JPS5930279B2 - 番組音モデル信号発生装置 - Google Patents

番組音モデル信号発生装置

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JPS5930279B2
JPS5930279B2 JP11901176A JP11901176A JPS5930279B2 JP S5930279 B2 JPS5930279 B2 JP S5930279B2 JP 11901176 A JP11901176 A JP 11901176A JP 11901176 A JP11901176 A JP 11901176A JP S5930279 B2 JPS5930279 B2 JP S5930279B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、一般の番組音が有する統計的特徴をパラメー
タ値、例えば、後述するピーク・ファクタ値を指定して
それぞれ高精度に表しうる普遍的な番組音モデル信号の
発生装置に関するものである。
一般に、各種機器に対する試験用信号としては、従来、
それら機器の実際の使用時に取扱う番組音信号を代表し
ない試験信号が用いられている。
すなわち従来の標準試験信号は、多くの場合機器独自の
線形特性を測定するものであつて、実際の番組音信号の
伝送に拘る機器の非線形特性は測定し得ないものであつ
た。これに対し、本発明においては、かかる機器、特に
番組音信号を取扱う各種の伝送機器、レベル計等の伝送
補助機器、あるいは防音壁等の音響設備などの線形特性
のみならず、実際の番組音信号伝送時における動態的非
線形特性をも高精度に測定しうるための番組音モデル信
号を発明の対象とする。すなわち、本発明は、つぎのよ
うな技術的課題を解決するためになしたものである。(
1)番組音モデル信号として、本願発明者による特公昭
55−20239号公報記載のものに比してさらに実際
の番組音に一層高精度に近似したものを発生させる。
(2)あらゆる種類の番組音に対応し得る普遍的な番組
音モデル信号を発生させる。
(3)上述のごとき番組音モデル信号の発生装置を簡単
な構成で実現させる。
本発明の目的、構成並びに効果を明瞭にするために、上
述の課題についてさらに詳述する。
まず、試験信号としては実際の番組音を用いるのが望ま
しいが、実際の番組音は、一般に正確な分析が困難であ
つて、被測定機器装置における入力パラメータと出力パ
ラメータとの対応、例えば、高周波ひずみ率や振幅分布
形の変化を定量的に求める測定、試験にはそのままでは
適用し得ない。また、標準試験信号としての普遍性を有
する番組音の選定も困難であつて、既知のパラメータを
有する多種類の番組音を標準試験信号として用意するこ
とが必要となる。また、被測定系の線形特性は、従来、
正弦波試験信号による普幅周波数特性および位相周波数
特性、あるいはステップ関数信号に対する応答などによ
り、それぞれの被測定系について唯一の特性として求め
ることができ、使用した試験信号によつては異なる特性
となることはない力\被測定系の非線形特性は、一般に
、使用した試験信号によつて異なるものであり、例えば
振幅制限増幅器におけるがごとく、一つの試験信号によ
つて得た特性をもつて他の試験信号による特性を類推す
ることは困難であるので、実際の信号伝送時の非線形特
性は、番組音と同等の性能を有する番組音モデル信号に
よらなければ規格的測定はなし得ない。
したがつて、被測定系の非線形特性を測定するための試
験信号としては、番組音と同等の測定結果が得られるよ
うに番組音の本質的特徴を有し、かつ、その特徴をパラ
メータにより必要にして十分な程度に表しうる試験信号
であることが必要となク、かかる試験信号を構成するこ
とが本発明の解決すべき基本課題である。しかして、最
も代表的な番組音としては、一般に、オーケストラ音と
スピーチ音とが挙げられているが、これらの信号の統計
的音響性質は全く異なるものであり1これらの異質な信
号を統合した普遍性、並びに、それぞれの信号に対する
高い近似度を兼ね備えたモデル信号を得ることも本発明
の解決すべき別の基本課題である。
さらに、モデル信号としては実際の番組音に限bなく近
似することが望ましいものの、そのモデル信号の発生が
工業的に容易かつ可能な範囲のものでなければならず、
番組音の本質的特徴を十分に表す精度と発生の容易性と
を調和したモデル信号が得られる必要がある。
上述したところを具体的な課題条件として列挙すればつ
ぎのとおりである。
(1)番組音に現われる時間的に大幅に変化するスペク
トルを容易に与え得ること。
(2)非線形特性の測定に好適であること。
(3)番組音が有する後述するような調和性乃至協和性
を備えていること。(4)狭帯域の成分信号を要素の信
号として用いても次の(5)に述べるようなガウス分布
性が得られること。
(5)上述のガウス分布性としては、実際のスピーチ音
やオーケストラ音におけるレベル一定な可聴周波数成分
信号の分布のようにその振幅確率分布が近似的ガウス分
布であること。
(6)発生回路の構成にフイルタを必要としないこと。
(7)熟知されている信号により構成したものであるこ
と。
(8)信号成分の振幅を容易に変化させうること。
(9)可聴周波数成分信号の構成変更が容易であること
。(代)回路の構成が簡単であること。
本発明の目的を要約すると、上述した幾多の条件課題を
解決するにあり1各種の番組音の本質的特徴をバラメー
タにより+分に表し得る普遍性を有し、特に代表的かつ
対照的な番組音たるスピーチ音とオーケストラ音との双
方の特徴を接合させるとともに、十分な精度をもつてそ
れぞれに近似したv(t膚号を簡単な構成の装置により
発生させることにある。
さらに、本発明の具体的な目的は、さきに列挙した具体
