JPS621760B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、主として衣服の縫製時に行われる
割り縫加工において割りアイロン作業を自動的に
行なう装置に関する。

〔背景技術〕

例えば、スラツクス，スカート，ジヤケツトな
ど比較的厚地の衣服の縫製時には、縫合部のかさ
ばりを防ぐために割り縫を行なう。詳しくは、縫
い代を縫合部を基点にして反転しアイロンでクセ
付けした後、縫代側縁の始末をする。このアイロ
ン作業、いわゆる割りアイロンは一般に縫い代が
幅狭であるため人手に頼つている。しかも、その
仕上がり具合で商品の品質が左右されるため、作
業に熟練を要する。そのため、とくに縫製を一連
の流れ作業で行なう場合に、割り縫加工が流れ作
業の隘路となり、これが生産性向上の障害となつ
ていた。

〔発明の目的〕

この発明は、かかる観点から割りアイロン作業
を自動化することにより非熟練者でも容易に行
え、しかも割りアイロンの作業能率の向上を図る
ことを主たる目的とし、これにより流れ作業方式
の縫製加工における生産性を向上しようとするも
のである。

〔発明の概要〕

上記の目的を達成するために、本発明では上下
に配置したアイロンとアイロン台の間に、生地送
り手段で生地の縫合部を送り込んで通過させて縫
い代を反転姿勢にクセ付けする。また、縫い代を
正しく折り返すために、アイロンより送り方向手
前側に縫い代を折り分けて反転させる生地ガイド
手段を設けたものである。

〔実施例〕

第１図ないし第３図において、１は片持ち状に
支持した前後に長いアイロン台、２はアイロン台
１の上方に平行に配置した上フレームである。ア
イロン台１の遊端側には生地ガイド手段３を前方
に、アイロン４を後方にそれぞれ前後に並べて配
置してあり、これら３，４をはさんで左右に生地
送り手段５が配置されている。

アイロン４は全体として幅狭な舟形に形成され
ていて、その上面の前後に固定した支持棒６・６
を介して上フレーム２に上下動自在に支持され、
各支持棒６に嵌装されたバネ７でアイロン４の下
面がアイロン台１に適当圧で接触するよう常に押
圧付勢されている。

アイロン４は内部にセラミツクヒータと蒸気室
８を有し、蒸気室８が導管９および電磁開閉弁１
０などを介して蒸気供給源１２に通じている。第
３図において、蒸気室８はアイロン４の内底の左
右方向中央部に位置し、アイロン４の下面壁４ａ
に蒸気室８に通じる蒸気噴出用のノズル孔１３が
透設してある。このノズル孔１３の開口部位に対
応して、アイロン台１にはこれの内部に掃気室１
４を区画形成し、これの上面壁１ａに掃気孔１５
が多数透設してある。掃気室１４は掃気通路１６
を介して掃気ブロツク１７に連通している。

第３図および第４図において、生地ガイド手段
３は、アイロン台１の遊端側に固定した生地の位
置決めを行なうための固定ガイド３Ａと、生地の
縫合部Ｓの縫代Ｒ・Ｒを左右に分け開く割りガイ
ド３Ｂとからなる。

固定ガイド３Ａは後端がアイロン台１に対して
片持ち状に連結固定され、山形断面で上端縁１９
が先すぼまりの先鋭状に形成されており、この上
端縁１９はアイロン４の左右中央を通る中心線に
一致していて、前端から固定端側に向かつて緩や
かな弧で上がり傾斜状になつている。そして、上
端縁１９がアイロン台１の上面に段差なく繋がつ
ている。

割りガイド３Ｂはくさび状に形成され、その広
幅な端をアイロン４側にして前述の中心線上に位
置させてあり、その上面に軸支した支持棒２０を
介して上フレーム２に上下動可能に支持され、該
支持棒２０に嵌装せるバネ２１でアイロン台２お
よび固定ガイド３Ａに適当圧で圧接するようにし
てある。割りガイド３Ｂは支持棒２０の下端のピ
ン２２を中心にして上向き揺動可能であるが、該
棒２０との間に介装したバネ２３で常に固定ガイ
ド３Ａに向かつて押圧付勢されている。

