等がある。
蓄積バッファ107は、可逆符号化部106から供給される符号化データを、一時的に蓄積する。蓄積バッファ107に蓄積された符号化データは、所定のタイミングで読み出されて伝送される。
量子化部105において量子化された変換係数は、可逆符号化部106に供給される他、逆量子化部108にも供給される。逆量子化部108は、量子化された変換係数を、量子化部105による量子化に対応する方法で逆量子化する。この逆量子化の方法は、量子化部105による量子化処理に対応する方法であればどのような方法であってもよい。逆量子化部108は、逆量子化により得られる変換係数を、逆直交変換部109に供給する。
逆直交変換部109は、逆量子化部108から供給される変換係数を、直交変換部104による直交変換処理に対応する方法で逆直交変換する。この逆直交変換の方法は、直交変換部104による直交変換処理に対応する方法であればどのようなものであってもよい。逆直交変換された出力(復元された残差)は、演算部110に供給される。
演算部110は、逆直交変換部109から供給される逆直交変換結果、すなわち、復元された残差に、予測画像選択部116を介してイントラ予測部114又は動き予測補償部115から供給される予測画像を加算し、その加算結果を、復号途中の復号途中画像として出力する。
演算部110が出力する復号途中画像は、クラス分類適応フィルタ111又はフレームメモリ112に供給される。
クラス分類適応フィルタ111は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う。
クラス分類適応フィルタ111には、演算部110から復号途中画像が供給される他、並べ替えバッファ102から、復号途中画像に対応する元画像が供給されるとともに、符号化装置11の各ブロックから必要な符号化情報が供給される。
クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像に相当する生徒画像と、並べ替えバッファ102からの元画像に相当する教師画像とを用いるとともに、必要に応じて、符号化情報を用いて、クラスごとのタップ係数を求める学習を行う。
すなわち、クラス分類適応フィルタ111は、例えば、演算部110からの復号途中画像そのものを生徒画像とするとともに、並べ替えバッファ102からの元画像そのものを教師画像として、必要に応じて、符号化情報を用いて、クラスごとのタップ係数を求める学習を行う。クラスごとのタップ係数は、フィルタ情報として、クラス分類適応フィルタ111から可逆符号化部106に供給される。
さらに、クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理(による画像変換)を、符号化情報を必要に応じて用いて行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)出力する。
クラス分類適応フィルタ111が出力するフィルタ後画像は、フレームメモリ112に供給される。
ここで、クラス分類適応フィルタ111では、上述のように、復号途中画像を生徒画像とするとともに、元画像を教師画像として、学習が行われ、その学習により得られるタップ係数を用いて、復号途中画像をフィルタ後画像に変換するクラス分類適応処理が行われる。したがって、クラス分類適応フィルタ111で得られるフィルタ後画像は、極めて元画像に近い画像になる。
フレームメモリ112は、演算部110から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ111から供給されるフィルタ後画像を、局所復号された復号画像として一時記憶する。フレームメモリ112に記憶された復号画像は、必要なタイミングで、予測画像の生成に用いられる参照画像として、選択部113に供給される。
選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像の供給先を選択する。例えば、イントラ予測部114においてイントラ予測が行われる場合、選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像を、イントラ予測部114に供給する。また、例えば、動き予測補償部115においてインター予測が行われる場合、選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像を、動き予測補償部115に供給する。
イントラ予測部114は、並べ替えバッファ102から供給される元画像と、選択部113を介してフレームメモリ112から供給される参照画像とを用いて、基本的に、PU(Prediction Unit)を処理単位として、イントラ予測(画面内予測)を行う。イントラ予測部114は、所定のコスト関数(例えば、RD(Rate-Distortion)コスト)に基づいて、最適なイントラ予測モードを選択し、その最適なイントラ予測モードで生成された予測画像を、予測画像選択部116に供給する。また、上述したように、イントラ予測部114は、コスト関数に基づいて選択されたイントラ予測モードを示す予測モードを、可逆符号化部106等に適宜供給する。
動き予測補償部115は、並べ替えバッファ102から供給される元画像と、選択部113を介してフレームメモリ112から供給される参照画像とを用いて、基本的にPUを処理単位として、動き予測(インター予測)を行う。さらに、動き予測補償部115は、動き予測により検出される動きベクトルに応じて動き補償を行い、予測画像を生成する。動き予測補償部115は、あらかじめ用意された複数のインター予測モードで、インター予測を行い、予測画像を生成する。
動き予測補償部115は、複数のインター予測モードそれぞれについて得られた予測画像の所定のコスト関数に基づいて、最適なインター予測モードを選択する。さらに、動き予測補償部115は、最適なインター予測モードで生成された予測画像を、予測画像選択部116に供給する。
また、動き予測補償部115は、コスト関数に基づいて選択されたインター予測モードを示す予測モードや、そのインター予測モードで符号化された符号化データを復号する際に必要な動きベクトル等の動き情報等を、可逆符号化部106に供給する。
予測画像選択部116は、演算部103及び110に供給する予測画像の供給元(イントラ予測部114又は動き予測補償部115)を選択し、その選択した方の供給元から供給される予測画像を、演算部103及び110に供給する。
レート制御部117は、蓄積バッファ107に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバーフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部105の量子化動作のレートを制御する。すなわち、レート制御部117は、蓄積バッファ107のオーバーフロー及びアンダーフローが生じないように、符号化データの目標符号量を設定し、量子化部105に供給する。
<クラス分類適応フィルタ111の構成例>
図10は、図9のクラス分類適応フィルタ111の構成例を示すブロック図である。
図10において、クラス分類適応フィルタ111は、学習装置131、フィルタ情報生成部132、及び、画像変換装置133を有する。
学習装置131には、並べ替えバッファ102(図9)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図9)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置131には、符号化情報が供給される。
学習装置131は、復号途中画像を生徒データとするとともに、元画像を教師データとして、クラスごとのタップ係数を求める学習(以下、タップ係数学習ともいう)を行う。
さらに、学習装置131は、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数、及び、そのクラスごとのタップ係数を得るのに用いたクラスタップのタップ構造を表すタップ構造情報を、フィルタ情報生成部132に供給する。
なお、学習装置131は、タップ係数学習において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行うことができる。
フィルタ情報生成部132は、学習装置131からのクラスごとのタップ係数及びタップ構造情報を必要に応じて含むフィルタ情報を生成し、画像変換装置133及び可逆符号化部106(図9)に供給する。
画像変換装置133には、フィルタ情報生成部132からフィルタ情報が供給される他、演算部110(図9)から復号途中画像が供給されるとともに、符号化情報が供給される。
画像変換装置133は、例えば、復号途中画像を第1の画像として、フィルタ情報生成部132からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図9)に供給する。
なお、画像変換装置133は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行うことができる。
ここで、一般のALFでは、クラスタップのエッジ強度と方向差分を用いたクラス分類が行われるが、クラスタップのタップ構造は、固定されており、更新される(切り替えられる)ことはない。
クラスタップのタップ構造が固定である場合には、復号途中画像の空間解像度や時間解像度の違い、その他の復号途中画像の(局所の)特徴の違いによって、復号途中画像を適切に分類することが難しいことがある。この場合、復号途中画像に、その復号途中画像のクラスに対応するフィルタ処理を行っても、そのフィルタ処理により得られるフィルタ後画像について、画質改善効果を十分に得ることが困難である。
そこで、図1の画像処理システムでは、復号途中画像の特徴の違いによって、復号途中画像を適切にクラス分類し、復号途中画像のクラスに対応するフィルタ処理として、復号途中画像の特徴に適切なフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理により得られるフィルタ後画像のS/Nを大きく改善するために、復号途中画像の所定のピクチャシーケンスごとに、クラスタップのタップ構造を適応的に更新し(切り替え)、復号途中画像を、その復号途中画像の特徴に適したクラスにクラス分類する。
さらに、図1の画像処理システムでは、例えば、更新後のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を、復号途中画像に行うことで、復号途中画像の特徴に適切なフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理により得られるフィルタ後画像のS/Nを大きく改善する。
すなわち、復号途中画像のクラス分類を行い、復号途中画像に、その復号途中画像のクラスに対応するフィルタ処理を行って、フィルタ後画像を得る場合には、クラス分類において、特徴が類似(同一を含む)する復号途中画像が、同一のクラスに分類され、特徴が類似しない復号途中画像が、異なるクラスに分類されることにより、フィルタ後画像の画質改善効果を大にすることができる。
画像の特徴(エッジやテクスチャ等)には、様々な特徴があり、そのような様々な特徴を有し得る復号途中画像のクラス分類を、固定のタップ構造のクラスタップを用いて行うのでは、復号途中画像が、適切なクラスに分類されないことがある。すなわち、クラス分類において、復号途中画像が、特徴がそれほど類似しない他の復号途中画像が分類されたクラスと同一クラスに分類されることがある。
このように、特徴がそれほど類似しない複数の復号途中画像が同一クラスに分類される場合、そのクラスに対応するフィルタ処理により得られるフィルタ後画像の画質改善効果は、特徴が類似する複数の復号途中画像が同一クラスに分類される場合よりも小になる。
図1の画像処理システムでは、クラスタップのタップ構造を適応的に更新することで、クラス分類において、特徴がそれほど類似しない複数の復号途中画像が同一クラスに分類されることを抑制し、復号途中画像を、その復号途中画像の特徴に適したクラスに分類する。
したがって、図1の画像処理システムでは、クラス分類を、固定のタップ構造のクラスタップを用いて行う場合に比較して、フィルタ後画像の画質改善効果を大にすること、すなわち、フィルタ後画像のS/Nを大きく改善することができる。
さらに、図1の画像処理システムでは、クラスタップのタップ構造が適応的に更新されることで、固定のタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類と同一のクラス数(クラス分類によって分類し得るクラスの数)のクラス分類を行う場合であっても、フィルタ後画像のS/Nを大きく改善することができる。この場合、フィルタ後画像を参照画像として求められる残差が小さくなるので、圧縮効率を向上させることができる。
なお、クラス分類によって分類し得るクラスとして、多数のクラスを用意することにより、復号途中画像を、その復号途中画像の特徴に応じた適切なクラスに分類することができる。
しかしながら、多数のクラスに分類し得るクラス分類を採用する場合には、クラスごとのタップ係数のデータ量が増加し、クラスごとのタップ係数等を、符号化装置11から復号装置12に伝送する場合には、オーバーヘッドが増加して、圧縮効率が悪化する。
したがって、実用性の観点からは、クラス数(クラス分類によって分類し得るクラスの数)は、多数でないことが望ましい。
図1の画像処理システムでは、クラスタップのタップ構造を適応的に更新することで、クラス数がそれほど多くないクラス分類を採用しても、復号途中画像を、その復号途中画像の特徴に応じた適切なクラスに分類し、フィルタ処理により得られるフィルタ後画像のS/Nを大きく改善するとともに、圧縮効率の悪化を抑制することができる。
ここで、クラスタップのタップ構造を適応的に更新し、更新後のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数等を、符号化装置11から復号装置12に伝送する場合には、その伝送の頻度が多いと、オーバーヘッドが増加して、圧縮効率が悪化する。
ところで、復号途中画像(ひいては、元画像)の時間方向の相関が高い場合には、クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を用いたクラス分類を行い、直前のタップ構造の更新時と同一のクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を行っても、フィルタ後画像のS/Nを維持することができる。
さらに、クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を用いたクラス分類を行い、直前のタップ構造の更新時と同一のクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を行う場合には、復号装置12では、直前まで用いていたクラスごとのタップ係数を継続して用いることができる。したがって、新たなクラスごとのタップ係数等を、符号化装置11から復号装置12に伝送する必要がなく、圧縮効率を向上させることができる。
一方、復号途中画像の時間方向の相関が低い場合、すなわち、例えば、復号途中画像のシーケンスに、複雑な動きのシーンや、シーンチェンジが含まれる場合には、シーンチェンジ等によってシーンが大きく変化した復号途中画像について、クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を用いたクラス分類を行い、直前のタップ構造の更新時と同一のクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を行うと、フィルタ後画像の画質改善効果が小さくなり、その小さくなる分だけ、圧縮効率が悪化する。
そこで、図1の画像処理システムでは、時間方向の相関が低い復号途中画像を(直接的又は間接的に)検出し、その復号途中画像(以降)については、クラスタップのタップ構造を更新し、更新後のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を行うことで、圧縮効率の悪化を抑制することができる。
但し、時間方向の相関が低い復号途中画像を検出し、クラスタップのタップ構造の更新、及び、そのタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を行う場合には、時間方向の相関が低いシーンが続く復号途中画像のシーケンスについては、クラスタップのタップ構造の更新等が頻繁に行われ、更新後のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数等の(符号化装置11から復号装置12への)伝送が頻繁に行われることがあり得る。クラスごとのタップ係数等の伝送が頻繁に行われる場合、圧縮効率が悪化する。
そこで、図1の画像処理システムでは、平均的な画質改善効果を見込むことができるクラスタップのタップ構造(以下、平均構造ともいう)と、そのようなタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数(以下、平均タップ係数ともいう)とを用意しておくことができる。
時間方向の相関が低いシーンが続く復号途中画像のシーケンスについては、平均構造のクラスタップを用いたクラス分類と、平均タップ係数を用いたフィルタ処理を適用することで、クラスごとのタップ係数等の伝送が頻繁に行われることによる圧縮効率の悪化を抑制することができる。
以上のように、フィルタ後画像のS/Nを大きく改善し、また、圧縮効率の悪化を抑制するため、図10のクラス分類適応フィルタ111では、学習装置131が、クラスタップのタップ構造として、複数のタップ構造を採用し、複数のタップ構造それぞれについて、タップ係数学習を行って、クラスごとのタップ係数を求める。
さらに、学習装置131は、複数のタップ構造それぞれについて、そのタップ構造のクラスタップをクラス分類に用いる適切さを表すタップ構造評価値を求め、複数のタップ構造の中で、タップ構造評価値が最良のタップ構造を、最適タップ構造に選択する。
そして、学習装置131は、最適タップ構造を表すタップ構造情報と、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数(最適タップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数)とを、フィルタ情報生成部132に供給する。
ここで、複数のタップ構造それぞれのタップ構造評価値としては、例えば、そのタップ構造についてのクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理(ここでは、例えば、クラス分類適応処理)を、生徒データとしての復号途中結果画像を対象として行うことにより得られる、教師データとしての元画像に相当する相当画像のS/N等を採用することができる。
また、複数のタップ構造それぞれのタップ構造評価値としては、例えば、そのタップ構造についてのクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を採用して、教師データとしての元画像の符号化を行った場合のRDコスト等を採用することができる。
フィルタ情報生成部132は、学習装置131からのクラスごとのタップ係数及びタップ構造情報を必要に応じて含むフィルタ情報を生成する。
フィルタ情報には、クラスごとのタップ係数及びタップ構造情報に代えて、又は、クラスごとのタップ係数及びタップ構造情報とともに、クラスタップのタップ構造及びクラスごとのタップ係数として、直前のタップ構造及びタップ係数の更新時と同一のタップ構造及びクラスごとのタップ係数を用いるかどうかを表すコピー情報としてのフラグ等を含ませることができる。
フィルタ情報に、クラスごとのタップ係数及びタップ構造情報を含ませずに、コピー情報を含ませることにより、クラスごとのタップ係数及びタップ構造情報を含ませる場合に比較して、フィルタ情報のデータ量を大きく低減し、圧縮効率を向上させることができる。
フィルタ情報生成部132において、クラスタップのタップ構造及びクラスごとのタップ係数として、直前のタップ構造及びタップ係数の更新時と同一のタップ構造及びクラスごとのタップ係数を用いることを表すコピー情報は、例えば、学習装置131から供給された最新のタップ構造情報が、学習装置131から供給された前回のタップ構造情報と一致している場合や、今回のタップ係数学習に用いられた元画像のシーケンスと、前回のタップ係数学習に用いられた元画像のシーケンスとの時間方向の相関が高い場合等に、フィルタ情報に含ませることができる。
クラスタップのタップ構造(及びタップ係数)の更新を行うタップ構造更新単位としては、例えば、複数のフレーム(ピクチャ)、1フレーム、CUその他のブロック等の、任意のピクチャシーケンスを採用し、そのタップ構造更新単位を最小単位とするタイミングで、クラスタップのタップ構造を更新することができる。
例えば、本技術を、HEVC(又はHEVCに準ずる符号化方式)に適用する場合、タップ構造更新単位として、複数のフレームを採用するときには、フィルタ情報は、例えば、Sequence parameter set syntaxとして、符号化データに含ませることができる。
また、タップ構造更新単位として、1フレームを採用するときには、フィルタ情報は、例えば、Picture parameter set syntaxとして、符号化データに含ませることができる。
さらに、タップ構造更新単位として、CU等のブロックを採用する場合には、フィルタ情報は、例えば、Slice data syntaxとして、符号化データに含ませることができる。
また、フィルタ情報は、Sequence parameter set syntax,Picture parameter set syntax、及び、Slice data syntaxの任意の複数階層に含ませることができる。
この場合、あるブロックに対しては、複数階層に含まれるフィルタ情報の中で、より粒度の細かい階層のフィルタ情報を優先して適用することができる。例えば、あるブロックに対するSequence parameter set syntax、及び、Slice data syntaxの両方に、フィルタ情報が含まれるときには、そのブロックに対しては、Slice data syntaxに含まれるフィルタ情報を優先的に適用することができる。
クラスタップのタップ構造は、例えば、クラスタップとなる画素それぞれの、注目画素に対する位置関係(空間的な位置関係と、時間的な位置関係との両方を含む)で表すことができる。
したがって、クラスタップとなる画素の数が異なる場合や、クラスタップとなる画素が形作る形状(以下、クラスタップ形状ともいう)が異なる場合、タップ構造は、異なる。
さらに、クラスタップとなる画素の数が同一で、クラスタップ形状が同一(合同)であっても、注目画素に対するクラスタップ形状の位置が異なる場合、タップ構造は、異なる。注目画素に対するクラスタップ形状の位置が異なるクラスタップとは、例えば、クラスタップ形状が注目画素の位置を中心とするクラスタップと、クラスタップ形状が注目画素からずれた位置を中心とするクラスタップとを意味する。
また、クラスタップとなる画素の数が同一であっても、クラスタップとなる画素の疎密が異なり、そのため、クラスタップ形状が相似になっている場合、タップ構造は、異なる。クラスタップ形状が相似である場合、クラスタップとなる画素すべての、注目画素に対する位置関係が一致しないからである。
クラスタップのタップ構造を表すタップ構造情報としては、そのタップ構造のクラスタップとなる画素それぞれの、注目画素に対する位置情報を採用することができる。
タップ構造情報として、クラスタップとなる画素の位置情報を採用する場合には、タップ構造情報のデータ量は大になるが、クラスタップのタップ構造を柔軟に制御することができる。
また、タップ構造情報としては、例えば、複数のタップ構造それぞれに割り当てられたユニークなID(Identification)を採用することができる。この場合、複数のタップ構造をあらかじめ決定し、その複数のタップ構造それぞれに対して、IDを割り当てるとともに、各タップ構造と、そのタップ構造に割り当てられたIDとを、事前知識として、符号化装置11及び復号装置12で共有することが前提となる。
タップ構造情報として、タップ構造に割り当てられたユニークなIDを採用する場合には、クラスタップのタップ構造の柔軟性は低下するが、タップ構造情報のデータ量を小にすることができる。
さらに、タップ構造情報としては、例えば、複数のクラスタップ形状それぞれに割り当てられたユニークなID(以下、形状IDともいう)、クラスタップとなる画素の数、及び、クラスタップ形状の中心等の所定の点の、注目画素に対する位置情報のセットを採用することができる。この場合、複数のクラスタップ形状をあらかじめ決定し、その複数のクラスタップ形状それぞれに対して、形状IDを割り当てるとともに、各クラスタップ形状と、そのクラスタップ形状に割り当てられた形状IDとを、事前知識として、符号化装置11及び復号装置12で共有することが前提となる。
タップ構造情報として、形状ID、クラスタップとなる画素の数、及び、クラスタップ形状の中心等の所定の点の位置情報のセットを採用する場合には、クラスタップのタップ構造の柔軟性をある程度確保するとともに、タップ構造情報のデータ量をある程度小にすることができる。
<学習装置131の構成例>
図11は、図10の学習装置131の構成例を示すブロック図である。
図11において、学習装置131は、タップ構造選択部151、学習部152、記憶部153、評価値算出部154、及び、選択部155を有する。
タップ構造選択部151は、例えば、あらかじめ決められた複数のタップ構造の候補(の情報)を記憶しており、その複数のタップ構造の候補を、順次、注目タップ構造として選択する。そして、タップ構造選択部151は、注目タップ構造を表すタップ構造情報を、学習部152(のタップ選択部162)、及び、記憶部153に供給する。
学習部152は、タップ選択部161及び162、クラス分類部163、足し込み部164、並びに、係数算出部165を有する。
タップ選択部161ないし係数算出部165は、図4の学習部33を構成するタップ選択部41ないし係数算出部45とそれぞれ同様の処理を行う。
学習部152には、生徒データとしての復号途中画像、教師データとしての元画像、及び、符号化情報が供給される。そして、学習部152では、生徒データとしての復号途中画像、及び、教師データとしての元画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、図4の学習部33と同様のタップ係数学習が行われ、クラスごとのタップ係数が求められる。
但し、学習部152において、タップ選択部162には、タップ構造選択部151から、タップ構造情報が供給される。
タップ選択部162は、図4のタップ選択部42と同様に、注目画素について、復号途中画像の画素から、クラスタップとなる画素を選択することにより、その画素によってクラスタップを構成するが、その際、タップ構造選択部151からのタップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成する。
そして、クラス分類部163は、タップ選択部162で構成されたクラスタップを用いて、注目画素のクラス分類を行う。
なお、クラス分類部163では、注目画素のクラス分類を、注目画素のクラスタップを用いるとともに、注目画素の符号化情報を用いて行うことができる。
クラス分類に用いる注目画素の符号化情報としては、例えば、注目画素を含むCUやPU等のブロック内における注目画素の位置を表すブロック位相や、注目画素を含むピクチャのピクチャタイプ、注目画素を含むPUの量子化パラメータQP等を採用することができる。
クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、ブロック位相を採用する場合には、例えば、注目画素がブロックの境界の画素であるか否かによって、注目画素をクラス分類することができる。
また、クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、ピクチャタイプを採用する場合には、例えば、注目画素を含むピクチャが、Iピクチャ、Pピクチャ、及び、Bピクチャのうちのいずれであるかによって、注目画素をクラス分類することができる。
さらに、クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、量子化パラメータQPを採用する場合には、例えば、量子化の粗さ(細かさ)によって、注目画素をクラス分類することができる。
注目画素のクラスタップ、及び、符号化情報を用いたクラス分類では、注目画素を、クラスタップを用いて、第1のサブクラスに分類するとともに、符号化情報を用いて、第2のサブクラスに分類し、その第1のサブクラスと第2のサブクラスとから、注目画素の(最終的な)クラスを求めることができる。例えば、第1のサブクラスを表すビット列と、第2のサブクラスを表すビット列とを、1つのビット列に並べた値を、注目画素のクラス(を表すクラスコード)として求めることができる。
学習部152では、タップ構造選択部151に記憶された複数のタップ構造(の候補)それぞれについて、タップ係数学習が行われ、クラスごとのタップ係数が求められる。
そして、学習部152が、複数のタップ構造それぞれについて、タップ係数学習を行うことにより得られるクラスごとのタップ係数は、記憶部153に供給される。
記憶部153は、タップ構造選択部151から供給される、注目タップ構造を表すタップ構造情報と、学習部152から供給される注目タップ構造についてのクラスごとのタップ係数とを対応付けて記憶する。
評価値算出部154は、タップ構造選択部151に記憶された複数のタップ構造(の候補)それぞれについて、そのタップ構造のクラスタップをクラス分類に用いる適切さを表すタップ構造評価値を求め、選択部155に供給する。
評価値算出部154には、学習部152に供給されるのと同様の生徒データとしての復号途中画像、教師データとしての元画像、及び、符号化情報が供給される。
評価値算出部154は、画像変換部171及び算出部172を有する。
画像変換部171は、評価値算出部154に供給される復号途中画像を第1の画像として、クラス分類適応処理を行うことにより、第1の画像としての復号途中画像を、第2の画像としての元画像に相当する相当画像に変換し、算出部172に供給する。
すなわち、画像変換部171は、記憶部153に記憶された複数のタップ構造情報(タップ構造選択部151に記憶されている複数のタップ構造それぞれについてのタップ構造情報)それぞれについて、そのタップ構造情報と、そのタップ構造情報に対応付けられているクラスごとのタップ係数とを用いて、クラス分類適応処理を行う。
具体的には、画像変換部171は、記憶部153に記憶されている複数のタップ構造情報それぞれについて、そのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成し、そのタップ構造情報に対応付けられているクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理(ここでは、例えば、式(1)の予測演算)を施すクラス分類適応処理を行う。
そして、画像変換部171は、複数のタップ構造情報それぞれについて得られる相当画像を、算出部172に供給する。
算出部172は、画像変換部171からの、複数のタップ構造情報それぞれについて得られた相当画像と、教師データとしての元画像とを用いて、例えば、相当画像のS/Nに対応する値を、タップ構造評価値として求め、選択部155に供給する。
選択部155は、記憶部153に記憶されたタップ構造情報の中から、評価値算出部154(の算出部172)から供給されるタップ構造評価値が最良のタップ構造情報を、最適タップ構造を表すタップ構造情報として選択する。さらに、選択部155は、記憶部153に記憶されたクラスごとのタップ係数の中から、最適タップ構造を表すタップ構造情報に対応付けられたクラスごとのタップ係数(以下、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数ともいう)を選択する。
そして、選択部155は、最適タップ構造を表すタップ構造情報と、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数とを、フィルタ情報生成部132(図10)に供給する。
なお、学習装置131において、最適タップ構造を表すタップ構造情報と、その最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数とを求める処理は、例えば、図10で説明したタップ構造更新単位と同様の単位(タイミング)で行うことができる。
<複数のタップ構造の例>
図12は、クラスタップのタップ構造としてのクラスタップ形状の例を示す図である。
クラスタップとなる画素が形作るクラスタップ形状としては、例えば、図12に示すような、クロス型や、X型、水平1ライン型、垂直1ライン型、斜め1ライン型、菱形、正方形、縦長の長方形、横長の長方形等がある。
本件発明者が行ったシミュレーションによれば、水平方向に1ライン状に並ぶ画素と垂直方向に1ライン状に並ぶ画素とがクロスしたクロス型のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理では、そのクラス分類適応処理により得られる第2の画像において、水平方向のエッジや、垂直方向のエッジが、精度良く再現されることが確認された。
さらに、シミュレーションによれば、右斜め上方向に1ライン状に並ぶ画素と左斜め上方向に1ライン状に並ぶ画素とがクロスしたX型のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理では、斜め方向に多数のエッジを有する画像について、クラス分類適応処理により得られる第2の画像のPSNR(Peak signal-to-noise ratio)が、クロス型のタップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理よりも改善することが確認された。
したがって、画像の特徴(ここでは、エッジの方向)に応じて、クラスタップのタップ構造を変えることにより、クラス分類適応処理により得られる第2の画像のPSNRが改善されることが確認された。
図12のクラスタップ形状は、1フレームの画素によって形作られるが、クラスタップは、1フレームの画素から構成する他、複数フレームの画素から構成することができる。
図13は、複数フレームの画素から構成されるクラスタップのタップ構造の例を示す図である。
図13では、注目画素の空間方向にある画素の他、注目画素の時間方向にある画素をも用いて、クラスタップが構成されている。すなわち、図13では、注目画素のフレームtの画素の他、フレームtの1フレーム前のフレームt-1の画素と、1フレーム後のフレームt+1の画素とを用いて、クラスタップが構成されている。
例えば、フレームt-1及びt+1については、注目画素の位置と同一位置の画素と、その画素の周辺の画素とを、クラスタップとなる画素として選択することができる。
また、例えば、フレームt-1及びt+1については、注目画素の位置から、動きベクトルだけ移動した、注目画素と同一被写体が映る画素と、その画素の周辺の画素とを、クラスタップとなる画素として選択することができる。
以上のように、注目画素の空間方向にある画素の他、注目画素の時間方向にある画素をも用いて、クラスタップを構成する場合には、クラス分類適応処理によって得られる第2の画像での、動きぼけ等の動きに起因する画質の劣化を改善することができる。
なお、クラスタップを用いたクラス分類では、クラスタップを構成する画素から得られる注目画素の画像特徴量(局所的な画像特徴量)に応じて、注目画素が分類される。
画像特徴量としては、図2等で説明したADRCコードや、後述するDiffMax等を採用することができる。
但し、クラス分類に用いる画像特徴量として、ADRCコードを採用する場合には、ADRCコードは、その性質上、クラスタップを構成する画素の数に対して、指数的に、クラス数が増加する。
したがって、クラス分類に用いる画像特徴量として、ADRCコードを採用する場合には、圧縮効率の観点から、クラスタップのタップ構造としては、画素の数が少ないタップ構造を採用することが望ましい。
図13では、フレームt-1ないしt+1それぞれから、クロス型のクラスタップ形状を形作る画素が選択されることにより構成されるクラスタップCT1と、フレームt-1ないしt+1それぞれから、正方形のクラスタップ形状を形作る画素が選択されることにより構成されるクラスタップCT2とが示されている。クラスタップCT1は、19画素で構成され、クラスタップCT2は、75画素で構成されている。
クラス分類に用いる画像特徴量として、ADRCコードを採用する場合には、圧縮効率の観点から、クラスタップCT1及びCT2のうちの、画素の数が少ないタップ構造のクラスタップCT1を採用することが望ましい。
また、クラス分類に用いる画像特徴量として、DiffMax等の、クラスタップを構成する画素の数がクラス数に影響しない画像特徴量を採用する場合には、画素の数が少ないタップ構造のクラスタップCT1を採用しても、画素の数が多いタップ構造のクラスタップCT2を採用しても、クラス数の変化に起因する圧縮効率の変化は生じない。
一方、注目画素の画像特徴量は、クラスタップを構成する画素の数が多い方が、的確に求められることが多い。したがって、クラス分類に用いる画像特徴量として、DiffMax等の、クラスタップを構成する画素の数がクラス数に影響しない画像特徴量を採用する場合には、画素の数が多いタップ構造のクラスタップCT2を採用することにより、注目画素の画像特徴量を的確に求めることができる。
ここで、図13に示したように、注目画素の時間方向にある画素を用いて構成されるクラスタップのクラスタップ形状を、以下、時間方向型ともいう。
図14は、クラスタップのタップ構造のバリエーションの例を示す図である。
図12及び図13に示したクロス型や、X型、水平1ライン型、垂直1ライン型、斜め1ライン型、菱形、正方形、縦長の長方形、横長の長方形、時間方向型の(クラスタップ形状の)クラスタップのバリエーションとしては、例えば、図14に示すように、クラスタップを構成する画素が密になっているクラスタップや、クラスタップを構成する画素が疎になっているクラスタップがある。
画素が密になっているクラスタップとは、例えば、隣接する画素がクラスタップを構成する画素になっているクラスタップであり、画素が疎になっているクラスタップとは、例えば、1個おきや複数おきの画素がクラスタップを構成する画素になっているクラスタップである。
なお、以下では、説明を簡単にするため、クラスタップは、注目画素の空間方向に位置する画素から構成することとし、時間方向に位置する画素は、考慮しないこととする。
図15は、タップ構造選択部151(図11)に記憶させるクラスタップの複数のタップ構造(の候補)の決定方法の例を説明する図である。
クラスタップの複数のタップ構造の決定方法としては、例えば、クラスタップ形状を予測タップ形状と同じ範囲にする方法と、クラスタップ形状を予測タップ形状と同じ範囲にしない方法とがある。
ここで、予測タップ形状とは、予測タップを構成する画素が形作る形状を意味する。
クラスタップ形状を予測タップ形状と同じ範囲にする方法としては、例えば、クラスタップ形状を、予測タップ形状と一致させる(クラスタップ形状を予測タップ形状と合同の形状とする)方法と、クラスタップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲を、予測タップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲にそれぞれ一致させる方法とがある。
クラスタップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲を、予測タップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲にそれぞれ一致させる、とは、クラスタップ形状を囲む最小の長方形が、予測タップ形状を囲む最小の長方形に一致することを意味する。
クラスタップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲を、予測タップ形状の水平方向及び垂直方向の最大範囲にそれぞれ一致させる場合には、クラスタップを構成する画素は、予測タップ形状を囲む最小の長方形内に分布する。但し、クラスタップ形状は、予測タップ形状に一致するとは限らない。
クラスタップ形状を予測タップ形状と同じ範囲にしない方法としては、例えば、クラスタップ形状と予測タップ形状とについて、水平方向及び垂直方向のうちの一方の方向だけの最大範囲を一致させる方法と、クラスタップ形状と予測タップ形状とについて、水平方向及び垂直方向のうちのいずれの方向の最大範囲も一致させない方法とがある。
クラスタップ形状と予測タップ形状とについて、水平方向及び垂直方向のうちの一方の方向だけの最大範囲を一致させる場合には、クラスタップを構成する画素と、予測タップを構成する画素との水平方向又は垂直方向に分布する範囲が一致するが、クラスタップ形状は、予測タップ形状に一致しない。
また、クラスタップ形状と予測タップ形状とについて、水平方向及び垂直方向のうちのいずれの方向の最大範囲も一致させない場合には、クラスタップ形状と予測タップ形状とが一致していないときは勿論、クラスタップ形状と予測タップ形状とが一致している(合同になっている)ときであっても、クラスタップを構成する画素が分布する範囲と、予測タップを構成する画素が分布する範囲とは、一致しない。但し、クラスタップを構成する画素が分布する範囲と、予測タップを構成する画素が分布する範囲とが、重複することはあり得る。
図16は、図11のクラス分類部163がクラス分類に用いるクラスタップの画像特徴量の例を示す図である。
クラス分類に用いるクラスタップの画像特徴量としては、例えば、ADRCコードや、DR、DiffMax、定常性、アクティビティ、二次微分和、最大方向差分、フィルタバンク出力等を採用することができる。
ADRCコードは、図2等で説明したようにして求めることができる。すなわち、例えば、1ビットADRCコードは、クラスタップを構成する画素の輝度等の画素値を、閾値によって2値に分割し、その2値の画素値を並べることにより求めることができる。
ADRCコードを用いたクラス分類によれば、クラスタップ(を構成する画素群)の波形パターン(エッジやテクスチャ(方向含む))を網羅的に分類し.クラス分類適応処理において、クラスタップの波形パターンごとに、画像の最適な復元効果を得ることができる。
DRは、クラスタップを構成する画素の輝度等の画素値の最大値と最小値との差分である。DRを用いたクラス分類は、クラス分類適応処理において、DRが小である場合には、平坦部のノイズ等の低減に寄与し、DRが大である場合には、エッジの復元に寄与する。
DiffMaxは、クラスタップにおいて、水平、垂直、斜め方向に隣接する画素の画素値の差分絶対値の最大値である。DiffMaxを用いたクラス分類は、クラス分類適応処理において、DiffMaxが小である場合には、グラデーションの偽輪郭の低減に寄与し、DiffMaxが大である場合には、急峻なエッジ(段差)の復元に寄与する。
なお、DiffMax及びDRの組み合わせ、すなわち、例えば、DiffMax/DRや、DiffMaxとDRとの二軸表現(DiffMax, DR)は、DiffMaxだけ又はDRだけとは異なる画像特徴量として、クラスタップにおいて、DRの振幅を何画素かけて登り切るかの指標にすることができる。
定常性は、例えば、クラスタップにおいて、方向ごとの隣接する画素の画素値の差分絶対値和の最大となる方向と最小となる方向との差分絶対値和の差分を表す値によって表すことができる。定常性を用いたクラス分類は、クラス分類適応処理において、定常性が小である場合には、テクスチャ(やノイズのような細かい模様)の復元に寄与し、定常性が大である場合には、エッジ(構造線)の復元に寄与する。
アクティビティは、例えば、クラスタップにおいて、水平と垂直方向に隣接する画素の画素値の差分絶対値和で表すことができる。アクティビティを用いたクラス分類は、クラス分類適応処理において、アクティビティが小である場合には、ステップエッジ(単純なパターン)の復元に寄与し、アクティビティが大である場合には、テクスチャ(複雑なパターン)の復元に寄与する。
二次微分和は、例えば、クラスタップにおいて、水平と垂直方向に隣接する画素の画素値の二次微分の絶対値和である。二次微分和を用いたクラス分類は、二次微分和が小である場合には、ステップエッジの復元に寄与し、二次微分和が大である場合には、テクスチャの復元に寄与する。
最大方向差分は、例えば、クラスタップにおいて、水平、垂直、斜め方向に隣接する画素の画素値の差分絶対値和が最大となる方向を表す値である。最大方向差分を用いたクラス分類は、注目画素の周辺の振幅や、勾配、構造等の方向を分類し、これにより、クラス分類適応処理において、注目画素の周辺の振幅や、勾配、構造等の方向ごとに、画像の最適な復元効果を得ることができる。
フィルタバンク出力は、方向性を持つ複数のバンドパスフィルタ(画像の振幅や、勾配、構造等の方向を表す値を出力するバンドパスフィルタ)に対して、クラスタップを構成する画素の画素値を入力して得られる値である。フィルタバンク出力を用いたクラス分類は、計算コストが大きいが、最大方向差分を用いたクラス分類に比較して、分類精度が高い。
クラスタップのADRCコードを用いたクラス分類では、例えば、ADRCコード(が表す値)を、注目画素のクラス(を表すクラスコード)として採用することができる。
クラス分類に用いるクラスタップの画像特徴量としては、以上のような、ADRCコードや、DR、DiffMax、定常性、アクティビティ、二次微分和、最大方向差分、フィルタバンク出力の他、任意の画像特徴量を採用することができる。
クラスタップのDRや、DiffMax(DiffMax/DR)、定常性、アクティビティ、二次微分和、最大方向差分、フィルタバンク出力等の画像特徴量を用いたクラス分類では、例えば、その画像特徴量そのものの値の他、画像特徴量を、1以上の閾値と比較し、画像特徴量と閾値との大小関係を表す値を、注目画素のクラスとして採用することができる。
また、クラス分類は、クラスタップの1種類の画像特徴量を用いて行う他、クラスタップの複数種類の画像特徴量を用いて行うことができる。
図17は、図11の画像変換部171の構成例を示すブロック図である。
図17において、画像変換部171は、タップ選択部181及び182、クラス分類部183、係数取得部184、並びに、予測演算部185を有する。
タップ選択部181ないし予測演算部185は、図2の画像変換装置20のタップ選択部21ないし予測演算部25とそれぞれ同様の処理を行う。
画像変換部171には、学習部152(図11)に供給されるのと同様の生徒データとしての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。画像変換部171では、生徒データとしての復号途中画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、図2の画像変換装置20と同様のクラス分類適応処理が行われ、教師データとしての元画像に相当する相当画像が求められる。
但し、画像変換部171において、タップ選択部182及び係数取得部184には、記憶部153(図11)に記憶されたタップ構造情報、及び、そのタップ構造情報に対応付けられたクラスごとのタップ係数が、それぞれ供給される。
タップ選択部182は、図2のタップ選択部22と同様に、注目画素について、復号途中画像の画素から、クラスタップとなる画素を選択することにより、その画素によってクラスタップを構成するが、その際、記憶部153からのタップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成する。
そして、クラス分類部183は、タップ選択部182で構成されたクラスタップを用いて、注目画素のクラス分類を行う。
なお、クラス分類部183は、図11のクラス分類部163と同様のクラス分類を行う。したがって、図11のクラス分類部163が、注目画素のクラス分類を、注目画素のクラスタップを用いるとともに、注目画素の符号化情報を用いて行う場合、クラス分類部183も、注目画素のクラスタップ及び符号化情報を用いて、注目画素のクラス分類を行う。
係数取得部184は、図2の係数取得部24と同様に、クラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部183からの注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部185に供給する。
但し、係数取得部184は、記憶部153(図11)からのクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、注目画素のクラスのタップ係数を取得する。
係数取得部184で記憶されるクラスごとのタップ係数は、記憶部153からタップ選択部182に供給されるタップ構造情報に対応付けられたクラスごとのタップ係数であり、そのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類で得られるクラスに対するタップ係数である。
なお、図17の画像変換部171では、予測演算部185が、タップ選択部181で構成された注目画素の予測タップと、係数取得部184で取得された注目画素のクラスのタップ係数とを用いて、予測演算を行い、注目画素に対応する元画像に対応する対応画素の画素値の予測値を求める。
予測演算部185で行われる予測演算は、注目画素の予測タップに対するフィルタ処理の一種であるということができ、したがって、フィルタ処理の対象となる予測タップを構成するタップ選択部181、フィルタ処理に用いるタップ係数を取得する係数取得部184、及び、フィルタ処理の一種としての予測演算を行う予測演算部185は、フィルタ処理を行うフィルタ処理部180を構成している、ということができる。
フィルタ処理部180において、予測演算部185がフィルタ処理としての予測演算は、係数取得部184が取得する、注目画素のクラスのタップ係数によって異なるフィルタ処理になる。したがって、フィルタ処理部180のフィルタ処理は、注目画素のクラスに対応するフィルタ処理である、ということができる。
<学習装置131の処理>
図18は、図11の学習装置131の処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS11において、タップ構造選択部151は、あらかじめ決められた複数のタップ構造の候補の中で、まだ、注目タップ構造としていないタップ構造の候補の1つを、注目タップ構造として選択する。そして、タップ構造選択部151は、注目タップ構造を表すタップ構造情報を、学習部152のタップ選択部162、及び、記憶部153に供給(出力)し、処理は、ステップS11からステップS12に進む。
ステップS12では、学習部152が、生徒データとしての復号途中画像、及び、教師データとしての元画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、タップ係数学習を行い、クラスごとのタップ係数を求める。
学習部152でのタップ係数学習では、クラス分類が、タップ構造選択部151からタップ選択部162に供給されるタップ構造情報が表す注目タップ構造のクラスタップを用いて行われ、そのようなクラス分類により得られるクラスに対するタップ係数が求められる。
学習部152は、注目タップ構造のクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスごとのタップ係数を、記憶部153に供給し、処理は、ステップS12からステップS13に進む。
ステップS13では、記憶部153は、タップ構造選択部151からの注目タップ構造を表すタップ構造情報と、学習部152からの、注目タップ構造のクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスごとのタップ係数とを対応付けて記憶し、処理は、ステップS14に進む。
ステップS14では、タップ構造選択部151は、例えば、あらかじめ決められた複数のタップ構造の候補の中で、まだ、注目タップ構造としていないタップ構造の候補があるかどうかを判定する。
ステップS14において、あらかじめ決められた複数のタップ構造の候補の中で、まだ、注目タップ構造としていないタップ構造の候補があると判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS14において、あらかじめ決められた複数のタップ構造の候補の中で、注目タップ構造としていないタップ構造の候補がないと判定された場合、すなわち、あらかじめ決められた複数のタップ構造(の候補)それぞれについて、タップ構造を表すタップ構造情報と、そのタップ構造情報が表すクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスごとのタップ係数とが対応付けられて、記憶部153に記憶された場合、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15では、評価値算出部154において、画像変換部171が、記憶部153に記憶された複数のタップ構造情報(タップ構造選択部151に記憶されている複数のタップ構造それぞれについてのタップ構造情報)それぞれについて、そのタップ構造情報と、そのタップ構造情報に対応付けられているクラスごとのタップ係数とを用い、生徒データとしての復号途中画像を対象に、クラス分類適応処理を行って、教師データとしての元画像に相当する相当画像を求める。
さらに、評価値算出部154では、算出部172が、複数のタップ構造情報それぞれについて、そのタップ構造情報に対応付けられているクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理により得られた相当画像のS/Nに対応する値等を、タップ構造評価値として求め、選択部155に供給する。
そして、処理は、ステップS15からステップS16に進み、選択部155は、記憶部153に記憶されたタップ構造情報の中から、評価値算出部154の算出部172から供給されるタップ構造評価値が最良のタップ構造情報を、最適タップ構造を表すタップ構造情報として選択する。さらに、選択部155は、記憶部153に記憶されたクラスごとのタップ係数の中から、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数(最適タップ構造を表すタップ構造情報に対応付けられたクラスごとのタップ係数)を選択する。
選択部155は、最適タップ構造を表すタップ構造情報と、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数とを、フィルタ情報生成部132に供給し、処理は終了する。
<画像変換装置133の構成例>
図19は、図10の画像変換装置133の構成例を示すブロック図である。
図19において、画像変換装置133は、タップ選択部191及び192、クラス分類部193、係数取得部194、並びに、予測演算部195を有する。