的な課題をすべて解決した構成を有する番組音モデル信
号発生装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本願発明者に係る特公昭5
5−20239号公報記載の番組音モデル信号発生装置
の改良にある。すなわち、上記公報記載の番組音モデル
信号発生装置においては、本願発明につぎ後述すると同
時に、可聴周波数成分信号v(t)とレベル変動成分信
号w(t)との積の形態をもつて番組音モデル信号u(
t)を構成している。ここで、v(t)はレベル一定の
可聴局波数成分であり、その振幅確率分布はほぼガウス
分布になつている。二方、w(t)は主として非可聴周
波数成分からなり、その振幅確率分布はM分布になつて
いる。な訃、詳細については、本発明者の記述に係る「
オーケストラ演奏者の確率過程モデル」、日本音響学会
講演会論文集、第231〜232頁(昭和48年5月)
を参照されたい。しかして、上述した特公昭55−20
239号公報記載の番組音モデル信号発生装置において
は、可聴周波数成分信号v(t)は、連続スペクトルを
有するガウス分布信号を周波数特性一定のくし型フイル
タにより瀘波したのちそのスペクトル包絡波形のみを変
化させるようにして形成しているので、そのスペクトル
成分は必要な調和的構造を有するが、各くし型帯域の幅
が広く、聴覚的には番組音と同等の調和性が得られず、
上述の帯域幅を狭くすれば瀘波出力が減衰して十分な大
きさの信号対雑音比を有する信号が得られず、さらに、
かかるモデル信号を歪測定の試験信号として用いる場合
には、測定出力中の歪成分が広い菅域の入ガスベクトル
成分に覆われ、その検出が極めて困難であつた。
本発明においては、上述した困難を除去し、各 .成分
周波数帯域を狭くし、かつ、その中心周波数を変化させ
ることの困難な、くし型フイルタを用いることなく、ス
ペクトル分布に時間的変動を付与することが容易であつ
て、十分な調和性乃至協和性を有し、しかも、オーケス
トラ音に対しては振幅に対する確率密度関数が正負対称
なガウス分布を、また、スピーチ音に対しては標準偏差
が正側と負側とで異なる正負非対称な片側ガウス分布に
近似させうるようにして番組音モデル信号を構成する可
聴周波数成分信号V(t)を形成する。
すなわち、本発明番組音モデル信号発生装置は、レベル
変動を伴わない可聴周波数成分信号v(t)と番組音の
レベル変動を表わすレベ′変動成分信号w(t)との積
の形態を有する番組音モデル信号u(t)を発生させる
にあたり、前記可聴周波数成分信号v(t)の基本的周
波数成分をなす複数個の要素波が互に実質的に調和性も
しくは協和性を与える周波数をそれぞれ有し、かつ、さ
らに前記複数個の要素波に番組音に則した位相変動をそ
れぞれ付与し得るように構成するとともに、それら複数
個の要素波に対して番組音に則したスペクトル包絡波形
を付与したうえで、それら複数個の要素波を加算し、そ
れら加算した要素波の実効値を所定のレベルに設定する
ことにより1前記可聴周波数成分信号v(t)を形成す
るようにしたことを特徴とするものである。以下に図面
を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明発生装置に}いては、前記公報の記載におけると
同様に、上述した可聴周波数成分信号v(t)とレベル
変動成分信号w(t)とを別個に形成し、それらの信号
を例えば乗算回路に加えてそれらの信号の積の形態を有
する番組音モデル信号u(t)を構成するのであるが、
そのうちの上記可聴周波数成分信号v(t)を形成する
回路の概略構成を第1図に示す。第1図示の回路構成に
}いては、周波数構成部1により可聴周波数成分信号v
(t)の基本的な局波数成分となる要素波を発生させ、
その要素波のスペクトル成分周波数の主要な構成並びに
番組音にノつ 対応したスペクトル成分の構造に時間的変化を付与する
のであるが、その詳細については後述する。
ついで、上述した要素波を位相設定変調部2}よびスペ
クトル包絡付与部3に順次に供給し、それぞれ端子6}
よび6″より印加した、番組音に対応する特性を与える
制御信号により、要素波の位相}よびスベクトル包絡波
形を変調する。な訃、後述するように、位相設定変調部
2は、前述した周波数構成部1と合体させて、回路素子
をそれぞれの目的に兼用するように構成することもでき
る。上述の位相変調およびスペクトル包絡波形変調によ
シ形成された種々の相対振幅を有する要素波を加算部4
に導いて加算したのち、さらに定レペル化部5に導いて
実効値を所要の一定レベルに保持し、出力端子7よりレ
ベル変動を伴わない番組音モデル信号の可聴周波数成分
信号v(t)として取出す。ここで、実際の音響信号の
特徴を反映すべきモデル信号を構成するための可聴周波
数成分信号v(t)の具備すべき基本的要件を明らかに
するために、代表的な音響信号の構成を検討するに、こ
れらの音響信号は周波数や位相の漂動を伴なつた線スペ
クトルによつて構成されている。
例えば、バイオリンの単一音符音は、演奏効果以外にも
演奏者の手の揺れがあるので、単純な周期波とはならず
、基本周波数成分のみならず、高調波成分にも周波数や
位相の漂動を伴なつている。換言すれば、周波数や位相
の平均値は一定であるが、それらの各値は短時間の間に
変動している。また、人の発声音に訃いては、一定ピツ
チの母音の発声を行な・つた場合でも、発声器管の筋肉
の制御は完全ではないために、同一周期波の発声を維持
することはできず、上述のバイオリン音に訃けると同様
の漂動を伴なうことは、ソナグラフなどによる分析の結
果によつても明らかである。すなわち、音響の発生に肉
体的手段が介入する場合には、上述のように、音響信号
の周波数や位相を一定に保持することは困難であつて、
漂動を伴なうことになる。また、梵鐘の例においても、
