JPWO2014133085A1 - がんの予防または治療用医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

核酸系逆転写酵素阻害薬であるアバカビルが、正常細胞のDNA複製を阻害することなくin vitroにおいてATL細胞に対して抗がん活性を発現することを見出した。アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体は、がん、特に乳がんや成人T細胞白血病等のDNA修復機構に異常を有するがんの予防または治療用医薬組成物の有効成分として有用である。

Description

本発明は、がんの予防または治療用医薬組成物に関するものであり、詳細には、アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するがんの予防または治療用医薬組成物に関するものである。
核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI:Nucleoside Analogue Reverse Transcriptase Inhibitor)は、抗ヒト免疫不全ウイルス1型(以下「HIV−1」と記す)薬として開発され、現在抗HIV治療の核をなす薬剤として使用されている。しかしながら、そのプロトタイプであるジドブジン(AZT)に関しては、ウイルスの逆転写のみならず、正常細胞のDNA複製阻害を惹き起こすことが知られている(非特許文献1参照)。一方、HIV−1と同様のヒトレトロウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス1型(以下「HTLV−1」と記す)に対して、各種の核酸系逆転写酵素阻害薬に抗ウイルス効果があることが知られている。さらに、HTLV−1感染に起因する成人T細胞白血病(Adult T cell Leukemia、以下「ATL」と記す)の治療においてインターフェロン(IFN)とジドブジンの併用療法が行なわれ、その効果が報告されている(非特許文献2、3参照)。しかし、in vitroにおいてジドブジンはATL細胞に対して抗がん効果がないことが報告されており(非特許文献4参照)、ATL細胞におけるジドブジンの作用機序は不明な点が多い。
NRTIの一種であるアバカビル(ABC)は抗HIV薬として臨床使用されており、抗HTLV−1効果を有することも報告されている(非特許文献5参照)。しかし、アバカビルの抗がん効果については知られていなかった。
Environ Mol Mutagenesis 48:215, 2007 NEJM 332:1744, 1995 J Clin Oncol 28:4177, 2010 Leukemia 14:716, 2000 J Infect Dis 188:424, 2003
本発明は、正常細胞のDNA複製を阻害することなくin vitroにおいてATL細胞に対して抗がん活性を発現する核酸系逆転写酵素阻害薬を見出し、当該核酸系逆転写酵素阻害薬を有効成分とし、正常細胞に対する副作用が軽減された新規ながんの予防または治療用医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するがんの予防または治療用医薬組成物。
[2]DNA修復機構に異常を有するがんの予防または治療用である前記[1]に記載の医薬組成物。
[3]DNA修復機構に異常を有するがんが、TDP1の発現量が低下しているがんである前記[2]に記載の医薬組成物。
[4]肺がんまたはヒトT細胞白血病ウイルス1型感染に起因するがんの予防または治療用である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の医薬組成物。
[5]成人T細胞白血病の予防または治療用である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]PARP阻害剤と組み合わせて使用される前記[1]〜[5]のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて使用される前記[1]〜[5]のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]DNA切断作用を有する前記[1]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
[9]細胞周期停止作用および/またはアポトーシス誘発作用を有する前記[1]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
[10]アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するHTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療用医薬組成物。
本発明により、正常細胞のDNA複製を阻害せずに抗がん活性を発現するがんの予防または治療用医薬組成物、すなわち、正常細胞に対する副作用が軽減された新規ながんの予防または治療用医薬組成物を提供することができる。
6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用いて、HTLV−1産生細胞株MT2の細胞増殖およびウイルス産生量に対する効果を検討した結果を示す図であり、(A)が細胞増殖の結果、(B)がウイルス産生量の結果を示す図である。 6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用いて、HTLV−1産生細胞株HUT102(ATL由来)の細胞増殖およびウイルス産生量に対する効果を検討した結果を示す図であり、(A)が細胞増殖の結果、(B)がウイルス産生量の結果を示す図である。 6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用いて、HTLV−1感染細胞株(ウイルス非産生ATL細胞株)の細胞増殖に対する効果を検討した結果を示す図であり、(A)がED40515(−)、(B)がED40515(+)、(C)がSYK−11L(+)、(D)がATL43Tの結果を示す図である。 