タップ選択部191ないし予測演算部195は、図17の画像変換部171のタップ選択部181ないし予測演算部185とそれぞれ同様の処理を行う。
画像変換装置133には、第1の画像としての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。画像変換装置133では、第1の画像としての復号途中画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、図17の画像変換部171と同様のクラス分類適応処理が行われ、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像が求められる。
なお、画像変換装置133において、タップ選択部192及び係数取得部194には、フィルタ情報生成部132(図10)からフィルタ情報が供給される。
タップ選択部192は、図17のタップ選択部182と同様に、注目画素について、復号途中画像の画素から、クラスタップとなる画素を選択することにより、その画素によってクラスタップを構成する。
すなわち、タップ選択部192は、フィルタ情報生成部132からのフィルタ情報に含まれるタップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップを構成する。
そして、クラス分類部193は、タップ選択部192で構成されたクラスタップを用い、注目画素について、図17のクラス分類部183と同様のクラス分類を行う。
したがって、図17のクラス分類部183が、注目画素のクラス分類を、注目画素のクラスタップ及び符号化情報を用いて行う場合には、クラス分類部193も、注目画素のクラス分類を、注目画素のクラスタップ及び符号化情報を用いて行う。
係数取得部194は、図17の係数取得部184と同様に、クラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部193からの注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部195に供給する。
すなわち、係数取得部194は、フィルタ情報生成部132(図10)からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、注目画素のクラスのタップ係数を取得する。
フィルタ情報生成部132からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数は、学習装置131(図11)で求められる、最適タップ構造のクラスタップを用いたクラス分類で得られるクラスごとのタップ係数である。
ここで、図19の画像変換装置133において、タップ選択部191、係数取得部194、及び、予測演算部195は、図17のタップ選択部181、係数取得部184、及び、予測演算部185と同様に、注目画素のクラスに対応するフィルタ処理を行うフィルタ処理部190を構成している、ということができる。
なお、フィルタ情報生成部132から画像変換装置133に供給されるフィルタ情報には、図10で説明したように、クラスタップのタップ構造及びクラスごとのタップ係数として、直前のタップ構造及びタップ係数の更新時と同一のタップ構造及びクラスごとのタップ係数を用いるかどうかを表すコピー情報を含ませることができる。
いま、クラスタップのタップ構造及びクラスごとのタップ係数として、直前のタップ構造及びタップ係数の更新時と同一のタップ構造及びクラスごとのタップ係数を用いることを、コピーモードということとする。
フィルタ情報生成部132から画像変換装置133に供給された最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表していない場合、タップ選択部192は、フィルタ情報生成部132から画像変換装置133に供給された前回のフィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表すタップ構造に代えて、最新のフィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表すタップ構造を、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部194は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数に上書きする形で、最新のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶する。
一方、(最新のフィルタ情報が、タップ構造情報及びクラスごとのタップ係数を含まず、)最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合、タップ選択部192は、前回のフィルタ情報に含まれるタップ構造を、そのまま、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部194は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数の記憶を、そのまま維持する。
したがって、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合には、直前のクラスタップのタップ構造、及び、クラスごとのタップ係数が維持される。
<符号化処理>
図20は、図9の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
なお、図20に示す符号化処理の各ステップの順番は、説明の便宜上の順番であり、実際の符号化処理の各ステップは、適宜、並列的に、必要な順番で行われる。後述する符号化処理についても、同様である。
符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ111の学習装置131(図10)は、そこに供給される復号途中画像のうちの、例えば、複数のフレーム、1フレーム、ブロック等のタップ構造更新単位の復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、随時、タップ係数学習を行っている。そして、学習装置131は、ステップS31において、クラスタップのタップ構造の更新タイミング(クラスタップのタップ構造を更新する所定のタイミング)であるかどうか、すなわち、例えば、複数のフレーム、1フレーム、ブロック等のタップ構造更新単位の終点又は始点のタイミングであるかどうかを判定する。
ステップS31において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングでないと判定された場合、処理は、ステップS32ないしS34をスキップして、ステップS35に進む。
また、ステップS31において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS32に進む。
ステップS32では、フィルタ情報生成部132(図10)は、学習装置131が最新のタップ係数学習により生成するタップ構造情報及びクラスごとのタップ係数(又はコピー情報)、すなわち、最適タップ構造を表すタップ構造情報、及び、最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数を含むフィルタ情報を生成し、画像変換装置133(図10)及び可逆符号化部106(図9)に供給して、処理は、ステップS33に進む。
なお、符号化装置11では、元画像の時間方向の相関を検出し、その相関が低い場合(閾値以下の場合)にのみ、更新タイミングで、フィルタ情報を生成し、後述するステップS33及びS34の処理を行うことができる。
ステップS33では、画像変換装置133は、フィルタ情報生成部132からのフィルタ情報に従って、タップ選択部192(図19)で構成されるクラスタップのタップ構造、及び、係数取得部194(図19)に記憶されるクラスごとのタップ係数を更新し、処理は、ステップS34に進む。
ステップS34では、可逆符号化部106は、フィルタ情報生成部132から供給されるフィルタ情報を、伝送対象に設定して、処理は、ステップS35に進む。伝送対象に設定されたフィルタ情報は、後述するステップS48において符号化データに含められて伝送される。
ステップS35以降では、元画像の予測符号化処理が行われる。
すなわち、ステップS35において、A/D変換部101は、元画像をA/D変換し、並べ替えバッファ102に供給して、処理は、ステップS36に進む。
ステップS36において、並べ替えバッファ102は、A/D変換部101からの元画像を記憶し、符号化順に並べ替えて出力し、処理は、ステップS37に進む。
ステップS37では、イントラ予測部114は、イントラ予測モードのイントラ予測処理を行い、処理は、ステップS38に進む。ステップS38において、動き予測補償部115は、インター予測モードでの動き予測や動き補償を行うインター動き予測処理を行い、処理は、ステップS39に進む。
イントラ予測部114のイントラ予測処理、及び、動き予測補償部115のインター動き予測処理では、各種の予測モードのコスト関数が演算されるとともに、予測画像が生成される。
ステップS39では、予測画像選択部116は、イントラ予測部114及び動き予測補償部115で得られる各コスト関数に基づいて、最適な予測モードを決定する。そして、予測画像選択部116は、イントラ予測部114により生成された予測画像と、動き予測補償部115により生成された予測画像のうちの最適な予測モードの予測画像を選択して出力し、処理は、ステップS39からステップS40に進む。
ステップS40では、演算部103は、並べ替えバッファ102が出力する元画像である符号化対象の対象画像と、予測画像選択部116が出力する予測画像との残差を演算し、直交変換部104に供給して、処理は、ステップS41に進む。
ステップS41では、直交変換部104は、演算部103からの残差を直交変換し、その結果得られる変換係数を、量子化部105に供給して、処理は、ステップS42に進む。
ステップS42では、量子化部105は、直交変換部104からの変換係数を量子化し、その量子化により得られる量子化係数を、可逆符号化部106及び逆量子化部108に供給して、処理は、ステップS43に進む。
ステップS43では、逆量子化部108は、量子化部105からの量子化係数を逆量子化し、その結果得られる変換係数を、逆直交変換部109に供給して、処理は、ステップS44に進む。ステップS44では、逆直交変換部109は、逆量子化部108からの変換係数を逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部110に供給して、処理は、ステップS45に進む。
ステップS45では、演算部110は、逆直交変換部109からの残差と、予測画像選択部116が出力する予測画像とを加算し、演算部103での残差の演算の対象となった元画像に対応する復号途中画像を生成する。演算部110は、復号途中画像を、クラス分類適応フィルタ111又はフレームメモリ112に供給し、処理は、ステップS45からステップS46に進む。
演算部110からクラス分類適応フィルタ111に、復号途中画像が供給される場合、ステップS46において、クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理(クラス分類適応フィルタ処理)を施す。復号途中画像に、クラス分類適応処理が施されることにより、復号途中画像を一般のILFでフィルタリングする場合よりも元画像に近いフィルタ後画像が求められる。
クラス分類適応フィルタ111は、クラス分類適応処理により得られるフィルタ後画像を、フレームメモリ112に供給して、処理は、ステップS46からステップS47に進む。
ステップS47では、フレームメモリ112は、演算部110から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ111から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として記憶し、処理は、ステップS48に進む。フレームメモリ112に記憶された復号画像は、ステップS38やS39で、予測画像を生成する元となる参照画像として使用される。
ステップS48では、可逆符号化部106は、量子化部105からの量子化係数を符号化する。さらに、可逆符号化部106は、量子化部105での量子化に用いられた量子化パラメータQPや、イントラ予測部114でのイントラ予測処理で得られた予測モード、動き予測補償部115でのインター動き予測処理で得られた予測モードや動き情報等の符号化情報を必要に応じて符号化し、符号化データに含める。
また、可逆符号化部106は、ステップS34で伝送対象に設定されたフィルタ情報を符号化し、符号化データに含める。そして、可逆符号化部106は、符号化データを、蓄積バッファ107に供給し、処理は、ステップS48からステップS49に進む。
ステップS49において、蓄積バッファ107は、可逆符号化部106からの符号化データを蓄積し、処理は、ステップS50に進む。蓄積バッファ107に蓄積された符号化データは、適宜読み出されて伝送される。
ステップS50では、レート制御部117は、蓄積バッファ107に蓄積されている符号化データの符号量(発生符号量)に基づいて、オーバーフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部105の量子化動作のレートを制御し、符号化処理は終了する。
図21は、図20のステップS46で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ111の画像変換装置133(図19)では、ステップS61において、タップ選択部191が、演算部110から供給される復号途中画像(としてのブロック)の画素のうちの、まだ、注目画素とされていない画素の1つを、注目画素として選択し、処理は、ステップS62に進む。
ステップS62において、タップ選択部191が、演算部110から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップとする画素を選択し、予測タップを構成する。そして、タップ選択部191は、予測タップを、予測演算部195に供給して、処理は、ステップS63に進む。
ステップS63では、タップ選択部192が、フィルタ情報生成部132(図10)からのフィルタ情報に含まれるタップ構造情報に従い、演算部110から供給される復号途中画像から、注目画素についてのクラスタップとする画素を選択し、これにより、フィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップを構成する。そして、タップ選択部192は、クラスタップを、クラス分類部193に供給する。
すなわち、タップ選択部192が構成するクラスタップのタップ構造は、直前に行われた図20のステップS33のクラスタップのタップ構造の更新により更新されており、タップ選択部192は、更新後のタップ構造のクラスタップを構成して、クラス分類部193に供給する。
その後、処理は、ステップS63からステップS64に進み、クラス分類部193は、注目画素についてのクラスタップを用いるとともに、注目画素についての符号化情報を必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行う。そして、クラス分類部193は、クラス分類により得られる注目画素のクラスを、係数取得部194に供給して、処理は、ステップS64からステップS65に進む。
係数取得部194は、フィルタ情報生成部132から供給されるフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数、すなわち、タップ選択部192で構成されたクラスタップの最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数を、直前に行われた図20のステップS33のタップ係数の更新によって記憶している。ステップS65では、係数取得部914は、記憶している最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部193から供給される注目画素のクラスのタップ係数を取得し、予測演算部195に供給して、処理は、ステップS66に進む。
ステップS66では、予測演算部195は、タップ選択部191からの予測タップと、係数取得部194からのタップ係数とを用いて、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を行う。これにより、予測演算部195は、注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、フィルタ後画像の画素値として求め、処理は、ステップS67に進む。
ステップS67では、タップ選択部191が、演算部110からの復号途中画像(としてのブロック)の画素の中に、まだ、注目画素としていない画素があるかどうかを判定する。ステップS67において、まだ、注目画素としていない画素があると判定された場合、処理は、ステップS61に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS67において、まだ、注目画素とされていない画素がないと判定された場合、処理は、ステップS68に進み、予測演算部195は、演算部110からの復号途中画像(としてのブロック)に対して得られた画素値で構成されるフィルタ後画像を、フレームメモリ112(図9)に供給する。そして、クラス分類適応処理は終了され、処理はリターンする。
<復号装置12の第1の構成例>
図22は、図1の復号装置12の第1の構成例を示すブロック図である。
図22において、復号装置12は、蓄積バッファ201、可逆復号部202、逆量子化部203、逆直交変換部204、演算部205、クラス分類適応フィルタ206、並べ替えバッファ207、及び、D/A変換部208を有する。また、復号装置12は、フレームメモリ210、選択部211、イントラ予測部212、動き予測補償部213、及び、選択部214を有する。
蓄積バッファ201は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データを一時蓄積し、所定のタイミングにおいて、その符号化データを、可逆復号部202に供給する。
可逆復号部202は、蓄積バッファ201からの符号化データを取得する。したがって、可逆復号部202は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データ、ひいては、符号化データに含まれる符号化情報やフィルタ情報を受け取る受け取り部として機能する。
可逆復号部202は、蓄積バッファ201から取得した符号化データを、図9の可逆符号化部106の符号化方式に対応する方式で復号する。
そして、可逆復号部202は、符号化データの復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給する。
また、可逆復号部202は、符号化データの復号により、符号化情報やフィルタ情報が得られた場合には、必要な符号化情報を、イントラ予測部212や動き予測補償部213その他の必要なブロックに供給する。
さらに、可逆復号部202は、符号化情報及びフィルタ情報を、クラス分類適応フィルタ206に供給する。
逆量子化部203は、可逆復号部202からの量子化係数を、図9の量子化部105の量子化方式に対応する方式で逆量子化し、その逆量子化により得られる変換係数を、逆直交変換部204に供給する。
逆直交変換部204は、逆量子化部203から供給される変換係数を、図9の直交変換部104の直交変換方式に対応する方式で逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部205に供給する。
演算部205には、逆直交変換部204から残差が供給される他、選択部214を介して、イントラ予測部212又は動き予測補償部213から予測画像が供給される。
演算部205は、逆直交変換部204からの残差と、選択部214からの予測画像とを加算し、復号途中画像を生成して、クラス分類適応フィルタ206、又は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給する。例えば、復号途中画像のうちの、イントラ予測に用いる参照画像となる復号途中画像は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給され、他の復号途中画像は、クラス分類適応フィルタ206に供給される。
クラス分類適応フィルタ206は、クラス分類適応フィルタ111と同様に、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF(の)処理を行う。
すなわち、クラス分類適応フィルタ206は、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理(による画像変換)を、可逆復号部202からの符号化情報を必要に応じて用いて行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)出力する。
なお、クラス分類適応フィルタ206は、クラス分類適応処理において、クラス分類に用いるクラスタップとして、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップを用いる。
クラス分類適応フィルタ206が出力するフィルタ後画像は、クラス分類適応フィルタ111が出力するフィルタ後画像と同様の画像であり、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給される。
並べ替えバッファ207は、演算部205から供給される復号途中画像や、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶し、復号画像のフレーム(ピクチャ)の並びを、符号化(復号)順から表示順に並べ替え、D/A変換部208に供給する。
D/A変換部208は、並べ替えバッファ207から供給される復号画像をD/A変換し、図示せぬディスプレイに出力して表示させる。
フレームメモリ210は、演算部205から供給される復号途中画像や、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶する。さらに、フレームメモリ210は、所定のタイミングにおいて、又は、イントラ予測部212や動き予測補償部213等の外部の要求に基づいて、復号画像を、予測画像の生成に用いる参照画像として、選択部211に供給する。
選択部211は、フレームメモリ210から供給される参照画像の供給先を選択する。選択部211は、イントラ符号化された画像を復号する場合、フレームメモリ210から供給される参照画像をイントラ予測部212に供給する。また、選択部211は、インター符号化された画像を復号する場合、フレームメモリ210から供給される参照画像を動き予測補償部213に供給する。
イントラ予測部212は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる予測モードに従い、図9のイントラ予測部114において用いられたイントラ予測モードで、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像を用いてイントラ予測を行う。そして、イントラ予測部212は、イントラ予測により得られる予測画像を、選択部214に供給する。
動き予測補償部213は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる予測モードに従い、図9の動き予測補償部115において用いられたインター予測モードで、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像を用いてインター予測を行う。インター予測は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる動き情報等を必要に応じて用いて行われる。
動き予測補償部213は、インター予測により得られる予測画像を、選択部214に供給する。
選択部214は、イントラ予測部212から供給される予測画像、又は、動き予測補償部213から供給される予測画像を選択し、演算部205に供給する。
<クラス分類適応フィルタ206の構成例>
図23は、図22のクラス分類適応フィルタ206の構成例を示すブロック図である。
図23において、クラス分類適応フィルタ206は、画像変換装置231を有する。
画像変換装置231には、演算部205(図22)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報、及び、符号化情報が供給される。
画像変換装置231は、図10の画像変換装置133と同様に、復号途中画像を第1の画像として、フィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップを用いたクラス分類を行い、フィルタ情報に含まれる最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理としての予測演算を行うクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図22)に供給する。
なお、画像変換装置231は、クラス分類適応処理において、図10の画像変換装置133と同様に、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
<画像変換装置231の構成例>
図24は、図23の画像変換装置231の構成例を示すブロック図である。
図24において、画像変換装置231は、タップ選択部241及び242、クラス分類部243、係数取得部244、並びに、予測演算部245を有する。
タップ選択部241ないし予測演算部245は、画像変換装置133(図19)を構成するタップ選択部191ないし予測演算部195とそれぞれ同様に構成される。
すなわち、タップ選択部241及び242には、演算部205(図22)から復号途中画像が供給される。
タップ選択部241は、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、復号途中画像の画素を、順次、注目画素に選択する。
さらに、タップ選択部241は、注目画素について、復号途中画像から、図19のタップ選択部191で選択される予測タップと同一構造の予測タップを選択し、予測演算部245に供給する。
タップ選択部242には、演算部205(図22)から復号途中画像が供給される他、可逆復号部202からフィルタ情報が供給される。
タップ選択部242は、注目画素について、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれるタップ構造情報に従い、復号途中画像の画素から、クラスタップとなる画素を選択することにより、フィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップ、すなわち、図19のタップ選択部192で構成されるクラスタップと同一構造のクラスタップを選択し、クラス分類部243に供給する。
クラス分類部243には、タップ選択部242からクラスタップが供給される他、可逆復号部202(図22)から、符号化情報が供給される。
クラス分類部243は、タップ選択部242からのクラスタップを用いるとともに、可逆復号部202からの符号化情報を必要に応じて用いて、図19のクラス分類部193と同一のクラス分類を行い、注目画素のクラス(を表すクラスコード)を、係数取得部244に供給する。
