JPWO2017213132A1 - エアロゾル消火デバイスを用いた電気化学装置 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの単電池を収納する密閉容器内の気体が放圧弁から外部に噴出する際に、当該気体の発火を抑制するとともに、発火した気体を直ちに消火することのできるエアロゾル消火デバイス及びこれを備えた電気化学装置の提供。本発明の電気化学装置は、複数の単電池を収納する密閉容器と、前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器の内圧が所定値以上になると前記密閉容器の内部を外部に開放する放圧弁と、燃焼によりエアロゾルを発生させ、当該エアロゾルを前記放圧弁から噴出する前記気体に混入するエアロゾル消火部と、を備えることを特徴とする。

Description

本発明は、燃焼によりエアロゾルを発生して火災を消火ないし抑制することができるエアロゾル消火デバイスを用いた電気化学装置に関する。
蓄電装置の収納容器内で火災が発生した場合に、点火回路部によりヒータを通電加熱し、固形消火剤に点火して燃焼させ、消火用エアロゾルを収納容器内に噴出して消火する電気自動車向け消火システムが知られている(例えば特許文献1)。
特開2014−33824号公報
例えば電気自動車に用いられる蓄電装置の容器は高い気密性を有している。そのため、容器に収納されている単電池の過熱によって当該単電池から電解液の蒸気が噴出すると、直ちに容器の内圧が上昇する。このとき、容器内で電解液の蒸気は発火せず、容器内の温度上昇は小さい。したがって、容器内の温度感知による消火を適時に実行することは困難である。
ところで、上記のような蓄電装置は、容器の内圧が所定値以上になると容器内部の気体を外部に噴出させる放圧弁を備えている。容器の内圧が上昇し、容器内の気体が放圧弁から噴出すると、当該気体は外部の空気と接触して燃焼するおそれがある。このような火炎に対して、上述した消火方式では、電解液の蒸気を含む気体が容器外部に噴出する際に、消火に貢献するのに足りるエアロゾルが残存していないおそれがある。
そこで、本発明は、密閉容器内の気体が放圧弁から外部に噴出する際に、当該気体の発火を抑制するとともに、発火した気体を直ちに消火することのできるエアロゾル消火デバイス及びこれを備えた蓄電装置等の電気化学装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決すべく、本発明は、少なくとも1つの単電池を収納する密閉容器と、前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器の内圧が所定値以上になると前記密閉容器の内部を外部に開放する放圧弁と、燃焼によりエアロゾルを発生させる消火剤、及び、前記放圧弁から噴出する前記気体に前記エアロゾルを混入する供給部、を含むエアロゾル消火部と、を備えることを特徴とする電気化学装置を提供する。
上記のような構成を有する本発明の電気化学装置では、前記消火剤が、前記放圧弁を通過する前記気体を熱源として熱分解すること、が好ましい。
上記のような構成を有する本発明の電気化学装置では、前記消火剤が、前記放圧弁の外周面を取り囲むように設けられること、が好ましい。
また、上記のような構成を有する本発明の電気化学装置では、前記筐体が、前記放圧弁に着脱自在に装着されること、が好ましい。
また、上記のような構成を有する本発明の電気化学装置は、前記密閉容器の内圧並びに前記放圧弁を流れる気体の温度及び流量のうち少なくとも1つが所定の基準値以上になると、前記消火剤に着火する着火具を更に備えること、が好ましい。
を更に備える
また、上記のような構成を有する本発明の電気化学装置では、前記消火剤が塩素酸カリウムを含み、DSC評価(100〜400℃、10℃毎分昇温)吸熱ピーク総量が100J/g〜900J/gであること、が好ましい。
また、本発明は、上記の本発明の電気化学装置に用いられるエアロゾル消火デバイスをも提供するものである。即ち、本発明は、複数の単電池を収納する密閉容器の内圧が所定値以上になると前記密閉容器の内部を外部に開放する放圧弁に設けられる筐体と、前記筐体に収納され、燃焼によりエアロゾルを発生させる消火剤と、前記放圧弁から噴出する前記気体に前記エアロゾルを混入する供給部と、を備えること、を特徴とする電気化学装置用エアロゾル消火デバイスをも提供する。