6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用いて、HTLV−1非感染細胞株の細胞増殖に対する効果を検討した結果を示す図であり、(A)がJurkat、(B)がKit225、(C)がH9、(D)がSUDHL6の結果を示す図である。 HTLV−1産生細胞株に対するアバカビルの用量依存的な細胞増殖抑制作用を確認した結果を示す図であり、(A)がMT2の結果、(B)がHUT102の結果を示す図である。 HTLV−1感染細胞株(ウイルス非産生ATL細胞株)に対するアバカビルの用量依存的な細胞増殖抑制作用を確認した結果を示す図であり、(A)がED40515(−)、(B)がED40515(+)、(C)がSYK−11L(+)、(D)がATL43Tの結果を示す図である。 ATL細胞株の染色体に対するアバカビルの作用を検討した結果を示す図である。 ATL細胞株に対するアバカビルの特異的DNA修復タンパク質誘導作用を検討した結果を示す図であり、(A)はRad51陽性細胞の割合を示し、(B)はγH2AX陽性細胞の割合を示し、(C)はPARP陽性細胞の割合を示す図である。 アバカビルのATL細胞増殖抑制効果に対するPARP(poly(ADP-ribose)polymerase)阻害剤の影響を検討した結果を示す図である。 ATL細胞株の細胞周期に対するアバカビルの作用を検討した結果を示す図である。 ATL細胞株に対するアバカビルのアポトーシス誘発作用を検討した結果を示す図である。 DT40細胞由来DNA修復酵素変異株の細胞増殖に対するアバカビルの効果を検討した結果を示す図である。 HTLV−1感染細胞株のTDP1タンパク質の発現量をウエスタンブロットにより検出した結果を示す図である。 ATL患者の末梢血単核球のTDP1発現量を健常人のCD4+T細胞のTDP1発現量と比較した結果を示す図であり、(A)はウエスタンブロットの結果、(B)は定量PCRの結果である。 HTLV−1非感染細胞株のJurkatにTDP1のsiRNAを導入して作製したTDP1ノックダウン細胞のTDP1発現量を測定した結果を示す図であり、(A)は定量PCRの結果、(B)はウエスタンブロットの結果である。 TDP1ノックダウン細胞に対するアバカビルの細胞増殖抑制作用を確認した結果を示す図である。 HTLV−1感染細胞株のMT2にヒトTDP1発現用レンチウイルスベクターを導入して作製したTDP1過剰発現MT2細胞のTDP1タンパク質の発現量をウエスタンブロットにより検出した結果を示す図である。 TDP1過剰発現MT2細胞に対するアバカビルの細胞増殖抑制作用を確認した結果を示す図である。 TDP1の発現が欠失している肺がん細胞株に対するアバカビルの細胞増殖抑制作用を確認した結果を示す図である。 HTLV−1感染細胞株のMT2に対するアバカビルとトポイソメラーゼ阻害剤との併用効果を検討した結果を示す図であり、(A)はCPT−11との併用の結果、(B)はVP16との併用の結果、(C)はADRとの併用の結果である。
本発明者らは、各種核酸系逆転写酵素阻害薬の中で、アバカビルがHTLV−1感染細胞およびATL細胞に対して最も強力な細胞増殖抑制効果を示すこと、この細胞増殖抑制効果はHTLV−1非感染の細胞に対しては効果を示さないことを見出した。また、本発明者らは、アバカビルはDNA修復機構に作用しDNAの二本鎖切断を生じさせること、PARP阻害剤と相乗効果を示すこと、細胞周期停止およびアポトーシスを惹起することを見出した。さらに、本発明者らは、HTLV−1感染していない細胞であっても、DNA修復機構に異常のあるがん細胞に対してアバカビルは細胞増殖抑制効果を示すことを見出した。さらに、本発明者らは、DNA修復酵素のTDP1の発現量が低下したがん細胞に対してアバカビルは細胞増殖抑制効果を示すことを見出し、トポイソメラーゼ阻害剤と相乗効果を示すことを見出した。
アバカビルは以下の化学構造を有し、化学名は(−)−(1S,4R)−4−[2−アミノ−6−(シクロプロピルアミノ)−9H−プリン−9−イル]−2−シクロペンテン−1−メタノール)である。
本明細書において「製薬上許容される誘導体」とは、哺乳動物等の生体に投与した際に意図した活性成分またはそのあらゆる活性代謝物または残基を、直接または間接的に提供することができるあらゆる製薬上許容される塩、溶媒和物、エステルまたはそのようなエステルの塩、その他あらゆる化合物を意味する。
アバカビルの製薬上許容される塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等の有機酸塩)などが挙げられる。好ましくは、コハク酸塩およびヘミ硫酸塩である。
アバカビルは、欧州特許0434450またはWO95/21161に記載の方法によって製造することができる。アバカビルのコハク酸塩はWO96/06844に記載の方法によって調製することができる。アバカビルのヘミ硫酸塩は、WO98/52949に記載の方法によって調製することができる。
本発明の医薬組成物よる予防または治療対象のがんは、特に限定されないが、好ましくはDNA修復機構に異常を有するがんである。DNA修復機構に異常を有するがんとしては、例えば、乳がん、卵巣がん、皮膚がん、大腸がん、肺がん、リンパ系白血病などが挙げられる。また、HTLV−1感染に起因するがんも、DNA修復機構に異常を有するがんに含まれる。したがって、HTLV−1感染に起因するがんは、本発明の医薬組成物による予防または治療対象として好適である。HTLV−1感染に起因するがんとしては、ATLが挙げられる。本願発明者らは、HTLV−1感染に起因するがん細胞において、DNA修復酵素の一種であるTDP1の発現量が低下していることを確認した。したがって、本発明の医薬組成物は、TDP1の発現量が低下しているがんを対象とすることが好ましい。TDP1の発現量が低下しているがんとしては、例えばATL、肺がんなどが挙げられる。TDP1(Tyrosyl-DNA phosphodiesterase 1)はDNA修復タンパク質であり、特に一本鎖DNA断裂の修復に関与していることが知られている。TDP1の発現量が低下しているがんであることは、がん細胞中のTDP1タンパク質量またはTDP1 mRNA量を公知の方法(例えばウエスタンブロット、定量RT−PCRなど)で測定し、DNA修復機構に異常がない細胞のTDP1発現量と比較することにより確認することができる。