梵鐘の共鳴により持,続する振動音は、その振動の姿態
の変化や非線形的要素による変化を伴なうために、いわ
ゆる七色の音色となつて、その振動音のスペクトルには
時間的にゆるやかな変化を生ずる。本発明に}いては、
レベル一定の可聴周波数成分信号v(t)を、実際の音
響信号における上述のような周波数や位相の漂動が的確
に表現されるように構成する。
まず、理論的に単一の振動体から発生する定常的音響信
号をにより表わし、i=1のときを基本波成分とし、i
≧2のときを高調波成分とするが、ここに、Ciはそれ
ぞれの振幅、L−1は高調波の数を示す。
さらに上式(1)の定常音に、前述したような位相漂動
成分Δθi(t)を付加すると、となる。
前述したような実際の音響信号を式(2)をもとに分類
して表示すると、まずつぎのようにな)・る。(i)
一つの楽器が一つの音符を奏するときの音は、前述した
と同様に、によつて与えられる。
ピアノ音やフルート音などにおいて位相漂動成分がi・
Δθ,(t)によつて表現され得る時間領域においては
、によつて表わされる。
(il)M個の楽器が一つの音符を奏するときの和音は
・高調波数LjJ(j =1,2,・・・,M)として
(i)項に述べた二つの式より、それぞれに対応して、
によつて表わされる。
ここに、ωjは、jの直に拘わクなく、ほぼ同一の角周
波数であるが、その値は、オーケストラにおける各楽器
の演奏の精度に相当する程度に、jの値ごとに、極めて
わずかずつ異なつ→ている。
゜11)協和するN個の音符を各音符ごとに楽器数MK
個にて奏するときの和音は、(Ii)項に述べた二つの
式より、それぞれに対応して、によつて表わされる。
ここに、iはある単一振動体から発生する音響信号の基
本波( i=1)あるいは高調波( i= 2,・・・
,Lj,k)を指定する変数、jは同一音符音を奏する
楽器を指定する変数、kは協和音符を指定する変数、A
kは協和音に付与する重みづけの係数、Bj,kは各楽
器音の基本波に付与する重みづけの係数、Ci,j,k
は各基本波に対比して高調波に付与する重みづけの係数
を表すものである。
なお、QiD項の式が実際の音響信号のもつとも一般的
情況を帰納的に表現したものである。本発明においては
、かかる一般式で表されるv(t)信号を、工業的に容
易に発生させるようにするとともに、実際の音響信号の
統計的性質を表すように構成する。すなわち、本発明モ
デル信号の一構成例においては、前述した可聴周波数成
分信号v(t)を式(2)に基づいて構成し、とする。
この場合まず、レペルー定な正常な発声による母音やバ
イオリンの演奏者などをモデル化するときは、例えば母
音の基本周期の区間の平均的波形を近似的に有限項のフ
ーリエ級数に展開して上記式(3)におけるCi,ψi
を求めておき、位相漂動成分Δθi(t)については変
動幅を2πより十分小なるものとし、ゆるやかに変動す
る基本周期の区間の波形を実態的によく反映して表現し
うるょうにする。一つの楽器や音声が式(3)に従う構
成の場合でも、楽器音の群を合成したオーケストラ音や
コーラス音などに卦いては、上述とは異なb1位相漂動
成分の変動幅を2πより十分大なるものとし、ある角周
波数ωの周りに密集したスペクトルを、ゆるやかな位相
漂動でサンプリング表示した形態のv(t)信号を構成
する。
すなわち、位相の変動を特定の離散的な値に置き換えて
v(t)信号を構成する。このような構成の利点につい
て以下に述べると、011)項に述べた一般式に訃いて
N=10,Mk=20,Lj,k=10とした場合には
可聴周波数成分の個数K2l』ζLj,kは2000と
なるが、上述のv(t)信号においては代表的にMk=
1とし得ることになシ、上述の値は100に低減される
ことになる。さらに、各単一共振体の高調波を無視すれ
ばLj,k::1となる。すなわち基本波成分に位相漂
動成分を付加することによつて、上述のNMkdliM
,Lj,k=2000を10にまで減少させ、10個の
正弦波発振器のみで、上述の可聴周波数成分を代表的に
近似することができることになる。
本発明v(t)信号の他の構成例に訃いては、上記(2
)式のごとく位相漂動成分Δθi(t)を付加する替わ
りに、i=1とした基本波角周波数ωの高調波1・ωを
もつては可聴周波数成分を構成せず、その高調波の近傍
の角周波数ωiをもつて可聴局波数成分を構成し、ωi
+i・ω(ωi〆i・ω)に選定して、とする。
ここに、Lはこの場合における周波数成分の数であり、
基本波と高調波との個数である。さらに、上記式(4)
の可聴周波数成分信号を構成する要素波を、正弦波以外
の周期波を用いれば、可聴周波数成分信号v(t)は式
(4)に}けるiをjに置換し、LをMに置換し、L・
を基本波と高調波Jとの個数として、 となる。
ここに、上記式(4)に}けると同様にしてωj+j・
ω(ωj〆j・ω)とし、jを自然数に選ぶが、例えば
jを、高次高調波間で協和性が得られるような値に選択
的に設定することもできる。な}、式(5)の右辺は基
本波ω1,ω2,ω3,・・・,ωMにそれぞれ高調波
が付いた波を表わしている。しかして、上記式(3)お
よび(4)は、上述のように協和性を有して実際の番組
音の要素成分を表す(t)信号を構成するに好適である
が、さらにつぎに述べるように番組音の性質にみられる
ようなガウス分布性をも有している。すなわち、例えば
式(3)において、Δθi(t)を、1が異なれば互に
独立した分布をなして漂動する微小な位相漂動成分とす
れば、各近似正弦波成分相互は確率的には独立であつて
、しかも、有限の実効値を有しているのであるから、中
心極限定理により、加算個数Lを増大させていけば、加
算されたL個の近似正弦波は正規分布、すなわち、ガウ
ス分布に近似した分布特性を有することになる。
この情況は式(4)の場合でも同様であり、各正弦波の
