JPS6240100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は車両用気化器の燃料供給路中に設けら
れたフロート室に発生するベーパを、フロート室
とキヤニスタとに連通するアウタベントを介して
キヤニスタに排出するのに好適な気化器のアウタ
ベント機構に関する。

〔従来技術〕

燃料タンクから圧送された燃料をフロート室に
貯留し、フロート室に貯留された燃料を吸気管内
に噴霧する気化器を有する自動車などの車両にお
いて、フロート室の燃料温度が高温になると、フ
ロート室からベーパが発生する。ベーパが発生し
たままでエンジンを始動させると、始動性が悪化
する。そこで、フロート室と、ベーパを吸着する
キヤニスタとに連通する連通路を構成するアウタ
ベントを形成すると共に、アウタベントを開閉す
る弁体を有するアウタベント機構を設け、エンジ
ン停止時、弁体を作動してアウタベントを開き、
フロート室に発生するベーパをキヤニスタに排出
するようにしたものが従来から用いられていた。

このようなアウタベント機構を気化器に設けれ
ば、フロート室の燃料が高温となつてフロート室
にベーパが発生しても、エンジン停止時にはベー
パがキヤニスタに排出されるので、高温時の始動
性を良好にすることができる。

しかし、従来のアウタベント機構は、エンジン
停止中は常時アウタベントを開くように構成され
ていたので、フロート室の燃料温度が低下しても
蒸発する燃料（特に低沸点成分の燃料）が常にキ
ヤニスタに排出される。そのため、エンジン停止
状態が長時間継続されると、低沸点成分の燃料が
キヤニスタに供給されてフロート室の燃料が重質
化し、エンジンの再始動が困難となる。

このように、従来のアウタベント機構では、エ
ンジン停止状態が長時間継続されると、燃料の重
質化によつて再始動性が悪化するという欠点があ
つた。

〔考案の目的〕

本考案は、前記従来の課題に鑑みて為されたも
のであり、その目的は、フロート室から低沸点成
分の燃料が蒸発するのを抑制することができる気
化器のアウタベント機構を提供することにある。

〔考案の概要〕 前記目的を達成するために、本考案は、フロー
ト室とキヤニスタとに連通するアウタベントを開
閉する弁体を有し、エンジン停止時、前記弁体を
作動してアウタベントを開き、フロート室に発生
するベーパをキヤニスタに排出するアウタベント
機構において、前記弁体とは異なり、燃料タンク
からフロート室に供給される燃料を一定量に調節
するフロート機構に連動してアウタベントを開閉
する弁装置を設け、エンジン停止時、フロート室
の燃料の液面が所定レベル以下に低下したとき弁
装置によりアウタベントを閉塞するようにしたこ
とを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下、図面に基づいて本考案の好適な実施例を
説明する。

第１図には、本考案の好適な実施例の構成が示
されている。

第１図において、気化器の燃料供給路中に設け
られ燃料を貯留するフロート室１０には、燃料ポ
ンプ１２から圧送される燃料１４の供給量に応じ
て上下動するフロート１６が設けられている。フ
ロート１６の上端にはレバー１８が取付けられて
おり、このレバー１８はピン２０に連結されてい
る。フロート１６は、燃料１４のレベルに応じて
ピン２０を支点として上下動し、レバー２２に連
結されたニードルバルブ２４を作動する。ニード
ルバルブ２４はフロート１６の作動に応じて燃料
供給路２６を開閉する。

フロート室１０内の燃料１４はメインジエツト
２８、メインノズル３０を介して吸気管３２内に
噴霧される。吸気管３２内に噴霧された燃料は、
吸入空気と混合されスロツトルバルブ３４を介し
て燃焼室に供給される。

メインノズル３０を介して吸気管３２内に燃料
が噴霧され、フロート室１０内の燃料１４の液面
が低下すると、フロート１６、レバー１８、ニー
ドルバルブ２４等のフロート機構の作動により、
減量分の燃料の補給が行なわれる。そのため、メ
インノズル３０から燃料が噴霧されてもフロート
機構の作動によりフロート室１０内の燃料１４の
レベルを常に一定量に維持することができる。