アバカビルは、HTLV−1感染非がん細胞であるMT2細胞に対して強い細胞増殖抑制および強いウイルス産生抑制を示したことから、本発明の医薬組成物は、HTLV−1キャリアにおけるATL発症の予防薬として、非常に有用である。
また、アバカビルは、HTLV−1感染非がん細胞であるMT2細胞に対して強い細胞増殖抑制および強いウイルス産生抑制を示したことから、本発明の医薬組成物は、HTLV−1感染に起因するすべての疾患の予防および/または治療に有用である。HTLV−1感染に起因する疾患としては、ATL以外に、HAM/TSP(HTLV-I associated myelopathy、HTLV−I関連脊髄症/tropical spastic paraparesis、熱帯性痙性対麻痺)、HTLV−1 associated uveitis(HTLV−1関連ブドウ膜炎)、HTLV−1 associated arthropathy等の炎症性疾患が挙げられる。したがって、本発明には、アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するHTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療用医薬組成物が含まれる。
アバカビルはDNA切断作用、特にDNAの二本鎖切断作用を有するので、本発明の医薬組成物は、DNA切断誘導剤またはDNAの二本鎖切断誘導として有用である。また、アバカビルは細胞周期停止作用およびアポトーシス誘発作用を有するので、本発明の医薬組成物は、細胞周期停止誘導剤、アポトーシス誘発剤としても有用である。
本発明の医薬組成物は、アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分とし、製薬上許容される担体、さらに添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤業務(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解または懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
アバカビルは、抗ウイルス化学療法剤として臨床で広く使用されているので、本発明の医薬組成物はヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、安全に投与することができる。
アバカビルの投与量は、投与を受ける者の状態、対象がん種、症状、投与方法などにより変化するので、最終的に医師の判断に委ねられるが、経口投与の場合、通常、1日につき投与を受ける者の体重1kgあたり約0.1〜120mgの範囲であり、好ましくは1日につき投与を受ける者の体重1kgあたり約3〜90mgの範囲であり、より好ましくは1日につき投与を受ける者の体重1kgあたり約5〜60mgの範囲である。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。
本発明の医薬組成物は、DNA修復酵素阻害剤と併用することにより抗がん活性を相乗的に増強させることができる。DNA修復酵素阻害剤としては、例えば、PARP(poly(ADP-ribose)polymerase)阻害剤、TDP1修復酵素阻害剤、複製DNAポリメラーゼ校正ヌクレアーゼに対する阻害剤、損傷乗越えDNAポリメラーゼに対する阻害剤、ATRキナーゼ阻害薬などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくはPARP阻害剤である。
本発明の医薬組成物は、他のがん治療用薬剤と併用して用いることができる。他のがん治療用薬剤は特に限定されないが、例えば、化学療法剤、免疫療法剤またはホルモン療法剤と併用して用いることが好ましい。また、本発明のがんの予防または治療薬は、放射線療法と併用して用いることができる。
化学療法剤としては、特に限定されないが、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン等のアルキル化剤;例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、ペメトレキセド、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフール、カペシタビン等)、アミノプテリン、ネルザラビン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン、ベンダムスチン等の代謝拮抗剤;例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン等の抗がん性抗生物質;例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビン、イリノテカン、塩酸イリノテカン等の植物由来抗がん剤などが挙げられる。
免疫療法剤としては、特に限定されないが、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール、抗CTLA4抗体などが挙げられる。
