JPWO2010073921A1 - 衣服およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

衣服本体と、衣服本体の任意の袋配置箇所に設けられた膨張袋体とを備え、膨張袋体は、伸縮性を有する袋内に充填材として少なくとも発泡樹脂粒子が封入されてなる衣服。

Description

本発明は、日常生活、スポーツ、レジャー、療養生活等に着用可能な衣服およびその製造方法に関する。
一般に下着、中着、上着等の衣服は、着用する環境、目的や着用する人の好み等に応じて選択される傾向にある。
例えば、寒い時期には保温性の高い衣服が好まれ、スポーツをする際には運動追随性、通気性、吸汗・速乾性の高いアンダーウェアが好まれる。また、若い人が繁華街でショッピングや娯楽等を楽しむ際にはファッション性やデザイン性等も考慮される場合がある。また、女性用の矯正下着は肥満気味の体形をスリムに見せることを目的とし、救命胴衣のような特殊な衣服は水難事故から人命を守ることを目的とされている。
また最近では、室内作業用や高齢者用等の衣服も提案されている。
例えば、従来技術1として、上着の襟部、袖部、脇腹部および腰部と、ズボンの臀部および内股部とに、エアーバッグやクッション材が内蔵された衣服が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この衣服によれば、主に椅子に長時間座っていても頚椎や腰等にかかる負荷を軽減できるとされている。
また、従来技術2として、クッション部材を収納したカバー体を衣服の外側または内側であって、人体の例えば大腿骨頸部に対応する部位に取り付けた衣服が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この衣服によれば、着用者が転倒や軽微な外力によって骨折を防ぐことができるとされている。
特開2002−348709号公報 特開2004−24572号公報
上述したように、衣服は、着用する環境、目的や着用する人の好み等に応じて選択されることが一般的であるため、日常生活、スポーツ、レジャー等に応じて下着、中着、上着等をうまく組み合わせる必要があった。換言すると、従来では、一つの衣服によって様々な条件を着用者に満足させることは難しかった。
本発明は、このような課題を鑑みなされたものであり、様々な状況に対応する複数の機能を有する衣服およびその製造方法を提供することを目的とする。
かくして本発明によれば、衣服本体と、該衣服本体の任意の袋配置箇所に設けられた膨張袋体とを備え、前記膨張袋体は、伸縮性を有する袋内に充填材として少なくとも発泡樹脂粒子が封入されてなる衣服が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、粒子充填口を有する伸縮性の袋を形成する工程(A)と、衣服本体の任意の袋配置箇所に前記袋を取り付ける工程(B)と、前記粒子充填口から袋内に発泡樹脂粒子を充填する工程(C)と、前記工程(C)の後に、粒子充填口を封止する工程(D)とを含む衣服の製造方法が提供される。
本発明によれば、発泡樹脂粒子を収容した伸縮性の袋からなる膨張袋体は様々な形状に容易に作製可能であり、かつ自由に変形可能である。
そのため、衣服本体における人体の様々な部位に対応する箇所、例えば、胸部、腹部、腰部、肩甲骨部、肩部等に膨張袋体を設けることができ、様々な状況に対応できる下着、中着、上着等の衣服を提供することができる。
さらに詳しく説明すると、本発明の衣服は、発泡樹脂粒子の保温性および流動性と、袋の伸縮性によって体にフィットする着心地の良さとを組み合わせることで、ウインターウェア、アンダーウェア、スポーツウェア等に用いることができることに加え、腰、肩、腕、肘、膝、足首等の関節のウォームアップサポーターとしての使用もできる。
また、痩せ細った体型の寝たきりの高齢者や患者等は、例えば、肩甲骨、仙骨、肘の骨、踵の骨等が出っ張って肉が強く圧迫された状態にさらされており、その結果、褥瘡(床ずれ)を生じてしまうため、本発明の衣服を下着やサポーターとして着用することで褥瘡を防止することもできる。
また、発泡樹脂粒子は衝撃に対する緩衝性能が高いため、各種スポーツのショックアブソーブサポーターとしても本発明の衣服を使用することができる。
さらに、発泡樹脂粒子が独立気泡を有するものであれば、水に対する大きな浮力を有することからウォータースポーツウェア、釣りや船舶でのライフセーブウェア(ジャケット)としても本発明の衣服を使用できる。
また、発泡樹脂粒子は歪み難く、体積を維持できることから、衣服がアンダーウェアである場合は、着用者の体型をスタイリングする効果も得られる。例えば、膨張袋体を衣服本体の胸部、肩部に設ければ、痩せた男性の体型をがっちりした体型に見せたり、肩幅を広く見せたり、胸を厚く見せたりする効果が得られ、腰部に設ければ腰の位置が高く見えることにより脚が長く見える効果が得られる。また、膨張袋体の盛り上がりパターンを新たなファッションとして見せることも可能である。
さらに、発泡樹脂粒子(特に独立気泡タイプ)は、洗濯しても綿や羽毛やスポンジ等と比べて乾燥が容易であるため、衣服を頻繁に洗濯して清潔に保てると共に、型崩れし難いという利点もある。
図1は本発明に係る男性用衣服の実施形態1を示す図であって、図1(A)は斜め正面から見た図であり、図1(B)は斜め後から見た図である。 図2は図1の衣服とデザインが異なる実施形態1の男性用衣服を示す正面図である。 図3は図2の衣服の背面図である。 図4は図1および図2の衣服とデザインが異なる実施形態1の男性用衣服を示す図であって、図4(A)は斜め正面から見た図であり、図4(B)は斜め後から見た図である。 図5は本発明に係る女性用衣服の実施形態1を示す図であって、図5(A)は斜め正面から見た図であり、図5(B)は斜め後から見た図である。 図6(A)および(B)は図1の衣服の製造工程を説明する部分正面図である。 図7(A)〜(C)は図6の工程の続きの製造工程を説明する部分断面図である。 図8(A)〜(C)は実施形態2の衣服の製造工程を説明する図である。 図9は実施形態2の衣服の別の製造工程を説明する図である。 図10は実施形態2の衣服の部分断面図である。 図11は実施形態3の衣服の部分断面図である。 図12は実施形態4の衣服の部分断面図である。 図13は実施形態5の衣服の部分断面図である。 図14は実施形態6の衣服の部分断面図である。 図15は実施形態7の衣服の部分断面図である。 図16は実施形態8の衣服を示す部分正面図である。 図17は実施形態9の衣服を示す斜め後から見た斜視図である。 図18は実施形態10の衣服を示す斜視図である。 図19は図18の衣服の縦断面図である。 図20は実施形態11の衣服の使用状態を示す図である。 図21(A)および(B)は実施形態11の衣服における襟巻き部の分解図である。 図22は実施形態12の衣服を示す斜視図である。 図23(A)、(B1)および(B2)は実施形態12の衣服の使用状態を示す図である。 図24(A)および(B)は実施形態13の衣服を着用した状態を示す図である。 図25は実施形態14の衣服を着用した状態を示す図である。 図26(A)および(B)は実施形態15の衣服の部分断面図である。 図27は実施形態15の衣服を着用した状態であって、図27(A)は斜め正面から見た図であり、図27(B)は斜め後から見た図である。 図28は実施形態16の衣服を着用した状態であって、図28(A)はマット上で横たわる着用者を背中側から見た図であり、図28(B)はマット上で横たわる着用者を左側から見た図である。
本発明の衣服は、衣服本体と、該衣服本体の任意の袋配置箇所に設けられた膨張袋体とを備え、前記膨張袋体は、伸縮性を有する袋内に充填材として少なくとも発泡樹脂粒子が封入されてなり、保温性、フィット感、クッション性(緩衝性)、褥瘡防止機能、浮力機能、洗濯容易機能等の様々な特性や機能を備えている。
本発明の衣服は、下着、中着、上着、ズボン、腹巻き、ネックウォーマー(襟巻き)、イヤーウォーマー(耳あて)、キャップ(帽子)、フード、関節保護用サポーター等が含まれる。
ここで、本発明において、下着としては、人の肌の上に直接着用するものであって、長袖、半袖および袖なしのシャツ、ブラジャー、スリップ、ロングタイツ、ハーフタイツ、ショーツ等が含まれ、中着としては、下着の上に着用するものであって、Tシャツ、トレーナー、ロングタイツ、ハーフタイツ、ショーツ、ももひき、すててこ等が含まれ、上着としては、上半身に着用する長袖、半袖および袖なしの上着等が含まれる。
この衣服は、膨張袋体が衣服本体に着脱可能に取り付けられていてもよく、衣服本体から分離した膨張袋体を、例えば、腹巻き、ネックウォーマー、イヤーウォーマー等として使用することができる。
膨張袋体は、衣服本体に部分的に設けられてもよいが、衣服本体の全体に設けられてもよい。
膨張袋体が衣服本体の全体に設けられた衣服としては、腹巻き、ネックウォーマー、イヤーウォーマー、関節保護用サポーター等が挙げられ、この場合、衣服本体全体が袋状に形成される。つまり、衣服本体全体が膨張袋体の袋となる。
したがって、本発明において、用語「衣服本体」とは、膨張袋体を形成する前段階の衣服の原形となる生地部分であり、発泡樹脂粒子を充填する袋を有する状態のものと、袋を形成する前の状態のものとの両方を包含すると定義する。
衣服本体が上半身用である場合、膨張袋体の袋配置箇所は、衣服本体の胸部、腹部、腰部、背部(肩甲骨部を含む)、肩部、腕部、肘部および手首部のうち少なくとも1箇所とすることができる。
