以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
図1から図10は本発明の実施形態1を示したものであり、図1は内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
この内視鏡装置は、内視鏡1と、処理システム2と、表示装置4とを備え、必要に応じてさらにデータベース3を備えていてもよい。以下では、データベース3を備えていない場合を例に挙げて説明し、データベース3を備えている場合については適宜説明する。
内視鏡1は、3次元形状を有する被検体の内部を観察するために、被検体の内部の画像を取得する画像取得装置であり、撮像部11と、照明部12と、位置方位検出部13と、を備えている。これら撮像部11、照明部12、および位置方位検出部13は、例えば、内視鏡1の、被検体に挿入される挿入部の先端部に配置されている。
なお、本実施形態においては、3次元形状を有する被検体として腎臓の腎盂腎杯を例に挙げるが、これに限定されるものではなく、複数の管路を有し内視鏡観察が可能な被検体であれば広く適用することができる。
照明部12は、被検体の内部へ向けて照明光を照射する。
撮像部11は、照明光を照射された被検体の内部の光学像を光学系により結像して、撮像素子等により光電変換を行い、撮像画像信号を生成する。
位置方位検出部13は、内視鏡1の挿入部の先端部の3次元位置を検出して位置情報として出力すると共に、内視鏡1の挿入部の先端部が向く方向を検出して方位情報として出力する。例えば、xyz座標系を設定する場合には、位置情報は(x,y,z)座標により表され、方位情報はx軸周りの角度、y軸周りの角度、およびz軸周りの角度により表される(従って、位置方位検出部13は、例えば6Dセンサなどとも呼ばれる)。なお、内視鏡1の位置情報および方位情報は、その他の適宜の方法(例えば極座標系など)を用いて表しても勿論構わない。
処理システム2は、内視鏡1の制御を行うと共に、必要に応じてデータベース3と通信し、内視鏡1から取得された撮像画像信号、位置情報および方位情報を処理して、表示用の画像データや記録用の画像データを生成し、表示装置4等へ出力するものである。なお、この処理システム2は、単一の装置として構成されていてもよいし、光源装置やビデオプロセッサなどの複数の装置から構成されていても構わない。
この処理システム2は、画像処理部21と、3次元モデル生成部22と、画像生成部23と、提示制御部24と、照明制御部25と、制御部26と、を備えている。
画像処理部21は、撮像部11から出力された撮像画像信号から撮像画像を生成し、生成した撮像画像に対して、例えば、デモザイキング処理(または同時化処理)、ホワイトバランス処理、カラーマトリクス処理、ガンマ変換処理などの各種の画像処理を行って、内視鏡画像EI(図2参照)を生成する。
3次元モデル生成部22は、被検体の3次元モデルデータを生成する。例えば、3次元モデル生成部22は、画像処理部21により生成された内視鏡画像EI(あるいは、画像処理部21により3次元モデル生成用に画像処理された内視鏡画像EI)と、この内視鏡画像EIを生成する元となった撮像画像が撮像されたときに位置方位検出部13により検出された位置情報および方位情報と、を制御部26を介して複数フレーム分取得する。
そして、3次元モデル生成部22は、複数フレームの内視鏡画像EIの位置関係を各フレームの位置情報および方位情報に基づき整合させながら、立体的な3次元モデルデータを生成するようになっている。この場合には、観察が進むにつれて3次元モデルデータが次第に構築され、ひいては、画像生成部23による3次元モデル画像M3(図2等参照)の生成が次第に進むことになる。
ただし、3次元モデル生成部22による3次元モデルデータの生成方法は、これに限定されるものではない。例えば、被検体に対する内視鏡検査が2回目もしくはそれ以降であり、過去の内視鏡検査によって生成された3次元モデルデータがデータベース3に既に記録されている場合には、その3次元モデルデータを用いてもよい。あるいは、被検体に対して造影CT撮影を行って取得したデータがデータベース3に既に記録されている場合には、その造影CTデータを用いて3次元モデルデータを生成するようにしても構わない。
