JPS6130864Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は連続捺印可能な回転印判における印字
体（固定印字体）へのインク補給構造に関するも
のである。

近年、インク吸蔵性多孔性印材の開発に伴い、
連続捺印可能な押印器とともに、連続捺印可能な
回転印判も用いられつつある。

このような回転印判においては、インクを補給
することなく、連続捺印することができる期間を
長くするために、印字ベルトに該印字ベルトの裏
面よりインクを補給するインク貯蔵槽（例えば、
多孔質体）を、回転印判の本体基枠内に設けたも
のが提案されている。

しかしながら、印字ベルトの印字部とともに印
字面を構成する固定印字体に対しては、本体基枠
内のスペース上の制約などから、上記のようなイ
ンク貯蔵槽が設けられておらず、それによつて連
続捺印できる期間が印字ベルトの印字部よりも短
かくなるという欠点があつた。

また、固定印字体にインクを補給するにしても
該固定印字体が印字体支持枠に取付けられた状態
では、固定印字体の裏面が印字体支持枠の下面板
に接しているので、表面（印字面）側からしかイ
ンクの補給ができず、それによつてインクの補給
に要する時間が長くなり、また、インク補給直後
は印字面付近のインク吸蔵量が多くなるので、印
影が滲みやすく、場合によつては印字体支持枠や
本体基枠等を汚損するという不具合もあつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、印
字体支持枠の下面板に取付けられた固定印字体に
該固定印字体の裏面よりインクを補給できるよう
に構成することにより、上記従来の不具合を解消
した回転印判におけるインク補給構造を提供する
ことを主目的とする。

本考案は、固定印字体が取付けられる印字体支
持枠の下面板下面に、インク補給溝が凹設されて
いることを特徴とする。

以下、本考案の構成を、実施例について、図面
に沿つて説明する。

第１図および第２図において、１は回転印判
で、本体基枠２の内部に補助基枠３が上下動可能
に設けられている。この補助基枠３の上部には回
転円盤４，５，６，７が回転可能に支承され、そ
の下部には箱形状の支持部材８が取付けられ、さ
らに回転円盤４，５，６，７と支持部材８下端部
との間にインク吸蔵性を有する印字ベルト９，１
０，１１，１２が回転可能に懸回されている。

支持部材８は下端全体が開口され、その内部に
充填されたインク吸蔵体１３（多孔質体）が、直
接に、印字面を構成する印字ベルト９，１０，１
１，１２の印字部裏面に当接し、該各印字部にイ
ンクを供給するように構成されている。また、支
持部材８の側壁内側には一端が外部に開放された
インク溝８ａ，８ａが刳設され、その開放部分を
通じてインクの補給ができる（インク溝８ａ，８
ａ内にはインク吸蔵体１３は存しない）。

本体基枠２の上部には、１対の上部長孔２ａ，
２ａが形成され、該上部長孔２ａ，２ａを通じて
回転円盤４，５，６，７の回転軸１４，１５，１
６，１７がそれぞれ外部に突出している。また、
上部長孔２ａ，２ａは回転軸１４，１７のハンド
ル盤１８，１９により隠蔽され、本体基枠２内へ
のほこりの侵入が防止される。一方、本体基枠２
の下部にも一対の下部長孔２ｂ，２ｂが穿設さ
れ、該下部長孔２ｂ，２ｂを通じて内部に挿通さ
れた係合軸２０によつて略円筒状の印字体支持枠
２１が、本体基枠２に上下方向に摺動可能に外嵌
されている。

印字体支持枠２１の下面板２１ａには、印字面
を構成する印字ベルト９，１０，１１，１２の印
字部が外部に露出する矩形状の開口２１ｂが開設
されるとともに、該開口２１ｂの周縁に固定印字
体２２が保持具２３にて、接着剤その他の接着手
段を用いることなく、取付けられている。また、
下面板２１ａの下面には断面半円形状のインク補
給溝２４が凹設されている。このインク補給溝２
４は、外周縁付近に位置する環状部分２４ａと、
一端が環状部分２４ａに対して、他端が開口２１
ｃに対して開設された直線状部分２４ｂ，２４ｂ
とからなる。

２５，２５は開口２１ｂの端部において立設さ
れた係合突片で、Ｕ字状の切欠部２５ａ，２５ａ
が形成され、該切欠部２５ａ，２５ａを通じて直
線状部分２４ｂ，２４ｂの端部が開口２１ｃに対
して開口している。係合突片２５，２５は、開口
２１ｂに対応して形成された固定印字体２２の開
孔に係合し、保持具２３と協働して固定印字体２
２を定位置に固定する。すなわち、固定印字体２
２は、印字体支持枠２１に対する相対位置が定め
られる。

補助基枠３の両側板３ａ，３ａには矩形状の切
欠部３ｂ，３ｂが形成され、該切欠部３ｂ，３ｂ
を通じて後述の軸受部材２８が取付けられる。ま
た、側板３ａ，３ａには、本体基枠２の下部長孔
２ｂ，２ｂに対応した長孔状の貫通孔３ｃ，３ｃ
が穿設されている。

