JPWO2013180124A1 - 生分解性高分子の分解制御方法 - Google Patents

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Abstract

生分解性高分子の分解開始時期及び分解速度の制御を可能にする技術の開発を課題とする。生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子を含有する、生分解性高分子組成物。

Description

本発明は、生分解性高分子の分解制御方法に関し、詳しくは生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子を含有する、生分解性高分子組成物を用いた、生分解性高分子の分解制御方法に関する。
化石資源由来のプラスチックは、優れた機能性と長期安定性を有しており、我々の生活をあらゆる面から豊かにしてきた。一方で、長期安定性を求めて開発されてきたプラスチックは、自然環境中で分解されないため、プラスチック廃棄物の増加といった社会問題に発展している。このような背景から、使用後は土に還る生分解性高分子からなる生分解性プラスチックが注目され始めた。生分解性プラスチックは、環境中の微生物により分解されるため、従来の合成プラスチックのように環境中に半永久的にとどまることはない。しかしながら、増加するプラスチック廃棄物を処理するためには、分解速度を促進する等して分解性を高めることが課題である。
生分解性プラスチックの分解性を高めるための方法として、いくつかの例が報告されている。すなわち、生分解性プラスチックの分解促進が、1)有機物(特許文献1)、あるいは2)無機物(特許文献2及び3)によりもたらされることが報告されている。一方、これらの方法では、分解開始時期の制御まではできない。したがって、用途等によっては、使用中に分解が開始される恐れがある。
生分解性プラスチックは大きくは「生物由来のもの」と「化学合成によるもの」の2種類に分けることができる。前者の例としてはpoly(3-hydroxybutyrate) (PHB)が挙げられ、後者の例としてはpoly(ethylene succinate) (PESu)が挙げられる。このうち、特に化学合成による生分解性プラスチックは、生物由来の生分解性プラスチックに比べて、暴露環境の違いにより生分解速度が大きく異なる。これは、化学合成による生分解性プラスチックを分解する微生物種とその分布が偏在していることが原因であると考えられる。
生分解性プラスチックは、使用中は十分な物性を発揮し、廃棄後は速やかに分解する必要がある。つまり分解開始時期を制御する必要がある。しかしながら、多くの生分解性プラスチックの様々な環境中での生分解性は、そこに住む微生物種に依存するため、安定しない。つまり、現在市場にある生分解性プラスチックは、生分解可能ではあるが、生分解性は保証されていない。
特開平11−335449号公報 特開2002−293982号公報 特開平9−98770号公報
このような背景において、生分解性高分子において、分解開始時期及び分解速度の制御が保証されれば、その環境用途における応用範囲が格段に広がると考えられるが、このような方法は開発されていなかった。
そこで、本発明は、生分解性高分子の分解開始時期及び分解速度の制御を可能にする技術の開発を課題とする。
本発明者らは、上記技術を開発するために鋭意検討を行った。その結果、生分解性高分子の生分解能を有する微生物を芽胞として生分解性高分子中に配合し、イーストエキストラクト(YE)等を芽胞発芽のトリガーとして用いるという今までにない方法により、生分解性高分子の分解開始時期及び分解速度の制御を実現した。すなわち、上記の課題に合致した生分解性高分子の分解開始時期及び分解速度の制御を可能にする技術が達成されることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子を含有する、生分解性高分子組成物。
<2> さらに芽胞の発芽剤を含有する、<1>に記載の生分解性高分子組成物。
<3> 発芽剤が、イーストエキスである、<2>に記載の生分解性高分子組成物。
<4> <1>〜<3>のいずれかに記載の生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解方法。
<5> <1>〜<3>のいずれかに記載の生分解性高分子組成物を調製し、
生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解制御方法。
