JPS5914636B2 - 回転ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ポンプ軸に対して偏心揺動する偏心輪により
ポンプケーシング内に形成されるポンプ室にポンプ作用
を与えるようにした、回転ポンプに関するものである。

一般に、ポンプケーシング内に収容した偏心輪の偏心運
動を利用してポンプ作動を行うようにした回転ポンプで
は、偏心輪はポンプ軸からの駆動力の伝達をうけると５
もに、ポンプ室の内周面に接触するように偏心方向への
押圧力を受けつ＼揺動するが、この場合−ポンプ効率を
高めるには偏心輪の外周面がポンプ室の内周面に接触し
つ５強い力で偏心方向に抑圧偏倚されながら偏心運動す
ることが望ましく、さらにポンプ室から圧送流体が漏洩
しないようにポンプ室が完全に封緘されることが望まし
い。

そこでポンプ軸に偏心案内輪を一体に設け、その偏心案
内輪に前記偏心輪を回転自在に嵌合支持することにより
、ポンプ軸の回転運動を偏心輪の偏心運動に確実に変換
し得るようにしたものが従来より知られているが、その
ものでは、前記偏心案内輪をポンプ軸に対して所定の偏
心位置に精度よく加工形成ないしは取付けることが難し
いため、それら作業に熟練を要すると共に生産コストが
嵩む。

また前記偏心輪と偏心案内輪との嵌合面が摩耗すると、
偏心輪の偏心運動にガタを生じてポンプ効率を低下させ
ると共に運転音が大きくなるおそれがあるので、上記摩
耗を補償するための構造複雑な摩耗補償手段を特設する
か、もしそうでない場合には摩耗した偏心案内輪等を新
品と頻繁に交換する必要があり、何れにせよコストが一
層嵩むものである。

本発明は上記に鑑み提案されたもので、上記従来のもの
の不具合をすべて解消することができ、しかもポンプ室
からの圧送流体の漏洩が一切ない、構造簡単で耐久性に
優れた回転ポンプを提供することを目的とする。

以下、第１〜３図により本発明の一実施例について説明
すると、１は中空円筒部２およびそれと一体に形成され
たフランジ部３を有する基台で、フランジ部３には中空
円筒状のケース主体４がシールリング５を介して複数本
のボルト６により固着されるとメもに、そのケース主体
４には、蓋体７が複数本のボルト８および皿ばね９によ
り弾力的に被着されており、これら基台１、ケース主体
４および蓋体Ｉにより、内部に円筒状中空部Ａを有する
ポンプケーシングＣが形成される。

基台１には、先端部を円筒状中空室Ａ内に挿入したポン
プ軸１０が軸受１１ 、１１’を介して回転自在に支承
され、このポンプ軸１０の、ポンプケーシングＣ外端部
には、図示しない原動機が連結され、そのポンプ軸１０
を強制回転駆動できるようになっている。

円筒状中空室Ａ内において、ポンプ軸１０には、切欠溝
１２が形成され、この切欠溝１２は、第２図に明瞭に示
すようにポンプ軸１０の中心軸線に平行な底部平面１３
を有する。

前記切欠溝１２の位置においてポンプ軸１０を取り囲む
ようにして内、外輪１４１．１４□よりなる偏心輪１４
が内周面側に軸受１５を備えて配設されており、内輪１
４１はカップ状に形成されると＼もに軸受１５を介して
ポンプ軸１０に回転自在に支持され、また外輪１４２は
内輪１４１の外周に回転自在に嵌合されている。

切欠溝１２の底部平面１３と軸受」５の内周面との間に
は２個の円筒体よりなるくさびローラ１６が介在されて
おり、前記ポンプ軸１０の軸心と、偏心輪１４の軸心間
には偏心量Ｅが存する。

くさびローラ１６はこの実施例では２個用いられている
が、１個あるいは３個以上用いてもよい。

外輪１４２の外周部−側面と基台１のフランジ部３の内
面間には、シールリング１７および押えリング１８が介
在され、また外輪１４□の外周部他側面と蓋体り間には
別のシールリング１９が配設されており、これらシール
リング１７，１９はボルト８と蓋体７間に介在された皿
ばね９により外輪１４２の両側面に弾力的に押圧されて
、シールリング１７．１９の内面、ケース主体４の内周
面、外輪１４□の外周面によって流体密状に密封された
三ケ月状ポンプ室Ｐが形成される。

