JPWO2002057782A1 - 新規スクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法。
Description
技術分野
本発明は、CARTペプチド受容体のアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法、不安神経症およびうつ病の治療薬のスクリーニング方法、新規な不安神経症およびうつ病の治療薬、に関する。
背景技術
精神科領域の薬剤は臨床において偶然効力が認められた薬剤およびそれらの薬剤の発展型である薬剤開発が主流である。現在、抗不安薬としてはベンゾジアゼピン(BZ)類および5−HT1A受容体作用薬が、抗うつ薬としてはSSRIなどが臨床において使用されている。これらの薬剤の発見および創出により薬剤治療は飛躍的に進歩したが、これらの薬剤は発症原因に基づいて創出されたものではないため、難治性の患者や奏効しない症状が残される結果となった。
SSRIはうつ病の他、パニック障害および強迫性障害にも有効であることが報告されている(Int.Clin.Psychopharmacol.,6,5,1992)。さらに、うつ病に対してBZ類が有効であるとする見解もあり、実際に臨床において処方される場合が多い。実際、臨床においてうつ病患者の60〜70%は不安症を併発しており、不安症の40〜90%はうつ病を併発していると言われている(J.Clin.Psychiatry,54,75,1993)。精神疾患の診断基準(DSM−III)で不安神経症がパニック障害と全般性不安症(GAD;generalized anxiety disorder)に分類されたことからも明確なように、最近、精神疾患の概念と治療は大きく変化しつつある。
上述のように、不安神経症(GAD、パニック障害)およびうつ病の発症には類似性があると示唆されており、薬剤開発においてもこれまでの概念とは異なるアプローチが求められている。最近の病態生理学の進歩により、不安神経症およびうつ病の発症機序として両者ともストレスが深く関与していることが示唆されている。ストレスにより引き起こされる脳内反応としては、視床下部−下垂体−副腎系の機能異常を代表とする神経内分泌系の機能異常が知られている。このような背景から、最近、視床下部に存在し、神経内分泌系に影響を与える神経ペプチドがうつ・不安の発症原因として注目されている。
このような神経ペプチドとしてコルチコトロピン・リリーシング・ファクター(CRF)などが挙げられる。CRFは視床下部−下垂体−副腎(HPA)系の亢進などストレス反応の中心的役割を果たすことが示され、不安・うつ病との関連も示唆されている。ストレスにより視床下部室傍核におけるCRF mRNAの発現が増加するが、これがHPA系活性化の原因となると考えられている。視床下部室傍核は下垂体に投射系を有し、ストレスによるHPA活性に対して重要な役割を果たしている。ストレス負荷により視床下部室傍核においてCRF以外にも種々ペプチドの発現が変化する。cocaine−and amphetamine−regulated transcript(CART)は1995年にクローニングされた遺伝子であり(J.Neurosci.,15,2471,1995)、そのmRNAは視床下部に多く分布しており、視床下部の中でも室傍核に高発現していることが報告されている。CARTペプチドに関する研究の現時点での概要は次の通りである。
CARTはコカインあるいはアンフェタミン投与によって側坐核においてその発現が誘導される遺伝子としてPCR differential displayによりクローニングされた遺伝子である。129個のアミノ酸をコードし、生体内での活性ペプチドは48個のアミノ酸からなるCART(55−102)であることが示唆されている(FEBS Lett.,428,263,1998)。最近、CARTペプチドの生理機能の一つが解明された。CARTペプチドは脳室内投与により食欲抑制を起こし、逆に、抗CARTペプチド抗体は食欲を亢進した(Nature,393,72,1998)。さらに、CART mRNAは肥満モデルの視床下部腹内側核において減少し、レプチン投与により増加した(Nature,393,72,1998)。以上のことからCARTペプチドの食欲調節への関与が示唆されている。しかしながら、CARTペプチドと不安・うつ病との関連は不明であり、さらに、CARTペプチド受容体の同定も未だなされていない。
発明の開示
本発明者らは、不安神経症およびうつ病の新たな作用機序を見出すべく鋭意研究を行った結果、ストレスによりCART mRNAが視床下部において増加すること、CARTペプチドがストレスやうつ・不安惹起に関連する神経核である青斑核神経活動を増加させること、CARTペプチドが実験動物において強力な不安惹起作用を有することを発見した。
この知見にもとづきCARTペプチドの作用の阻害が不安神経症およびうつ病の治療に有効ではないかと予想し、CARTペプチド受容体を探索したところ、ある種の動物組織より調製した膜画分が該受容体を含有することを見出した。さらに、該受容体を用いてスクリーニングすることにより得られたアンタゴニストが抗不安作用を有することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、
(2)CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、
(3)以下の工程を含む(1)又は(2)のスクリーニング方法、
(a)標識CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を混合し、0〜42℃でインキュベートする工程、
(b)CARTペプチド受容体と結合する標識CARTペプチドの量を測定する工程、
(c)(a)および(b)の工程を被験物質存在下および非存在下で実施し、両者を比較する工程、
(4)CARTペプチド受容体が、CARTペプチドと時間依存性、受容体数依存性および飽和性を持って結合するものである(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(5)CARTペプチド受容体が、[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMとなるCARTペプチド受容体である(1)〜(4)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(6)CARTペプチド受容体として、動物組織又は細胞から調製した膜画分を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(7)CARTペプチド受容体として、下垂体から調製した膜画分を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(8)標識CARTペプチドが、酵素又は放射性同位元素で標識されたものである(3)〜(7)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(9)CARTペプチドが配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドである(2)〜(8)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(10)うつ病又は不安神経症治療薬創製のための(1)〜(9)のいずれかに記載のスクリーニング法、