また、衣服本体が下半身用である場合、膨張袋体の袋配置箇所は、衣服本体の腰部、下腹部、股部、膝部、脛部、脹脛部、足首部、踵部、足裏部、足甲部および爪先部のうち少なくとも1箇所とすることができる。
なお、衣服本体と袋の構成および衣服の製造方法について詳しくは後述の各実施形態で説明する。
本発明に使用できる発泡樹脂粒子としては、特に限定されず、スチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の発泡樹脂粒子が挙げられる。
また、発泡樹脂粒子の平均粒子径は0.3〜3.0mmであることが好ましい。この平均粒子径の発泡樹脂粒子は、発泡樹脂粒子の好ましい流動性を得ることができる。また、異音発生の抑制、より好適な感触を得ることができる点から、平均粒子径は0.4〜1.4mmであり、0.5〜0.85mmが特に好ましい。また、発泡樹脂粒子が、上記の平均粒子径を備えた粒子であって、かつ2mmを超える大きさの粒子径の粒子を実質上含まない場合、異音発生の抑制と好適な感触の点において格段に優れた効果を発揮できるのでより好ましい。なお、平均粒子径の測定法については実施例において説明する。
上記異音発生の抑制、より好適な感触を得ることができる理由は以下の理由によると考えられる。すなわち本発明者は、発泡成形用の粒子径が大きな発泡樹脂粒子を衣服の膨張袋体の充填用に転用した際に、手触りや触感が劣る原因について検討を重ねた。その結果、従来から使用されてきた発泡樹脂粒子は、粒子が大きく、また粒子同士が滑りにくいので、使用時に膨張袋体中で単に圧縮されて容積が縮小するように変形するだけであるため、手触りや触感がよくないことを突き止めた。
更に、滑りにくい大きな発泡粒子を使用した場合には、異音の発生が起きやすいことを突き止めた。
本発明者は、鋭意検討した結果、驚くことに特定の平均粒子径の発泡樹脂粒子を使用し、かつそれぞれの発泡樹脂粒子同士が極めて小さな力で流動する、滑りやすい粒子とすることで、手触り、感触を飛躍的に向上させた衣服用の発泡樹脂粒子を提供できることを見出した。この発泡樹脂粒子を衣服の膨張袋体の充填材として使用することで、異音の発生を抑えることができ、好適な感触が発現し、恒久的なクッション性をも充足させることができる。
次に、発泡樹脂粒子は、前記発泡樹脂粒子100重量部に対して0.4〜1.5重量部の流動促進剤(流動化剤)を含有することが好ましい。この流動促進剤は、発泡樹脂粒子の滑剤としての働きを有し、この働きにより発泡樹脂粒子が流動する際に擦れて生じる異音を抑制すること、および、充填装置を用いた発泡樹脂粒子の袋への充填をスムースに行うことができる。
なお、本明細書における流動促進剤の含有量とは、充填材に実際に含まれる流動促進剤の量を意味し、樹脂粒子への原料としての添加量を意味するものではない。
流動促進剤とは、例えば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸)と金属(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム)との塩、炭酸カルシウム、ポリエチレンワックス等が挙げられる。この中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。流動促進剤の含有量が0.4重量部未満では流動性が不十分になる場合があり、異音の発生を抑制する効果が不十分となり易く、流動促進剤を1.5重量部を超えて含有してもさらなる効果が期待できない。また、0.45〜1.2重量部含有することがより好ましい。なお、流動促進剤の含有量の測定法については実施例において説明する。
また、発泡樹脂粒子は、3Ncm3/g以下の部分圧縮荷重を見掛比重で除した値を有することが好ましい。この値が、3Ncm3/gより大きい場合は、異音の発生を抑制する効果が不十分であるので好ましくない。より好ましい部分圧縮荷重を見掛比重で除した値は、1〜3Ncm3/gである。なお、部分圧縮荷重及び見掛比重の測定法については実施例において説明する。
ここで、本発明に使用する発泡樹脂粒子は、0.3〜3.0mm(好ましくは0.4〜1.4mm)の平均粒子径と、3Ncm3/g以下の部分圧縮荷重を見掛比重で除した値とを有する発泡樹脂粒子と、流動促進剤とからなり、流動促進剤の含有量が、前記発泡樹脂粒子100重量部に対して0.4〜1.5重量部であることが好ましい。
発泡樹脂粒子は、0.01〜0.2の見掛比重を有していることが好ましい。見掛比重が0.2より大きい場合、膨張袋体が重くなるので好ましくなく、0.01未満の場合、発泡樹脂粒子の強度が弱くなるので好ましくない。より好ましい見掛比重は、0.015〜0.05である。
発泡樹脂粒子は、本発明の効果を阻害しない限り、粒子を構成する気泡の形状、気泡径、気泡数等は特に限定されない。特に、本発明者等は、発泡樹脂粒子を、その直径を含む面で切断したとき、直径方向において、25〜80個/mmの単位長さあたりの気泡数を有する発泡樹脂粒子が、膨張袋体の性能をより向上させることを見出しており、独立気泡であることが好ましい。気泡数が25個/mm未満の場合、粒子同士の流動性が不十分となり易く、異音が発生しやすくなるので好ましくなく、80個/mmより多い場合、気泡を保持する気泡膜が薄くなり、発泡樹脂粒子の強度が弱くなるので好ましくない。なお、気泡数の測定法については実施例において説明する。
発泡樹脂粒子は、より好適な感触を得ることができる点からスチレン系樹脂からなることが好ましい。このスチレン系樹脂として、特に残留スチレン系単量体の量が500ppm以下であるスチレン系樹脂粒子を使用することが好ましい。
この樹脂粒子を発泡させれば、残留スチレン系単量体の量が500ppm以下である発泡樹脂粒子を得ることができ、その結果、最近のシックハウス症候群や化学物質過敏症に係るとされるこれらの化合物の含有量を極力減らすことができ、これらの物質に敏感な体質をもつとされる極少数の人に対してもより快適な衣服を提供することができる。なお、残留スチレン系単量体はこれらの点からはできるだけ少ないことが好ましく、具体的には300ppm以下がより好ましく、150ppm以下が更に好ましく、よりゼロに近い方が特によい。
これらの発泡樹脂粒子は、例えばスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させた後、この粒子を蒸気等の熱を利用して発泡させて製造することができる。また、発泡スチレン系樹脂粒子の中でも、発泡樹脂粒子の揮発性有機化合物含有量を1000ppm以下に抑制した発泡樹脂粒子は衣服の膨張袋体充填用として最も好ましい。このような揮発性有機化合物含有量が1000ppm以下である発泡樹脂粒子は、後述する発泡剤の中でも炭酸ガス、窒素、空気等を主成分とする発泡剤を使用することで製造することができる。なお、揮発性有機化合物含有量はシックハウス症候群を抑制する点からはできるだけ少なく、よりゼロに近い方が好ましい。更に、スチレン系単量体又は揮発性有機化合物の含有量をできるだけ少なくすることで、より燃焼しにくい衣服を提供することができる。
発泡樹脂粒子中の揮発性有機化合物としては、残留スチレン系単量体に加えて、例えばトルエン、エチルベンゼン、クメン、プロピルベンゼン等の芳香族炭化水素や、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。より具体的には、ガスクロマトグラフィーで測定して得られるクロマトグラフにおいて、炭素数16の脂肪族炭化水素であるn−ヘキサデカン(常温沸点が286℃)より短い時間で現われる炭化水素系の有機化合物であって、トルエン、スチレン等の芳香族炭化水素や、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素等の炭化水素類が挙げられる。
これらの発泡樹脂粒子中の揮発性有機化合物の含有量は、人体への影響を考慮してできるだけ少量であることが好ましく、含まないことが望ましい。
発泡樹脂粒子中の残留スチレン系単量体の量を低減するには、例えば、懸濁重合でスチレンに対し0.05重量%以上の高温開始型の重合触媒を用い、最終の重合温度を115℃以上とするのが好ましい。
高温開始型の重合触媒としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン等の半減期10時間を得るための温度が100〜115℃のものが特に好ましい。
また、上記発泡樹脂粒子を得るために使用される発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素;塩化メチル、ジクロルフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤;更には炭酸ガス、窒素、空気等の無機ガスが使用できる。これらの発泡剤は1種類を単独で、又は2種以上を併用して使用できるが、揮発性有機化合物含有量が1000ppm以下である発泡樹脂粒子を得るためには、これらの発泡剤の中でも炭酸ガス、窒素、空気等を主成分として使用することが好ましい。また、発泡剤は、樹脂粒子100重量部に対して1〜20重量部になる程度の量が好ましい。なお、発泡剤として炭酸ガス等を使用する場合には、発泡剤を含浸する際の圧力を10〜30kg/cm2G、含浸時間は1〜10時間程度とするのが好ましい。