このデータベース3には、さらに、後述する図2に示すような進捗マップPMの元となる腎盂腎杯モデルが予め記憶されている。ここに、記憶する腎盂腎杯モデルは、例えば標準的な腎盂腎杯モデル(すなわち、人体の平均的な腎盂腎杯形状に基づくモデル)であってもよいし、近年提案されているような、多数の症例に基づいて分類を行った複数パターンの腎盂腎杯モデルであっても構わないし、被検体の3次元モデルデータを模式化して生成された腎盂腎杯モデルであってもよいし、その他のモデルであっても構わない(すなわち、腎盂腎杯モデルは特定のモデルに限定されるものではない)。また、腎盂腎杯モデルは、データベース3に記憶されるに限るものではなく、処理システム2内の制御部26が備える記憶装置等に記憶されていても構わない。
画像生成部23は、3次元モデル生成部22により生成された3次元モデルデータに基づいて3次元モデル画像M3(図2等参照)を生成する。この3次元モデル画像M3は、例えば、3次元の被検体像をある視線方向から見たときの像であり、視線方向は変更可能となっている(すなわち、視線方向の変更に伴い、3次元モデル画像M3が回転するようになっている)。なお、上述した3次元モデル生成部22および画像生成部23は、3次元モデル画像生成部を構成している。
提示制御部24は、画像生成部23が生成した3次元モデル画像M3に関連付けて、後述する進捗情報生成部27が生成した進捗情報PI(図2等参照)を提示する。ここに、提示制御部24は、3次元モデル画像M3と進捗情報PIとを並べて提示する(図2等参照)ことで、3次元モデル画像M3と進捗情報PIとの関連付けを行ってもよい。あるいは、提示制御部24は、3次元モデル画像M3に進捗情報PIを重畳して提示することで、3次元モデル画像M3と進捗情報PIとの関連付けを行っても構わない。また、提示制御部24は、画像処理部21により生成された内視鏡画像EIも提示する。この提示制御部24による進捗情報PI、3次元モデル画像M3、および内視鏡画像EIの提示は、表示装置4や図示しない記録装置(この記録装置はデータベース3であっても構わない)への出力であるために、提示制御部24を出力情報制御部と呼ぶこともできる。
照明制御部25は、照明部12が照射する照明光のオン/オフや光量を制御するものである。ここに、照明制御部25が光源装置であって照明部12がライトガイド等であってもよいし、照明制御部25が発光制御回路であって照明部12がLED等の発光源であっても構わない。
制御部26は、処理システム2の全体を制御し、さらに内視鏡1の制御も行うものであり、上述した画像処理部21、3次元モデル生成部22、画像生成部23、提示制御部24、および照明制御部25と接続されている。
この制御部26は、内視鏡1による被検体の観察の進捗状況を示す進捗情報PIを生成する進捗情報生成部27を備えている。進捗情報生成部27が生成する進捗情報PIの具体例については、後で図面を参照して説明する。
データベース3は、例えば院内システム等を介して処理システム2に接続されており、上述したように、被検体の造影CTデータ、造影CTデータに基づき生成された被検体の3次元モデルデータ、過去の内視鏡検査によって生成された被検体の3次元モデルデータ、あるいは進捗マップPMの元となる腎盂腎杯モデルなどを記録している。
表示装置4は、1つまたは複数のモニタ等を有して構成されており、提示制御部24から出力された内視鏡画像EI、3次元モデル画像M3、および進捗情報PIを含む提示画像を表示する。
図2は、第1の例の進捗情報表示部4cを含む表示装置4の表示画面4iの、観察途中の様子を示す図である。
表示画面4iには、内視鏡画像表示部4aと、3次元モデル画像表示部4bと、進捗情報表示部4cと、が設けられている。
内視鏡画像表示部4aには、画像処理部21により生成された内視鏡画像EIが表示されている。
3次元モデル画像表示部4bには、画像生成部23により生成された3次元モデル画像M3が表示されている。この図2に示す3次元モデル画像M3は、上述したような、観察が進むにつれて構築されていく3次元モデル画像M3であるために、既に観察が行われた観察済み領域ORが表示されると共に、未観察領域UORが存在することを、未観察領域UORへの接続部分の表示態様(例えば、色(色相、彩度、明度)、模様、または色と模様の組み合わせなど)を異ならせることで表示している。幾つかの具体例を挙げれば、未観察領域UORを赤の色相で表示する(赤色表示)、未観察領域UORの彩度を下げて表示する(モノクロ表示)、未観察領域UORの明度を上げて表示する(ハイライト表示)、等である。また、ここで表示された未観察領域UORをさらに強調して表示するために、点滅させながら表示させる態様であってもよい。
