JPS5941025B2 - 水力機械主軸部の封水機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、水力機械主軸部の封水機構に係り、特に発電
用水車またはポンプ水車（以下、水車と総称する）等の
水力機械の主軸部ライナの損耗を防止することかできる
前記主軸部の封水機構に関するものである。

水力機械、例えば発電用水車の主軸部の封水構造は、第
１図に示されるように、水車の主軸１と、該主軸１の封
水部に設げられた主軸ライナ２と、該ライナ２に対向し
て設げられたバッキングケース４Ａおよび４Ｂからなる
バンキングボックス４と、該バッキングボックス内に収
容された複数のバンキング６．７および８とから主とし
て構成される。

バッキングケース４Ａおよび４Ｂは各バッキングが個別
に収容されるような隔壁を有し、またバッキングボック
ス４の上部には水の飛散止め９が設げられ、矢印１０お
よび１１に示されるようにバンキングボックス４０間隙
から流れ出す水の飛散が防止される。

なお、図中、５Ａはガイドベーンステムおよび５Ｂはガ
イドベーンである。

この封水構造を第２図によりさらに詳細に説明する。

図において、主軸ライナ２の表面上に主軸ノ軸方向に沿
ってＬ字形のパッキングケ−，’１．４Ａおよび４Ｂが
重ね合わせられ、さらにその上にバッキングケース１２
Ａおよびバッキング抑え１２Ｂが設けられ、それぞれバ
ンキング収容室６Ａ、７Ａおよび８Ａを形成する。

すなわち、バッキングケース４Ａは、バッキングボック
ス支持部３にボルト１３で固定され、さらにバンキング
ケース１２Ａおよびバッキング抑え１２Ｂは、それぞれ
バッキングケース４Ａおよびバッキングケース１２Ｂに
ボルト１４および１５により固定され、バンキング収容
室６Ａ、７Ａおよび８Ａ内のバッキング６．７および８
は上下方向に締め付けられ固定される。

このような構造において、水車を運転すると、主軸１は
、矢印１８の方向に回転する（この反対方向の場合もあ
る）。

また、水は水の流れ方向１０から、水の流れ方向１１に
向って少量流出し、この流出水は飛散止め９によりその
飛散が防止される。

しかし、水の流れ１０が、水の流れ１１に至る間の流出
量は、なるべ（少ないことが水車の保守の面で必要不可
欠なので、この水の流れを極力少なくするために、主軸
ライナ２とバンキング６〜８はできるだけ密接せしめた
状態に調整される。

したがって、ある時間水車の運転を継続すると、主軸ラ
イナ２とパンキング６〜８の接触面は両方ともに摩耗す
るので、これらを交換しないと水の流れ１１の流出量が
犬となり、水車の運転、保守に重大な影響を及ぼすこと
になる。

通常、この時点でバッキング６〜８の交換が行なわれる
が、これと併せて摩耗した主軸ライナ２の交換もバンキ
ング６〜８交換回数の約−の頻度で行われる。

主軸ライナ２が摩耗した場合、バッキング６〜８のみの
交換で流出量が少な（なるように思われるが、主軸ライ
ナ２外周面の摩耗量はかならずしも均一ではなく、新た
に交換したバッキング面との間に隙間が出来た流出量が
増大する。

したがって、上記頻度で主軸ライナ２の交換が行われる
。

この主軸ライナ２を交換するためには、長時間の発電停
止時間と、ぼう犬な作業費を要し、経済的損失が非常に
大きい。

本発明は上記欠点を改善しようとしてなされたもので、
その目的とするところのものは、バンキングの接触面と
して活用されていなかった主軸ライナの表面をバッキン
グの接触面として活用するようにすることにより、主軸
ライナの交換回数を低減させるようにした水力機械主軸
部の封水機構を提供することにある。

」二記目的を達成するため、本発明は、水力機械の主軸
ライナの外周側にバッキング保持具を設げ、このバッキ
ング保持具内に前記主軸ライナの封水バッキングをその
主軸ライナの軸方向に沿って複数着脱可能に保持したも
のにおいて、前記バッキング保持具は、バッキングを収
容するバッキングボックスと、各バッキングの主軸ライ
ナ軸方向に隣接してこれらと位置交換可能に設けられか
つ該バッキングの厚さ以上の厚さを有する調整リングと
を有するようにしたものであり、該調整リングとバンキ
ングとを位置交換させることによりいままで活用されて
いなかった主軸ライナの表面をバッキングの接触面とし
て活用させるようにするものである。

