JPWO2005098530A1 - THz波発生装置 - Google Patents
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Abstract
レーザ光源を含む光源部Aからのレーザ光をTHz波発生素子Dに入射し、該THz波発生素子からTHz波(fT)を発生させるTHz波発生装置において、該レーザ光源AとTHz波発生素子Dとの間に、SSB光変調器を含む光周回部Bと、波長選択手段Cを配置し、該レーザ光を該光周回部に導入し、該波長選択手段により該光周回部で生成される複数の波長を有する光波の中から特定の波長(f0,fn)を選択し、該THz波発生素子に入射させることを特徴とする。
Description
THz波は、基礎科学分野や工学分野、さらには医用・バイオ分野などで様々な応用が期待されているものである。例えば、基礎科学分野では、理化学物質の分光による構造解明、電波・赤外天文分光科学による星間物質の発見など、工学分野では、THz波超高速通信(宇宙空間通信等)、地球環境センシング(各種ガス、環境物質の検出等)、半導体物質の自由電子密度及び移動度の評価、誘電体機能物質の誘電特性の評価、有機機能性ポリマーの立体構造評価、電子パッケージの内部検査など、さらには、医用・バイオ分野では、生体機能性タンパク質の構造解析、生体組織の機能イメージング、薬剤(不透明粉体ベース)の構造解析など、多岐に渡る。
差周波発生を利用する方法では、THz波発生素子として、LiNbO3、GaAs、有機DAST(4−dimethylamino−N−methyl−4−stilbazolium tosylate)などによる非線形光学結晶(DFG結晶とも言う)を用い、該THz波発生素子に周波数の異なる2つの光波を入射し、2つの光波の差の周波数を有する差周波により、THz波発生させるものである。
さらに、2つの光源の一方を波長可変光源とし、THz波の周波数を可変する場合にでも、波長可変光原の周波数の変更精度が1GHz程度であるため、THz波の周波数制御にも限界を生じていた。
さらに、共振器内の共振効率を高効率に維持することが必要であり、共振器を構成する反射部材(HRミラー)の位置・形状を高精度に維持・制御することも求められる。
しかも、波長選択手段により、複数の波長が混在した光波の中から、必要な波長を有する光波を分離し、個別に出力することが可能となる。
これにより、常に安定した異なる周波数を有する光波をTHz波発生素子に入射させることが可能となり、THz波を安定して発生することができる。
また、THz波の周波数を変更する場合は、波長選択手段による選択波長を変更する方法や、SSB光変調器に印加する変調信号の周波数を変更する方法を利用することにより、容易にTHz波の周波数を調整することが可能となる。
B 光周回部
C 出力部
101 単一モードレーザー
102 アイソレータ
103 偏波コントローラ
104 光カップラ
105 SSB光変調器
106 信号発生器
107 光増幅器
108 アイソレータ
109 光フィルタ、
115 偏波コントローラ
レーザー光源のように特定波長の光波を供給する光源部Aと、伝播する光波が周回状の光路を形成すると共に、該周回の光路上に単一側波帯(Single Side Band、SSB)光変調器を有する光周回部Bと、多数の波長を含む光波の中から特定の波長を選択する波長選択手段Cと、異なる波長(周波数f0,fn)を有する2つの光波を入射し、該2つの光波の周波数の差に等しい周波数(fT=fn−f0)を有する光波(THz波)を出射するTHz波発生素子Dから構成される。
また、光源部Aには、レーザー光源にレーザー光が再入射しないように、出射光の光路上にアイソレータを配置したり、光源部Aから出射する光波の偏波面を整えるため、偏波コントローラをレーザー光の光路上に配置することも可能である。
図3に、SSB光変調器の動作を示す。
下記の非特許文献1にも詳述されているように、SSB光変調器は、通常の信号発生器からマイクロ波が印加されて動作する。