角周波数の比を無理数比に選んだ場合には要素正弦波の
重なり具合は、いかなる時点に訃いても同一とはならず
、観測する時間長を無限大にし、かつ、加算個数を無限
大とすれば、上記式(4)の表わす信号0振幅確率分布
は正規分布となる。な訃、詳細については、日本音響学
会誌、昭和44年、第25巻、第2号、第60〜68頁
に記載の論文を参照されたい。つぎに、上述したように
モデル信号の要素成分となる近似正弦波をどの程度の個
数加算すれば実際の音響信号における周波数成分の分布
にどの程度近似するかを検討する。
実際的には、2個の正弦波を加算したときにおけるピー
クフアクタPFlすなわち、ピーク値と実効値との比は
約2となり、10個の正弦波を加算したときに卦けるピ
ークフアクタPFは4.4となることが知られている。
これはつぎの式により求めた値と一致する。ノ VJL また、近似正弦波の加算によつて得られる信号がガウス
分布性を有するか否かに関しては、2個の正弦波を加算
したときも、低レベルに訃いては、ガウス分布特性がよ
く成立し、また10個の正弦波を加算したときには、そ
れらの和信号の分布は通常のアナログガウスノイズ発生
器によつて得られるガウス分布ノイズの分布特性にほぼ
匹適するガウス分布性が得られることが判明している。
したがつて、PF=4.4を実現する10個の正弦波発
振器を用いれば、実際の音響信号における信号成分の分
布に十分近似した性質を有する可聴局波数成分信号v(
t)を有するモデル信号を構成することができる。さら
に、PFが大きく、ガウス雑音に近い任意のPFを実現
するには、式(6)より求まる正弦波個数の発振器を用
い、それらの発振器の出力を加算すればよい。つぎに、
可聴周波数成分信号v(t)の調和性乃至協和性につい
て検討する。
まず、調和性とは、基本局波数成分とその基本局波数の
自然数倍の周波数を有する高調波成分とが共存すること
をいい、これらの各信号成分全体は互に調和性を有する
と称するのであるが、聴感上からすれば)調和的音感を
生ずる場合における各成分信号間の周波数比は必ずしも
自然数比である必要はなく、それらの局波数比が自然数
比に十分近似しておれば、実際の聴感上では十分に調和
的音感が得られる。また、協和性とは、2個以上の要素
成分信号間の周波数比が簡単な自然数比となう、協和感
を与えることをいうが、実際の聴感上からすれば、上述
の調和性におけると同様に、上述の局波数比は必ずしも
自然数比となる必要はなく、その自然数比に十分近似し
ておれば、無理数比であつても、実際の聴感上では十分
に協和的音感が得られる。具体的に説明すれば、平均律
音階において5度の差を有する各音程間の周波数比は1
:272であつて、無理数比をなすが、かかる5度の音
階の差は実際の音楽上の協和的感覚を乱すことはなく、
実用上協和音として取扱われている。
また、複合音が調和性乃至協和性を有するための条件は
各成分信号の周波数の絶対値によつて異なり、ピアノの
調律を例にとつていえば、音階f:4A,(220Hz
からC.(1047Hz)までの間では±0.6%程度
の範囲において平均律的に調律されるが、これより高音
の範囲においては+2%程度まで、また、これより低音
の範囲においては−4%程度まで平均律の周波数からず
らして調律が行なわれる。本発明モデル信号における要
素成分の周波数は、上述のような具体例を参照して設定
することができる。上述のような構成を有する番組音モ
デル信号の可聴周波数成分信号v(t)を形成するよう
にした本発明装置の詳細を、第1図示の概略構成につい
て、以下に順次に説明する。
(1)局波数構成部 番組音モデル信号における可聴局波数成分信号v(t)
の各要素成分を発生させる局波数構成部1について、ま
ず、アナログ発振器を用いて発生させる場合では、前述
した?4),すなわちにおける各成分角周波数ωiまた
はi・ωを、互に調和性乃至協和性を保たせながら、大
幅に変化させて各要素波の周波数を設定する。
すなわち、例えば第2図aに示すようなウイーンブリツ
ジ発振器の一辺に訃ける抵抗Rを、第2図bに示すよう
に、電界効果トランジスターFETを用いて構成した二
端子抵抗に置換え、さらに、コンデンサCの値を、第1
チヤンネルの基本局波数用発振器におけるC1に対し、
第1チヤンネルの高調波用発振器においてはCi=C,
/iとなるように設定して、第2図cに示すよう11C
sL個のウイーンブリツジ発振器をもつて局波数構成部
1を構成する。
かかる構成の周波数構成部1において、第2図cに示し
たように各ウイーンブリツジ発振器の各辺に印加する周
波数可変制御用電圧に、各辺それぞれ独立にゆるやかに
変動する分布ノイズ電圧を重畳すれば、上述の式(3)
のような構成の要素波信号を得ることができる。な}、
その際、分布ノイズ電圧の大きさを、そのノイズ電圧を
除いた制御電圧の値に対して十分に小さく設定すると、
式(3)につき前述した母音やバイオリン演奏音のよう
な単一音符音の場合を表し、分布ノイズ電圧の大きさを
、そのノイズ電圧を除いた制御電圧の値に対して十分大
きく設定すると、同じく式(3)につき前述した合成の
楽器音群やコーラス音の場合を表すことになる。また、
各発振器の局波数可変制御用電圧を直流電圧として各発
振器のブリツジ辺におけるコンデンサCiの値をCiS
C,AにしてCi+C/iなる近傍の値とすれば、各要
素波の成分周波数ω1はωi+i・ω(ωISi・ω)
となつて、上述した式(4)の場合を表すことになb1
さらに、その際における発振器出力から高調波を発生さ
せると、上述した式(5)の場合を表すことになる。な
卦、第2図cの構成に卦いては、各要素波の局波数が基
本波局波数の自然数倍となつて調和性を有しているが、
これに対して、各要素波の周波数が協和性を有するよう
に構成するには、各要素波を発生させるウイーンブリツ