(11)IC50が10μM以下の化合物をうつ病又は不安神経症治療薬として選出する(10)のスクリーニング方法、
(12)(10)又は(11)のスクリーニングにより得られた化合物を含有することを特徴とするうつ病又は不安神経症治療剤、
(13)うつ病又は不安神経症治療薬の改善に有効な量のCARTペプチド受容体アンタゴニストを含有するうつ病又は不安神経症治療剤、
(14)CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とする、CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体の結合を阻害する化合物のスクリーニング方法、
(15)[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるCARTペプチド受容体、
(16)温血動物にCARTペプチドを投与することを特徴とする不安惹起モデル、
(17)温血動物がマウスである(16)の不安惹起モデル、
(18)CARTペプチドを脳室内投与したものである(16)又は(17)の不安惹起モデル、
(19)CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を含有するCARTペプチド受容体アゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング用キット、に関する。
発明を実施するための最良の形態
(1)CARTペプチド
本発明において、CARTペプチドとは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むペプチド、又は、配列番号1のアミノ酸配列で1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列で、ラット下垂体単離細胞においてc−fos誘導活性を有するものを意味する。好ましくは配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに、うつ病・不安神経症治療薬創製のためのスクリーニングに使用する場合は、配列番号3で表されるペプチド又は配列番号3のアミノ酸配列で1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を用いることが好ましい(FEBS Letter、428、263−268(1998))。配列番号3で表されるペプチドは図1に示すような2次構造を有する。
標識CARTペプチドとは、例えばCARTペプチドをフルオレッセンイソチアネート、ビオチン、酵素又は放射性同位元素で標識したものを挙げることができる。酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等を挙げることができる。放射性同位元素としては、[3H]、[125I]等を挙げることができる。CARTペプチドの標識は、それ自体公知の方法により行うことができる。
(2)CARTペプチド受容体
CARTペプチド受容体とは、CARTペプチドと特異的かつ量依存的に結合するものを意味する。また、後述するスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるものが好ましい。
CARTペプチド受容体は、動物組織あるいは細胞から調製することが可能である。好ましくは温血動物の組織から調製したCARTペプチド受容体である。例えば、ラット下垂体をトリス塩酸緩衝液等の緩衝液中でホモジナイズした後、遠心分離により取得される沈査をトリス塩酸緩衝液に懸濁し、CARTペプチド受容体を含む粗膜標品を得ることができる。
(3)スクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするスクリーニング方法であり、好ましくはCARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とするスクリーニング方法であり、さらに好ましくは (a)標識CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を混合し、0〜42℃でインキュベートする工程 (b)CARTペプチド受容体と結合する標識CARTペプチドの量を測定する工程 (c)(a)および(b)の工程を被験物質存在下および非存在下で実施し、両者を比較する工程を含むスクリーニング方法である。
標識CARTペプチドの量の測定は、それ自体公知の方法により測定することができ、例えば、放射性同位元素で標識したものは液体シンチレーションカウンターあるいはγカウンターなどにより放射活性を測定することにより算出することができ、酵素で標識したものは発色基質と反応させた後、比色法により測定することで算出することができる。
被験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これらの化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
スクリーニングは、[125I]CARTペプチド結合実験においてIC50が10μM以下の化合物を選出することが好ましい。
(4)CARTペプチド受容体アンタゴニスト
CARTペプチド受容体アンタゴニストとは、CARTペプチドと受容体との結合を拮抗する作用を有する化合物を意味し、競合的拮抗薬および非競合的拮抗薬を含む。
好ましくは、細胞あるいは脳組織膜を使用した受容体結合実験において濃度依存的な[125I]CARTペプチド結合拮抗作用を示し、CARTペプチドによって引き起こされる生理作用(例えばc−fos誘導活性)を阻害する化合物である。さらに好ましくは[125I]CARTペプチド結合実験においてIC50が10μM以下の化合物である。
(5)不安神経症およびうつ病治療薬
本発明に係わる不安神経症およびうつ病治療薬は、通常製剤化されて使用される。本発明に用いるCARTペプチド受容体アンタゴニストを有効成分として含有する製剤は、通常医薬品の製剤の際に使用される製剤用助剤である担体や賦形剤、その他の添加物と混合され調製される。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは静注、筋注などの注射剤、坐剤、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
うつ病・不安神経症治療薬の改善に有効な量は、症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常経口投与の場合には成人一人当たり、1日につき1〜1,000mg、好ましくは5〜200mgの範囲で、これを1日1回から数回に分けて投与するか、又は非経口投与の場合には成人1人当たり、1日につき1〜500mgの範囲で、これを1日1回から数回に分け静脈内投与するか、又は、1日1時間〜24時間の範囲で静脈内に持続投与する。勿論、前記したように、投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
(6)不安惹起モデル
本発明の不安惹起モデルは、CARTペプチドを脳室内に投与することにより得られ、これを通常の不安神経症・うつ病治療薬の試験系、例えば、高架式十字迷路に用いることができる。
産業上利用可能性
