JPS6027777Y2 - 横形水冷式多気筒機関 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、横形水冷式多気筒機関に関する。

水冷式機関では、シリンダの外殻に接している冷却水が
、核沸騰して気泡化するときの潜熱によって、シリンダ
の主たる冷却が行われている。

したがって、シリンダの周囲には、無数の気泡が発生し
、その上昇が絶えず行われている。

横形の水冷式機関では、シリンダは、水平状に配置され
るため、シリンダ外殻の下側で発生した気泡は、シリン
ダの周壁に沿って上昇することになるが、最近のように
、シリンダピッチを縮少した多気筒機関では、シリンダ
間の間隔が狭いため、この気泡を旨く上方に排出してや
ることができない。

即ち、第１，２図において、シリンダ１と２との間はき
わめて接近した構造となっていて、強度上両シリンダ間
に気泡を排出するための通路が形成されていない。

したがって、第２図において、ハツチングで示した部分
Ａには気泡が閉塞されてしまい、気泡はこの部分に停滞
を余儀なくされる。

この欠点の解決策として、第３図に示したような工夫が
提案されている。

即ち第３図において、３は、前記の閉塞部に対応するシ
リンダデツキ部であって、該デツキ部３には上下一対の
貫通孔４が穿設されている。

勿論これに対応するシリンダヘッド５にも、貫通孔４に
対応する上下一対の貫通孔６が穿設されていて、（第４
図参照）気泡は第４図に示したように、貫通孔４，６を
経て上方に移動することになる。

ところが、この（第１〜４図に示した）従来例では、シ
リンダ１（および２）の外殻部の陵線Ｂが水平であるた
め、両シリンダの下方で発生した気泡のシリンダヘッド
側への移動（第４図における左むきの移動）がスムース
に行われず、そのため気泡の排除が不充分であるという
欠点がある。

本考案は、このような不都合を解決しようとすルモノテ
アって、本考案は、隣接するシリンダの殻肉部が密着し
ている横形水冷式多気筒機関において、前記シリンダの
外殻に接している冷却水中の気泡が排出されやすいよう
に、該シリンダのみを、そのヘッド側がスカート側より
も上方の位置になるような傾斜状に配置した点を特徴と
する。

したがって、本考案によれば、シリンダの下側の外殻面
で発生した気泡は、外殻面に沿ってシリンダヘッドの方
にむかって、スムースに流動し、シリンダヘッドを経て
冷却器の方に排出されることになり、シリンダの冷却が
安定して行われることになる。

次に、本考案の実施例を、第５，６図により説明する。

第５図および第６図は、前述の第１図および第４図にそ
れぞれ相当する図であって、シリンダ１１および１２は
、第５図に明示されているように、そのシリンダヘッド
１３側は、スカート１４側よりも上方に位置なすような
、傾斜状に配置されている。

なお、この場合、シリンダそのものの形状、構造等は従
来のものと何ら異なるところはなくただそれが傾斜状に
配置されている点が、従来例と異なるだけである。

したがって、両シリンダ１１．１２間の陵線１５も第６
図に示したように、ヘッド側が高い傾斜状となるため、
気泡はこの傾斜した陵線１５に沿って、ヘッド側にスム
ースに移動し、トップデツキ１６およびシリンダヘッド
１３にそれぞれ穿設した上下者一対の貫通孔１７，１８
を流通することにより、シリンダヘッド１３の内部を経
て、シリンダの上側に流出し、冷却器（ラジェータ等）
に導出されることになる。

このように、本考案では、シリンダの外殻に接している
冷却水中の気泡が排出されやすいように、該シリンダの
みを、そのヘッド側がスカート側よりも上方の位置にな
るような傾斜状に配置したので、シリンダの下側に発生
した気泡を、スムースにシリンダの上側に流動させるこ
とができ、従来の横形水冷式多気筒機関に比して、冷却
水中の気泡の排出に関しその効果が著しく顕著である。

同様に、シリンダライナ中の余分の潤滑油が即座にオイ
ルパンへ排出されるので、オイルアップが防止される。

また、シリンダヘッド部が従来に比して高くなるので、
取扱いが便利で、メインテナンスが容易であり、作業性
が向上する。

しかも、従来の横形水冷式多気筒機関とその重心位置は
殆ど変わらず、またシリンダヘッドのシリンダブロック
への取付部が変わる以外は、付属部品も従来品を全く変
える必要がない。

また、熱負荷の高いシリンダヘッド部の位置が高いので
、ジャケット内の自然対流が促進され、冷却効率が改善
される。

従って、本考案によれば、シリンダの下側で発生した気
泡を、スムースにシリンダの上側に流動させることがで
き、このためシリンダに何ら特別の加工を施す必要がな
く、製造コストを高くすることなく、冷却性の良好な横
形水冷式多気筒機関を得ることができ、その実用的効果
は極めて大きいものがある。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は従来例を示すもので、第１図は横形水冷式
２気筒機関の１シリンダの中心において切断した断面図
、第２図は第１図のａ−ａ線断面図、第３図はシリンダ
トップデツキ部を示す平面図、第４図は第２図のｂ−ｂ
線断面図である。 第５．６図は本考案の一実施例を示し、第５図は第１図
と、第６図は第４図と同様の断面図である。 １１．１２・・・・・・シリンダ、１３・・・・・・シ
リンダヘッド、１４・・・・・・スカート、１６・・・
・・・トップデツキ、１７．１８・・・・・・貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 隣接するシリンダの殻肉部が密着している横形水冷式多
   気筒機関において、前記シリンダの外殻に接している冷
   却水中の気泡が排出されやすいように、該シリンダのみ
   を、そのヘッド側がスカート側よりも上方の位置になる
   ような傾斜状に配置した横形水冷式多気筒機関。