生地送り手段５は左右一組のベルトコンベヤ状
の送り機構とこれを駆動する機構とからなる。送
り機構はアイロン台１の上面にアイロン４および
割りガイド３Ｂを左右に挾む状態でアイロン台１
とほぼ同長に配置してあり、エンドレスの平ベル
ト２４と、これが巻き掛け支持される前後一組の
プーリ２５Ａ・２５Ｂおよび両プーリー２５Ａ・
２５Ｂを軸を介して回転自在に支持するフレーム
２７などからなる。両プーリ２５Ａ・２５Ｂのう
ち生地送り込み方向の奥端側に位置するプーリ２
５Ａが駆動プーリとなつており、これが駆動軸２
６および電磁クラツチ２９を介して正逆転モータ
３０に連結されていて、ベルト２４は生地送り込
み方向および戻り方向のいずれにも駆動できる。
駆動軸２６は左右ベルト２４・２４間を上フレー
ム２と一体のブラケツト３１に支持し、左右のベ
ルト２４・２４がフレーム２７を介して駆動軸２
６まわりに上下方向に揺動できる。そして、左右
のフレーム２７は前後の中途部がステー３２で連
結固定され、このステー３２と上フレーム２との
間にバネ３３を介装し、さらに押圧力調節ネジ３
４を配置して、左右のベルト２４・２４が同時に
適正圧でアイロン台１に圧接できる。

ステー３２の下面と、これに対向するアイロン
台１の内部とには、それぞれ生地の送り込み終端
の通過を検知する手段として、図ではフオトセン
サー３５が対向状に配置してある。図示していな
いが、アイロン台１にはフオトセンサー３５の光
路に対応して透口が開口される。

次に、筒状に縫合された衣服パーツＰを加工対
象とした場合を例にして自動割りアイロン操作の
作用を説明する。

第４図において、筒形の衣服パーツＰは固定ガ
イド３Ａに外嵌状に挿嵌し、その縫合部Ｓの縫合
線が固定ガイド３Ａの上端縁１９と一致するよう
セツトする。次いで縫い代Ｒ・Ｒの端部を左右に
折り返し、この折り返し部分をバネ２３に抗しな
がら割りガイド３Ｂの下面に滑り込ませ押圧保持
させる。また縫い代Ｒ・Ｒの左右の生地部分を左
右の各ベルト２４・２４と固定ガイド３Ａとの間
に押し込み、これでセツトが完了する。このと
き、衣服パーツＰは自重で固定ガイド３Ａに沿つ
て変形するが、固定ガイド３Ａの上端縁１９は断
面山形で上がり傾斜状に形成されているため、立
体裁断された衣服パーツＰでも他の生地部分に比
べて変形しにくい縫合部Ｓは該上端縁１９に沿う
傾向、いわば自己調心作用を受け、衣服パーツＰ
が移送されるとき縫合線が左右にズレたり、該上
端縁１９から外れたりすることがない。

衣服パーツＰを前述のようにセツトすると、自
動的にまたは手動のスイツチ操作でベルト２４・
２４がモータ３０で駆動されて衣服パーツＰを引
き込み、一定速度でアイロン４とアイロン台１と
の間を通過させる。モータ３０の起動と同時に電
磁弁１０が開いて、水蒸気が導管９を介してアイ
ロン４に送られ、蒸気室８を経由してノズル孔１
３から噴出し、縫合部Ｓの主として折り返し個所
を湿潤させる。縫い代Ｒ・Ｒはアイロン４の熱と
バネ７による押圧力とによつて、アイロン４を通
過する間に反転姿勢にクセ付けされる。縫合部Ｓ
を透過して掃気室１４内に吸引された水蒸気は掃
気ブロア１７で廃棄される。

衣服パーツＰの送り込み始端がアイロン４の下
面を通過し、フオトセンサー３５の光路を遮る
と、モータ３０を逆転するための制御回路がスタ
ンバイ状態となる。衣服パーツＰが完全にアイロ
ン４の下面を通過し、その送り込み終端がフオト
センサー３５の光路から外れると、受光に基づく
指令信号によつて電磁クラツチ２９が動力を遮断
してベルト２４の駆動を停止する。同時に電磁弁
１０が閉じられ水蒸気の噴出を停止する。またモ
ータ３０にはブレーキが掛けられ、これが停止す
ると同時に逆回転方向に起動される。次いで電磁
クラツチ２９が駆動動力を伝達し、駆動軸２６を
介してベルト２４・２４を逆転させる。これによ
り、衣服パーツＰはアイロン台１上を固定ガイド
３Ａに向かつて戻され、その送り込み始端がベル
ト２４・２４から離れるまで逆送される。この逆
送過程で衣服パーツＰはフオトセンサー３５の光
路を遮り再び開放する。従つて、光路開放時の受
光指令信号によつてモータ３０を正転起動させる
制御回路をスタンバイ状態にし、同時にタイマー
を作動させて一定時間経過後（逆送完了後）にモ
ータ３０の駆動を停止する。