係数取得部244には、クラス分類部243から注目画素のクラスが供給される他、可逆復号部202からフィルタ情報が供給される。
係数取得部244は、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれる最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部243からの注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部245に供給する。
予測演算部245は、タップ選択部241からの予測タップと、係数取得部244からのタップ係数とを用いて、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を行い、復号途中画像の注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、第2の画像としてのフィルタ後画像の画素の画素値として求めて出力する。
ここで、図24の画像変換装置231において、タップ選択部241、係数取得部244、及び、予測演算部245は、図19の画像変換装置133のタップ選択部191、係数取得部194、及び、予測演算部195と同様に、注目画素のクラスに対応するフィルタ処理を行うフィルタ処理部240を構成している、ということができる。
なお、可逆復号部202から画像変換装置231に供給されるフィルタ情報には、図10で説明したように、クラスタップのタップ構造及びクラスごとのタップ係数として、直前のタップ構造及びタップ係数の更新時と同一のタップ構造及びクラスごとのタップ係数を用いるかどうかを表すコピー情報を含ませることができる。
可逆復号部202から画像変換装置231に供給された最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表していない場合、タップ選択部242は、可逆復号部202から画像変換装置231に供給された前回のフィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造に代えて、最新のフィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造を、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部244は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数に上書きする形で、最新のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶する。
一方、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合、タップ選択部242は、前回のフィルタ情報に含まれる最適タップ構造を、そのまま、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部244は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数の記憶を、そのまま維持する。
したがって、画像変換装置231でも、画像変換装置133(図10)(図19)と同様に、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合には、直前のクラスタップのタップ構造、及び、クラスごとのタップ係数が維持される。
<復号処理>
図25は、図22の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
なお、図25に示す復号処理の各ステップの順番は、説明の便宜上の順番であり、実際の復号処理の各ステップは、適宜、並列的に、必要な順番で行われる。後述する復号処理についても、同様である。
復号処理では、ステップS111において、蓄積バッファ201は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データを一時蓄積し、適宜、可逆復号部202に供給して、処理は、ステップS112に進む。
ステップS112では、可逆復号部202は、蓄積バッファ201から供給される符号化データを受け取って復号し、その復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給する。
また、可逆復号部202は、符号化データの復号により、符号化情報やフィルタ情報が得られた場合、必要な符号化情報を、イントラ予測部212や動き予測補償部213その他の必要なブロックに供給する。
さらに、可逆復号部202は、符号化情報及びフィルタ情報を、クラス分類適応フィルタ206に供給する。
その後、処理は、ステップS112からステップS113に進み、クラス分類適応フィルタ206は、可逆復号部202からフィルタ情報が供給されたかどうかを判定する。
ステップS113において、フィルタ情報が供給されていないと判定された場合、処理は、ステップS114をスキップして、ステップS115に進む。
また、ステップS113において、フィルタ情報が供給されたと判定された場合、処理は、ステップS114に進み、クラス分類適応フィルタ206の画像変換装置231(図24)は、可逆復号部202からのフィルタ情報を取得し、処理は、ステップS115に進む。
ステップS115では、画像変換装置231は、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであるかどうか、すなわち、例えば、複数のフレーム、1フレーム、ブロック等のタップ構造更新単位の終点又は始点のタイミングであるかどうかを判定する。
ここで、タップ構造更新単位は、例えば、フィルタ情報が配置されている(含まれている)符号化データの階層(例えば、Sequence parameter set syntaxや、Picture parameter set syntax,Slice data syntax等)から認識することができる。
例えば、フィルタ情報が、符号化データのPicture parameter set syntaxとして配置されている場合には、タップ構造更新単位は、1フレームであると認識される。
ステップS115において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングでないと判定された場合、処理は、ステップS116をスキップして、ステップS117に進む。
また、ステップS115において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS116に進む。
ステップS116では、画像変換装置231は、直前のステップS114で取得したフィルタ情報に従って、タップ選択部242(図24)で構成されるクラスタップのタップ構造、及び、係数取得部244(図24)に記憶されるクラスごとのタップ係数を更新し、処理は、ステップS117に進む。
ステップS117では、逆量子化部203は、可逆復号部202からの量子化係数を逆量子化し、その結果得られる変換係数を、逆直交変換部204に供給して、処理は、ステップS118に進む。
ステップS118では、逆直交変換部204は、逆量子化部203からの変換係数を逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部205に供給して、処理は、ステップS119に進む。
ステップS119では、イントラ予測部212又は動き予測補償部213が、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像、及び、可逆復号部202から供給される符号化情報を用いて、予測画像を生成する予測処理を行う。そして、イントラ予測部212又は動き予測補償部213は、予測処理により得られる予測画像を、選択部214に供給し、処理は、ステップS119からステップS120に進む。
ステップS120では、選択部214は、イントラ予測部212又は動き予測補償部213から供給される予測画像を選択し、演算部205に供給して、処理は、ステップS121に進む。
ステップS121では、演算部205は、逆直交変換部204からの残差と、選択部214からの予測画像を加算することにより、復号途中画像を生成する。そして、演算部205は、復号途中画像を、クラス分類適応フィルタ206、又は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給して、処理は、ステップS121からステップS122に進む。
演算部205からクラス分類適応フィルタ206に、復号途中画像が供給される場合、ステップS122において、クラス分類適応フィルタ206は、演算部205からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施す。復号途中画像に、クラス分類適応処理が施されることにより、符号化装置11の場合と同様に、復号途中画像をILFでフィルタリングする場合よりも元画像に近いフィルタ後画像が求められる。
クラス分類適応フィルタ206は、クラス分類適応処理により得られるフィルタ後画像を、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給して、処理は、ステップS122からステップS123に進む。
ステップS123では、並べ替えバッファ207は、演算部205から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶する。さらに、並べ替えバッファ207は、記憶した復号画像を、表示順に並べ替えて、D/A変換部208に供給し、処理は、ステップS123からステップS124に進む。
ステップS124では、D/A変換部208は、並べ替えバッファ207からの復号画像をD/A変換し、処理は、ステップS125に進む。D/A変換後の復号画像は、図示せぬディスプレイに出力されて表示される。
ステップS125では、フレームメモリ210は、演算部205から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として記憶し、復号処理は終了する。フレームメモリ210に記憶された復号画像は、ステップS119の予測処理で、予測画像を生成する元となる参照画像として使用される。
図26は、図25のステップS122で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ206の画像変換装置231(図24)では、ステップS131において、タップ選択部241が、演算部205(図22)から供給される復号途中画像(としてのブロック)の画素のうちの、まだ、注目画素とされていない画素の1つを、注目画素として選択し、処理は、ステップS132に進む。
ステップS132において、タップ選択部241が、演算部205から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップとする画素を選択し、予測タップを構成する。そして、タップ選択部241は、予測タップを、予測演算部245に供給して、処理は、ステップS132からステップS133に進む。
ステップS133では、タップ選択部242が、可逆復号部202(図22)からのフィルタ情報に含まれるタップ構造情報に従い、演算部205から供給される復号途中画像から、注目画素についてのクラスタップとする画素を選択し、これにより、フィルタ情報に含まれるタップ構造情報が表す最適タップ構造のクラスタップを構成する。そして、タップ選択部242は、クラスタップを、クラス分類部243に供給する。
すなわち、タップ選択部242が構成するクラスタップのタップ構造は、直前に行われた図25のステップS116のクラスタップのタップ構造の更新により更新されており、タップ選択部192は、更新後のタップ構造のクラスタップを構成して、クラス分類部243に供給する。
その後、処理は、ステップS133からステップS134に進み、クラス分類部243は、注目画素についてのクラスタップを用いるとともに、注目画素についての符号化情報を必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行う。そして、クラス分類部243は、クラス分類により得られる注目画素のクラスを、係数取得部244に供給して、処理は、ステップS134からステップS135に進む。
係数取得部244は、可逆復号部202から供給されるフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数、すなわち、タップ選択部242で構成されたクラスタップの最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数を、直前に行われた図25のステップS116のタップ係数の更新によって記憶している。ステップS135では、係数取得部244は、記憶している最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部243から供給される注目画素のクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給して、処理は、ステップS136に進む。
ステップS136では、予測演算部245は、タップ選択部241からの予測タップと、係数取得部244からのタップ係数とを用いて、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を行う。これにより、予測演算部245は、注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、フィルタ後画像の画素値として求め、処理は、ステップS137に進む。
ステップS137では、タップ選択部241が、演算部205からの復号途中画像(としてのブロック)の画素の中に、まだ、注目画素としていない画素があるかどうかを判定する。ステップS137において、まだ、注目画素としていない画素があると判定された場合、処理は、ステップS131に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS137において、まだ、注目画素とされていない画素がないと判定された場合、処理は、ステップS138に進み、予測演算部245は、演算部205からの復号途中画像(としてのブロック)に対して得られた画素値で構成されるフィルタ後画像を、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図22)に供給する。そして、クラス分類適応処理は終了され、処理はリターンする。
以上のように、符号化装置11及び復号装置12では、ILF処理を、クラス分類適応処理によって行うので、ILFの処理結果よりも元画像に近いフィルタ後画像を得ることができる。その結果、復号画像のS/Nを大きく改善することができる。さらに、元画像に近いフィルタ後画像を得ることができることから、残差が小さくなり、タップ係数をオーバーヘッドとして符号化データに含めても、特に、4kや8k等と呼ばれるデータ量の多い高解像度の元画像については、圧縮効率を、大きく改善することができる。
さらに、符号化装置11及び復号装置12では、タップ構造更新単位を最小単位とするタイミングで、クラスタップのタップ構造を、複数のタップ構造の中から選択されたタップ構造に更新する。したがって、クラスタップのタップ構造が、注目画素を適切なクラスに分類するように更新されることで、元画像により近いフィルタ後画像を得ることが可能となり、その結果、復号画像のS/Nを、さらに大きく改善することができる。
なお、図9の符号化装置11の第1の構成例では、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべての処理を行うこととしたが、クラス分類適応処理では、ILFのすべてではなく、DF,SAO、及び、ALFのうちの1つ又は2つの処理を行うことができる。図22の復号装置12の第1の構成例、並びに、後述する符号化装置11及び復号装置12の他の構成例でも、同様である。
<タップ係数の削減>
図27は、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数を削減する削減方法の例を説明する図である。
タップ係数は、符号化データのオーバーヘッドとなるため、フィルタ後画像が元画像に極めて近い画像となるタップ係数が得られても、タップ係数のデータ量が多いと、圧縮効率の改善の妨げとなる。
そこで、タップ係数学習により得られるタップ係数(の数)は、必要に応じて削減することができる。
例えば、図27に示すように、注目画素を中心として、注目画素と、注目画素の上下左右それぞれに隣接する2画素ずつとの、合計で、9画素で構成されるクロス型のクラスタップを構成し、1ビットADRC処理によるクラス分類を行う場合には、例えば、最上位ビット(注目画素のADRC結果)が1のADRCコードについて、各ビットの反転を行うことにより、クラス数を、512=29クラスから256=28クラスに縮退することができる。クラスの縮退後の256クラスでは、9画素のクラスタップ(の1ビットADRC処理)のADRCコードをそのままクラスコードとする場合に比較して、タップ係数のデータ量が1/2に削減される。
さらに、クラスタップを構成するクロス型の9画素のうちの、上下方向、左右方向、又は、斜め方向に線対称の位置関係にある画素のADRC結果が同一のクラスどうしを、1つのクラスにまとめるクラスの縮退を行うことにより、クラス数は、100クラスにすることができる。この場合、100クラスのタップ係数のデータ量は、256クラスのタップ係数のデータ量の約39%になる。
また、以上に加えて、クラスタップを構成するクロス型の9画素のうちの、点対称の位置関係にある画素のADRC結果が同一のクラスどうしを、1つのクラスにまとめるクラスの縮退を行うことにより、クラス数は、55クラスにすることができる。この場合、55クラスのタップ係数のデータ量は、256クラスのタップ係数のデータ量の約21%になる。
クラスの縮退は、その他、例えば、クラスを統合する統合指標を算出し、その統合指標に基づいて、複数のクラスを1つのクラスに統合することにより行うことができる。
例えば、あるクラスC1のタップ係数それぞれと、他のクラスC2のタップ係数それぞれとの差分の自乗和等を、タップ係数どうしの係数間距離として定義し、その係数間距離を、統合指標として用いて、統合指標としての係数間距離が閾値以下のクラスC1及びC2を、1つのクラスCに統合することができる。クラスの統合を行った場合には、その統合後のクラスのタップ係数としては、統合前のクラスC1のタップ係数又はクラスC2のタップ係数を採用することができる。また、統合後のクラスのタップ係数は、タップ係数学習により求め直すことができる。
さらに、例えば、RDコストを統合指標として用い、あるクラスC1と他のクラスC2とを統合する前のRDコストに対して、クラスC1とクラスC2とを統合した後のRDコストが改善する場合には、クラスC1及びC2を、1つのクラスCに統合することができる。
なお、以上のように、統合指標に基づいて、複数のクラスを1つのクラスに統合する場合には、統合後のクラスごとのタップ係数が、フィルタ情報として、符号化装置11から復号装置12に伝送されるが、さらに、統合前のクラスと統合後のクラスとの対応関係を表す情報(対応関係を、復号装置12側で認識することができる情報)を、フィルタ情報として、符号化装置11から復号装置12に伝送する必要がある。
タップ係数の削減は、以上のように、クラスの縮退によって行う他、タップ係数自体を削減することによって行うこともできる。
すなわち、例えば、予測タップ及び符号化ブロックが同一の画素で構成される場合には、ブロック位相に基づいて、タップ係数自体を削減することができる。
例えば、図27に示すように、予測タップ及び符号化ブロックが、4×4画素で構成される場合には、予測タップの左上の2×2画素と左右方向に線対称の位置関係にある右上の2×2画素、上下方向に線対称の位置関係にある左下の2×2画素、及び、点対称の位置関係にある右下の2×2画素のタップ係数として、左上の2×2画素それぞれのタップ係数を位置関係に応じて配置し直したタップ係数を採用することができる。この場合、予測タップを構成する4×4画素に対する16個のタップ係数を、左上の2×2画素に対する4個のタップ係数に削減することができる。
また、予測タップの上半分の4×2画素と上下方向に線対称の位置関係にある下半分の4×2画素のタップ係数として、上半分の4×2画素それぞれのタップ係数を位置関係に応じて配置し直したタップ係数を採用することができる。この場合、予測タップを構成する4×4画素に対する16個のタップ係数を、上半分の4×2画素に対する8個のタップ係数に削減することができる。
その他、予測タップの左右方向に線対称の位置関係にある画素どうしや、斜め方向に線対称の位置関係にある画素どうしのタップ係数として、同一のタップ係数を採用することによって、タップ係数を削減することができる。
<符号化装置11の第2の構成例>
図28は、図1の符号化装置11の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図28において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、及び、クラス分類適応フィルタ311を有する。
したがって、図28の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図28の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ311を有する点で、図9の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ311は、図9のクラス分類適応フィルタ111と同様に、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う。
<クラス分類適応フィルタ311の構成例>
図29は、図28のクラス分類適応フィルタ311の構成例を示すブロック図である。
図29において、クラス分類適応フィルタ311は、学習装置331、フィルタ情報生成部332、及び、画像変換装置333を有する。
学習装置331には、並べ替えバッファ102(図28)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図28)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置331には、符号化情報が供給される。
学習装置331は、復号途中画像を生徒データとするとともに、元画像を教師データとして、クラスごとのタップ係数を求めるタップ係数学習を行う。
さらに、学習装置331は、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数、及び、そのクラスごとのタップ係数を得るのに用いたクラスタップのタップ構造を選択する選択規則を、フィルタ情報生成部332に供給する。
なお、学習装置331は、タップ係数学習において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行うことができる。
フィルタ情報生成部332は、学習装置331からのクラスごとのタップ係数及び選択規則を必要に応じて含むフィルタ情報を生成し、画像変換装置333及び可逆符号化部106(図28)に供給する。
画像変換装置333には、フィルタ情報生成部332からフィルタ情報が供給される他、演算部110(図28)から復号途中画像が供給されるとともに、符号化情報が供給される。
画像変換装置333は、例えば、復号途中画像を第1の画像として、フィルタ情報生成部332からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図28)に供給する。
なお、画像変換装置333は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行うことができる。
図29のクラス分類適応フィルタ311では、フィルタ後画像のS/Nを大きく改善し、圧縮効率の悪化を抑制するため、学習装置331が、複数の選択規則それぞれに従って、複数のタップ構造の中から、クラスタップのタップ構造を選択し、複数の選択規則それぞれについて、タップ係数学習を行って、クラスごとのタップ係数を求める。
さらに、学習装置331は、複数の選択規則それぞれについて、その選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップをクラス分類に用いる適切さを表すタップ構造評価値を求め、タップ構造評価値が最良の選択規則を、最適選択規則に選択する。
そして、学習装置331は、最適選択規則と、最適選択規則に従って選択されたタップ構造である最適タップ構造についてのクラスごとのタップ係数(最適タップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習により求められたクラスごとのタップ係数)とを、フィルタ情報生成部332に供給する。
ここで、複数の選択規則それぞれについてのタップ構造評価値としては、例えば、各選択規則に従って選択されたタップ構造についてのクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理(ここでは、例えば、クラス分類適応処理)を、生徒データとしての復号途中結果画像を対象として行うことにより得られる、教師データとしての元画像に相当する相当画像のS/N等を採用することができる。
また、複数の選択規則それぞれについてのタップ構造評価値としては、例えば、各選択規則に従って選択されたタップ構造についてのクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理を採用して、教師データとしての元画像の符号化を行った場合のRDコスト等を採用することができる。
選択規則は、復号装置12が、符号化装置11からの符号化データから取得することができる取得可能情報に応じて、タップ構造を選択する方法を規定する規則である。選択規則では、例えば、どのような取得可能情報が、どのような場合に、どのようなタップ構造を選択するかが規定される。
学習装置331がフィルタ情報生成部332に供給する選択規則としては、どのような取得可能情報が、どのような場合に、どのようなタップ構造を選択するかを、具体的に規定する規則そのものを採用することができる。
また、どのような取得可能情報が、どのような場合に、どのようなタップ構造を選択するかを、具体的に規定する規則を、複数用意するとともに、その複数の規則それぞれに、ユニークなIDを割り当てておき、そのIDを、学習装置331がフィルタ情報生成部332に供給する選択規則として採用することができる。
選択規則では、例えば、あらかじめ決定された複数のタップ構造の中から、クラスタップのタップ構造として選択するタップ構造を規定することができる。
選択規則に規定する取得可能情報としては、例えば、符号化データから得られる復号途中画像や符号化情報等を採用することができる。
フィルタ情報生成部332は、学習装置331からのクラスごとのタップ係数及び選択規則を必要に応じて含むフィルタ情報を生成する。
フィルタ情報には、図10で説明したコピー情報を含ませることができる。
フィルタ情報に、クラスごとのタップ係数及び選択規則を含ませずに、コピー情報を含ませることにより、クラスごとのタップ係数及び選択規則を含ませる場合に比較して、フィルタ情報のデータ量を大きく低減し、圧縮効率を向上させることができる。
また、図10で説明した場合と同様に、クラスタップのタップ構造(及びタップ係数)の更新を行うタップ構造更新単位としては、複数のフレーム、1フレーム、CUその他のブロック等の、任意のピクチャシーケンスを採用することができる。