本発明によれば、密閉容器内の気体が放圧弁から外部に噴出する際に、当該気体の発火を抑制するとともに、発火した気体を直ちに消火することのできるエアロゾル消火デバイスを用いた電気化学装置を提供することができる。
第1実施形態におけるエアロゾル消火デバイスを含む蓄電装置の概略を示す図である。 第1実施形態に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。 変形例に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。 第2実施形態に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。
以下、本発明のエアロゾル消火デバイス(エアロゾル発生自動消火装置)及びこれを用いた電気化学装置の実施形態として、蓄電装置に代表させて、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではなく、また、本発明の電気化学装置は、二次電池を利用した蓄電装置だけではなく、燃料電池を含む各種電池を利用した発電装置も含む概念である。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
本実施形態に係るエアロゾル消火デバイスの典型的な適用例として、エアロゾル消火デバイスが適用された電気自動車用の蓄電装置(複数の単電池を含む電気化学装置)について説明する。ただし、エアロゾル消火デバイスは電気自動車以外の蓄電装置にも適用可能である。
[第1実施形態]
図1及び図2を参照して、第1実施形態におけるエアロゾル消火デバイスを含む蓄電装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る蓄電装置の概略を示す図である。図2は、第1実施形態に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。
<蓄電装置>
蓄電装置1は、図1に示すように複数の単電池11、容器12、放圧弁13、及びエアロゾル消火部14(エアロゾル消火デバイス)を含む。蓄電装置1は、例えば電気自動車の座席やトランクルームの下方に収納される。
複数の単電池11は、例えばリード線を介して接続された状態でパックされて組電池を形成している。単電池11は、例えばシート状、袋状、板状、円柱状、角柱状のように、容器12の形状に応じて任意の形状を取ってよい。
単電池11は、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池のような蓄電池(二次電池)を構成するセルである。単電池11は、過熱すると、図1のように電解液が蒸気15となって単電池11の外部(容器12内)に噴出する。容器12内に噴出した電解液の蒸気15は高温であるものの、酸素不足のため直ちには火災に至らない。
容器12は、複数の単電池11を収納するものであり、水没しても感電しないように高い密閉性を有する。また、容器12は、振動及び衝撃に耐えられる強度を有するように作製されている。したがって、単電池11が破裂して電解液の蒸気15が容器12中に噴出すると、容器12の内圧は直ちに上昇する。なお、容器12は、直方体形状でもよいし、設置空間に応じて任意の形状を取ってもよい。
内圧上昇による容器12の破裂を防止するべく、容器12には放圧弁13が設けられている。放圧弁13は、安全弁、防爆弁とも呼ばれる。
放圧弁13は、例えば図2(a)のように容器12を密閉する。容器12の内圧が所定値以上になると、放圧弁13は、例えば図2(b)のように、電解液の蒸気を含む容器12内の気体を外部に噴出させる。ここで所定値は、容器12の耐圧と同等か低い値に設定されてよい。
放圧弁13として使用される弁の種類に制限はないが、構成例を挙げると、放圧弁13は、図2のように筒部材131及び膜部材132を含んで構成される。筒部材131の横断面は円形状でも多角形状でもよい。
筒部材131は、気体の流路133を形成する部材であり、容器12の壁面に取り付けられ、容器12の内側と外側を連通する。筒部材131は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼のように、一定の強度を有しつつ伝熱性に優れた金属で形成されてもよい。
膜部材132は、筒部材131の開口端を覆う。ここでは、膜部材132は、容器12側の開口端を覆っているが、外側の開口端を覆ってもよいし、両方の開口端を覆ってもよい。膜部材132は、容器12の内圧が所定値以上になると破れ、容器12内の気体を筒部材131を介して外部に放出する(図2(b)参照)。