衣服の膨張袋体充填用発泡樹脂粒子を得るために、造核剤を重合時及び/又は含浸時に添加してもよい。造核剤を添加することで気泡数を調節することができる。造核剤の添加量は、所望する気泡数が得られるように適宜調節されるが、通常樹脂粒子100重量部に対して0.005〜1重量部である。なお、気泡数の調節は、発泡剤の種類及び添加量を選択することによっても行うことができる。
発泡樹脂粒子が、スチレン系樹脂粒子からなる場合に使用できるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有する不飽和化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の有機酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール等のN−ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を有する不飽和化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−(メチル)フェニルマレイミド、N−(ヒドロキシ)フェニルマレイミド、N−(メトキシ)フェニルマレイミド、N−安息香酸マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性多官能ビニル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する不飽和化合物等の各種のビニル系化合物を併用してもよい。
上記したこれらのスチレン系単量体等を、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、ピロリン酸マグネシウム、第3燐酸カルシウム等の難溶性無機塩等を用い、更には界面活性剤を併用して懸濁重合して0.2〜0.955mm程度の平均粒子径の樹脂粒子を得ることができる。なお、単量体の水性媒体への添加は、予め一括に仕込んでもよいし、徐々に添加しながら行ってもよい。
更に、必要に応じて難燃剤、難燃助剤、粒度分布調整剤等の添加剤を適宜添加したり、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のゴム成分を混合したりすることもできる。更に、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセライド等を帯電防止剤として使用してもよい。また、これらの他の剤と共に、少量のポリブテン、エチレングリコール、シリコンオイル等の展着材を添加してよい。
また、スチレン系発泡樹脂粒子は、このようにして得られたスチレン系発泡性樹脂粒子を蒸気等を使用して加熱し発泡させて製造する。発泡させる方法としては、具体的には、例えば円筒形の予備発泡機を用いて、スチーム等で加熱し発泡させる等の方法が使用できる。本発明のスチレン系発泡樹脂粒子の発泡倍率は約5〜100倍(見掛比重0.01〜0.2)であることが好ましい。中でも約20〜65倍(見掛比重0.015〜0.05)のものは極めて良好な感触を得ることができる。
発泡樹脂粒子に流動促進剤を含有させる方法として次の方法が挙げられる。例えば、発泡樹脂粒子形成用の単量体に含ませる方法、発泡剤含浸前かつ重合完了後の樹脂粒子に添加して含ませる方法、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子に添加して含ませる方法、発泡後の発泡樹脂粒子に添加して含ませる方法が挙げられる。この内、発泡性樹脂粒子に添加して含ませる方法は、発泡樹脂粒子の製造が容易であるとの観点から好ましい。
流動促進剤は、粉末、膜等のいずれの形態で発泡樹脂粒子に含有させてもよい。
粉末の場合、その平均粒子径は、少なくとも発泡樹脂粒子の平均粒子径より小さいことが好ましく、具体的には0.1〜100μmの範囲が挙げられ、より好ましい範囲は0.1〜30μmである。別の観点から、流動促進剤の平均粒子径は、発泡樹脂粒子の平均粒子径の1/1000〜1/10程度の範囲であることが好ましい。また、粉末の形状は、球状、針状、鱗片状、塊状、不定形状等いずれでもよい。また、添加する流動促進剤に対してポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等を展着材として添加してよい。展着材の添加割合は、添加する流動促進剤100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。
なお、展着材を使用しない場合は、発泡樹脂粒子に所定量の流動促進剤が含有されるように撹拌条件を適宜調整することが好ましい。例えば、ヘンシェルミキサーのような撹拌機を使用して、比較的高いせん断力を粒子に付与する条件下で撹拌することが好ましい。展着材を使用する場合は、展着材が発泡樹脂粒子に流動促進剤が含有されることを助けるので、使用しない場合より比較的緩やかな条件で撹拌しても、発泡樹脂粒子に流動促進剤を含有させることができる。
膜の場合、例えば、流動促進剤を溶剤に溶解し、得られた溶液を樹脂粒子に噴霧した後乾燥する方法、溶液に樹脂粒子を浸漬した後乾燥する方法等により膜を形成することが可能である。更には、流動促進剤が、比較的低温で熔融する場合、熔融した流動促進剤を塗布又は浸漬することにより膜を形成することも可能である。
本発明に使用される膨張袋体の袋は、少なくとも外側の生地が伸縮性を有していることが好ましく、具体的には、ストレッチ試験で30〜300%の伸縮性を有することが好ましい。
この伸縮性を有する生地としては、弾性を有する例えばスパンデックス(ポリウレタン弾性糸)が好ましい。また、衣服本体の一部または全体が、伸縮性を有する生地にて構成されていてもよい。
伸縮性を有する袋を使用すれば、次の効果を奏する。すなわち、袋に伸縮性の生地を使用することで、膨張袋体の一部が圧縮された際に、充填された粒子が圧縮部位から他の部位に移動し、移動した粒子の容積を他の部位に位置する袋が伸びて変形することで許容できるので、粒子の移動の許容範囲をより大きくすることができる。更に、前記発泡樹脂粒子を使用することで、発泡樹脂粒子同士が極めて小さな力で流動する滑りやすい性質となる。そのため、膨張袋体の手触り、感触を飛躍的に向上させることができる。また、加えて、発泡樹脂粒子と袋のこれら効果の相乗により、より好感触の衣服の膨張袋体を形成することができる。なお、膨張袋体の袋の伸縮性試験については実施例において説明する。
本発明において、発泡樹脂粒子の袋への充填量は任意の量である。例えば、膨張袋体が、その内面から外面までの最大厚みが5〜50mm程度となる充填量で発泡樹脂粒子を袋へ充填することができる。
このような充填量とすれば、保温性、クッション性、浮力等が得られ易く、かつ衣服の着心地や見栄えが良く、かつ衣服の製造も容易であるため好ましい。さらに、触り心地とクッション部の変形防止を両立することが可能となる。この場合、袋が、外側と内側の生地の両方に伸縮性を有する袋の場合、一方の生地のみに伸縮性を有する袋よりも発泡樹脂粒子の充填率を上げることができるため、より高い保温効果、クッション効果、浮力を得ることができる。
また、外側の生地は伸縮性を有し、内側の生地は伸縮性を有さない生地から構成されていれば、下着用の衣服を着用した際に体により密着する高いフィット感が得られる。なお、内側の生地が伸縮性を有していても、発泡樹脂粒子の流動性により、膨張袋体は体の凹凸や動きに追随した変形をするため、衣服は体にフィットする。
なお、この衣服において、クッション性、浮力等が要求されず、ある程度の保温性のみが得られればよい場合や、着用者の好みによって体が部分的にスリムに見えるようにしたい場合は、その部分の膨張袋体の平均厚さが5mmよりも薄くてもよい。
以下、図面を参照しながら本発明の衣服の各種の実施形態を詳説する。
(実施形態1)
図1は本発明に係る男性用衣服の実施形態1を示す図であって、図1(A)は斜め正面から見た図であり、図1(B)は斜め後から見た図である。図2は図1の衣服とデザインが異なる実施形態1の男性用衣服を示す正面図であり、図3は図2の衣服の背面図である。図4は図1および図2の衣服とデザインが異なる実施形態1の男性用衣服を示す図であって、図4(A)は斜め正面から見た図であり、図4(B)は斜め後から見た図である。図5は本発明に係る女性用衣服の実施形態1を示す図であって、図5(A)は斜め正面から見た図であり、図5(B)は斜め後から見た図である。図6(A)および(B)は図1の衣服の製造工程を説明する部分正面図であり、図7(A)〜(C)は図6の工程の続きの製造工程を説明する部分断面図である。
図1〜図5に示す実施形態1の衣服W1a、W1b、W1cおよびW1dのそれぞれは、発泡樹脂粒子Pを収容した袋からなる膨張袋体B1と、膨張袋体B1が取り付けられる衣服本体を備えている。
これらの衣服W1a、W1b、W1cおよびW1dの場合、衣服本体10a、10bは、長袖の下着または中着である。
実施形態1の特徴として、膨張袋体B1は、図1〜図3に示される衣服W1a、W1bの衣服本体10aの内面11aの袋配置箇所と、図4および図5に示される衣服W1c、W1dの衣服本体10bの内面11aの袋配置箇所に、所定形状の生地12の外周縁12aの全周が接合されてなる。したがって、この膨張袋体B1は、衣服本体10a、10bの一部がその構成の一部に含まれている。
図1の衣服W1aの場合、袋配置箇所としては、人体の左右胸部、左右腹部および腰部に対応する箇所である。