ホルモン療法剤としては、特に限定されないが、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン等)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリン等)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン等)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド等)、5α−レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリド等)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン等)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロン等)などが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、トポイソメラーゼ阻害剤と併用することが好ましい。本発明の医薬組成物は、トポイソメラーゼ阻害剤と併用することにより抗がん活性を相乗的に増強させることができる。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼの働きを阻害することにより薬剤がDNAの切断部位に入り込み再結合を阻止するため、DNAが切断されたままの状態となり、がん細胞を死滅させる。本発明の医薬組成物との併用に適したトポイソメラーゼ阻害剤は特に限定されず、上記の作用機序を有する薬剤は、いずれも本発明の医薬組成物との併用に好適である。具体的には、例えば塩酸イリノテカン(CPT−11)、エトポシド(VP16)、塩酸ドキソルビシン(ADR)、ノギテカン、塩酸ダウノルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン、イリノテカン、リン酸エトポシドなどが挙げられる。
本発明のがんの予防または治療薬と他のがん治療用薬剤または放射線療法とを併用することにより、(1)相乗効果が得られる、(2)投与量を軽減することができる、(3)治療期間を長く設定することができる、(4)治療効果の持続を図ることができる、等の効果が得られる。
本発明のがんの予防または治療薬と他のがん治療用薬剤とを併用する場合、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与対象の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明には、以下の各発明も含まれる。
哺乳動物に対してアバカビルまたはその製薬上許容される誘導体の有効量を投与することを特徴とするがんの予防または治療方法。
がんの予防または治療に使用するためのアバカビルまたはその製薬上許容される誘導体。
がんの予防または治療用医薬を製造するための、アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体の使用。
哺乳動物に対してアバカビルまたはその製薬上許容される誘導体の有効量を投与することを特徴とするHTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療方法。
HTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療に使用するためのアバカビルまたはその製薬上許容される誘導体。
HTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療用医薬を製造するための、アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体の使用。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実験方法において特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), "Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd edition)", Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001) や、F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore,J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sons Ltd. などの、当該技術分野における標準的なプロトコール集に記載の方法、またはそれらを改変した方法を用いた。
〔実施例1:HTLV−1産生細胞株の細胞増殖およびウイルス産生に対する効果〕
(1)実験材料
HTLV−1産生細胞株として、MT2(HTLV-1によるトランスフォーム株、JCRB細胞番号:JCRB1210)およびHUT102(ATL由来細胞株、ATCC番号:TIB-162)を使用した。
核酸系逆転写酵素阻害薬として、アバカビル(ABC)、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(DDI)、スタブジン(D4T)、ラミブジン(3TC)およびテノホビル(TDF)の6種類を用いた。これらの核酸系逆転写酵素阻害薬はDMSOに溶解して培地に添加した。これらの核酸系逆転写酵素阻害薬は、米国NIH AIDS reagent programより入手した。
(2)細胞増殖試験
各細胞の培地に各核酸系逆転写酵素阻害薬をそれぞれ100μMとなるように添加し、1×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、4時間(Day0)、48時間(Day2)または96時間(Day4)培養した。コントロールとしてDMSOのみを添加した溶媒対照を設けた。細胞増殖試験はMTSアッセイにより実施した。すなわち、所定時間の培養後、細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を加え、4時間後に490nmの吸光度を測定した。細胞増殖量は、Day0のコントロール(溶媒対照)の値を1としたときの相対比率で表した。
(3)ウイルス量の測定
各細胞の培地に各核酸系逆転写酵素阻害薬をそれぞれ100μMとなるように加え、1×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、0時間(Day0)、48時間(2日間)、96時間(4日間)または168時間(7日間)培養し、それぞれの時点で培地を回収した。HTLV−1 P19 ELISA kit(Zeptometrix社製)を用いて、各時点で回収した培地中のウイルス量(pg/mL)を測定した。