そして、フィルタ情報は、例えば、Sequence parameter set syntaxや、Picture parameter set syntax,Slice data syntaxとして、符号化データに含ませることができる。
<取得可能情報の例>
図30は、クラスタップのタップ構造の選択に用いる取得可能情報の例を示す図である。
取得可能情報としては、復号途中画像の画像特徴量や符号化情報(画像特徴量や符号化情報から認識することができる情報を含む)を採用することができる。
すなわち、復号途中画像における、注目画素のピクチャ(フレーム)全体の画像特徴量や、注目画素の周辺の局所の画像特徴量、注目画素の符号化情報等を、クラスタップのタップ構造の選択に用いる取得可能情報として採用することができる。
注目画素のピクチャ全体の画像特徴量としては、例えば、全画面(ピクチャ全体)のアクティビティ(例えば、水平と垂直方向それぞれの隣接画素どうしの差分絶対値和の総和等)や、全画面の方向差分絶対値和(水平、垂直、斜め等の複数の方向それぞれの隣接画素どうしの差分絶対値和)、全画面のフレーム間差分絶対値和(注目画素のフレームと、そのフレームの前のフレームとの、同一位置の画素どうしの差分絶対値和)等を採用することができる。
全画面のアクティビティによれば、全画面の周波数帯域(全画面帯域)を認識することができる。
全画面帯域が高い場合、注目画素のピクチャには、テクスチャようなディテールを多く含むシーンが映っている(と推測される)ので、クラスタップを、密に張る(密な画素で構成する)ことにより、注目画素を適切に分類することができる。そこで、選択規則では、取得可能情報としての全画面帯域が高い場合、すなわち、閾値以上の場合、密な画素のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。具体的な閾値やタップ構造は、選択規則に含めることができる。
全画面帯域が低い場合、注目画素のピクチャには、ディテールが失われてエッジがぼけ気味のシーンが映っているので、クラスタップを、疎に張る(疎な画素で構成する)ことにより、注目画素を適切に分類することができる。そこで、選択規則では、取得可能情報としての全画面帯域が低い場合、すなわち、閾値未満の場合、疎な画素のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
全画面の方向差分絶対値和は、水平(横)、垂直(縦)、斜めの方向に、エッジが多く含まれるシーンで大になり、かかる全画面の方向差分絶対値和によれば、注目画素のピクチャの主要な構造、すなわち、注目画素のピクチャに存在する主要なエッジ(構造線)を認識することができる。
クラスタップは、エッジの方向、及び、エッジに直交する方向に張る(エッジの方向、及び、エッジに直交する方向にある画素で構成する)ことにより、注目画素を適切に分類することができる。そこで、選択規則では、取得可能情報としてのピクチャに存在する主要なエッジの方向、及び、そのようなエッジに直交する方向の一方又は両方にある画素で構成されるタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。すなわち、選択規則では、例えば、水平、垂直、斜めの方向のうちの、全画面の方向差分絶対値和が最も大きい方向と、その方向に直交する方向とにある画素で構成されるタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
全画面のフレーム間差分絶対値和は、時間方向に同じ絵柄が連続するシーンで小になり、かかる全画面のフレーム間差分絶対値和によれば、注目画素のピクチャの時間方向の相関を認識することができる。
注目画素のピクチャの時間方向の相関が大である場合、クラスタップのタップ構造として、前のピクチャで用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として用いる(前と同じ設定を適用する)ことにより、前のピクチャと同様に、注目画素を適切に分類することができる。そこで、選択規則では、取得可能情報としての注目画素のピクチャの時間方向の相関が大である場合(閾値以上である場合)、前のピクチャで用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
注目画素の周辺の局所の画像特徴量としては、例えば、注目画素の周辺の局所のアクティビティや、局所の方向差分絶対値和、局所のフレーム間差分絶対値和等を採用することができる。
局所のアクティビティによれば、注目画素の周辺の局所の周波数帯域(局所帯域)を認識することができる。
局所帯域を用いた選択規則では、全画面帯域を用いた選択規則と同様に、局所帯域が高い場合、密な画素のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択すること、及び、局所帯域が低い場合、疎な画素のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
局所の方向差分絶対値和によれば、注目画素の周辺の局所の(主要な)エッジを認識することができる。
局所のエッジを用いた選択規則では、ピクチャに存在する主要なエッジを用いた選択規則と同様に、局所のエッジの方向、及び、そのエッジに直交する方向の一方又は両方にある画素で構成されるタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
局所のフレーム間差分絶対値和によれば、注目画素の周辺の局所の時間方向の相関を認識することができる。
局所の時間方向の相関を用いた選択規則では、ピクチャの時間方向の相関を用いた選択規則と同様に、局所の時間方向の相関が大である場合、前のピクチャで用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
注目画素の符号化情報については、例えば、注目画素(のブロック)のピクチャタイプや、動きベクトル(MV)、イントラ予測の情報等を、選択規則に用いることができる。
例えば、選択規則では、注目画素のピクチャタイプがPピクチャ又はBピクチャである場合には、そのPピクチャ又はBピクチャのインター予測で参照するIピクチャで用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択する(前と同じ設定を適用する)ことを規定することができる。
時間方向に同じ絵柄が連続するシーンでは、Pピクチャ又はBピクチャのインター予測で参照するIピクチャで用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することにより、圧縮効率の悪化を抑制して、注目画素を適切に分類することができる。
また、例えば、選択規則では、注目画素の動きベクトルに応じて、注目画素に映るオブジェクトと同一のオブジェクトが映る(と推測される)前のピクチャの画素で用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択する(前と同じ設定を適用する)ことを規定することができる。
時間方向に連続して、同一のオブジェクトが存在するシーンでは、注目画素に映るオブジェクトと同一のオブジェクトが映る前のピクチャの画素で用いられたタップ構造と同一のタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することにより、圧縮効率の悪化を抑制して、注目画素を適切に分類することができる。
さらに、例えば、選択規則では、イントラ予測の情報から得られる、注目画素の周辺の局所の(主要な)エッジの方向に応じて、そのエッジの方向、及び、そのエッジに直交する方向にある画素で構成されるタップ構造を、クラスタップのタップ構造として選択することを規定することができる。
ここで、例えば、AVCやHEVCでは、イントラ予測の情報として、イントラ予測に用いられた画素が存在する方向を表す方向情報が、ブロックごとに伝送される。注目画素の周辺の局所のエッジの方向(空間的な方向情報)は、方向情報の統計処理等を行うことで取得することができる。
なお、上述の全画面の方向差分絶対値和や、局所の方向差分絶対値和でも、エッジの方向を認識することができるが、これらの方向差分絶対値和は、画素値を用いた画素レベルの処理を行って求める必要がある。これに対して、イントラ予測の情報としての方向情報によれば、画素レベルの処理を行わずに、エッジの方向を取得(認識)することができる。
<学習装置331の構成例>
図31は、図29の学習装置331の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図11の学習装置131の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図31において、学習装置331は、学習部152、タップ構造選択部351、記憶部353、評価値算出部354、及び、選択部355を有する。
したがって、学習装置331は、学習部152を有する点で、図11の学習装置131と共通する。
但し、学習装置331は、タップ構造選択部151、記憶部153、評価値算出部154、及び、選択部155に代えて、タップ構造選択部351、記憶部353、評価値算出部354、及び、選択部355を有する点で、図11の学習装置131と相違する。
タップ構造選択部351は、例えば、あらかじめ決められた複数の選択規則の候補(の情報)を記憶しており、その複数の選択規則の候補を、順次、注目選択規則として選択する。そして、タップ構造選択部351は、注目選択規則を表す選択規則を、記憶部353に供給する。
また、タップ構造選択部351には、生徒データとしての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。
タップ構造選択部351は、復号途中画像、及び、符号化情報の一方又は両方を、取得可能情報として用い、注目選択規則に従って、あらかじめ決められている複数のタップ構造の中から1つのタップ構造を、注目タップ構造として選択する。そして、タップ構造選択部351は、注目タップ構造を表すタップ構造情報を、学習部152(のタップ選択部162)に供給する。
学習部152では、タップ構造選択部351からのタップ構造情報が表す注目タップ構造のクラスタップを用いたタップ係数学習が、図11の場合と同様に行われ、クラスごとのタップ係数が求められる。
したがって、図31では、学習部152において、タップ構造選択部351に記憶された複数の選択規則に従って選択されるタップ構造それぞれについて、タップ係数学習が行われ、クラスごとのタップ係数が求められる。
そして、学習部152が、複数の選択規則それぞれについて、タップ係数学習を行うことにより得られるクラスごとのタップ係数は、記憶部353に供給される。
記憶部353は、タップ構造選択部351から供給される、注目選択規則に選択された選択規則と、学習部152から供給される注目選択規則についてのクラスごとのタップ係数とを対応付けて記憶する。
評価値算出部354は、タップ構造選択部351に記憶された複数の選択規則それぞれについて、その選択規則に従って選択されるタップ構造のクラスタップをクラス分類に用いる適切さを表すタップ構造評価値を求め、選択部355に供給する。
評価値算出部354には、学習部152に供給されるのと同様の生徒データとしての復号途中画像、教師データとしての元画像、及び、符号化情報が供給される。
評価値算出部354は、算出部172及び画像変換部371を有する。
したがって、評価値算出部354は、算出部172を有する点で、図11の評価値算出部154と同様に構成される。
但し、評価値算出部354は、画像変換部171に代えて、画像変換部371を有する点で、図11の評価値算出部154と相違する。
画像変換部371は、評価値算出部354に供給される復号途中画像を第1の画像として、クラス分類適応処理を行うことにより、第1の画像としての復号途中画像を、第2の画像としての元画像に相当する相当画像に変換し、算出部172に供給する。
すなわち、画像変換部371は、記憶部353に記憶された複数の選択規則それぞれについて、選択規則と、その選択規則に対応付けられているクラスごとのタップ係数とを用いて、クラス分類適応処理を行う。
具体的には、画像変換部371は、記憶部353に記憶されている複数の選択規則それぞれについて、その選択規則に従い、復号途中画像や符号化情報を用いて、クラスタップのタップ構造を選択する。さらに、画像変換部371は、選択規則に従って選択したタップ構造のクラスタップを構成し、選択規則に対応付けられているクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理(ここでは、例えば、式(1)の予測演算)を施すクラス分類適応処理を行う。
そして、画像変換部371は、複数の選択規則それぞれについて得られる相当画像を、算出部172に供給する。
算出部172では、画像変換部371からの、複数の選択規則それぞれについて、その選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを用いて得られた相当画像と、教師データとしての元画像とを用いて、図11の場合と同様に、タップ構造評価値が求められ選択部355に供給される。
選択部355は、記憶部353に記憶された選択規則の中から、評価値算出部354(の算出部172)から供給されるタップ構造評価値が最良の選択規則を、最適選択規則として選択する。さらに、選択部355は、記憶部353に記憶されたクラスごとのタップ係数の中から、最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数を選択する。
そして、選択部355は、最適選択規則と、最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数とを、フィルタ情報生成部332に供給する。
なお、学習装置331において、最適選択規則と、その最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数とを求める処理は、例えば、図29で説明したタップ構造更新単位と同様の単位(タイミング)で行うことができる。
図32は、図31の画像変換部371の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図17の画像変換部171の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図32において、画像変換部371は、タップ選択部181ないし予測演算部185、及び、タップ構造選択部381を有する。
したがって、画像変換部371は、タップ選択部181ないし予測演算部185を有する点で、図17の画像変換部171と共通する。
但し、画像変換部371は、タップ構造選択部381が新たに設けられている点で、図17の画像変換部171と相違する。
画像変換部371には、学習部152(図31)に供給されるのと同様の生徒データとしての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。画像変換部371では、生徒データとしての復号途中画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、クラス分類適応処理が行われ、教師データとしての元画像に相当する相当画像が求められる。
但し、画像変換部371において、タップ構造選択部381及び係数取得部184には、記憶部353(図31)に記憶された選択規則、及び、その選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数が、それぞれ供給される。
タップ構造選択部381は、図31のタップ構造選択部351と同様に、復号途中画像、及び、符号化情報の一方又は両方を、取得可能情報として用い、記憶部353からの選択規則に従って、クラスタップのタップ構造を選択し、そのタップ構造を表すタップ構造情報を、タップ選択部182に供給する。
タップ選択部182は、タップ構造選択部381からのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成する。
係数取得部184は、記憶部353(図31)からのクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部185に供給する。
<学習装置331の処理>
図33は、図31の学習装置331の処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS211において、タップ構造選択部351は、あらかじめ決められた複数の選択規則の候補の中で、まだ、注目選択規則としていない選択規則の候補の1つを、注目選択規則として選択する。そして、タップ構造選択部351は、注目選択規則を表す選択規則を、記憶部353に供給(出力)し、処理は、ステップS211からステップS212に進む。
ステップS212では、タップ構造選択部351は、復号途中画像、及び、符号化情報の一方又は両方を、取得可能情報として用い、注目選択規則に従って、例えば、あらかじめ決められている複数のタップ構造の中から1つのタップ構造を、注目タップ構造として選択する。そして、タップ構造選択部351は、注目タップ構造を表すタップ構造情報を、学習部152のタップ選択部162に供給(出力)し、処理は、ステップS212からステップS213に進む。
ステップS213では、学習部152が、生徒データとしての復号途中画像、及び、教師データとしての元画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、タップ係数学習を行い、クラスごとのタップ係数を求める。
学習部152でのタップ係数学習では、クラス分類が、タップ構造選択部351からタップ選択部162に供給される注目選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを用いて行われ、そのようなクラス分類により得られるクラスに対するタップ係数が求められる。
学習部152は、注目選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスに対するクラスごとのタップ係数を、記憶部353に供給し、処理は、ステップS213からステップS214に進む。
ステップS214では、記憶部353は、タップ構造選択部351からの注目選択規則と、学習部152からの、注目選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスごとのタップ係数とを対応付けて記憶し、処理は、ステップS215に進む。
ステップS215では、タップ構造選択部351は、あらかじめ決められた複数の選択規則の候補の中で、まだ、注目選択規則としていない選択規則の候補があるかどうかを判定する。
ステップS215において、あらかじめ決められた複数の選択規則の候補の中で、まだ、注目選択規則としていない選択規則の候補があると判定された場合、処理は、ステップS211に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS215において、あらかじめ決められた複数の選択規則の候補の中で、注目選択規則としていない選択規則の候補がないと判定された場合、すなわち、あらかじめ決められた複数の選択規則(の候補)それぞれについて、選択規則と、その選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類により得られるクラスごとのタップ係数とが対応付けられて、記憶部353に記憶された場合、処理は、ステップS216に進む。
ステップS216では、評価値算出部354において、画像変換部371が、記憶部353に記憶された複数の選択規則(タップ構造選択部351に記憶されている複数の選択規則(の候補))それぞれについて、その選択規則と、その選択規則に対応付けられているクラスごとのタップ係数とを用い、生徒データとしての復号途中画像を対象に、クラス分類適応処理を行って、教師データとしての元画像に相当する相当画像を求める。
さらに、評価値算出部354では、算出部172が、複数の選択規則それぞれについて、その選択規則に対応付けられているクラスごとのタップ係数を用いて得られた相当画像のS/Nに対応する値等を、タップ構造評価値として求め、選択部355に供給する。
そして、処理は、ステップS216からステップS217に進み、選択部355は、記憶部353に記憶された選択規則の中から、評価値算出部354の算出部172から供給されるタップ構造評価値が最良の選択規則を、最適選択規則として選択する。さらに、選択部355は、記憶部353に記憶されたクラスごとのタップ係数の中から、最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数を選択する。
選択部355は、最適選択規則と、最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数とを、フィルタ情報生成部332に供給し、処理は終了する。
<画像変換装置333の構成例>
図34は、図29の画像変換装置333の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図19の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図34において、画像変換装置333は、タップ選択部191ないし予測演算部195、及び、タップ構造選択部391を有する。
したがって、画像変換装置333は、タップ選択部191ないし予測演算部195を有する点で、図19の画像変換装置133と共通する。
但し、画像変換装置333は、タップ構造選択部391が新たに設けられている点で、図19の画像変換装置133と相違する。
画像変換装置333には、第1の画像としての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。画像変換装置333では、第1の画像としての復号途中画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、図32の画像変換部371と同様のクラス分類適応処理が行われ、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像が求められる。
但し、画像変換装置333において、タップ構造選択部391及び係数取得部194には、フィルタ情報生成部332(図29)からフィルタ情報が供給される。
タップ構造選択部391は、図31のタップ構造選択部351や、図32のタップ構造選択部381と同様に、復号途中画像、及び、符号化情報の一方又は両方を、取得可能情報として用い、フィルタ情報生成部332からのフィルタ情報に含まれる選択規則(最適選択規則)に従って、クラスタップのタップ構造を選択し、そのタップ構造を表すタップ構造情報を、タップ選択部192に供給する。
タップ選択部192は、タップ構造選択部391からのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップ、すなわち、最適選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを構成する。
係数取得部194は、フィルタ情報生成部332からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部195に供給する。
なお、フィルタ情報生成部332から画像変換装置333に供給されるフィルタ情報には、図29で説明したように、コピー情報を含ませることができる。
フィルタ情報生成部332から画像変換装置333に供給された最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモード(ここでは、選択規則及びクラスごとのタップ係数として、直前の選択規則及びタップ係数の更新時と同一の選択規則及びクラスごとのタップ係数を用いること)を表していない場合、タップ選択部192は、フィルタ情報生成部332から画像変換装置333に供給された前回のフィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されたタップ構造に代えて、最新のフィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されたタップ構造を、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部194は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数に上書きする形で、最新のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶する。
一方、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合、タップ選択部192は、前回のフィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されたタップ構造を、そのまま、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部194は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数の記憶を、そのまま維持する。
以上のように、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合には、直前のクラスタップのタップ構造、及び、クラスごとのタップ係数が維持される。
<符号化処理>
図35は、図28の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ311の学習装置331(図29)は、図10の学習装置131と同様に、そこに供給される復号途中画像のうちの、例えば、複数のフレーム、1フレーム、ブロック等のタップ構造更新単位の復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、随時、タップ係数学習を行っている。そして、学習装置331は、ステップS231において、図20のステップS31と同様に、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであるかどうかを判定する。
ステップS231において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングでないと判定された場合、処理は、ステップS232ないしS234をスキップして、ステップS235に進む。
また、ステップS231において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS232に進む。
ステップS232では、フィルタ情報生成部332(図29)は、学習装置331がタップ係数学習により生成する最新の選択規則及びクラスごとのタップ係数(又はコピー情報)、すなわち、最適選択規則、及び、最適選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数を含むフィルタ情報を生成し、画像変換装置333(図29)及び可逆符号化部106(図28)に供給して、処理は、ステップS233に進む。
ステップS233では、画像変換装置333は、フィルタ情報生成部332からのフィルタ情報に従って、タップ構造選択部391で用いる選択規則、及び、係数取得部194に記憶されるクラスごとのタップ係数を更新し、処理は、ステップS234に進む。