図2および図3の衣服W1bの場合、袋配置箇所としては、人体の左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲、左右肩関節部、左右肩甲骨部、左右肘部および腰部に対応する箇所である。
図4の衣服W1cの場合、袋配置箇所としては、人体の左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲、左右肩関節部、左右肩甲骨部および腰部に対応する箇所である。
図5の衣服W1dの場合、袋配置箇所としては、人体の左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲、左右肩甲骨部および腰部に対応する箇所である。
また、図4と図5の衣服W1c、W1dの衣服本体10bは、襟口から胸部に亘ってファスナーfが設けられており、衣服W1c、W1dを容易に着脱できると共に、ファスナーfを開閉することによって保温性を調整できるようにしている。
なお、各衣服の腰部に設けられた膨張袋体B1は、着用者のズボンのベルトによって押えられることにより衣服がずり上がらないようにする効果も得られる。
以下、主として図1に示す衣服W1aを代表的な例として、図1、図6および図7を参照しながらその構造について詳しく説明するが、他の衣服W1b、W1cおよびW1dについても同様である。
膨張袋体B1は、衣服本体10aの生地11と別の生地12とを接合することにより形成されており、袋の外側生地11(衣服本体10aの生地11)および内側生地12は共に伸縮性を有している。したがって、膨張袋体B1は、外側生地11と内側生地12とが伸張して内外に膨張している。
また、膨張袋体B1の外側生地11と内側生地12との接合は、例えば、糸で縫い合わせる縫合、加熱した金属ブレードにて両方の生地11、12を挟み込んで押し付ける熱圧着(熱融着)または接着剤による接着等が挙げられ、接合部から膨張袋体B1内の発泡樹脂粒子Pが外部に流出しないように外側生地11と内側生地12との外周縁が接合される。なお、熱圧着の場合は、膨張袋体B1の外側生地11と内側生地12が共に熱可塑性樹脂繊維から構成されている必要がある。
実施形態1では接合が縫合である場合を例示している。図1〜図7において、符号13は内側生地12の外周縁12aと外側生地11との接合部を表している。この場合、接合部13の縫い目から発泡樹脂粒子Pが流出しない細かい縫い目で縫合されている。
実施形態1では、衣服本体10aの内面11aに内側生地12を縫合しているため、この衣服W1aを着用したときに内側生地12の外周縁12aの端部(縫い代)が外部に露出しないため、衣服W1aの外面はきれいな仕上げとなる。
さらに、膨張袋体B1は衣服W1aの内側にも膨張しているため、着用者の体と衣服本体10aとの間の隙間部分に前記縫い代が位置することとなり、縫い代の感触を衣服者に与えることがない。
また、膨張袋体B1は、袋の内側生地12と外側生地11における外周縁以外の部分が接合されて膨張袋体B1の厚みを制御する押え部13aを有すると共に、押え部13aによって複数の粒子収容室14が内部に形成されている。
押え部13aは、一部を残して袋の内部空間を区画するように内側生地12と外側生地11を接合(実施形態1の場合は縫合)しており、それによって隣接する粒子収容室14同士は相互に連通している。
図1(A)および(B)において、左右胸部および左右腹部に対応する各膨張袋体B1は、外側から内側斜め上方へ向かう方向に延びて形成された押え部13aを上下位置に2本有している。
図2において、左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲の膨張袋体B1は、外側から内側へ向かう方向に延びて形成された押え部13aを上下位置に3本有しており、図3において、左右肩甲骨部の膨張袋体B1は、内側から外側斜め上方へ向かう方向に延びて形成された押え部13aを上下位置に2本有している。
図4(A)において、左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲の膨張袋体B1は、外側から内側へ向かう方向に延びて形成された押え部13aを上下位置に3本有しており、図4(B)において、左右肩甲骨部の膨張袋体B1は、脇下部から肩部へ向かう方向に湾曲して延びて形成された押え部13aを左右位置に2本有している。
図5(A)において、左右の鎖骨部から胸部に亘る範囲の膨張袋体B1は、外側から内側へ向かう方向に延びて形成された押え部13aを1本有しており、図5(B)において、左右肩甲骨部の膨張袋体B1は、脇下部から肩部へ向かう方向に湾曲して延びて形成された押え部13aを左右位置に2本有している。
このように膨張袋体B1に押え部13aを形成することにより、膨張袋体B1全体の断面形状が円形となって中央部だけが厚くなることを防止し、断面形状が楕円形もしくは長円形となって膨張袋体B1を全体的に一様な厚みに制御することができる。
これらの場合、外力を与えない状態での膨張袋体B1の最大厚みT(図7(C)参照)は、例えば、5〜50mmである。
また、押え部13aによって膨張袋体B1の内部に相互に連通した2つまたは3つの粒子収容部14を形成することにより、各粒子収容部14内に発泡樹脂粒子Pが収まるため、膨張袋体B1の上部よりも下部の方で発泡樹脂粒子Pの収容量が極端に多くなるというような偏りを防止することができる。また、腰部に対応する膨張袋体B1は、左右および中央位置に下側から上側に向かう方向に延びて形成された押え部13aを有するため、袋B1の左右方向に4つの粒子収容部14が相互に連通して形成され、各粒子収容部14に均一に発泡樹脂粒子Pを収容するようにしている。
なお、膨張袋体B1の最大厚みTは部分的に5mmよりも薄くてもよい。例えば、図5に示す女性用衣服W1dの場合、着用者(女性)の体型が肩から背中に亘ってスリムに見えるように、鎖骨部および肩甲骨部に位置する膨張袋体B1の最大厚みTを5mmよりも薄くしてもよい。この場合、鎖骨部から胸部に亘る範囲に位置する膨張袋体B1の押え部13aは、鎖骨部と胸部との間の連通部を無くしてそれらの領域を完全に区画するように形成されることにより、発泡樹脂粒子の充填量を鎖骨部と胸部とで個別に維持できるため好ましい。
さらに、胸部に対応する膨張袋体B1は、発泡樹脂粒子の充填量を調整できるように構成されてもよい。この場合、胸部に対応する袋部分は、その上辺部分に開口を有するポケット状に形成される。さらに、別の袋に発泡樹脂粒子を充填したパッドを形成し、充填量の異なる複数のパッドを用意する。このパッドは、後述する実施形態2(図10参照)における膨張袋体B2に準じて形成することができる。
このようにすれば、複数個のパッドから1つを選択して前記ポケット状の袋部分に入れることにより、着用者の好みに応じた大きさのバストに見えるように調整することができる。あるいは、充填量が同じパッドを1つ以上袋部分に入れて調整してもよい。なお、袋部分の開口は、衣服の着用中にパッドが出ないように、例えばファスナーが設けられていてもよい。
次に、実施形態1の衣服の製造方法について説明する。図6(A)および(B)は図1の衣服の製造工程を説明する部分正面図であり、図7(A)〜(C)は図6の工程の続きの製造工程を説明する部分断面図である。
なお、ここでは、図1に示した衣服W1aを製造する場合を例に取って説明するが、図2〜図5に示した衣服W1b、W1c、w1dの製造方法も同様である。
この衣服W1aの製造方法は、粒子充填口を有しかつ衣服の少なくとも一部を構成する袋を形成し、前記粒子充填口から袋内に発泡樹脂粒子を充填し、粒子充填口を封止する工程を少なくとも有している。
さらに詳しく説明すると、まず、図6(A)に示すように、衣服本体10aの内外をひっくり返して内面11aを外側へ出し、衣服本体10aの内面11aの袋配置箇所に、予め所定形状に形成された生地12の外周縁12aを一部を除いて接合して、図6(B)および図7(A)に示すように、粒子充填口14aを有する袋を形成する。
この場合、例えば、左右胸部に対応する2つの袋を形成するための生地12は1枚の生地からなり、生地12の外周縁12aの左右下部には突出片部12bが形成されており、2つの突出片部12bの位置が粒子充填口14aとなるように、生地12の2つの突出片部12bを除く外周縁12aおよび左右中間位置を衣服本体10aの生地11に縫合する。これによって、各突出片部12bの位置に粒子充填口14aを有する2つの袋が左右胸部に対応する位置に形成される。なお、左右腹部および腰部に対応する袋もこれに準じて形成する。なお、粒子充填口14aは1つの袋に対して1つである。
袋を形成した後、袋の内側の生地12と外側の生地11を所定パターンで接合して押え部13aを形成することにより、上述の相互に連通する複数の粒子収納室14を袋の内部に形成する。
次に、図7(A)に示すように、エアーガンのノズルNの先端を袋の粒子充填口14aに挿入し、図7(B)に示すように、ノズルNから発泡樹脂粒子Pをエアーと共に袋内に噴出することにより、所定量の発泡樹脂粒子Pを充填する。このとき、袋の生地11、12は通気性を有しているため、袋内に流入したエアーは生地11、12を通って外部に流出し、袋内は発泡樹脂粒子Pで満たされる。また、袋内の各粒子収容部14は連通しているため、粒子充填口14aを有する粒子収容部14内に流入した発泡樹脂粒子Pは他の粒子収容部14内へも流入し、最終的には各粒子収容部14および連通部分が発泡樹脂粒子Pで満たされ、袋全体に発泡樹脂粒子Pが充填される。
