JPWO2010110318A1 - 核酸を含有する動脈硬化性疾患治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
動脈硬化の初期病変では、何らかの原因で内皮が障害を受け、細胞表面に単球が接着する。単球が内皮下に侵入してマクロファージに分化しコレステロールを取り込み泡沫細胞となり、脂肪線条(fatty streak)が形成される。更に血管平滑筋細胞が内膜に遊走してコラーゲン等の繊維成分を分泌し、線維性プラーク(fibrous plaque)を形成する(障害反応仮説、Ross,R.:Nature 362:801,1993)。動脈硬化の生じている部位(動脈硬化部位)では、新生血管の増殖、マクロファージの集積および平滑筋細胞の遊走・増殖による新生内膜増殖が認められる。また、動脈硬化に伴い、血管の負荷に反応して血管リモデリングが生じることが知られている。
また、急性心筋梗塞や狭心症等の虚血性心疾患に対する治療として、これまで経皮経管冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:PTCA)が広く行なわれてきた。しかしPTCA施術後の数ヶ月以内に約30〜40%の患者に再び狭窄が起こることが知られている。これに対し、狭窄部をバルーンカテーテルで拡張した後、金属製のステントを留置する経皮的冠動脈ステント留置術が開発され再狭窄率は軽減されたが、治療後6ヶ月以内に20〜30%でステント内に内皮細胞の過形成により再狭窄が起こるという報告がある(N Engl J Med. 1994 Aug 25;331(8):489-95参照)。更に、ステント内再狭窄部位拡張後の再々狭窄率も高く深刻な問題となっている。なおステント再狭窄部位では、新生血管の増殖、マクロファージの集積および平滑筋細胞の遊走・増殖による新生内膜増殖が認められる。(Circulation.1998;98:224-233参照)
しかしながら、動脈硬化性疾患やステント再狭窄に関連する遺伝子等の発現を抑制するためには、動脈硬化部位やステント再狭窄部位に薬物を送達させる必要があり、例えば薬物として核酸を用いた場合には、生体内での安定性が極めて低いことから、動脈硬化部位やステント再狭窄部位に高い選択性をもって送達させなければならないが、これまでそのような送達手段の報告はなかった。
しかしながら、特許文献3〜5および非特許文献4のいずれにも、動脈硬化部位やステント再狭窄部位に対して、選択的に核酸を送達することに関しての報告はない。
(1) (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物。
(2) リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、(1)記載の組成物。
(3) RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、(1)または(2)記載の組成物。
(4) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ;MAPK)シグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、クルッペル様因子(KLF)、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(6) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5 mRNAである、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(7) mRNAがヒトのmRNAである、(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8) RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9) 極性有機溶媒がアルコールである、(8)記載の組成物。
(10) 極性有機溶媒がエタノールである、(8)記載の組成物。
(11) リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(8)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(13) カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、(11)または(12)記載の組成物。
(14) 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、(11)〜(13)のいずれかに記載の組成物。
(15) 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、(11)〜(14)のいずれかに記載の組成物。
(16) (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(17) リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、(16)記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(18) RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、(16)または(17)記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(19) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、MAPキナーゼシグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、KLF、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、(16)〜(18)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(20) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、(16)〜(18)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(21) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5 mRNAである、(16)〜(18)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(22) mRNAがヒトのmRNAである、(16)〜(21)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(23) RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、(16)〜(22)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(24) 極性有機溶媒がアルコールである、(23)記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(25) 