進捗情報表示部4cには、進捗情報PIが表示されている。なお、図示の例では、進捗情報表示部4cは、3次元モデル画像表示部4bよりもやや小さめの表示部となっているが、後述するように、各表示部の表示位置や表示サイズを可変としてもよい。
この進捗情報PIは、例えば、進捗マップPMと、結石マーク表示PRと、を含んでいる。
進捗マップPMは、観察対象(ここでは、例えば腎臓)の腎盂腎杯構造を模式化して表示すると共に、観察済み領域ORと未観察領域UORとで表示態様(上述したように、例えば、色、模様、または色と模様の組み合わせなど)を異ならせたものである(図2においては、表示態様が異なることをハッチングを付して示している)。
具体的に、腎臓は、管路構造をなす複数の部分領域である腎杯を備えている。そこで例えば、腎臓が備える全ての腎杯の個数(あるいは、腎臓が備えると推定された全ての腎杯の個数)に対する観察済みの腎杯の個数の割合を示す情報を、表示態様を異ならせることで表示する等を行えばよい。
より詳細に、腎杯を、上腎杯、中腎杯、下腎杯に分類して、各部分毎の進捗情報PIを表示する場合には、上腎杯に存在する腎杯の全個数に対して、上腎杯において観察済みとなって腎杯の個数の割合を進捗マップPMにおける上腎杯の部分に表示し、同様に算出した結果の表示を中腎杯、下腎杯についてもそれぞれ行えばよい(図2等参照)。
こうして、進捗マップPMを見れば、観察対象全体のどの程度の割合が観察済みとなったかを直感的により容易に判別することができるようにしている。
ただし、進捗情報PIは、部分領域の個数の割合に基づき算出するに限るものではなく、例えば、体積の割合、あるいは面積の割合に基づき算出しても構わない。
体積の割合に基づき算出する場合には、被検体の予め定められた領域の体積、例えば被検体の全領域の体積(既知でない場合には、被検体の全領域の推定された体積)に対する観察済み領域ORの体積の割合を算出して、進捗情報PIとして用いればよい。
また、面積の割合に基づき算出する場合には、被検体の予め定められた領域の面積、例えば被検体の全領域の面積(既知でない場合には、被検体の全領域の推定された面積)に対する観察済み領域ORの面積の割合を算出して、進捗情報PIとして用いればよい。
さらにあるいは、進捗情報PIとして割合を算出するのに代えて、被検体が備える全ての部分領域の個数、および観察済みの部分領域の個数を、進捗情報PIとして用いてもよい。
加えて、進捗情報PIとして、未観察の部分領域の個数を(必要に応じて、全ての部分領域の個数と共に)表示しても構わない。ここに、未観察の部分領域の個数は、推定される全体の部分領域の個数から、観察済みの部分領域の個数を減算することにより算出される。
なお、腎杯が観察済みであることは、腎杯内部の観察が完全に(つまり、10割)済んだことにより判定するに限るものではなく、例えば、腎杯内部の観察が8割程度済んだことにより判定するようにしても構わないし、事前に任意の割合を設定しても良い。
この図2に示す進捗マップPMは、腎杯を、上腎杯、中腎杯、下腎杯の3つに区分する標準的なモデルを採用したものであるが、これに限らず、さらに詳細なモデルを用いてもよい。例えば、上述したような、多数の症例に基づいて分類された複数の腎盂腎杯モデルがあって、例えば被検体の3次元モデルデータが既に存在する場合には、3次元モデルデータに基づいて複数の腎盂腎杯モデルの中から適合するものを選択して進捗マップPMとして用いてもよい。また、上述したように、被検体の3次元モデルデータを模式化して生成された進捗マップPMでも構わない。さらにあるいは、後述するように、被検体の3次元モデル画像を進捗マップPMとして利用してもよい。
また、結石マーク表示PRは、マーキングを行う対象の個数に対する、既にマーキングを行った対象の個数を示す情報を表示する部分である。本実施形態におけるマーキングを行う対象は、例えば結石である。すなわち、他の方法(例えば単純CT撮影など)で予め取得されている結石の個数に対して、マーキングが既に行われた結石の個数が表示されている。
具体的に、図2に示す例では、上腎杯に存在する2つの結石の内の1つが既にマーキングされ、中腎杯には結石が存在しておらず、下腎杯に存在する1つの結石が既にマーキングされた状態が示されている。