以後は衣服パーツＰを固定ガイド３Ａから抜き
取り、新たな衣服パーツＰをセツトして、上記の
操作を繰り返すことになる。

〔別実施例〕

第５図は本発明の別実施例を示す。これでは、
アイロン台１の内部に左右一組のベルトコンベア
状の送り機構を配置し、これと上記実施例で説明
した送り機構とで生地送り手段５を構成した点、
つまりアイロン４を左右に挾む上下一対のベルト
２４ａ，２４ａ，２４，２４で生地を送る点が上
記実施例と異なるものとなつている。この場合、
アイロン台１内の駆動側のプーリ２５Ａ，２５Ａ
はモータ３０ａで直接駆動する。また、アイロン
台１内のベルト２４ａ，２４ａの上側走行領域の
内面には、ベルト２４ａの沈みを防ぐ走行案内板
３６を配置しておくことになろう。

このように生地送り手段５は、一組のベルト２
４，２４ａ間に生地を挾んで送るものでもよい
し、アイロン台１内にのみ左右一組のベルト２４
ａ，２４ａを設け、これの上面に生地押さえを圧
接するように変更してもよい。さらに生地送り機
構として、ベルト２４に代えて回転駆動される複
数個のローラを採用すること、あるいはミシンで
周知の送りカムに代えるなども可能であり、必要
に応じて選択できる。

また、第６図のように、送り機構を生地送り方
向に向かつて僅かに先拡がり状となるよう配置
し、これにより生地の左右方向のたるみを除去し
ながら生地送りができるようにしてもよい。

第７図は本発明の更に異なる別実施例を示して
おり、これではアイロン４および割りガイド３Ｂ
を専用のフレーム２ａと平行リンク機構３８を介
して上フレーム２に上下平行変位可能に支持し、
衣服パーツＰの逆送時に操作シリンダ３７でフレ
ーム２ａを上方移行させて、アイロン４と割りガ
イド３Ｂがアイロン台１から離れるようにしたも
のである。

その他、アイロン台１の上面を山形や突曲面に
形成し、これに対応してアイロン４の底面形状を
変更すること、水蒸気の供給およびモータ３０の
起動、停止、逆転などの制御シーケンスを必要に
応じて変更することなども必要に応じて適宜変更
できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明では生地ガイド
手段３で縫合部Ｓの縫い代Ｒ・Ｒを左右に折り返
し案内し、これを生地送り手段５で強制的に移行
させて、アイロン４とアイロン台１との間に生地
を通過させることにより、割りアイロンを自動的
に行えるようにした。従つて、従来は熟練作業者
に頼らざるを得なかつた割りアイロン作業が生地
を定位置に定姿勢でセツトするだけの操作でよ
く、非熟練者でも容易に行える。その結果、割り
アイロンの作業効率を向上することができ、とく
に流れ作業方式の縫製加工における生産性を著し
く向上できる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明に係る装置の第１
実施例を示し、第１図は側面図、第２図は平面
図、第３図は第１図における使用状態でのＡ―Ａ
線断面図、第４図は使用状態での要部の側面図で
ある。第５図は本発明の第２実施例を示す要部の
縦断正面図、第６図は本発明の第３実施例を示す
要部の平面図第７図は本発明の第４実施例を示す
第１図相当の側面図である。 １……アイロン台、２……上フレーム、３……
生地ガイド手段、３Ａ……固定ガイド、３Ｂ……
割りガイド、４……アイロン、５……生地送り手
段、８……蒸気室、１４……掃気室、２４……ベ
ルト、２５Ａ……駆動プーリ、３０……モータ、
３５……フオトセンサー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アイロン台１と、アイロン台１に接触するア
   イロン４と、アイロン４とアイロン台１との間に
   生地を送り込む生地送り手段５と、アイロン４よ
   り生地送り方向の手前側に配置されて生地の縫合
   部Ｓにおける縫い代Ｒ・Ｒを反転姿勢に折り返し
   て生地送り手段５に案内する生地ガイド手段３と
   を備えた自動割りアイロン装置。