JPWO2006057268A1 - シミュレーション装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の薬物の吸収等のシミュレーション装置は、個体差や薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、病体変化を考慮した薬物吸収または排泄等についてはシミュレーションできなかった。【解決手段】本発明は、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報と、生体の情報に関する生体情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄をシミュレーションするシミュレーション装置であって、当該シミュレーションを行っている間にも動的に、生体情報を受け付けるシミュレーション装置であって、かかる生体シミュレーション装置により、個体差や薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、病体変化を考慮した薬物吸収または排泄等についてはシミュレーションできる。【選択図】図1

Description

本発明は、薬物の吸収または/および排泄等についてシミュレーションするシミュレーション装置およびそのプログラム等に関するものである。
従来の薬物の吸収等のシミュレーション装置として、以下のシミュレーション装置がある。つまり、本シミュレーション装置は、薬物固有の特性(溶解度、脂溶性、膜透過性、代謝安定性など)から体内の薬物挙動(血中濃度)の時間推移を計算する。また、本シミュレーション装置は、平均的な正常時における薬物吸収を薬物の性質のみから評価するものであった。
一方、細胞の動作や機能をシミュレーションする細胞シミュレーション装置が存在する(非特許文献1参照)。細胞シミュレーション装置は、細胞内のイオン、水の輸送や膜表面の電位を計算する細胞シミュレーション装置は、主に、細胞内の活動を解析・解明することが主眼とされている。
また、上皮細胞モデル内部における上皮細胞のシミュレーション装置の技術も開示されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。
さらに、ヒトのSGLT1がグルコース1モルを輸送する際に、2モルのNa+イオンと264モルのHO分子を同時に輸送することが解明されている(非特許文献5参照)。
M.Tomita, K.Hashimoto, K.Takahashi, T.Shimizu, Y.Matsuzaki, F.Miyoshi, K.Saito, S.Tanida, K.Yugi, J.C.Venter, and C.A.Hutchison III, 「E−CELL:software environment for whole−cell simulation」 in Bioinformatics, vol.15, no.1, pp.72−84, 1999 A. M. Weinstein et al., 1990, J. Gen. Physiol., 96, 319−344. A. M. Weinstein, Am. J. Physiol., 1992, 263, F748−798, Parent et al., J Membr. Biol. 125: 63−79, 1992 Donald D. F. Loo, Ernest M. Wright and Thomas Zeuthen,Water pumps, Journal of Physiology (2002), 542(pt.1), pp.53−60
しかしながら、従来の薬物の吸収等のシミュレーション装置は、個体差や薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、病態変化を考慮した薬物吸収または排泄等についてはシミュレーションできなかった。
本第一の発明のシミュレーション装置は、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報と、生体の情報に関する生体情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄等をシミュレーションするシミュレーション装置であって、当該シミュレーションを行っている間にも動的に、前記生体情報を受け付けるシミュレーション装置である。
かかるシミュレーション装置は、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションができる。
また、第二の発明のシミュレーション装置は、第一の発明のシミュレーション装置における薬物動態情報は、少なくとも薬物を吸収する部位を示す部位情報と、薬物の状態を示す状態情報を有するシミュレーション装置である。
かかるシミュレーション装置は、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションが、生体の部位毎にできる。
また、第三の発明のシミュレーション装置は、第一、第二のシミュレーション装置において、前記生体情報受付部は、細胞内の動きをシミュレートする細胞シミュレーション装置からの出力である生体情報を受け付けるシミュレーション装置である。なお、細胞は、上皮細胞であることが好適である。また、シミュレーション装置は、間接的に細胞シミュレーション装置から生体情報を受け付けても良い。
かかるシミュレーション装置は、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションが精度良くできる。
本発明は、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションができる。
以下、シミュレーション装置を含む情報処理システム等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態における情報処理システムのブロック図である。本情報処理システムは、シミュレーション装置11と、細胞シミュレーション装置12と、制御装置13を具備する。シミュレーション装置11は、薬物の吸収または/および排泄等をシミュレーションする。細胞シミュレーション装置12は、ここでは、生体機能(臓器、細胞、組織などの機能)のシミュレーションを行うが、本実施の形態では、細胞の機能、動作のシミュレーションを主として、シミュレーション装置11が利用するので、細胞シミュレーション装置12と言うこととする。また、細胞とは、主として上皮細胞である。制御装置13は、シミュレーション装置11と細胞シミュレーション装置12の間での情報の受け渡しや、シミュレーション装置11と細胞シミュレーション装置12の動作のトリガーを与える等、情報処理システム全体が機能するための制御を行う。
シミュレーション装置11は、指示受付部1101、薬物情報受付部1102、生体情報取得指示部1103、生体情報受付部1104、演算式格納部1105、演算実行部1106、出力部1107を具備する。
細胞シミュレーション装置12は、第二指示受付部1201、機能要素情報格納部1202、静的構造管理部1203、パラメータ管理部1204、シミュレーション命令受付部1205、機能要素識別子取得部1206、パラメータ取得部1207、実行部1208、生体情報送信部1209を具備する。静的構造管理部1203は、細胞機能管理手段12031、臓器細胞管理手段12032を具備する。ただし、静的構造管理部1203が細胞機能管理手段12031、臓器細胞管理手段12032を具備することは、静的構造管理部1203の内部構造の一例である。
制御装置13は、指示部1301、生体情報取得指示受付部1302、生体情報取得部1303、生体情報付与部1304、実行結果取得部1305、実行結果表示部1306を具備する。
指示受付部1101は、薬物の吸収のシミュレーションを開始する指示である開始指示を受け付ける。受け付けとは、通常、制御装置13からの受信であるが、ユーザの手入力による開始指示の受け付け等でも良い。指示受付部1101は、無線または有線の通信手段等や、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
薬物情報受付部1102は、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報を受け付ける。薬物情報とは、例えば、薬物を識別する情報、薬物の溶解度、溶解速度定数、膜透過係数などである。薬物情報受付部1102は、薬物を識別する情報だけを受け付けても良いし、薬物の溶解度、溶解速度定数、膜透過係数などを受け付けても良い。薬物情報の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。薬物情報受付部1102は、予め保持している薬物情報を読み出す処理を行っても良い。かかる場合、読み出しは、受け付けに該当する。薬物情報受付部1102は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。また、薬物情報受付部1102における受け付けは、制御装置13からの受信であっても良い。