(4)結果
MT2の結果を図1に、HUT102の結果を図2に示した。図1および図2とも(A)が細胞増殖の結果、(B)がウイルス産生量の結果である。図1および図2から明らかなように、用いた6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬の中で、アバカビル(図中ABC)は両細胞株に対して細胞増殖およびウイルス産生を最も強く抑制した。
〔実施例2:HTLV−1感染細胞株(ウイルス非産生ATL細胞株)の細胞増殖に対する効果〕
HTLV−1感染細胞株(ウイルス非産生ATL細胞株)として、ED40515(−)、ED40515(+)、ATL43T(いずれも作製者の前田道之博士より供与)およびSYK−11L(+)(発明者らの研究室で作製)を使用した。
実施例1と同じ6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用い、実施例1と同じ方法で細胞増殖試験を実施した。
結果を図3(A)〜(D)に示した。(A)がED40515(−)、(B)がED40515(+)、(C)がSYK−11L(+)、(D)がATL43Tの結果である。図3(A)〜(D)から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はすべての細胞株に対して強い細胞増殖抑制作用を示した。
〔参考例1:HTLV−1非感染細胞株の細胞増殖に対する効果〕
HTLV−1非感染細胞株として、Jurkat(ヒトT細胞白血病細胞株、ATCC番号:TIB−152)、Kit225(慢性T細胞性白血病由来細胞株、発明者らの研究室にて樹立、Blood. 1987 Oct;70(4):1069-72.)、H9(皮膚T細胞リンパ腫由来細胞株、ATCC番号:HTB−176)およびSUDHL6(瀰漫性B細胞リンパ腫由来細胞株)を使用した。
実施例1と同じ6種類の核酸系逆転写酵素阻害薬を用い、実施例1と同じ方法で細胞増殖試験を実施した。
結果を図4(A)〜(D)に示した。(A)がJurkat、(B)がKit225、(C)がH9、(D)がSUDHL6の結果である。図4(A)〜(D)から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はいずれの細胞株に対しても細胞増殖抑制作用を示さなかった。
〔実施例3:HTLV−1産生細胞株に対するアバカビルの細胞増殖抑制〕
実施例1で用いたMT2およびHUT102に、アバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μM、25μM、50μM、75μM、100μMの各濃度で添加し、1×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、4時間または48時間培養した。所定時間の培養後、実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。細胞増殖量は、Day0のコントロール(溶媒対照)の値を1としたときの相対比率で表した。
結果を図5(A)、(B)に示した。(A)がMT2の結果、(B)がHUT102の結果である。図5(A)、(B)から明らかなように、アバカビルは両細胞株の細胞増殖を用量依存的に抑制した。
〔実施例4:HTLV−1感染細胞株(ウイルス非産生ATL細胞株)に対するアバカビルの細胞増殖抑制〕
実施例2で用いたED40515(−)、ED40515(+)、SYK−11L(+)およびATL43Tに、アバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μM、25μM、50μM、75μM、100μMの各濃度で添加し、1×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、4時間(Day0)、48時間(Day2)または96時間(Day4)培養した。所定時間の培養後、実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。細胞増殖量は、Day0のコントロール(溶媒対照)の値を1としたときの相対比率で表した。
結果を図6(A)〜(D)に示した。(A)がED40515(−)、(B)がED40515(+)、(C)がSYK−11L(+)、(D)がATL43Tの結果である。図6(A)〜(D)から明らかなように、アバカビルはすべての細胞株の細胞増殖を用量依存的に抑制した。
実施例1〜4および参考例1の結果から、アバカビルは、HTLV−1感染細胞株においてウイルス産生を抑制するのみならず、ATL細胞株を含むHTLV−1感染細胞の細胞増殖を強く抑制することが示された。この効果は、他のT細胞白血病株やB細胞リンパ腫株においては見られず、HTLV−1感染T細胞株に特異的な効果であった。
〔実施例5:ATL細胞株の染色体に対するアバカビルの作用〕
ATL細胞株であるED40515(−)に、アバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μM、25μM、50μM、75μM、100μMの各濃度で添加し、48時間培養後、カルノア固定し、定法に従って染色体標本(ギムザ染色)を作製した。ED40515(−)にジドブジンを10μM、100μMの各濃度で添加したもの、非ATL細胞株であるJurkatにアバカビルを100μMの濃度で添加したものについても同様に染色体標本を作製した。1群あたり100個以上の染色体像を光学顕微鏡で観察し、1箇所でも染色体断裂がある細胞を二本鎖切断(DSB:double strand break)陽性と判定した。
群ごとの二本鎖切断陽性細胞の割合を図7に示した。図7から明らかなように、アバカビル(図中ABC)は用量依存的に二本鎖切断陽性細胞の割合が増加させた。一方、ジドブジン(図中AZT)はATL細胞株の染色体に二本鎖切断を生じさせなかった。また、アバカビルは非ATL細胞株であるJurkatに二本鎖切断を生じさせなかった。