本発明により、生分解性高分子の分解開始時期及び分解速度の制御が可能な生分解性高分子組成物;同組成物を用いた生分解性高分子の分解方法;同組成物を用いた生分解性高分子の分解制御方法が提供される。
本発明によれば、環境条件(特に微生物の種類、分布等)に依存せずに、生分解性高分子の分解速度を制御(特に促進)することが可能である。
また、本発明によれば、使用中は十分な物性を発揮し、廃棄後は速やかに分解されるように、生分解性高分子の分解開始時期を制御することが可能である。
また、本発明の芽胞形成菌は、高温耐性及び生分解性高分子(特にPESu)の分解能に優れた、生分解性高分子分解促進剤として有用な芽胞を形成する。
図1は、16S rDNA配列に基づき作製したJKCM2010株の系統樹を示す模式図である。 図2は、土壌芽胞内在PHBフィルムの生分解試験の結果を示す図である。 図3は、土壌芽胞内在PESuフィルムの生分解試験の結果を示す図である。 図4は、土壌芽胞内在PBATフィルムの生分解試験の結果を示す図である。 図5は、シークエンシング用プライマーと遺伝子との位置関係を示す模式図である。 図6は、JKCM2010株の位相差顕微鏡像を示す図(写真)である。 図7は、PESu乳化培地上のJKCM2010株によるクリアゾーン形成を示す図(写真)である。 図8は、JKCM2010株による芽胞形成を示す図(写真)である。 図9は、JKCM2010株の芽胞における温度の影響を示す図である。 図10は、JKCM2010株の芽胞を内在させたPESuフィルムを示す図(写真)である。 図11は、JKCM2010株の芽胞を内在させたPESuフィルムの生分解試験の結果を示す図である。
本明細書において用いた略号を説明する。
PHB:ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(poly(3-hydroxybutyrate))
PESu:ポリ(エチレンスクシネート)(poly(ethylene succinate))
PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート(poly(butylene adipate terephthalate))
YE:イーストエキス(Yeast extract)
(1)生分解性高分子組成物
本発明は、生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子を含有する、生分解性高分子組成物に関する。
本発明では、生分解性高分子中に、生分解性高分子を生分解する能力を有する芽胞形成菌の芽胞を含有させることで、分解開始時期を制御できる生分解性高分子組成物を実現した。
自然環境中に存在する菌の中には、菌体内に芽胞を形成する種(すなわち、芽胞形成菌)が存在する。芽胞形成菌は、周囲の環境が生存し難い環境(例えば、飢餓状態、温度条件など)になると芽胞を形成し休眠状態に入る。芽胞は外部からのストレスに対して高い耐久性(例えば、耐熱性、耐圧性、耐UV性、耐放射線性、耐薬品性など)を示す。また、周囲の環境が栄養豊富な成長に適した環境になると発芽し菌体に戻る。芽胞の発芽は、内膜に存在する発芽レセプターと呼ばれるタンパク質が発芽誘起物質を認識することで起こる。
そこで、本発明では、生分解性高分子分解菌であってかつ芽胞形成菌である菌の芽胞と、生分解性高分子とを含有させて、生分解性高分子組成物を作製する。本発明では、芽胞が、芽胞の発芽環境に曝されないように生分解性高分子組成物中に含有されている。ここで、芽胞形成菌の芽胞と生分解性高分子とを含有させる方法としては、生分解性高分子組成物の使用中に、芽胞が芽胞の発芽環境に曝されないように生分解性高分子組成物中に含有されるような様式であれば、特に制限されない。例えば、生分解性高分子フィルムで芽胞を挟み、フィルムを作製する方法;生分解性高分子に芽胞を例えば150〜250℃で溶融混合する方法等であり得る。
本発明の生分解性高分子組成物は、通常は、高分子組成物として機能するが、物理的な衝撃を加えること等により高分子組成物を破壊し、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝せば、内在した芽胞形成菌の芽胞に水等が加わる状態となり、芽胞が発芽・増殖して生分解性高分子組成物の分解が始まる。
ここで、生分解性高分子としては、生分解性高分子分解菌により生分解可能な高分子であれば、特に限定されない。生分解性高分子としては、生物由来のものと化学合成によるものがあるが、いずれも用いることができる。生分解性高分子としては、例えば、脂肪族ポリエステル(ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシアルカン酸等)、脂肪族芳香族ポリエステル(ポリブチレンアジペートテレフタレート等)等であり得る。
