JPS6036243Y2 - 赤外線式検体温度変化測定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、検体に温度負荷与えた後にこの検体の温度の
変化を赤外線を利用して測定する赤外線検体温度変化測
定装置（以下、単に１測定装置ヨと称する）に関するも
のである。

上記のような赤外線を利用した検体温度変化測定の一例
として、頚腕症（はくろう病）の検診がある。

頚腕症とは、主に激しい振動等が原因で特に手で血行障
害が生ずる病気であり、これを検診する一般的方法とし
て、まず検体である手を例えば６°Ｃ以下の冷水にしば
らく浸して冷し、次に手を軽く拭いて所定の測定位置に
成る一定時間静止保持腰その間赤外線装置によって手の
皮膚温度の変化を測定し、これにより手の皮膚温度の回
復機能を判定して血行障害の有無及びその程度を横断す
る方法が用いられている。

上記のような検診方法を実施するには次のような装置、
すなわち （イ）検体（手）に成る温度負荷（冷却）を与えるため
の温度負荷装置、 （ロ）検体（手）を測定位置に成る一定時間静止保持す
る載置台、 （ハ）検体の温度（手の皮膚温度）を識別するための温
度背景、 に）赤外線装置 等が必要とされる。

これらの諸装置のうち特に（ハ）温度背景は、検体温度
の時々刻々の変化を測定する上で重要なものであり、で
きれば温度負荷時の検体温度とほぼ等しい温度で且つそ
の温度が長時間に亘って安定維持されるものが望ましい
。

しかるに、従来は一般に（イ）〜に）の諸装置がそれぞ
れ単独の装置として構成され、このためシステム全体の
移動や設置が不便であるなど運用上簡便性に欠けると共
に、高価になる等の問題があった。

従って本考案の目的は、上記（イ）〜に）の諸装置が機
能的に１つのシステムとしてまとめられ、運用が簡便で
あり、しかも構造簡にして安価である冒頭に記載のよう
な測定装置を提供することにある。

本考案による測定装置は、概略的には、検体を浸してこ
れに温度負荷を与えるための温度媒体を入れる上方が開
放した容器を設け、検体の輪郭より小さな輪郭を有する
検体載置台を前記容器の上方位置に設け、検体載置台の
更に上方位置に赤外線装置を設けて、検体載置台上に載
置された検体を前記容器内の温度媒体を背景として赤外
線装置で測定可能なように構成されたものである。

本考案の測定装置の最も重要な特徴は、温度媒体容器が
前述の（イ）温度負荷装置と（ハ）温度背景の両装置の
機能を有する点にあり、これが運用の簡便性、構造の簡
素化及び価格の低減に大きく寄与する。

以下、本考案を実施例に基づき図面を参照して詳細に説
明する。

図面の第１図乃至第５図は本発明の一実施例である頚腕
症検診用の測定装置を示し、第１図はその正面図、第２
図は側面図である。

この測定装置は全体的には測定台１及び赤外線装置２か
ら構成されている。

測定台１は支持フレーム３を有し、これはキャスター４
によって床５上を移動可能である。

支持フレーム３には例えば合板製のテーブル６が取り付
けられており、これに水槽７が設けられている。

第３図及び第４図に明示するように、水槽７は例えば縦
×横×深さ＝４００ Ｘ ２００Ｘ １００ （ｍｍ）
程度の上方が開放した容器であり、例えばステンレスで
作られる。

水槽７はテーブル６にあけた孔に着脱自在に嵌合され、
上部折曲げフランジ７ａでテーブル６に支持されている
。

水槽７には、手の検診に際して手を冷却するための冷媒
及び赤外線測定時の温度背景として使用される媒体、例
えば氷を混入した氷８が入れられる。

水８の温度を長時間に亘りほぼ一定温度、例えば６°Ｃ
以下に安定維持するため、テーブル６の底面に例えばグ
ラスウールなどの断熱材９及び外被板１０を設け、水槽
７の下部を包囲して断熱を図っている。

なお、水槽７の両端壁には、これをテーブル６から着脱
する際に用いる把手孔７ｂを形成しである。

第３図に明示するように、水槽７には、左右両手の形に
それぞれ擬似させた１対の手置板１１（図には左手用の
手置板のみ示しである）が、水槽の前後方向中心軸線Ａ
に関して対称位置に、水平８の上方位置に突き出させた
状態で設けられている。