ジ発振器のブリツジ辺に卦けるコンデンサCiを、例え
ば第2図dに示すように、同一容量C。を有するコンデ
ンサとスイツチSWとの並列回路を複数個直列に接続し
たものをもつて構成し、スイツチSWの開閉個数を時間
的に変化させるようにする。すなわち、開スイツチの個
数をM。とすれば、かかる構成のコンデンサの容量Ci
はCi=CO/MOとなb、例えば第1チヤンネルにお
いてM。=3,第2チヤンネルにおいてM。=5とすれ
ば、周波数比3:5の協和周波数構成が得られる。した
がつて、上述したスイツチ群の開閉を例えば楽譜音符系
列など所要の番組音を表すプログラムに従つて制御すれ
ば、調和性乃至協和性を有する信号構造の時間的な変化
を所望の態様に実現させることができ、かかる直列スイ
ツチング回路の開閉制御は、例えばリレーや半導体スイ
ツチング素子を直列接続して適切な電圧制御を行なうよ
うにして実施することができる。つぎに、番組音モデル
信号の可聴周波数成分信号v(t)の各要素波をデジタ
ル制御機構により各周波数を設定するようにして発生さ
せるようにした本発明装置における周波数構成部1の構
成例を第3図に示す。
かかるデジタル制御の局波数構成部において発生する各
要素波は、基本波および各高調波の位相がすべて同期し
た状態で発生されることになb1発振器12として電圧
制御マルチバイブレータVCMを用いた場合に各高調波
相互間で位相同期しているのは勿論のこと、各発振器の
基本波成分相互間に卦いても位相同期していることは、
電圧制御正弦波発振器VCOを用いた場合に卦いても同
様である。すなわち、第3図示の周波数構成部に卦いて
は、調和性乃至協和性を与える周波数を可変とした標準
可変発振器8として電圧周波数変換器FCを用い、これ
に印加する周波数制御電圧源9を調整してその発振出力
の周波数を変化させ、各要素波を形成する各チヤンネル
の位相検波器10に供給する。
一方、各チヤンネルの要素波周波数の発振を行なうよう
にした上述の電圧制御マルチバイブレータVCMや電圧
制御正弦波発振器VCOなどよりなる電圧制御発振器1
2の発振出力をそれぞれ分周器11に加え、所定の比率
に分周して電圧周波数変換器8の発振出力と同等の周波
数に逓降し、その分周出力をそれぞれ前述の位相検波器
10に供給して電圧周波数変換器8の発振出力との位相
比較を行ない、その位相比較出力を低域通過フイルタ1
『を介して電圧制御発振器12に印加し、その発振出力
の位相を制御して、分周器11の出力を電圧周波数変換
器8の発振出力位相に揃えたうえで、要素波信号として
各チヤンネルの出力端子13から取出す。第3図示の例
においては、要素波信号の最低周波数の1/4の発振周
波数を有する電圧周波数変換器8を用い、上述の最低周
波数の64倍までの高調波を要素波信号として発生させ
ている。第3図示の回路構成により協和的周波数構成の
要素波を得るには、上述した64チヤンネル中のチヤン
ネル番号が簡単な自然数比をなすチヤンネルのものを選
択するようにし、例えば適切に組合わせたスイツチ群な
どによりかかるチヤンネルの選択を行なうことができる
な訃、電圧制御マルチバイブレータVCMを使用した場
合には、電圧制御発振器12から多数の高調波成分信号
を発生させることができるので、例えばオーケストラ演
奏音に現われるような高密度のスペクトル分布を形成す
る要素波を作るこ.とができる。
すなわち、前出011)項において述べた単一音符音群
に関する一般式に卦いてMk=1とした場合に相当する
可聴周波数成分信号V(t)を構成する要素波を上述の
ようにして簡単に形成することができる。また、上述の
ごとく高密度スペクトル分布を形成できる要素波に対し
、後述するようにして行なう位相制御を所要の程度にゆ
るく加えるようにすれば、ゆるやかな位相漂動が生じて
、6第3図示の回路構成に訃ける各電圧制御マルチバイ
ブレータVCMから発生したそれぞれの高調波成分信号
のうち重さなつていたものが重ならなくなるので、一層
高密度のスペクトル分布を有する調和的、協和的な周波
数構成の可聴周波数成分信号v(t)を得ることができ
る。
つぎに、第3図示の周波数構成部の回路構成を簡易化し
た例を第4図に示す。
第4図示の構成例においては、電圧周波数変換器VFC
、電圧制御正弦波発振器VCOl電圧制御マルチバイブ
レータVCMなどを用いた複数個の電圧制御発振器16
]〜Mから得られる基本波の発振周波数が調和性、協和
性を有するように、これら発振器16−1〜Mに印加す
る制御電圧を設定する。その設定法としては、第4図の
入力端子14に、分圧器151〜Mに共通な制御電圧を
与え、それぞれの分圧器の出力が発振器16−1〜Mの
上記所要制御入力電圧になるように分圧器15]〜Mの
分圧比を定める。これにより、各発振器16−!〜Mを
、共通の周波数制御用電圧により1上述のようにして設
定した分圧比例に応じた調和性、協和性を有する周波数
比を維持したままで、発振局波数可変とすることができ
る。
また、上述の分圧器列15]〜Mにおける分圧比の構成
をプログラムに応じて変化させるようにすれば、可聴周
波数成分信号(t)のスペクトル構造を所望のプログラ
ムに合わせて大幅に変化させることも容易であり、前出
式(6)に相当する構成の可聴周波数成分信号v(t)
を得ることができる。つぎに、式(3)を用いスピーチ
音のモデル化に適した可聴周波数成分信号v(t)を形
成する回路構成例を第5図に示す。
しかして、母音用モデル信号においては、互に位相同期
の関係にある高調波成分信号を用いるので、局波数構成
部1としては、第3図に示したような高調波関係にある
要素波を発生させる回路構成を用いるのが好適であるが
、かかる構成の周波数構成部において電圧制御正弦波発
振器VCOを用い得ない場合には、第5図の高調波発生