ステップS234では、可逆符号化部106は、フィルタ情報生成部332から供給されるフィルタ情報を、伝送対象に設定して、処理は、ステップS235に進む。伝送対象に設定されたフィルタ情報は、後述するステップS248において符号化データに含められて伝送される。
なお、図20のステップS32ないしS34と同様に、ステップS322ないしS324の処理は、元画像の時間方向の相関が低い場合の更新タイミングで行うことができる。
ステップS235ないしS250では、図20のステップS35ないしS50とそれぞれ同様の元画像の予測符号化処理が行われる。
但し、ステップS246のクラス分類適応処理では、フィルタ情報生成部332で生成されたフィルタ情報に含まれる選択規則(最適選択規則)に従って、クラスタップのタップ構造が選択される。さらに、ステップS246のクラス分類適応処理は、フィルタ情報生成部332で生成されたフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いて行われる。
また、ステップS248では、可逆符号化部106は、図20のステップS48と同様に、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報を符号化するが、そのフィルタ情報には、選択規則とクラスごとのタップ係数とが含まれる。
したがって、可逆符号化部106で得られる符号化データには、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報としての選択規則とクラスごとのタップ係数とが含まれる。そして、かかる符号化データは、ステップS249で、図20のステップS49で説明したように、蓄積バッファ107から、適宜読み出されて伝送される。
図36は、図35のステップS246で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ311の画像変換装置333(図34)では、ステップS261において、タップ選択部191が、図21のステップS61と同様に、演算部110から供給される復号途中画像から、注目画素を選択し、処理は、ステップS262に進む。
ステップS262では、タップ選択部191が、図21のステップS62と同様に、演算部110から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップとする画素を選択し、予測タップを構成する。そして、タップ選択部191は、予測タップを、予測演算部195に供給して、処理は、ステップS263に進む。
ステップS263では、タップ構造選択部391が、フィルタ情報生成部332(図29)からのフィルタ情報に含まれる選択規則に従い、演算部110から供給される復号途中画像等を用いて、クラスタップのタップ構造を選択し、そのタップ構造を表すタップ構造情報を、タップ選択部192に出力して、処理は、ステップS264に進む。
ステップS264では、タップ選択部192が、タップ構造選択部391からのタップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成する。そして、タップ選択部192は、クラスタップを、クラス分類部193に供給する。
すなわち、タップ構造選択部391が用いる選択規則は、直前に行われた図35のステップS233で更新されており、タップ選択部192では、更新後の選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを構成して、クラス分類部193に供給する。
その後、処理は、ステップS264からステップS265に進み、クラス分類部193は、注目画素についてのクラスタップを用いるとともに、注目画素についての符号化情報を必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行う。そして、クラス分類部193は、クラス分類により得られる注目画素のクラスを、係数取得部194に供給して、処理は、ステップS265からステップS266に進む。
係数取得部194は、フィルタ情報生成部332から供給されるフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数、すなわち、タップ選択部192で構成されたクラスタップのタップ構造を選択する選択規則に対応付けられたクラスごとのタップ係数を、直前に行われた図35のステップS233で行われるタップ係数の更新によって記憶している。ステップS266では、係数取得部194は、記憶しているクラスごとのタップ係数から、クラス分類部193から供給される注目画素のクラスのタップ係数を取得し、予測演算部195に供給して、処理は、ステップS267に進む。
ステップS267ないしS269では、図21のステップS66ないしS68とそれぞれ同様の処理が行われ、処理はリターンする。
<復号装置12の第2の構成例>
図37は、図1の復号装置12の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図22の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図37において、復号装置12は、蓄積バッファ201、可逆復号部202、逆量子化部203、逆直交変換部204、演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210、選択部211、イントラ予測部212、動き予測補償部213、及び、選択部214を有する。さらに、復号装置12は、クラス分類適応フィルタ401を有する。
したがって、図37の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図22の場合と共通する。
但し、図37の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ401を有する点で、図22の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ401は、クラス分類適応フィルタ206と同様に、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う。
すなわち、クラス分類適応フィルタ401は、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理(による画像変換)を、可逆復号部202からの符号化情報を必要に応じて用いて行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)出力する。
なお、クラス分類適応フィルタ401は、クラス分類適応処理において、クラス分類に用いるクラスタップのタップ構造を、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれる選択規則に従い、取得可能情報としての演算部205からの復号途中画像や、可逆復号部202からの符号化情報を用いて選択する。
<クラス分類適応フィルタ401の構成例>
図38は、図37のクラス分類適応フィルタ401の構成例を示すブロック図である。
図38において、クラス分類適応フィルタ401は、画像変換装置431を有する。
画像変換装置431には、演算部205(図37)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報、及び、符号化情報が供給される。
画像変換装置431は、図29の画像変換装置333と同様に、復号途中画像を第1の画像として、フィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されるタップ構造のクラスタップを用いたクラス分類を行い、フィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いたフィルタ処理としての予測演算を行うクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図37)に供給する。
なお、画像変換装置431は、クラス分類適応処理において、図29の画像変換装置333と同様に、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
<画像変換装置431の構成例>
図39は、図38の画像変換装置431の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図24の画像変換装置231の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図39において、画像変換装置431は、タップ選択部241ないし予測演算部245、及び、タップ構造選択部451を有する。
したがって、画像変換装置431は、タップ選択部241ないし予測演算部245を有する点で、図24の画像変換装置231と共通する。
但し、画像変換装置431は、タップ構造選択部451が新たに設けられている点で、図24の画像変換装置231と相違する。
画像変換装置431には、可逆復号部202(図37)から第1の画像としての復号途中画像、及び、符号化情報が供給される。画像変換装置431では、第1の画像としての復号途中画像を用いるとともに、符号化情報を必要に応じて用いて、図34の画像変換装置333と同様のクラス分類適応処理が行われ、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像が求められる。
すなわち、画像変換装置431において、タップ構造選択部451及び係数取得部244には、可逆復号部202(図37)からフィルタ情報が供給される。
タップ構造選択部451は、図34のタップ構造選択部391と同様に、復号途中画像、及び、符号化情報の一方又は両方を、取得可能情報として用い、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれる選択規則(最適選択規則)に従って、クラスタップのタップ構造を選択し、そのタップ構造を表すタップ構造情報を、タップ選択部242に供給する。
タップ選択部242は、タップ構造選択部451からのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップ、すなわち、最適選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを構成する。
係数取得部244は、可逆復号部202からのフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶し、そのクラスごとのタップ係数から、注目画素のクラスのタップ係数を取得して、予測演算部195に供給する。
なお、可逆復号部202から画像変換装置431に供給されるフィルタ情報には、図29で説明したように、クラスごとのタップ係数及び選択規則に代えて、又は、クラスごとのタップ係数及び選択規則とともに、コピー情報を含ませることができる。
可逆復号部202から画像変換装置431に供給された最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表していない場合、タップ選択部242は、可逆復号部202から画像変換装置431に供給された前回のフィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されたタップ構造に代えて、最新のフィルタ情報に含まれる選択規則に従って選択されたタップ構造を、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部244は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数に上書きする形で、最新のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を記憶する。
一方、最新のフィルタ情報に含まれるコピー情報がコピーモードを表す場合、タップ選択部242は、前回のフィルタ情報に含まれるタップ構造を、そのまま、クラスタップのタップ構造として採用する。
さらに、係数取得部244は、前回のフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数の記憶を、そのまま維持する。
<復号処理>
図40は、図37の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS311ないしS315において、図25のステップS111ないしS115とそれぞれ同様の処理が行われる。
そして、ステップS315において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングでないと判定された場合、処理は、ステップS316をスキップして、ステップS317に進む。
また、ステップS315において、クラスタップのタップ構造の更新タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS316に進む。
ステップS316では、画像変換装置431は、直前のステップS314で取得したフィルタ情報に従って、タップ構造選択部451で用いる選択規則、及び、係数取得部244に記憶されるクラスごとのタップ係数を更新し、処理は、ステップS317に進む。
ステップS317ないしS325では、図25のステップS117ないしS125とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS322のクラス分類適応処理では、可逆復号部202から供給されるフィルタ情報に含まれる選択規則(最適選択規則)に従って、クラスタップのタップ構造が選択される。さらに、ステップS322のクラス分類適応処理は、可逆復号部202から供給されるフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を用いて行われる。
図41は、図40のステップS322で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ401の画像変換装置431(図39)では、ステップS331において、タップ選択部241が、図26のS131と同様に、演算部205(図37)から供給される復号途中画像(としてのブロック)の画素から、注目画素を選択し、処理は、ステップS332に進む。
ステップS332において、タップ選択部241が、図26のステップS132と同様に、演算部205から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップとする画素を選択し、予測タップを構成する。そして、タップ選択部241は、予測タップを、予測演算部245に供給して、処理は、ステップS332からステップS333に進む。
ステップS333では、タップ構造選択部451が、可逆復号部202(図37)からのフィルタ情報に含まれる選択規則に従い、演算部205から供給される復号途中画像等を用いて、クラスタップのタップ構造を選択する。さらに、タップ構造選択部451は、選択規則に従って選択したクラスタップのタップ構造を表すタップ構造情報を、タップ選択部242に出力し、処理は、ステップS334に進む。
ステップS334では、タップ選択部242が、演算部205から供給される復号途中画像から、注目画素についてのクラスタップとする画素を選択し、これにより、タップ構造選択部451からのタップ構造情報が表すタップ構造のクラスタップを構成する。そして、タップ選択部242は、クラスタップを、クラス分類部243に供給する。
すなわち、タップ構造選択部451が用いる選択規則は、直前に行われた図40のステップS316で更新されており、タップ選択部242では、更新後の選択規則に従って選択されたタップ構造のクラスタップを構成して、クラス分類部243に供給する。
その後、処理は、ステップS334からステップS335に進み、クラス分類部243は、注目画素についてのクラスタップを用いるとともに、注目画素についての符号化情報を必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行う。そして、クラス分類部243は、クラス分類により得られる注目画素のクラスを、係数取得部244に供給して、処理は、ステップS335からステップS336に進む。
係数取得部244は、可逆復号部202(図37)から供給されるフィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数を、直前に行われた図40のステップS316のタップ係数の更新によって記憶している。ステップS336では、係数取得部244は、記憶しているクラスごとのタップ係数から、クラス分類部243から供給される注目画素のクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給して、処理は、ステップS337に進む。
ステップS337ないしS339では、図26のステップS136ないしS138とそれぞれ同様の処理が行われ、処理はリターンする。
ここで、図9の符号化装置11及び図22の復号装置12の第1の構成例では、タップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表すタップ構造に、クラスタップのタップ構造を制御する。
以上のように、符号化装置11及び復号装置12において、タップ構造情報に従い、そのタップ構造情報が表すタップ構造に、クラスタップのタップ構造を制御するタップ構造の制御モードを、モード1ということとする。
また、図28の符号化装置11及び図37の復号装置12の第2の構成例では、選択規則に従い、取得可能情報を用いて選択されたタップ構造に、クラスタップのタップ構造を制御する。
以上のように、符号化装置11及び復号装置12において、選択規則に従い、取得可能情報を用いて選択されたタップ構造に、クラスタップのタップ構造を制御するタップ構造の制御モードを、モード2ということとする。
フィルタ情報には、制御モードを表すモード情報(例えば、1ビットのフラグ等)を含めることができる。さらに、符号化装置11では、制御モードを、適宜、モード1及び2のうちの一方から他方に切り替え、復号装置12では、フィルタ情報に含まれる制御モードに従って、制御モードを切り替えることができる。
また、上述のモード2では、複数の選択規則のうちの、タップ構造評価値が最良の選択規則を、最適選択規則として、フィルタ情報に含めて、符号化装置11から復号装置12に伝送することとしたが、符号化装置11及び復号装置12で用いる選択規則は、あらかじめ固定の規則に決定しておくことができる。この場合、符号化装置11及び復号装置12では、あらかじめ決定された選択規則に従い、取得可能情報を用いて、クラスタップのタップ構造を選択する。この場合、選択規則は、フィルタ情報に含めて伝送する必要はない。
また、モード2において、選択規則を、あらかじめ決定しておく場合には、その選択規則に従い、取得可能情報を用いてタップ構造を選択して、クラスタップのタップ構造を更新するタイミングは、あらかじめ決定されたタイミングに固定することができる。この場合、符号化装置11及び復号装置12において、あらかじめタップ係数を共有しておけば、その後は、あらかじめ決定された固定のタイミングで、あらかじめ決定された固定の選択規則に従い、クラスタップのタップ構造を更新すれば良いので、フィルタ情報を、符号化装置11から復号装置12に伝送する必要がない。
なお、符号化装置11において、フィルタ情報を伝送する場合には、復号装置12は、フィルタ情報の受信に応じて、クラスタップのタップ構造の更新タイミングを認識することができる。この場合、フィルタ情報は、クラスタップのタップ構造の更新タイミングを報知する情報として機能する。符号化装置11から復号装置12に対して、更新タイミングを報知しない場合、更新タイミングは、固定のタイミングにあらかじめ決めておく必要がある。
また、上述の場合には、注目画素のクラス分類を行うことにより得られる注目画素のクラスに対応するフィルタ処理として、注目画素のクラスのタップ係数を用いた式(1)の予測演算を採用したが、注目画素のクラスに対応するフィルタ処理としては、式(1)の予測演算以外の任意のフィルタ処理を採用することができる。すなわち、クラス分類によって分類し得る各クラスに、そのクラスに対応するフィルタを用意しておき、注目画素のクラスに対応するフィルタ処理としては、注目画素のクラスに対応するフィルタによるフィルタリングを行うことができる。
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするために、符号化装置11から復号装置12に提供するフィルタ情報には、タップ係数そのものを含めることとしたが、フィルタ情報には、タップ係数そのものに代えて、種係数及びパラメータzを含めることができる。タップ係数は、種係数及びパラメータzから求めることができるので、種係数及びパラメータzは、タップ係数と等価な情報であり、本明細書では、フィルタ情報としてのタップ係数には、タップ係数そのものの他、種係数及びパラメータzが含まれる。タップ係数として、種係数及びパラメータzを採用する場合、パラメータzとしては、例えば、取得可能情報を採用することができる。
<多視点画像符号化・復号システムへの適用>
上述した一連の処理は、多視点画像符号化・復号システムに適用することができる。
図42は、多視点画像符号化方式の一例を示す図である。
図42に示されるように、多視点画像は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む。この多視点画像の複数のビューは、他のビューの情報を利用せずに自身のビューの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースビューと、他のビューの情報を利用して符号化・復号を行うノンベースビューとによりなる。ノンベースビューの符号化・復号は、ベースビューの情報を利用するようにしても良いし、他のノンベースビューの情報を利用するようにしてもよい。
図42の例のような多視点画像を符号化・復号する場合、多視点画像は、視点毎に符号化される。そして、そのようにして得られた符号化データを復号する場合、各視点の符号化データは、それぞれ(すなわち視点毎に)復号される。このような各視点の符号化・復号に対して、以上の実施の形態において説明した方法を適用してもよい。このようにすることにより、S/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。つまり、多視点画像の場合も同様に、S/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。
<多視点画像符号化・復号システム>
図43は、上述した多視点画像符号化・復号を行う多視点画像符号化・復号システムの、多視点画像符号化装置を示す図である。
図43に示されるように、多視点画像符号化装置1000は、符号化部1001、符号化部1002、及び多重化部1003を有する。
符号化部1001は、ベースビュー画像を符号化し、ベースビュー画像符号化ストリームを生成する。符号化部1002は、ノンベースビュー画像を符号化し、ノンベースビュー画像符号化ストリームを生成する。多重化部1003は、符号化部1001において生成されたベースビュー画像符号化ストリームと、符号化部1002において生成されたノンベースビュー画像符号化ストリームとを多重化し、多視点画像符号化ストリームを生成する。
図44は、上述した多視点画像復号を行う多視点画像復号装置を示す図である。
図44に示されるように、多視点画像復号装置1010は、逆多重化部1011、復号部1012、及び復号部1013を有する。
逆多重化部1011は、ベースビュー画像符号化ストリームとノンベースビュー画像符号化ストリームとが多重化された多視点画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースビュー画像符号化ストリームと、ノンベースビュー画像符号化ストリームとを抽出する。復号部1012は、逆多重化部1011により抽出されたベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ベースビュー画像を得る。復号部1013は、逆多重化部1011により抽出されたノンベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ノンベースビュー画像を得る。
例えば、このような多視点画像符号化・復号システムにおいて、多視点画像符号化装置1000の符号化部1001及び符号化部1002として、以上の実施の形態において説明した符号化装置11を適用してもよい。このようにすることにより、多視点画像の符号化においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。また例えば、多視点画像復号装置1010の復号部1012及び復号部1013として、以上の実施の形態において説明した復号装置12を適用してもよい。このようにすることにより、多視点画像の符号化データの復号においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<階層画像符号化・復号システムへの適用>
また、上述した一連の処理は、階層画像符号化(スケーラブル符号化)・復号システムに適用することができる。
図45は、階層画像符号化方式の一例を示す図である。
階層画像符号化(スケーラブル符号化)は、画像データを、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように、画像を複数レイヤ化(階層化)し、レイヤ毎に符号化するものである。階層画像復号(スケーラブル復号)は、その階層画像符号化に対応する復号である。
図45に示されるように、画像の階層化においては、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータを基準として1の画像が複数の画像(レイヤ)に分割される。つまり、階層化された画像(階層画像)は、その所定のパラメータの値が互いに異なる複数の階層(レイヤ)の画像を含む。この階層画像の複数のレイヤは、他のレイヤの画像を利用せずに自身のレイヤの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースレイヤと、他のレイヤの画像を利用して符号化・復号を行うノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)とによりなる。ノンベースレイヤは、ベースレイヤの画像を利用するようにしても良いし、他のノンベースレイヤの画像を利用するようにしてもよい。
一般的に、ノンベースレイヤは、冗長性が低減されるように、自身の画像と、他のレイヤの画像との差分画像のデータ(差分データ)により構成される。例えば、1の画像をベースレイヤとノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)に2階層化した場合、ベースレイヤのデータのみで元の画像よりも低品質な画像が得られ、ベースレイヤのデータとノンベースレイヤのデータを合成することで、元の画像(すなわち高品質な画像)が得られる。
