JPS6117916Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はLPG船パージ用バージに係る。

LPG船のLPGタンク内には、その積荷である
LPGを荷降しした後にも、LPGの気化ガス即ちプ
ロパン或はブタン等が不可避的に残留している。
そのためかかるLPG船のLPGタンク内を検査し或
はそれに修理等を施す場合には、酸欠による人身
災害または火災或は爆発の危険をなくすため、前
もつてLPGタンク内に残留するプロパン、ブタン
等の可燃性ガスを完全に排除しておかなければな
らない。従来、かかる残留LPGの排除を行うに
は、LPG船を棧橋に繋留し、陸上に設置された窒
素ガスタンク等により供給された窒素ガスの如き
不活性ガスを配管にてLPGタンク内へ導き、また
かかる不活性ガスとの置換によつてLPGタンクよ
り排出された可燃性ガスは配管によつて一旦地上
に設置されたフレアースタツクへ導かれ、ここで
可燃性ガスを燃焼して大気中に放出されていた。
しかしかかる従来の残留LPG排出方式によるとき
は、大量のLPGを貯蔵出荷する基地とLPG船とが
配管にて結合され、長時間連続作業をする関係
上、基地の保安問題が懸念され、また一方に於て
は棧橋の混雑を招き、長時間LPG船が繋留占拠す
ることによる棧橋の有効利用も阻害される。

本考案は、上述の如き問題に対処し、特に基地
保安の確保および経済的観点からも大きな利益を
もたらす新規なLPG船用LPGタンクパージ装置を
提供することを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、LPG船のLPG
タンク内に残留するLPGを排出するためのバージ
にして、液化不活性ガス貯蔵タンクと、LPG貯蔵
タンクと、LPG燃焼用の燃焼器と、圧縮機と、二
つの流体通路を有しその間に熱交換を行う熱交換
器と、LPG船のLPGタンクより流体を受入れこれ
を前記圧縮機と前記熱交換器の一方の流体通路と
を順に経て前記LPG貯蔵タンクへ導く導管系と、
前記液化不活性ガス貯蔵タンクより前記熱交換器
の他方の流体通路を経てLPG船のLPGタンクへ流
体を導く導管系と、前記LPG貯蔵タンクより前記
燃焼器へLPGを導く導管系と、前記燃焼器にて
LPGの燃焼により生じた燃焼ガスをLPG船のLPG
タンクへ導く導管系と、前記各導管系中に組込ま
れ前記液化不活性ガス貯蔵タンクより供給された
不活性ガスと前記燃焼器にて発生された燃焼ガス
の少なくとも一方をLPG船のLPGタンク内へ給送
しLPG船のLPGタンクより排出されたLPGを前記
LPG貯蔵タンクへ収納するよう前記各導管系を切
換える弁装置とを有することを特徴とするバージ
によつて達成される。

このように一つのバージに、不燃性ガス発生設
備と、LPG回収設備と、LPG燃焼除去設備とを組
込むことにより、かかるバージを任意の沖合位置
に繋留されたLPG船に接舷せしめることによつ
て、そのLPGタンクの残留LPGのパージを容易に
行うことができ、これによつて従来の如く残留
LPGのパージの為に貴重な棧橋を占用することが
回避され、また棧橋に隣接する貴重な陸上スペー
スを用いてパージ用の設備を設置する必要も回避
され、LPG基地の保安も確保することができる。

添付の図は本考案によるLPG船パージ用バージ
の一つの実施例を示す概略図である。図に於て、
１はバージ即ち艀である。バージ１上には不活性
ガス供給源となる液体窒素タンク２ａ及び２ｂが
設けられている。これらのタンクに貯えられた液
体窒素は必要に応じてポンプ３により取出され、
配管４を経て後述の如くLPGタンクより排出され
たプロパンと熱交換される熱交換器５または海水
によつて加熱される熱交換器６に通されるように
なつている。熱交換器５を通つた窒素は、更に必
要に応じて後述の如くLPGタンクより排出された
ブタンと熱交換される熱交換器７に通されるよう
になつている。これらの熱交換器を経て加熱され
ることにより気体となつた窒素は、配管８を経て
バージを必要とするLPG船のLPGタンク内へ供給
される。

