JPS6333924Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば耐寒耐水服のような密閉型被服
を着用する際に、その中に着用する内衣に関する
ものである。

極寒地または寒冷時に海上で作業に従事する漁
船等の乗組員がその作業時に着用する服として耐
寒耐水服がある。この耐寒耐水服は防水性が高く
且つ保温性の良好なものでなければならない。そ
の理由は、作業中に雨水や海水がふりかかり、そ
れが服内に浸入すると、風邪や凍傷の原因になる
し、また、誤つて海中に落ちれば、海水が衣服内
に浸入して救助を待つ間に凍死するおそれがある
からである。そのため、従来、種々の耐寒耐水服
が提案され、実用に供されており、それらの中
に、防水性，耐寒性の材料を用いて製し、着用時
に頭部又は目，鼻，口を含む顔の一部を除く身体
全体を密閉するようにした外衣と、保温性材料を
以て製し、前記外衣の中に着用する内衣とから成
るものがあるが、この耐寒耐水服の内衣は、通
常、吸湿性のない合成繊維製のキルテイング生地
によりつくられているため、保温性はあるものの
吸湿性がなく、また外衣は通気性がないので、前
記耐寒耐水服を着用して作業に従事していると、
内部がむれて着心地が悪くなるばかりでなく、着
用者の身体から発散される水蒸気が内衣を通り外
衣の裏面に達してそこで結露し、冷たい外気が外
衣の表面から伝られると、前記の結露した水分が
結氷して、服内を冷却するに到という難点のある
ことが判明した。

この内衣の吸湿性については、保温層の内側
（身体側）に吸湿性のある裏地を当てがつた下着
の構造が先行技術として知られている（実開昭47
−21810号）。

しかし、この構造の素材を以て耐寒耐水服のよ
うな内衣を形成しても上記難点は解消できない。

その理由は、裏地に吸収される発汗等による水
蒸気は、保温層を透つて外衣裏面に達しそこで結
露するに到り、冷たい外気が外衣の表面から伝え
られると上記の結露した水分が結氷して服内を冷
却することになるからである。

本考案は主として上記のような密閉型の外衣の
中に着用する内衣において、上述のような難点の
ない内衣を提供することを目的としてなされたも
ので、その構成は、吸湿性の良好なシートに非通
気性の通気抑止シートを介して保温性の良好な合
成繊維等の綿を積層し、それらの外側に織物又は
編物から成る生地を介してキルテイングにより一
体に形成したシート状素材を以て、吸湿性の良好
なシート側を内側にしてつなぎシヤツ状に縫製し
たことを特徴とするものである。

次に本考案の実施の一例を図に拠り説明する。

Ａは防水性，耐水性のゴム又は合成樹脂生地を
以て上半身部１，下半身部２，袖部３を一体に形
成し、下半身部２の下端に靴４を、袖部３の先端
に手袋５を、それぞれ一体且つ密に設けた外衣
で、その頚部６から前下方にかけて開口し、該開
口部に水密フアスナ７を設けてある。８は外衣Ａ
の上胸部に設けた逆止弁付排気管で、着用時に外
衣Ａ内の余分な空気が外部へ排出され、外部から
は水等が外衣Ａ内に浸入しないようになつてお
り、常に上向き状態を保つようにそれを挿通支持
するため外衣Ａに取附けた支持片９に支持させて
ある。

Ｂは柔軟で吸湿性の良好な連続気泡性スポンジ
から成るシート１１に非通気性のフイルムから成
る通気抑止シート１２を介して保温性の良好なポ
リエステル等の綿１３を積層し、それらシート１
１と綿１３の外側に生地１４，１５を配してキル
テイング１６により一体に形成したシート状素材
ｂを以て、シート１１側を内側になるようにし
て、上半身部１７下半身部１８を前記外衣Ａのそ
れらより短かくつなぎシヤツ状に一体に形成する
と共に頚部１９から前下方にかけて重合部とし、
該部をフアスナ等により開閉自在にした本考案の
一例の内衣で、前記外衣Ａとこの内衣Ｂはそれら
の対抗する位置にスナツフ金具ｐを取附けたり、
内衣Ｂを外衣Ａに縫着したりして両者を一体化で
きるようにする。