本発明により新規な作用機序に基づく食欲抑制に有用な化合物、不安神経症およびうつ病治療に有効な化合物のスクリーニング方法、不安惹起動物モデルを提供するとともに、不安神経症およびうつ病の新規な治療剤の提供が可能となった。
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1[拘束ストレスによる視床下部CART mRNA発現の変化]
動物は9週齢のSDラット(日本チャールスリバー)を用い、1時間の拘束ストレスを負荷した。ストレス負荷後、ラットを断頭にて屠殺した。脳を素早く取り出した後、視床下部を分離し、直ちに液体窒素により凍結した。視床下部からRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてtotal RNAを調製した。
8mM酢酸ナトリウムおよび1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)を含む20mM MOPS緩衝液(pH7.0)中にて、2.2Mホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル電気泳動を行った。泳動後のゲルを20×SSC[3M塩化ナトリウム,0.3Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)]で洗浄した後、キャピラリー法を用いてナイロンメンブレン(GeneScreen:デュポン、もしくはHybond−N:アマシャムファルマシアなど)にブロッティングした。ブロッティングしたRNAをUV照射でナイロンメンブレン上に固定した。メンブレンをプレハイブリダイゼーション緩衝液(6×SSC、50%ホルムアミド、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、5×Denhardt溶液[0.1%Ficoll,0.1%ポリビニルピロリドン,0.1%ウシ血清アルブミン]および100μg/mlサケ精子DNA)中に入れ、55℃で3時間インキュベートした。上記のプレハイブリダイゼーション緩衝液に5%硫酸デキストランを加えたハイブリダイゼーション緩衝液に、DIG RNAラベリングキット(ロシュ・ダイアグノスティックス)でDIGラベルしたCART cRNAプローブを加え、この溶液中にてメンブレンを55℃で終夜インキュベートした。メンブレンを、室温にて0.1%SDSを含む2×SSC緩衝液中で5分間の洗浄を二度行った後、68℃にて0.1%SDSを含む0.1×SSC緩衝液中で15分間の洗浄を2度行った。
シグナルの検出は、DIG洗浄およびブロックバッファーセット、AP標識抗ジゴキシゲニンFabフラグメント(ともにロシュ・ダイアグノスティックス)、およびCDP−star(TROPIX)を用いて行った。メンブレンを0.1%SDS溶液中で10分間煮沸し、CARTプローブをストリップした。メンブレンをプレハイブリダイゼーション緩衝液中に入れ、42℃で3時間インキュベートした。その後、PCP DIGプローブ合成キット(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いて作製したG3PDHプローブを加えたハイブリダイゼーション緩衝液中にて、42℃で終夜インキュベートした。メンブレンを、室温にて0.1%SDSを含む2×SSC緩衝液中で5分間の洗浄を二度行った後、42℃にて0.1%SDSを含む0.1×SSC緩衝液中で15分間の洗浄を2度行った。シグナルの検出はCARTの場合と同様に行った。
CARTおよびG3PDHのシグナル強度は、それぞれルミ・イメージャー(ロシュ・ダイアグノスティックス)で計測し、CARTシグナル強度を内部標準であるG3PDHシグナル強度で補正した。
図2中の記号**はダンネット検定により有意差検定を行った時、p<0.01で対照群と比較して有意な差があることを示す。
図2に示した結果から明らかな通り、ストレス負荷により視床下部CART mRNAは有意に増加した。
実施例2[ラット青斑核神経活動に対するCARTペプチドの作用]
動物はWistar系雄性ラット(日本チャールスリバー)を用い、ウレタン(1.5g/kg、i.p.)麻酔下で実験を行った。青斑核(LC)ノルアドレナリン神経活動の導出は以下の方法で行った。すなわち、脳固定装置(成茂)に動物を固定後、出血に注意しながら頭皮を切開し頭蓋骨を露出させた。ラムダ縫合より(A:−3mm、L:1.2mm、V:−7.5mm)の位置に歯科用ドリルで約2mm四方の穴を開けた。この位置より単一神経の活動電位記録用の微小ガラス電極を挿入した。電極の抵抗は2−8MΩとし、2M NaClを充填して用いた。LC上の静脈洞を避けるためガラス電極は前方に20°の角度をつけて脳内へ挿入した。青斑核ノルアドレナリン神経活動の同定は活動電位の波形およびdorsal noradrenergic bundle(ラムダ縫合よりA:+1.5mm、L:0.8mm、V:−5.7mm)の電気刺激による逆行性field potentialを指標として行った。安定した青斑核ノルアドレナリン神経活動を約5分間記録した後、CARTペプチド(3μg:配列番号3)を脳室内投与した。投与後約10−15分間、神経活動の変化を観察した。対照群として溶媒投与群を設けた。CARTペプチドによる作用は、投与前の神経活動発火頻度に対する投与後の増加率で示した。
図3中の記号*はダンネット検定により有意差検定を行った時、p<0.05で対照群と比較して有意な差があることを示す。
図3に示した結果から明らかな通り、CARTペプチド(3.0μg)は青斑核神経活動を有意に増加させた。
実施例3[[125I]CARTペプチド結合実験]
ラット下垂体を20ml/gの割合の0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリドを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)ホモジナイズした後、48,000×gで20分間、4℃にて遠心分離した。遠心分離により得られた沈査を同緩衝液で再ホモジナイズし、ホモジネートを48,000×gで20分間、4℃にて遠心分離した。この操作を2度繰り返した。沈査を0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリドおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)に懸濁し、粗膜標品として結合実験に用いた。
粗膜標品(0.5ml)を[125I]CARTペプチド(アマシャム:配列番号3)と25℃でインキュベートした。インキュベート終了後、反応液を受容体結合実験用セルバーベスターを用い、予め0.3%ポリエチレンイミン溶液に2時間浸したGF/Bガラス繊維濾紙上に吸引濾過した。濾紙を0.1%ウシ血清アルブミンおよび50mM塩化ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)3mlで3度洗浄した。濾紙の放射活性をγカウンターにて測定した。1μMのCARTペプチド存在下における結合量を非特異的結合とし、1μMのCARTペプチド非存在下の結合である総結合から非特異的結合を差し引いたものを特異的結合とした。