窒素ガスによりLPGタンクより置換排出される
プロパンガスは配管９を経てバージへもたらさ
れ、これより更に配管１０を経て熱交換器５へ導
かれ、ここで液体窒素との熱交換によつて冷去液
化され、タンク１１に貯えられる。尚、この際必
要ならば、プロパンガスは配管１０より配管１２
を経て圧縮機１３に通され、圧縮された後、熱交
換器５へ通される。配管１０により送られてくる
プロパンガスは、場合によつては熱交換器５へ通
されることなく、そのまま更に配管１４及び１５
を経て配管１６よりタンク１１へ導かれてもよ
い。

配管８を経てLPGタンク内へ導入された窒素ガ
スによつて置換排出されたプロパンガスは配管１
７を経てバージへ導入され、該ガスはこれにより
配管１８を経て熱交換器７へ導かれ液化される。
この場合、必要に応じて、ブタンガスは配管１８
の途中より分岐された配管１９へ通され、圧縮機
２０にて圧縮された後、熱交換器７へ送られても
よい。ブタンガスはプロパンガスより液化し易い
ため、熱交換器７へ通される冷却媒体即ち窒素は
プロパン冷却用の熱交換器５を経由した加熱窒素
ガスを直列に使用可能である。熱交換器７にて冷
却液化されたブタンは、タンク２１へ導入され、
貯蔵される。或はまた、この場合にも、配管１８
を経て送られてくるブタンはそのまま配管２２，
１５へ通され、配管２３を経てタンク２１へ導入
されてもよい。

LPGタンク内に残留するLPGを置換排出する為
の不燃性ガスとしては、上述の如くタンク２ａ或
は２ｂに貯蔵された液体窒素を気化して用いるこ
とに加えて、或はこれに代えて、プロパン或はブ
タンを燃焼させることにより生じた燃焼生成ガス
が用いられてもよい。その為には、タンク１１に
貯えられたプロパン或はタンク２１に貯えられた
ブタンをポンプ２４により取出し、これを海水に
て加熱される熱交換器２５へ通して加熱ガス化
し、或はその必要がないときにはバイパス配管２
６を経て該熱交換器をバイパスして燃焼装置２７
へ導き、ここでプロパン或はブタンを燃焼させて
燃焼生成ガスを発生させ、これより煤その他の不
純物を除去した後、更に乾燥器２８へ通し含有水
分を除去し、かくして得られた燃焼生成ガスより
なる不燃性ガス即ち主としてCO₂を配管８を経て
LPGタンクへ供給できる。

LPGタンク内の不燃性ガスによる置換排出が進
行し、その終りに近付くと、配管９或は１７を経
て送られてくるガス中には置換ガスが混入してく
るので、これを熱交換器５或は７により液化して
タンク１１或は２１に貯えるには適さなくなる。
かかる状態に至つたときには、上述の如くこれら
のガスをタンクに貯蔵することなくそのまま燃焼
器２７へ導き、燃焼生成ガスの発生に使用し、液
体窒素の消費を削減するのが好ましい。更にLPG
タンク内の置換排出が進行し、配管９或は１７を
経て送られてくるガス中に於るプロパン或はブタ
ンの割合が著しく低下してくると、かかるガスは
最早燃焼器２７へこれを導いて燃焼生成ガスの発
生に使用するにも適さないものとなる。かかる終
末の状態に至つたときには、配管９或は１７を経
て送られてくるガスを配管３１より水封器３２を
経てフレアースタツク３３へ導き、ここで可燃成
分を燃焼させて大気へ放出する。尚、フレアース
タツク３３は、そのときの気象条件に応じて火焔
の方向を変えることができるよう、偏向可能に作
られるのが好ましい。