なお、図2に示した例において、内視鏡画像表示部4aと、3次元モデル画像表示部4bと、進捗情報表示部4cと、の表示位置や表示サイズを、それぞれ独立に所望に変更することができるようにしてもよい。一例を挙げれば、内視鏡画像表示部4aを表示画面4iの右側に大きく表示し、進捗情報表示部4cを表示画面4iの左上に小さく表示し、3次元モデル画像表示部4bを表示画面4iの左下に中程度の大きさで表示する、等である。例えば、内視鏡画像表示部4a、3次元モデル画像表示部4b、および進捗情報表示部4cを、それぞれ1つのウィンドウとして表示するようにすれば、こうした表示位置や表示サイズの変更を容易に行うことができる。
また、図2に示した例では、表示装置4が1つのモニタで構成される場合を想定して、表示画面4iを1つとしたが、上述したように、複数のモニタに分けて表示してもよい。例えば、表示装置4が2つのモニタを備える構成として、内視鏡画像表示部4aを第1のモニタに表示し、3次元モデル画像表示部4bおよび進捗情報表示部4cを第2のモニタに表示するようにしてもよい。さらには、表示装置4が3つのモニタを備える構成として、内視鏡画像表示部4aと、3次元モデル画像表示部4bと、進捗情報表示部4cと、をそれぞれ異なるモニタに表示するようにしても構わない。
また、図3は、第1の例の進捗情報表示部4cの観察開始時の様子を示す図である。
図示のように、観察開始時には、進捗マップPMは全て未観察領域UORに対応する表示態様となっており、結石マーク表示PRもマーキングされた結石が0であることを示している。
図4は第2の例の進捗情報表示部4cの観察開始時の様子を示す図、図5は第2の例の進捗情報表示部4cの観察途中の様子を示す図である。
図4および図5に示す進捗情報表示部4cの第2の例においては、進捗マップPMとして単に円グラフが表示されている。また、進捗マップPMが上腎杯、中腎杯、下腎杯に区分されていないのに対応して、結石マーク表示PRも、腎臓の全ての腎杯に存在する3つの結石に対して、何個の結石がマーキング済みであるかを表示するものとなっている。
図6は、内視鏡装置の作用を示すフローチャートである。なお、ここでは、被検体の腎盂腎杯の正確な形状がまだ不明であるために、標準的な腎盂腎杯モデルに基づき進捗情報PIを表示する例について説明する。
この処理を開始すると、まず、標準的な腎盂腎杯モデルに基づく腎杯の総数を取得すると共に、既知となっている被検体の結石の総数を取得する(ステップS1)。ここに、被検体の結石の数は、図2および図3に示したように、例えば、上腎杯、中腎杯、下腎杯のそれぞれにおいて何個ずつであるかを取得することが好ましいが、図4および図5に示したように、全腎杯で何個であるかを取得することであっても構わない。
そして、内視鏡1による腎杯の観察を開始する(ステップS2)。
腎杯を観察している途中で、標準的な腎盂腎杯モデルとは異なる新たな腎杯を発見したか否かを判定し(ステップS3)、発見した場合には、観察対象となる腎杯の総数を更新する(ステップS4)。
このステップS4の処理を行うか、またはステップS2において新たな腎杯を発見していないと判定された場合には、ステップS1において取得した結石以外の新たな結石を発見したか否かを判定し(ステップS5)、発見した場合には、結石の総数を更新する(ステップS6)。
ステップS6の処理を行うか、またはステップS5において新たな結石を発見していないと判定された場合には、1つの腎杯が観察済みになったか否かを判定する(ステップS7)。
ここで、1つの腎杯が観察済みになったと判定された場合には、腎杯の総数に対する観察済みの腎杯の数の割合を示す進捗マップPMを生成して、生成した進捗マップPMにより進捗情報表示部4cの表示を更新する(ステップS8)。このときには、図2および図3に示したように、上腎杯、中腎杯、下腎杯のそれぞれにおいてどの程度の割合まで観察が行われたかを示す進捗マップPMを生成すると、より効率的に観察を進めることができて好ましい。
ステップS8の処理を行うか、またはステップS7においてまだ腎杯が観察済みに至っていないと判定された場合には、上述したステップS3から後述するステップS11までのループを回っている間に、新たに1つの結石にマーキングを行ったか否かを判定し(ステップS9)、マーキングを行った場合には、結石マーク表示PRを更新する(ステップS10)。
その後、内視鏡観察を終了するか否かを判定し(ステップS11)、終了しない場合には、上述したステップS3へ戻って内視鏡観察を続行する。