さらに、詳述すると、回転円盤４，５，６，７
のうち内側に位置する回転円盤５，６それぞれ反
対方向に中実丸棒状の回転軸１５，１６が立設さ
れている。外側の回転円盤４，７には円筒状の回
転軸１４，１７が前記回転軸１５，１６と同様に
反対方向に立設されている。また、回転軸１４，
１７はそれぞれ回転軸１５，１６と同軸で、かつ
それらの外側に位置して回転自在である。すなわ
ち、回転軸１５，１６がそれぞれ回転円盤４，７
の貫通孔および回転軸１４，１７の中心孔内に回
転自在に挿通されている。

回転軸１４，１７の外端部には、該回転軸１
４，１７の回転を容易にするハンドル盤１８，１
９が連設されている。回転軸１５の外端部は回転
軸１４のハンドル盤１８よりもさらに外方に突出
され、その断面が略十字状に形成され、その回転
を容易に行えるようにしている。また、回転軸１
６の外端部はハンドル盤１９よりもさらに突出さ
れ、その断面が略一字状に形成されている。さら
に、ハンドル盤１８，１９は何れも外周に規則的
に突出部が突設され、それらの回転が容易に行え
るようになつている。

２６は補助基枠３の上面板から上方に突設され
たねじ棒で、本体基枠２の上部板２ｃに回転可能
に取付けられた断面六角形のねじ金具２７に螺合
されている。このねじ金具２７を回転することに
より、補助基枠３を上下動させることができる。

２８は軸受部材で、基板２８ａから略Ｕ字状の
軸受部２８ｂ，２８ｂ，２８ｂ，２８ｂが所定間
隔でもつて立設されてなり、補助基枠３に架設さ
れた支持棒２９（基板２８ａに嵌挿されている）
により補助基枠３の上部に取付けられている。軸
受部２８ｂ，２８ｂ，２８ｂ，２８ｂはそれぞれ
各回転軸１４，１５，１６，１７を軸受してい
る。

３０は略円筒状の把持体で、その内部下方に固
設されたナツト３１が、ねじ金具２７を通じて上
方に突出されたねじ棒２６に螺着され、それによ
つて本体基枠２上部に取付けられている。３２は
外筒体で、印字体支持枠２１の外側に摺動自在に
取付けられ、それらの間に介装されたスプリング
３３によつて常時下方に付勢されている。３４は
把持体３０の上部に嵌着されたキヤツプである。

したがつて、上記構成によれば、インクを固定
印字体２２に補給する場合、印字体支持枠２１を
下方に引き出し、先端部が針状のインク注入器な
どにより、その先端部を、係合突片２５，２５の
切欠部２５ａ，２５ａ（インク補給溝２４の直線
状部分２４ｂ，２４ｂの開放部分）に臨ませて、
インクを適量だけ注入する。すると、注入された
インクは、インク補給溝２４の直線状部分２４
ｂ，２４ｂおよび環状部分２４ａ全体に亘つて一
様に伝播し、インク補給溝２４がインクタンクと
して機能するとともに、該インク補給溝２４内の
インクが固定印字体２２の裏面を通じて該固定印
字体２２の連続気孔内を流れていき、印字面付近
は適度のインク吸蔵量に保たれる。このようにし
て、固定印字体２２へのインクの補給がなされ
る。

なお、本考案は、固定印字体２２が印字部とイ
ンク吸蔵部とからなる二層構造である場合には、
通常、印字部よりもインク吸蔵部の方が空隙率が
大きいため、印字面（印字部）側よりのインクの
補給が困難であるので、特に有益である。ここ
で、空隙率とは、全体積に対して気孔が占める割
合の体積百分率である。

本考案は、上記のように、固定印字体が取付け
られる印字体支持枠の下面板下面に、インク補給
溝を設け、固定印字体に裏面よりインクの補給が
できるように構成したため、インクの補給が容易
にできるとともに、固定印字体の印字面付近は常
時適量のインク吸蔵状態に保たれるという実用上
優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第
１図は回転印判の断面正面図、第２図は同要部断
面側面図、第３図は印字体支持枠の底面図、第４
図は第３図の−線に沿う断面図である。 １……回転印判、２……本体基枠、３……補助
基枠、４，５，６，７……回転円盤、８……支持
部材、９，１０，１１，１２……印字ベルト、２
１……印字体支持枠、２１ａ……下面板、２１ｂ
……開口、２２……固定印字体、２３……保持
具、２４……インク補給溝、２４ａ……環状部
分、２４ｂ……直線状部分、２５……係合突片、
２５ａ……切欠部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に印字ベルトを回転可能に懸回した本体基
   枠の下部に印字体支持枠が上下方向に摺動可能に
   外嵌され、該印字体支持枠の下面側に、印字面を
   構成する前記印字ベルトの印字部が露出する開口
   が開設されるとともに、該開口の周縁にインク吸
   蔵性固定印字体が保持具にて取付けられ、該固定
   印字体が当接する下面板の下面にインク補給溝が
   凹設され、該インク補給溝の端部が前記開口に対
   して開設されていることを特徴とする回転印判に
   おけるインク補給構造。