JPWO2015041295A1 - 地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置 - Google Patents

地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置 Download PDF

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Abstract

人工衛星からのPolSAR画像データを入力する処理を実行し(ステップS100)、入力されたPolSAR画像データから後述の位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを設定し、設定した位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを四元数に拡張した入力ベクトルXiと予め学習されている種別関係とに基づいて、観測した領域を湖(lake),草地(grass),森(forest),街(town)のうちのいずれか1つの種別に分類する(ステップS110)。これにより、地表種別を精度良く分類することができる。

Description

本発明は、地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置に関し、詳しくは、地表の複数の領域に対して照射した照射波とこの照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習に基づいて複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置に関する。
従来、この種の地表種別分類方法としては、人工衛星や航空機から地表に発射される電波の偏波情報とこの電波の発射に伴って得られる地表からの散乱波の偏波情報を用いて自然地形と人工地形とを判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、地表の散乱を自然地形の散乱と都市部の散乱とにモデル化して得られた散乱行列の各変量の共分散行列(Covariance Matrix、以下「C行列」という)を用いて自然地形と人工地形との判定を行なうことにより、自然地形と人工地形とを分類している。
特開2005−140607号公報
しかしながら、上述の地表種別分類方法では、地表の種類毎の散乱をどのようにモデル化するかによって、分類の精度が大きく変わってしまう。精度良く分類するためには、地表の散乱を表す行列を尤もらしく分解する必要があるが、一般に、こうした分解を一意的に行なうことが困難であるため、精度良く地表の種別を分類することができない場合がある。
本発明の地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置は、地表種別を精度良く分類することを主目的とする。
本発明の地表種別分類方法および地表種別分類プログラム並びに地表種別分類装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の地表種別分類方法は、
地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類方法において、
前記種別関係学習は、複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記種別関係を学習する
ことを要旨とする。
この本発明の地表種別分類方法では、地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習に基づいて複数の領域の地表種別を分類する。種別関係学習は、複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、位置ベクトルの近隣の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習する。位置ベクトルと変動ベクトルとは偏波情報を反映しているから、位置ベクトルと変動ベクトルとを用いて種別関係を学習することにより、適正に種別関係を学習することができる。また、位置ベクトルと変動ベクトルとの双方を用いて種別関係を学習するから、位置ベクトルおよび変動ベクトルのいずれか一方のみを用いるものと比較すると、より適正に種別関係を学習することができる。さらに、位置ベクトルと変動ベクトルとを四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習するから、適正に種別関係を学習することができる。こうして適正に学習された種別関係に基づいて複数の領域の地表種別を分類することにより、地表種別を精度良く分類することができる。
こうした本発明の地表種別分類方法において、前記種別関係学習は、前記入力値として、前記位置ベクトルの各成分を3つの虚数部に対応させると共に第1の値を実数部に対応させることによって前記位置ベクトルを四元数に拡張した四元数位置ベクトルと、前記変動ベクトルの各成分を3つの虚数部に対応させると共に第2の値を実数部に対応させることによって前記変動ベクトルを四元数に拡張した四元数変動ベクトルと、を含むものとすることもできる。こうすれば、より適正に種別関係を学習することができる。ここで、「第1の値」としては、適宜定めることができ、特に値0とするのが好ましい。また、「第2の値」としては、適宜定めることができ、特に値0とするのが好ましい。
さらに、本発明の地表種別分類方法において、前記種別関係学習は、前記位置ベクトルとして予め定めた地表種別が既知の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルを用いて行なわれる学習であり、前記種別関係学習における前記種別関係と前記入力された電波情報とに基づいて前記複数の領域の地表種別毎の関連性の程度を演算し、該演算した地表種別毎の関連性の程度に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類するものとすることもできる。種別関係学習は、既知の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルを用いて行なわれるから、より適正に種別関係を学習することができる。こうして学習した種別関係を用いて地表種別を分類するから、より精度よく地表種別を分類することができる。この場合において、前記種別関係学習は、前記入力値として、前記照射波を水平偏波および垂直偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、前記照射波を45度偏波および−45度偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、前記照射波を左旋円偏波および右旋円偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、のそれぞれにおける3つの前記位置ベクトルおよび3つの前記変動ベクトルを四元数に拡張した6つの四元数ベクトルを含むものとすることもできる。