上記の実施例の構成を実用新案登録請求の範囲
に記載された本願考案の構成に照らして見れば以
下の通りである。

液体窒素タンク２ａ或は２ｂは液体窒素を蓄え
るものであり、液体窒素は液化不活性ガスの一例
であり、従つて図示の実施例は液化不活性ガス貯
蔵タンクとして液体窒素タンク２ａ又は２ｂを備
えている。プロパンタンク１１に蓄えられるプロ
パン及びブタンタンク２１に蓄えられるブタンは
何れもLPGとして用いられることの多いものであ
り、従つてプロパンタンク１１及びブタンタンク
２１は何れもLPG貯蔵タンクの一つの実施例であ
る。従つて、図示の実施例についてその構成を一
般的に見れば、これは液化不活性ガス貯蔵タンク
として作動するタンク２ａ又は２ｂの何れか一方
又は両方を有し、LPG貯蔵タンクとしてプロパン
タンク１１又はブタンタンク２１の何れか一方又
は両方を有し、何れもLPGの一種であるプロパン
ガス或いはブタンガスを圧縮する圧縮機１３又は
２０の何れか一方又は両方を有し、これらプロパ
ンガス又はブタンガスに対してそれぞれ作動する
それぞれが二つの流体通路を有しその間に熱交換
を行う熱交換器５又は７の何れか一方又は両方を
有し、LPG船のLPGタンクより流体を受入れこれ
を前記圧縮機と前記熱交換器の一方の流体通路と
を順に経てLPG貯蔵タンクであるプロパンタンク
１１又はブタンタンク２１へ導く管９，１０，１
２，１７，１８，１９等よりなる導管系と、液化
不活性ガス貯蔵タンクである液体窒素タンク２ａ
又は２ｂより前記熱交換器の他方の流体通路経て
LPG船のLPGタンクへ流体を導く管４，１４，８
等よりなる導管系と、前記LPG貯蔵タンクより前
記燃焼器へLPGを導く図に於ては特に符号を付さ
れていないが図にて明確に示されている幾つかの
管により構成された導管係と、前記燃焼器２７に
てLPGの燃焼により生じた燃焼ガスをLPG船の
LPGタンクへ導く管８等を含む導管系と、これら
各導管系中に組込まれ前記液化不活性ガス貯蔵タ
ンクより供給された不活性ガスと前記燃焼器にて
発生された燃焼ガスの少なくとも一方をLPG船の
LPGタンク内へ給送しまたLPG船のLPGタンクよ
り排出されたLPGを前記LPG貯蔵タンクへ収納す
るよう前記各導管系を切換える図にて特に符号は
付されていないが弁を表示する一般的記号に従つ
て表示された幾つかの弁装置とを有しており、こ
の図示の実施例が本願考案が目的とするLPG船の
LPGタンク内に残留するLPGを排出する機能を有
するバージを構成していることが明らかであろ
う。

上述の如き設備を備えたバージ１は、それ自身
動力装置及び操舵装置の如き走行装置を備え、自
走式バージとして構成されていてもよく、或は曳
き船によつて引かれることにより移動されるよう
なバージ型式でもよい。いずれにしても、バージ
１はその都度必要に応じて任意の沖合位置に繋留
されたLPG船の舷側に接舷するよう移動され、
LPG船をその繋留位置に保つたままでそのLPGタ
ンクのパージを行うことができる。

以上に於ては本考案を一つの実施例について詳
細に説明したが、本考案がかかる実施例にのみ限
られるものではなく、本考案の範囲内にて種々の
修正が可能であることは当業者にとつて明らかで
あろう。

【図面の簡単な説明】

添付の図は本考案によるLPG船パージ用バージ
の一つの実施例を示す概略図である。 １……バージ、２ａ，２ｂ……液体窒素タン
ク、３……ポンプ、５，６，７……熱交換器、８
……窒素ガス送出管、９……プロパンガス取入
管、１１……プロパンタンク、１３……圧縮機、
１７……ブタンガス取入管、２０……圧縮機、２
１……ブタンタンク、２４……ポンプ、２５……
熱交換器、２７……燃焼器、２８……乾燥器、３
２……水封器、３３……フレアースタツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. LPG船のLPGタンク内に残留するLPGを排出す
   るためのバ−ジにして、液化不活性ガス貯蔵タン
   クと、LPG貯蔵タンクと、LPG燃焼用の燃焼器
   と、圧縮機と、二つの流体通路を有しその間に熱
   交換を行う熱交換器と、LPG船のLPGタンクより
   流体を受入れこれを前記圧縮機と前記熱交換器の
   一方の流体通路とを順に経て前記LPG貯蔵タンク
   へ導く導管系と、前記液化不活性ガス貯蔵タンク
   より前記熱交換器の他方の流体通路を経てLPG船
   のLPGタンクへ流体を導く導管系と、前記LPG貯
   蔵タンクより前記燃焼器へLPGを導く導管系と、
   前記燃焼器にてLPGの燃焼により生じた燃焼ガス
   をLPG船のLPGタンクへ導く導管系と、前記の各
   導管系中に組込まれ前記液化不活性ガス貯蔵タン
   クより供給された不活性ガスと前記燃焼器にて発
   生された燃焼ガスの少なくとも一方をLPG船の
   LPGタンク内へ給送しLPG船のLPGタンクより排
   出されたLPGを前記LPG貯蔵タンクへ収納するよ
   う前記各導管系を切換える弁装置とを有すること
   を特徴とするバージ。