部18で例えば各電圧制御マルチバイブレータVCMを
用いて、それらの発振出力E/(t)〜E/(t)によ
りそれぞれ正弦波発生器201−Lを同期制して発振さ
せるようにし各高調波周波数の正弦波信号を形成する必
要がある。
ただし高調波発生部18の各高調波出力信号として正弦
波信号が得られる場合には、上述の正弦波発生器201
〜Lは不要となる。なお、高調波発生部18をL個の電
圧制御マルチバイブレータVCMによつて構成している
場合で、そのマルチバイブレータ出力から正弦波信号を
作るには、上述のように正弦波同期発振器を用いる方法
や、マルチバイブレータVCMの発振出力信号を積分し
て三角波信号を形成し、これをさらに非線形回路に加え
て正弦波信号に変換する方法を用いることもできる。第
5図示の構成においては、上述のようにして形成した各
チヤンネルの正弦波出力信号についてそれぞれ、順次第
1図示のような回路構成による信号処理を行なつて可聴
周波数成分信号v(t)を構成する。
その方法としては前出式(3)につき前述したように、
各チヤンネル毎に前出式(3)に訃ける振幅係数Ci}
よび位相定数ψiを設定するためには、モデル信号のス
ベクトル、位相構造をスピーチ音等の番組音にシけるス
ペクトル、位相分布に近似させるように位相設定信号、
位相変調信号および利得制御信号をそれぞれの発生器2
4,25および26により発生させ、これらの制御信号
により制御して、上述したように、各チヤンネル毎に第
1図示の信号処理を行なう。つまり、正弦波発生器20
−1からの各チヤンネルの正弦波信号をそれぞれの移相
器21−1に加えて発生器24からの位相設定信号によ
り制御し、まず、それぞれの位相係数ψiを設定する。
ついで、移相器21−1の移相出力正弦波信号をそれぞ
れの位相変調器22−1に導いて発生器25からのゆる
やかな独立した分布信号よりなる位相変調信号により変
調を加えて、移相出力正弦波信号に位相のゆらぎΔθi
(t)を付与する。さらに、それら位相変調出力信号を
それぞれの可変利得増幅器23−1に導いて利得制御信
号発生器26からの利得制御信号によりその振幅を制御
し、番組音に近似した所要のスペクトルエンベロープ波
形を設定する振幅係数Ciに比例するように、それぞれ
の増幅器23−1の増幅利得を設定し、各チヤンネルの
高調波信号に所要のスペクトルエンベロープ波形を付与
する。なお、上述した移相器21−ぃ位相変調器22−
1および可変利得増幅器23−1の接続配置の順序は、
上述の例に限らず、任意の順に配置することができる。
かかる信号処理を施した各チヤンネルの高調波信号を加
算器4に導いて加算し、出力端子7から可聴周波数成分
信号V(t)として取出す。上述のごとく、第1図示の
概略構成における位相設定変調部2に対応する第5図示
の移相器訃よび位相変調器は、例えば第6図に示すよう
な回路構成を用いて実現できる。
第6図示の構成例に}いては、移相器出力あるいは位相
変調器出力は正弦波発生器27の出力信号を2個の抵抗
素子Rの直列回路ならびに容量Cと電圧制御可変2端子
抵抗素子31の直列回路とにそれぞれ印加し、それぞれ
の直列回路の中間接続点出力信号を差動増幅器29に導
いてその差信号として出力端子30から取出す。ここで
、差動増幅器29の差出力信号の位相は、上述した容量
Cの値を、正弦波信号の角周波数ωに対してC=1/ω
Rとなるように設定し、可変抵抗素子31の抵抗値を制
御電圧発生器28からの、たとえばゆるやかな分布ノイ
ズ信号などにより、0〜1Ωの間で変化させることによ
り、入力正弦波信号に対し、π〜0、もしくは、差動増
幅器29の極性を反転させるときには、−π〜0の範囲
に変化させることができる。な訃、第6図のように電圧
制御可変2端子抵抗素子31を電界効果トランジスタF
ETなどで構成し、制御電圧発生器28からのゆるやか
な分布ノイズ信号によつてその抵抗値を可変制御すれば
、出力端子30にはO〜πの範囲でゆるやかに位相が漂
動する正弦波信号が得られる。したがつてかかる構成の
位相変調器を1段のみ用いることによつて、第4図示の
回路による前出式(3)の周波数構成のスピーチ音に好
適なv(t)信号を得ることができる。また、かかる構
成の位相変調器を必要に応じて2段縦続接続して用いれ
ば、前出式(3)に関し前述した定常な母音やバイオリ
ン演奏音を近似するv(t)信号における位相定数ψi
を設定することができ、さらに、2段以上縦続接続して
用いれば、楽器音群やコーラス音に近似したv(t)信
号を形成することができる。つぎに、第1図示の概略構
成におけるスペクトル包絡付与部3、あるいは、これに
相当する第5図示の可変利得増幅器23に訃いて、要素
波信号のスペクトル包絡波形を変化させるには、チヤン
ネル制御形と包絡波制御形との2つの態様がある。
前者のチヤンネル制御形に}いては、第5図示の構成例
におけるがごとく、各チヤンネルの要素波の局波数成分
をチヤンネル個別に利得制御してスペクトル包絡波形を
形成するものであり、この場合に、同一チヤンネルに基
本波とその高調波とが共存しているときには、双方が同
時に等しい利得制御を受けるが、高調波成分が基本波に
対して十分小さければ、各チヤンネルに訃ける基本波成
分のみのスペクトル包絡波形を所望の波形に近似させる
ことにより1ほぼ所望の包絡波形を有する要素波信号が
近似的に形成できる。かかるチヤンネル制御形スペクト
ル包絡形成に適した利得制御を行なう可変利得増幅器の
構成例としては、第7図に示すものがある。固定抵抗R
と可変2端子抵抗素子31との直列回路に入力信号を印
加し、その中間接続点に現われる信号を出力として取出
すようにし、制御入力端子32からの電圧により可変抵
抗素子31の抵抗値rを変化させれば、チヤンネル利得
が変化された出力が得られる。一方、スペクトル包絡波
制御形のスペクトル包絡形成部は、通常の周波数等化増
