JPS6245658B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は回路しや断器の引外し装置の構成に
関する。

一般に回路しや断器は、定格電流を超える通常
の過負荷電流に対してはなるべく停電を起こさな
いように一定の時延をおいてしや断し、短絡など
の大電流（ここでは短絡電流と称する）に対して
は主回路を瞬時にしや断して事故の拡大を防止す
るように構成されている。この回路しや断器の引
外し装置は普通主回路に直列に接続されたバイメ
タルと電磁コイル、該電磁コイルに取囲まれた鉄
心、該鉄心に吸引される可動鉄片および前記バイ
メタルと前記可動鉄片のいずれかによつて操作さ
れる可動接触子開放用の引外しレバーから構成さ
れ、主回路に規定以上の電流が流れた場合バイメ
タルが次第に湾曲し、また短絡電流が流れた場合
可動鉄片が鉄心に瞬時に吸引され、それに伴つて
引外しレバーが操作され主回路がしや断される。

ところで比較的定格電流の小さい回路しや断器
では、定格電流に比して引外し装置を動作させる
電磁コイルの励磁電流すなわち短絡電流が大きす
ぎる傾向があり、そのために普通比較的低い短絡
電流で動作させるように電磁コイルの巻数を増加
させている。また短絡電流が大きくなると回路し
や断器各部がジユール熱により温度上昇を起こ
し、回路しや断器故障の原因となる。特にバイメ
タルを使用した直熱形の過負荷電流引外し装置を
備えるものでは、大きなジユール熱に耐え得る直
熱形のバイメタルはその引外し特性の制約などか
ら製作が困難であり、このため回路しや断器に直
列に限流抵抗器を介挿して短絡電流を抑制するこ
とが行われている。このような従来の回路しや断
器の場合、ジユール熱による温度上昇を防ぐため
各部の熱容量を大きくするとか、あるいは十分絶
縁された限流抵抗器を収納する空間を必要とする
ので、その外形が大きくなる欠点があつた。

この発明は上述の欠点を除き、小形、安価でし
かも定格電流に適した高しや断容量の回路しや断
器の引外し装置を提供することを目的とする。

この目的を達成するためこの回路しや断器の引
外し装置は、主回路に直列接続された電磁コイル
と、この電磁コイルがはめ込まれたコ字状鉄心
と、この鉄心のコ字状内の前記電磁コイルの近傍
に並行配置され電磁コイルに直列に接続されたバ
イメタルと、前記鉄心に吸引される可動鉄片と、
この可動鉄片および前記バイメタルのいずれかに
よつて操作される可動接触子開放用の引外し機構
において、前記電磁コイルが数ターンの高抵抗剛
性材料で形成されるとともに、コ字状鉄心がＬ字
形材と平板材とからなりＬ字形材の一方の脚部に
前記電磁コイルがはめ込まれた後平板材とでコ字
状に形成される。

つぎにこの発明を実施例による図面に基づいて
詳細に説明する。

第１図はこの発明の引外し装置をもつた回路し
や断器の一部断面図である。第１図において引外
し装置の電磁コイル１は本発明に基づいて高抵抗
値の剛性線材、例えば鉄やステンレス線材で作ら
れている。一方この電磁コイル１が巻回される鉄
心は第２図Ａに示すようなＬ字状の鉄心部分２
と、このＬ字状鉄心部分２の端面にある突起２ａ
がはまり込む孔３ａをもつた第２図Ｂに示すよう
な板状の鉄心部分３の二つの部分からなり、Ｌ字
状鉄心部分２の突起２ａを板状の鉄心部分３の孔
３ａに差込み、かしめて第３図に示すようなコ字
状に一体として組立てられるようになつている。
こうして剛性の大きな電磁コイルと鉄心との組立
てを容易にしている。なお鉄心部分２，３はテフ
ロンなどの絶縁性熱収縮チユーブ５をかぶせて電
気絶縁し、電磁コイル１をはめ込んだ後、コ字状
に組立ててケース４に収納し固定される。この鉄
心２，３のコ字状の内部には過負荷電流検知用の
バイメタル７がそこまで伸びた負荷側の端子金具
８に固定され配置されている。そして一端を図示
していない接触子側に接続された電磁コイル１の
他端はリード線６を介してバイメタル７の自由端
に接続され、接触子―電磁コイル１―リード線６
―バイメタル７―端子金具８の直列回路を形成し
ている。バイメタル７は回路電流によるそれ自体
のジユール熱と電磁コイル１のジユール熱の熱伝
導とその放射熱により加熱されて湾曲し図示して
いない引外し装置を動作させる。９はこの鉄心
２，３に発生する磁束により吸引され引外し装置
を動作させる可動鉄片で軸１０によりケース４の
側壁に支持されている。この可動鉄片９を電磁コ
イル１から引離すように復帰ばね１１が取付けら
れている。