このように画像を階層化することにより、状況に応じて多様な品質の画像を容易に得ることができる。例えば携帯電話のような、処理能力の低い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)のみの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の低い、或いは、画質の良くない動画像を再生し、テレビやパーソナルコンピュータのような、処理能力の高い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)に加えて、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)の画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の高い、或いは、画質の高い動画像を再生するといったように、トランスコード処理を行うことなく、端末やネットワークの能力に応じた画像圧縮情報を、サーバから送信することが可能となる。
図45の例のような階層画像を符号化・復号する場合、階層画像は、レイヤ毎に符号化される。そして、そのようにして得られた符号化データを復号する場合、各レイヤの符号化データは、それぞれ(すなわちレイヤ毎に)復号される。このような各レイヤの符号化・復号に対して、以上の実施の形態において説明した方法を適用してもよい。このようにすることにより、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。つまり、階層画像の場合も同様に、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<スケーラブルなパラメータ>
このような階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)において、スケーラビリティ(scalability)機能を有するパラメータは、任意である。例えば、空間解像度をそのパラメータとしてもよい(spatial scalability)。このスペーシャルスケーラビリティ(spatial scalability)の場合、レイヤ毎に画像の解像度が異なる。
また、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、他には、例えば、時間解像度を適用しても良い(temporal scalability)。このテンポラルスケーラビリティ(temporal scalability)の場合、レイヤ毎にフレームレートが異なる。
さらに、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、例えば、信号雑音比(SNR(Signal to Noise ratio))を適用しても良い(SNR scalability)。このSNRスケーラビリティ(SNR scalability)の場合、レイヤ毎にSN比が異なる。
スケーラビリティ性を持たせるパラメータは、上述した例以外であっても、もちろんよい。例えば、ベースレイヤ(base layer)が8ビット(bit)画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、10ビット(bit)画像が得られるビット深度スケーラビリティ(bit-depth scalability)がある。
また、ベースレイヤ(base layer)が4:2:0フォーマットのコンポーネント画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、4:2:2フォーマットのコンポーネント画像が得られるクロマスケーラビリティ(chroma scalability)がある。
<階層画像符号化・復号システム>
図46は、上述した階層画像符号化・復号を行う階層画像符号化・復号システムの、階層画像符号化装置を示す図である。
図46に示されるように、階層画像符号化装置1020は、符号化部1021、符号化部1022、及び多重化部1023を有する。
符号化部1021は、ベースレイヤ画像を符号化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。符号化部1022は、ノンベースレイヤ画像を符号化し、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。多重化部1023は、符号化部1021において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、符号化部1022において生成されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを多重化し、階層画像符号化ストリームを生成する。
図47は、上述した階層画像復号を行う階層画像復号装置を示す図である。
図47に示されるように、階層画像復号装置1030は、逆多重化部1031、復号部1032、及び復号部1033を有する。
逆多重化部1031は、ベースレイヤ画像符号化ストリームとノンベースレイヤ画像符号化ストリームとが多重化された階層画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームと、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを抽出する。復号部1032は、逆多重化部1031により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ベースレイヤ画像を得る。復号部1033は、逆多重化部1031により抽出されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ノンベースレイヤ画像を得る。
例えば、このような階層画像符号化・復号システムにおいて、階層画像符号化装置1020の符号化部1021及び符号化部1022として、以上の実施の形態において説明した符号化装置11を適用してもよい。このようにすることにより、階層画像の符号化においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。また例えば、階層画像復号装置1030の復号部1032及び復号部1033として、以上の実施の形態において説明した復号装置12を適用してもよい。このようにすることにより、階層画像の符号化データの復号においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図48は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図48に示されるコンピュータ1100において、CPU(Central Processing Unit)1101、ROM(Read Only Memory)1102、RAM(Random Access Memory)1103は、バス1104を介して相互に接続されている。
バス1104にはまた、入出力インタフェース1110も接続されている。入出力インタフェース1110には、入力部1111、出力部1112、記憶部1113、通信部1114、及びドライブ1115が接続されている。
入力部1111は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子等よりなる。出力部1112は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子等よりなる。記憶部1113は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリ等よりなる。通信部1114は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ1115は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブルメディア821を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1101が、例えば、記憶部1113に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1110及びバス1104を介して、RAM1103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM1103にはまた、CPU1101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
コンピュータ(CPU1101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ1115に装着することにより、入出力インタフェース1110を介して、記憶部1113にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部1114で受信し、記憶部1113にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM1102や記憶部1113に、あらかじめインストールしておくこともできる。
<本技術の応用>
上述した実施の形態に係る符号化装置11や復号装置12は、例えば、衛星放送、ケーブルTV等の有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信等における送信機や受信機、又は、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリ等の媒体に画像を記録する記録装置や、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置等の、様々な電子機器に応用され得る。以下、4つの応用例について説明する。
<第1の応用例:テレビジョン受像機>
図49は、上述した実施の形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示す図である。
テレビジョン装置1200は、アンテナ1201、チューナ1202、デマルチプレクサ1203、デコーダ1204、映像信号処理部1205、表示部1206、音声信号処理部1207、スピーカ1208、外部インタフェース(I/F)部1209、制御部1210、ユーザインタフェース(I/F)部1211、及びバス1212を備える。
チューナ1202は、アンテナ1201を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ1202は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ1203へ出力する。すなわち、チューナ1202は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置1200における伝送部としての役割を有する。
デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ1204へ出力する。また、デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)等の補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部1210に供給する。なお、デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
デコーダ1204は、デマルチプレクサ1203から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ1204は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部1205へ出力する。また、デコーダ1204は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部1207へ出力する。
映像信号処理部1205は、デコーダ1204から入力される映像データを再生し、表示部1206に映像を表示させる。また、映像信号処理部1205は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部1206に表示させてもよい。また、映像信号処理部1205は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去等の追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部1205は、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
表示部1206は、映像信号処理部1205から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)等)の映像面上に映像又は画像を表示する。
音声信号処理部1207は、デコーダ1204から入力される音声データについてD/A変換及び増幅等の再生処理を行い、スピーカ1208から音声を出力させる。また、音声信号処理部1207は、音声データについてノイズ除去等の追加的な処理を行ってもよい。
外部インタフェース部1209は、テレビジョン装置1200と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース部1209を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ1204により復号されてもよい。すなわち、外部インタフェース部1209もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置1200における伝送部としての役割を有する。
制御部1210は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置1200の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1211から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置1200の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1211は、制御部1210と接続される。ユーザインタフェース部1211は、例えば、ユーザがテレビジョン装置1200を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部等を有する。ユーザインタフェース部1211は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1210へ出力する。
バス1212は、チューナ1202、デマルチプレクサ1203、デコーダ1204、映像信号処理部1205、音声信号処理部1207、外部インタフェース部1209及び制御部1210を相互に接続する。
このように構成されたテレビジョン装置1200において、デコーダ1204が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、デコーダ1204が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置1200は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成されたテレビジョン装置1200において、映像信号処理部1205が、例えば、デコーダ1204から供給される画像データを符号化し、得られた符号化データを、外部インタフェース部1209を介してテレビジョン装置1200の外部に出力させることができるようにしてもよい。そして、その映像信号処理部1205が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、映像信号処理部1205が、デコーダ1204から供給される画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置1200は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第2の応用例:携帯電話機>
図50は、上述した実施の形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示す図である。
携帯電話機1220は、アンテナ1221、通信部1222、音声コーデック1223、スピーカ1224、マイクロホン1225、カメラ部1226、画像処理部1227、多重分離部1228、記録再生部1229、表示部1230、制御部1231、操作部1232、及びバス1233を備える。
アンテナ1221は、通信部1222に接続される。スピーカ1224及びマイクロホン1225は、音声コーデック1223に接続される。操作部1232は、制御部1231に接続される。バス1233は、通信部1222、音声コーデック1223、カメラ部1226、画像処理部1227、多重分離部1228、記録再生部1229、表示部1230、及び制御部1231を相互に接続する。
携帯電話機1220は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録等の動作を行う。
音声通話モードにおいて、マイクロホン1225により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック1223に供給される。音声コーデック1223は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック1223は、圧縮後の音声データを通信部1222へ出力する。通信部1222は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック1223へ出力する。音声コーデック1223は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック1223は、生成した音声信号をスピーカ1224に供給して音声を出力させる。
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部1231は、操作部1232を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部1231は、文字を表示部1230に表示させる。また、制御部1231は、操作部1232を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部1222へ出力する。通信部1222は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部1231へ出力する。制御部1231は、表示部1230に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部1229に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
記録再生部1229は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリ等の内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカード等の外部装着型の記憶媒体であってもよい。
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部1226は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部1227へ出力する。画像処理部1227は、カメラ部1226から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部1229に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
さらに、画像表示モードにおいて、記録再生部1229は、記憶媒体に記録されている符号化ストリームを読み出して画像処理部1227へ出力する。画像処理部1227は、記録再生部1229から入力される符号化ストリームを復号し、画像データを表示部1230に供給し、その画像を表示させる。
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部1228は、画像処理部1227により符号化された映像ストリームと、音声コーデック1223から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部1222へ出力する。通信部1222は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部1228へ出力する。多重分離部1228は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部1227、音声ストリームを音声コーデック1223へ出力する。画像処理部1227は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部1230に供給され、表示部1230により一連の画像が表示される。音声コーデック1223は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック1223は、生成した音声信号をスピーカ1224に供給して音声を出力させる。
このように構成された携帯電話機1220において、例えば画像処理部1227が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1227が、画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機1220は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された携帯電話機1220において、例えば画像処理部1227が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1227が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機1220は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第3の応用例:記録再生装置>
図51は、上述した実施の形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示す図である。
記録再生装置1240は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置1240は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置1240は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置1240は、音声データ及び映像データを復号する。
記録再生装置1240は、チューナ1241、外部インタフェース(I/F)部1242、エンコーダ1243、HDD(Hard Disk Drive)部1244、ディスクドライブ1245、セレクタ1246、デコーダ1247、OSD(On-Screen Display)部1248、制御部1249、及びユーザインタフェース(I/F)部1250を備える。
チューナ1241は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ1241は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ1246へ出力する。すなわち、チューナ1241は、記録再生装置1240における伝送部としての役割を有する。
外部インタフェース部1242は、記録再生装置1240と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース部1242は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェース等であってよい。例えば、外部インタフェース部1242を介して受信される映像データ及び音声データは、エンコーダ1243へ入力される。すなわち、外部インタフェース部1242は、記録再生装置1240における伝送部としての役割を有する。
エンコーダ1243は、外部インタフェース部1242から入力される映像データ及び音声データが符号化されていない場合に、映像データ及び音声データを符号化する。そして、エンコーダ1243は、符号化ビットストリームをセレクタ1246へ出力する。
HDD部1244は、映像及び音声等のコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラム及びその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD部1244は、映像及び音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
ディスクドライブ1245は、装着されている記録媒体へのデータの記録及び読み出しを行う。ディスクドライブ1245に装着される記録媒体は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)ディスク(DVD-Video、DVD-RAM(DVD - Random Access Memory)、DVD-R(DVD - Recordable)、DVD-RW(DVD - Rewritable)、DVD+R(DVD + Recordable)、DVD+RW(DVD + Rewritable)等)又はBlu-ray(登録商標)ディスク等であってよい。
セレクタ1246は、映像及び音声の記録時には、チューナ1241又はエンコーダ1243から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD1244又はディスクドライブ1245へ出力する。また、セレクタ1246は、映像及び音声の再生時には、HDD1244又はディスクドライブ1245から入力される符号化ビットストリームをデコーダ1247へ出力する。
デコーダ1247は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ1247は、生成した映像データをOSD部1248へ出力する。また、デコーダ1247は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
OSD部1248は、デコーダ1247から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD部1248は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUIの画像を重畳してもよい。
制御部1249は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置1240の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1250から入力される操作信号に応じて、記録再生装置1240の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1250は、制御部1249と接続される。ユーザインタフェース部1250は、例えば、ユーザが記録再生装置1240を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部等を有する。ユーザインタフェース部1250は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1249へ出力する。