偏心輪１４のフランジ部３に近接する側には、ゴム、合
成樹脂材、ステンレス、バステロイ等の金属よりなる可
撓性盤状ダイヤフラム２０が配設され、そのダイヤプラ
ム２０の内周部はカップ状の内輪１４．の開口端面と、
その内輪１４１の開口端面に取付けられた挟持輪２１間
に複数個の締付ボルト２２により挾着され、またダイヤ
フラム２０の外周部は押えリング１８と基台１のフラン
ジ部３内面間の複数個の締付ボルト２３により挾着され
ている。

前記ダイヤフラム２０の途中には伸縮部が形成され、こ
の伸縮部により偏心輪１４の偏心運動に伴うダイヤフラ
ム２０の外周部と内周部との相対的な差動を吸収できる
ようになっている。

尚、ダイヤフラム２０の外、内周部の差動を吸収し易く
するため、ダイヤプラム２０をベローズ状に構成すると
都合が良い。

外輪１４２には軸方向に延びる断面四角形状の仕切溝２
４が穿設され、この仕切溝２４内に、内周面を略円筒状
に形成された挿入体２５が半径方向に摺動可能に且つ流
体密状に収容され、その挿入体２５の内周面には、ボル
ト２６によりケース主体４に封緘状に止着されると＼も
に上、下端をシールリング１７．１９に封緘状に当接さ
せた円筒状の仕切体２７が挿入体２５に対して相対回転
自在に嵌合されている。

この場合、仕切体２７あるいは挿入体２５の少なくとも
一方をゴム、合成樹脂等の弾性材より形成して、仕切体
２７の外周面全体を挿入体２５の内周面全体に弾力的に
密着させてそれらの間が流体密状にシールされるように
する。

このような構成であるから、外輪１４２はケース主体４
に固着された仕切体２７回りに成る程度相対回転するこ
とができるとＸもに挿入体２５に対して半径方向に相対
摺動することができ、従って外輪１４□はポンプ軸１０
に対する偏心運動を許容されるが、その自転は阻止され
ている。

従ってポンプ軸１０が回転すると、くさびローラ１６は
くさび作用により内輪１４１の切欠溝１２の底部平面１
３と軸受１５の内周面との間に喰込み、その結果内輪１
４１はポンプ軸１０から円周方向と偏心方向への力を受
けて偏心揺動し、それに伴い内輪１４１の外周に嵌合さ
れる外輪１４□もその外周面がケース主体４の内周面に
接触しつつポンプ軸１０回りに偏心揺動する。

そして後述するように、外輪１４□の偏心揺動に伴って
前記三ケ月状のポンプ室Ｐは、仕切体２７によって吸込
室Ｐｉと吐出室Ｐｅ（第４Ｂ、４Ｃ，４Ｄ図）とに区画
される。

前記ケース主体４の、仕切体２７の両側にはそれぞれ円
筒状中空室Ａ内に開口する吸込口２８と吐出口２９とが
穿設され、これら吸込口２８および吐出口２９には吸込
管３０および吐出管３１がそれぞれ螺着されている。

偏心輪１４の一側において、ポンプ軸１０にはバランス
ウェイト３２が固着されている。

また第３図に示すように、ダイヤフラム２０と偏心輪１
４間に形成される室３３および偏心輪１４と蓋体７間に
形成される室３４は外輪１４２内に形成された通路３５
を介して前記吐出室Ｐｅに連通している。

尚、３６は軸受１１，１１’間に配設されるスペーサ、
３７は潤滑油の給油弁、そして３８は内輪１４１の内周
に配設される軸受１５を潤滑する潤滑油を導くためポン
プ軸１０に穿設された油路である。

以上のように構成されるので、いま図示しない原動機の
駆動によりポンプ軸１０を第２図において時計方向（第
２図矢印Ｒ方向）に回転すると、その回転力は、ポンプ
軸１０の切欠溝１２の底部平面１３を介してくさびロー
ラ１６に伝達され、さらにこのローラ１６のくさび作用
を通して軸受１５に伝達される。

この際、軸受１５は偏心方向への力を受けるので、その
力はそのま５偏心輪１４に伝えられ、その結果、偏心輪
１４はケース主体４の内周面に押圧されつＸポンプ軸１
０の軸心回りに偏心運動する。