位置ベクトルとして予め定めた地表種別が既知の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルを用いて種別関係学習を行なう態様の本発明の地表種別分類方法において、前記種別関係学習は、値0ではない第3の値を実数部に対応させると共に値0を3つの虚数部に対応させた四元数である閾値ベクトルを前記ニューラルネットワークの閾値として入力するものとすることもできる。「第3の値」としては、適宜定めることができ、特に値−1とするのが好ましい。
位置ベクトルとして予め定めた地表種別が既知の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルを用いて種別関係学習を行なう態様の本発明の地表種別分類方法において、前記地域種別は、異なるn個の種別であり、前記ニューラルネットワークは、互いに内積が値0となる前記n個のベクトルを前記入力値に対して期待される出力値とするものとすることもできる。こうすれば、より適正に地表種別を分類することができる。
本発明の地表種別分類方法において、前記地表種別は、湖、草地、森、街、砂漠のうちの少なくとも4つの種別を含むものとすることもできる。こうすれば、地表の複数の領域を湖、草地、森、街、砂漠のうちの少なくとも4つの種別に分類することができる。
本発明の地表種別分類プログラムは、
地表の複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類プログラムであって、
地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力する電波情報入力モジュールと、
複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習モジュールと、
前記学習した種別関係に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類モジュールと、
を備えることを要旨とする。
この本発明の地表種別分類プログラムでは、地表の複数の領域に対して照射した照射波と照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習する。位置ベクトルおよび変動ベクトルは偏波情報を反映した値であるから、位置ベクトルおよび変動ベクトルを用いて種別関係を学習することにより、適正に種別関係を学習することができる。また、位置ベクトルと変動ベクトルとの双方を用いて種別関係を学習するから、位置ベクトルおよび変動ベクトルのいずれか一方のみを用いるものと比較すると、より適正に種別関係を学習することができる。さらに、位置ベクトルと変動ベクトルとを四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習するから、より適正に種別関係を学習することができる。そして、学習した種別関係に基づいて複数の領域の地表種別を分類する。適正に学習された種別関係に基づいて複数の領域の地表種別を分類するから、地表種別を精度良く分類することができる。
本発明の地表種別分類装置は、
地表の複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類装置であって、
地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力する電波情報入力部と、
複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習部と、
前記学習した種別関係に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類部と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の地表種別分類装置では、地表の複数の領域に対して照射した照射波と照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習する。位置ベクトルは偏波情報そのものであるから、位置ベクトルを用いて種別関係を学習することにより、適正に種別関係を学習することができる。また、位置ベクトルと変動ベクトルとの双方を用いて種別関係を学習するから、位置ベクトルおよび変動ベクトルのいずれか一方のみを用いるものと比較すると、より適正に種別関係を学習することができる。さらに、位置ベクトルと変動ベクトルとを四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習するから、より適正に種別関係を学習することができる。そして、学習した種別関係に基づいて複数の領域の地表種別を分類する。適正に学習された種別関係に基づいて複数の領域の地表種別を分類するから、地表種別を精度良く分類することができる。