極性有機溶媒がエタノールである、(23)記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(26) リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(23)〜(25)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(27) RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(16)〜(22)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(28) カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、(26)または(27)記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(29) 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、(26)〜(28)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(30) 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、(26)〜(29)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
(31) (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物を哺乳動物に投与する動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(32) リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、(31)記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(33) RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、(31)または(32)記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(34) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、MAPキナーゼシグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、KLF、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、(31)〜(33)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(35) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、(31)〜(33)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(36) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5 mRNAである、(31)〜(33)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(37) mRNAがヒトのmRNAである、(31)〜(36)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(38) RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、(31)〜(37)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(39) 極性有機溶媒がアルコールである、(38)記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(40) 極性有機溶媒がエタノールである、(38)記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(41) リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(38)〜(40)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(42) RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(31)〜(37)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(43) カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、(41)または(42)記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(44) 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、(41)〜(43)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(45) 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、(41)〜(44)のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
(46) (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤の製造のための使用。
(47) リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、(46)記載の使用。
(48) RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、(46)または(47)記載の使用。
(49) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、MAPキナーゼシグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、KLF、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、(46)〜(48)のいずれかに記載の使用。
(50) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、(46)〜(48)のいずれかに記載の使用。
(51) 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5 mRNAである、(46)〜(48)のいずれかに記載の使用。
(52) mRNAがヒトのmRNAである、(46)〜(51)のいずれかに記載の使用。
(53) RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、(46)〜(52)のいずれかに記載の使用。
(54) 極性有機溶媒がアルコールである、(53)記載の使用。
(55) 極性有機溶媒がエタノールである、(53)記載の使用。
(56) リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(53)〜(55)のいずれかに記載の使用。
(57) RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、(46)〜(52)のいずれかに記載の使用。