袋内に発泡樹脂粒子Pを充填した後、エアーガンのノズルNを粒子充填口14aから抜き取りながら、図7(C)に示すように、袋の突出片部12bを内側へ折り返し、その折り返し部分を封止する。このとき、突出片部12bを内側へ折り返すことによって簡易的に粒子充填口14aは塞がっているため、折り返し部分を封止するまでの間に袋内から外部ヘ発泡樹脂粒子Pはほとんど流出しない。
折り返し部を封止した封止部13bは、内側生地12を外側生地11に接合した方法と同じ接合方法を採用することができ、この場合は縫合している。
その後、衣服本体10aの内外を再度ひっくり返して外面を外側に出して、衣服W1aの製造が完了する。
実施形態1の製造方法によれば、膨張袋体B1を構成する生地が少量で済み、かつ袋形成工程も簡略化できるため、低コスト化することができる。また、上述のように衣服本体10aの内面11aに生地12を接合しているため、着用時に露出する外面の仕上がりがきれいなものとなり、かつ膨張袋体B1のパターンもきれいに見える。
なお、衣服本体10aの生地11の外面に外側生地を接合して袋を形成してもよい。この場合、衣服本体10aの外面側に袋の外周縁の端部(縫い代)が隠れるようにきれいに仕上げることが好ましい。
また、袋内に発泡樹脂粒子Pを充填する装置は、エアーガンに限定されず、他の方法でもよい。例えば、筒体内に所定体積量の発泡樹脂粒子Pを収容し、筒体の一端を袋の粒子充填口14aに挿入し、筒体内に他端から押し棒を突っ込んで筒体内の発泡樹脂粒子Pを袋内へ充填するように構成された充填装置を用いてもよい。
エアーガンを用いる場合は、例えば、所定体積量に計量した発泡樹脂粒子Pを収容したカップの底部とエアーガンとをホースで接続し、コンプレッサーからエアーガン内へ送られた圧縮エアーのエアー流によってカップ内の発泡樹脂粒子Pをエアーガン内へ吸引し、エアーガンのノズルNからエアー流と共に発泡樹脂粒子Pを袋内へ充填することができる。
(実施形態2)
図8(A)〜(C)は実施形態2の衣服の製造工程を説明する図であり、図9は実施形態2の衣服の別の製造工程を説明する図であり、図10は実施形態2の衣服の部分断面図である。
実施形態2が実施形態1(図1〜図7)と異なる点は、主に、膨張袋体B2の袋が衣服本体20とは別の2枚の生地から構成された点(図8参照)と、衣服本体20が袋配置箇所に膨張袋体B2の一面側を外部に露出するための切り抜き部を有している点(図9参照)である。
この衣服W2の製造方法を説明すると、まず、伸縮性を有する所定形状の2枚の生地22、23の外周縁22a、23aを一部を除いて接合して粒子充填口24aを有する袋を形成し、かつ衣服本体20の袋配置箇所の生地を切り抜く。
袋の形成では、例えば、実施形態1で説明したような左右胸部に対応する袋配置箇所の袋を形成する場合、まず、図8(A)に示すように、一方の生地23は実施形態1の内側生地12と同様に2つの突出片部23bを有する形状に形成し、他方の生地22は2つの突出片部23bを有さないこと以外は一方の生地23と同じ形状に形成する。それから、これら2枚の生地22、23を重ね合わせ、図8(B)に示すように、これらの外周縁22a、23aを突出片部23bを除いて接合(縫合)し、かつ左右中間を接合(縫合)する。このときの接合部を符号24で示す。
次いで、袋B2内に、押え部24aおよび相互に連通する複数の粒子収容部25を形成するために、袋の2枚の生地22、23の所定箇所を接合(縫合)する。これにより、突出片部23bの位置に粒子充填口25aを有する袋が形成される。
その後、実施形態1(図7)で説明した要領で、袋内に所定量の発泡樹脂粒子Pを充填し、図8(C)に示すように、生地23の突出片部23aを内側へ折り返して封止すべく縫合する。この封止部を符号24bで示す。これによって、2枚の生地22、23が伸張して各粒子収容部25が盛り上がった膨張袋体B2が形成される。
なお、左右腹部および腰部に対応する膨張袋体B2も上述の要領で形成することができる。
また、袋の形成の前後または並行して、図9に示すように、衣服本体20の袋配置箇所に、袋の輪郭より縫い代分(接合部24の幅分)だけ小さい輪郭の切り抜き部26を形成する。
その後、図10に示すように、膨張袋体B2の外周縁(接合部24)を、衣服本体20の内面の切り抜き部26の外周縁に接合(縫合)することにより、膨張袋体B2の盛り上がった一面側が切り抜き部26を通して衣服本体20の外面側に露出した衣服W2が製造される。図10において、膨張袋体B2の外周縁の衣服本体20への接合部を符号27で示している。
実施形態2の場合、膨張袋体B2を衣服本体20と個別に形成することができるため大量生産が容易となる。
なお、実施形態2においては、膨張袋体B2の外周縁は衣服本体20の外面へ接合してもよい。
また、発泡樹脂粒子Pを充填する前の空の袋を衣服本体20の内面または外面に接合した後、粒子充填口25aから袋内に発泡樹脂粒子Pを充填し、粒子充填口25aを封止してもよい。
また、袋の生地22にも生地23の突出片部23aと同じと突出片部を形成し、両方の突出片部で筒状の粒子充填口を形成し、袋内に発泡樹脂粒子を充填した後、筒状粒子充填口の半分を内側へ折り返して一時的に袋内からの粒子流出を防止しておき、その後に筒状粒子充填口を封止し、封止した突出片部を見えないように袋内へ押し込んでもよい。
(実施形態3)
図11は実施形態3の衣服の部分断面図である。実施形態3は実施形態2(図8〜図10)と類似するが、衣服本体30が袋配置箇所に膨張袋体袋B2の一面側を外部に露出するための切り抜き部を有していない点で異なる。なお、図11において、実施形態2と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態3では、まず、実施形態2で説明した膨張袋体B2を形成し、衣服本体30の袋配置位置の生地31の内面31aまたは外面に膨張袋体B2の外周縁を接合(縫合)する。あるいは、空の袋の粒子充填口を除く外周縁を衣服本体30に接合した後、袋内に発泡樹脂粒子Pを充填し、粒子充填口を封止してもよい。図11において、膨張袋体B2の外周縁の衣服本体30への接合部を符号37で示している。なお、この場合、衣服本体30の伸縮性の有無はどちらでもよい。
実施形態3において、膨張袋体B2を衣服本体30の内面31aに接合した衣服W3では、生地31の外面側から膨張袋体B2の盛り上がりが直接見えないので、例えば、この盛り上がりを直接見せたくない着用者にとって好ましいものとなる。また、膨張袋体B2を衣服本体30の外面に接合した衣服W3では、生地31の外面側から膨張袋体B2の盛り上がりが直接見えるので、例えば、この盛り上がりをファッションの一つとして直接見せたい着用者にとって好ましいものとなると共に、生地31が体にフィットする感覚を得ることができる。
(実施形態4)
図12は実施形態4の衣服の部分断面図である。実施形態4は実施形態1(図1〜図7)と類似するが、膨張袋体B3の袋の内側生地42が伸縮性を有さない点で異なる。なお、図12において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
したがって、実施形態4も実施形態1と同様に衣服W4を製造することができるが、製造された衣服W4において膨張袋体B3は内側がフラットになっている。
この実施形態4の衣服W4によれば、衣服本体10aの生地11の外面側から膨張袋体B3の盛り上がりが直接見えるので、例えば、この盛り上がりを直接見せたい着用者にとって好ましいものとなると共に、袋B3の内側生地42が体にフィットする感覚を得ることができる。さらに、衣服本体10aの外側から膨張袋体B3の外周縁の縫い代が見えないので接合部13はきれいな仕上がりとなる。
(実施形態5)
図13は実施形態5の衣服の部分断面図である。実施形態5は実施形態4(図12)と類似するが、衣服本体10aが伸縮性を有さない点と、伸縮性を有する外側生地51の外周縁を衣服本体10aの外面に接合した点で異なる。なお、図13において、実施形態4と同様の要素には同一の符号を付している。
したがって、実施形態5も実施形態4と同様に衣服W5を製造することができるが、製造された衣服W5において膨張袋体B4の内側は衣服本体10aから構成されているため、実施形態4よりも高いフィット感を得ることができる。なお、膨張袋体B4は外周縁の縫い代を隠すように縫製してきれいな接合部13に仕上げることが好ましい。
(実施形態6)
図14は実施形態6の衣服の部分断面図である。実施形態6は実施形態3(図11)と類似するが、膨張袋体B5の内側生地53が伸縮性を有さない点で異なる。なお、図14において、実施形態3と同様の要素には同一の符号を付している。
したがって、実施形態6も実施形態3と同様に衣服W6を製造することができるが、製造された衣服W6において膨張袋体B5は内側がフラットになっている。
この実施形態6の衣服W6によれば、実施形態3と同様の効果が得られることに加え、膨張袋体B5の内側がフラットなため高いフィット感を得ることができる。
(実施形態7)
