JPS6110671Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主として脊柱側彎症や椎間板ヘル
ニア等の治療に使用される、脊柱の牽引装置に関
する。

脊柱を牽引することによつて脊柱を直ぐに伸ば
す治療方法は、他の、例えば外科的手法にない
数々の特長を有する。これを実現するには、腰と
足の片方あるいは両方に下バンドを掛け、首にバ
ンドを掛け、この首バンドを上方に、下バンドを
下方に牽引する。

第１図に、すでに使用される牽引装置の代表的
なものを示す。この牽引装置は、牽引ロープ１の
一端を足バンド２に、他端を首バンド３に連結
し、この牽引ロープ１に、手で牽引される握４に
連結された牽引ロープ１を連結し、この牽引ロー
プ１をベツドの両端に取り付けられた滑車５にか
け、手又は足を引つ張ることによつて、首バンド
３と足バンド２とを反対方向に牽引するものであ
る。しかしながら、この構造によると、首バンド
３が強く引つ張られて、首バンド３が掛けられる
頬骨が痛く、長時間牽引すると頬骨が変形する危
険すらあつた。というのは、この種の装置で脊柱
を牽引するのは、ほとんどが中学生以下の児童で
成長期にある未成年者である為である。

この考案は、この欠点を除去すべく開発された
ものであつて、腰バンドで脊柱を下方に引つ張る
力に比べて首バンドの牽引力が弱く形成されたも
ので、この考案の重要な目的は、脊柱を効果的に
牽引できるにもかかわらず頬の痛みや頬骨変形の
心配がなく、快適に長時間牽引できるベツドに取
り付けられる脊柱牽引装置を提供するにある。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第２図に示すベツドに取り付けられる脊柱牽引
装置は、首に引つ掛けられる首バンド３と、足バ
ンド２と腰バンド６と、端が足バンド２に連結さ
れた主牽引ロープ１Ａと、この主牽引ロープ１Ａ
が掛けられて、首バンド３と足バンド２と腰バン
ド６とを互いに反対方向に牽引する滑車５と、主
牽引ロープ１Ａの端に連結される握４と、主牽引
ロープ１Ａが掛けられると共に、回転軸がサブ牽
引ロープ１Ｂを介して腰バンド６に連結された動
滑車７とを備えている。

首バンド３は、ベツド上に仰臥した患者の首、
正確には頬骨と後頭部とに引つ掛けられる皮革で
足バンド２は足に巻き付けられるバンドで両端に
主牽引ロープ１Ａの一端が脱着自在に引つ掛けら
れており、腰バンド６は、腰に巻き付けられるバ
ンドである。

主牽引ロープ１Ａは２組あつて、端が足バンド
２に連結された主牽引ロープ１Ａは、中間にスプ
リング８が連結されると共に、スプリング８の両
端は、スプリング最大伸長時の長さより短く、収
納時の長さより長い紐体９で連結され、下側が２
分岐されて、ふたつの動滑車７に別々に掛けられ
てその先端が両足の足バンド２に連結されてい
る。

スプリング８の上側は３分岐され、中央の上端
は首バンド３に連結されており、足でもつて足バ
ンドを牽引することにより、腰バンド６と首バン
ド３とを反対方向に牽引する。

握４には２組の主牽引ロープ１Ａが連結され
て、１組の主牽引ロープの一端は首バンド３に、
もう１組の主牽引ロープは、動滑車７に掛けられ
て一端が腰バンド６に連結されている。

ベツドの両端に取り付けられた滑車５は、首バ
ンド３と足バンド２とを連結する主牽引ロープ１
Ａを、ベツドの下方を通つて首バンド３と、足バ
ンド２並びに腰バンド６を反対方向に牽引し、か
つ、牽引方向を最良位置に決定する。

動滑車７は、主牽引ロープ１Ａが掛けられると
共に、回転軸がサブ牽引ロープ１Ｂを介して足バ
ンド２に連結され、足バンド２の牽引力の半分の
張力で主牽引ロープ１Ａを牽引する。

このように構成されたベツドに取り付けられる
脊柱牽引装置は、握４を２Kgの力で牽引し、この
力が首バンド３とベツド下方の主牽引ロープ１Ａ
とに等分に分配されるように主牽引ロープ１Ａの
長さを調整すれば首バンド３が１Kg、足バンド２
が１Kg、腰バンド６が２Kgで牽引され、結局足バ
ンド２、腰バンド６は３Kg、首バンド３が１Kgで
牽引される。

図示しないが、一端に握４が連結された牽引ロ
ープの一端をベツドに連結することも可能であ
る。この場合、動滑車の回転軸をサブ牽引ロープ
でもつて腰バンドに連結する。この構造のもの
は、主牽引ロープの牽引力の２倍の力で動滑車の
回転軸が牽引されるので、腰バンドは首バンドの
２倍の力で脊柱を牽引する。

主牽引ロープの一端をベツドに連結するもの
は、例えば足バンドを使用せず、腰バンドにサブ
牽引ロープを介して動滑車を連結し、この動滑車
に主牽引ロープを掛けて主牽引ロープでもつて腰
バンドのみを牽引することも可能である。

上記の如く構成されたベツドに取り付けられる
脊柱牽引装置は、一端に握が連結された主牽引ロ
ープに首バンドが連結されると共に、握で牽引さ
れる主牽引ロープが動滑車に掛けられており、こ
の動滑車の回転軸がサブ牽引ロープを介して腰バ
ンドに連結されたものであるから、動滑車によつ
て、腰バンドの牽引力の半分が牽引ロープにかか
ることになり、首バンドの牽引力は動滑車に連結
された腰バンドの半分以下の牽引力となる。この
為、牽引時に頬に痛みを感じたり、あるいは頬骨
の変形の心配がなく、脊柱を、より強い力で長時
間牽引でき、快適にして効果的な治療が実現でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の脊柱牽引装置を示す平面図、第
２図はこの考案の実施例に係るベツドに取り付け
られる脊柱牽引装置の平面図である。 １Ａ……主牽引ロープ、１Ｂ……サブ牽引ロー
プ、２……足バンド、３……首バンド、４……
握、５……滑車、６……腰バンド、７……動滑
車、８……スプリング、９……紐体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド上に仰臥した患者が手で掴む握と、ベツ
   ド上の患者の首に掛けられて首を牽引する首バン
   ドと、患者の腰に装着されて腰を牽引する腰バン
   ドと、腰バンドに一端が連結されたサブ牽引ロー
   プと、このサブ牽引ロープの他端が回転軸に連結
   された動滑車と、一端が握に連結された２組の主
   牽引ロープと、この主牽引ロープが掛けられてそ
   れ自体がベツドに取り付けられる滑車とからな
   り、１組の主牽引ロープは、一端が握に、他端が
   首バンドに連結されており、他の１組の主牽引ロ
   ープは、一端が握に他端が患者の足とベツドのい
   ずれかに連結され、それ自体は動滑車に掛けられ
   ており、ベツド上の患者が握を引つ張ることによ
   つて、主牽引ロープを介して首バンドが牽引され
   ると共に、主牽引ロープによつて動滑車が牽引さ
   れ、この動滑車によつてサブ牽引ロープを介して
   動滑車に連結された腰バンドが首バンドよりも強
   い力で患者を牽引し、腰バンドと首バンドとで患
   者の脊柱が反対方向に牽引されるように構成され
   たベツドに取り付けられる脊柱牽引装置。