JPS6112722Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は畑地にマルチング裁培用のプラスチツ
クシートを敷設する装置に関するものであつて、
特に柔かく耕運された土地に整然と畝を成形しな
がら、成形した畝に自動的にマルチングシートを
敷設してゆく装置に係るものである。

畝の成形と、マルチングシートの敷設とを同時
に行なわせるようにした装置は、従来からも種々
知られており、その一例は実公昭50−15938号公
報に開示されているとおりである。このものは第
８〜９図に示すように装置本体１の前方両翼に左
右一対の土寄板２，２をとりつけ、かつこの土寄
板を前方に向つて末広がりに形成させて、両側の
土を中央部に向つて抱きこむようにして掻き寄
せ、掻き寄せた土を別途に設けた均平板３でなら
して畝を形成させるようにしたものである。なお
本体１の後方には形成した畝を踏み固めるための
鎮圧ロール４がとりつけられている。ちなみに符
号５はビニールシートの巻取り、６は踏圧輪、７
は覆土板、８は畝成形機を牽引する管理機であ
る。

従来型の畝成形機は概ね前記のような構造であ
つたから、次のような欠点があつて、改善が望ま
れていた。すなわち左右の土寄板が前方に向つて
末広がりに曲成されているため、過剰に土を抱き
込んでしまう傾向がある。それ故牽引力を強大に
しないと運行させることができず、馬力の大きな
管理機を必要とする。また装置それ自体も大きな
土圧が加わるので、強度を高くしなければなら
ず、そうした場合でも土の抵抗が大きいために耐
久性に乏しいという憾みがあつた。その上従来型
の装置は土を抱き込むために、運転に際して装置
前方が土中に喰い込むような前かがみの姿勢にな
り易く、そのため畝を出来るだけ高目に形成させ
ようとしても、それをなし得ないという欠陥があ
つた。

ここにおいて本考案は、出来るだけ高い畝を形
成させると共に、極力土の抵抗を減じ、かつ軽い
牽引力で運行が可能な畝成形機を提供せんとした
ものである。

本考案を図に示す実施例について具体的に説明
すると、角形鋼管を２本併設して基枠１１とし、
この基枠に対して、左右に１対づつ該基枠よりも
小径の角鋼管１２，１２を拡縮自在に挿着する。
角鋼管１２の端部には、それぞれブラケツト１３
を張出させ、このブラケツト後端に踏圧輪１４と
覆土輪１５を、その取付位置を調節しうるように
付設する。また前記ブラケツト１３の両側には第
１〜２図に明示するような溝切部１６，１６を固
着する。この溝切部はブラケツトの下面に固着し
た補強部材としての支持枠１６ａの内面において
垂直にとりつけた成形板１６ｂと、該成形板の前
方においてそれと一体に、外側に向つてやや彎曲
させて設けた溝切板１６ｃ、ならびに前記支持枠
１６ａの外側において、後方に向つて斜めに穿設
させた排土板１６ｄとによつて構成されている。

基枠１１の左右両側に設けられた溝切部１６，
１６の間には、第５〜６図に示すような抑圧板１
７を、支軸１８を介して前記成形板１６ｂの上方
に枢着する。ちなみにこの抑圧板の下面には、土
砂の附着を防止するための塩化ビニール板１７ａ
を貼りつけておく。しかしこの抑圧板の後部背面
には、次のような加圧機構１９を組込む。この加
圧機構は第６図に明示するように、抑圧板１７を
支軸１８を支点として常時、時計針方向に廻動さ
せるように加圧するものであつて、抑圧板の下部
背面にとりつけた連係杆２１に対して、加圧杆２
２の下端を枢着すると共に、加圧杆の上端は前記
基枠１１の上面に止ネジ２３を介して掛止める。
一方、この加圧杆の下端部には複数個の透孔２４
を穿設し、この透孔の何れかに座金２５と割ピン
２６とをとりつけ、かつこの座金と基枠下面との
間にコイルスプリング２７を縮設する。

このようにして前記抑圧板１７に対して常時圧
下傾向を附与するもので、スプリング２７の弾力
は前記透孔２４に挿し込む割ピン２６の挿し込み
位置で調節する。すなわち上の方に位置する透孔
を選択すれば、それだけスプリングの弾力は強ま
る。ところで前記抑圧板１７については、その幅
Ｌが異なるものを別途に用意しておき、これを適
宜交換して所定の畝幅が得られるようにする。こ
の抑圧板１７は、前述のように支軸１８を介し
て、左右一対に成形板１６ｂ，１６ｂの間に遊持
されているから、幅員の違つた抑圧板と交換した
い場合には、前記成形板がとりつけられたブラケ
ツト１３，１３を角鋼管１２，１２を介して基枠
１１，１１より側方に引出して、既にとりつけら
れている抑圧板をとり外す。その際加圧機構１９
における加圧杆上端の止ネジ２３を弛めて、この
部分をも同時にとり外すことは勿論である。かく
して抑圧板をとり外してから、幅員の違つた別の
抑圧板をとりつけ、前記と逆の手順の下に、これ
を成形板１６ｂ，１６ｂの間にとりつけるのであ
る。