本発明の第1実施例としての地表種別分類装置30を備える合成開口レーダシステム10の構成の概略を示す構成図である。 CPU32により実行される地表種別分類プログラム50の一例を示すフローチャートである。 富士裾野地区の衛星写真と衛星写真を種別毎にスケッチした図面とを示す説明図である。 観測領域の1辺のピクセル数と平均偏波度との関係を示す。 観測領域の1辺のピクセル数と変動ベクトルVvのノルムとの関係を示す。 照射波を水平偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図である。 照射波を水平偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図である。 照射波を45度偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図である。 照射波を45度偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図である。 照射波を左旋円偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図である。 照射波を左旋円偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図である。 種別関係学習に用いられる四元数のニューラルネットワークの構成を説明するための構成図である。 種別関係学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。 式(24)〜式(28)に用いられる添え字等の説明を示す表である。 各地表種別に対する最終出力Pout−typeの一例を示す参考図である。 自己組織化マップを偏波状態を表す特徴量空間で表現した模式図である。 自己組織化マップをニューロンの繋がり具合を表すSOM空間で表現した模式図である。 CPU32により実行される地表種別分類プログラム150の一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としての地表種別分類装置30を備える合成開口レーダシステム10の構成の概略を示す構成図である。合成開口レーダシステム10は、人工衛星20と、人工衛星20から各種情報を入力し地表を湖、草地、森、街のいずれかの種別に分類する地表種別分類装置30と、から構成されている。
人工衛星20は、地表の複数の領域に対してレーザ光を照射すると共に照射したレーザ光の散乱光を検出し、レーザ光の照射位置や照射したレーザ光の偏波情報,散乱光の偏波情報を含むPolSAR(Polarimetric Synthetic Apertture Radar)画像データなど各種データを地上の地表種別分類装置30に出力する。
地表種別分類装置30は、図示するように、バス31を介して接続された周知のCPU32,ROM34,RAM36,ハードディスクドライブ(HDD)38,入出力処理回路40,人工衛星20からの情報を通信を介して入力する受信回路42を備える。入出力処理回路40には、受信回路42やディスクドライブ装置43,キーボード44,マウス45がデータを入力可能に接続され、情報を出力するディスプレイ46がデータを入出力可能に接続されている。
HDD38には、アプリケーションソフトウェアとしてインストールされた地表種別分類プログラム50が記憶されている。地表種別分類プログラム50は、人工衛星20からのPolSAR画像データを入力するPolSAR画像入力モジュール52と、PolSAR画像データと地表の種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習モジュール54と、種別関係学習モジュール54が学習した種別関係に基づいて地表の各領域の地表種別を分類する地表種別分類モジュール56と、から構成されている。
次に、こうして構成される地表種別分類装置30の動作、特にユーザによるキーボード44やマウス45の操作により、地表種別分類プログラム50が実行されたときの動作について説明する。図2は、CPU32により実行される地表種別分類プログラム50の一例を示すフローチャートである。この地表種別分類プログラム50は、ユーザにより実行が指示されたときに、CPU32により、RAM36の所定のアドレスに書き込まれる。そして、CPU32は、RAM36に書き込まれた地表種別分類プログラム50を読み込んで実行する。
地表種別分類プログラム50が実行されると、CPU32は、まず、人工衛星20からのPolSAR画像データを入力する処理を実行し(ステップS100)、入力されたPolSAR画像データから後述の位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを設定し、設定した位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを四元数に拡張した入力ベクトルXiと予め学習されている種別関係とに基づいて、観測した領域を湖(lake),草地(grass),森(forest),街(town)のうちのいずれか1つの種別に分類する(ステップS110)。ここで、地表種別分類プログラム50の説明を中断して、位置ベクトルPv,変動ベクトルVv,四元数、種別関係の学習について説明する。
まずは、位置ベクトルPvおよび変動ベクトルVvについて説明する。一般に、照射波Iwを式(1)で示す規格化ジョーンズベクトルを用いて表現すると、散乱波Rwは、散乱行列Sを用いて式(2)により表現でき、ジョーンズコヒーレンス行列Jは、式(3)により得られる。式(3)中、<>は、時間的または空間的に平均化されていることを示している。
平均化されたストークスベクトルは、ジョーンズコヒーレンス行列Jに基づいて式(4)により計算される。平均化されたストークスベクトルは、地表からの散乱波の偏波情報を含んでおり、偏波度(Degree of Polarization)DoPは、式(5)を用いて計算される。ジョーンズコヒーレンス行列Jは、複素エルミート半正定値行列であるから、|J|は値0以上である。すなわち、偏波度DoPは、値0以上値1以下となっている。ここで、反射波は、偏波度Dopが値1であるときには完全偏波となっており、偏波度DoPが値0のときには完全無偏波であり、偏波度Dopが値0より大きく値1未満であるときには部分偏波となっている。
平均化されたストークスベクトルは、ポアンカレ球上またはポアンカレ球内の1つの点として表現することができ、この点の位置座標(x,y,z)は、式(6)により表すことができる。実施例では、位置座標(x,y,z)を成分とする3次元のベクトルを、位置ベクトルPv(=(x,y,z))とする。上述したように、位置ベクトルPvは、PolSAR画像における各ピクセルについて得ることができ、偏波の平均的な状態を示している。位置ベクトルPvと位置ベクトルPvの近傍のピクセルの位置ベクトルPvとの変動は、平均偏差として式(7)により計算する。式(7)中、Nは1回の計算に用いられるピクセルの数であり、x、y、zは1回の計算に用いられる複数のピクセルにおけるxの平均値である。式(7)におけるσx,σy,σzを成分とする3次元のベクトルを、変動ベクトルVv(=(σx,σy,σz))とする。変動ベクトルVvは、ポアンカレ球における位置ベクトルPvの分布を示している。実施例では、こうした位置ベクトルPvおよび変動ベクトルVvを「ポアンカレ球パラメータ」と名付けるものとした。