ここで、放圧弁13から噴出する気体は高温であり、外気の酸素と反応して火炎を発生させるおそれがある。このような火炎の発生を抑制するべく、エアロゾル消火部(エアロゾル消火デバイス)14が設けられている。ここでは、エアロゾル消火部14は、放圧弁13の外周面を取り囲むように設けられているが、これに限られない。エアロゾル消火デバイス14の詳細については以下に述べる。
<エアロゾル消火デバイス>
エアロゾル消火デバイス14は、エアロゾルを発生させて放圧弁13を通過する気体に混入させる。エアロゾル消火デバイス14は、図2(a)に示すように筐体141、消火剤142、及び供給部143を含む。
筐体141は、放圧弁13の外周面を覆うように設けられ、消火剤142を保護及び収納する。筐体141は、筒状(横断面は円形状でも多角形状でもよい。)であればよいが、例えば放圧弁13が円筒状を呈している場合には、例えば円筒状に形成されてよい。筐体141は、放圧弁13を通過する気体の熱を消火剤142に伝えるように、また、蓄電装置1に加えられる振動及び衝撃に耐えられるように、例えば鉄、ステンレス鋼のような金属で作製されてよい。なお、筐体141は、放圧弁13の一部品ないし一要素として構成されてもよい。
消火剤142は、燃焼によりエアロゾルを発生させる薬剤である。消火剤142は、放圧弁13から噴出する気体を熱源として熱分解し、燃焼する。つまり、消火剤142は、放圧弁13を介して伝わる、放圧弁13を流れる気体の熱によって燃焼する。
消火剤142は、塩素酸カリウムとエアロゾル発生成分とを含む非火薬の組成物でもよいし、化薬組成物でもよい。消火剤142の組成については追って述べる。
消火剤142は、放圧弁13及び筐体141の形状に応じて任意の形状に成形されてよく、例えば放圧弁13が円筒状を呈している場合には、消火剤142は、放圧弁13の外周面を覆うように円筒状あるいはドーナツ状(リング状)に形成されてもよい。また、消火剤142は、放圧弁13から噴出する気体を十分に消火し得るエアロゾルを発生させるだけの容量を有するとよい。
供給部143は、消火剤142において発生したエアロゾルを、放圧弁13を流れる気体に混入させる。具体的な一例を図2に挙げると、供給部143は、放圧弁13における気体の流路133と、筐体141の内部空間と、を連絡する(図2(a)参照)。筐体141の内部空間において消火剤142の燃焼によって発生したエアロゾルは、供給部143を介して流路133に供給されることになる(図2(b)参照)。
<消火剤組成物>
本実施形態で用いられる消火剤組成物について説明する。消火剤組成物としては、火薬の分類に属するものも属しないものも、種々のものを用いることができる。
本実施形態における消火剤は、例えば、燃料(A成分)20〜50質量%及び塩素酸塩(B成分)80〜50質量%を含有し、更に前記燃料及び前記塩素酸塩の合計量100質量部に対して、6〜1000質量部のカリウム塩(C成分)を含有し、熱分解開始温度が90℃超〜260℃の範囲である。
A成分である燃料は、B成分である塩素酸塩と共に燃焼により熱エネルギーを発生させて、C成分のカリウム塩に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
かかるA成分の燃料としては、例えば、ジシアンジアミド、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、尿素、メラミン、メラミンシアヌレート、アビセル、グアガム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシルメチルセルロースカリウム、カルボキシルメチルセルロースアンモニウム、ニトロセルロース、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、マグナリウム、ジルコニウム、チタン、水素化チタン、タングステン及びケイ素のうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。なかでも、エアロゾルを発生させて消火するという本発明の効果をより確実に得られるという観点から、カルボキシルメチルセルロースナトリウムが特に好ましい。