[125I]CARTペプチドのタンパク質(CARTペプチド受容体を含む膜画分のタンパク質)濃度依存的な結合量を、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、インキュベーション時間は2時間で検討した。その結果、タンパク質濃度約100μg/mlまで、タンパク量依存的な結合を示した(図4)。また、インキュベーション時間依存的な結合量の増加を、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、タンパク質濃度は50μg/mlで検討した。その結果、インキュベーション時間10分で結合は飽和状態に達した(図5)。また、[125I]CARTペプチド濃度と結合量の増加を、タンパク質濃度は50μg/mlで検討した。その結果、[125I]CARTペプチド濃度量依存的な結合を示した(図6)。
[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析には[125I]CARTペプチド濃度0.2nM〜6nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間とした。その結果、高親和性(Kd=2.70nM)の[125I]CARTペプチド結合部位が確認された。結合部位数(Bmax)は、1mgタンパク質あたり、5.84pmolであった(図7)。
タンパク質濃度依存的な結合量、インキュベーション時間依存的な結合量の増加、スキャッチャード解析の試験により、この[125I]CARTペプチド結合試験で得られた高親和性の特異的結合は、CARTペプチドの受容体を標識していることを明らかにした。
化合物の作用の検討の際は、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間とした。被験物質は100%DMSO溶液に溶解し、[125I]CARTペプチドと同時に膜標品に添加した。10−8M〜10−5M濃度での抑制曲線からIC50値を算出した。
上記結合実験を用いて、化合物のスクリーニングを行った結果、(化1)で表される化合物(以下、PSA0961)
を見出した。図8に示した結果から明らかな通り、PSA0961はラット下垂体膜への[125I]CARTペプチド結合を濃度依存的に抑制し、そのIC50値は1.48μMであった。
実施例4[マウスにおけるCARTペプチド誘発不安惹起作用]
動物は体重24−33gのICR系雄性マウス(日本チャールスリバー)を用いた。試験に用いた高架式十字迷路は、開放路(幅5cm、長さ30cm)および閉鎖路(幅5cm、長さ30cm)の十字型迷路よりなり、開放路は0.3cm、閉鎖路は20cmの高さの透明のプレキシガラスで覆った。迷路は床より38.5cmの位置に設置固定した。照度は装置の中央で50−60ルクスとした。マウスは十字迷路の中央に頭を開放路に向けて置き測定を開始し、5分間の開放路における滞在時間を測定した。結果を図9に示した。
CARTペプチドは0.02%KClおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝化生理食塩水に溶解し、試験の1時間前に0.1μg/マウスの割合で脳室内投与した。抗不安薬はCARTペプチド脳室内投与30分前に腹腔内投与した。CARTペプチド受容体アンタゴニストはCARTペプチドと同時に脳室内投与した。
図9中の記号**はダンネット検定により有意差検定を行った時、P<0.01で対照群と比較して有意な差があることを示し、記号##はダンネット検定により有意差検定を行った時、P<0.01でCARTペプチド投与群と比較して有意な差があることを示す。
図9(a,b)に示した結果から明らかな通り、CARTペプチド投与群は開放路における滞在時間が著しく有意に減少した。しかし、この減少した開放路における滞在時間はジアゼパムあるいはブスピロンを0.3mg/kg、1mg/kg又は3mg/kgの用量を腹腔内投与することにより有意に、かつ用量依存的に拮抗された。同様に、CARTペプチド投与による開放路における滞在時間の短縮はPSA0961により有意に拮抗された(図9(c))。
従って、CARTペプチドは不安様症状およびストレス反応を引き起こし、CARTペプチド受容体アンタゴニストとして作用を示す化合物は不安様症状を抑制する作用を有することから、うつ病又は不安神経症治療薬として有用である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、CARTペプチドのアミノ酸配列を表す。図2は、ラット視床下部CART mRNA発現の拘束ストレスによる影響を示す。図3は、青斑核神経活動に対するCARTペプチドの作用を示す。図4は、膜画分のタンパク質濃度と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的結合量の関係示す。図5は、インキュベーション時間と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的な結合量の関係を示す。図6は、[125I]CARTペプチド濃度と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的な結合量の関係を示す。図7は、[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析の結果を示す。図8は、ラット下垂体膜への[125I]CARTペプチド結合に対するPSA0961の作用を示す。図9は、マウス高架式十字迷路試験におけるCARTペプチドの不安惹起作用およびそれに対する抗不安薬、PSA0961の作用を示す。
本発明は、CARTペプチド受容体のアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法、不安神経症およびうつ病の治療薬のスクリーニング方法、新規な不安神経症およびうつ病の治療薬、に関する。
背景技術
精神科領域の薬剤は臨床において偶然効力が認められた薬剤およびそれらの薬剤の発展型である薬剤開発が主流である。現在、抗不安薬としてはベンゾジアゼピン(BZ)類および5−HT1A受容体作用薬が、抗うつ薬としてはSSRIなどが臨床において使用されている。これらの薬剤の発見および創出により薬剤治療は飛躍的に進歩したが、これらの薬剤は発症原因に基づいて創出されたものではないため、難治性の患者や奏効しない症状が残される結果となった。
SSRIはうつ病の他、パニック障害および強迫性障害にも有効であることが報告されている(Int.Clin.Psychopharmacol.,6,5,1992)。さらに、うつ病に対してBZ類が有効であるとする見解もあり、実際に臨床において処方される場合が多い。実際、臨床においてうつ病患者の60〜70%は不安症を併発しており、不安症の40〜90%はうつ病を併発していると言われている(J.Clin.Psychiatry,54,75,1993)。精神疾患の診断基準(DSM−III)で不安神経症がパニック障害と全般性不安症(GAD;generalized anxiety disorder)に分類されたことからも明確なように、最近、精神疾患の概念と治療は大きく変化しつつある。
上述のように、不安神経症(GAD、パニック障害)およびうつ病の発症には類似性があると示唆されており、薬剤開発においてもこれまでの概念とは異なるアプローチが求められている。最近の病態生理学の進歩により、不安神経症およびうつ病の発症機序として両者ともストレスが深く関与していることが示唆されている。ストレスにより引き起こされる脳内反応としては、視床下部−下垂体−副腎系の機能異常を代表とする神経内分泌系の機能異常が知られている。このような背景から、最近、視床下部に存在し、神経内分泌系に影響を与える神経ペプチドがうつ・不安の発症原因として注目されている。