図15は実施形態7の衣服の部分断面図である。実施形態7は実施形態2(図8〜図10)および実施形態6(図14)に類似する。すなわち、実施形態6の膨張袋体B5の外周縁を、実施形態2の衣服本体20の内面31aの切り抜き部の外周縁に接合して、膨張袋体B5の盛り上がった外面生地22が外部に露出するようにしている。なお、図15において、実施形態2および6と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態6の衣服W7において、膨張袋体B5は内側がフラットになっているため高いフィット感を得ることができると共に、膨張袋体B5の盛り上がりを直接見せたい着用者にとって好ましいものとなる。さらに、衣服本体20の外側から膨張袋体B5の外周縁の縫い代が見えないので接合部37はきれいな仕上がりとなる。
(実施形態8)
図16は実施形態8の衣服を示す部分正面図である。実施形態8の衣服W8は、実施形態1(図1)の衣服W1aの左右の鎖骨対応部分に膨張袋体B6が接合されたものであり、製造方法は実施形態1〜7のいずれかを選択することができる。なお、図16において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付し、膨張袋体B6の衣服本体10aへの接合部を符号47で示している。
実施形態8の衣服W8によれば、例えば、自動二輪車を運転する着用者が転倒した場合や、ラグビー、アメリカンフットボールといったスポーツをする着用者がタックルする場合に、着用者の鎖骨を保護するのに有効である。
(実施形態9)
図17は実施形態9の衣服を示す斜め後から見た斜視図である。実施形態9の衣服W9は、衣服本体40が下着または中着としてのハーフタイツであり、衣服本体40の腰部対応部分に帯状の膨張袋体B7が接合されている。実施形態9の製造方法も実施形態1〜7のいずれかを選択することができる。なお、図17において、膨張袋体B7の衣服本体40への接合部を符号57で示している。
実施形態9の衣服W9によれば、腰部だけに膨張袋体B7を有する本発明の下半身用衣服を着用する場合に、上半身には普通の下着や中着を着用することができる。
この衣服W9の場合、膨張袋体B7は、図1〜図5で説明した押え部13aを有していないが、押え部を有していてもよい。
なお、この衣服本体40の股部に膨張袋体を設けたり、図示しないロングタイツの衣服本体の腰部、股部、膝部、脛部および脹脛部の1つ以上の箇所に膨張袋体を設けてもよい。
(実施形態10)
図18は実施形態10の衣服を示す斜視図であり、図19は図18の衣服の縦断面図である。
実施形態10の衣服W10は、衣服本体60が袖なしの上着(ベスト)であり、その内面の袋配置箇所に複数の収納ポケット部64を有しており、各収納ポケット部内64に発泡樹脂粒子入り袋である膨張袋体B8が収納されている。この場合、膨張袋体B8は、実施形態2(図10)で説明したように所定形状の2枚の生地の外周縁を粒子充填口部分を除いて接合して袋を形成し、発泡樹脂粒子を粒子充填口から袋内に充填した後、粒子充填口を封止することによって製造されたものである。
この衣服W10は、具体的に、衣服本体60は前面側の左右中間位置にファスナー部65を有し、衣服本体60の生地61の内面におけるファスナー部65の左右両側に別の生地62が接合されることにより、帯形に上下5段の収納ポケット部64が形成されている。また、衣服本体60の生地61の内面の背中側にも別の生地62が接合されることにより、上下5段の収納ポケット部64が形成されている。図19において、生地62の生地61への接合部を符号63で示している。なお、背中側の収納ポケット部64は、左右に分けず横へ1本に延ばしてもよい。
この衣服W10の製造に際して、衣服本体60の各収納ポケット部64は、膨張袋体B8を収納する前は、左右一方の端部は開口しており、開口から各収納ポケット部64内に膨張袋体B8を挿入した後、開口は任意に封止される。封止する場合は、接合部63と同様の接合方法を用いることができる。なお、開口を完全に封止しない場合、収納ポケット部64の開口は、例えばファスナーやフックやボタン等を用いて開閉できるようにすることが好ましい。このようにすれば、着用中に収納ポケット部64内から膨張袋体B8が出るのを防止することができると共に、膨張袋体B8を交換したり洗濯の際に取り出しておくことができる。
また、膨張袋体B8の形状は、収納ポケット部と同じ帯形でよいが、球状、俵状等の膨張袋体B8を収納ポケット部内へ複数個押し込んでもよい。
実施形態10の衣服W10は防寒衣としての使用が好適である。さらに、この衣服W10は、着用者の上半身を広い面積で複数の膨張袋体B8が覆うため、例えば、海や川や湖等でのライフジャケットの着用義務がないレジャーの際に、着用者が万が一水中に落ちても溺れない程度の浮力を有しており、簡易的なライフジャケットとしての機能も有している。
(実施形態11)
図20は実施形態11の衣服の使用状態を示す図であり、図21(A)および(B)は実施形態11の衣服における襟巻き部の分解図である。
この衣服W11は、ベスト部70(実施形態10のベスト型の衣服W10)に襟巻き部71が着脱可能に取り付けられたものである。
襟巻き部71は、図21(B)に示す帯形の膨張袋体B9が、図21(A)に示す帯形収納袋72内に収納されて構成されている。
帯形収納袋72は、例えば、長手方向の一端にフック73aを有し、他端にフック73aを引掛けるリング73bを有している。フック73aをリング73bに引掛けることにより、襟巻き部71の前側が閉まって見栄えがよく、かつ防寒効果を高めることができる。なお、フック73aおよびリング73bの代りに紐、ボタンまたはファスナーでもよい。
また、帯形収納袋72の長手方向に延びる一側縁とベスト部70の襟巻き部取付位置にはファスナー76が設けられており、ファスナー76によって襟巻き部71をベスト部70に着脱可能に取り付けている。
襟巻き部70の帯形の膨張袋体B9は、2枚の生地の外周縁を接合し、かつ外周縁の接合部74の一辺から対向辺に向かって複数の押え部75を形成することにより、相互に連通する複数の粒子収容部が内部に形成されている。このように、膨張袋体B9に複数の押え部75および複数の粒子収容部を形成することにより、上述のように適度な厚みに制御できること、内部に充填した発泡樹脂粒子の偏りを防止できること、複数の押え部75によって膨張袋体B9を曲げ易くなり、襟巻き部71を着用者の首にフィットさせることができる効果がある。
なお、帯形収納袋72を省略し、膨張袋体B9を直接ベスト部70にファスナーにて着脱可能に取り付けてもよい。この場合、膨張袋体B9の接合部74の縫い代が外側に露出しないよう、袋の内外をひっくり返し、その状態で押え部75を形成してもよい。
また、膨張袋体B9の内部の複数の粒子収容部を複数の押え部75によって完全に区画し、各粒子収容部内に発泡樹脂粒子を充填するようにしてもよい。
(実施形態12)
図22は実施形態12の衣服を示す斜視図であり、図23(A)および(B)は実施形態12の衣服の使用状態を示す図である。
この衣服W12は、長手方向の両端にファスナー部75を有する帯状の膨張袋体B10からなり、ファスナー部75によって膨張袋体B10の形を帯状から環状に変えることにより、図23(A)に示すようにネックウォーマーとして使用できると共に、図23(B)に示すようにイヤーウォーマーとしても使用できる。
膨張袋体B10は、図21(B)で説明した襟巻き部71と同様に形成することができる。この場合、膨張袋体B10の接合部の縫い代が内側に配置されるようにすることが、見栄え上好ましい。
この衣服W12によれば、それ1つでネックウォーマーとイヤーウォーマーの両方に使用できるため便利かつ経済的である。また、伸縮性を有する生地にて膨張袋体B10の袋を形成することにより、首に巻いた衣服W12をそのまま頭へずり上げて使用できるため、使用形態を迅速に変更できる。また、このように使用形態を変更しなくても、ファスナー部75を開いて着脱することもできるため、女性の着用者は化粧落ちすることなく使用できる。さらに、衣服W12はコンパクトに折り畳むことができるため、不使用時はコートのポケットや鞄等に収納でき、携帯するのに便利である。
なお、この衣服W12の大きいサイズのものは、腹巻きとして使用することができる。
(実施形態13)
図24(A)、(B1)および(B2)は実施形態13の衣服を着用した状態を示す図である。
図24(A)に示す衣服W12xは、膨張袋体を略円錐筒形に形成してなるキャップである(実施形態13−1)。
図23(B)に示したイヤーウォーマー(衣服W12)の場合、着用者の頭頂部は覆われないが、このキャップ(衣服W12x)によれば着用者の頭全体(両耳を含む)を覆うことができるため、頭全体を保温するのに適している。
図24(B1)の正面図および(B2)の背面図に示す衣服W12y(実施形態13−2)は、膨張袋体にて形成されたフードであり、ジャンパー、コート、ダウンジャケット、図18に示す衣服W10等の衣服の襟口に一体状に縫い付けられるか、あるいはボタンやファスナー等によって着脱可能取り付けられる。
(実施形態14)
図25は実施形態14の衣服を着用した状態を示す図であり、図26(A)および(B)は実施形態13の衣服の部分断面図である。
この衣服W13は、実施形態1の図4で説明した衣服W1cに類似するが、水に接するレジャーやスポーツを楽しむ際の着用に適したものであり、それを考慮して形成されている点が実施形態1とは異なる。
以下、実施形態14の実施形態1とは異なる点を主に説明する。
この衣服W13の場合、半袖の衣服本体80は、伸縮性および通水性を有する内層81aと、伸縮性を有する中間弾性層81bと、内層81aと同じ素材からなる外層81cとが積層されてなる生地81から形成されている。