本発明に用いられる生分解性高分子の分子量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。例えば、成形加工の観点から、数平均分子量(Mn)であれば、2万〜1000万であり得る。重量平均分子量(Mw)であれば、2万〜1000万であり得る。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等により、測定することができる。
ここで、生分解性高分子の生分解能とは、生分解性高分子分解菌による、生分解性高分子を切断、低分子に断片化する能力を意味する。また、好ましくは、生分解性高分子の生分解能とは、生分解性高分子を切断、低分子に断片化、資化して無機化する能力であり得る。
生分解性高分子分解菌による生分解性高分子の生分解能は、例えば、高分子乳化培地上で菌を培養し、乳化培地上のコロニー周辺にクリアゾーンを形成することで確認することができる。
ここで、芽胞形成菌とは、芽胞を形成する種であれば、特に限定されず、一般的な土壌微生物を用いることができる。すなわち、生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌であれば、特に限定されず本発明において用いることができ、土壌に含まれる一般的な土壌微生物の芽胞を混合物として、本発明に用いることもできる。例えば、芽胞形成菌は、バチルス(Bacillus)属細菌、パエニバチラス(Paenibacillus)属細菌、ブレビバチラス(Brevibacillus)属細菌、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、スポルサルシナ(Sporosarcina)属細菌等であり得る。
例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等の生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌として、バチラス(Bacillus)属細菌、パエニバチラス(Paenibacillus)属細菌、ブレビバチラス(Brevibacillus)属細菌等が報告されており(Biotechnol. Lett. 26, 2004,771-777, Appl. Environ. Microbiol. 69. 2003. 2498-2504, Polym. Degrad. Stabil. 84. 2004. 115-121, J. Biosci. Bioeng. 97. 2004. 131-133, FEMS Microbiol. Lett.264. 2006.152-159, Appl. Microbiol. Biotechnol. 79, 2008, 743-750, Biotecnol. Adv. 26, 2008, 246-265)、これらを本発明に用いることもできる。
本発明に用いられる芽胞形成菌は、例えば、土壌などから単離された微生物について、後記実施例に示すように、高分子乳化培地上で菌を培養し、乳化培地上のコロニー周辺にクリアゾーンを形成する微生物を選択し、それを用いてもよい。
このような方法で、栃木県下野市の水田土壌より分離された細菌の一例として、バチルス・エスピーJKCM2010株がある。
後記実施例に示すとおり、バチルス・エスピーJKCM2010株の16Sリボゾーム塩基配列は、バチルス・サブチリスに98%と高い相動性を示した。これにより、本発明菌をバチルス属細菌と同定し、バチルス・エスピーJKCM2010株と名づけた(図1)。
バチルス・エスピーJKCM2010株は、生分解性高分子の生分解能に優れ、その芽胞が耐熱性に優れる等の点から、生分解性高分子分解促進剤として、本発明の生分解性高分子組成物に好ましく用いることができる。
これらの細菌から芽胞を形成する場合、これらの細菌を、通常の芽胞形成のための培養条件で培養し、得られた芽胞を、必要によりさらに精製、乾燥して用いることができる。バチルス・エスピーJKCM2010株であれば、例えば、後記実施例の表2の培地で、25〜30℃で24〜48時間培養することにより、芽胞を形成することができる。
芽胞は、例えば、得られた培養液から遠心分離等により芽胞を精製し、凍結乾燥等により乾燥して用いることができる。