以下、本発明を第３図および第４図に示す実施例により
詳細に説明する。

第３図に示す実施例においては、バンキング６とバッキ
ング収容室６Ａの内壁との間にバッキング６の厚さと等
しいか、またはこれより大きい厚さの調整リング１６を
設げ、またパツキングーと８との間に上記と同様な厚さ
の調整リング１７が設けられている。

水車の運転中、主軸ライナ２に摩耗を生じ、水流１１の
流量が大きくなった場合には、調整リング１６とバッキ
ング６の位置を交換し、また調整リング１７とバンキン
グ７の位置を交換して封水構造を組立てれば、バンキン
グ６の記号ｄ１相当部は主軸ライナＨ１の位置に、バン
キング７のｄ２相当部はＨ３の位置に、それぞれ主軸ラ
イナ２の摩耗の生じない面に対応しと設置され、この部
分においてあたかも主軸ライナ２を新しく取付けたもの
と同様の封水効果を得ることができる。

また調整リング１７とバッキング８の位置を交換すれば
、バッキング８のｄ３相当部はＨ３の位置になるので、
バッキング８は同様に新しい主軸ライナ面と接すること
になる。

−ト記バッキングの位置径えは、主軸ライナの摩耗に応
じて任意のバンキングについて行なうことができる。

このバンキングと調整リングの各厚さの関係を第３図に
示した符号で示せば、次式のようになる。

Ｈｌ・Ｈ２・Ｈ３≧ｄ］・ｄ２・６３ 次に、第４図は、第３図の実施例において、バンキング
６と調整リング１６を交換し、バンキング８と調整リン
グ１７を交換したのち、さらにバッキングケース４Ｂの
天地を逆にしてバンキングを下側に位置せしめた場合の
実施例を示す。

このように位置すれば、第３図における記号ｄ２の厚さ
のバッキングＴは、記号Ｈ２の位置に下がり、（ただし
Ｈ２≧ｄ２）、摩滅または損傷を生じていない主軸ライ
ナの面に対応し、この場合も、あたかも主軸ライナを交
換したときと同様の封水効果を実現することができる。

なお、本発明においては、主軸ライナ２に当接するバッ
キングの位置交換時に、摩滅した主軸ライナ面の全てを
新しい密接個所に変える必要はなく、封水効果を充分あ
げることができる程度の面積（通常は７０％）が新しい
密接個所になればよい。

従って前記各数式範囲は、各バンキングを全面的に新し
い主軸ライナ面に密設させる典型例を示したものであり
、この範囲のみに限定されるべきではない。

以上、本発明によれば、水車等の水力機械の主軸封水部
分の、主軸に装着されるライナの寿命を約２倍以上にす
ることができ、手数および費用のかかるライナ交換回数
を極めて少な（することができる。

従ってライナ交換に要する作業、発電損失等を大幅に節
減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、水車の主軸封水部付近の概略断面図、第２図
は従来の水車主軸封水機構の断面図、第３図は本発明の
一実施例を示す水車主軸封水機構の断面図、第４図は同
使用状態図である。 １・・・・・・水車主軸、２・・・・・・主軸ライナ、
３・・・・・・バッキングボックス支持部、４Ａ、４Ｂ
・・・・・・バッキングケース、４・・・・・・バンキ
ングボックス、６，７゜８・・・・・・バッキング、９
・・・・・・水飛散止め、１０゜１１・・・・・・水の
流れ、１２Ａ・・・・・・バッキングケース、１２Ｂ・
・・・・・バンキング抑え、１３，１４，１５・・・・
・・ボルト、１６，１７・・・・・・調整リング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水力機械の主軸ライナの外周側にバッキング保持具
   を設け、このバッキング保持具内に前記主軸ライナの封
   水バンキングをその主軸ライナの軸方向に沿って複数、
   着脱可能に保持したものにおいて、前記バッキング保持
   具は、バッキングを収容するバンキングボックスと、各
   バッキングの主軸ライナ軸方向に隣接してこれらと位置
   交換可能に設けられかつ該バッキングの厚さ以上の厚さ
   を有する調整リングとを有することを特徴とする水力機
   械主軸部の封水機構。