Ｃは防水性，伸縮性，断熱性の良好な素材を以
て形成した防水頭巾で、着用時、目，鼻，口を露
出して頭部に密着し、その裾部２１が上衣Ａの頚
部６に密接重合して水密性を保持し得るようにな
つている。

上記の外衣Ａ，内衣Ｂ，防水頭巾Ｃにより本考
案内衣Ｂを用いた耐寒耐水服が構成され、冷水域
における海上作業に際して船舶の乗組員がこれを
着用すれば、作業中、海水や雨水を浴びてもそれ
らが内部に滲透するおそれがない上に内衣Ｂによ
り保温されて身体を冷やすおそれがない。

而して、従来の内衣は吸湿性のない合成繊維製
のキルテイング生地によりつくられているため、
吸湿性がなく、また外衣は通気性がないので、こ
の内衣を用いた耐寒耐水服を着用して作業に従事
していると、内部がむれて着心地が悪くなるばか
りでなく、更に、上記のように内衣に吸湿がない
ものであるときは勿論、内衣に単に吸湿性を付与
しただけのものであるときは、着用者の身体から
発散される水蒸気が該内衣を通り外衣の裏面に達
してそこで結露し、冷たい外気が外衣の表面から
伝えられると、前記結露した水分が結氷して、服
内を冷却するに到ること前述の通りであるが、本
考案の内衣Ｂは、柔軟で吸湿性の良好な連続気泡
性スポンジから成るシート１１に非通気性のフイ
ルムシート１２を介して保温性の良好なポリエス
テル等の綿１３を積層し、それらシート１１と綿
１３の外側に生地１４，１５を配してキルテイン
グ１６により一体に形成したシート状の素材ｂ
を、シート１１側を内側になるようにして、つな
ぎシヤツ状に形成したから、着用者が発散する水
蒸気は生地１４を通つて吸湿性の良好なシート１
１に吸着されるので、内部がむれて着心地が悪く
なるおそれは少ない。特に、本考案内衣では吸湿
性シート１１と保温性の綿１３の間に非通気性シ
ート１２を介在させているので、吸湿性シート１
１に吸収される水蒸気が外衣裏面に達することは
なく、従つて、内衣の内部の水蒸気が外衣内面に
結露して結氷し、これによつて着衣内の温度が下
げられるおそれは殆んどない。

また、着用者の発する熱は保温性の綿１３の層
に蓄えられて外衣Ａ側へ逃げず、一方、外衣Ａの
表面から伝えられる冷たい外気も綿１３の層に遮
ぎられて内衣Ｂの内速に侵入することもないか
ら、仮に、吸湿性のシート１１の層が発汗等によ
る水蒸気を吸つて飽和していても、内衣Ｂの内側
の温度が下がることはないから、着用者は暖かな
着衣内温度下で作業に従来できる。

尚、上記実施例においては、密閉型被服として
耐寒耐水服を例示したが、本考案は耐寒耐水服に
限られず、他の密閉型被服の内衣にも適用できる
こと勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例の内衣を用いた耐寒耐水
服の正面図、第２図は前記内衣の正面図、第３図
は内衣を製する生地の断面拡大図である。 Ａ…外衣、Ｂ…内衣、Ｃ…頭巾、ｂ…シート状
素材、１１…吸湿性の良好なシート、１３…保温
性の良好な綿、１４，１５…生地、１６…キルテ
イング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸湿性の良好なシートに非通気性の通気抑止シ
   ートを介して保温性の良好な合成繊維等の綿を積
   層し、それらの外側に織物又は編物から成る生地
   を介してキルテイングにより一体に形成したシー
   ト状素材を以て、吸湿性の良好なシート側を内側
   にしてつなぎシヤツ状に縫製したことを特徴とす
   る密閉型被服の内衣。