この場合仕切体２７は常時偏心輪１４の仕切溝２４に摺
合された挿入体２５の内周面全体に弾力的に接触しつ５
三ケ月状のポンプ室Ｐを吸込室Ｐｉと吐出室Ｐｅとに流
体密状に区画する。

而してその吸込室Ｐｉと吐出室Ｐｅは偏心輪１４の偏心
運動により体積変化を生じてポンプ作用をなすものであ
って、第２図実線位置および第４Ａ図に示すように偏心
輪１４が吸込口２８および吐出口２９に最も接近した上
死点位置にあるとき、吸込口２８に通じる吸込室Ｐｉは
最も体積が縮小されて吸込開始直前の状態に、また吐出
室Ｐｅは最も体積が膨張されて吐出開始直前の状態にあ
る。

この状態から偏心輪１４が前述のように揺動すれば、第
４Ｂ図に示すように吸込室Ｐｉの体積は漸次増大してそ
こに流体を吸込むと５もに、吐出室Ｐｅは体積を縮小し
つ５吐出口２９に連通し、該室Ｐｅ内の流体を加圧して
吐出口２９より圧送することができる。

そして第４Ｃ図に示すように偏心輪１４が吸込、吐出口
２８．２９より最も離れた下死点に達すれば、吸込室Ｐ
ｉと吐出室Ｐｅとは、それらの体積が略等しい吸込、吐
出行程の丁度中間点にくる。

偏心輪１４がさらに回転すれば、第４Ｄ図に示すように
吸込室Ｐｉはさらに体積を増大する一方吐出室Ｐｅは体
積を縮小し、第４Ａ図の状態に戻って吸込、吐出行程が
終了する。

そして偏心輪１４の一回転によって吸込、吐出行程の一
サイクルが終了し、これによりポンプ室Ｐの容積分の流
体が吐出される。

また、ポンプ室Ｐ内の流体がシールリング１７゜１９と
偏心輪１４間から漏洩しても、その漏洩流体はダイヤフ
ラム２０と偏心輪１４により囲まれる室３３および偏心
輪１４と蓋体７により囲まれる室３４内に流入し、そこ
から通路３５を通って吐出室Ｐｅに還流するので、漏洩
流体が軸受１５やくさびローラ１６の収容されている内
輪１４１とポンプ軸１０間の空間に漏洩してそこの潤滑
油に混入したり、あるいは基台１とポンプ軸１０間に配
置された軸受１１，１１’を通って外部に漏出すること
はなく、また前記室３３．３４内が漏洩流体によって充
満されてダイヤフラム２０に過度の負荷が加わることも
ないので、耐久性に優れた無漏洩ポンプを構成すること
ができる。

以上のように本発明の回転ポンプは、内部に円筒状中空
室Ａを画成したポンプケーシングＣに回転自在に軸支さ
れ、前記円筒状中空室Ａ内において中心軸線と平行な底
部平面１３を有する切欠溝１２が形成されたポンプ軸１
０と；このポンプ軸１０に軸受１５を介して支承され、
外周面が前記円筒状中空室Ａの内周面に接触しつつ前記
ポンプ軸１０に対して偏心運動する偏心輪１４と；前記
切欠溝１２の底部平面１３と前記軸受１５との間に介在
され、前記ポンプ軸１０の回転運動を前記偏心輪１４の
偏心運動に変換するくさびローラ１６と；を少なくとも
備えているので、ポンプ軸１０の回転力を、前記切欠溝
１２およびくさびローラ１６の共働によるくさび作用を
以て偏心輪１４に確実に伝達して該輪１４を強力に偏心
運動させ、効率のよいポンプ作用を行なわせることがで
き、しかも上記くさび作用はくさびローラ１６や切欠溝
１２が摩耗しても支障なく達成されるため、偏心輪１４
を長期に亘りガタつきなく確実に偏心運動させることが
できポンプの耐久性が高められ、また上記摩耗に対する
補償手段を特設する必要がないため構造が簡単でコスト
が低漫される。

しかもまたポンプ軸１０に前記切欠溝１２を形成すると
共に、該溝１２と軸受１５間に前記くさびローラ１６を
介在させただけの極めて簡単な構造で、ポンプ軸１０の
回転運動を偏心輪１４の偏心運動に無理なくしかも精確
に変換することができ、その運動変換手段として前記従
来のもののポンプ軸に偏心して一体に設けられていた偏
心案内輪が省略され、従って加工、組立等の作業を容易
迅速に且つ精度よく行うことができ、コストが一層低減
される。