ここで、富士裾野地区に対するALOSのLバンドPALSAR1.1レベルの実験データを用いてポアンカレ球パラメータと湖,草地,森,街の4つの種別との関係について説明する。図3は、富士裾野地区の衛星写真と衛星写真を種別毎にスケッチした図面とを示す説明図である。衛星写真において、4つの黒塗りの正方形は、湖、草地、森、街の各観測領域(以下、「グループ1」という)を示し、4つの白塗りの正方形は、湖、草地、森、街の各観測領域(以下、「グループ2」という)を示している。各正方形内には、40×40個の観測領域が含まれている。最初に、上述した式(3)によりジョーンズコヒーレンス行列Jを導出する。ここでは、空間平均値としてジョーンズコヒーレンス行列Jを導出するものとした。空間平均値を演算するために最適なウィンドウサイズ(1観測領域におけるピクセル数)を求めるため、グループ1,2のPolSAR画像データを用いてウィンドウサイズと平均偏波度との関係を調べた。図4に、観測領域の1辺のピクセル数と平均偏波度との関係を示す。図において、横軸が値5であるときにはウィンドウサイズは5×5であり、横軸が値9であるときにはウィンドウサイズは9×9とする。平均偏波度は、図示するように、ウィンドウサイズが5×5より大きくなると一定値になる。したがって、実施例では、位置ベクトルPvを求めるときのウィンドウサイズを5×5とした。同様に、上述の式(7)を用いて変動ベクトルVvの空間平均値を求めるため、グループ1,2のPolSAR画像データを用いてウィンドウサイズと変動ベクトルVvのノルムとの関係を調べた。図5は、観測領域の1辺のピクセル数と変動ベクトルVvのノルムとの関係を示す。変動ベクトルVvの大きさは、図示するように、ウィンドウサイズが9×9より大きくなると一定値となる。したがって、実施例では、変動ベクトルVvを求めるためのウィンドウサイズを9×9とした。
こうしてウィンドウサイズを決定したら、続いて、水平偏波[1,0]T,45度偏波[1/√2,1/√2]T,左旋円偏波[1/√2,1/√2i]Tのマイクロ波をグループ1に属する観測領域に照射したときの位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとを計算する。図6は照射波を水平偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図であり、図7は照射波を水平偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図であり、図8は照射波を45度偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図であり、図9は照射波を45度偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図であり、図10は照射波を左旋円偏波としたときの散乱波の位置ベクトルPvを示す説明図であり、図11は照射波を左旋円偏波としたときの散乱波の変動ベクトルVvを示す説明図である。位置ベクトルPv,変動ベクトルVvは、図示するように、グラフ上では種別が異なると異なる分布を示し、且つ、位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとで同じ分布をしていない。したがって、位置ベクトルPv,変動ベクトルVvの両方を用いて地表の種別の分類を行なうことにより、位置ベクトルPvおよび変動ベクトルVvのいずれか一方を用いるものより、精度よく地表種別を分類できる。
続いて、四元数ベクトルについて説明する。四元数pは、1つの実数部と,互いに直交する基底i,j,kの3つの虚数部と,から構成される4次元の数であり、式(8)に示すように、4次元のベクトルとして表すことができる。式(8)中、pe,pi,pj,kを実数とした。四元数の基底i,j,kは、式(9)に示すハミルトンの規則に従っている。
2つの四元数p(=(pe,pi,pj,k)),q(=(qe,qi,qj,k))との和および差、外積,内積,ノルムは、式(10)〜(13)に示すように定義される。
次に、種別関係学習について説明する。図12は、種別関係学習に用いられる四元数のニューラルネットワークの構成を説明するための構成図である。種別関係学習は、ニューラルネットワークを用いて教師あり学習を行なって、ポアンカレ球パラメータと地表の種別との関係を学習する。実施例のニューラルネットワークでは、図示するように、隠れ層のニューロンの数を8つ,出力層のニューロンの数を4つとし、入力層、隠れ層の閾値ノードをそれぞれ(−1,0,0,0)とした。
図13は、種別関係学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。種別関係学習ルーチンでは、最初に、照射波を水平偏波、45度偏波、左旋円偏波にしたときの湖、草地、森、街の種別が既知の4つの領域のPolSAR画像データから教師データを選択し、選択した教師データの位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとを連ねたものを成分とする入力ベクトルXini−lake,Xini−grass,Xini−forest,Xini−town(以下、これらの4つのうちの1つを「Xini−type」と記載することもある)に設定する処理を実行する(ステップS200)。ここで、iは、湖、草地、森、街の各種別のi番目の教師データであることを示している。入力ベクトルXini−typeは、式(14)〜式(20)に示すように、照射波を水平偏波、45度偏波、左旋円偏波にしたときの位置ベクトルPvの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって位置ベクトルPvを四元数に拡張した四元数位置ベクトルxH,x45°,xlcと、変動ベクトルVvの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって変動ベクトルVvを四元数に拡張した四元数変動ベクトルσH,σ45°,σlcを連ねたものであるものとした。
ini−type=[xH,σH,x45°,σ45°,xlc,σlc]・・・(14)
H=(0,x,y,z)H ・・・(15)
σH=(0,σx,σy,σz)H ・・・(16)
45°=(0,x,y,z)45° ・・・(17)