一方、ステップS11において、内視鏡観察を終了すると判定された場合には、この処理を終了する。
なお、上述では、内視鏡観察を開始する段階では被検体の腎盂腎杯の正確な形状が不明であることを前提としていたが、内視鏡観察が2回目以降である場合や造影CTデータを予め取得している場合などの、腎盂腎杯の形状が予め分かっている場合には、被検体に合わせた腎盂腎杯モデルを用いることで、進捗情報PIをより適切に表示することが可能となる。
図7および図8を参照して、被検体に合わせた腎盂腎杯モデルを用いる例を説明する。図7は、第3の例の進捗情報表示部4cの観察開始時の様子を示す図、図8は第3の例の進捗情報表示部4cの観察途中の様子を示す図である。
進捗情報表示部4cに表示された進捗マップPMは、図7および図8に示す第3の例では、被検体の腎盂腎杯形状に合わせたより詳細な腎盂腎杯モデルに基づくものとなっている。さらに、結石のマーキングが行われた場合には、図8に示すように、進捗マップPM上に、マーキングが行われた結石が存在することを示すマークMKが、マーキングが行われた結石の位置に概略対応する位置に表示される(すなわち、進捗情報生成部27が、マークMKを含むように進捗情報を生成する)。
また、図9は、第4の例の進捗情報表示部4cの観察途中の様子を示す図である。
被検体の腎盂腎杯の形状が不明である場合には、進捗マップPMとして標準的な腎盂腎杯モデルを使用することになり、進捗情報表示は、概略の進捗の度合いを示す表示となる。これに対して、内視鏡観察の前に被検体の腎盂腎杯形状が分かっている場合には、上述したように、被検体の全領域の体積(または面積)に対する観察済み領域ORの体積(または面積)の割合は、進捗の度合いを高い精度で示す情報となる。この場合には、図9に示すように、進捗情報PIとして、進捗割合NVをさらに表示するようにしてもよい。この図9の例では、進捗割合NVがパーセント数値により表示されていて、上腎杯の観察が50%完了し、中腎杯の観察が50%完了し、下腎杯の観察が70%完了したことが示されている。
なお、ここでは上腎杯、中腎杯、下腎杯に分けて%表示を行ったが、さらに詳細に、全ての腎杯に対してそれぞれの腎杯毎に%表示してもよいし、あるいは結石が存在する腎杯のみについて%表示しても構わない。
図10は、第5の例の進捗情報表示部4cの観察途中の様子を示す図である。
この図10に示す例では、進捗情報表示部4cの表示をより簡略化して、上腎杯(U)の観察が50%完了し、中腎杯(M)の観察が50%完了し、下腎杯(D)の観察が70%完了したことを、例えば表における数値として示したものとなっている。このとき、上述した各例と同様に、全結石の個数に対する結石マーク表示の完了個数をさらに追加して表示しても勿論構わない。
このような実施形態1によれば、内視鏡1による被検体の観察の進捗状況を示す進捗情報PIを生成して、3次元モデル画像M3に関連付けて提示するようにしたために、内視鏡観察の進捗状況、つまり内視鏡観察がどの程度の段階まで進んだかの状況を直感的により容易に把握することができ、ユーザビリティーが向上する。
また、進捗情報PIが、被検体の全領域の体積に対する観察済み領域ORの体積の割合を示す情報を含むようにしたために、体積割合に基づく正確な進捗状況の表示が可能となる。
あるいは、進捗情報PIが、被検体の全領域の面積に対する観察済み領域ORの面積の割合を示す情報を含むようにした場合には、面積割合に基づく正確な進捗状況の表示が可能となる。
そして、進捗情報PIが、被検体が備える全ての部分領域の個数に対する観察済みの部分領域の個数の割合を示す情報を含むようにした場合には、内視鏡観察における残りの工程を、部分領域の個数単位で把握することが可能となる。
加えて、進捗情報PIが、マーキングを行う対象(ここでは結石)の個数に対する、既にマーキングを行った対象の個数(同、結石)を示す情報をさらに含むようにしたために、対象に対するマーキングがどの段階まで進んだかも容易に把握することが可能となる。
また、進捗情報PIを、3次元モデル画像M3と並べて提示するようにしたために、3次元的な観察対象に対して、どの部分までの内視鏡観察を行ったかをより的確に把握することができる。これにより、視認不可能な位置にある未観察領域UORの見落としを防止することができる。