ところで本考案の実施例においては、図示のと
おり基枠１１の上面後方に、重錘載置枠２８を張
出させ、この載置枠上には砂袋その他適宜の重錘
を載架しうるようにして、土壌の性質に応じこれ
ら重錘を使用しうるようになす。すなわち重錘に
より本機全体を沈めることが適当な場合には、そ
れをなしうるようにする。なお図中符号２９で示
すものは、マルチングに使用するビニールシート
等の巻取りＲを懸架するためのシート懸架枠であ
つて、図示のように先端部には円錐形の支承杆３
０をとりつけると共に、懸架枠それ自体の有効長
もネジ３１で適宜調節可能として、巻取りＲの径
に応じ、任意の長さに止着しうるように構成す
る。ちなみに符号３２は牽引杆、３３は調節用の
蝶ネジまたは調節ネジである。

本考案の畝成形機は上記のような構成を有する
もので、牽引杆３２を介して装置全体を管理機ま
たはトラクター（図示せず）等で牽引しながら使
用する。すなわち本装置を適宜の動力機によつて
牽引曳行するとき、最先端に位置する溝切部１６
の溝切板１６ｃが若干土中に沈みながら前進し、
左右に開いた溝切板１６ｃと、上方に位置する抑
圧板１７とによつて、装置前方に展開する土を内
側にとり込みながら進行する。溝切板１６ｃはや
や外側に開いているので、進行するにつれて土を
内側に寄せる効果はあるが、従来型のように中央
部にまで持ち来たす作用はないから、全体として
軽く牽引される。そして両側は土の溝切板１６ｃ
によつて幾分側方に寄せられると共に、上面の土
は前記抑圧板１７により上から抑えこまれる結
果、溝切板１６ｃと抑圧板１７とによつて区劃さ
れた形状の畝が装置後方に連続的に形成される。
形成された畝に対してはビニールシートの巻取り
Ｒから繰出されたシートＳが連続的に畝上に敷設
され、踏圧輪１４によつて畝の裾部にシートの端
縁が踏みつけられると、次いでその後方に控える
覆土輪１５を介してシート上に土がかけられて、
マルチングシートの敷設が完了する。

本考案によれば、上述のようにして溝切板１６
ｃにより規定された幅で、かつ抑圧板１７により
抑えこまれた高さの畝が整然と形成され、かつこ
の畝上にはマルチングシートが連続的に敷設され
る。しかも本装置は耕運された土壌面を軽く曳行
してゆくだけで所定幅の畝が得られ、しかもその
畝幅は左右方向に拡縮自在とした溝切部１６によ
つて調節が可能であり、その上、スプリングの弾
力を調節自在とした抑圧板により畝の高さおよび
硬さをも調節ができるから、従来型のこの種装置
に比較して作業効率を高めることができる。そし
てまた本装置によれば、従来のように大型の管理
機を必要とせず、精々２〜３馬力の小型機で牽引
が可能である等の有用性を発揮する。更にまた本
考案の抑圧板１７はその両端部に突設させた支軸
１８と左右に配設された溝切部の透孔とを介して
その全体を取外すことができるようになつている
から、本装置の輸送、保管に際しては、これを取
外して装置全体の幅を第７図に示すように組立時
の２分の１程度にまで収縮させることができる。
したがつて格納に便利であり、組立ても容易であ
る。その上、この抑圧板は１枚の単板で構成され
ているから、成形後の畝の上面に筋がつかず、完
全な平坦面となるので、ビニールシートが畝面に
密着してその間に隙間を生じさせない利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の畝成形機を示す斜視図、第２
図は同上正面図、第３図は同上平面図、第４図は
同上背面図、第５図は抑圧板の取付状態を示す背
面図、第６図は同上拡大断面図、第７図は本考案
の抑圧板１７を取外して装置全体を幅方向に収縮
させた状態を示す平面図、第８図は従来型の畝成
形機を示す平面図、第９図は同上側面図である。 １１……基枠、１２……角鋼管、１３……ブラ
ケツト、１４……踏圧輪、１５……覆土輪、１６
……溝切部、１６ａ……補強枠、１６ｂ……成形
板、１６ｃ……溝切板、１６ｄ……排土板、１７
……抑圧板、１８……支軸、１９……加圧機構、
２１……連係杆、２２……加圧杆、２３……止ネ
ジ、２４……透孔、２５……座金、２６……割ピ
ン、２７……コイルスプリング、２８……重錘載
置枠、２９……シート懸架枠、３０……支承杆、
３１……ネジ、３２……牽引杆、３３……蝶ネジ
または調節ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基枠１１の両側に、成形板１６ｂと溝切板１６
   ｃとを有する溝切部１６と踏圧輪１４、覆土輪１
   ５およびビニールシート懸架枠２９等から成るマ
   ルチング装置とを拡縮自在に配設すると共に、前
   記溝切部の間に、成形板の上方に枢着した抑圧板
   １７をとりつけ、この抑圧板を加圧機構１９を介
   して常時下向きに加圧しておき、一方前記抑圧板
   の下面に塩化ビニール板１７ａを貼りつけ、更に
   前記成形板の上方に透孔を穿設し、この透孔に支
   軸を嵌着しうるようにして抑圧板を左右の溝切部
   に対して挿替自在とし、他方、前記抑圧板１７の
   背面に多数の透孔を有する加圧杆２２をとりつ
   け、かつこの透孔に挿し込んだ割ピン２６と基枠
   との間にスプリング２７を縮設したことを特徴と
   するマルチング装置を具えた畝成形機。