例えば、このマイクロ波の周波数をfとすると、SSB光変調器に入射した光は周波数がfだけシフトする。図2のように、入射光の周波数f0は、SSB光変調器を通過した後、出力光の周波数はf0+fとなる。この出力光のことを側波帯スペクトルという。
このように、SSB光変調器は光の周波数シフターとして動作する。
なお、SSB光変調器へのマイクロ波の加え方により、出力光の周波数をf0−fのようにマイナス方向にシフトさせることも可能である。
論文「XカットLiNbO3を用いた光SSB−SC変調器」(日隈薫、他4名、p.17〜21、「住友大阪セメント・テクニカルレポート 2002年版」、住友大阪セメント株式会社新規技術研究所発行、平成13年12月8日)
光周回部Bにおいては、図4に示すように、最初に光周回部を伝播する光波の周波数をf0(0回周回)をすると、1回目にSSB光変調器を通過した光波の周波数は、f0+f(1回周回)となる。同様に2回目、3回目は、f0+2f、f0+3fとなり、同一の周波数間隔fで、多数の波長を有する光波を生成することが可能となる。
一般に、SSB光変調器により生成される側波帯スペクトルは、SSB光変調器に入力される光波と比較し、光強度が低下する。このため、光周回部Bの周回する光路上には、光増幅器を配置することにより、側波帯スペクトルの光強度の低下を補い、多波長光源として利用可能な光強度を確保している。
この光フィルタの透過波長の範囲を、分波素子により分波可能な波長範囲と一致させることにより、図4に示すように、光周回部を周回する光波の波長を限定し、必要な波長範囲以外の光波を生成することがなく、最終的に多波長光源から出射する光波に含まれるノイズを抑制することが可能となる。
波長選択手段は、誘電体膜で形成される誘電体膜フィルタ、光ファイバーグレーティング(FBG)などの特定波長を選択できるものであれば特に限定されるものではない。また、波長選択手段は選択される波長が固定されたものでもいいが、エタロン、回折格子などのように、任意の波長が選択できる可変タイプを用いることも可能である。
THz波発生素子の動作は、図1(a)のように、異なる周波数を有する2つの光波を非線形光学結晶に入射することにより、該2つの光波の周波数の差に相当する周波数を有するTHz波を発生する。
これらの光学的な結合には、当該技術分野において公知の光結合器が利用可能である。
特に、製造コストの削減や装置全体のコンパクト化を図るには、光源部と光周回部とを結合する光結合器と、光周回部と波長選択手段又はTHz波発生器とを結合する光結合器とを共用し、光学部品の利用点数を削減するのが、好ましい。
具体的な例は、以下で述べるが、このような光結合器には、光ファイバーカップラや、光サーキュレータと光ファイバーグレーティングとの組み合わせなどが利用可能である。
このため、これらの接続において、単一モード光ファイバーを利用すると共に、光源部Aと光周回部Bに偏波コントローラを設ける方法、あるいは、接続において偏波保持光ファイバーを利用すると共に、光結合器に偏波保持機能を有する光結合器を用いる方法が利用可能である。
光増幅手段としては、使用する波長の光を増幅可能であるものであれば特に限定されるものではないが、特にTHz波発生素子として差周波発生を利用する素子を用いる場合には、差周波を発生させるための、異なる周波数を有する2つの光波を共に増幅できる増幅器を用いることが好適である。これは、差周波発生型THz波発生素子において出力されるTHz波の強度は、THz波発生素子に入力される、異なる周波数を有する2つの光波の各強度の積に比例するため、2つの光波の光強度を共に増幅することにより、出力されるTHz波の光強度を大幅に高めることができるためである。例えば、光通信において一般的に用いられているエルビウムドープファイバアンプ(EDFA)は、波長1.55μm帯の広い範囲にわたって光増幅機能を有していることから、このEDFAを用いることは好適である。
図5の実施例に係るTHz波発生装置は、光源部A、光周回部B、波長選択手段C、及びTHz波発生素子Dの4つの部分からなり、特に、光源部A、光周回部B及び波長選択手段Cは光結合器104によって結合されている。