幅器の周波数特性を、時間的に変化する番組音のスペク
トルに則してプログラム化した時間的パターンによつて
変化させる機能を有するものである。
したがつて、この包絡波制御形のスペクトル包絡形成部
3は、第1図示の概略構成に卦けるとは異なb1各チヤ
ンネルの要素波を合成した加算出力信号のスペクトル包
絡波形を制御するために、加算部4の後に配置する。な
お、この包絡波制御形のスペクトル包絡形成・部として
、各帯域の利得を可変制御しうるようにした帯域通過フ
イルタよりなる等化増幅器を用いる場合にスペクトル包
絡波形を制御するのには、各帯域における増幅利得を、
前述のチヤンネル制御形に卦けると同様スペクトル包絡
波形を所望の時間的パターンに応じて変化させるように
する。
第1図に示した本発明装置の概略構成に卦ける加算部4
については、通常の加算増幅器を用いて、上述した各チ
ヤンネルの出力信号を加算合成することができる。また
、定レベル化部5については、上述したスペクトル包絡
形成部3の動作により変動した各チヤンネルの要素波全
体の実効値を所定レベルに一定化させた可聴周波数成分
信号(t)を形成するために、従来のレベル圧縮装置、
定レペル化装置あるいは制限増幅器などをそのまま使用
することができる。このように、レベルを一定化させる
ことにより、その振幅確率分布がほぼガウス分布に近い
(t)信号を形成することができる。以上の説明から明
らかなように、本発明により得られる番組音モデル信号
の可聴周波数成分信号v(t)は、従来の標準試験信号
とは異なり、実質的に調和性乃至協和性を構成する、正
弦波などの周期波からなる比較的少数の要素波に対し、
それぞれ独立にかつ番組音に則して、位相設定および位
相変動の付与並びにスペクトル包絡波形の付与を行なつ
た比較的狭帯域の要素成分信号からなる所定レベルの実
効値を有する可聴周波数成分信号をもつて構成したもの
であり、スペクトル包絡波形を番組音に近似させるのみ
ならず、比較的少数の要素波に対し、位相漂動成分を付
加し、あるいは、各要素波相互間の周波数比を自然数比
かられずかにずらすなどにより1きわめて多数の周波数
成分からなるオーケストラ音などに近似した周波数構成
のモデル信号を形成しうるようにしたものである。した
がつて、本発明発生装置によつて形成した番組音モデル
信号の可聴周波数成分信号v(t)は、レベル一定の各
種番組音の特徴、すなわち、番組音を代表するもののう
ち、スピーチ音については基本周期毎に異なる波形の平
均をモデル化し、オーケストラ音については調和的、協
和的なスペクトル構造を有して、しかも、少数の要素波
をもつて、オーケストラ演奏音に卦けると同様のガウス
分布性を具備し、さらに、ピークフアクタについても実
際の番組音とほとんど同等の値を有するv(t)信号を
形成することができる。
特にオーケストラ音のモデル化に際しては、少数の要素
波に位相漂動を付与することによつて、オーケストラ演
奏音にシける高密度のスペクトルからスペクトルを標本
抽出した形態の信号波形を形成しており、上述のような
要素波の処理によつて、スピーチ音とオーケストラ音と
いう異質の番組音を統一的にモデル信号として発生する
ことを可能としている。
また、前出式(4)および式(5)によつて表したよう
に、要素波群を正確な高調波関係に構成せずに高調波近
傍の周波数を有し、位相漂動を加昧した要素波群をもつ
て構成した可聴周波数成分信号v(t)は位相変調器を
特別に用いずに形成できるので、モデル信号発生装置の
構成をきわめて簡単にすることができ、しかも、所要の
スペクトルの時間的変化をも容易に与えうるもので、信
号対ノイズ比の大きい良質のモデル信号となしうる利点
を有する。
上述のような特徴を有する本発明による番組音モデル信
号の測定試験用信号としての適用分野を列挙すればつぎ
のとおりである。
(1)非線形歪の測定 混変調歪、クリツピング歪などの非線形歪の測定。
(2)クロストークの測定 音響信号伝送機器における送受信音間のクロストークや
録音テープに卦ける転写によるクロストーク等の測定。
(3)応答特性の測定 1)制限増幅器、自動音量調整器などの非線形利得系に
訃ける応答特性の測定。
11)VU計(音量計)、電源レギユレーシヨンなどに
おける非線形応答の測定。
111)レコーデイング針によるレコード溝の破壊、ス
ピーカの破壊等に関する確率的応答の測定。
(4)時変伝送系の測定フエーデイング伝送系など伝送
系の特性が時間的に変化する伝送系の諸特性。
上述のように、本発明により構成する番組音モデル信号
を測定試験に使用する主な対象は、非線形現象あるいは
確率的応答特性を有するものである。
かかる応答特性の測定には、測定用入力信号として供給
するモデル信号の構成が明確である必要があるが、本発
明によるモデル信号は前述のごとく熟知された構成並び
に性能を備えているのであるから、理論的にも実際的に
も、広い分野の測定に適用して定量的に明確な結果を得
ることができる。以上に列挙した本発明によるモデル信
号を用いた各種測定によつて得られる効果をさらに具体
的に述べれば、つぎのとおりである。
(1)非線形歪の測定 本発明による番組音モデル信号は原番組音を熟知して設
計した要素並びに構造を有しているので、被測定系の出
力信号に含まれる非線形歪のように入力信号との相対関
係として測定される物理量の測定に訃いては、ガウスノ
イズ信号を入力信号として測定する場合よりも、振幅局
波数特性、位相周波数特性などの直線歪を容易に除去す
るのに適している点で本発明のモデル信号を入力信号と
した測定法は本質的に有利であり、簡単でしかも高精度
の歪測定を行なうことができる。
例えば、前述した特公昭55−20239号公報に記載
のモデル信号ではガウスノイズ信号をそのまま用いて可
聴周波数成分信号v(t)を構成しているので、入力信