なお、燃料１４のレベルを一定量にするため
に、吸気管３２とフロート室１０とを連通するイ
ンナベルト３５を介してフロート室１０に大気が
供給されている。

又、気化器本体には、フロート室１０とキヤニ
スタとに連通する連通路を構成するアウタベント
３６が形成されている。このアウタベント３６と
の連通路３７中にはアウタベント切換弁３８が設
けられており、アウタベント３６は、アウタベン
ト切換弁３８の作動によりエンジン始動時閉塞さ
れ、エンジン停止時開かれる。そのため、フロー
ト室１０で発生するベーパは、エンジン停止時ア
ウタベント３６を介してキヤニスタに排出され
る。

ここで、本考案は、エンジン停止時、フロート
室の燃料の液面が所定レベル以下に低下したと
き、アウタベントを閉塞するようにしたことを特
徴とするところから、本実施例においては、アウ
タベント切換弁３８とは異なり、前記フロート機
構に連動してアウタベント３６を閉塞する弁装置
４０が設けられている。

弁装置４０は、バルブ４２、ばね４４、ばね取
付板４６、ロツド４８などから構成されており、
アウタベント３６に連通する孔５０、５２が形成
されたガイド板５４にロツド４８が介装され、ロ
ツド４８の先端がレバー１８に連結されている。

前記弁装置４０は、エンジン停止時、機関高温
時の再始動性を向上させるのに必要なベーパがア
ウタベント３６を介してキヤニスタに供給された
後、フロート室１０の燃料１４の液面がさらに低
下すると、フロート１６の下降によりバルブ４２
がシート部５６に密着し、アウタベント３６を閉
塞することができる。なお、弁装置４０によつて
アウタベント３６が閉塞されるときの液面の低下
レベルは機関の再始動が良好に行なえるレベルと
して定められている。

このように本実施におけるアウタベント機構
は、機関高温時にエンジンが停止したときフロー
ト室１０内に発生するベーパをキヤニスタに供給
することができると共に、エンジン停止時にフロ
ート室１０内の燃料１４の液面が所定レベル以下
に低下したとき、アウタベント３６を閉塞して低
沸点成分の燃料がキヤニスタに排出されるのを抑
制することができる。

又本実施例においては、バルブ４２がばね４４
によつて付勢されるので、バルブ４２とシート部
５６とのシール性を密にすることができる。

第２図には、本考案の他の実施例の構成が示さ
れている。

本実施例は、アウタベント切換弁６０の作動に
よりアウタベント３６とインナベント６２とに交
互に連通する連通路６４内に、第１図に示される
弁装置４０を設けたものであり、フロート室１０
の連通する連通路６４がアウタベント切換弁６０
の作動に応じてアウタベント３６又はインナベン
ト６２に連通する他は第１図のものと同様である
ので、各部の構成の説明は省略する。

本実施例においても、前記実施例と同様機関の
再始動性の向上を図ることができる。

なお、前記各実施例において、弁装置４０の作
動によつてアウタベント３６が閉塞されたあと、
フロート室１０内でベーパが発生しても、このベ
ーパはインナベント３５、６２を介して吸気管３
２内に排出されるので、機関の再始動性が悪化す
ることはない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、エンジ
ン停止状態が長時間継続されても、フロート室の
燃料の液面が所定レベル以下に低下したときに
は、フロート室とキヤニスタとに連通するアウタ
ベントが閉塞され、低沸点成分の燃料がキヤニス
タに排出されないので、機関の再始動性の向上を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す構成図、第２
図は本考案の他の実施例を示す構成図である。 １０……フロート室、１６……フロート、１８
……レバー、３６……アウタベント、３８，６０
……アウタベント切換弁、４０……弁装置、４２
……バルブ、４４……ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気化器の燃料供給路中に設けられ燃料を貯留す
   るフロート室と、蒸発した燃料を吸着するキヤニ
   スタとに連通するアウタベントを開閉する弁体を
   有し、エンジン停止時、前記弁体を作動してアウ
   タベントを開らき、フロート室に発生するベーパ
   をキヤニスタに排出する気化器のアウタベント機
   構において、前記弁体とは異なり、燃料タンクか
   らフロート室に供給される燃料を一定量に調整す
   るフロート機構に連動してアウタベントを開閉す
   る弁装置を有し、エンジン停止時、フロート室の
   燃料の液面が所定レベル以下に低下したとき前記
   弁装置によりアウタベントを閉塞することを特徴
   とする気化器のアウタベント機構。