内層81aおよび外層81cとしては、例えば、実施形態1における伸縮性を有する生地11、12と同じ素材を用いることができる。中間弾性層81bとしては、ゴム素材が好適であり、一例としてはクロロプレンゴムが挙げられる。
また、膨張袋体B11は、衣服本体80の生地81の外面に、この生地81と同じ素材からなる外側生地82の外周縁を縫合して袋を形成し、かつこの袋の下部に水抜き部82aを形成すること以外は、実施形態1と同様である。
水抜き部82aは、外側生地82の一部を切り抜きいて開口を形成し、その開口の周囲部に前記内層81aと同じ素材からなる生地83を縫合することにより形成されている。
水抜き部82aの開口の大きさは特に限定されないが、衣服W13を自然乾燥あるいは脱水機にて脱水してから自然乾燥させる場合に、膨張袋体B11内に浸透した水を効率よく水抜きできる大きさが好ましく、例えば直径1〜4cm程度に設定することができる。また、水抜き部82aの数は膨張袋体B11の大きさに応じて適宜設定すればよく、1つの膨張袋体B11に対して複数個設けてもよい。
例えば、渓流での岩登り、清流での川下り、磯釣り、岩場での川遊びや海水浴等において、この衣服W13を着用することにより、膨張袋体B11が岩や石に接触して外層81cが破れたとしても中間弾性層81bは破れ難いため、外層81cの破れ目から発泡樹脂粒子が外部へ流出するのを防止することができると共に、発泡樹脂粒子がクッションとなって着用者の体が保護される。
また、膨張袋体B11以外の衣服本体W13に岩や石等が接触したとしても、中間弾性層81bによって着用者が擦り傷といった怪我から保護される。
また、着用者が不意に岩場から川の深みに転落したとしても、衣服W13の浮力によって溺れることがなく、着用者は容易に川岸まで辿り着くことができる。
また、中間弾性層81bは非通水性であるため、膨張袋体B11の接合部(縫合部)から内部に浸透した水は、水抜き部82aの生地83を浸透して外部に排出される。
(実施形態15)
図27は実施形態15の衣服を着用した状態であって、図27(A)は斜め正面から見た図であり、図27(B)は斜め後から見た図である。
この衣服W14も、実施形態14と同様に、水に接するレジャーやスポーツを楽しむ際の着用に適したものである。
この衣服W13は、ファスナー部fを有するベスト型に形成されており、Tシャツのような衣服wの上に着用され、フローティングベストとしての役割と、岩や石等から体を保護する役割を担う。
この衣服W13において、衣服本体90および膨張袋体B12は、形状が異なる以外は、実施形態13と概ね同様に形成することができ、さらに、衣服本体90の腰部に対応する位置に複数のベルト通し95およびベルト96を設けてもよい。
なお、図27において、符号92aは水抜き部を表している。
(実施形態16)
図28は実施形態16の衣服を着用した状態であって、図28(A)はマット上で横たわる着用者を背中側から見た図であり、図28(B)はマット上で横たわる着用者を左側から見た図である。
実施形態16の衣服W15a〜W15dは、主として寝たきりの高齢者や患者が着用するのに適したものである。
衣服W15aは下着または中着用のシャツであり、Tシャツ形の衣服本体100と、衣服本体100の左右の肩甲骨部に対応する膨張袋体B13とを有している。
衣服W15bは、下着または中着用のパンツであり、パンツ形の衣服本体110と、衣服本体110の左右の臀部に対応する膨張袋体B14とを有している。
衣服15cは、筒状の膨張袋体B15からなる肘用のサポーターである。
衣服15dは、踵用のサポータであり、爪先が開いた靴下形の衣服本体120と、衣服本体120の踵部に対応する膨張袋体B16とを有している。
例えば、マットMのような寝具上に寝たきりになっている高齢者や患者は、体の筋肉が落ちて痩せている人が多く、このような人は、出っ張った肩甲骨、仙骨、肘や踵の骨等によってそれらの周囲の肉をマットMに長時間押し付けた状態が続くため、褥瘡を生じ易い。
衣服W15a〜W15dの各膨張袋体B13〜B16のクッション性および変形性によって、寝たきりの着用者は、背中側の出っ張った骨によってそれらの周囲の肉がマットに強く押え付けられることがなくなり、褥瘡になり難くなる。
(他の実施形態)
本発明の衣服は、上述の実施形態に限定されず、膨張袋体の形状、配置箇所等は自由に変更可能であり、例えば、手首部、足首部、膝部等の関節部分にも膨張袋部を所望の形状で配置してもよい。
本発明の実施例として衣服の膨張袋体を製造し、その性能試験を行った。
<流動促進剤の含有量の測定方法>
発泡樹脂粒子1.0gを精秤してるつぼ中にいれ、450℃で3時間加熱して灰化する。次に、灰に濃塩酸2mlを加え蒸留水で25mlにメスアップする。その後、ICP−AESにて金属量を測定し、分子量換算で脂肪族金属塩量を算出し、この量を発泡樹脂粒子100重量部に対する量に換算した値を流動促進剤の含有量とする。ICP−AESの測定条件及び脂肪族金属塩量の算出式を以下に示す。
(測定条件)
装置:SEIKO ICP SPS−4000
測定波長:Zn(213.856nm)、Mg(285.213nm)、Ca(317.933nm)
測光高さ:10.0mm
積分条件:3回−1秒(積算1回)
高周波出力:1.30kw
ガス流量:プラズマガス流量16.0リットル/分
キャリアガス流量1.0リットル/分
補助ガス流量0.5リットル/分
(脂肪族金属塩量の算出式)
ステアリン酸亜鉛=Zn量×(631.4/65.4)
ステアリン酸マグネシウム=Mg量×(590.3/24.3)
ステアリン酸カルシウム=Ca量×(606.1/40.1)
<平均粒子径の測定方法>
本実施例において平均粒子径とはD50で表現される値である。具体的には、ふるい目開き4.00mm、目開き3.35mm、目開き2.80mm、目開き2.36mm、目開き2.00mm、目開き1.70mm、目開き1.40mm、目開き1.18mm、目開き1.00mm、目開き0.85mm、目開き0.71mm、目開き0.60mm、目開き0.50mm、目開き0.425mm、目開き0.355mm、目開き0.300mm、目開き0.250mm、目開き0.212mmおよび目開き0.180mmのJIS標準ふるいで分級し、その結果から得られた累積重量分布曲線を元にして累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を本実施例における平均粒子径と称する。
<部分圧縮荷重の測定方法>
増田理化工業社製ガラスビーカー(容量200ml、胴径67mm、高さ89mm)に発泡樹脂粒子を200ml充填する。次いで、発泡樹脂粒子に直径35mmのSUS製の円柱を20mm/分の速度で10mm押し込んだときの荷重を、テンシロン万能試験機UCT−10T(ORIENTEC CORPORATION社製)で測定し、その値を部分圧縮荷重と称する。
<見掛比重の測定方法>
パウダテスタ(ホソカワミクロン社製)の見掛比重測定用カップ(内容積100ml)に発泡樹脂粒子を静かに充填し、付属のブレードを垂直に立てて発泡樹脂粒子の表面をすりきり、上皿天秤で重量を測定し、測定値を100で割ることで得られた値を見掛比重と称する。
<気泡数の測定方法>
発泡樹脂粒子をカミソリで約半分にカットし、その断面の顕微鏡写真を撮り、粒子の直径方向に線1を引き、線1が掛かっている気泡の数を計測し、計測値を1mm当りの数に換算する。次に、線1に垂直な方向に線2を引き、前記と同様に気泡の数を計測し、1mm当りの数に換算する。得られた2つの1mm当りの気泡の数を平均し、小数点以下を四捨五入する。この方法を発泡樹脂粒子5個について行い、最大値と最小値を除いた値を平均し、四捨五入することにより得られた値を気泡数と称する。
<圧縮試験>
伸縮性を有する素材であるスパンデックス製(カネボウ合繊社製品番6994)の二重ファスナーの二重袋(サイズφ18cm×35cm、内容量約8900cm3)に、発泡樹脂粒子を表1に示す量充填し、円柱の側面の中心部に直径150mm×厚み15mmのSUS製の円板を速度200mm/分で底から6cm迄押しあてたときの荷重をテンシロン万能試験機UCT−10T(ORIENTEC CORPORATION社製)で測定することで、最大荷重を求めた。最大荷重が、15〜450Nの場合を合格○、それ以外を不合格×とした。
<膨張袋体の袋の内容積の測定方法>
膨張袋体の袋と同サイズの袋をヤマジックス社製の厚さ0.05mmのポリエチレン製袋を切り取り作製し、このポリエチレン製袋に空気を内圧0.01MPaになるまで充填し、その後袋体の中の空気を水に沈めたメスシリンダー中に入れ、空気の量を膨張袋体の袋の内容積とした。
<膨張袋体の袋の伸縮性試験>
引張間隔10cm×幅2.5cmの試験片をテンシロン万能試験機UCT−10T(ORIENTEC CORPORATION社製)を用いて30cm/分の速度で伸張し、9.8N荷重時の伸度を測定する。この測定を試験片の縦方向と横方向について行い、伸度の平均値を伸縮性とした。
伸度(%)={9.8N荷重時の試験片長さ(cm)−10}÷10×100
<発泡樹脂粒子の充填率>
発泡樹脂粒子をφ18cm×35cm、内容量8900cm3のスパンデックス製(カネボウ合繊社製品番6994)の膨張袋体の袋にエアーガンを使いエアーと共に充填封入する。袋から発泡樹脂粒子を取り出し、メスシリンダーに静かに充填することで発泡樹脂粒子充填量(cm3)を求め、以下の式で発泡樹脂粒子充填率を計算した。