B成分の塩素酸塩は強力な酸化剤であり、A成分の燃料と共に燃焼により熱エネルギーを発生させ、C成分のカリウム塩に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
かかるB成分の塩素酸塩としては、例えば塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸ストロンチウム、塩素酸アンモニウム及び塩素酸マグネシウムのうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。なかでも、本発明の効果をより確実に得られるという観点から、塩素酸カリウムが特に好ましい。
ここで、A成分の燃料とB成分の塩素酸塩の合計100質量%中の含有割合は、以下のとおりである。
A成分:20〜50質量%
好ましくは25〜40質量%
より好ましくは25〜35質量%
B成分:80〜50質量%
好ましくは75〜60質量%
より好ましくは75〜65質量%
次に、C成分のカリウム塩は、A成分とB成分の燃焼により生じた熱エネルギーによりエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させるための成分である。
かかるC成分のカリウム塩としては、例えば酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三水素一カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、シュウ酸二カリウム及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1種から選ばれるものが好ましい。なかでも、本発明の効果をより確実に得られるという観点から、酢酸カリウム又はクエン酸三カリウムが特に好ましい。
C成分の含有割合は、A成分とB成分の合計量100質量部に対して、6〜1000質量部であるのが好ましく、より好ましくは10〜900質量部、特に好ましくは10〜100質量部である。
更に、本実施形態の消火剤組成物は、熱分解開始温度が90℃超〜260℃の範囲のものであり、好ましくは150℃超〜260℃のものである。このような熱分解開始温度の範囲は、上記のA成分、B成分及びC成分を上記の割合で組み合わせることで調製することができる。
本実施形態の消火剤組成物は、上記の熱分解開始温度の範囲を満たすことで、例えば点火装置等を使用することなく、放圧弁13を通過する気体の熱を熱源としてA成分とB成分が自動的に着火燃焼して、C成分に由来するエアロゾル(カリウムラジカル)を発生させて消火することができる。
更に、本実施形態の消火剤組成物は、塩素酸カリウムを含み、DSC評価(100〜400℃、10℃毎分昇温)吸熱ピーク総量が100J/g〜900J/gであること、より確実に消火性能を発揮するという観点から好ましい。なお、上記のA成分、B成分及びC成分の組合せ及び配合割合を調整することによって、上記吸熱ピーク総量を制御できるが、A成分にカルボキシルメチルセルロースナトリウム、B成分に塩素酸カリウム、C成分に酢酸カリウム又はクエン酸三カリウムを用いる場合に、より確実に上記吸熱ピーク総量を上記の範囲に制御できる。
<エアロゾル消火デバイスの動作>
上記のような構成を有するエアロゾル消火デバイス14の動作を、図2を参照して説明する。
容器12の内圧が所定値未満であるとき、例えば図2(a)のように放圧弁13は閉じており、容器12は密閉されている。
例えば単電池11から電解液の蒸気が噴出すると、容器12の内圧が上昇する。そして、容器12の内圧が所定値以上になると、放圧弁13は、例えば図2(b)のように膜部材132が破れることで、容器12の内部を外部に開放させ、容器12内の高温・高圧の気体を例えば筒部材131を介して外部に噴出させる(なお、容器12の内圧が所定値を超えた場合に膜部材132が破れるように設計してもよい)。このとき、放圧弁13を通過する気体の熱で筐体141内の消火剤142が発火し、エアロゾルを発生させる。発生したエアロゾルは、供給部143を通って、放圧弁13を通過する気体に混入する。エアロゾルの作用により、放圧弁13から噴出する気体は、着火を抑制されるか、あるいは、着火後直ちに消火されることになる。
以上のように、第1実施形態に係るエアロゾル消火デバイス14によれば、容器12内の気体が放圧弁13から噴出する際に、十分なエアロゾルを供給することができる。よって、放圧弁13から噴出した気体が発火することを抑制し、また、発火した場合でも直ちに消火することが可能となる。