〔実施例6:アバカビルによるATL細胞株特異的DNA修復タンパク質誘導作用〕
ATL細胞株であるED40515(−)または非ATL細胞株であるJurkatに、DMSO(溶媒対照)またはアバカビルを100μMの濃度で添加し、48時間培養した。細胞をプレパラートに固定しRad51、γH2AX、PARPを免疫染色し、蛍光顕微鏡で観察した。1群当たり70個以上の細胞を観察し、各タンパク質の陽性細胞の割合を算出した。Rad51は大腸菌のRecAタンパク質のホモログであり、DNAの二本鎖切断の修復に関与するタンパク質である。γH2AXはリン酸化ヒストンタンパク質であり、DNAの二本鎖切断の修復に関与するタンパク質である。PARPはポリADP−リボース合成酵素であり、DNAの一本鎖切断の修復に関与するタンパク質である。
結果を図8(A)〜(C)に示した。(A)はRad51陽性細胞の割合を示す図であり、(B)はγH2AX陽性細胞の割合を示す図であり、(C)はPARP陽性細胞の割合を示す図である。図8(A)〜(C)から、アバカビル(図中ABC)はATL細胞株に対して特異的にRad51、γH2AX、PARPを誘導することが明らかとなった。この結果は、アバカビルが、ATL細胞特異手的にDNAの二本鎖切断を生じさせることを裏付けるものと考えられる。
〔実施例7:アバカビルのATL細胞増殖抑制効果に対するPARP阻害剤の影響〕
ATL細胞株であるED40515(−)または非ATL細胞株であるJurkatに、アバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μM、50μM、100μMの各濃度で添加し、さらにPARP阻害剤であるOlaparibを0μM(DMSOを添加)、1μM、10μM、100μM、1000μMの各濃度で添加して48時間培養した。実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。細胞増殖量は、Day0のコントロール(溶媒対照)の値を1としたときの相対比率で表した。
結果を図9(A)、(B)に示した。(A)はED40515(−)の結果であり、(B)はJurkatの結果である。図9(A)から明らかなように、Olaparibはアバカビル(図中ABC)によるED40515(−)に対する細胞増殖抑制効果を用量依存的に増強した。一方、図9(B)から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はJurkatの細胞増殖を抑制せず、OlaparibはJurkatの細胞増殖に影響を及ぼさなかった。
〔実施例8:ATL細胞株の細胞周期に対するアバカビルの作用〕
ATL細胞株であるED40515(−)または非ATL細胞株であるJurkatに、DMSO(溶媒対照)、アドリアマイシン(ADR、陽性対照)、アバカビル(10μM、100μM)を添加し、24時間培養した。ヨウ化プロピジウム(Propidium Iodide:PI)で染色し、フローサイトメトリーで細胞周期を解析して、G0G1/S/G2期の細胞の割合を求めた。
結果を図10(A)、(B)に示した。(A)はED40515(−)の結果であり、(B)はJurkatの結果である。図10(A)から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はED40515(−)に対してS/G2期停止を惹起した。一方、図10(B)から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はJurkatの細胞周期に影響を及ぼさなかった。
〔実施例9:ATL細胞株に対するアバカビルのアポトーシス誘発作用〕
ATL細胞株であるED40515(−)に、DMSO(溶媒対照)、アドリアマイシン(ADR、陽性対照)、アバカビル(100μM)を添加し、24時間または48時間培養した。所定時間培養後、アネキシンVで染色し、フローサイトメトリーでアネキシンV陽性細胞を測定した。アネキシンV陽性細胞をアポトーシス細胞と評価した。
結果を図11に示した。図11から明らかなように、アバカビル(図中ABC)はED40515(−)にアポトーシスを誘発することが示された。
実施例5〜9の結果から、アバカビルは、ATL細胞株に対して染色体断裂を誘導したが、非ATL細胞株の染色体には影響しないことが示された。また、この効果は、従来DNA障害の報告されている核酸系逆転写酵素阻害薬ジドブジンでは見られなかった。以上より、アバカビルはATL細胞に特異的に染色体断裂を惹き起こし、またこの効果はアバカビル特異的なものであることが明らかとなった。さらにアバカビルは、ATL細胞に細胞周期停止、アポトーシスを惹き起こすことが示された。
〔実施例10:DT40細胞由来DNA修復酵素変異株の細胞増殖に対するアバカビルの効果〕
ニワトリB細胞由来DT40細胞の野生株および各種DNA修復酵素変異株を用いた。これらの細胞株は京都大学大学院医学研究科放射線遺伝学研究室から分与を受けることができる(参考文献:(1)Mol Cell Biol. 2001 Apr;21(8):2858-66. (2)PLoS Genet. 2011 Jul;7(7):e1002148. (3)Mol Cell Biol. 2008 Oct;28(19):6113-22. (4)J Biol Chem. 2012 Apr 13;287(16):12848-57.)。
各細胞の培地にアバカビルをそれぞれ25μMとなるように添加し、1×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、48時間培養した。培養終了後、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(商品名、プロメガ社製)を用い、ATP法にて細胞増殖を測定した。