生体情報取得指示部1103は、生体情報を取得することを指示する生体情報取得指示を制御装置13に送信する。生体情報とは、生体の情報に関する情報であり、例えば、細胞のイオン(例えば、Naイオン、Kaイオンなど)の移動を示す情報、水の移動を示す情報、膜電位、pH、細胞容積などの値である。水の移動を示す情報とは、例えば、水の吸収速度である。生体情報取得指示は、例えば、生体情報を取得するためのメッセージの送信である。生体情報取得指示の構造は問わない。生体情報取得指示部1103は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
生体情報受付部1104は、生体の情報に関する生体情報を受け付ける。なお、生体情報受付部1104は、通常、薬物の吸収シミュレーションの開始前および薬物の吸収シミュレーションを行っている間に、生体の情報に関する生体情報を受け付ける。ただし、生体情報受付部1104は、薬物の吸収シミュレーションの開始前に一度だけ生体情報を受け付けても良いし、薬物の吸収シミュレーションを行っている間のみ、1回以上、生体情報を受け付けても良い。薬物の吸収シミュレーションの開始前の生体情報の受付は、記録媒体からの読み出しや、プログラム中に生体情報が埋め込まれている場合のプログラムによる生体情報の読み出しでも良い。つまり、生体情報受付部1104における生体情報の受け付け方法が変化しても良い。薬物の吸収シミュレーションの開始前に生体情報を受け付けない場合は、シミュレーション装置11は、例えば、予め保持している初期状態の生体情報に基づいて薬物の吸収シミュレーションを行うこととなる。薬物の吸収シミュレーションの開始前に生体情報を受け付ける場合は、シミュレーション対象の個体の差、個体の状態の差を考慮した薬物の吸収シミュレーションが可能となる。薬物の吸収シミュレーションを行っている間に生体情報を受け付ける場合は、動的な生体情報の変化に応じた薬物の吸収シミュレーションが可能となる。生体情報受付部1104における生体情報の受付とは、例えば、制御装置13からの生体情報の受信である。また、生体情報受付部1104における生体情報の受付とは、例えば、記録媒体からの生体情報の読み出しであっても良いし、ユーザによる生体情報の手入力であっても良いし、制御装置13以外の他の外部装置からの生体情報の受信等であっても良い。生体情報受付部1104は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
演算式格納部1105は、薬物情報と生体情報をパラメータとして、当該薬物の吸収や排泄等に関する情報である薬物動態情報を出力する演算式である薬物動態情報出力演算式を格納している。薬物動態情報は、例えば、少なくとも薬物を吸収または排泄する部位を示す部位情報と、薬物の状態を示す状態情報を有する。薬物動態情報は、例えば、薬物の吸収速度、薬物の代謝速度、薬物の尿中排泄速度、初回通過代謝速度、薬物の血中濃度、薬物の累積吸収量、薬物の累積腎排泄量、薬物の累積代謝物量等を含む。薬物動態情報出力演算式の例は、後述する。部位情報は、例えば、「胃」「十二指腸」「空腸」「回腸」「大腸」などである。状態情報は、例えば、薬物の溶解状態、解離状態や、薬物の吸収、代謝、排泄の各速度や、排泄量、代謝物量、吸収量などである。演算式格納部1105は、不揮発性の記録媒体(ハードディスクや書き換え不可の光ディスク等を含む)が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
演算実行部1106は、薬物情報受付部1102が受け付けた薬物情報と、生体情報受付部1104が受け付けた生体情報を有するパラメータを、演算式格納部1105の薬物動態情報出力演算式に渡し、薬物動態情報出力演算式を実行する。演算実行部1106は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。演算実行部1106の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
出力部1107は、演算実行部1106の実行結果に基づく情報である薬物動態情報を出力する。ここでの出力は、通常、制御装置13への送信である。ただし、シミュレーション装置11が単独で動作する場合などは、出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの印字、音出力、外部の装置への送信等を含む。出力部1107は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。また、出力部1107は、例えば、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
第二指示受付部1201は、制御装置13から生体情報の送信の指示を受け付ける。第二指示受付部1201は、通常、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
機能要素情報格納部1202は、生物を構成する要素である分子、細胞内小器官、細胞、組織、もしくは臓器の機能を識別する機能要素識別子と当該機能をシミュレーションするシミュレーション実現プログラムを有する機能要素情報を1以上格納している。機能要素情報は、機能要素識別子と、シミュレーション実現プログラムを識別するプログラム識別子と、シミュレーション実現プログラムを有していても良い。また、機能要素情報は、機能要素識別子と2以上のシミュレーション実現プログラムを有していても良い。機能要素識別子は、上記機能を識別する情報であれば何でも良い。シミュレーション実現プログラムの記述言語や、形式は問わない。つまり、シミュレーション実現プログラムは、実行形式であっても良いし、ライブラリ形式であっても良いし、プログラムの関数であっても良い。また、1以上のシミュレーション実現プログラムの中には、シミュレーション結果を出力する処理も行うプログラムがある。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタへの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積等を含む概念である。機能要素情報格納部1202は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
静的構造管理部1203は、細胞内小器官、細胞、組織、臓器である生物構成要素または個体を識別する構成要素識別子と当該構成要素識別子で識別される生物構成要素の機能を実現するに必要な1以上の機能要素識別子との対応を保持している。静的構造管理部1203は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
パラメータ管理部1204は、構成要素識別子と当該構成要素識別子で識別される生物の構成要素の機能を実現するに必要な1以上のパラメータを有するパラメータ情報を保持している。パラメータ管理部1204は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
シミュレーション命令受付部1205は、シミュレーション対象の生体構成要素または個体を識別する構成要素識別子を有するシミュレーション命令を受け付ける。シミュレーション命令の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。シミュレーション命令受付部1205は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
機能要素識別子取得部1206は、シミュレーション命令受付部1205が受け付けたシミュレーション命令が有する構成要素識別子と対応付けられる1以上の機能要素識別子を静的構造管理部1203から取得する。機能要素識別子取得部1206は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。機能要素識別子取得部1206が1以上の機能要素識別子を取得するための処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