主回路の電流は図示していない電源側端子から
接触子を経て、電磁コイル１、バイメタル７およ
び負荷側端子８を介して負荷に流れる。負荷に規
定以上の電流が流れるとバイメタル７はそれ自体
のジユール熱と高抵抗をもつた電磁コイル１のジ
ユール熱とその放射熱により次第に湾曲し、クロ
スバー１２を介して接触子を開放し主回路をしや
断する。また、電磁コイル１はこの程度の電流で
は復帰ばね１１の張力により可動鉄片９を吸引し
ない。一方短絡電流が流れると電磁コイル１は復
帰ばね１１に打勝つて可動鉄片９を瞬時に吸引
し、その吸引力によりクロスバー１２を介して接
触子を開放し主回路をしや断する。しかしこの場
合電磁コイル１自体が高い抵抗線で作られている
のでこの回路しや断器に流れる短絡電流は抑制さ
れて極端に大きくはならない。しかも電磁コイル
１を数ターンの巻数にしておけばこの短絡電流が
極端に大きくならなくとも可動鉄片９を吸引し、
引外し装置を動作させる十分な動力を与えること
が可能である。

以上述べたようにこの発明による回路しや断器
の引外し装置は、抵抗線を巻回した剛性電磁コイ
ルに鉄心をはめ込んでコ字状に組立て、このコ字
状鉄心の内の電磁コイルの近傍にバイメタルが並
行配置され電磁コイルとバイメタルが主回路と直
列に接続される。この回路しや断器に過電流が流
れるとバイメタルはそれ自体の熱だけでなく電磁
コイルの熱も受けて湾曲するからバイメタルは比
較的抵抗を低くすることができ、その断面積を大
きくして湾曲する力を強くすることができる。ま
た、負荷側に短絡事故があつたときに流れる短絡
電流は電磁コイルの比較的高い抵抗により抑制さ
れるが、この抵抗は特に設置したものではないか
ら、それを設置する空間を必要としない、またこ
のように電磁コイルを抵抗線として短絡電流を抑
制しても電磁コイルの巻数を多くすればこの短絡
電流により瞬時に引外し装置を動作させ接触子を
解放して主回路をしや断する動力は十分確保でき
る。すなわち小形で定格電流に適した高しや断容
量の回路しや断器の引外し装置を安価に提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による回路しや断器の引外し
装置を示した一部破断面図、第２図Ａ，Ｂはそれ
ぞれの鉄心の斜視図、第３図は電磁コイルと鉄心
を組立てバイメタルを配置した平面図である。 １……電磁コイル、２……Ｌ字状鉄心部分、３
……板状鉄心部分、７……バイメタル、９……可
動鉄片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主回路に直列接続された電磁コイルと、該電
   磁コイルがはめ込まれたコ字状鉄心と、該鉄心の
   コ字状内の前記電磁コイルの近傍に並行配置され
   該電磁コイルに直列に接続されたバイメタルと、
   前記鉄心に吸引される可動鉄片と、該可動鉄片お
   よび前記バイメタルのいずれかによつて操作され
   る可動接触子開放用の引外し機構において、前記
   電磁コイルが数ターンの高抵抗剛性材料で形成さ
   れるとともに、コ字状鉄心がＬ字形材と平板材と
   からなりＬ字形材の一方の脚部に前記電磁コイル
   がはめ込まれた後平板材とでコ字状に形成される
   ことを特徴とする回路しや断器の引外し装置。