また、エアロゾル消火デバイス14は、放圧弁13を通過する気体の熱で自動的に発火し、電気式の着火具を必要としない。したがって、シンプルでコンパクトな消火デバイスを提供することができる。
[変形例]
図3を参照して、第1実施形態の変形例におけるエアロゾル消火デバイスを含む蓄電装置を説明する。図3は、変形例に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。
蓄電装置2は、複数の単電池(図示せず)、容器22、放圧弁23、及びエアロゾル消火部(エアロゾル消火デバイス)24を含む。複数の単電池(図示せず)、容器22、及び放圧弁23は、第1実施形態における複数の単電池11、容器12、及び放圧弁13と同様である。
ただし、放圧弁23は、消火剤242が放圧弁23を通過する気体に曝されるように、消火剤242を流路233に露出させる開口234を有している。後述するように、消火剤242において発生したエアロゾルは開口234を介して流路233に流れ込むことになるから、開口234は供給部に相当すると言える。
エアロゾル消火デバイス24は、放圧弁23の外周面に取り付けられる。ここでは、エアロゾル消火デバイス24は、放圧弁23における容器22の外側の外周面に取り付けられているが、エアロゾル消火デバイス24は、放圧弁23における容器22の内側の外周面に取り付けられてもよい。かかるエアロゾル消火デバイス24は、筐体241、及び消火剤242を含む。
筐体241は、消火剤242を収納及び保護する容器である。筐体241は、放圧弁23の筒部材231の周面に亘って設けられてもよいし、筒部材231の周面の一部分を覆うように設けられてもよいが、いずれの場合でも筐体241は筒部材231に形成された開口234を覆うように設けられる。筐体241はまた、図3(a)において破線で示すように、筒部材231に着脱自在に装着されてもよく、これによりエアロゾル消火デバイス34の放圧弁33への装着及び交換が容易になる。
消火剤242は、筐体241に収納されるとともに、筒部材231の開口234を臨むように配置される。消火剤242の成分は、第1実施形態に係る消火剤142と同様でよい。
上述した構成を有する蓄電装置2では、容器22の内圧が所定値未満であるとき、例えば図3(a)のように放圧弁23は閉じており、容器22は密閉されている。
容器22の内圧が上昇して所定値以上になると、放圧弁23は、例えば図3(b)のように膜部材232が破れることで、容器22内の高温・高圧の気体を例えば放圧弁23を介して外部に噴出させる。このとき、放圧弁23の流路233を通過する気体に曝されることで、消火剤242が発火し、エアロゾルを発生させる。発生したエアロゾルは、流路233に流れ込み、流路233を通過する気体に混入する。エアロゾルの作用により、放圧弁13から噴出する気体は、着火を抑制されるか、あるいは、着火後直ちに消火されることになる。
以上のように、変形例に係るエアロゾル消火デバイス24によれば、第1実施形態と同様に、容器22内の気体が放圧弁23から噴出する際に、消火のために十分なエアロゾルを供給することができるとともに、電気式の着火具を必要としないことから、シンプルでコンパクトな消火デバイスを提供することができる。
更に、エアロゾル消火デバイス24が放圧弁23に着脱自在に装着されることで、エアロゾル消火デバイス24の取付け及び交換が容易となる。
[第2実施形態]
図4を参照して、第2実施形態におけるエアロゾル消火デバイスを含む蓄電装置を説明する。図4は、第2実施形態に係るエアロゾル消火デバイスを説明する図である。
蓄電装置3は、複数の単電池(図示せず)、容器32、放圧弁33、及びエアロゾル消火部34(エアロゾル消火デバイス)を含む。複数の単電池(図示せず)、容器32、及び放圧弁33は、第1実施形態における複数の単電池11、容器12、及び放圧弁13と同様である。
エアロゾル消火デバイス34は、放圧弁13に取り付けられ、筐体341、消火剤342、供給管343、及び着火具344を含む。第2実施形態では、エアロゾル消火デバイス34は容器32の外部に設けられているが、容器32の内側に設けられてもよい。
筐体341は、消火剤342を収納及び保護する容器である。筐体341は、放圧弁33の筒部材331に着脱自在に装着されてもよく、これによりエアロゾル消火デバイス34の放圧弁33への装着及び交換が容易になる。
消火剤342は、筐体341に収納される。消火剤342の成分及び容量は、第1実施形態に係る消火剤142と同様でよい。