パラメータ取得部1207は、シミュレーション命令受付部1205が受け付けたシミュレーション命令が有する構成要素識別子に対応する1以上のパラメータをパラメータ管理部1204から取得する。パラメータ取得部1207は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。パラメータ取得部1207が1以上のパラメータを取得するための処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
実行部1208は、パラメータ取得部1207が取得したパラメータの一部または全部を、機能要素識別子取得部1206が取得した機能要素識別子と対になるシミュレーション実現プログラムに渡し、当該シミュレーション実現プログラムを実行する。機能要素識別子取得部1206が取得した機能要素識別子と対になるシミュレーション実現プログラムは、機能要素情報格納部1202における管理情報から決定され得る。実行部1208は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。実行部1208の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
生体情報送信部1209は、実行部1208におけるシミュレーションの実行により取得した生体情報を制御装置13に送信する。生体情報送信部1209は、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
細胞機能管理手段12031は、生物の細胞または組織を識別する細胞識別子と機能識別子の対応を管理している。
臓器細胞管理手段12032は、臓器または器官を識別する臓器識別子と細胞識別子の対応を管理している。細胞機能管理手段12031および臓器細胞管理手段12032は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
指示部1301は、シミュレーション装置11に対して、シミュレーションの開始指示を送付し、かつ細胞シミュレーション装置12に対して、生体情報の送付を指示する。指示部1301は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
生体情報取得指示受付部1302は、シミュレーション装置11から生体情報の取得の指示を受け付ける。受け付けとは、例えば、受信である。生体情報取得指示受付部1302は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
生体情報取得部1303は、生体情報の送付の指示に応じて、細胞シミュレーション装置12から生体情報を取得する。生体情報取得部1303は、例えば、生体情報を受信する。生体情報取得部1303は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
生体情報付与部1304は、生体情報取得部1303が取得した生体情報をシミュレーション装置11に送付する。送付とは、例えば、送信である。ただし、送付とは、シミュレーション装置11に生体情報を与える動作であれば良い。生体情報付与部1304は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
実行結果取得部1305は、シミュレーション装置11からシミュレーションの実行結果である薬物動態情報を取得する。取得とは、例えば、受信である。実行結果取得部1305は、例えば、無線または有線の通信手段等で実現され得る。
実行結果表示部1306は、実行結果取得部1305が取得した薬物の薬物動態情報を表示する。実行結果表示部1306が薬物動態情報を表示する態様は問わない。実行結果表示部1306は、薬物動態情報をグラフで表示しても良いし、数字列と文字列等で表示しても良いし、動画(アニメーションなど)を用いて表示しても良い。実行結果表示部1306は、ディスプレイを含むと考えても含まないと考えても良い。実行結果表示部1306は、ディスプレイのドライバーソフトまたは、ディスプレイのドライバーソフトとディスプレイ等で実現され得る。
以下、本情報処理システムの動作について説明する。まず、シミュレーション装置11の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS201)指示受付部1101は、薬物の吸収または/および排泄のシミュレーションを開始する指示である開始指示を受け付けたか否かを判断する。開始指示を受け付ければステップS202に行き、開始指示を受け付けなければステップS201に戻る。
(ステップS202)薬物情報受付部1102は、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報を受け付けたか否かを判断する。薬物情報を受け付ければステップS203に行き、薬物情報を受け付けなければステップS202に戻る。
(ステップS203)生体情報受付部1104は、生体の情報に関する生体情報を受け付けたか否かを判断する。生体情報を受け付ければステップS204に行き、生体情報を受け付けなければステップS203に戻る。
(ステップS204)演算実行部1106は、演算式格納部1105から薬物動態情報出力演算式を読み出す。
(ステップS205)演算実行部1106は、ステップS202で受け付けた薬物情報と、ステップS203で受け付けた生体情報をパラメータとして、ステップS204で取得した薬物動態情報出力演算式を実行する。
(ステップS206)出力部1107は、演算実行部1106の実行結果の情報である薬物動態情報を出力する。
(ステップS207)生体情報取得指示部1103は、生体情報を取得することを指示する生体情報取得指示を制御装置13に送信する。なお、シミュレーション装置11は、生体情報取得指示を制御装置13に送信せずに、制御装置13から生体情報を取得しても良い。かかる場合、細胞シミュレーション装置12が自発的に生体情報を制御装置13に送信する、または制御装置13が自発的に生体情報を細胞シミュレーション装置12から取得する等の動作となる。また、制御装置13から生体情報を取得するタイミングは、定期的であることが望ましいが、定期的であることは必須ではない。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、細胞シミュレーション装置12の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS301)シミュレーション命令受付部1205は、構成要素識別子(ここでは、例えば、臓器識別子)を有するシミュレーション命令を受け付けたか否かを判断する。シミュレーション命令を受け付ければステップS302に行き、シミュレーション命令を受け付けなければステップS314に行く。なお、ここでは、シミュレーション命令は、制御装置13から受け付けるシミュレーションの開始指示である。
(ステップS302)シミュレーション命令が有する臓器識別子を取得する。
(ステップS303)機能要素識別子取得部1206は、ステップS302で取得した臓器識別子に対応する1以上の細胞識別子を取得する。
(ステップS304)カウンタiに1を代入する。
(ステップS305)実行部1208は、ステップS303で取得した細胞識別子において、i番目の細胞識別子が存在するか否かを判断する。i番目の細胞識別子が存在すればステップS306に行き、i番目の細胞識別子が存在しなければ処理を終了する。なお、図3のフローチャートが終了した場合でも、シミュレーション実現プログラムによるシミュレーション結果の出力は継続しても良いことは言うまでもない。
(ステップS306)機能要素識別子取得部1206は、i番目の細胞識別子に対応する1以上の機能要素識別子を取得する。
(ステップS307)カウンタjに1を代入する。
(ステップS308)実行部1208は、ステップS306で取得した機能要素識別子において、j番目の機能要素識別子が存在するか否かを判断する。j番目の機能要素識別子が存在すればステップS309に行き、j番目の機能要素識別子が存在しなければステップS313に飛ぶ。
(ステップS309)実行部1208は、j番目の機能要素識別子に対応するシミュレーション実現プログラムを機能要素情報格納部1202から読み出す。
(ステップS310)パラメータ取得部1207は、シミュレーション命令受付部1205が受け付けたシミュレーション命令が有する臓器識別子に対応する1以上のパラメータを、パラメータ管理部1204から取得する。
(ステップS311)実行部1208は、ステップS310で取得した1以上のパラメータを、ステップS309で取得したシミュレーション実現プログラムに渡し、当該シミュレーション実現プログラムを実行する。