またダイヤプラム２０等の可撓膜の外周部をポンプケー
シングＣに固着する一方、その内周部を前記偏心輪１４
の側面に被着し、該可撓膜によって、ポンプケーシング
Ｃと偏心輪１４間に形成されるポンプ室Ｐを流体密に封
緘するようにしたので、ポンプ室Ｐからの圧送流体漏洩
の一切ない無漏洩ポンプを得ることができ、大気に接触
すると変質したり、漏洩すると危険であったりする特殊
流体の圧送に最適である。

さらにポンプケーシングＣに支持されて偏心輪１４の外
周面に係合する仕切体２７によって、偏心輪１４をポン
プ軸１０に対して偏心運動可能に且つ自転不能に保持す
るようにしたので、偏心輪１４の偏心運動中に、該偏心
輪１４とポンプケーシングＣ間に張設された前記可撓膜
２０が円周方向に過度に捩られるおそれがなく、該可撓
膜２０の耐久性を著しく増大させることができる。

しかもその仕切体２７は、上記のような偏心輪１４に対
する回り止め部材のみならず、ポンプ室Ｐを吸込室Ｐｉ
と吐出室Ｐｅとに区画する仕切り部材にも兼用されるの
で、部品点数を少なくすることができ、構造が一層簡単
化される。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明回転ポンプの実施例を示し、第１図は第２
図１−Ｉ線断面図、第２図は第１図■−■線断面図、第
３図は第２図Ｍ−１線断面図、第４Ａ、４Ｂ、４Ｃ，４
Ｄ図はその作用状態を示す図である。 Ａ・・・・・・円筒状中空室、Ｃ・・・・・・ポンプケ
ーシング、Ｐ・・・・・・ポンプ室、Ｐｅ・・・・・・
吐出室、Ｐｉ・・・・・・吸込室、１０・・・・・・ポ
ンプ軸、１２・・・・・・切欠溝、１３・・・・・・底
部平面、１４・・・・・・偏心輪、１５・・・・・・軸
受、１６・・・・・・くさびローラ、２０・・・・・・
可撓膜としてのダイヤフラム、２４・・・・・・仕切溝
、２５・・・・・・挿入体、２７・・・・・・仕切体、
２８・・・・・・吸込口、２９・・・・・・吐出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に円筒状中空室Ａを画成したポンプケーシング
   Ｃと；このポンプケーシングＣに回転自在に軸支され、
   前記円筒状中空室Ａ内において中心軸線と平行な底部平
   面１３を有する切欠溝１２が形成されたポンプ軸１０と
   ；このポンプ軸１０に軸受１５を介して支承され、外周
   面が前記円筒状中空室Ａの内周面に接触しつつ前記ポン
   プ軸１０に対して偏心運動する偏心輪１４と；前記切欠
   溝１２の底部平面１３と前記軸受１５との間に介在され
   、前記ポンプ軸１０の回転運動を前記偏心輪１４の偏心
   運動に変換するくさびローラ１６と；前記ポンプケーシ
   ングＣに支持されて前記偏心輪１４の外周面に係合し、
   該偏心輪１４をポンプ軸１０に対して偏心運動可能に且
   つ自転不能に保持するとともに、前記ポンプケーシング
   Ｃと偏心輪１４間に形成されるポンプ室Ｐを吸込室Ｐｉ
   と吐出室Ｐｅとに流体密に仕切る仕切体２７と；前記ポ
   ンプケーシングＣに形成されて前記吸込室Ｐｉと吐出室
   Ｐｅとにそれぞれ連通する吸込口２８および吐出口２９
   と；内周部において前記偏心輪１４の側面に被着される
   とともに外周部において前記ポンプケーシングＣに固着
   され、前記ポンプ室Ｐを流体密に封緘するダイヤプラム
   ２０等の可撓膜と；からなる、回転ポンプ。 ２ 前記特許請求の範囲第１項記載の回転ポンプにおい
   て、前記仕切体２７は前記ポンプケーシングＣに固着さ
   れた円筒体により形成され、この円筒体を、前記偏心輪
   １４の外周面に穿設した仕切溝２４に半径方向に摺動可
   能に密合される挿入体２５の円筒状内周面に回転自在に
   密合してなる、回転ポンプ。