さらに、3次元モデル画像M3をユーザから見た方向の裏側に未観察領域UORが隠れている場合でも、進捗状況PIにより、ユーザは未観察領域UORの存在を確認できる。これによっても視認不可能な位置にある未観察領域UORの見落としを防止することができる。
[実施形態2]
図11および図12は本発明の実施形態2を示したものであり、図11は、内視鏡装置の、制御部26に関連する構成を示すブロック図、図12は、進捗情報表示部4cの観察途中の例を示す図である。
この実施形態2において、上述の実施形態1と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
図11に示すように、本実施形態の制御部26は、進捗情報生成部27に加えて、領域分割部28をさらに備えている。
領域分割部28は、画像生成部23により生成された3次元モデル画像M3を、背景画像と共に複数の分割領域RG(図12参照)に分割する。
進捗情報生成部27は、領域分割部28により分割された複数の分割領域RGの内の、未観察領域UORを含む分割領域RGの3次元モデル画像と背景画像との少なくとも一方を、未観察領域UORを含まない他の分割領域RGと識別可能となるように画像処理して、進捗情報PIを生成する。この進捗情報生成部27は、内視鏡観察の進捗状況を俯瞰的に把握するための情報を生成するために、俯瞰情報生成部と呼ぶこともできる。
まず、本実施形態においては、図12に示すように、進捗マップPMとして3次元モデル画像M3および上述の画像処理を施した背景画像を用いている。このとき、進捗情報表示部4cに3次元モデル画像表示部4bと同様の3次元モデル画像M3を表示してもよいし、3次元モデル画像表示部4bが進捗情報表示部4cを兼ねるようにしても構わない。すなわち、進捗情報PIは、3次元モデル画像表示部4bと別途に設けられた進捗情報表示部4cに表示するに限るものではなく、3次元モデル画像表示部4bの3次元モデル画像M3に対して重畳して表示するようにしても構わない。
なお、3次元モデル画像表示部4bの3次元モデル画像M3は、上述したように例えば回転可能であるために、進捗情報表示部4cに3次元モデル画像表示部4bと同様の3次元モデル画像M3を表示する場合には、3次元モデル画像表示部4bの3次元モデル画像M3が回転するのに同期して、進捗情報表示部4cの3次元モデル画像M3も回転するように構成してもよい。
そして、図12に示す例においては、3次元モデル画像M3および背景画像が複数の分割領域RG(ここでは水平方向の帯状をなす複数の分割領域RG)に分割されている。この際、未観察領域UORを含む分割領域RGの背景画像の表示態様を、未観察領域UORを含まない他の分割領域RGの背景画像の表示態様と異ならせることで、未観察領域UORを含む分割領域RGが識別可能となるようにしている。
ここで、背景画像の表示態様を異ならせる代わりに、3次元モデル画像M3の表示態様を異ならせてもよいし、背景画像および3次元モデル画像M3の表示態様を異ならせても構わない。
また、図12に示す例においては、未観察領域UORを含む分割領域RGが1箇所の場合を示したが、未観察領域UORを含む分割領域RGが複数箇所ある場合は、上述の表示態様を異ならせる箇所も複数となる。
このとき、未観察領域UORの大きさ等によって、表示態様を段階的に異ならせてもよい。即ち、小さな未観察領域UORを含む分割領域RGでは、表示態様を小さく異ならせ、大きな未観察領域UORを含む分割領域RGでは、表示態様を大きく異ならせてもよい。例えば、小さな未観察領域UORを含む分割領域RGは、薄い色で塗りつぶして表示させ、大きな未観察領域UORを含む分割領域RGは、濃い色で塗りつぶして表示させてもよい。
なお、上述したような、内視鏡観察が進むにつれて構築されていく3次元モデル画像M3を採用する場合には、構築が済んだ部分のみに対して分割領域RGへの分割を行うようにしてもよい。
このような実施形態2によれば、上述した実施形態1とほぼ同様の効果を奏するとともに、進捗情報PIを3次元モデル画像M3に重畳して提示しているために、3次元モデル画像M3と進捗情報PIを見比べる必要がなく、3次元モデル画像M3を見るだけで、内視鏡観察の進捗状況を把握することが可能となる。
そして、未観察領域UORを含むか否かを示す表示態様を、分割領域RG毎に異ならせているために、領域単位での段階的な進捗状況を把握することができる。
[実施形態3]
図13から図20は本発明の実施形態3を示したものであり、図13は内視鏡装置の制御部26に関連する構成を示すブロック図である。