σ45°=(0,σx,σy,σz)45° ・・・(18)
lc=(0,x,y,z)lc ・・・(19)
σlc=(0,σx,σy,σz)lc ・・・(20)
こうして入力ベクトルXini−typeを設定したら、続いて、後述する結合荷重wを予め定めた初期値に設定すると共に各種別に期待される出力である期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townを設定する(ステップS210)。期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townは、期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townのうちのいずれか2つのベクトル同士が直交するよう式(21)のように設定するものとした。このように、期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townを設定することにより、より適正に地表種別を分類することができる。
続いて、湖、草地、森、街の各種別毎に後述するステップS220〜S250の処理を実行して、ニューラルネットワークの結合荷重wiを調整する処理を実行する。まず、ある種別(例えば、湖)の教師データのうちi番目のデータを入力ベクトルXiとして式(22)を用いて出力ベクトルYを演算する(ステップS220)。式(22)中、wiは、入力ベクトルXiと出力ベクトルYとを結合させるためのニューラルネットワークにおける結合荷重である。なお、式(22)中、sを初期状態とし、Nを入力ノードの数とし、非線形関数f(s)を式(23)で示されるものとし、X0=(−1,0,0,0)を閾値ノードの入力値とした。
こうして出力ベクトルYを計算したら、続いて、式(24)を用いてエラー値Eを計算し、エラー値Eを閾値err(例えば、5×10-4)とを比較する(ステップS230)と共にステップS220が実行された回数を示す回数Nfが100回であるか否かを判定する(ステップS240)。ここで、回数Nfは、初期値として値0が設定されており、ステップS220が実行される毎に値1ずつ大きくなる数とした。
エラー値Eが閾値err以上であり且つ回数Nfが値100でないときには、式(17)〜(22)を用いて結合荷重wiの値woldを値wnewに更新して(ステップS250)、ステップS220に戻り、エラー値Eが閾値errより小さくなるか回数Nfが値100となるまで、ステップS220〜S250の処理を繰り返す。式(24)〜式(28)に用いられる添え字等の説明を図14に示した。ステップS220〜S250の処理により、種別が既知の入力ベクトルXinに対して、出力ベクトルYが期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townに近くなるよう結合荷重wが調整される。
エラー値Eが閾値errより小さくなるか回数Nfが値100となったときには、湖、草地、森、街の4つ種別に対してステップS220〜S250の処理が終了したか否かを判定し(ステップS260)、4つ種別に対してステップS220〜S250の処理が終了していないときには、種別を変更して(ステップS270)(例えば、種別を湖から草地に変更して)ステップS220〜S250の処理を実行する。こうして湖、草地、森、街の4つ種別に対してステップS220〜S250の処理が終了したときには、4つの種別について得られたエラー値Eの平均Serrを式(29)を用いて計算し、平均Serrが閾値err以上であるか否かを調べる(ステップS280)。式(29)中、Ei-lake,Ei-grass,Ei-forest,Ei-townは、それぞれステップS230の判定に用いられる種別毎のエラー値Eとする。
Serr=(Ei-lake+Ei-grass+Ei-forest+Ei-town)/4 ・・・(29)
平均Serrが閾値err以上であるときには(ステップS280)、対象としている教師データが最後(N番目)のデータでないとき(i<Nのとき)には、次の教師データについてステップS220〜S260の処理を実行し(整数iに値1を加えて整数iを更新し)、対象としている教師データが最後(N番目)のデータであるとき(i=Nのとき)には、最初の教師データに対してステップS220〜S260の処理を実行する(ステップS290)。こうして、平均Serrが閾値err未満になるまでステップS220〜S290の処理を実行し、平均Serrが閾値err未満になったときに、本ルーチンを終了する。このように、種別関係学習処理では、教師データを入力ベクトルXiとして出力ベクトルYが教師データの種別の期待出力ベクトルDtypeに近づくよう結合荷重wiを調整する教師あり学習を行なうから、例えば、ポアンカレ球パラメータが湖の領域に対するものであるときには、式(22)の出力ベクトルYは期待出力ベクトルDlake近傍の値となり、ポアンカレ球パラメータが草地の領域に対するものであるときには、式(22)の出力ベクトルYは期待出力ベクトルDgrass近傍の値となる。このように、出力ベクトルYは、地表種別を反映した値となっている。このように、結合荷重wiは、ポアンカレ球パラメータに基づく入力ベクトルXiと地表種別を反映する出力ベクトルYとを関係づけるものであり、種別関係学習処理では、結合荷重wiを学習する。したがって、種別関係学習処理は、電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する処理となっている。位置ベクトルPv,変動ベクトルVvは、PolSAR画像データから直接得られた偏波情報を反映しているから、位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを用いて種別関係を学習することにより、より適正に種別関係を学習することができる。また、位置ベクトルPv,変動ベクトルVvの両方を用いるから、より精度の良い学習ができる。さらに、位置ベクトルPv,変動ベクトルVvとを連ねたものを成分とする入力ベクトルXini−typeを入力値としてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習するから、より適正に種別関係について学習することができる。
