JPS623688Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転子を有する流量計の軸受部へ被測
液体より高い液圧を有する潤滑油を供給して軸受
部への被測液体の進入を防止する軸受部軸封装置
の改良に関する。

最近、石油に代る代替エネルギ源として石炭が
再認識され、この石炭の輸送手段として石炭を固
体微粉末に粉砕し、この固体微粉末を石油に含有
させて輸送する方法が開発されている。これに伴
いこの種のスラリ液体を計測する流量計が要望さ
れているが、回転子を有する容積式の流量計を使
用する場合には、液体中に含有される固体微粉末
が回転子を支承する軸受部に浸入して軸受部の早
期摩耗を招くことがしばしば生じている。これを
防止するために、回転子に固定された回転子軸を
支承する軸受部に流通孔を穿設し、この流通孔を
通して増圧機により被測液体よりも高い液圧に増
圧された潤滑油を軸受部に供給し、軸受部内に被
測液体が浸入しないようにした軸受部軸封装置が
構成されている。しかしながら、この装置では計
測室と軸受部とを遮断するため回転子軸の回転子
側にゴム製のオイルシールが嵌挿されては入る
が、このオイルシールでは、耐圧限度が低すぎる
ため、軸受部内の潤滑油の液圧を被測液体の液圧
よりも高くすると耐圧限度以上の差圧が生じ、潤
滑油が計測室内の被測液体中に漏洩し、被測液体
の異物混入を招くばかりか潤滑油の供給を継続し
なければならず、潤滑油の消費量が増大する。ま
た、被測液体の脈動及び配管の末端に配置された
バルブの操作によるウオータハンマ現象等によ
り、増圧機を介して軸受部内に急激に圧力が増加
することがあり、このためオイルシールや軸受部
に損傷が生じたり、耐久性がない等の欠点があ
る。

本考案は上記欠点の除去を目的とするもので、
以下実施例を図面について説明する。第１図及び
第２図において、１は流量計の本体であり、流入
口２と流出口３とを有し、両口間に計測室４を備
えている。この計測室４には主回転子５が配置さ
れ、この外周面には３枚のベーン６が等間隔に取
付けられている。前記主回転子５の外周面と計測
室４の内壁と互いに隣り合う２枚のベーン６とに
より計量室７が形成され、この計量室７の反対側
にはこの間隙から被測液体が通過するのを阻止す
るように回転する２個の従回転子８が配設されて
いる。この従回転子８には切欠部９が穿設され、
この回転子８と前記主回転子５には夫々ギヤー１
０，１０が取付けられ、ベーン６が従回転子８に
衝突しないように、かつどちらかの従回転子８が
主回転子５に接するように構成されている。

前記主、主回転子５，８の回転子軸１１，１１
は夫々軸受部１２により支承されている。この回
転子軸１１の回転子側には軸受部１２内と計測室
４とを遮断するため、メカニカルシール１３が嵌
挿されている。この軸受部１２には外部に流通す
る流通孔１４が穿設されており、この流通孔１４
には増圧機１５の増圧室１６がダンパ１７を介し
て接続されている。この増圧機１５の増圧室１６
には潤滑油を貯蔵する貯蔵タンク１８が連接さ
れ、背圧室１９には流出口３側から被測液体が案
内されている。又、増圧室１６と背圧室１９との
間にはダイヤフラム室２０が設けられ、被測液体
と潤滑油とが混入しないように構成されている。

上記流量計において、流入口２から被測液体が
流入すると、主回転子５が回転し、被測液体は計
量室７を通過して流出口３から排出される。流出
口３側の被測液体の液圧が増圧機１５の背圧室１
９に案内され、増圧室１６の潤滑油の液圧が流量
計を通過する被測液体よりも高くなるよう増圧さ
れる。このため潤滑油が軸受部１２に供給され、
軸受部１２内の圧力が被測液体の圧力よりも高く
保持されて軸受部１２内に全く被測液体が混入し
ない。しかも軸受部１２と計測室４とをメカニカ
ルシール１３で遮断しているため、潤滑油と被測
液体の差圧を充分に大きくしても軸受部１２内の
潤滑油が計測室４側に漏洩するようなことは全く
生じない。更に、被測液体が脈動するようなこと
が生じてもダンパ１７により緩衝され、潤滑油が
極端な高圧になるようなことも生じない。

尚、この実施例では、流出口３側から増圧機１
５に被測液体が案内されているが、潤滑油の圧力
は増圧機１５により軸受部１２において被測液体
の圧力よりも常時高く保持されているので、この
実施例に変えて、増圧機１５への被測液体を流入
口２から案内するようにしても同様の作用が得ら
れる。

以上説明したように、本考案は軸受部と計測室
との遮断にメカニカルシールを使用しているた
め、軸受部の潤滑油と被測液体との差圧が大きく
ても遮断個所が破壊されることなく、潤滑油と被
測液体との差圧を充分大きくすることができ、軸
受部内の被測液体の浸入が完全に防止できるばか
りか、潤滑油の漏洩も皆無となり、潤滑油の消費
量の少ない軸封装置の提供が可能となる等の利点
がある。

また、メカニカルシールは大きな圧力差に対し
ても、圧力変動に対しても計測室と軸受部とを確
実に遮断しているので、増圧機により圧力が増圧
されても、圧力差が大きく変動しても完全に漏れ
を生じることなく遮断できるとともに寿命の長い
シール効果が得られる。

更に、流量計は一般に配管の途中に配置され、
配管の末端にあるバルブの操作により被測液体の
流出を制御しているので、バルブが開かれて流量
計内を被測液体が通過する時も、バルブが閉じら
れて流れが停止している時も被測液体の圧力が常
時作用しているから常時計測室と軸受部との遮断
が必要であるが、これに対しても充分耐えうる利
点が得られる。

一方、被測液体の脈動、配管の末端に配置され
たバルブの操作により生じるウオータハンマ現象
により、圧力が急激に変ることがあつても、ダン
パを増圧機と軸受部との間に配置しているから潤
滑油が軸受部に急激に作用することがないので、
メカニカルシール、軸受部等を損傷することが皆
無となり、寿命の長い装置の提供が可能となる利
点も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の概略を説明する要部断面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。 １は本体、２は流入口、３は流出口、４は計測
室、５は主回転子、６はベーン、７は計量室、８
は従回転子、９は切欠部、１０はギヤー、１１は
回転子軸、１２は軸受部、１３はメカニカルシー
ル、１４は流通孔、１５は増圧機、１６は増圧
室、１７はダンパ、１８は貯蔵タンク、１９は背
圧室、２０はダイヤフラム室。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 流量計の本体１の計測室４内に回転子を配置
   し、この回転子に固定された回転子軸１１をその
   両端で支承する軸受部１２に流通孔１４を穿設
   し、この流通孔１４から軸受部１２に被測液体よ
   りも高液圧を有する潤滑油を供給するように増圧
   機１５を配置した流量計において、 回転子軸１１の回転子側にメカニカルシール１
   ３を嵌挿してこのメカニカルシール１３により計
   測室４と軸受部１２とを遮断し、前記増圧機１５
   の増圧室１６と軸受部１２とをダンパ１７を介し
   て連接し、更に増圧機１５の背圧室１９に被測液
   体が通過する前記流量計の流出口３を分岐接続
   し、前記軸受部１２内に充満された潤滑油の漏洩
   を防止するとともに計測室４から軸受部１２への
   固体微粉末の混入を防止したことを特徴とする軸
   受部軸封装置。