この実施形態3において、上述の実施形態1,2と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
図13に示すように、本実施形態の制御部26は、進捗情報生成部27に加えて、管路長推定部29をさらに備えている。
管路長推定部29は、被検体が有する複数の管路の内の、1つ以上の観察済みの管路の長さを検出して、検出した観察済みの管路の長さに基づき未観察の管路の長さを推定する。
進捗情報生成部27は、観察済みの管路の芯線情報を生成すると共に、管路長推定部29により推定された未観察の管路の長さに基づいて未観察の管路の芯線情報を生成し、観察済みの管路の芯線情報と未観察の管路の芯線情報とを識別可能な表示態様で表示する進捗情報PIを生成する。この進捗情報生成部27により生成された進捗情報PIは、進捗マップPMとして進捗情報表示部4cに表示される。
具体的には、内視鏡1により管路としての腎杯を観察し、図14に示すように、1つの腎杯が観察済み領域ORになったものとする。ここに、図14は、内視鏡1により腎杯を観察しているときの、観察済み領域ORおよび未観察領域UORの例を示す図である。
このときには、管路長推定部29が、例えば3次元モデル生成部22により生成された3次元モデルデータに基づいて、図15に示すような、観察済み領域ORの管路の長さL1を検出する。ここに、図15は、図14に示す観察状態のときに進捗情報生成部27により生成される進捗情報PIの例を示す図である。
観察済み領域ORが、図14の実線に示すような範囲である場合には、図14の点線に示すような未観察領域UORに2つの腎杯があることは未だ不明である。そこで、管路長推定部29は、未観察の腎杯が1つであると推定する。そして、管路長推定部29は、検出した観察済み領域ORの管路の長さL1に基づいて、未観察の管路である未観察領域UORの1つの腎杯の長さL2を推定する。
この推定は、例えば、各腎杯の大きさ(あるいは奥行き)は略同一であるとの想定に基づき、L2=L1であるとすることにより行う。また、観察済みの腎杯が複数あり、複数の腎杯の管路の長さが既に検出されている場合には、検出された長さの例えば平均値を未観察の腎杯の推定長さとして設定すればよい。
そして、進捗情報生成部27は、3次元モデル生成部22により生成された3次元モデルデータ(あるいはさらに、管路長推定部29により検出された観察済み領域ORの腎杯の長さL1)に基づいて、観察済み領域ORの腎杯の芯線情報CLを図15の実線で示すように生成する。
さらに、進捗情報生成部27は、管路長推定部29により推定された未観察領域UORの腎杯の長さL2に基づいて、観察済み領域ORの芯線の曲線を外挿して長さL2だけ延長することにより、図15の点線で示すような芯線情報を生成する。これにより、2回目以降の内視鏡観察でなくても、あるいは造影CTデータがなくても、観察済み領域ORおよび未観察領域UORを含む観察対象全体の芯線情報(観察対象の仮想的な全体形状を示す芯線情報)を生成することができる。
このとき、進捗情報生成部27は、観察済み領域ORの芯線と未観察領域UORの芯線とを、表示態様(上述したように、例えば、色、模様、または色と模様の組み合わせなど)を異ならせることで識別可能なように、進捗情報PIを生成する。一例を挙げれば、観察済み領域ORの芯線と未観察領域UORの芯線との内の、一方を赤線、他方を青線とする等である。また、ここで表示された未観察領域UORをさらに強調するために、未観察領域UORの芯線を点滅させながら表示させる態様であってもよい。
進捗情報表示部4cの進捗マップPMに表示された図15のような進捗情報PIを見ることにより、ユーザは、未観察の腎杯が少なくとも1つ残っていると把握することができる。
内視鏡1による腎杯の観察が、図14に示すような状態から、図16に示すような状態に進んだものとする。ここに、図16は、図14に示す観察状態よりも観察が幾らか進んだときの、観察済み領域ORおよび未観察領域UORの例を示す図である。
このときには、管路長推定部29は、未観察領域UORに、2つの腎杯があると推定することができる。そこで、管路長推定部29は、検出した観察済み領域ORの管路の長さL1に基づいて、未観察の管路である未観察領域UORの2つの腎杯の長さL2,L3を、L2=L1、およびL3=L1であると推定する。これにより、進捗情報生成部27は、芯線情報CLを図17の実線および点線で示すように生成する。ここに、図17は、図16に示す観察状態のときに進捗情報生成部27により生成される進捗情報PIの例を示す図である。こうして、図16に示す観察状態では、未観察領域UORに対して2本の芯線情報CLが生成される。