ここで、図2に例示した地表種別分類プログラム50の説明に戻る。人工衛星20からの種別が未知のPolSAR画像データを入力したら(ステップS100)、照射波を水平偏波、45度偏波、左旋円偏波にしたときのPolSAR画像データの位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとを連ねたものを成分とする入力ベクトルXiと図13に示した種別関係学習ルーチンにより学習された種別関係とに基づいてレーザが照射された領域を湖、草地、森、街のいずれかの種別に分類する(ステップS110)。種別の分類は、具体的には、PolSAR画像データから得られる入力ベクトルXi(式(14)のXini−typeと成分は同じ)と図13に示した学習により得られた結合荷重wiを用いて上述した式(22)により出力ベクトルYを演算し、出力ベクトルYと期待出力Dlake,Dgrass,Dforest,townとを用いて式(24)より各地表種別におけるエラー値Etype(typeは、lake,grass,forest,town)を計算し、エラー値Etypeを用いて式(30)により最終出力Pout−typeを計算する。そして、最終出力Pout−typeが値1に近ければ、そのピクセルは値1に近い種別であるものとし、値0に近ければその種別には分類されないものとする。例えば、最終出力Pout−lakeが値1に近く、且つ、最終出力Pout−grass,Pout−forest,Pout−townが値0に近ければ、そのピクセルは「湖」に分類し、対応する観測領域を「湖」に分類する。
図15は、図3に例示した富士裾野地区について実施例の方法を用いて地表種別を分類した結果である最終出力Pout−lake,Pout−grass,Pout−forest,Pout−townの値を示す説明図である。図15において、左上は各領域における最終出力Pout−lakeの値、右上は各領域における最終出力Pout−grassの値、左下は各領域における最終出力Pout−forestの値、右下は各領域におけるPout−townの値を示しており、各値は、値1に近づくほど色が濃くなるよう濃淡で表現されている。図15と図3とから明らかなように、実施例の地表種別分類方法では、良好に地表種別を分類することができる。このように、位置ベクトルPvと変動ベクトルVvと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力ベクトルXiとしてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習し、学習結果を用いて地表種別を分類することにより、より精度良く地表種別を分類することができる。
以上説明した第1実施例の地表種別分類装置30では、位置ベクトルPvと変動ベクトルVvと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力ベクトルXiとしてニューラルネットワークを用いて種別関係を学習することにより、より適正に種別関係を学習することができる。これにより、より精度良く地表種別を分類することができる。
第1実施例の地表種別分類装置30では、地表を4つの種別に分類するものとし、互いに内積が値0となる期待出力Dlake,Dgrass,Dforest,townを期待される出力値としたが、地表を5つの種別に分類するものとし、互いに内積が値0となる5つの期待出力ベクトルDlake,Dgrass,Dforest,townを期待される出力値としてもよく、期待出力ベクトルを互いに内積が値0とならないものとしてもよい。
第1実施例の地表種別分類装置30では、図12に例示したニューラルネットワークの閾値ノードを(−1,0,0,0)としたが、閾値ノードは演算処理の負荷の程度を考慮して、適宜定めることができる。
次に、本発明の第2実施例としての地表種別分類装置130について説明する。第2実施例の地表種別分類装置130は、第1実施例の地表種別分類プログラム50がニューラルネットワークを用いて教師あり学習を行なうものであるのに対して地表種別分類プログラム150がニューラルネットワークを用いて教師なし学習を行なうものである点を除いて、第1実施例の地表種別分類装置30と同一の構成となっている。したがって、地表種別分類装置130において、地表種別分類装置30と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2実施例の地表種別分類プログラム150は、位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとを四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力ベクトルXi,Xini−typeとしてニューラルネットワークとして自己組織化マップ(self-organizig map:SOM)を用いて教師なし学習を行なってピクセルの種別を分類する。図16は、自己組織化マップを偏波状態を表す特徴量空間で表現した模式図であり、図17は、自己組織化マップをニューロンの繋がり具合を表すSOM空間で表現した模式図である。
図18は、CPU32により実行される地表種別分類プログラム150の一例を示すフローチャートである。地表種別分類プログラム150が実行されると、最初に、観測領域のPolSAR画像データを入力する処理を実行し(ステップS300)、湖、草地、森、街の各種別の結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownに予め定めた初期値を設定すると共に対象とするポアンカレ球においてi番目のピクセルであることを示す整数iに値1を設定する初期化処理を実行し(ステップS310)、PolSAR画像データから作成した入力ベクトルXiを入力する(ステップS320)。入力ベクトルXiは、式(31)に示すように、水平偏波,45度偏波、左旋円偏波の各偏波状態の位置ベクトルPvH,Pv45°,Pvlcの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって位置ベクトルPvH,Pv45°,Pvlcを四元数に拡張した四元数位置ベクトルxH,x45°,xlcと、水平偏波,45度偏波、左旋円偏波の各偏波状態の変動ベクトルVvH,Vv45°,Vvlcの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって変動ベクトルVvH,Vv45°,Vvlcを四元数に拡張した四元数変動ベクトルσH,σ45°,σlcを連ねたものであるものとした。今、整数iは値1に設定されているから、ステップS320の処理では、1番目のピクセルのPolSAR画像データから作成した入力ベクトルXiが入力されることになる。