(ステップS312)カウンタjを1インクリメントする。ステップS308に戻る。
(ステップS313)カウンタiを1インクリメントする。ステップS305に戻る。
(ステップS314)第二指示受付部1201は、制御装置13から生体情報の送信の指示を受け付けたか否かを判断する。生体情報の送信の指示を受け付ければステップS315に行き、生体情報の送信の指示を受け付けなければステップS301に戻る。
(ステップS315)生体情報送信部1209は、実行部1208におけるシミュレーションの実行により得られた生体情報のうちから、薬物の吸収または/および排泄のシミュレーションに必要な生体情報を取得する。なお、例えば、生体情報の送信の指示の中に、薬物の吸収または/および排泄のシミュレーションに必要な生体情報を示す情報が含まれている。
(ステップS316)生体情報送信部1209は、ステップS315で取得した生体情報を制御装置13に送信する。ステップS301に戻る。
なお、図3のフローチャートにおいて、実行されるシミュレーション実現プログラムが2以上の場合、実行される順序が決まっていても良いし、任意でも良い。また、シミュレーション実現プログラムは、例えば、制御装置13からの指示だけではなく、時間の経過に伴って、定期的にまたは適切なタイミングでシミュレーション結果を出力しても良い。
さらに、本実施の形態における情報処理システムにおいて利用する細胞シミュレーション装置12の機能は、細胞、主として上皮細胞のシミュレーション機能である。上皮細胞のシミュレーション機能については、例えば、上記の非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4で記載されている演算式(モデル)を実行することにより行なわれる。
非特許文献2においては、膜電位、イオンの流れ、水の流れ、細胞容積の算出が可能な演算式が開示されている。非特許文献3においては、イオンの輸送に関与するトランスポータの算出が可能な演算式が開示されている。非特許文献4においては、グルコーストランスポータの改良についての技術が開示されている。例えば、本細胞シミュレーション装置12における必要な演算、動作は、かかる3つの非特許文献から実現できる。したがって、細胞のシミュレーションに関する詳細な説明は省略する。
次に、制御装置13の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS401)指示部1301は、シミュレーション装置11および細胞シミュレーション装置12に対して、シミュレーションの開始指示を送付する。なお、通常、シミュレーション装置11および細胞シミュレーション装置12のシミュレーションの同期を取るが、同期をとらずに両者が動作しても良い場合もある。
(ステップS402)生体情報取得指示受付部1302は、シミュレーション装置11から生体情報の取得の指示を受け付けたか否かを判断する。生体情報の取得の指示を受け付ければステップS403に行き、生体情報の取得の指示を受け付けなければステップS406に飛ぶ。
(ステップS403)生体情報取得部1303は、ステップS402における生体情報の取得指示に応じて、細胞シミュレーション装置12に生体情報を送付する指示を行なう。
(ステップS404)生体情報取得部1303は、ステップS403における生体情報の送付の指示に応じて、細胞シミュレーション装置12から生体情報を取得する。
(ステップS405)生体情報付与部1304は、ステップS404で取得した生体情報をシミュレーション装置11に送付する。ステップS402に戻る。
(ステップS406)実行結果取得部1305は、シミュレーション装置11からシミュレーションの実行結果である薬物動態情報を取得したか否かを判断する。薬物動態情報を取得すればステップS407に行き、薬物動態情報を取得しなければステップS402に戻る。
(ステップS407)実行結果表示部1306は、ステップS406で取得した薬物の薬物動態情報を表示する。ステップS402に戻る。
なお、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
また、上記のブロック図やフローチャートにおいて、生体情報は、制御装置13を経由して、細胞シミュレーション装置12からシミュレーション装置11に通知された。しかし、細胞シミュレーション装置12からシミュレーション装置11に、直接に生体情報を通知しても良い。
以下、本実施の形態における情報処理システムの具体的な動作について説明する。情報処理システムの動作の概念について図5を用いて説明する。本情報処理システムの細胞シミュレーション装置12は、特に、消化管上皮細胞のシミュレーションを行う消化管上皮細胞シミュレーション装置である。
まず、細胞シミュレーション装置12は、外部から、病態変化や先天異常などの機能異常の情報を受け付ける。そして、トランスポータの駆動、イオンチャネルの開閉、浸透圧変化、静水圧変化、電位の変化、水・イオンの移動などの生体情報の変化を算出し、取得する。細胞シミュレーション装置12が受け付ける病態変化等の情報の例として、ウィルス感染によるSGLT1活性低下に関する情報がある。細胞シミュレーション装置12が、かかるウィルス感染によるSGLT1活性低下に関する情報を受け付けた場合、主な生体情報の変化は、下痢であり、かつ水の吸収速度の低下である。水の吸収速度の低下は、つまり、細胞内のNa濃度の低下である。
次に、細胞シミュレーション装置12から制御装置13に変数の値が受け渡される。変数の値は、pH、膜電位、水の吸収速度、細胞容積等である。かかるpH、膜電位、水の吸収速度、細胞容積等の変数の値も、上述の生体情報である。さらに、制御装置13からシミュレーション装置11に、変数の値が渡される。
そして、シミュレーション装置11の生体情報受付部1104は、pH、膜電位、水の吸収速度、細胞容積等の生体情報を受け付ける。そして、演算実行部1106は、格納している薬物動態情報出力演算式を読み出す。そして、受け付けた生体情報と、予め保持している薬物情報を読み出した薬物動態情報出力演算式に与え、当該薬物動態情報出力演算式を実行する。薬物動態情報出力演算式の実行により、消化管内の薬物の移動や、薬物の溶解や、薬物のpH変化による解離や、経細胞透過による薬物の吸収や、細胞間隙透過による薬物の吸収や、薬物の肝代謝や、薬物の腎排泄や、P糖タンパクによる薬物の輸送や、初回通過代謝(肝、小腸などによる)についての情報が取得される。かかる場合、薬物情報は、溶解度、溶解速度定数、膜透過係数、酸解離定数(pKa)、In Vitro 肝代謝速度、血漿タンパク結合率、動物データから予想されるヒトでの腎クリアランス、分布容積値、P糖タンパクに対するミカエリス−メンテン定数(Km)、最大輸送速度(Vmax)などがある。
そして、シミュレーション装置11の出力部1107は、薬物動態情報出力演算式の実行結果に基づく情報を出力する。この実行結果に基づく情報は、薬物動態情報である。薬物動態情報の例として、薬物の吸収速度、薬物の代謝速度、薬物の尿中排泄速度、薬物の初回通過代謝速度、薬物の血中濃度、薬物の累積吸収量、薬物の累積腎排泄量、薬物の累積代謝量等がある。
また、上記では、詳細に述べなかったが、細胞シミュレーション装置12は、出力する変数の値が平衡状態に達した場合は、シミュレーション(計算)を停止し、最後に得られた値を保持している。一方、シミュレーション装置11は、細胞シミュレーション装置12の動作の状態(動作中または停止中など)に関わらず、細胞シミュレーション装置12から生体情報を取得しながら、薬物動態情報の算出を続ける。なお、薬物動態情報出力演算式の実行結果と出力される薬物動態情報は、同一でも良いし、異なるものでも良い。
次に、以下に、具体的なシミュレーション、およびその結果について、2つの具体例を用いて、さらに説明する。
[具体例1]
細胞シミュレーション装置12において、例えば、ウィルス感染によるSGLT1活性が低下する旨の情報と、シミュレーション対象の臓器識別子または細胞識別子を受け付ける。そして、細胞シミュレーション装置12は、臓器識別子で識別される臓器に含まれる細胞識別子、または受け付けた細胞識別子に対応するシミュレーション実現プログラムを読み出す。そして、細胞シミュレーション装置12は、当該プログラムを実現する。すると、SGLT1活性が低下するので、細胞シミュレーション装置12は、NaとGlucoseの細胞内への流入が抑制されるような情報を算出する。