(58) カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、(56)または(57)記載の使用。
(59) 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、(56)〜(58)のいずれかに記載の使用。
(60) 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、(56)〜(59)のいずれかに記載の使用。
本発明で用いられるRNAは、リボースの一部または全部が、デオキシリボースに置換されているもの、すなわちDNAも包含する。さらに、本発明で用いられるRNA中のリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドに修飾を施していてもよく、例えば、糖部修飾ヌクレオチド類似体やリン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチド類似体等になっていてもよい。また、本発明で用いられるRNAとしては、該RNA中のリン酸部、エステル部等に含まれる酸素原子等が、例えば硫黄原子等の他の原子に置換された誘導体も包含される。
本発明において、本発明で用いられるRNA中のリボヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドとすること、本発明で用いられるRNA中のリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドに修飾を施すこと、本発明で用いられるRNA中のリン酸部、エステル部等に含まれる酸素原子等を、例えば硫黄原子等の他の原子に置換することは、RNAまたはDNAに比べ、ヌクレアーゼ耐性を向上させるため、安定化させるため、相補鎖核酸とのアフィニティーを上げるため、細胞透過性を上げるため、あるいは可視化させるため等のいかなる目的で成されたものであってもよい。
KLF5遺伝子の発現を抑制するRNAとして、例えば表1に示すNo.1〜No.11のRNAがあげられる。
なお、本発明において、分散とは、溶解せずに分散することを意味する。
本発明における極性有機溶媒を含む液中の、極性有機溶媒以外の溶媒としては、例えば、水、液体二酸化炭素、液体炭化水素、ハロゲン化炭素またはハロゲン化炭化水素等があげられ、好ましくは水があげられる。また、イオンまたは緩衝成分等を含んでいてもよい。溶媒は1種または2種以上を用いることができるが、2種以上用いる場合は、相溶する組み合わせが好ましい。
リード粒子を、例えば水等の溶媒中に分散させ、リード粒子が分散した液中に、本発明で用いられるRNAを分散または溶解して含有させて混合し、リード粒子に本発明で用いられるRNAを付着させることが好ましい。工程1において、リード粒子の凝集を抑制するために、リード粒子は凝集抑制物質を含有するリード粒子であることが好ましい。凝集抑制物質としては、前記糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体または界面活性剤が好ましくあげられる。また、リード粒子が、正電荷をもつものである場合、リード粒子が分散した液中で、本発明で用いられるRNAと付着競合剤を共存させ、付着競合剤を該RNAとともにリード粒子に付着させてもよく、さらにリード粒子が凝集抑制物質を含有するリード粒子である場合にも、リード粒子の凝集をより抑制させるために付着競合剤を用いてもよい。リード粒子と本発明で用いられるRNAのいずれかの組み合わせとしては、複合粒子が極性有機溶媒を含有する液に分散可能となる組み合わせを選択することが好ましく、極性有機溶媒に対しての複合粒子の溶解度が、工程2または3で用いる脂質二重膜の構成成分のそれよりも低いことがより好ましく、また、該極性有機溶媒を含む液中に、該脂質二重膜の構成成分が分散可能で、該複合粒子も分散可能な濃度で該極性有機溶媒を含む液が存在する組み合わせを選択することがより好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えばアシルサルコシン、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数7〜22の脂肪酸ナトリウム等があげられる。具体的にはドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムまたはタウロデオキシコール酸ナトリウム等があげられる。
等電点以上の値のpHで複合体の形成を行える蛋白質またはペプチドとしては、その物質の等電点以上の値のpHで、複合体の形成を行える蛋白質またはペプチドであれば特に限定されない。例えば、アルブミン、オロソムコイド、グロブリン、フィブリノーゲン、ヒストン、プロタミン、リボヌクレアーゼまたはリゾチーム等があげられる。
工程1で得られた複合粒子が分散し、かつ脂質二重膜の構成成分の全部または一部が溶解した極性有機溶媒を含む液(液A)を調製する操作、次いで、液A中の極性有機溶媒の濃度を減少させることによって、複合粒子を脂質二重膜で被覆する操作を含む製造方法によってリポソームAが製造できる。この場合、リポソームAは分散液(液B)の形態で得られる。液Aにおける溶媒は、該脂質二重膜の構成成分が可溶で、該複合粒子が分散可能な極性有機溶媒の濃度の該極性有機溶媒を含む溶媒であり、液A中の極性有機溶媒の濃度を減少させた液Bでは、該脂質二重膜の構成成分が分散可能で、該複合粒子も分散可能であることが好ましい。液A中の溶媒が、極性有機溶媒と極性有機溶媒以外の溶媒との混合液である場合、例えば該極性有機溶媒と混合可能な極性有機溶媒以外の溶媒を含む溶媒(液C)を加えること、および/または、蒸発留去、半透膜分離、分留等によって、選択的に極性有機溶媒を取り除くことで、極性有機溶媒の濃度を減少させることができる。ここで、液Cは、極性有機溶媒以外の溶媒を含む液が好ましいが、極性有機溶媒も液Aにおける極性有機溶媒の濃度より低ければ含んでいてよい。
工程1で得られた複合粒子および脂質二重膜の構成成分を、該脂質二重膜の構成成分が可溶な極性有機溶媒を含む、該複合粒子が溶解せず、該脂質二重膜の構成成分が分散状態で存在することが可能な濃度の液中に分散させる操作(得られる液を液Fとする)を含む製造方法でリポソームAが製造でき、この場合、リポソームAは分散液の状態で得られる。液Fにおける溶媒は、該脂質二重膜の構成成分が可溶な極性有機溶媒を含む溶媒であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子がともに分散可能な特定の濃度で液Fに含まれている。
また、「脂質二重膜の構成成分が分散する」とは、脂質二重膜の構成成分の全部が凝集体またはミセル等を形成して乳濁もしくはエマルジョン化している状態、脂質二重膜の構成成分の一部が凝集体またはミセル等を形成して乳濁もしくはエマルジョン化し、残る部分が溶解している状態、脂質二重膜の構成成分の一部が凝集体またはミセル等を形成して乳濁もしくはエマルジョン化し、残る部分が沈殿している状態等を包含し、脂質二重膜の構成成分の全部が溶解している状態を包含しない。
即ち、本発明は、上記説明した本発明の組成物を哺乳動物に投与する動脈硬化性疾患を治療もしくは予防する方法またはステント再狭窄を抑制する方法も提供する。投与対象は、動脈硬化症に罹患している人またはPTCA施術を施された人であることが好ましく、PTCA施術を施された人がより好ましい。
また、本発明の組成物におけるRNAを、補酵素や抗体等のペプチドおよび蛋白質、オリゴヌクレオチドやプラスミド等の核酸等に換えた組成物も、同様に動脈硬化部位やステント再狭窄部位へ送達することができ、動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤として使用することができる。