進捗情報表示部4cの進捗マップPMに表示された図17のような進捗情報PIを見ることにより、ユーザは、未観察の腎杯が2つ残っていると判断することができる。
内視鏡1による腎杯の観察が、図16に示すような状態から、図18に示すような状態にさらに進んだものとする。ここに、図18は、観察が完了して観察済み領域ORのみとなったときの例を示す図である。
このときには、管路長推定部29により検出された観察済み領域ORの芯線情報に基づいて、進捗情報生成部27は、図19の実線で示すような芯線情報CL、つまり、全てが観察済みの表示態様の芯線情報CLを生成する。ここに、図19は、図18に示す観察完了状態のときに進捗情報生成部27により生成される進捗情報PIの例を示す図である。
進捗情報表示部4cの進捗マップPMに表示された図19のような進捗情報PIを見ることにより、ユーザは、腎杯の観察が終了したと判断することができる。
なお、上述では、内視鏡観察が進むにつれて構築されていく3次元モデルデータに基づき芯線情報CLを生成することを想定していたために、図15に示す状態においては、未観察の腎杯が2つあるにも関わらず、未観察であることを示す芯線は1本表示されているだけであった。しかし、被検体の腎盂腎杯形状が既に分かっている3次元モデルデータ(内視鏡観察が2回目以降である場合や造影CTデータに基づくものである場合など)に基づき芯線情報CLを生成する場合には、芯線の形状が予め定まっていて観察済みであるか未観察であるかに応じて表示態様を異ならせるだけとなるために、進捗の度合いをより正確に把握することが可能となる。
また、図20は、図19に示す進捗情報PIを3次元モデル画像M3に重畳して表示する例を示す図である。
進捗情報生成部27により生成された芯線情報CLは、進捗情報表示部4cの進捗マップPMとして(つまり、3次元モデル画像表示部4bの3次元モデル画像M3と並べて)表示してもよいが、図20に示すように、3次元モデル画像表示部4bの3次元モデル画像M3に重畳して表示するようにしても構わない。この場合には、3次元モデル画像表示部4bが、進捗情報表示部4cを兼ねることになる。
ユーザは、この図20に示すような表示を見ることにより、3次元モデル画像M3として表示されている腎杯の観察がどの程度進捗しているかを、容易に判断することができる。
このような実施形態3によれば、上述した実施形態1,2とほぼ同様の効果を奏するとともに、検出した観察済みの管路の長さに基づき未観察の管路の長さを推定し、観察済みおよび未観察の管路の芯線情報を生成し、観察済みであるか未観察であるかを識別可能な表示態様で表示する進捗情報PIを生成するようにしたために、内視鏡観察の進捗の度合いを容易に認識することができる。
なお、内視鏡装置を、上述したような実施形態1の表示態様と、実施形態2の表示態様と、実施形態3の表示態様と、の何れも取り得るように構成して、1回の内視鏡検査において、所望の表示態様をユーザが選択して切り替えることができるようにしてもよい。この場合には、ユーザが、例えば、内視鏡1に設けられた図示しない操作部、あるいは処理システム2に設けられた図示しない操作部を操作することで、所望の表示態様に切り替える設定を行う。
そして、上述した各部は、回路として構成されていてもよい。そして、任意の回路は、同一の機能を果たすことができれば、単一の回路として実装されていてもよいし、複数の回路を組み合わせたものとして実装されていても構わない。さらに、任意の回路は、目的とする機能を果たすための専用回路として構成されるに限るものではなく、汎用回路に処理プログラムを実行させることで目的とする機能を果たす構成であっても構わない。
さらに、上述では主として内視鏡装置について説明したが、内視鏡装置を上述したように作動させる作動方法であってもよいし、コンピュータに内視鏡装置と同様の処理を行わせるための処理プログラム、該処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
本出願は、2016年5月25日に日本国に出願された特願2016−104525号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。