X ≡ [xH σH45° σ45° xlc σlc ]T ・・・(31)
こうして入力ベクトルXiを入力したら、続いて、式(32)に示す入力ベクトルXiと各結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownとの距離(Xi,wc)を演算し、距離(Xi,wc)が最も小さい(入力ベクトルXiに最も距離が近い)結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownを持つニューロンを勝者ニューロンであると決定し、i番目のピクセルを勝者クラスcwに分類する(ステップS330)。例えば、結合荷重wlakeが入力ベクトルXiに最も近いときには、結合荷重wlakeを持つニューロンが勝者ニューロンと決定され、i番目のピクセルは湖(lake)に分類される。なお、式(32)中、「c」は、lake,grass,forest,townのうちのいずれか1つの種別とした。
距離(Xi,wc)≡ ||Xi−wc|| ・・・(32)
続いて、式(33)〜式(35)を用いて勝者クラスcwのニューロンwcwとニューロンwcの近傍の2つのニューロン(SOM空間で隣のニューロン)wcw±1の荷重を更新する(ステップS340)。そして、全ての観測ピクセルに対してステップS320〜S340の処理が終了したか否かを調べ(ステップS350)、全てのピクセルに対してステップS320〜S340の処理が終了していないときには、整数iを整数iに値1を加えたものに更新して(ステップS360)、ステップS310に戻る。すなわち、全てのピクセルに対してステップS320〜S340の処理が終了していないときには、次のピクセルに対してステップS320〜S340の処理を行なうのである。今、1番目のピクセルについて考えているから、1番目のピクセルに対してステップS320〜S340の処理が終了したときには、2番目のピクセルに対してステップS320〜S340の処理を実行する。
wcw=wcw+α(Xi−wcw) ・・・(33)
wcw±1=wcw±1+β(Xi−wcw)・・・(34)
0≦β≦α≦1 ・・・(35)
こうした全てのピクセルに対しS320〜S340の処理を実行したら(ステップS350)、全てのピクセルに対してS320〜S350の処理をNitr回(1回以上の回数。例えば、50回,100回,150回など)繰り返したか否かを判定する(ステップS370)。全てのピクセルに対してS320〜S350の処理をNitr回繰り返していないときには、整数iに値1を設定して(ステップS380)、最初のピクセルからステップS320〜S350の処理を繰り返し、全てのピクセルに対してS320〜S350の処理をNitr回繰り返したときには(ステップS370)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、PolSAR画像データを湖,草地,森,街のうちのいずれかの種別に分類することができ、即ち、地表の領域をいずれかの種別に分類するから、地表の散乱の種類を尤もらしく分解するものと比較すると、より精度良く分類することができる。
以上説明した第2実施例の地表種別分類装置130によれば、PolSAR画像データから得られる位置ベクトルPvと変動ベクトルVvとを四元数に拡張した入力ベクトルXiを入力値としてニューラルネットワークを用いて結合荷重wcを学習することにより、より精度良く地表種別を分類することができる。
第2実施例の地表種別分類装置130では、ステップS330の処理で、入力ベクトルXiに最も距離が近い結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownを持つニューロンを勝者ニューロンであると決定したが、式(36)または式(37)に示す入力ベクトルXiと各結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownとの類似度(Xi,wc)を演算し、最も類似度(Xi,wc)が大きい結合荷重wlake,wgrass,wforest,wtownを持つニューロンを勝者ニューロンであると決定するものとしてもよい。
第1,第2実施例の地表種別分類装置30,130では、入力ベクトルXi,Xini−typeにおいて、位置ベクトルPvの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって位置ベクトルPvを四元数に拡張するものとしたが、位置ベクトルPvの各成分を2つの虚数部と1つの実数部に対応させて値0を残余の虚数部に対応させてもよいし、実数部には値0と異なる値を対応させてもよい。
第1,第2実施例の地表種別分類装置30,130では、入力ベクトルXini−typeにおいて、変動ベクトルVvの各成分を3つの虚数部に対応させると共に値0を1つの実数部に対応させることによって変動ベクトルVvを四元数に拡張するものとしたが、変動ベクトルVvの各成分を2つの虚数部と1つの実数部に対応させて値0を残余の虚数部に対応させてもよいし、実数部には値0と異なる値を対応させてもよい。
第1,第2実施例の地表種別分類装置30,130では、入力ベクトルXini−typeは、照射波を水平偏波、45度偏波、左旋円偏波にしたときの位置ベクトルPv,変動ベクトルVvを四元数に拡張したものを含むとしたが、水平偏波に代えて垂直偏波を用いてもよいし、45度偏波に代えて−45度偏波を用いてもよいし、左旋円偏波に代えて右旋回円偏波を用いてもよい。
第1,第2実施例の地表種別分類装置30,130では、地表の種別を湖,草地,森,街のうちのいずれか1つに分類するものとしたが、地表の種別を湖、草地、森、街、砂漠のうちの少なくとも4つのいずれかに分類するものとしてもよいし、地表の種別を湖、草地、森、街、砂漠の5つのうちのいずれか1つに分類するものとしてもよい。
第1,第2実施例では、人工衛星20から照射する光(波源)をマイクロ波としたが、波源はマイクロ波に限定されるものではなく、ミリ波、テラヘルツ波、光波などを波源として用いても構わない。