このように構成された記録再生装置1240において、例えばエンコーダ1243が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、エンコーダ1243が、画像データを、以上の実施の形態において説明方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、記録再生装置1240は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された記録再生装置1240において、例えばデコーダ1247が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、デコーダ1247が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、記録再生装置1240は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第4の応用例:撮像装置>
図52は、上述した実施の形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示す図である。
撮像装置1260は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
撮像装置1260は、光学ブロック1261、撮像部1262、信号処理部1263、画像処理部1264、表示部1265、外部インタフェース(I/F)部1266、メモリ部1267、メディアドライブ1268、OSD部1269、制御部1270、ユーザインタフェース(I/F)部1271、及びバス1272を備える。
光学ブロック1261は、撮像部1262に接続される。撮像部1262は、信号処理部1263に接続される。表示部1265は、画像処理部1264に接続される。ユーザインタフェース部1271は、制御部1270に接続される。バス1272は、画像処理部1264、外部インタフェース部1266、メモリ部1267、メディアドライブ1268、OSD部1269、及び制御部1270を相互に接続する。
光学ブロック1261は、フォーカスレンズ及び絞り機構等を有する。光学ブロック1261は、被写体の光学像を撮像部1262の撮像面に結像させる。撮像部1262は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部1262は、画像信号を信号処理部1263へ出力する。
信号処理部1263は、撮像部1262から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正等の種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部1263は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部1264へ出力する。
画像処理部1264は、信号処理部1263から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部1264は、生成した符号化データを外部インタフェース部1266又はメディアドライブ1268へ出力する。また、画像処理部1264は、外部インタフェース部1266又はメディアドライブ1268から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部1264は、生成した画像データを表示部1265へ出力する。また、画像処理部1264は、信号処理部1263から入力される画像データを表示部1265へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部1264は、OSD部1269から取得される表示用データを、表示部1265へ出力する画像に重畳してもよい。
OSD部1269は、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部1264へ出力する。
外部インタフェース部1266は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース部1266は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置1260とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース部1266には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスク等のリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置1260にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース部1266は、LAN又はインターネット等のネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。すなわち、外部インタフェース部1266は、撮像装置1260における伝送部としての役割を有する。
メディアドライブ1268に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリ等の、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ1268に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
制御部1270は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置1260の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1271から入力される操作信号に応じて、撮像装置1260の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1271は、制御部1270と接続される。ユーザインタフェース部1271は、例えば、ユーザが撮像装置1260を操作するためのボタン及びスイッチ等を有する。ユーザインタフェース部1271は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1270へ出力する。
このように構成された撮像装置1260において、例えば画像処理部1264が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1264が、画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像装置1260は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された撮像装置1260において、例えば画像処理部1264が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1264が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像装置1260は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<その他の応用例>
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えばMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングにも適用することができる。つまり、このような複数の符号化データ間で、符号化や復号に関する情報を共有することもできる。
また、以上においては、本技術を適用する装置やシステム等の例を説明したが、本技術は、これに限らず、このような装置又はシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
<ビデオセット>
本技術をセットとして実施する場合の例について、図53を参照して説明する。
図53は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示す図である。
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
図53に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
図53に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、及びフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、及びセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
図53の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ1331、ビデオプロセッサ1332、ブロードバンドモデム1333、及びRFモジュール1334を有する。
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
図53のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方若しくは両方)に関する機能を有するプロセッサである。
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(又はその両方)の広帯域通信により送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、その広帯域通信により受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。ブロードバンドモデム1333は、例えば、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データ、画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報を処理する。
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
なお、図53において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。図53に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、及び増幅部1353を有する。
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナ及びその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
<ビデオプロセッサの構成例>
図54は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図53)の概略的な構成の一例を示す図である。
図54の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号及びオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータ及びオーディオデータを復号し、ビデオ信号及びオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
図54に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、及びメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408A及び1408B、並びに、オーディオESバッファ1409A及び1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、及びストリームバッファ1414を有する。
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(図53)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321等に出力する。
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、及びエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321等に供給する。
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給する。
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402又は第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換及び拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
また、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリーム若しくはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリーム又はファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した実施の形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方を有するようにしてもよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、上述した実施の形態の符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
<ビデオプロセッサの他の構成例>
図55は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332の概略的な構成の他の例を示す図である。
図55の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能を有する。
より具体的には、図55に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及び内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、及びビデオインタフェース1520を有する。
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
図55に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、及びシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531及びサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531及びサブCPU1532の動作を制御する。
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、又はデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321のモニタ装置等に出力する。
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、又はコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、又はコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化又は符号化データの復号を行うようにしてもよい。
図55に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、及びMPEG-DASH1551を有する。
MPEG-2 Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514若しくはコーデックエンジン1516)に供給される。
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322等向けのインタフェースである。
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
さらに、例えば、コネクティビティ1321等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した実施の形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、符号化装置11や復号装置12の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
<装置への適用例>
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置1200(図49)、携帯電話機1220(図50)、記録再生装置1240(図51)、撮像装置1260(図52)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を、本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、及びフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、又は、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置1200(図49)、携帯電話機1220(図50)、記録再生装置1240(図51)、撮像装置1260(図52)等に組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
<その他>
なお、本明細書では、各種情報が、符号化データ(ビットストリーム)に多重化されて、符号化側から復号側へ伝送される例について説明したが、これら情報を伝送する手法はかかる例に限定されない。例えば、これら情報は、符号化データに多重化されることなく、符号化データと関連付けられた別個のデータとして伝送され又は記録されてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、符号化データに含まれる画像(スライス若しくはブロック等、画像の一部であってもよい)と当該画像に対応する情報とを復号時にリンクさせ得るようにすることを意味する。すなわち、この符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、符号化データ(画像)とは別の伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、この符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、符号化データ(画像)とは別の記録媒体(又は同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されるようにしてもよい。さらに、画像とその画像に対応する情報とが、例えば、複数フレーム、1フレーム、又はフレーム内の一部分等の任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。
また、「合成する」、「多重化する」、「付加する」、「一体化する」、「含める」、「格納する」、「入れ込む」、「差し込む」、「挿入する」等の用語は、例えばフラグ情報と画像に関する情報の符号化データとを1つのデータにまとめるといった、複数の物を1つにまとめることを意味し、上述の「関連付ける」の1つの方法を意味する。
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、例えば、1つの装置(又は処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(又は処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(又は処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(又は処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(又は各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(又は処理部)の構成の一部を他の装置(又は他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術を、他の実施の形態において説明した本技術と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
なお、本技術は、以下の構成をとることができる。
<1>
予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる第1の画像の処理対象画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスに分類するクラス分類に用いられるクラスタップとなる画素を、前記第1の画像から選択することにより、前記クラスタップを構成するクラスタップ選択部と、
前記クラスタップを用いて、前記処理対象画素のクラス分類を行うクラス分類部と、
前記第1の画像に、前記処理対象画素のクラスに対応するフィルタ処理を行い、前記予測画像の予測に用いられる第2の画像を生成するフィルタ処理部と
を備え、
前記クラスタップ選択部は、前記クラスタップのタップ構造を、複数のタップ構造の中から選択されたタップ構造に更新する
画像処理装置。
<2>
前記フィルタ処理に関するフィルタ情報を伝送する伝送部をさらに備える
<1>に記載の画像処理装置。
<3>
前記フィルタ処理部は、
前記第1の画像の前記処理対象画素に対応する前記第2の画像の対応画素の画素値を求める予測演算に用いられる予測タップとなる画素を、前記第1の画像から選択することにより、前記予測タップを構成する予測タップ選択部と、
前記第1の画像に相当する生徒画像と、前記第1の画像に対応する元画像に相当する教師画像とを用いた学習により求められた、前記クラスごとの、前記予測演算に用いられるタップ係数のうちの、前記処理対象画素のクラスのタップ係数を取得するタップ係数取得部と、
前記処理対象画素のクラスのタップ係数と、前記処理対象画素の前記予測タップとを用いた前記予測演算を行うことにより、前記対応画素の画素値を求める演算部と
を有する
<2>に記載の画像処理装置。
<4>
前記フィルタ情報は、前記クラスごとのタップ係数を含む
<3>に記載の画像処理装置。
<5>
前記フィルタ情報は、前記複数のタップ構造の中から選択されたタップ構造を表すタップ構造情報を含む
<2>ないし<4>のいずれかに記載の画像処理装置。
<6>
前記複数のタップ構造それぞれを前記クラス分類に用いる適切さを表すタップ構造評価値に応じて、前記複数のタップ構造の中から、前記クラスタップのタップ構造を選択する選択部をさらに備える
<2>ないし<5>のいずれかに記載の画像処理装置。
<7>
前記予測符号化により得られる符号化データから取得可能な取得可能情報を用いて、前記複数のタップ構造の中から前記クラスタップのタップ構造を選択する選択規則に従い、前記複数のタップ構造の中から、前記クラスタップのタップ構造を選択するタップ構造選択部をさらに備える
<2>ないし<5>のいずれかに記載の画像処理装置。
<8>
前記フィルタ情報は、前記選択規則を含む
<7>に記載の画像処理装置。
<9>
前記取得可能情報は、前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方である
<7>又は<8>に記載の画像処理装置。
<10>
前記フィルタ情報は、前記クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を用いるかどうかを表すコピー情報を含む
<2>ないし<9>のいずれかに記載の画像処理装置。
<11>
前記フィルタ処理に関するフィルタ情報を受け取る受け取り部をさらに備える
<1>に記載の画像処理装置。
<12>
前記フィルタ処理部は、
前記第1の画像の前記処理対象画素に対応する前記第2の画像の対応画素の画素値を求める予測演算に用いられる予測タップとなる画素を、前記第1の画像から選択することにより、前記予測タップを構成する予測タップ選択部と、
前記第1の画像に相当する生徒画像と、前記第1の画像に対応する元画像に相当する教師画像とを用いた学習により求められた、前記クラスごとの、前記予測演算に用いられるタップ係数のうちの、前記処理対象画素のクラスのタップ係数を取得するタップ係数取得部と、
前記処理対象画素のクラスのタップ係数と、前記処理対象画素の前記予測タップとを用いた前記予測演算を行うことにより、前記対応画素の画素値を求める演算部と
を有する
<11>に記載の画像処理装置。
<13>
前記フィルタ情報は、前記クラスごとのタップ係数を含み、
前記タップ係数取得部は、前記フィルタ情報に含まれる前記クラスごとのタップ係数から、前記処理対象画素のクラスのタップ係数を取得する
<12>に記載の画像処理装置。
<14>
前記フィルタ情報は、前記複数のタップ構造の中から選択されたタップ構造を表すタップ構造情報を含み、
前記クラスタップ選択部は、前記クラスタップのタップ構造を、前記フィルタ情報に含まれる前記タップ構造情報が表すタップ構造に更新する
<11>ないし<13>のいずれかに記載の画像処理装置。
<15>
前記フィルタ情報は、前記複数のタップ構造の中から前記クラスタップのタップ構造を選択する選択規則を含み、
前記予測符号化により得られる符号化データから取得可能な取得可能情報を用いて、前記選択規則に従い、前記複数のタップ構造の中から、前記クラスタップのタップ構造を選択するタップ構造選択部をさらに備える
<11>ないし<13>のいずれかに記載の画像処理装置。
<16>
前記取得可能情報は、前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方である
<15>に記載の画像処理装置。
<17>
前記フィルタ情報は、前記クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を用いるかどうかを表すコピー情報を含み、
前記クラスタップ選択部は、前記フィルタ情報に含まれる前記コピー情報に応じて、前記クラスタップのタップ構造として、直前のタップ構造の更新時と同一のタップ構造を選択する
<11>ないし<16>に記載のいずれかに記載の画像処理装置。
<18>
前記フィルタ処理部は、ILF(In Loop Filter)を構成するDF(Deblocking Filter),SAO(Sample Adaptive Offset)、及び、ALF(Adaptive Loop Filter)のうちの1以上として機能する
<1>ないし<17>に記載のいずれかに記載の画像処理装置。
<19>
予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる第1の画像の処理対象画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスに分類するクラス分類に用いられるクラスタップとなる画素を、前記第1の画像から選択することにより、前記クラスタップを構成することと、
前記クラスタップを用いて、前記処理対象画素のクラス分類を行うことと、
前記第1の画像に、前記処理対象画素のクラスに対応するフィルタ処理を行い、前記予測画像の予測に用いられる第2の画像を生成することと
を含み、
前記クラスタップのタップ構造を、複数のタップ構造の中から選択されたタップ構造に更新する
画像処理方法。