JPS6318904Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は針状温度センサに関し、より詳細には
生体内組織の治療、診断時に対象となる生体部位
の温度を測定可能なセンサに関する。

従来、例えばレーザメスを用いて止血、ハイパ
ーサーミア（局部的加熱による癌細胞の選択的な
破壊）、肉腫除去の操作等生体内組織の治療、診
断を行う際には、対象となる生体部位を観察する
必要があり、腹腔鏡を用いることが多いが、腹腔
鏡は単に生体部位を観察することはできても組織
の活性度を知る上で最も基本的な指標となる生体
部位の温度を計測することができず、このためレ
ーザメスをフイードパツク制御することができ
ず、精密な治療ができないばかりか、組織に不要
の損傷を与えたり治療効果が不十分であつたり満
足な治療を行うことができなかつた。生体組織用
の温度センサとしてはサーミスタや熱電対等があ
るが、これらのセンサを腹腔鏡の先端に取付ける
と、伝熱により熱容量の大きな腹腔鏡に熱を奪わ
れるために生体局部の温度を正確に測定できず利
用不可能である。

本考案は上記従来の欠点を除去すべくなされた
もので、このため本考案は間に電気絶縁層をはさ
んで同心状に配置した針状の細長い内外二重円筒
管よりなり、該内外管を熱電対構成金属より形成
し、該内外管の一端部を接合することにより該一
端部に熱電対測定接点を形成し、かつ該内外管の
先端部に発生起電力検出用のターミナルを形成
し、上記内管内に治療、診断用のレーザ光、測定
光を導く光フアイバを挿入し、以て生体内組織の
治療、診断に際し同時に対象となる生体部位の温
度を測定し高精度で安全かつ確実な治療、診断を
行い得るようにしたことを特徴とする。

以下、添附図に沿つて本考案の好適な実施例に
つき説明する。

第１図および第２図は本考案を医療用のレーザ
光による癌のハイパーサーミア治療に適用した例
を示し、該実施例のものは間に電気絶縁物の層１
をはさんで同心状に配置した針状の細長い内管２
および外管３よりなる二重円筒を含み、これら内
外管２，３を熱電対を構成する２種の金属から形
成し、該内外管２，３の一端部をシーム熔接等の
技法により接合することにより該一端部に中心に
開口のある平坦なリング状の熱電対測定接点４を
形成し、またこれら内外管２，３の他端部には発
生起電力に対応する電圧をとり出すためのターミ
ナル５，６が形成され、該ターミナル５，６には
基準接点および電位差計等を含むフイードバツク
制御装置（図示せず）に接続されるリード線７，
８が取付けられ、また外管３の外壁には当該セン
サを生体内に挿入するに適するようにポリ四弗化
エチレンシリコン、テフロン等の潤滑性および撥
水性を有する生体適合材料よりなる保護層９を設
け、上記内管２内には図示しないレーザ源から治
療用のレーザ光を導く光フアイバ１０および治療
対象たる生体部位を観察するための内視鏡を構成
する送受光フアイバ１１が挿入されている。

このように構成されたものは、治療と同時に対
象となる生体部位の温度を計測し、該生体部位の
状況をモニタリングしながらレーザ光の照射量を
フイードバツク制御することができるので、高精
度な治療を行うことができ、組織に不要の損傷を
与えたり不十分な治療を行うことがなく安全かつ
確実なレーザ治療を行うことが可能である。ま
た、レーザ光ガイドとしての光フアイバを生体内
に刺込む針の構成物自体がセンサを構成している
ので小型で構成上無駄のないセンサが得られ、さ
らに内外管２，３先端の接合部が平坦なリング状
センサ部を構成しているので全体が小型であるに
拘らず対象物との接触面積が大きく、信頼性が高
い温度測定をなし得る。

第３図は本発明のより具体的な実施例を示し、
該実施例のものは電気絶縁物の層１としてセラマ
ボンド＃552を使用し、白金口ジウム10％管又は
コンスタンタン管からなる内管２と純白金管又は
銅管からなる外管３との先端部を銀ロー付するこ
とにより熱電対測定接点４を形成し、外管３の一
端部上に真ちゆう製のカラー１２を固定し、内管
２の一端部上にはテフロン絶縁材１３と真ちゆう
製のリング１４を固定し、これらカラー１２と絶
縁材１３とリング１４のまわりには間に電気絶縁
層１５を有するターミナル１６、取付用のねじ１
７を形成したものである。なお、外管３まわりに
先の実施例と同様に保護層を設けてもよい。

なお、上記実施例はとくにレーザ光照射による
癌のハイパーサーミア治療に関連して述べられた
が、本考案はこれに限らずレーザドツプラ血流計
等光フアイバによりレーザ光を患部或は測定部位
に導く医療用レーザ計測、診断さらに治療装置に
広く適用することができる。また、本考案は光フ
アイバにより光源より測定光を生体組織に導いて
該生体組織の反射スペクトルを解析し、組織の代
謝を診断する際、測定部位の温度を同時に計測す
る温度センサとしても利用可能である。この場
合、二重管の内管内には測定光送受用の光フアイ
バを挿入する。

以上のように、本考案によれば生体組織の治
療、診断に際し、同時に対象となる生体部位の温
度を計測することができる温度センサが得られ
る。さらに上記の医療診断、治療上の用途だけで
なく、例えば液体、溶融状態の樹脂類の温度分布
の測定、サンプリング、あるいは、トレーサーの
注入などの工業的な用途にも適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す長手方向断面
図、第２図は第１図の−線に沿う拡大断面
図、第３図は他の実施例を一部省略して示す長手
方向断面図である。 １……電気絶縁層、２……内管、３……外管、
４……測定接点、５，６……ターミナル、９……
保護層、１０，１１……光フアイバ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 間に電気絶縁層をはさんで同心状に配置した
   針状の細長い内外二重円筒管よりなり、該内外
   管を熱電対構成金層より形成し、該内外管の一
   端部を接合することにより該一端部に熱電対測
   定接点を形成し、かつ内外管の他端部に発生起
   電力検出用のターミナルを形成し、前記内管内
   にレーザ光又は測定光を導く光フアイバを挿入
   した針状温度センサ。 (2) 前記外管の外側にテフロン、シリコン樹脂等
   潤滑性および撥水性を有する生体適合材料より
   なる保護層を設けてなる第１項のセンサ。 (3) 当該センサがレーザ治療又は診断装置のフイ
   ードバツク制御用温度センサを構成する第１項
   又は第２項のセンサ。 (4) 当該センサが生体組識スペクトル分析装置の
   温度センサを構成する第１項又は第２項のセン
   サ。