JPS595705Y2 - 蓄熱室吹出部の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ガラス槽窯などの各種の窯炉に並置して設け
られている蓄熱室通常は水平型蓄熱室吹出部の構造に関
するものである。

ガラス槽窯における蓄熱室の設計は大きく分けて、高蓄
熱方式といわれる縦型蓄熱室と、水平型蓄熱室がよく知
られている。

現在、前者が長期の操業に対しその寿命の点で結局のと
ころ信頼性が高いので広く採用されており、後者は熱交
換効率の点ですぐれたものであることが分っていながら
ほとんど実用的には採用されていないのが実状である。

その最も大きな理由は、水平蓄熱方式は、その最上流部
が高温かつ高負荷の侵蝕性ダストを含んだキャリーオー
バーガスに接触及びこれが堆積することによる苛酷な条
件にさらされ、現在耐火物技術の提供する殆んどすべて
の材質が、槽窯全体の１航海を通して耐用しないことな
どのためである。

本考案者らは、これらの問題を種々研究の結果として、
水平蓄熱のものより高い熱交換効率を指向しつつ、その
反面の欠点を改善することに或功した蓄熱室の構造即ち
、具体的には蓄熱室の耐久性向上及びこれと併行して槽
窯自体の平常運転を継続しなから温修、更新可能な蓄熱
室の構造を先に提案したが、本考案はそのような水平型
蓄熱室のよりよい実用化をさらに目的とするものである
。

本考案は、このように先に提案した以下に説明する水平
型蓄熱室を内包せしめた蓄熱室の改良として最適なもの
であるが、そのような蓄熱室に限らず設計上各吹出直下
に集合煙道と呼ばれるガラス窯よりの排気の集合室を必
要とするいわゆる水平型蓄熱室（縦型蓄熱室では、各吹
出口より直接蓄熱室に燃焼廃ガスが流下しうるので設計
上集合煙道は不必要であるため現在の縦型蓄熱室への適
用は必要ない。

）において全て望ましく適用可能である。

即ち、本考案は、各種窯炉に並置した蓄熱室の吹出部の
構造において、吹出部は蓄熱室上部に形或された集合煙
道と窯炉燃焼室との間に設けられているとともに該吹出
部の下部には、下部から上下可動でガス吹出方向に垂直
な吹出口の断面積を制御しうるダンパーを設けてなり、
かつ該制御ダンパーは、吹出口断面積を変更制御しうる
それぞれ別々に上下動可能な複数のダンパーで構威され
てなる蓄熱室吹出部の構造を要旨とするものである。

水平型蓄熱方式は、縦型蓄熱に比べて相対的に流路を長
くシ、流路の断面積を小さくシ、空気と煉互間の熱交換
を著しく促進することができる特徴をもっているため、
実用例において同じ蓄熱煉互熱容量を付与した場合で比
較すると約１．３倍の熱回収効率を示すことが知られて
いるが、従来ほとんど実用化されていなかった前述のこ
の形式の大きな欠点及びその改良方式について第１図乃
至第４図を参照してまず説明する。

第１図、第２図で本考案蓄熱室の位置関係を、本考案の
適用が最適なサイドポート型として配置されている例で
説明すると、蓄熱室１．１はガラス槽窯２の両側に位置
しており、槽窯２は溶解槽で清澄槽８、作業槽９からな
っている。

第３図をさらに参照して、水平型蓄熱室の実用化に戒功
した典型例である全体構造としては縦型蓄熱形式の外殻
を踏襲しながらその内部に水平蓄熱形式を内包せしめて
いる本考案の適用が適した蓄熱室について説明する。

即ち、蓄熱室１は、上下方向及び水平方向のいずれにも
それぞれ区画された複数の蓄熱室３，４，５．６を有す
るものであり、ガスは、上下方向の仕切り壁１３で水平
方向に区画されたそれぞれの上下部の蓄熱室（４，６及
び３，５）に分かれて大局的には独立に流れるように構
或されている。

即ち、１つの流れは、矢印Ａで示す如く、集合煙道１１
からの廃ガスの流れにもとづいて説明すると、後部上部
蓄熱室３から仕切壁１３で折り返して後部下部蓄熱室５
に入り、後部排気煙道１４ａ（第１図参照）へ抜けるも
のと、もう１つの流れは、矢印Ｂで示す如く、前部上部
蓄熱室４から仕切り壁１３で折り返して前部下部蓄熱室
６に入り、前部排気煙道１４ｂ（第１図参照）へ抜ける
ものである。

本考案の適した蓄熱室はこのように大局的に独立した２
つのこのような流れをなすとともに上下部のそれぞれの
蓄熱室においては即ち、４つの蓄熱室の１つ１つにおい
ては大局的にはガスは矢印で示された流れでなるように
、水平方向に流れるものである。