次に、細胞シミュレーション装置12は、NaとGlucoseの細胞内の濃度に対する消化管腔内の濃度の差がSGLT1活性の低下により大きくなるシミュレーション結果を算出する。これは、正常時に比べて、管腔内と細胞内との浸透圧差が大きい状態が得られたこととなる。また、これは、浸透圧差による水の流れ(浸透圧の低いところから高いところへ)が小さくなり、管腔内に水が溜まることを意味する。管腔内に水が溜まることは、下痢の要因にもなる。さらに、細胞シミュレーション装置12は、管腔内からの水の流入速度を算出する。ここでの流入とは、細胞内への流入と細胞間隙への流入をいう。細胞シミュレーション装置12は、NaとGlucoseの管腔内の濃度が高くなった状況において、細胞内への流入速度と細胞間隙への流入速度のいずれもが低下する、というシミュレーション結果を算出する。かかる細胞内への水の流入と細胞間隙への水の流入の概念図を図6に示す。
次に、シミュレーション装置11の指示受付部1101は、シミュレーションの開始指示を制御装置13から受け付ける。そして、薬物情報受付部1102は、格納している薬物の溶解度(ここでは、5.0)や溶解速度定数などの薬物情報を読み出す。
次に、シミュレーション装置11の生体情報受付部1104は、細胞シミュレーション装置12から制御装置13を経由して、細胞内への水の流入速度と細胞間隙への水の流入速度の情報、膜電位などの生体情報を取得する。
そして、シミュレーション装置11の演算実行部1106は、図7に示す薬物動態情報出力演算式を演算式格納部1105から読み出し、実行していく。薬物動態情報出力演算式は、例えば、微分方程式である。図7におけるnは図19におけるコンパートメント群の左からn番目を意味し、上段、中段、下段の各コンパートメントは各々Mn, Sn, Enの薬物量の値を持っている。また、コンパートメント間の矢印は各々、図7及び図8で計算される薬物の移動速度の値を持つ。まず、シミュレーション装置11は、図7(a)の薬物動態情報出力演算式を実行する。そして、シミュレーション装置11は、固体薬物量の時間変化の情報を得る。さらに具体的には、演算実行部1106は、「dM=(K・Mn−1−K・M−dissolution)×dt」を、dtを所定間隔(例えば、0.1秒)で計算し、dtごとのn番目コンパートメントにおける固体薬物量(Mn)を算出する。図7(a)の薬物動態情報出力演算式において、「dM」は、固体薬物量(Mn)の増加量である。Kは、管腔内容物の移動速度定数であり、演算式格納部1105(記録媒体)に予め格納されている定数である。「dissolution」は、拡散によって溶出される速度であり、図8の式により算出され得る。演算実行部1106は、演算式格納部1105から演算式とともに、定数(Kなど)も読み出し、演算式を実行することは言うまでもない。なお、演算実行部1106が微分方程式を実行する場合に、dtを所定間隔(例えば、0.1秒)で演算することは、他の微分方程式の実行においても同様であり、コンピュータにおける公知の技術・処理であるので、詳細な説明は省略する。図7(a)より、演算実行部1106は、固体薬物量(Mn)を算出する際に、管腔内容物の移動速度定数と溶解速度をパラメータとする関数を実行して算出する。また、演算実行部1106は、管腔内容物の移動速度定数をパラメータとする増加関数であり、溶解速度をパラメータとする減少関数の実行により固体薬物量(Mn)を算出する。つまり、演算実行部1106が固体薬物量(Mn)を算出する演算式は、図7(a)に限られない。
次に、シミュレーション装置11の演算実行部1106は、演算式格納部1105から図7(b)の薬物動態情報出力演算式を読み出し、実行する。そして、シミュレーション装置11は、溶解している薬物量の時間変化の情報を得る。図7(b)の薬物動態情報出力演算式において、算出する「S」はn番目の消化管コンパートメントにおける液体の薬物量、「V」は水の容積であり、図7(b)の3つ目の微分方程式の実行により得られる。「C」は、n番目の消化管腔コンパートメント中の薬物濃度であり、図7(b)の2つ目の微分方程式の実行により得られる。flux(para)は、電気化学ポテンシャル勾配に基づく拡散と容積流輸送の両者ないしいずれかによって薬物が管腔側から細胞隙に輸送される速度であり、図8に示す演算式の実行により算出される。また、flux(trans)は、電気化学ポテンシャル勾配に基づく拡散と能動的輸送の両者あるいはいずれかによって薬物が管腔側から細胞内に輸送される速度であり、図8に示す演算式の実行により算出される。P−gpは、P糖タンパク質による薬物戻り速度であり、例えば予め演算式格納部1105に格納されている定数K,Vmaxによって計算される。演算実行部1106は、図7(b)の薬物動態情報出力演算式を実行する際に、P-gpを演算式格納部1105から読み出して、当該薬物動態情報出力演算式に与える。waterfluxは、水の吸収速度(細胞内、細胞膜)であり、細胞シミュレータ装置12が生成し、制御装置13経由で送付され、予め演算式格納部1105に格納されている変数の値である。演算実行部1106は、図7(b)の薬物動態情報出力演算式を実行する際に、waterfluxを演算式格納部1105から読み出して、当該薬物動態情報出力演算式に与える。図7(b)より、演算実行部1106は、水の容積、溶解速度、薬物の細胞隙ルート速度(flux(para))、薬物の細胞内ルート速度(flux(trans))、P糖タンパク質による薬物戻り速度(P−gp)、水の吸収速度(細胞内、細胞膜)(waterflux)をパラメータとする関数により、液体薬物量及び薬物濃度を算出する。演算実行部1106は、溶解速度と、P糖タンパク質による薬物戻り速度(P−gp)をパラメータとする増加関数であり、薬物の細胞隙ルート速度(flux(para))、薬物の細胞内ルート速度(flux(trans))をパラメータとする減少関数により、液体薬物量(Sn)及び薬物濃度(Cn)を算出する。つまり、演算実行部1106が液体薬物量(Sn)及び薬物濃度(Cn)を算出する演算式は、図7(b)に限られない。
次に、シミュレーション装置11の演算実行部1106は、演算式格納部1105から図7(c)の薬物動態情報出力演算式を読み出し、実行する。そして、シミュレーション装置11は、上皮細胞内の薬物量の時間変化の情報を得る。図7(c)の薬物動態情報出力演算式において、算出する「E」は、上皮細胞内の薬物量である。absorptionは上皮細胞からの吸収速度であり、図8の「absorption」と同じであり、「absorption」の演算式により算出される。metabolismは、消化管における代謝速度であり、図8の「metabolic_rate」と同じであり、図8の「metabolic_rate」の演算式により算出される。また、「Ce」は、n番目の上皮細胞コンパートメントの細胞内薬物濃度、「Ve」は細胞容積である。図7(c)より、演算実行部1106は、薬物の細胞内ルート速度(flux(trans))、上皮細胞からの吸収速度、消化管における代謝速度、P糖タンパク質による薬物戻り速度(P−gp)を計算する関数の実行により、上皮細胞内の薬物量を算出する。演算実行部1106は、薬物の細胞内ルート速度(flux(trans))をパラメータとする増加関数であり、上皮細胞からの吸収速度、消化管における代謝速度、P糖タンパク質による薬物戻り速度(P−gp)をパラメータとする減少関数の実行により、上皮細胞内の薬物量(En)を算出する。つまり、演算実行部1106が上皮細胞内の薬物量(En)を算出する演算式は、図7(c)に限られない。
次に、シミュレーション装置11の演算実行部1106は、演算式格納部1105から図7(d)の薬物動態情報出力演算式を実行する。そして、シミュレーション装置11は、血漿中の薬物量の時間変化の情報を得る。図7(d)の薬物動態情報出力演算式において、算出する「Cplasma」は、血漿中薬物濃度である。また、Fは、肝アベイラビリティー(肝初回通過後に代謝されなかった薬物の割合)であり、薬物のin vitro実験から得られる代謝速度からdisparsion model式などによって算出される。一方、肝初回通過によって薬物が代謝される速度はabsorption_rate・(1−Fh)で表され、時間に対して積分して累積肝初回通過代謝量が計算される。CLhは肝クリアランス、CLrは腎クリアランス、Vdは分布容積(薬物)であり、それぞれ予め演算式格納部1105に格納されている定数である。肝代謝速度、尿中排泄速度はそれぞれCLh・Cplasma, CLr・Cplasmaで表され、時間に対して積分して累積肝代謝量、累積尿中排泄量が計算される。演算実行部1106は、図7(d)の薬物動態情報出力演算式を実行する際に、各定数を演算式格納部1105から読み出して、当該薬物動態情報出力演算式に与える。図7(d)より、演算実行部1106は、肝アベイラビリティー(F)、上皮細胞内から血液への吸収速度(absorption)、薬物の細胞隙ルート速度(flux(para))、肝クリアランス(CLh)による薬物消失速度、腎クリアランス(CLr)による尿中排泄速度、分布容積(Vd)をパラメータとする関数の実行により、血漿中薬物濃度(Cplasma)を算出する。演算実行部1106は、肝アベイラビリティー(F)、上皮細胞内から血液への吸収速度(absorption)、薬物の細胞隙ルート速度(flux(para))からなる増加関数と、肝クリアランス(CLh)による薬物消失速度、腎クリアランス(CLr)による尿中排泄速度からなる減少関数の実行により体内薬物量を算出し、さらに分布容積(Vd)で除して血漿中薬物濃度(Cplasma)を算出する。つまり、演算実行部1106が血漿中薬物濃度(Cplasma)を算出する演算式は、図7(d)に限られない。