このような神経ペプチドとしてコルチコトロピン・リリーシング・ファクター(CRF)などが挙げられる。CRFは視床下部−下垂体−副腎(HPA)系の亢進などストレス反応の中心的役割を果たすことが示され、不安・うつ病との関連も示唆されている。ストレスにより視床下部室傍核におけるCRF mRNAの発現が増加するが、これがHPA系活性化の原因となると考えられている。視床下部室傍核は下垂体に投射系を有し、ストレスによるHPA活性に対して重要な役割を果たしている。ストレス負荷により視床下部室傍核においてCRF以外にも種々ペプチドの発現が変化する。cocaine−and amphetamine−regulated transcript(CART)は1995年にクローニングされた遺伝子であり(J.Neurosci.,15,2471,1995)、そのmRNAは視床下部に多く分布しており、視床下部の中でも室傍核に高発現していることが報告されている。CARTペプチドに関する研究の現時点での概要は次の通りである。
CARTはコカインあるいはアンフェタミン投与によって側坐核においてその発現が誘導される遺伝子としてPCR differential displayによりクローニングされた遺伝子である。129個のアミノ酸をコードし、生体内での活性ペプチドは48個のアミノ酸からなるCART(55−102)であることが示唆されている(FEBS Lett.,428,263,1998)。最近、CARTペプチドの生理機能の一つが解明された。CARTペプチドは脳室内投与により食欲抑制を起こし、逆に、抗CARTペプチド抗体は食欲を亢進した(Nature,393,72,1998)。さらに、CART mRNAは肥満モデルの視床下部腹内側核において減少し、レプチン投与により増加した(Nature,393,72,1998)。以上のことからCARTペプチドの食欲調節への関与が示唆されている。しかしながら、CARTペプチドと不安・うつ病との関連は不明であり、さらに、CARTペプチド受容体の同定も未だなされていない。
発明の開示
本発明者らは、不安神経症およびうつ病の新たな作用機序を見出すべく鋭意研究を行った結果、ストレスによりCART mRNAが視床下部において増加すること、CARTペプチドがストレスやうつ・不安惹起に関連する神経核である青斑核神経活動を増加させること、CARTペプチドが実験動物において強力な不安惹起作用を有することを発見した。
この知見にもとづきCARTペプチドの作用の阻害が不安神経症およびうつ病の治療に有効ではないかと予想し、CARTペプチド受容体を探索したところ、ある種の動物組織より調製した膜画分が該受容体を含有することを見出した。さらに、該受容体を用いてスクリーニングすることにより得られたアンタゴニストが抗不安作用を有することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、
(2)CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、
(3)以下の工程を含む(1)又は(2)のスクリーニング方法、
(a)標識CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を混合し、0〜42℃でインキュベートする工程、
(b)CARTペプチド受容体と結合する標識CARTペプチドの量を測定する工程、
(c)(a)および(b)の工程を被験物質存在下および非存在下で実施し、両者を比較する工程、
(4)CARTペプチド受容体が、CARTペプチドと時間依存性、受容体数依存性および飽和性を持って結合するものである(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(5)CARTペプチド受容体が、[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMとなるCARTペプチド受容体である(1)〜(4)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(6)CARTペプチド受容体として、動物組織又は細胞から調製した膜画分を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(7)CARTペプチド受容体として、下垂体から調製した膜画分を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(8)標識CARTペプチドが、酵素又は放射性同位元素で標識されたものである(3)〜(7)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(9)CARTペプチドが配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドである(2)〜(8)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(10)うつ病又は不安神経症治療薬創製のための(1)〜(9)のいずれかに記載のスクリーニング法、
(11)IC50が10μM以下の化合物をうつ病又は不安神経症治療薬として選出する(10)のスクリーニング方法、
(12)(10)又は(11)のスクリーニングにより得られた化合物を含有することを特徴とするうつ病又は不安神経症治療剤、
(13)うつ病又は不安神経症治療薬の改善に有効な量のCARTペプチド受容体アンタゴニストを含有するうつ病又は不安神経症治療剤、
(14)CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とする、CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体の結合を阻害する化合物のスクリーニング方法、
(15)[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるCARTペプチド受容体、
(16)温血動物にCARTペプチドを投与することを特徴とする不安惹起モデル、
(17)温血動物がマウスである(16)の不安惹起モデル、
(18)CARTペプチドを脳室内投与したものである(16)又は(17)の不安惹起モデル、
(19)CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を含有するCARTペプチド受容体アゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング用キット、に関する。
発明を実施するための最良の形態
(1)CARTペプチド
本発明において、CARTペプチドとは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むペプチド、又は、配列番号1のアミノ酸配列で1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列で、ラット下垂体単離細胞においてc−fos誘導活性を有するものを意味する。好ましくは配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに、うつ病・不安神経症治療薬創製のためのスクリーニングに使用する場合は、配列番号3で表されるペプチド又は配列番号3のアミノ酸配列で1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を用いることが好ましい(FEBS Letter、428、263−268(1998))。配列番号3で表されるペプチドは図1に示すような2次構造を有する。