結果を図12に示した。図12の縦軸(Log2 Gene/WT)は、DNA修復酵素変異株のATPアッセイ値を野生株のATPアッセイ値で除し、そのlog2を取って数値化したものである。具体的には、縦軸が−1であれば野生株と比較した増殖率が50%、−2であれば野生株と比較した増殖率が25%であることを示す。図12から明らかなように、DNA修復酵素であるXRCC2、PCNA、BRCA1、TDP1、GEN1の各欠損DT40細胞株に対して、アバカビルは細胞増殖抑制効果を示した。示していないが、他のいくつかのDNA修復酵素欠損DT40細胞株に対しても、アバカビルは同様の細胞増殖抑制効果を示した。この結果から、アバカビルは、HTLV−1感染細胞に限らず、DNA修復機構に異常を有するがんの予防または治療に有用であることが示された。
〔実施例11:HTLV−1感染細胞株におけるTDP1の発現〕
HTLV−1感染細胞株として、ED40515(−)、ED40515(+)、MT2、HUT102、SY、SYK−11L(+)およびATL43Tを使用した。対照としてHTLV−1非感染細胞株のJurkatを使用した。これらの細胞は、SY細胞を除き、実施例1,2または参考例1で使用した細胞と同じである。SYは発明者らの研究室で作製したHTLV−1感染細胞株である。定法に従って各細胞株を培養し、細胞溶解液を調製して細胞溶解液中のTDP1をウエスタンブロットで検出した。具体的には、各細胞株をそれぞれ溶解バッファー(MPER、1 mM PMSF、phosphatase inhibitor cocktail、プロテアーゼ阻害薬カクテル)で溶解し、SDSページで展開、メンブレンに転写して抗ラビットTDP1抗体(ab4166:Abcam)で検出した。
結果を図13に示した。図13から明らかなように、HTLV−1感染細胞株ではTDP1タンパク質の発現が低下していることが示された。この結果から、HTLV−1感染細胞はTDP1が関与するDNA修復機構に異常を有していることが明らかとなった。
〔実施例12:ATL患者細胞におけるTDP1の発現〕
10例のATL患者から採取した末梢血単核球および5名の健常人から採取したCD4+T細胞を試験に供した。実施例11と同じ方法でウエスタンブロットを実施した。また、各細胞株からtotal RNAを抽出し、cDNAを合成して定量PCRを行い、TDP1のmRNA量を定量した。具体的には、High Pure RNA Isolation Kit(Roche社)を使用してRNAを抽出後、PrimeScriptII 1st strand cDNA Synthesis Kitを用いてcDNAを合成した。以下のプライマーを使用して、TDP1のmRNA量を定量した。
TDP1_F:5’-AGGCAGCCTTGGACAGATT-3’(配列番号1)
TDP1_R:5’-GGTCAGCTGAGACTTCTGGC-3’(配列番号2)
結果を図14(A)、(B)に示した。(A)はATL患者2名および健常人2名のウエスタンブロットの結果、(B)はATL患者10名および健常人5名の定量PCRの結果である。図14(A)から明らかなように、ATL患者の末梢血単核球から、TDP1タンパク質は検出されなかった。また、図14(B)から明らかなように、ATL患者では、TDP1 mRNAの発現量が健常人と比較して有意に低下していることが示された。なお、(B)において、TDP1 mRNAの発現量は、健常人サンプルのうち1つのTDP1 mRNAの発現量を1としたときの相対比率で表した。
〔実施例13:TDP1のノックダウンによるアバカビル感受性の獲得〕
(1)TDP1ノックダウン細胞の作製
HTLV−1非感染細胞株のJurkatに、TDP1のsiRNAをエレクトロポレーションで導入し、TDP1ノックダウン細胞を作製した。具体的には、siTDP1 SMART POOL(Dharmacon)を購入し、Human Cell Nucleofector Kit(LONZA)を使用し、AMAXAシステムでsiRNAを導入した。siRNA導入後24時間目に、実施例12と同じ方法で定量PCRを行い、TDP1のmRNA量を定量した。また、siRNA導入後72時間目に細胞溶解液を調製して、実施例11と同じ方法でウエスタンブロットを行い、TDP1タンパク質の発現を検出した。いずれも実験もコントロールsiRNAを導入したJurkat細胞をコントロールとした。なお、コントロールsiRNAには、Stealth RNAi NEGATIVE CONTROL(invitrogen)を使用した。
結果を図15(A)、(B)に示した。(A)は定量PCRの結果であり、(B)はウエスタンブロットの結果である。図15(A)から明らかなように、TDP1ノックダウン細胞のTDP1のmRNA量は、コントロールと比較して大幅に減少していた。図15(B)から明らかなように、TDP1ノックダウン細胞のTDP1タンパク質の発現量は、コントロールと比較して大幅に減少していた。これらの結果から目的のTDP1ノックダウン細胞が作製できたことを確認した。
(2)TDP1ノックダウン細胞の細胞増殖に対するアバカビルの効果
JurkatにTDP1のsiRNAを導入したTDP1ノックダウン細胞およびJurkatにコントロールsiRNAを導入したコントロール細胞を使用した。siRNA導入後、各細胞の培地にアバカビルを0μM(DMSOを添加)または300μMの濃度で添加し、48時間培養した。実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。
結果を図16に示した。TDP1siRNA導入細胞およびコントロールsiRNA導入細胞とも、アバカビル(図中ABC)非処理細胞の細胞増殖を100%として、アバカビル処理細胞の細胞増殖を相対値で示した。図16から明らかなように、TDP1siRNAを導入したTDP1ノックダウン細胞の細胞増殖は、コントロールsiRNA導入細胞の細胞増殖より有意に低かった。この結果から、アバカビルは、TDP1の発現が低下しているがん細胞に対して有効であることが示された。
〔実施例14:MT2細胞へのTDP1導入によるアバカビル感受性の消失〕
(1)TDP1過剰発現MT2細胞の作製