なお、図7中の変数(二重線の値)を求める演算式を図8に示す。図8において、矩形で囲まれている式が、今回のシミュレーション結果に変化を及ぼすための重要な式である。
また、図7において下線の変数(waterflux、Ve)は、細胞シミュレーション装置12から、制御装置13経由で、シミュレーション装置11に、その値が与えられる変数である。
図8において、dissolutionは、拡散によって溶出される速度である。flux(para)は、電気化学ポテンシャル勾配に基づく拡散と容積流輸送の両者ないしいずれかによって薬物が輸送される速度である。flux(trans)は、電気化学ポテンシャル勾配に基づく拡散と能動的輸送の両者あるいはいずれかによって薬物が輸送される速度である。absorption_rateは、上皮細胞及び細胞隙からの吸収速度である。metabolic_rateは、酵素反応理論によって表される代謝速度である。 Pは、paracellular routeの膜透過性であり、pKaは酸・塩基解離定数である。また、図8において、pKaを含むすべての計算式は塩基性薬物の場合を示しており、酸性薬物の場合には図8下段にあるHenderson−Hasselbachの式に基づいて(pKa−pH)の項が(pH−pKa)となる。
そして、細胞シミュレーション装置12は、シミュレーション装置11の薬物吸収または/排泄等のシミュレーション中に、図9、図10に示す変化する生体情報を制御装置13経由で、シミュレーション装置11に送る。なお、図9、図10における生体情報の変化は、シミュレーション装置11の薬物シミュレーションが開始されてから60分経過した後からの生体情報の変化である。つまり、図9において、横軸(時間)の「0」は、薬物シミュレーションが開始されてから60分経過した時である。
図9において、(a)は、生体情報の一つであるpH値の変化を示すグラフであり、縦軸にpH、横軸にSGLT1活性が低下し始める60分後からの時間(min)を示している。同様に、図9(b)は、SGLT1活性(μmolGlc/sec)の時間推移(60−120min)を示すグラフであり、図9(c)は、管腔側細胞表面と細胞間隙空間との電位差つまり、膜電位(mV)の時間推移(60−120min)を示すグラフである。図10は、水の流量速度の変化を示すグラフであり、横軸にSGLT1活性が低下し始める60分後からの時間(min)、縦軸に水の流量速度(ml/sec)を表している。図10の上部の線は、細胞内ルートと細胞隙ルートの双方の水の流量速度の変化を示すグラフである。図10の下部の線は、細胞隙ルートの水の流量速度の変化を示すグラフである。
シミュレーション装置11は、図9、図10に示す生体情報を随時(定期的または不定期に)、細胞シミュレーション装置12から制御装置13経由で受け取る。ただし、生体情報の変化があった場合のみ、シミュレーション装置11が生体情報を受け取る構成でも良い。
そして、シミュレーション装置11は、図11(b)に示す薬物の移動速度の変化を出力する。図11(a)及び(b)の横軸は薬物服用後の経過時間(min)、縦軸は薬物の移動速度(μg/min)である。なお、ここでは、図11(b)の表示は、制御装置13が行なう。制御装置13は、図11(b)のグラフ表示に必要な薬物動態情報をシミュレーション装置11から取得することは言うまでもない。また、図11(b)のグラフは、ウィルス感染時の薬物の移動速度の変化である。正常時の薬物の移動速度の変化は、図11(a)に示すグラフになる。細胞シミュレーション装置12において、ウィルス感染によるSGLT1活性が低下する旨の情報を受け付けない場合(正常な場合)、シミュレーション装置11は、図11(a)に示すグラフを構成する薬物動態情報を出力し、制御装置13は図11(a)に示すグラフを表示する。なお、図11の(1)、(3)のグラフは、薬物の吸収速度を示す。図11の(2)、(4)のグラフは、薬物の尿中排泄速度を示す。
また、シミュレーション装置11は、図12(b)に示す薬物量の変化を出力する。図12(a)及び(b)の横軸は薬物服用後の経過時間(min)、縦軸は薬物量(μg)である。なお、ここでは、図12(b)の表示は、制御装置13が行なう。制御装置13は、図12(b)のグラフ表示に必要な薬物動態情報をシミュレーション装置11から取得することは言うまでもない。また、図12(b)のグラフは、ウィルス感染時の薬物量の変化である。正常時の薬物量の変化は、図12(a)に示すグラフになる。細胞シミュレーション装置12において、ウィルス感染によるSGLT1活性が低下する旨の情報を受け付けない場合(正常な場合)、シミュレーション装置11は、図12(a)に示すグラフを構成する薬物動態情報を出力し、制御装置13は図12(a)に示すグラフを表示する。なお、図12の(1)(5)のグラフは循環血液中の薬物量、(2)(6)は累積尿中排泄量、(3)(7)は循環血中薬物の累積肝代謝量、(4)(8)は累積初回通過代謝量を示す。
また、図12(b)は、以下のことを示す。つまり、ウィルス感染時において、管腔内からの細胞間隙への水の流入によって容積流輸送される薬物量が低下する。加えて、管腔内に水が溜まるので、薬物拡散の駆動力である管腔内の薬物濃度が低下して、細胞内および細胞間隙へ拡散する薬物量も低下する。以上の理由から、薬物の流入速度(吸収速度)が低下し、吸収量も低下する。なお、図6の細胞内ルートにおける薬物の移動速度は、主に濃度勾配に依存する。一方、細胞隙ルートにおける薬物の移動速度は、水の流れる速度(以下の数式1のWaterflux)に大きくに依存する。細胞間隙ルートは、解離している状態および解離していない状態のいずれの薬物分子も通るが、腸管pH領域で解離しやすい薬物では,細胞内ルートを透過できない解離型の割合が多く,相対的に細胞間隙ルートを通過する寄与が高く,水の流入速度の影響を受けやすい。また、管腔−細胞内間の濃度勾配(管腔>細胞内)が小さくなり、吸収速度が低下する。この際、薬物の溶解度が低い場合よりも、溶解度が高い場合に影響が大きく出ると考えられる。
なお、数式1における右辺の第1項は、コンスタントフィールドセオリーに基づく薬物の流入速度である。また、前記数式における右辺の第2項は、消化管腔と細胞間隙の薬物濃度差に基づく薬物の流入速度である。さらに、前記数式における右辺の第3項は、水の流れに伴って流入する薬物の流入速度である。
また、図9、図10、図11における、正常時と比較した感染時の変化は、数式1の第3項における演算結果の変化によるところが大きい。
[具体例2]
具体例2は、具定例1における実験環境と比較して、唾液の分泌によって管腔内に一定速度で水を与えるように設定したシミュレーションシステムにおけるシミュレーション結果を出力するものである。
この設定は、図7(a)式におけるn=1の時の数式を数式2の様に与えることで行われる。数式2において、「salivary flow」は唾液分泌速度である。演算実行部1106は、演算式格納部1105に格納されている「salivary flow」の値を読み出して、演算式を実行する。
具体例2において、具体例1における場合と同様に、細胞シミュレーション装置12において、例えば、ウィルス感染によるSGLT1活性が低下した場合(SGLT1活性が薬物服用後10分から40分の30分間に100%から10%に低下した場合)の情報と、シミュレーション対象の臓器識別子または細胞識別子を受け付ける。そして、細胞シミュレーション装置12は、臓器識別子で識別される臓器に含まれる細胞識別子、または受け付けた細胞識別子に対応するシミュレーション実現プログラムを読み出す。そして、細胞シミュレーション装置12は、当該プログラムを実現する。すると、SGLT1活性が低下するので、細胞シミュレーション装置12は、NaとGlucoseの細胞内への流入が抑制されるような情報を算出する。
なお、具体例2においては、具体例1における場合と比較して、Kt,Pp及び溶解度の値を増やし、pKa及び腎クリアランスの値を低下させている。