実施例の主要な要素と発明の概要の欄に記載した考案の主要な要素との対応関係について説明する。地表種別分類方法としては、実施例では、図13に例示した種別関係学習ルーチンのステップS200〜S290の処理による学習が「種別関係学習」に相当する。地表種別分類プログラムとしては、実施例では、PolSAR画像入力モジュール52が「電波情報入力モジュール」に相当し、種別関係学習モジュール54が「種別関係学習モジュール」に相当し、地表種別分類モジュール56が「地表種別分類モジュール」に相当する。地表種別分類装置としては、実施例では、図2におけるステップS100の処理を実行するCPU32が「電波情報入力部」に相当し、図13に例示する種別関係学習ルーチンを実行するCPU32が「種別関係学習部」に相当し、図2におけるステップS110の処理を実行するCPU32が「地表種別分類部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と発明の概要の欄に記載した考案の主要な要素との対応関係は、実施例が発明の概要の欄に記載した考案を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、発明の概要の欄に記載した考案の要素を限定するものではない。即ち、発明の概要の欄に記載した考案についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は発明の概要の欄に記載した考案の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、地表種別分類プログラムや地表種別分類装置の製造業などに利用可能である。

Claims (9)

  1. 地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力し、前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類方法において、
    前記種別関係学習は、複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記種別関係を学習する
    地表種別分類方法。
  2. 請求項1記載の地表種別分類方法であって、
    前記種別関係学習は、前記入力値として、前記位置ベクトルの各成分を3つの虚数部に対応させると共に第1の値を実数部に対応させることによって前記位置ベクトルを四元数に拡張した四元数位置ベクトルと、前記変動ベクトルの各成分を3つの虚数部に対応させると共に第2の値を実数部に対応させることによって前記変動ベクトルを四元数に拡張した四元数変動ベクトルと、を含む
    地表種別分類方法。
  3. 請求項1または2記載の地表種別分類方法であって、
    前記種別関係学習は、前記位置ベクトルとして予め定めた地表種別が既知の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルを用いて行なわれる学習であり、
    前記種別関係学習における前記種別関係と前記入力された電波情報とに基づいて前記複数の領域の地表種別毎の関連性の程度を演算し、該演算した地表種別毎の関連性の程度に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する
    地表種別分類方法。
  4. 請求項3記載の地表種別分類方法であって、
    前記種別関係学習は、前記入力値として、前記照射波を水平偏波および垂直偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、前記照射波を45度偏波および−45度偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、前記照射波を左旋円偏波および右旋円偏波のいずれか一方の偏波状態にしたときと、のそれぞれにおける3つの前記位置ベクトルおよび3つの前記変動ベクトルを四元数に拡張した6つの四元数ベクトルを含む
    地表種別分類方法。
  5. 請求項3または4記載の地表種別分類方法であって、
    前記種別関係学習は、値0ではない第3の値を実数部に対応させると共に値0を3つの虚数部に対応させた四元数である閾値ベクトルを前記ニューラルネットワークの閾値として入力する
    地表種別分類方法。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1つの請求項に記載の地表種別分類方法であって、
    前記地域種別は、異なるn個の種別であり、
    前記ニューラルネットワークは、互いに内積が値0となる前記n個のベクトルを前記入力値に対して期待される出力値とする
    地表種別分類方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の地表種別分類方法であって、
    前記地表種別は、湖、草地、森、街、砂漠のうちの少なくとも4つの種別を含む
    地表種別分類方法。
  8. 地表の複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類プログラムであって、
    地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力する電波情報入力モジュールと、
    複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習モジュールと、
    前記学習した種別関係に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類モジュールと、
    を備える地表種別分類プログラム。
  9. 地表の複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類装置であって、
    地表の複数の領域に対して照射した照射波と該照射波の照射に伴って得られる散乱波とからなる電波情報を入力する電波情報入力部と、
    複数の領域に対する偏波情報のポアンカレ球における位置ベクトルと、該位置ベクトルの近隣の領域の位置ベクトルからの変動を示す変動ベクトルと、を四元数に拡張した複数の四元数ベクトルを入力値としてニューラルネットワークを用いて前記電波情報と地表種別との関係である種別関係を学習する種別関係学習部と、
    前記学習した種別関係に基づいて前記複数の領域の地表種別を分類する地表種別分類部と、
    を備える地表種別分類装置。
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