発泡樹脂粒子充填率(倍)=発泡樹脂粒子充填量(cm3)÷袋体の内容積(8900cm3
<残留スチレン系単量体量の測定方法>
発泡樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を加えてGCにより測定する。ただし、スチレン系単量体のピークについては、スチレンと内部標準液とを特定比率で混合した標準試料を作製し、これを測定して特定する。
GC:島津製作所社製 GC−14A
カラム:PEG−20M PT25% 60/80(2.5m)
カラム温度:105℃
検出器(FID)温度:220℃
<揮発性有機化合物の含有量>
以下に示す三種類の測定法によって得られた値を合計して求める。
(炭素数5以下の炭化水素化合物の測定)
発泡樹脂粒子を180℃の熱分解炉に入れ、揮発した炭化水素をガスクロマトグラフィーにて測定する。
ガスクロマトグラフィー(GC):島津製作所(株)製 GC−14B
熱分解炉:島津製作所社製 PYR−1A
カラム:ポラパックQ 80/100(3mmφ×1.5m)
カラム温度:100℃
検出器(FID)温度:120℃
(炭素数6以上の炭化水素であって、ガスクロマトグラムに現われるスチレンのピークまでの炭化水素の測定)
発泡樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を加えてGCにより測定する。ただし、特定できないピークについてはトルエンの検出量に換算して定量する。
GC:島津製作所社製 GC−14A
カラム:PEG−20M PT25% 60/80(2.5m)
カラム温度:105℃
検出器(FID)温度:220℃
(ガスクロマトグラムに現われるスチレンの次のピークから炭素数16(n−ヘキサデカン)までの炭化水素の測定)
発泡樹脂粒子をクロロホルムに溶解し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)にて測定する。ただし、試験片を溶解しない溶剤のみの空試験を行い、空試験の検出物質量を差し引く。更に、特定できないピークについてはトルエンの検出量に換算して定量する。
GCMS:島津製作所社製 QP5000
カラム:J&W Scientific社製 DB−1
(1μm×60m 0.25mmφ)
測定条件:カラム温度
(60℃で1分保持した後、10℃/分で300℃まで昇温)
スプリット比:10
キャリアガス:He(1ml/min)
インターフェイス温度:260℃
(実施例1)
100リットルのオートクレーブに、120gのリン酸三カルシウム(太平化学社製;商品名第三リン酸カルシウム)と、0.24gの亜硫酸水素ナトリウム及び0.24gの過硫酸カリウムを加え、更に133gの過酸化ベンゾイル(純度75%、日本油脂社製;商品名ナイパーBW)、28gのt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(純度90%、日本油脂社製;商品名パーヘキシルI)、40kgのイオン交換水及び40kgのスチレン単量体を混合して仕込み、撹拌下で溶解及び分散させ懸濁液を形成した。
次に、200rpmの撹拌下でスチレン単量体を87℃で8時間、更に125℃で2.5時間重合反応させた。反応終了後、冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、遠心分離工程に付した後、乾燥させてスチレン樹脂粒子を得た。得られたスチレン樹脂粒子を0.25〜0.5mmの粒子に篩い分けた。
次に、5リットルのオートクレーブに2000gの水、12gのピロリン酸マグネシウム及び0.3gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、0.4gのジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、0.6gのエチレンビスステアリン酸アマイドを仕込み、水性媒体とした。この水性媒体に、0.25〜0.5mmに篩い分けた上記スチレン樹脂粒子を2000g加えて300rpmで撹拌した。
次いで、水性媒体の温度を110℃に上げ、この温度を維持しながら180gのペンタンを圧入し、1時間30分間含浸させ、その後冷却することで発泡性スチレン樹脂粒子を得た。
発泡性スチレン樹脂粒子850gの表面をステアリン酸亜鉛5.95g(平均粒子径約15μm:鱗片状:流動促進剤:0.7重量部)と共にヘンシェルミキサーで高速混合することにより被覆し、内容積50リットルのバッチ型予備発泡機で水蒸気により均一加熱することで、発泡樹脂粒子を得た。得られた発泡樹脂粒子を50℃の乾燥室で1日乾燥させた。
得られた発泡樹脂粒子の平均粒子径、流動促進剤の含有量、部分圧縮荷重、見掛比重、気泡数、残留スチレン系単量体量、揮発性有機化合物の含有量を測定した。発泡樹脂粒子には、2mmを超える大きさの粒子は含まれていなかった。次いで、発泡樹脂粒子をφ18cm×35cm、内容量8900cm3の211%の伸縮性を有する素材であるスパンデックス製(カネボウ合繊社製品番6994)の袋にエアーガンを使いエアーと共に充填封入することで膨張袋体を得た。得られた膨張袋体に圧縮試験を行った。更に、発泡樹脂粒子充填率を計算した。結果を表1に示す。
Figure 2010073921
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120 衣服本体
11、12、22、23、31、42、51、53、61、62 生地
12b、23b 突出片部
13、24、27、37、47、57、63、74 接合部
13a、24a、75 押え部
13b 封止部
14 粒子収容部
14a、25a 粒子充填口
64 収納ポケット部
B1〜B16 膨張袋体
N エアーガンのノズル
P 発泡樹脂粒子
W1〜W15 衣服

Claims (18)

  1. 衣服本体と、該衣服本体の任意の袋配置箇所に設けられた膨張袋体とを備え、
    前記膨張袋体は、伸縮性を有する袋内に充填材として少なくとも発泡樹脂粒子が封入されてなる衣服。
  2. 前記膨張袋体は、その内面から外面までの最大厚みが5〜50mmである請求項1に記載の衣服。
  3. 前記袋は、1枚の生地の外周縁を前記衣服本体の内面または外面の袋配置箇所に取り付けて構成されている請求項1に記載の衣服。
  4. 前記袋は、1枚または2枚の生地の外周縁が相互に接合されてなり、
    前記衣服本体は内面の袋配置箇所に収納ポケット部を有し、発泡樹脂粒子を収容した袋が前記収納ポケット部に収納されている請求項1に記載の衣服。
  5. 前記膨張袋体が、衣服本体に着脱可能に取り付けられている請求項1に記載の衣服。
  6. 前記膨張袋体は、袋の内面側の生地と外面側の生地における外周縁以外の部分が接合されて膨張袋体の厚みを制御する押え部を有する請求項1に記載の衣服。
  7. 前記膨張袋体は、前記押え部によって相互に連通する複数の粒子収容室が内部に形成されている請求項6に記載の衣服。
  8. 前記衣服本体が上半身用であり、前記袋配置箇所が衣服本体の胸部、腹部、腰部、背部、肩部、腕部、肘部、手首部および腰部のうち少なくとも1箇所である請求項1に記載の衣服。
  9. 前記衣服本体が下半身用であり、前記袋配置箇所が衣服本体の腰部、腹部、股部、膝部、脛部、脹脛部および足首部のうち少なくとも1箇所である請求項1に記載の衣服。
  10. 前記衣服本体全体が、膨張袋体の袋である請求項1に記載の衣服。
  11. 前記衣服本体が、筒形の形状を有する請求項10に記載の衣服。
  12. 前記発泡樹脂粒子は、平均粒子径0.3〜3.0mmの発泡スチレン系樹脂粒子からなり、かつ粒子内部に多数の独立気泡を有する請求項1に記載の衣服。
  13. 前記発泡樹脂粒子が、1〜3Ncm3/gの部分圧縮荷重を見掛比重で除した値を有する請求項1に記載の衣服。
  14. 粒子充填口を有する伸縮性の袋を形成する工程(A)と、
    衣服本体の任意の袋配置箇所に前記袋を取り付ける工程(B)と、
    前記粒子充填口から袋内に発泡樹脂粒子を充填する工程(C)と、
    前記工程(C)の後に、粒子充填口を封止する工程(D)とを含むことを特徴とする衣服の製造方法。
  15. 前記衣服本体の内面または外面の袋配置箇所に、所定形状の生地の外周縁を一部を除いて接合して、前記粒子充填口を有する袋を形成することにより、前記工程(A)と工程(B)が同時に行われる請求項14に記載の衣服の製造方法。
  16. 前記衣服本体の内面の袋配置箇所に一部が開口する収納ポケット部を形成する工程(E)をさらに含み、
    前記工程(A)において、所定形状の1枚または2枚の生地の外周縁を一部を除いて接合して粒子充填口を有する袋を形成し、
    前記工程(B)において、発泡樹脂粒子が収容された袋を前記収容ポケット部内に装着する請求項14に記載の衣服の製造方法。
  17. 前記工程(A)において、袋の内面側の生地と外面側の生地における外周縁以外の部分を接合して膨張袋体の厚みを制御する押え部を形成する請求項14に記載の衣服の製造方法。
  18. 前記工程(A)において、粒子充填口の位置に突出片部を有するように袋を形成し、
    前記工程(D)において、前記突出片部を内側へ折り返して粒子充填口を封止する請求項14に記載の衣服の製造方法。
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