さらに具体的には、細胞シミュレーション装置12は、図13に示す生体情報の一つであるpH値の時間推移(縦軸はpH、横軸は薬物服用後の経過時間(min))を示すグラフの値を生成し、制御装置13経由でシミュレーション装置11に送付する。また、細胞シミュレーション装置12は、図14に示すSGLT1活性の時間推移(縦軸はSGLT1輸送活性(μmolGlc/sec)、横軸は薬物服用後の経過時間(min))を示すグラフの値を生成し、制御装置13経由でシミュレーション装置11に送付する。また、細胞シミュレーション装置12は、図15に示す管腔側細胞表面と細胞間隙空間との電位差の時間推移(縦軸は電位(mV)、横軸は薬物服用後の経過時間(min))を示すグラフの値を生成し、制御装置13経由でシミュレーション装置11に送付する。また、細胞シミュレーション装置12は、図16の(1)に示す細胞内ルートと細胞隙ルートの双方の水の流量速度の時間推移を示すグラフの値を生成し、制御装置13経由でシミュレーション装置11に送付する。図16の縦軸は水の流量速度(ml/sec)、横軸は薬物服用後の経過時間(min)である。さらに、細胞シミュレーション装置12は、図16の(2)に示す細胞隙ルートの水の流量速度の時間推移を示すグラフの値を生成し、制御装置13経由でシミュレーション装置11に送付する。
つまり、シミュレーション装置11は、図13から図16に示す生体情報を随時(定期的または不定期に)、細胞シミュレーション装置12から制御装置13経由で受け取る。なお、シミュレーション装置11は、生体情報の変化があった場合のみ、シミュレーション装置11が生体情報を受け取る構成でも良い。
そして、シミュレーション装置11は、図17(a1)に示す薬物の移動速度の時間推移を示すグラフを出力する。図17の縦軸は薬物の移動速度(μg/min)、横軸は薬物服用後の経過時間(min)である。また、シミュレーション装置11は、図17(b1)に示す薬物の尿中排泄速度の時間推移を示すグラフを出力する。
なお、図17(a1)(b1)は、それぞれSGLT1阻害時の薬物の吸収速度の時間推移、薬物の尿中排泄速度の時間推移を示すグラフである。一方、図17(a2)(b2)は、それぞれ正常時の薬物の吸収速度の時間推移、薬物の尿中排泄速度の時間推移を示すグラフである。図17(a2)(b2)は、細胞シミュレーション装置12が生成し、制御装置13経由で送付した各種情報が正常である場合の、シミュレーション装置11のシミュレーション結果である。
また、シミュレーション装置11は、図18(a1)に示す循環血中の薬物量の時間推移を示すグラフを出力する。図18の縦軸は薬物量(μg)、横軸は薬物服用後の経過時間(min)である。また、シミュレーション装置11は、図18(b1)に示す薬物の累積尿中排泄量の時間推移を示すグラフを出力する。さらに、シミュレーション装置11は、図18(c1)に示す循環血中薬物の累積肝代謝量の時間推移、図18(d1)に示す累積肝初回通過代謝量の時間推移を示すグラフを出力する。
なお、図18(a1)(b1)(c1)(d1)は、それぞれSGLT1阻害時の循環血中の薬物量の時間推移、薬物の累積尿中排泄量の時間推移、循環血中薬物の累積肝代謝量、累積肝初回通過代謝量の時間推移を示すグラフである。一方、図18(a2)(b2)(c2)(d2)は、それぞれ正常時の循環血中の薬物量の時間推移、薬物の累積尿中排泄量の時間推移、循環血中薬物の累積肝代謝量、累積肝初回通過代謝量の時間推移を示すグラフである。図18(a2)(b2)(c2)(d2)は、細胞シミュレーション装置12が生成し、制御装置13経由で送付した各種情報が正常である場合の、シミュレーション装置11のシミュレーション結果である。
以上、本実施の形態によれば、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報と、生体の情報に関する生体情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄等をシミュレーションするシミュレーション装置であって、薬物の吸収シミュレーションを行っている間にも動的に、生体情報を受け付けるシミュレーション装置が提供できる。したがって、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションができる。
また、本実施の形態によれば、細胞シミュレーションの精度の高い細胞のシミュレーション結果を薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションに利用できることにより、薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションの精度が極めて高くなる。
なお、本実施の形態によれば、生体情報は、細胞シミュレーション装置から制御装置を経由してシミュレーション装置に与えられたが、生体情報は細胞シミュレーション装置から直接シミュレーション装置に与えられても良い。かかる場合、制御装置は不要である。したがって、シミュレーション装置は、細胞内の動きをシミュレートする細胞シミュレーション装置からの出力である生体情報を受け付け(ここでの受け付けは、直接および間接を含む)、当該生体情報と薬物情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄をシミュレーションするシミュレーション装置であって、当該シミュレーションを行っている間にも動的に、前記生体情報を受け付けるシミュレーション装置である。
また、本実施の形態によれば、生体情報は、細胞シミュレーション装置からシミュレーション装置に与えられた。しかし、本実施の形態において、生体情報は、細胞シミュレーション装置から、必ずしも与えられる必要はない。本実施の形態において、生体情報は、動的にシミュレーション装置に与えられれば良い。例えば、シミュレーション装置は、定期的にユーザに、生体情報の入力を求めるパネルを表示し、ユーザからの生体情報の入力を受け付けても良い。シミュレーション装置は、新しい生体情報の入力を受け付けた場合に、当該生体情報を用いて薬物のシミュレーションを行う。また、例えば、シミュレーション装置は、予め格納している複数の生体情報の組を、シミュレーション中に切り換えながら用いて、薬物のシミュレーションを行っても良い。さらに、細胞シミュレーション装置以外の装置から、例えば、定期的に生体情報を受信しても良い。つまり、本実施の形態におけるシミュレーション装置は、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報と、生体の情報に関する生体情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄をシミュレーションするシミュレーション装置であって、当該シミュレーションを行っている間にも動的に、前記生体情報を受け付けるシミュレーション装置である。
また、本実施の形態における細胞シミュレーション装置の動き、機能は、上記に説明したものに限らない。細胞、特に上皮細胞等に関する情報である生体情報(例えば、膜電位、イオンの流れ、水の流れ、細胞容積、イオンの輸送に関与するトランスポータなど)が取得でき、最終的にシミュレーション装置が当該生体情報を利用できれば良い。
また、本実施の形態によれば、薬物動態情報は、薬物の状態を示す状態情報だけであったが、薬物を吸収する部位を示す部位情報を有しても良い。つまり、シミュレーション装置11の出力結果は、どの部位(例えば、胃、十二指腸など)で、薬物がどのような状況か(薬物の吸収速度や、吸収量など)を示す情報であっても良い。かかるシミュレーションの概念図を図19に示す。図19において、「胃」「十二指腸」「空腸」「回腸」「大腸」などの部位が横軸(横ライン)である。また、薬物の状態または存在する層が縦軸(縦ライン)である。薬物の状態または存在する層とは、「固体状態」「溶解状態」「上皮細胞」「血管」である。「固体状態」とは,薬物が固体状態で消化管腔に存在すること,「溶解状態」とは薬物が溶解状態で消化管腔に存在すること,「上皮細胞」とは、上皮細胞に薬物が存在すること、「血管」とは血管内に薬物が存在することを示す。「固体状態」,「溶解状態」,「上皮細胞」のボックスには、薬物の量が示され得る。また、図19の矢印は、薬物の流れを示す。
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態におけるシミュレーション装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報を受け付ける薬物情報受付ステップと、生体の情報に関する生体情報を受け付ける生体情報受付ステップと、前記薬物情報と、前記生体情報をパラメータとして、格納している薬物動態情報出力演算式に渡し、前記薬物動態情報出力演算式を実行する演算実行ステップと、前記演算実行ステップにおける実行結果に基づく情報である薬物動態情報を出力する出力ステップを実行させるためのプログラム、である。なお、薬物情報受付ステップは、薬物情報を読み込み動作でも良い。