また、本発明の組成物、および本発明の組成物におけるRNAを補酵素や抗体等のペプチドおよび蛋白質、オリゴヌクレオチドやプラスミド等の核酸等に換えた組成物は、例えば血液成分等の生体成分(例えば血液、消化管等)中での該RNA、ペプチド、蛋白質または核酸の安定化、副作用の低減または動脈硬化部位やステント再狭窄部位への薬剤集積性の増大等を目的とする製剤としても使用できる。
投与量は、投与対象の病状や年齢、投与経路などによって異なるが、例えばRNAに換算した1日投与量が約0.1μg〜1000mgとなるように投与すればよい。
注射剤の場合、前記のリポソームAの分散液または前記の溶媒を除去または凍結乾燥したリポソームAに、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理的食塩液またはアミノ酸輸液等を混合して調製された本発明の組成物を使用することが好ましい。また、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインもしくはEDTA等の抗酸化剤またはグリセリン、ブドウ糖もしくは塩化ナトリウム等の等張化剤等を添加することも可能である。また、例えばグリセリン等の凍結保存剤を加えて凍結保存することもできる。
また、本発明は、上記説明した本発明の組成物の、動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤の製造のための使用も提供する。
ApoE(アポリポ蛋白E)不全による粥状動脈硬化症モデル (Y Nakashima, AS Plump, EW Raines, JL Breslow, and R Ross. ApoE-deficient mice develop lesions of all phases of atherosclerosis throughout the arterial tree. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., Jan 1994; 14: 133 - 140参照) を用い、次の方法により、実施例1で得られた組成物が、動脈硬化部位に集積することを確認した。
ApoE不全マウス(Andrew S. Plump, Jonathan D. Smith, Tony Hayek, Katriina Aalto-Setala, Annemarie Walsh, Judy G. Verstuyft, Edward M. Rubin and Jan L. Breslow. Severe hypercholesterolemia and atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice created by homologous recombination in ES cells. Cell 1992 71: 343-353参照)に高脂肪食(日本クレア、High Fat Diet 32)を7週間与えた。マウス尾静脈より実施例1で得られた組成物100μL (Cy5標識KLF5 siRNA 150μgに相当)を投与し、組成物投与後24時間後に安楽死させ大動脈を摘出後切開し、または凍結切片を作成し、動脈硬化部位を共焦点レーザー顕微鏡(LSM510 Meta; カールツァイス(Carl Zeiss))による蛍光観察を行った。
図1左に、実施例1で得られた組成物投与後24時間後の凍結切片の位相差顕微鏡による観察写真を示した。また、図1右に凍結切片の共焦点レーザー顕微鏡による観察写真を示した。
図1左より、血管内に動脈硬化部位が観察される。また、図1右より、Cy5標識KLF5 siRNAの赤色(図中の白色部分)が観察でき、動脈硬化部位にCy5標識KLF5 siRNAが分布していることが分かる。
Cy5標識bcl-2siRNAを生理食塩水に溶解し組成物を得た。
総頚動脈結紮モデル(Lindner V, Fingerle J, Reidy M.A. Mouse model of arterial injury. Mouse model of arterial injury. Circ Res (1993) 73:792-796参照)を用い、実施例2で得られた組成物を投与した場合には、血管障害後の新生内膜部位に、RNAが特異的に到達することを確認した。
C57BL/6Jマウスの総頚動脈を結紮し、3週間後に実施例2で得られた組成物および比較例1で得られた組成物をマウス1匹あたり100μL(Cy5標識bcl-2siRNA 150μgに相当)投与した。投与後24時間後にマウスを安楽死させ頚動脈を摘出し、凍結切片を作成しヘマトキシリン・エオシン染色(H/E染色)および共焦点レーザー顕微鏡によりCy5由来の蛍光観察を行なった。対照として生理食塩水をマウス1匹あたり100μL投与して同様に試験した。
図2〜4左に、それぞれ実施例2で得られた組成物、比較例1で得られた組成物および生理食塩水の投与後24時間後の凍結切片のH/E染色像、図2〜4右に共焦点レーザー顕微鏡による蛍光観察像を示した。
図2〜4左に血管の形状が示され、図2右には、Cy5標識siRNAの赤色の蛍光(図中の白色部分)が強く認められ、実施例2で得られた組成物は、RNAが新生内膜部位に集積していることが分かる。一方、図3右には、Cy5標識siRNAの赤色の蛍光(図中の白色部分)が認められず、比較例1で得られた組成物は、RNAが新生内膜部位に集積していないことが分かる。なお、図4右から、自家蛍光がないことが確認された。
実施例3におけるKLF5 siRNAを、Luc siRNAに換え、同様に組成物を得た。
KLF5 siRNAを生理食塩水に溶解し組成物を得た。
試験例2と同様に疾患モデルを作成し、次の方法により、実施例3で得られた組成物の血管障害後の新生内膜形成に及ぼす効果を評価した。
C57BL/6Jマウスの総頚動脈から内頚動脈と椎骨動脈が分岐する点から500μm総頚動脈側を結紮し、2日毎に実施例3で得られた組成物を100μL(KLF5 siRNA 150μgに相当)ずつ2週間投与した(n=6)。初回投与後2週間後にマウスを安楽死させ頚動脈を摘出し、凍結切片を作成しH/E染色を行なった。
また、対照として、実施例3で得られた組成物に換えて、比較例3で得られた組成物を100μL(KLF5siRNA 150μgに相当)投与して同様に試験した(n=7)。さらに、実施例3で得られた組成物に換えて、比較例2で得られた組成物を毎回100μL(LucsiRNA 150μgに相当)投与して同様に試験した(n=7)。
実施例3、比較例2および比較例3で得られた組成物を投与後、2週間後の凍結切片のH/E染色像を撮影して観察するとともに、画像解析(ImageJ)により、切片上の内膜と中膜の面積を計測した。
観察の結果、実施例3で得られた組成物を投与した場合、比較例2および比較例3で得られた組成物を投与した場合と比較し、新生内膜による頚動脈の狭窄が小さくなっていることが確認できた。
図5に内膜と中膜の面積の和を表す棒グラフを示した。実施例3で得られた組成物を投与した群は比較例2および比較例3で得られた組成物を投与した群と比較して、内膜と内膜の面積の和が低下し、本願発明の組成物の動脈硬化性疾患における治療剤または予防剤としての可能性が明らかとなった。比較例2および比較例3で得られた組成物を投与した群に対し、実施例3で得られた組成物を投与した群の抑制率はそれぞれ26%および22%、p=0.04および0.30であった。
Claims (32)
- (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物。
- リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、請求項1記載の組成物。
- RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、請求項1または2記載の組成物。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ;MAPK)シグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、クルッペル様因子(KLF)、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5のmRNAである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- mRNAがヒトのmRNAである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。 - 極性有機溶媒がアルコールである、請求項8記載の組成物。
- 極性有機溶媒がエタノールである、請求項8記載の組成物。
- リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、請求項8〜10のいずれかに記載の組成物。
- RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。 - カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、請求項11または12記載の組成物。
- 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、請求項11〜13のいずれかに記載の組成物。
- 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、請求項11〜14のいずれかに記載の組成物。
- (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- リポソームが、静脈内投与可能な大きさのリポソームである、請求項16記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- RNAが、RNA干渉(RNAi)を利用した前記遺伝子の発現抑制作用を有するRNAである、請求項16または17記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子が、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、MAPキナーゼシグナル伝達関連因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、KLF、サバイビン、Ets転写因子、核因子および低酸素誘導因子のいずれかについての遺伝子である、請求項16〜18のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLFについてのmRNAである、請求項16〜18のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAがKLF5のmRNAである、請求項16〜18のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- mRNAがヒトのmRNAである、請求項16〜21のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- RNAを封入したリポソームが、リード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜の構成成分が特定の極性有機溶媒に可溶であり、該脂質二重膜の構成成分および該複合粒子が、特定の濃度で該極性有機溶媒を含む液に分散可能である、請求項16〜22のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。 - 極性有機溶媒がアルコールである、請求項23記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 極性有機溶媒がエタノールである、請求項23記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- リード粒子が、カチオン性物質を含むリード粒子であり、脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、請求項23〜25のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- RNAを封入したリポソームが、カチオン性物質を含むリード粒子と該RNAを構成成分とする複合粒子および該複合粒子を被覆する脂質二重膜から構成されるリポソームであり、
該脂質二重膜が、中性脂質および水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体を構成成分とする脂質二重膜である、請求項16〜22のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。 - カチオン性物質がN-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジオレオイルプロピル)]-N,N-ジメチルアミン、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシプロピル)]-N,N,N-トリメチル塩化アンモニウム、N-[1-(2,3-ジテトラデシルオキシプロピル)]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル臭化アンモニウム、1,2-ジリノレイルオキシ- N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムおよび3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロールから選ばれる一つ以上である、請求項26または27記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 水溶性物質の脂質誘導体、脂肪酸誘導体または脂肪族炭化水素誘導体が、ポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンである、請求項26〜28のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- 中性脂質が卵黄ホスファチジルコリンである、請求項26〜29のいずれかに記載の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤。
- (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物を哺乳動物に投与する動脈硬化性疾患治療方法またはステント再狭窄抑制方法。
- (i)動脈硬化性疾患またはステント再狭窄に関連する遺伝子のmRNAの連続する15〜30塩基の配列および該配列と相補的な塩基の配列を含むRNAおよび(ii)該RNAを内部に封入したリポソームを含有する、組成物の動脈硬化性疾患治療またはステント再狭窄抑制剤の製造のための使用。
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