光源部Aは単一波長光を出射する単一モードレーザー101、アイソレータ102、偏波コントローラ103からなる。アイソレータ102は反射戻り光がレーザに戻るのを防ぐために設置されている。レーザ光は、光結合器104により光周回部B内に導入される。
またSSB光変調器105は信号発生器106からの周波数fのマイクロ波信号によって駆動されている。
光周回部Bに配置された光結合器104には、波長選択手段Cが接続されており、光周回部内を通過する光波の一部が、波長選択手段へ導出されている。
さらに、波長選択手段Cを通過した光波は、THz波発生素子Dに導入される。また、波長選択手段CとTHz波発生素子との間に、光サージ現象などを利用した光増幅器を設け、波長選択手段Cにより選択された光波を増幅するよう構成することも可能である。
発振周波数f0の単一モードレーザー101から出射した光は、アイソレータ102を通って偏波コントローラ103によって適切な偏波状態にされた後、光カップラ104で、光周回部B側の光ループと波長選択手段Cに分岐される。この両者への分岐比を調整することにより、出力光の各波長間、特に周波数f0と他の周波数(f0+f等)との光強度を調整することが可能となる。
一方、光ループ内のSSB変調器105は、変調周波数fを発振する信号発生器106によって駆動されている。そこで光ループに入射した光周波数f0はSSB変調器によって周波数がfだけシフトし、(f0+f)の周波数の光に変換される。
残りの一部は光ループ内を周回し、(f0+3f)の周波数の光に変換される。
これらの動作を繰り返すことにより、n回(nは1以上の整数)光ループを周回すると、光は(f0+nf)の周波数に変換され、波長選択手段Cに導かれた一部は波長選択手段C通過し、周波数f0の光波と同様に、THz波発生素子Dに入力される。
n回以上、光が光ループを周回すると、(f0+nf)より大きな周波数の光が発生し、これはTHz波発生装置内においてノイズとなるからである。
なお、特定の波長選択を波長選択手段Cのみで行ってもよいし、上述のように光フィルタ109と組み合わせることにより行うことも可能である。
そして、これらの2つの光波は、THz波発生素子Dに入射され、2つの周波数の差である周波数nfを有するTHz波が、THz波発生素子Dから出力される。
なお、上記説明ではSSB光変調器によって光の周波数を増やす場合について説明をしたが、SSB光変調器の設定方法や変調信号の印加方法により、光の周波数を減らすことも可能であり、この場合にも同様な動作が可能である。
また、上記説明では、波長選択手段Cから出射される周波数f0と(f0+nf)の光波は直接THz波発生素子Dに入射されているが、波長選択手段CとTHz波発生装置Dの間に光増幅器を設けることも可能であり、これにより出射されるTHz波の光強度を高めることも可能である。
Claims (5)
- レーザ光源を含む光源部からのレーザ光をTHz波発生素子に入射し、該THz波発生素子からTHz波を発生させるTHz波発生装置において、
該レーザ光源とTHz波発生素子との間に、SSB光変調器を含む光周回部と、波長選択手段を配置し、該レーザ光を該光周回部に導入し、該波長選択手段により該光周回部で生成される複数の波長を有する光波の中から特定の波長を選択し、該THz波発生素子に入射させることを特徴とするTHz波発生装置。 - 請求項1に記載のTHz波発生装置において、該光源部は、単一モードレーザ光源からの単一波長光を供給するよう構成したことを特徴とするTHz波発生装置。
- 請求項1又は2に記載のTHz波発生装置において、該波長選択手段は、任意の波長が選択可能であることを特徴とするTHz波発生装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のTHz波発生装置において、該光周回部には、光増幅器を有することを特徴とするTHz波発生装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のTHz波発生装置において、該波長選択手段と該THz発生素子の間に、光増幅器を有することを特徴とするTHz波発生装置。
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