なお、バチルス・エスピーJKCM2010株と同等又はそれ以上の生分解性高分子の生分解能及びその芽胞の耐熱性を有する変異株や、遺伝子組み換え株などの派生株を使用することもできる。例えば、これらの株をX線や紫外線の照射、またはN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)等の変異剤で処理し、生分解性高分子の生分解能及び/又はその芽胞の耐熱性等がさらに高められた株を選択し、それを用いてもよい。
本発明に用いられる芽胞形成菌の芽胞は、バチルス属細菌、クロストリジウム属細菌等の生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌から選択される1種類又は2種類以上の微生物の芽胞であり得る。
芽胞形成菌の芽胞は、土壌微生物の芽胞の混合物を単離せず、用いることもできる。
本発明の生分解性高分子組成物は、生分解性高分子組成物中の芽胞形成菌の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことにより、生分解性高分子を分解することができる。
ここで、発芽剤とは、発芽環境において、芽胞の発芽を誘起する物質であれば、特に限定されない。例えば、発芽剤は、イーストエキス、アミノ酸、グルコース、カリウムイオン等であり得る。
本発明に用いられる芽胞の発芽剤は、イーストエキス等の発芽剤から選択される1種類又は2種類以上の発芽剤であり得る。
発芽剤を存在させる方法としては、生分解性高分子組成物を分解する際、すなわち、芽胞を発芽環境に曝す際に、芽胞及び発芽剤が共存するような様式であれば、特に制限されない。例えば、生分解性高分子組成物を分解する際に、芽胞の発芽環境に発芽剤を添加する等して、発芽剤を存在させる方法;生分解性高分子に芽胞及び発芽剤を含有させる方法等であり得る。
すなわち、本発明の生分解性高分子組成物は、生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子、並びに芽胞の発芽剤を含有する生分解性高分子組成物であり得る。
本発明の生分解性高分子組成物における芽胞形成菌の芽胞および芽胞の発芽剤の含有量は、用いる生分解性高分子、芽胞および発芽剤の種類、必要な分解性能等に応じて設定可能であり、特に限定されない。芽胞および発芽剤の含有量が少なすぎると十分な効果が発揮されない場合があり、多すぎると効果が頭打ちになる場合がある。例えば、芽胞の含有量は、生分解性高分子組成物全量に対して、0.001〜10.0質量%であってよい。例えば、発芽剤の含有量は、生分解性高分子組成物全量に対して、0.001〜1.0質量%であってよい。
本発明の生分解性高分子組成物における芽胞形成菌の芽胞の濃度は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、生分解性高分子組成物において、芽胞から発芽する菌として、10000〜1000000000CFU/g(コロニー形成単位)であり得る。
本発明の生分解性高分子組成物には、本発明の効果を妨げない限り、上記芽胞、芽胞の発芽剤及び生分解性高分子組成物以外に、任意成分として、通常高分子組成物に用いられる各種添加剤、例えば滑剤、紫外線吸収剤、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、核剤、流動改良剤、着色剤等を必要に応じて含有させることができる。
本発明の生分解性高分子組成物の形状は、特に限定されない。例えば、フィルム、シート、ウェブ等であり得る。
本発明の生分解性高分子組成物は、生分解性高分子組成物とともに、芽胞及び芽胞の発芽剤を含有すること以外は、通常の生分解性高分子組成物の製造方法と同様の方法で製造することができる。
生分解性高分子フィルムで芽胞を挟み、フィルムを作製する場合は、限定されないが、例えば、以下のようにして、作製することができる。2枚の生分解性高分子(PESu)フィルム1.0×1.0cmで芽胞0.5mgを挟み込む。これを2枚のテフロン(登録商標)シートではさみ、120℃で10秒間、熱プレスする。その後、芽胞内在PESuフィルムをメタノールと超純水で洗浄し、一晩凍結乾燥させ、芽胞内在PESuフィルムを得る。
生分解性高分子組成物の分解効果は、芽胞の発芽環境に曝す前(分解前)の生分解性高分子組成物と、曝した後(分解後)の生分解性高分子組成物の外観の目視による確認;又は質量を比較する等により、確認することが可能である。
例えば、本発明の生分解性高分子組成物は、その分解速度(例えば、芽胞を発芽環境に曝してから10日間での質量減少率)が、芽胞を含有しない場合の分解速度に比べて、∞%以上、700%以上であり得る。
(2)生分解性高分子の分解方法