標識CARTペプチドとは、例えばCARTペプチドをフルオレッセンイソチアネート、ビオチン、酵素又は放射性同位元素で標識したものを挙げることができる。酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等を挙げることができる。放射性同位元素としては、[3H]、[125I]等を挙げることができる。CARTペプチドの標識は、それ自体公知の方法により行うことができる。
(2)CARTペプチド受容体
CARTペプチド受容体とは、CARTペプチドと特異的かつ量依存的に結合するものを意味する。また、後述するスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるものが好ましい。
CARTペプチド受容体は、動物組織あるいは細胞から調製することが可能である。好ましくは温血動物の組織から調製したCARTペプチド受容体である。例えば、ラット下垂体をトリス塩酸緩衝液等の緩衝液中でホモジナイズした後、遠心分離により取得される沈査をトリス塩酸緩衝液に懸濁し、CARTペプチド受容体を含む粗膜標品を得ることができる。
(3)スクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするスクリーニング方法であり、好ましくはCARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とするスクリーニング方法であり、さらに好ましくは (a)標識CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を混合し、0〜42℃でインキュベートする工程 (b)CARTペプチド受容体と結合する標識CARTペプチドの量を測定する工程 (c)(a)および(b)の工程を被験物質存在下および非存在下で実施し、両者を比較する工程を含むスクリーニング方法である。
標識CARTペプチドの量の測定は、それ自体公知の方法により測定することができ、例えば、放射性同位元素で標識したものは液体シンチレーションカウンターあるいはγカウンターなどにより放射活性を測定することにより算出することができ、酵素で標識したものは発色基質と反応させた後、比色法により測定することで算出することができる。
被験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これらの化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
スクリーニングは、[125I]CARTペプチド結合実験においてIC50が10μM以下の化合物を選出することが好ましい。
(4)CARTペプチド受容体アンタゴニスト
CARTペプチド受容体アンタゴニストとは、CARTペプチドと受容体との結合を拮抗する作用を有する化合物を意味し、競合的拮抗薬および非競合的拮抗薬を含む。
好ましくは、細胞あるいは脳組織膜を使用した受容体結合実験において濃度依存的な[125I]CARTペプチド結合拮抗作用を示し、CARTペプチドによって引き起こされる生理作用(例えばc−fos誘導活性)を阻害する化合物である。さらに好ましくは[125I]CARTペプチド結合実験においてIC50が10μM以下の化合物である。
(5)不安神経症およびうつ病治療薬
本発明に係わる不安神経症およびうつ病治療薬は、通常製剤化されて使用される。本発明に用いるCARTペプチド受容体アンタゴニストを有効成分として含有する製剤は、通常医薬品の製剤の際に使用される製剤用助剤である担体や賦形剤、その他の添加物と混合され調製される。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは静注、筋注などの注射剤、坐剤、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
うつ病・不安神経症治療薬の改善に有効な量は、症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常経口投与の場合には成人一人当たり、1日につき1〜1,000mg、好ましくは5〜200mgの範囲で、これを1日1回から数回に分けて投与するか、又は非経口投与の場合には成人1人当たり、1日につき1〜500mgの範囲で、これを1日1回から数回に分け静脈内投与するか、又は、1日1時間〜24時間の範囲で静脈内に持続投与する。勿論、前記したように、投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
(6)不安惹起モデル
本発明の不安惹起モデルは、CARTペプチドを脳室内に投与することにより得られ、これを通常の不安神経症・うつ病治療薬の試験系、例えば、高架式十字迷路に用いることができる。
産業上利用可能性
本発明により新規な作用機序に基づく食欲抑制に有用な化合物、不安神経症およびうつ病治療に有効な化合物のスクリーニング方法、不安惹起動物モデルを提供するとともに、不安神経症およびうつ病の新規な治療剤の提供が可能となった。
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1[拘束ストレスによる視床下部CART mRNA発現の変化]
動物は9週齢のSDラット(日本チャールスリバー)を用い、1時間の拘束ストレスを負荷した。ストレス負荷後、ラットを断頭にて屠殺した。脳を素早く取り出した後、視床下部を分離し、直ちに液体窒素により凍結した。視床下部からRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてtotal RNAを調製した。
8mM酢酸ナトリウムおよび1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)を含む20mM MOPS緩衝液(pH7.0)中にて、2.2Mホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル電気泳動を行った。泳動後のゲルを20×SSC[3M塩化ナトリウム,0.3Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)]で洗浄した後、キャピラリー法を用いてナイロンメンブレン(GeneScreen:デュポン、もしくはHybond−N:アマシャムファルマシアなど)にブロッティングした。ブロッティングしたRNAをUV照射でナイロンメンブレン上に固定した。メンブレンをプレハイブリダイゼーション緩衝液(6×SSC、50%ホルムアミド、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、5×Denhardt溶液[0.1%Ficoll,0.1%ポリビニルピロリドン,0.1%ウシ血清アルブミン]および100μg/mlサケ精子DNA)中に入れ、55℃で3時間インキュベートした。上記のプレハイブリダイゼーション緩衝液に5%硫酸デキストランを加えたハイブリダイゼーション緩衝液に、DIG RNAラベリングキット(ロシュ・ダイアグノスティックス)でDIGラベルしたCART cRNAプローブを加え、この溶液中にてメンブレンを55℃で終夜インキュベートした。メンブレンを、室温にて0.1%SDSを含む2×SSC緩衝液中で5分間の洗浄を二度行った後、68℃にて0.1%SDSを含む0.1×SSC緩衝液中で15分間の洗浄を2度行った。