号を出力信号から除去するのが困難で入力信号が非直線
歪の測定値に混入してくるが、本発明によるモデル信号
を用いれば、かかる問題は原理的に生じない。要するに
、本発明のモデル信号によれば、実際の番組音信号を伝
送したときに生じるのと同様の非直線歪を被測定系に生
じさせうるとともに、正弦波を基本的要素波としてモデ
ル信号を構成しているので、入力成分の除去が容易であ
り、被測定系の出力に訃ける精度の高い非直線歪の検出
を可能にさせる。(2) クロストークの測定 クロストークは、一般に、ある伝送チヤンネルの信号に
より生じる他の伝送チヤンネルでの当該信号成分をいう
が、影響を及ぼす方の伝送チヤンネルの信号の構成パラ
メータを変化させると、そのパラメータがクロストーク
量に}よぼす影響の関係を明らかにすることができる。
その関係を測定するには、たとえば入力信号のスペクト
ル構造を時間的にも容易に変化させうることが必要であ
るが、前述した特公昭55−20239号公報に記載の
モデル信号に卦いてはかかるスペクトル構造が時間的に
不変であるために、クロストークの発生原因となる信号
の構成内容がどのようにクロストークに寄与するかを分
析的に知ることは困難であつた。これに対し、本発明に
よるモデル信号に卦いては、上述のようにスペクトル構
造を所期の目的に従つて時間的に変化させることが容易
なのでクロストークの主因を求めることが可能になる。
(3)応答特性の測定 入力信号に対する被測定系の応答特性を明確に測定する
には、試験用入力信号の構成と性質を熟知している必要
があるが、かかる基本的条件を満たしたモデル信号を本
発明によつて形成しうることは、さきに詳述したと卦り
であり、理論的推論と実際の測定結果との対応を明確に
しうることは上述の諸項に}けると同様である。
(4)時変伝送系の測定フエーデイングのある伝送系の
特性を測定する場合に、従来は搬送波もしくは正弦波変
調信号の伝送状態の観測に基づいてその測定を行なつて
いたが、直線歪と非直線歪が時間的に変化する時変伝送
系については、従来の単純な構成の試験用信号によつて
は、実際の番組音のような複雑な構成の変調信号に対応
する伝送特性を明確に測定することができなかつたのに
対し、本発明による正弦波的要素波からなる統計的構成
のモデル信号によれば、実態的かつ高精度の測定を行な
うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明番組音モデル信号のうち可聴周波数成分
信号v(t)を発生させる発生装置の概略構成を示すプ
ロツク線図、第2図a−dは同じくその周波数構成部に
}ける各部の構成例の部分をそれぞれ示す回路図、第3
図は同じくその周波数構成部における基本波卦よび高調
波の発生器の構成例を示すプロツク線図、第4図は同部
の周波数群の発生器の他の構成例を示すプロツク線図、
第5図は本発明番組音モデル信号の可聴周波数成分信号
(t)の発生装置の構成例を示すプロツク線図、第6図
は第1図あるいは第5図の構成例に卦ける位相変調器の
構成の例を示すプロツク線図、第7図は第1図あるいは
第5図の構成例における可変利得増幅器の構成の例を示
すプロツク線図である。 1・・・・・・周波数構成部、2・・・・・・位相設定
変調部、3・・・・・・スペクトル包絡付与部、4・・
・・・・加算部、5・・・・・・定レベル化部、6,6
イ・・・・・制御信号入力端子、7・・・・・・v(t
)信号出力端子、8・・・・・・電圧周波数変換器(V
FC)、9・・・・・・局波数制御電圧線、10・・・
・・・位相検波器、11・・・・・・分周器、11′−
・・・・・低域通.過フイルタ、12・・・・・・電圧
制御発振器(VCMまたはVCO)、13・・・・・・
チヤンネル信号出力端子、14・・・・・・周波数制御
電圧入力端子、15・・・・・・分圧器、16・・・・
・・電圧制御発振器、17・・・・・・チヤンネル信号
出力端子、18・・・・・・高調波発生部、19・・・
・・・スペクトル構造変化信号発生器、20・・・・・
・正弦波発生器、21・・・・・・移相器、22・・・
・・・位相変調器、23・・・・・・可変利得増幅器、
24・・・・・・移相設定信号・発生器、25・・・・
・・位相変調信号発生器、26・・・・・・利得制御信
号発生器、27・・・・・・正弦波発生器、28・・・
・・・制御電圧発生器、29・・・・・・差動増幅器、
30・・・・・・位相変調信号出力端子、31・・・・
・・可変2端子抵抗、32・・・・・・制御電圧入力端
子。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 レベル変動を伴わない可聴周波数成分信号V(t)
    と番組音のレベル変動を表わすレベル変動成分信号W(
    t)との積の形態を有する番組音モデル信号U(t)を
    発生させるにあたり、前記可聴周波数成分信号V(t)
    の基本的周波数成分をなす複数個の要素波が互に実質的
    に調和性もしくは協和性を与える周波数をそれぞれ有し
    、かつ、さらに前記複数個の要素波に番組音に則した位
    相変動をそれぞれ付与し得るように構成するとともに、
    それら複数個の要素波に対して番組音に則したスペクト
    ル包絡波形を付与したうえで、それら複数個の要素波を
    加算し、それら加算した要素波の実効値を所定のレベル
    に設定することにより、前記可聴周波数成分信号を形成
    するようにしたことを特徴とする番組音モデル信号発生
    装置。
JP11901176A 1976-10-05 1976-10-05 番組音モデル信号発生装置 Expired JPS5930279B2 (ja)

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