供給管343は、消火剤342において発生したエアロゾルを放圧弁33の流路333に供給するために、筐体341と筒部材331とを接続する。
着火具344は、消火剤342に着火する、例えば電気式の器具である。着火具344は、図示しないセンサの測定結果に基づいて火花を発生させ、これにより消火剤342を発火させる。センサの一例として、容器32の内圧を測定する圧力センサや、流路333を流れる気体の温度、流量又は流速を測定する温度センサ又は流量センサが挙げられる。これらセンサの計測値が予め設定された所定値以上になると、着火具344が消火剤342に着火する。
上述した構成を有する蓄電装置3では、容器32の内圧が所定値未満であるとき、例えば図4(a)のように放圧弁33は閉じており、容器32の内部空間は密閉されている。
容器32の内圧が上昇して所定値以上になると、放圧弁33は、例えば図4(b)のように膜部材332が破れることで、容器32内の高温・高圧の気体を放圧弁33を介して外部に噴出させる。このとき、例えば圧力センサ(図示せず)の計測値が閾値以上になるため、着火具344が消火剤342に着火し、これによりエアロゾルが発生する。あるいは、筒部材331を流れる気体がセンサ(例えば温度センサ又は流量センサ)で検出されると、着火具344が消火剤342に着火し、これによりエアロゾルが発生する。いずれの場合でも、発生したエアロゾルは、流路333を通過する気体に混入する。そして、エアロゾルの作用により、放圧弁13から噴出する気体は、着火を抑制されるか、あるいは、着火後直ちに消火されることになる。
以上のように、第2実施形態に係るエアロゾル消火デバイス34によれば、第1実施形態と同様に、容器32内の気体が放圧弁33から噴出する際に、消火のために十分なエアロゾルを供給することができる。また、エアロゾル消火デバイス34が放圧弁33に着脱自在に装着されることで、エアロゾル消火デバイス34の取付け及び交換が容易となる。
なお、上述したように、本発明の電気化学装置は、二次電池を利用した蓄電装置だけではなく、燃料電池を含む各種電池を利用した発電装置も含む概念である。そして、例えば燃料電池を含む発電装置に本発明を適用する場合は、消火剤組成物中に、水素を酸化するための酸化触媒を添加しておくのが好ましい。かかる酸化触媒としては、例えば白金やパラジウム担持の貴金属触媒や酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物が挙げられる。
1,2,3・・・蓄電装置、
11・・・単電池、
12,22,32・・・容器、
13,23,33・・・放圧弁、
14,24,34・・・エアロゾル消火部(エアロゾル消火デバイス)、
141,241,341・・・筐体、
142,242,342・・・消火剤、
143,343・・・供給部。

Claims (6)

  1. 少なくとも1つの単電池を収納する密閉容器と、
    前記密閉容器に設けられ、前記密閉容器の内圧が所定値以上になると前記密閉容器の内部を外部に開放する放圧弁と、
    燃焼によりエアロゾルを発生させ、当該エアロゾルを前記放圧弁から噴出する気体に混入するエアロゾル消火部と、
    を備えることを特徴とする電気化学装置。
  2. 前記消火剤は、前記放圧弁を通過する気体を熱源として熱分解すること、
    を特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
  3. 前記消火剤は、前記放圧弁の外周面を取り囲むように設けられること、
    を特徴とする請求項2に記載の電気化学装置。
  4. 前記筐体は、前記放圧弁に着脱自在に装着されること、
    を特徴とする請求項3に記載の電気化学装置。
  5. 前記密閉容器の内圧並びに前記放圧弁を流れる気体の温度及び流量のうち少なくとも1つが所定の基準値以上になると、前記消火剤に着火する着火具
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
  6. 前記消火剤が塩素酸カリウムを含み、
    DSC評価(100〜400℃、10℃毎分昇温)吸熱ピーク総量が100J/g〜900J/gであること、
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学装置。
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