実施例11においてTDP1タンパク質の発現の低下が確認されたHTLV−1感染細胞株のMT2に、ヒトTDP1発現用レンチウイルスベクターを導入し、ヒトTDP1タンパク質を過剰発現するMT2細胞を作製した。コントロールには、空ベクター(mock)を導入した。ヒトTDP1発現用レンチウイルスベクターは、NIHより供与を受けた。定法に従って細胞を培養し、実施例11と同じ方法でウエスタンブロットを行い、TDP1タンパク質の発現を検出した。
結果を図17に示した。コントロール細胞(図中mock)ではTDP1タンパク質を検出できなかったが、TDP1発現レンチウイルスベクターを導入した細胞(図中WT)ではTDP1が検出された。この結果から目的のTDP1過剰発現MT2細胞が作製できたことを確認した。
(2)TDP1過剰発現MT2細胞の細胞増殖に対するアバカビルの効果
TDP1過剰発現MT2細胞およびコントロール細胞(mock)にそれぞれアバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μM、25μM、50μM、75μM、100μMの各濃度で添加し、48時間培養した。実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。
結果を図18に示した。アバカビル(図中ABC)非処理のコントロール細胞(図中mock)の細胞増殖を100%として、各処理群の細胞増殖を相対値で示した。図18から明らかなように、TDP1過剰発現MT2細胞(図中WT)はアバカビルの濃度を増加させても細胞増殖が抑制されなかった。すなわち、本来アバカビル感受性であるMT2細胞にTDP1を過剰発現させると、アバカビル感受性が消失することが示された。
〔実施例15:肺がん細胞株の細胞増殖に対するアバカビルの効果〕
TDP1の発現が欠失している肺がん細胞株としてHOP_62およびNCI_H522を使用した。コントロールとしてTDP1が発現している肺がん細胞株NCI_H1299を用いた。HOP_62およびNCI_H522はDr. Pommierより供与された(DNA Repair. 2014 Jan;13:1-9)。
各細胞にそれぞれアバカビルを0μM(DMSOを添加)、100μM、200μM、300μMの各濃度で添加し、3×10個/100μL/ウェルで96穴プレートに播き、4時間または72時間培養した。所定時間の培養後、実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。細胞増殖量は、Day0のコントロール(溶媒対照)の値を100%としたときの相対比率で表した。
結果を図19に示した。図19から明らかなように、TDP1の発現が欠失しているHOP_62およびNCI_H522では、アバカビル濃度依存性に細胞増殖が抑制された。この結果から、アバカビルはTDP1の発現が低い肺がんに対して有効であることが示された。
〔実施例16:アバカビルとトポイソメラーゼ阻害剤との併用効果〕
HTLV−1感染細胞株であるMT2細胞を用いた。アバカビルを0μM(DMSOを添加)、10μMまたは25μMの各濃度で添加し、それぞれについて、さらにCPT−11(一般名:イリノテカン)を0pM、200pM、300pMまたは400pMの各濃度で添加して、48時間培養した。別途、アバカビルを上記各濃度で添加したMT2細胞のそれぞれについて、さらにVP16(一般名:エトポシド)を0nM、100nM、250nMまたは500nMの各濃度で添加して、48時間培養した。別途、アバカビルを上記各濃度で添加したMT2細胞のそれぞれについて、さらにADR(一般名:ドキソルビシン)を0nM、10nM、25nMまたは50nMの各濃度で添加して、48時間培養した。実施例1と同様に細胞増殖試験用試薬Aqueous One Solution Cell Proliferation(商品名、プロメガ社製)を用いてMTSアッセイを実施した。
結果を図20(A)〜(C)に示した。(A)はアバカビル(図中ABC)とCPT−11との併用の結果、(B)はアバカビルとVP16との併用の結果、(C)はアバカビルとADRとの併用の結果である。グラフの縦軸は、薬剤添加時の細胞数を1としたときの増殖率を表す。図20(A)〜(C)からわかるように、いずれのトポイソメラーゼ阻害剤もアバカビルと併用することにより顕著にMT2細胞の細胞増殖を抑制した。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (10)

  1. アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するがんの予防または治療用医薬組成物。
  2. DNA修復機構に異常を有するがんの予防または治療用である請求項1に記載の医薬組成物。
  3. DNA修復機構に異常を有するがんが、TDP1の発現量が低下しているがんである請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 肺がんまたはヒトT細胞白血病ウイルス1型感染に起因するがんの予防または治療用である請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 成人T細胞白血病の予防または治療用である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. PARP阻害剤と組み合わせて使用される請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて使用される請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. DNA切断作用を有する請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 細胞周期停止作用および/またはアポトーシス誘発作用を有する請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. アバカビルまたはその製薬上許容される誘導体を有効成分として含有するHTLV−1感染に起因する疾患の予防または治療用医薬組成物。
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