本発明は、生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解方法に関する。
本発明の方法によれば、生分解性高分子中に、予め生分解性高分子を生分解する能力を有する芽胞形成菌の芽胞を含有させることで、生分解性高分子組成物を廃棄する環境条件(特に微生物の種類、分布等)に依存せずに、生分解性高分子の分解速度を制御(特に促進)することが可能である。
ここで、芽胞の発芽環境とは、用いる芽胞の発芽に適した環境であれば制限されない。通常、芽胞は、周囲の環境が栄養豊富な成長に適した環境になることで発芽し菌体に戻る。芽胞の発芽は、内膜に存在する発芽レセプターと呼ばれるタンパク質が発芽誘起物質を認識することで起こる。すなわち、芽胞形成菌の成長に適した環境(温度、水分、栄養条件等)において、発芽剤を存在させることにより、芽胞を発芽させ、生分解性高分子を分解することができる。
芽胞の発芽環境に曝す方法としては、自然又は人工の芽胞の発芽環境に、生分解性高分子組成物を曝す又は廃棄する方法であり得る。生分解性高分子組成物を廃棄した際、生分解性高分子組成物表面に傷がつき、芽胞が露出する。露出した芽胞が発芽剤を認識、発芽し、生分解性高分子分解菌が生じる。発芽した分解菌によって生分解が開始される。
また、生分解性高分子組成物の切断等により、生分解性高分子組成物表面への芽胞の露出を促すこともできる。
(3)生分解性高分子の分解制御方法
本発明は、生分解性高分子組成物を調製し、生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解制御方法に関する。
本発明によれば、生分解性高分子組成物を使用中は分解が開始されず、廃棄後発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことで、初めて生分解性高分子の分解が開始される。したがって、分解開始時期を厳密に制御することが可能である。
例えば、本発明の生分解性高分子組成物は、発芽させない状態で使用中の分解率(例えば10日間での質量減少率)が5%以下、0%であり得る。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>一般土壌芽胞を用いた生分解性高分子フィルム
(実験方法)
1. 環境からの有効芽胞を取り出す方法
1-1. 土壌からの芽胞の形成と精製
(1)群馬県桐生市の土壌を採取した。
(2)土壌をドラフト内で風乾した(一晩)。
(3)土壌約1gを加熱処理(120℃、30分間)した。
(4)滅菌純水(MilliQ水)10mLで土壌懸濁液を作製し、その希釈系列も作製した。
(5)上記の菌液をLB寒天培地に50μL塗布し、菌が生えてくるまで30℃で培養した。
(6)菌が生えたLB寒天培地に、芽胞形成培地(20mL)の入ったファルコンから芽胞形成培地(10mL)を加え、菌液を作製した。
(7)菌液を芽胞形成培地に戻し、30℃で振とう培養した(一晩)(前培養)。
(8)前培養液10mLを芽胞形成培地100mLの入った坂口フラスコに加え、30℃で振とう培養した(2日間)(本培養)。
(9)位相差顕微鏡で芽胞の形成を確認した。
(10)遠沈管に芽胞形成培地を全量移し、遠心分離した(8000rpm、4℃、20分間)。
(11)液体培地を捨て、冷滅菌MilliQ水(5mL)で懸濁し、1mLずつエッペンドルフチューブに分注した。
(12)エッペンドルフチューブを遠心分離(12000rpm、4℃、10分)した。
(13)沈殿物の表面を優しくピペッティングし洗浄した。
(14)沈殿物に、新しい冷滅菌milliQ水を加えて再懸濁し、遠心分離(12000rpm、4℃、10分)した。この操作を数回繰り返した。
(15)位相差顕微鏡で芽胞がほぼ100%であることを確認した。
(16)遠心分離後の上清を捨て、芽胞を凍結乾燥した(一晩)。
(17)芽胞を‐20℃の冷凍庫で保存した。
1-2. 芽胞内在フィルムの分解実験
本実験で用いた生分解性プラスチックは表3の通り。
(1)フィルム(1cm×1cm)の重量を測定した。
(2)2枚のフィルムで芽胞を溶融接着し、メタノールとMilliQ水で洗浄し一晩凍結乾燥させた。
(3)芽胞内在フィルムの重量を測定した。
(4)使用する器具・ステンレス製の網をオートクレーブ(121℃、15分)し滅菌した。
(5)15mLの液体ミネラル培地(表9)を準備した。
(6)フィルムをメタノールと滅菌MilliQ水で洗浄した。
(7)ステンレス製の網の上で、ハサミを用いてフィルムを芽胞が露出するように切断した。
(8)フィルムを網ではさみ、メタノールとMilliQ水で洗浄し、液体ミネラル培地に入れた。