それぞれの蓄熱室は、それぞれが受ける条件に耐える材
質及び物性をもった煉瓦で空積みされているが後述する
ように後部上部蓄熱室は最も厳しい苛酷な条件にさらさ
れる。

即ち、ガラス原料を溶解する溶解槽に近くかつガラス原
料からくる侵蝕或分を多く含有するいわゆるダーテイガ
スは第１及び第２吹出口１２ ａ ，１２ｂから多く排
出され、これらのガスは後部上部蓄熱室３に最も厳しい
高負荷を与えるが、本考案の適した蓄熱室では、前述の
如き構或からなっているので、これに対する対処が容易
である。

即ち、水平蓄熱を内包せしめた方式において必然的に伴
うところの後部上部蓄熱室に対する高負荷は、槽窯の平
常運転を継続しながら、温修更新しうるということであ
る。

いいかえれば、大局的に独立した２つの流れＡ，Ｂから
なるため、いずれかの流れをとめても、槽窯の操業を中
断する必要はないのである。

具体的にいえば、後部上部蓄熱室を修理する必要のとき
には後部蓄熱室を不使用状態におき、前部空積み蓄熱室
を利用して排気及び給気を継続している間に、侵蝕性ダ
ストであるスラグを排出するとともに必要に応じて後部
を補修することができるのである。

温修は、例えば蓄熱室ｌ３を構或する炉壁１５の一部に
温修口１９として部分的に取りはずし容易な部分を設け
ておくことで可能である。

即ち壁面形或煉瓦の一部を補強２０として枠組みしてお
き、これに囲まれた煉瓦を周囲に比べて破壊容易にする
などして取り外し可能にしておくことである。

尚、いずれにしても、この壁部分の煉瓦自体は、いずれ
も材質的に優れた高温耐蝕性のものが必要である。

このような水平型の蓄熱室は、すでに述べたように、水
平蓄熱のもつ高い熱効率が得られること、温修、更新が
容易であること、ガラス槽窯自体の一航海を通して蓄熱
室の持性を恒久的に維持が可能となること、排ガスの吸
引口及び二次空気の送入口を前後に分離することで排ガ
ス及び空気の分割量を交換時に調整できることなどの利
点をもつ実用的なものとなったが、操業中いくつかの改
良すべき問題点も見い出されるに至った。

その一つは、種々検討の結果ガスの流れ特に廃ガスが集
合煙道から蓄熱室に流れる際、いわゆる偏流を生じ流路
形態が変ることによる欠点であることが分った。

即ち、この偏流に起因するとみられる弊害として流路断
面積の一部しか熱交換に寄与しないことが生じ、これに
伴ない使用蓄熱煉瓦の損傷が不均一になることがしばし
ばみられるようになったのである。

この偏流及びその防止を目的とした改良については先に
実願昭５４−１２１３９９号として提案したがそれにつ
いて第４図を参照して説明する。

まず偏流は、このような水平型蓄熱室では、各吹出口１
２よりのガスは、一たん集合煙道１１により集めて方向
を変えて、矢印Ａ及びＢで示す如く、蓄熱室３（及び４
）と壁１５（及び１５′）の間に形或された空間部１６
（及び１６′）から蓄熱室に流れるので、吹出口の位置
によって各吹出口１２ ａ〜１２ ｅから吸引されるガ
スの吸引力に差が生じ結果としてその流速が異なること
により発生することが分った。

この偏流を防ぐ手段としての先の提案は、次の通りであ
る。

即ち、第４図で示す如く、吹出部１２が蓄熱室３の上部
に形或された集合煙道１１とガラス槽窯２の燃焼室１０
との間に設けられ、この吹出部のそれぞれ望ましくは吹
出部のすべてに、それらの下部に制御ダンパー２２を設
けたものである。

ここで、この制御ダンパー２２は吹出部の所定位置好ま
しくは通常蓄熱室に近い位置に、吹出部の下部から吹出
口１２ａ（乃至１２ｅ）の開口断面積を変えるように上
下動可能に設けたものである。

ダンパー２２は条件によってその材質、形状等を決める
ことができるが構造的には特定形状のものをいくつか積
層組合わせるなどして構威したものが使い易いようであ
る。

また、材質的にはガスより溶解又は侵蝕されるものであ
っても差し支えないが、周囲の吹出部下部煉瓦に固着す
るような材質の選択は望ましくない。

これは、ダンパー２２が固着により上下動できなくなる
と目的が一時的には達威できるが長期的には達或できな
くなってしまうからである。

この方式では、吹出部下部２３から上下可動にダンパー
を設けるので、ダンパーを形威する煉瓦などの材質が一
部溶解、欠損などが生じても、下部から補給することが
容易である。

即ら煉瓦２４ ．２４を積層してダンパー２２を形或し
ておけば上部の煉瓦が欠損したとき下部煉瓦間又は下部
煉瓦と支持部材２５間に新たに煉瓦を挿入することによ
りダンパーのレベルを上げることもできるし、又はダン
パーを一旦下げて最上部に新たに煉瓦を補給することも
できる。