第３図乃至第５図から明らかなように、手置板１１は手
の掌に相当する水板からなる主部１２と、手の指に相当
する丁形材からなる指状部１３とで形成され、そしてそ
の上面には例えばゴムまたはスポンジなどの断熱材１４
を張っである。

これは、平置板上に手を置いた場合の両者間の伝熱を防
止するためである。

また、集団検診などの場合は前の被検者の手の余熱が次
の被検者の測定に影響を及ぼすので、これに更に着脱式
の断熱カバー１５を設けて測定ごとにこれを取り替えら
れるようにしである。

手置板１１の輪郭は手の輪郭よりも小さ目となし、手を
置いたときにその下側に全く隠れるようにする。

これは、手置板が手からはみ出すとこれが赤外線装置で
検知されて診断に支障が生ずるからである。

更に、手置板１１はその主部１２の端部において水槽７
の上縁部にヒンジ１６によって回転自在に取り付けられ
ている。

これは、手置板１１を水槽７の外側へ倒して、手を水槽
７の水８に浸して冷やす場合にこれを容易にするためで
ある。

しかし、水槽の開口部が広くて手を浸す余裕スペースが
確保できれば、必ずしも手置台を可動にする必要はない
。

赤外線装置２は、テーブル６の上面に直立する支柱２０
の上端に取付ネジ２１に固着されている。

赤外線装置２の測定部２ａは水槽７の真上に位置し、手
置板１１に載せられた手を水槽７の水面８を背景にして
測定できるようになっている。

なお、例えば支柱２０を伸縮自在にして赤外線装置２０
の高さ位置を可変にすれば便利である。

次に、上述の測定装置による頚腕症の検診の手順につい
て説明する。

まず、手置板１１を前述したように水槽７の内側位置か
ら外側へ倒しく図示せず）、水槽７の水８に左右両手を
約数分間浸して冷やす（温度負荷）。

次に手置板１１を再び第３図に示す如く水槽７の内側位
置へ戻腰左右両手を水を軽く拭きとった後それぞれ手置
板１１の上にこれが完全に隠れるように載せ、約数分間
これを静止保持する。

そしてこの間に赤外線装置２によって手の皮膚温度の変
化を観測する。

手に血行障害がなければ皮膚温度は除々に常温に向って
回復し、温度背景すなわち水槽７の水面８の部分との間
に温度差が生じ、手の輪郭が識別可能となる。

他方、血行障害があって皮膚温度の回復が阻害されてい
れば、温度背景との温度差がないかまたは小さいので輪
郭識別は不明確となる。

これにより血行障害の有無を判定することができる。

なお、測定結果にもとづく判定の方法については特に本
考案と関係がないので説明を省略する。

以上の説明から明らかなように、本考案による測定装置
は温度媒体容器、検体載置台及び赤外線装置が機能的に
１つのシステムとしてまとめられているので移動や設置
が容易で且つ簡便に使用することができ、また温度媒体
容器が温度負荷装置及び温度背景の両機能を有している
ので構造が簡単で且つ安価であるなど、非常に実用性の
高いすぐれたものである。

なお、以上では頚腕症検診の例を挙げて説明したが、本
考案の測定装置はこれに限らず他の用途にも適用可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例である頚腕症検診用の測定装置
を示し、第１図は正面図、第２図は側面図、第３図は水
槽及び平置板の左半分平面図、第４図は第３図の線ＩＶ
−ＩＶに沿った断面図、第５図は第４図の線■−■に沿
った断面図である。 １・・・・・・測定台、２・・・・・・赤外線装置、３
・・・・・・支持フレーム、６・・・・・・テーブル、
７・・・・・・水槽、訃・・・・・水、１１・・・・・
・平置板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 検体に温度負荷を与えた後この検体の温度の変化を赤外
   線を利用して測定する装置であって、前記検体を浸して
   これに温度負荷与えるための温度媒体を入れる上方が開
   放した容器と、前検体の輪郭より小さな輪郭を有し前記
   容器の上方位置に設けられた検体載置台と、該検体載置
   台の更に上方位置に設けられ該載置台上に載置された検
   体を前記容器内の温度媒体を背景して測定可能な赤外線
   装置とを具備してなることを特徴とする赤外線式％式％