(9)サンプルを30℃で振とう培養した(5, 10, 15, 20日間)。
(10)培養後、回収したフィルムをメタノールとMilliQ水で洗浄した。
(11)洗浄したフィルムを一晩凍結乾燥した。
(12)培養前の芽胞内在フィルムの重量から培養後の芽胞内在フィルムの重量を引くことで、重量減少量を計算した。
(13)PHB、PESu、そしてPBATに関して、YE無しの液体ミネラル培地でコントロール実験を行った。
(結果)
2-1. 土壌芽胞内在PHBフィルムの分解実験
PHBの構造を以下に示す。
表4より、横軸に時間、縦軸に重量減少値をプロットしたものを図2に示す。
土壌芽胞をフィルムに内在させ(芽胞内在フィルム)、YEを添加すると、はじめてPHBに対して、分解剤として有効であった。すなわち、フィルムは優れた分解性を示した。YEを用いず、土壌芽胞のみ(芽胞内在フィルムのコントロール)では分解剤として機能しなかった。すなわち、フィルムは分解されなかった。
2-2. 土壌芽胞内在PESuフィルムの分解実験
PESuの構造を以下に示す。
表5より、横軸に時間、縦軸に重量減少値をプロットしたものを図3に示す。
土壌芽胞をフィルムに内在させ(芽胞内在フィルム)、YEを添加すると、はじめてPESuに対して、分解剤として有効であった。すなわち、フィルムは優れた分解性を示した。YEを用いず、土壌芽胞のみ(芽胞内在フィルムのコントロール)では分解剤として機能しなかった。すなわち、フィルムは分解されなかった。
2-3. 土壌芽胞内在PBATフィルムの分解実験
表6より、横軸に時間、縦軸に重量減少値をプロットしたものを図4に示す。
土壌芽胞をフィルムに内在させ(芽胞内在フィルム)、YEを添加すると、はじめてPBATに対して、分解剤として有効であった。すなわち、フィルムは優れた分解性を示した。YEを用いず、土壌芽胞のみ(芽胞内在フィルムのコントロール)では分解剤として機能しなかった。すなわち、フィルムは分解されなかった。
以上のとおり、土壌芽胞は、生分解剤として汎用性が極めて高いことが確認された。また、その分解性は、YE(イーストエキストラクト)により、厳密な制御が可能である。
<実施例2>PESu分解菌を用いた生分解性高分子フィルム
(実験方法)
1-1 試薬
(1)ポリエステル
poly(ethylene succinate) (PESu)は日本触媒(株)から提供された。PESuをクロロホルムに溶解し、メタノールで再沈殿させた。沈殿物を、濾紙 (FILTER PAPER No.2、ADVANTEC社製) により回収した。少量の溶媒を含む濾物を、そのまま乳鉢でパウダーになるまですり潰した。パウダー状にした高分子を減圧乾燥させた後、使用した。
(2)PESu乳化培地の作製
0.2%PESu乳化培地を以下の手順で調製した。PESu-クロロホルム溶液、1%プライサーフ、およびMilliQ水の混合液を超音波処理 (TOMY UD-200) により乳化した。乳化液中のクロロホルムは、その後1日放置することにより完全に除去された。表7に示す基本培地に上記乳化溶液を加え、さらに2%の寒天を加えた。これを、オートクレーブ滅菌(121℃、15分間)し、滅菌シャーレ(サンセイ医療機材(株))に流し込んだ。
(3)フィルムの作製
PESuをクロロホルムに溶解し、2.5%(wt/v)クロロホルム溶液とした。ガラスシャーレを用いて、ソルベントキャスト法でフィルムを作製した。さらに、ソルベントキャストフィルムを2枚のテフロン(登録商標)シートではさみ、熱プレス(120℃、10秒間)後、室温で急冷することで、溶融フィルムを作製した。
(4)その他の試薬
市販の特級試薬をそのまま使用した。
1-2 PESu分解菌の単離
単離源として、栃木県下野市の水田土壌を用いた。土壌懸濁液を上記PESu乳化培地に塗布し、30℃で静置培養した。乳化培地上にクリアゾーンを形成したコロニーを新しい乳化培地に画線し、30℃で静置培養した。これを3回繰り返し、菌の純化を行った。
1-3 16S リボソーマルDNA(rDNA)配列解析