シグナルの検出は、DIG洗浄およびブロックバッファーセット、AP標識抗ジゴキシゲニンFabフラグメント(ともにロシュ・ダイアグノスティックス)、およびCDP−star(TROPIX)を用いて行った。メンブレンを0.1%SDS溶液中で10分間煮沸し、CARTプローブをストリップした。メンブレンをプレハイブリダイゼーション緩衝液中に入れ、42℃で3時間インキュベートした。その後、PCP DIGプローブ合成キット(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いて作製したG3PDHプローブを加えたハイブリダイゼーション緩衝液中にて、42℃で終夜インキュベートした。メンブレンを、室温にて0.1%SDSを含む2×SSC緩衝液中で5分間の洗浄を二度行った後、42℃にて0.1%SDSを含む0.1×SSC緩衝液中で15分間の洗浄を2度行った。シグナルの検出はCARTの場合と同様に行った。
CARTおよびG3PDHのシグナル強度は、それぞれルミ・イメージャー(ロシュ・ダイアグノスティックス)で計測し、CARTシグナル強度を内部標準であるG3PDHシグナル強度で補正した。
図2中の記号**はダンネット検定により有意差検定を行った時、p<0.01で対照群と比較して有意な差があることを示す。
図2に示した結果から明らかな通り、ストレス負荷により視床下部CART mRNAは有意に増加した。
実施例2[ラット青斑核神経活動に対するCARTペプチドの作用]
動物はWistar系雄性ラット(日本チャールスリバー)を用い、ウレタン(1.5g/kg、i.p.)麻酔下で実験を行った。青斑核(LC)ノルアドレナリン神経活動の導出は以下の方法で行った。すなわち、脳固定装置(成茂)に動物を固定後、出血に注意しながら頭皮を切開し頭蓋骨を露出させた。ラムダ縫合より(A:−3mm、L:1.2mm、V:−7.5mm)の位置に歯科用ドリルで約2mm四方の穴を開けた。この位置より単一神経の活動電位記録用の微小ガラス電極を挿入した。電極の抵抗は2−8MΩとし、2M NaClを充填して用いた。LC上の静脈洞を避けるためガラス電極は前方に20°の角度をつけて脳内へ挿入した。青斑核ノルアドレナリン神経活動の同定は活動電位の波形およびdorsal noradrenergic bundle(ラムダ縫合よりA:+1.5mm、L:0.8mm、V:−5.7mm)の電気刺激による逆行性field potentialを指標として行った。安定した青斑核ノルアドレナリン神経活動を約5分間記録した後、CARTペプチド(3μg:配列番号3)を脳室内投与した。投与後約10−15分間、神経活動の変化を観察した。対照群として溶媒投与群を設けた。CARTペプチドによる作用は、投与前の神経活動発火頻度に対する投与後の増加率で示した。
図3中の記号*はダンネット検定により有意差検定を行った時、p<0.05で対照群と比較して有意な差があることを示す。
図3に示した結果から明らかな通り、CARTペプチド(3.0μg)は青斑核神経活動を有意に増加させた。
実施例3[[125I]CARTペプチド結合実験]
ラット下垂体を20ml/gの割合の0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリドを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)ホモジナイズした後、48,000×gで20分間、4℃にて遠心分離した。遠心分離により得られた沈査を同緩衝液で再ホモジナイズし、ホモジネートを48,000×gで20分間、4℃にて遠心分離した。この操作を2度繰り返した。沈査を0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリドおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)に懸濁し、粗膜標品として結合実験に用いた。
粗膜標品(0.5ml)を[125I]CARTペプチド(アマシャム:配列番号3)と25℃でインキュベートした。インキュベート終了後、反応液を受容体結合実験用セルバーベスターを用い、予め0.3%ポリエチレンイミン溶液に2時間浸したGF/Bガラス繊維濾紙上に吸引濾過した。濾紙を0.1%ウシ血清アルブミンおよび50mM塩化ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4あるいはpH9.0)3mlで3度洗浄した。濾紙の放射活性をγカウンターにて測定した。1μMのCARTペプチド存在下における結合量を非特異的結合とし、1μMのCARTペプチド非存在下の結合である総結合から非特異的結合を差し引いたものを特異的結合とした。
[125I]CARTペプチドのタンパク質(CARTペプチド受容体を含む膜画分のタンパク質)濃度依存的な結合量を、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、インキュベーション時間は2時間で検討した。その結果、タンパク質濃度約100μg/mlまで、タンパク量依存的な結合を示した(図4)。また、インキュベーション時間依存的な結合量の増加を、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、タンパク質濃度は50μg/mlで検討した。その結果、インキュベーション時間10分で結合は飽和状態に達した(図5)。また、[125I]CARTペプチド濃度と結合量の増加を、タンパク質濃度は50μg/mlで検討した。その結果、[125I]CARTペプチド濃度量依存的な結合を示した(図6)。
[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析には[125I]CARTペプチド濃度0.2nM〜6nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間とした。その結果、高親和性(Kd=2.70nM)の[125I]CARTペプチド結合部位が確認された。結合部位数(Bmax)は、1mgタンパク質あたり、5.84pmolであった(図7)。
タンパク質濃度依存的な結合量、インキュベーション時間依存的な結合量の増加、スキャッチャード解析の試験により、この[125I]CARTペプチド結合試験で得られた高親和性の特異的結合は、CARTペプチドの受容体を標識していることを明らかにした。
化合物の作用の検討の際は、[125I]CARTペプチド濃度0.1nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間とした。被験物質は100%DMSO溶液に溶解し、[125I]CARTペプチドと同時に膜標品に添加した。10−8M〜10−5M濃度での抑制曲線からIC50値を算出した。
上記結合実験を用いて、化合物のスクリーニングを行った結果、(化1)で表される化合物(以下、PSA0961)
を見出した。図8に示した結果から明らかな通り、PSA0961はラット下垂体膜への[125I]CARTペプチド結合を濃度依存的に抑制し、そのIC50値は1.48μMであった。