さらに、上記プログラムは、前記生体情報受付ステップにおいて、細胞内の動きをシミュレートした細胞シミュレーション結果である生体情報を受け付けることは好適である。
また、図20は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態のシミュレーション装置を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図20は、このコンピュータシステム340の概観図であり、図21は、コンピュータシステム340のブロック図である。
図20において、コンピュータシステム340は、FD(Flexible Disk)ドライブ、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブを含むコンピュータ341と、キーボード342と、マウス343と、モニタ344とを含む。
図21において、コンピュータ341は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412に加えて、CPU(Central Processing Unit)3413と、CPU3413、CD−ROMドライブ3412及びFDドライブ3411に接続されたバス3414と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM(Read−Only Memory)3415と、CPU3413に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM(Random Access Memory)3416と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3417とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ341は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
コンピュータシステム340に、上述した実施の形態のシミュレーション装置の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM3501、またはFD3502に記憶されて、CD−ROMドライブ3412またはFDドライブ3411に挿入され、さらにハードディスク3417に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ341に送信され、ハードディスク3417に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3416にロードされる。プログラムは、CD−ROM3501、FD3502またはネットワークから直接、ロードされても良い。
プログラムは、コンピュータ341に、上述した実施の形態のシミュレーション装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム340がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
以上のように、本発明にかかるシミュレーション装置は、個体差、または薬物投与前後における生体(細胞)の刺激、または病態変化等を考慮した薬物吸収または/および排泄等のシミュレーションができるという効果を有し、医薬物や食品の動態研究、毒性研究等に使用する情報処理装置等に利用できる。
実施の形態におけるシミュレーション装置のブロック図 同シミュレーション装置の動作について説明するフローチャート 同細胞シミュレーション装置の動作について説明するフローチャート 同制御装置の動作について説明するフローチャート 同情報処理システムの動作の概念図 同細胞内への水の流入と細胞間隙への水の流入の概念図 同薬物動態情報出力演算式を示す図 同薬物動態情報出力演算式を示す図 同生体情報の変化を示す図 同生体情報の変化を示す図 同シミュレーション装置の出力例を示す図 同シミュレーション装置の出力例を示す図 同生体情報の変化を示す図 同生体情報の変化を示す図 同生体情報の変化を示す図 同生体情報の変化を示す図 同シミュレーション装置の出力例を示す図 同シミュレーション装置の出力例を示す図 同シミュレーションの概念図 同シミュレーション装置を構成するコンピュータシステムの概観図 同シミュレーション装置を構成するコンピュータのブロック図

Claims (9)

  1. シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報と、生体の情報に関する生体情報に基づいて、薬物の吸収または/および排泄をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
    当該シミュレーションを行っている間にも動的に、前記生体情報を受け付けるシミュレーション装置。
  2. 薬物の吸収または/および排泄をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
    当該シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報を受け付ける薬物情報受付部と、
    生体の情報に関する生体情報を2回以上受け付ける生体情報受付部と、
    薬物情報と生体情報をパラメータとして、当該薬物の吸収または/および排泄に関する情報である薬物動態情報を出力する演算式である薬物動態情報出力演算式を格納している演算式格納部と、
    前記薬物情報受付部が受け付けた薬物情報と、前記生体情報受付部が受け付けた生体情報をパラメータとして前記薬物動態情報出力演算式に渡し、前記薬物動態情報出力演算式を実行する演算実行部と、
    前記演算実行部の実行結果に基づく情報である薬物動態情報を出力する出力部を具備するシミュレーション装置。
  3. 前記生体情報受付部は、シミュレーションの開始前およびシミュレーションを行っている間に、生体の情報に関する生体情報を受け付け、
    前記演算実行部は、
    前記薬物情報受付部が受け付けた薬物情報と、シミュレーション中に前記生体情報受付部が受け付けた生体情報をパラメータとして前記薬物動態情報出力演算式に渡し、前記薬物動態情報出力演算式を実行する処理も行う請求項2記載のシミュレーション装置。
  4. 前記薬物動態情報は、
    少なくとも薬物を吸収する部位を示す部位情報と、薬物の状態を示す状態情報を有する請求項1から請求項3いずれか記載のシミュレーション装置。
  5. 前記生体情報受付部は、
    細胞内の動きをシミュレートする細胞シミュレーション装置からの出力である生体情報を受け付ける請求項1から請求項4いずれか記載のシミュレーション装置。
  6. コンピュータに、
    シミュレーションの対象の薬物に関する情報である薬物情報を受け付ける薬物情報受付ステップと、
    生体の情報に関する生体情報を2回以上受け付ける生体情報受付ステップと、
    前記薬物情報と、前記生体情報をパラメータとして、格納している薬物動態情報出力演算式に渡し、前記薬物動態情報出力演算式を実行する演算実行ステップと、
    前記演算実行ステップにおける実行結果に基づく情報である薬物動態情報を出力する出力ステップを実行させるためのプログラム。
  7. 前記生体情報受付ステップにおいて、
    シミュレーションの開始前およびシミュレーションを行っている間に、生体の情報に関する生体情報を受け付け、
    前記演算実行ステップにおいて、
    前記薬物情報受付ステップで受け付けた薬物情報と、シミュレーション中に前記生体情報受付ステップで受け付けた生体情報をパラメータとして前記薬物動態情報出力演算式に渡し、前記薬物動態情報出力演算式を実行する処理も行う請求項6記載のプログラム。
  8. 前記薬物動態情報は、
    少なくとも薬物を吸収する部位を示す部位情報と、薬物の状態を示す状態情報を有する請求項6または請求項7記載のプログラム。
  9. 前記生体情報受付ステップにおいて、
    細胞内の動きをシミュレートした細胞シミュレーション結果である生体情報を受け付ける請求項6から請求項8記載のプログラム。
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