単離したPESu分解菌の16S rDNAをコロニーPCR法により増幅した。使用したプライマーは16Sf / 16Sr、あるいは、27f/ 1525rの組合せであり、これらを各々20pmol用いた。テンプレートは、コロニーを7.6μlの滅菌milliQ水に懸濁し、95℃で10分間保温した後、急冷することにより変性させたものを用いた。サーマルサイクルは、94℃5分、(94℃20秒 -55℃30秒 - 72℃2分)×25回、72℃10分の条件で行った。酵素はEx Taq Polymerase (TaKaRa社製)を用いた。このPCR産物をLigation Kit Ver2 (TaKaRa社製)を用いてpGEM-T EasyVector (Promega社製)に連結した。塩化カルシウム法を用いて、組み換えプラスミドをEscherichia coli DH5αに導入した。これをアンピシリン(100μg/mL) 50μL、Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside (IPTG、1mM)30μL、5-Bromo-4-chloro-3-indolyl- β-D-galactopyranoside (X-Gal、0.1mM) 30μLを塗布しておいたLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。プレート上に形成されたコロニーの中から、白いコロニーをレプリカし、プラスミドDNAを抽出し、インサートを確認した。インサートの確認されたコロニーに関して、プラスミド抽出・精製を行った。
得られたプラスミドからシークエンシングサンプルを調製した。プライマーはM13RV、M13M4および522f (表8)をそれぞれ6.4pmol用いた。テンプレートは、600ngになるように加え、滅菌MilliQ水、プライマーと合わせ、14μLになるように調整した。シークエンシングは、外注した。塩基配列及び相同性解析は、プログラムGENETYXあるいはプログラムblastn (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast)を用いて行われた。
1-4 PESu分解菌の芽胞の形成・精製
芽胞形成用培地(表2)20mLの入った50mLファルコンに単離株を植菌し、30℃で一晩振とう培養した(前培養)。芽胞形成用培地100mLの入った坂口フラスコに、前培養液を10mL植菌して30℃で2日間振とう培養した(本培養)。位相差顕微鏡(BX-PHD、OLYMPUS)を用いて芽胞の確認をした。培養液を遠沈管に移し遠心分離(8000rpm、20min、4℃)し、上清を捨て、冷却した滅菌MilliQ水に再懸濁した。再懸濁液をエッペンドルフチューブに分注した。これを遠心分離(12000rpm、4℃、10min)し、沈殿物の表面を優しくピペッティングすることにより洗浄した。残った沈殿物を、新たな冷滅菌MilliQ水に再懸濁し、遠心分離(12000rpm、4℃、10min)した。この操作を数回繰り返し、芽胞を洗浄した。再懸濁液を再度、位相差顕微鏡を用いて観察し、芽胞がほぼ100%であることを確認した。再懸濁液を遠心分離(12000rpm、4℃、10min)し、上清を捨て、一晩凍結乾燥した。粉末状の芽胞を-20℃の冷凍庫で保存した。
1-5 PESu分解菌の芽胞の発芽率
乾燥状態の芽胞1mgを滅菌サンプル瓶に入れた。Drying sterilizer SG62(yamato社)を用いて、加熱処理(100℃、20分間)した。芽胞の入ったサンプル瓶を取り出し、滅菌MilliQ水10mLを加えた。この芽胞懸濁液の希釈系列を作製し、Yeast Extract(YE)の量を変えたミネラル培地(表9)に塗布した。また、この培地には炭素源としてコハク酸を加えた。30℃で一晩培養後、形成されたコロニーを数え、1mg当たりの生菌数(cfu/mg)を計算した。YE濃度0.5g/Lのミネラル培地(表9)での芽胞の発芽数を100%とし、各々の培地での芽胞の発芽数から、発芽率を計算した。
1-6 PESu分解菌の芽胞の耐熱性試験
生分解性プラスチックに芽胞をブレンドする際、芽胞を溶融接着法によりブレンドするため、芽胞の耐熱性試験を行った。
乾燥状態の芽胞1mgを滅菌サンプル瓶に入れた。Drying sterilizer SG62 (yamato社)を用いて、各温度(100℃、120℃、140℃、180℃)で芽胞を10、60分間加熱処理した。芽胞の入ったサンプル瓶を取り出し、滅菌MilliQ水10mLを加えた。この芽胞懸濁液の希釈系列を作製し、LB寒天培地 (表1)に塗布した。30℃で一晩培養後、形成されたコロニーを数え、1mg当たりの生菌数 (cfu/mg)を計算した。未加熱 (加熱時間0分) のサンプルも同様に行った。加熱時間に対する生菌数の対数プロットを作製し、最小二乗法により直線の式を求め、D値(生菌数を一桁低下させるのに要する加熱時間)を求めた。
1-7 芽胞内在PESuフィルムの作製
2枚のPESuフィルムで芽胞0.5mgをはさみこんだ。これを2枚のテフロン(登録商標)シートではさみ、120℃で10秒間、熱プレスした。その後、芽胞内在PESuフィルムをメタノールとMilliQ水で洗浄し、一晩凍結乾燥させた。