次にダンパー２２自体の上下動は、支持部材２５を何ら
かの駆動装置と連動することにより、又は支持部材２５
は同一位置に固定しておいても前述した如く煉瓦の補給
或は取除きによっても可能であり、本考案でいう上下可
動とは、ダンパー２２によって吹出口へのダンパーの出
入りを何らかの形でコントロールできるということを意
味しているものである。

このようにダンパーを上下動せしめることによりそれぞ
れの吹出口の断面積を制御することができるので、必要
な時期に流量、流速の調整が可能であり、流路形態の変
更いいかえれば偏流防止が容易となった。

尚、ダンパーを吹出部上部に設ける即ち懸垂型とするこ
とも考えられたが、上部からでは位置的にも作業や操作
がしにくいし、ダンパーの落下の問題、補給、取除きな
どダンパー自体の調節も困難が多いので好ましくないし
、さらに燃焼ガス流に乱れを生じ燃焼上も好ましくない
。

また、吹出口の断面積自体の調整という点からだけいえ
ば、第３図例えば示されている５つの吹出口の大きさを
予め変えて構或しておくことによりある程度可能である
が、操業条件などの変化に対応したコントロールが難か
しく目的を達或するまでには至らない。

尚、第１図で２１は熱交換器を示している。

このように実願昭５４−１２１３９９号の構造は、前述
した如き水平型蓄熱室の利点を生かすことができ、さら
に水平型にともなういわゆる偏流による弊害も防ぐこと
ができるのであって、実用的な価値は更に高くなるもの
であることが見い出されたのであるが、操業条件によっ
てはいまだに偏流防止の効果が充分でないことが分って
きた。

本考案は、このためにさらに種々研究検討された結果と
して前述の如き内容として提案されたもので、よりきめ
の細かい制御を可能としたものである。

本考案について以下第５図及び第６図を参照しながら具
体的にさらに説明する。

本考案は前述の如く、制御ダンパーが吹出口断面積を変
更制御しうるそれぞれ別々に上下動可能な複数のダンパ
ーで構威されているもので第５図はその典型例を示して
いる。

即ち、第５図に示すものは、吹出口断面積Ｓを吹出方向
に垂直な面で変更しうるよう矢印Ｐで示す上下動可能な
４列のダンパー２２ ａ ，２２ ｂ ，２２ Ｃ２２
ｄで構或されているダンパー２２の例である。

ここで゛４列のダンパーは、同時に同じレベルまで可動
させても勿論よいが、それぞれ別々に独立して上下動が
可能となっており、従って吹出部断面積Ｓをその断面の
中央部と側部において或いは上下方向においても適宜制
御できるわけである。

このように吹出部の幅方向全幅にわたってダンパーを可
動としておけばガスの流れの制御における効果は大きい
が、構造上はやや複雑にならざるを得ない。

第６図は、本考案の他の典型例を示し吹出部下部の幅方
向の一部２３ ａ ，２３ ｂを固定壁とし、中央部の
みに上下動可能なダンパー２２ ａ ，２２ ｂ ，２
２ Ｃを設けている。

尚、本考案によるダンパーは、各吹出口のいずれにも設
けるのが有効であるが、勿論条件によっては効果の期待
される一部の吹出口についてのみ設けてよい。

このように本考案は、吹出部を通過する燃焼ガスの流速
、流量、流れの状態を必要に応じて適切に調整すること
が可能となり、偏流に起因すると思われる弊害の是正が
より可能となり、工業的な価値は大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案蓄熱室の配置を示すガラス槽窯の平面
から見た説明図、第２図は、第１図Ｘ−Ｘ線に沿った断
面説明図、第３図は、第１図Ｙ−Ｙ線に沿った本考案の
適用が適した蓄熱室の典型を示す断面説明図、第４図は
、第３図Ｚ−Ｚ線に沿った断面説明図、第５図及び第６
図は、第４図Ｗ−Ｗ線に沿った本考案構造のいくつかの
典型例を示す断面説明図をそれぞれ示す。 図面にて、１は蓄熱室全体、１１は集合煙道、１２は吹
出部、１２ ａ乃至１２ ｅは吹出口、２２，２２ ａ
乃至２２ｄはダンパーをそれぞれ示している。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各種窯炉に並置した蓄熱室の吹出部の構造において、吹
   出部は蓄熱室上部に形或された集合煙道と窯炉燃焼室と
   の間に設けられているとともに該吹出部の下部には、下
   部から上下可動でガス吹出方向に垂直な吹出口の断面積
   を制御しうるダンパーを設けてなり、かつ該制御ダンパ
   ーは、吹出口断面積を変更制御しうるそれぞれ別々に上
   下動可能な複数のダンパーで構威されてなる蓄熱室吹出
   部の構造。