実施例4[マウスにおけるCARTペプチド誘発不安惹起作用]
動物は体重24−33gのICR系雄性マウス(日本チャールスリバー)を用いた。試験に用いた高架式十字迷路は、開放路(幅5cm、長さ30cm)および閉鎖路(幅5cm、長さ30cm)の十字型迷路よりなり、開放路は0.3cm、閉鎖路は20cmの高さの透明のプレキシガラスで覆った。迷路は床より38.5cmの位置に設置固定した。照度は装置の中央で50−60ルクスとした。マウスは十字迷路の中央に頭を開放路に向けて置き測定を開始し、5分間の開放路における滞在時間を測定した。結果を図9に示した。
CARTペプチドは0.02%KClおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝化生理食塩水に溶解し、試験の1時間前に0.1μg/マウスの割合で脳室内投与した。抗不安薬はCARTペプチド脳室内投与30分前に腹腔内投与した。CARTペプチド受容体アンタゴニストはCARTペプチドと同時に脳室内投与した。
図9中の記号**はダンネット検定により有意差検定を行った時、P<0.01で対照群と比較して有意な差があることを示し、記号##はダンネット検定により有意差検定を行った時、P<0.01でCARTペプチド投与群と比較して有意な差があることを示す。
図9(a,b)に示した結果から明らかな通り、CARTペプチド投与群は開放路における滞在時間が著しく有意に減少した。しかし、この減少した開放路における滞在時間はジアゼパムあるいはブスピロンを0.3mg/kg、1mg/kg又は3mg/kgの用量を腹腔内投与することにより有意に、かつ用量依存的に拮抗された。同様に、CARTペプチド投与による開放路における滞在時間の短縮はPSA0961により有意に拮抗された(図9(c))。
従って、CARTペプチドは不安様症状およびストレス反応を引き起こし、CARTペプチド受容体アンタゴニストとして作用を示す化合物は不安様症状を抑制する作用を有することから、うつ病又は不安神経症治療薬として有用である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、CARTペプチドのアミノ酸配列を表す。図2は、ラット視床下部CART mRNA発現の拘束ストレスによる影響を示す。図3は、青斑核神経活動に対するCARTペプチドの作用を示す。図4は、膜画分のタンパク質濃度と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的結合量の関係示す。図5は、インキュベーション時間と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的な結合量の関係を示す。図6は、[125I]CARTペプチド濃度と[125I]CARTペプチド−CARTペプチド受容体の特異的な結合量の関係を示す。図7は、[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析の結果を示す。図8は、ラット下垂体膜への[125I]CARTペプチド結合に対するPSA0961の作用を示す。図9は、マウス高架式十字迷路試験におけるCARTペプチドの不安惹起作用およびそれに対する抗不安薬、PSA0961の作用を示す。
Claims (19)
- CARTペプチド受容体を用いることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法。
- CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とするCARTペプチド受容体のアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法。
- スクリーニング方法にあって、
(a)標識CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を混合し、0〜42℃で静置する工程
(b)CARTペプチド受容体と結合する標識CARTペプチドの量を測定する工程
(c)(a)および(b)の工程を被験物質存在下および非存在下で実施し、両者を比較する工程、を含む請求の範囲第1項又は第2項記載のスクリーニング方法。 - CARTペプチド受容体が、CARTペプチドと時間依存性、受容体数依存性および飽和性を持って結合するものである請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- CARTペプチド受容体が、[125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるCARTペプチド受容体を用いることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- CARTペプチド受容体として、動物組織又は細胞から調製した膜画分を用いることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- CARTペプチド受容体として、下垂体から調製した膜画分を用いることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 標識CARTペプチドが、酵素又は放射性同位元素で標識されたものである請求の範囲第3項〜第7項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- CARTペプチドが配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドである請求の範囲第2項〜第8項のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- うつ病又は不安神経症治療薬創製のためのスクリーニング方法であって、請求の範囲第1項〜第9項のいずれかに記載の方法。
- IC50が10μM以下の化合物をうつ病又は不安神経症治療薬として選出する請求の範囲第10項記載の方法。
- 請求の範囲第10項又は第11項記載の方法により得られた化合物を含有することを特徴とするうつ病又は不安神経症治療剤。
- うつ病又は不安神経症治療薬の改善に有効な量のCARTペプチド受容体アンタゴニストを含有するうつ病又は不安神経症治療剤。
- CARTペプチドおよび被験物質をCARTペプチド受容体と接触させることを特徴とする、CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体の結合を阻害する化合物のスクリーニング方法。
- [125I]CARTペプチド結合のスキャッチャード解析([125I]CARTペプチド濃度0.1nM〜20nMを用い、タンパク質濃度は50μg/ml、インキュベーション時間は2時間)により、Kd=0.1〜10nMであるCARTペプチド受容体。
- 温血動物にCARTペプチドを投与することを特徴とする不安惹起モデル。
- 温血動物がマウスである請求の範囲第16項記載の不安惹起モデル。
- CARTペプチドを脳室内投与したものである請求の範囲第16項又は第17項記載の不安惹起モデル。
- CARTペプチドおよびCARTペプチド受容体を含有するCARTペプチド受容体アゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング用キット。
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