1-8 芽胞内在PESuフィルムの分解実験
使用する器具を全てオートクレーブ(121℃、15分間)で滅菌した。芽胞内在PESuフィルムをハサミで半分に切り、わざと芽胞を露出させた。フィルムをメタノールと滅菌MilliQ水で洗浄し、ステンレス製の網ではさみこんだ。再度メタノールと滅菌MilliQ水で洗浄しミネラル培地15mLの入ったファルコンに加えた。これを30℃で5、10、15、および20日間振とう培養した。培養後、回収されたフィルムはメタノールとMilliQ水で洗浄され、一晩凍結乾燥された。分解前のフィルムの重量から分解後のフィルムの重量を減算することによって、フィルムの重量減少を算出した。コントロール実験も同様に行った。
(結果と考察)
2-1 PESu分解菌
PESu分解菌として1株単離した。この1株をJKCM2010株と命名した。
JKCM2010株の位相差顕微鏡写真を図6に、クリアゾーン形成写真を図7に示す。
2-2 16S rDNA配列解析
JKCM2010株の16S rDNA配列に基づき作製した系統樹を図1に示す。
JKCM2010株は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)に98%と高い相同性を示した。
2-3 PESu分解菌の芽胞の形成・精製
JKCM2010株の芽胞形成を確認するため位相差顕微鏡観察を行った。その結果、光屈折性を有する芽胞が確認された(図8)。
2-4 PESu分解菌の芽胞の発芽率
初めに、YE濃度が0、0.1、0.2、0.3、0.4、および0.5[g/L]のミネラル培地において芽胞の発芽率を求めた(表10)。次に、YE濃度が0、0.02、0.04、0.06、0.08、および0.1[g/L]のミネラル培地において芽胞の発芽率を求めた(表11)。その結果、芽胞の発芽にはYEが必要であること、および芽胞の発芽はYE濃度に依存することが示唆された。
2-5 PESu分解菌の芽胞の耐熱性試験
JKCM2010株の芽胞の耐熱性を乾熱条件下で調べた。各加熱温度での加熱時間に対する芽胞の生菌数の対数プロットを図9に示す。また、図9のグラフからD値を求めた(表12)。100℃でのD値は240分、120℃でのD値は70分であることがわかった。この結果、JKCM2010株の芽胞は、PESuの融点104℃付近において高い耐熱性を示すことが明らかになった。以上のことから、JKCM2010株の芽胞をPESuにブレンドできることが示された。
2-6 芽胞内在PESuフィルム
作製した芽胞内在PESuフィルムを図10に示す。
白い粒(原図では茶色)が芽胞である。
2-7 芽胞内在PESuフィルムの分解実験
図11に芽胞内在PESuフィルムの分解実験の結果を示す。YE存在下芽胞内在PESuフィルムでは重量減少が起きていることから、分解が起こっていることがわかった。Control 1では重量減少が起こっていないことから、YE存在下芽胞非内在PESuフィルムでは分解が起こらないことがわかった。control 1との比較から、内在する芽胞の発芽により生じた分解菌によって生分解が起きたことが示唆された。同様に、control 2では重量減少が起こっていないことから、YE非存在下芽胞内在PESuフィルムでは分解は起こらないことがわかった。control 2との比較から、内在させた芽胞の発芽にはYEが必要であることがわかった。以上の結果のまとめを表13に示す。
本研究結果より、以下のような分解モデルが期待される。
(1)発芽剤を添加した自然環境中に、芽胞内在生分解性プラスチックを廃棄する。
(2)プラスチック表面に傷がつき、芽胞が露出する。
(3)露出した芽胞が発芽し分解菌が生じる。
(4)発芽した分解菌によって生分解が開始される。
農業用被覆フィルム(マルチフィルム)、植物ポッド、漁網、その他生分解性高分子製品全般に利用できる。

Claims (5)

  1. 生分解性高分子の生分解能を有する芽胞形成菌の芽胞および生分解性高分子を含有する、生分解性高分子組成物。
  2. さらに芽胞の発芽剤を含有する、請求項1に記載の生分解性高分子組成物。
  3. 発芽剤が、イーストエキスである、請求項2に記載の生分解性高分子組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性高分子組成物を調製し、
    生分解性高分子組成物中の芽胞を、発芽剤存在下、芽胞の発芽環境に曝すことを特徴とする、生分解性高分子の分解制御方法。
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